第1問 問1 ① ≪近代国家の変容≫ 1 ① ボーダンは,著書『国家論』において,国家には「絶対的・永続的な権力」であ る主権が存在すると説き,主権を持つフランス国王の絶対的支配を正当化した。 ② モンテスキューは,著書『法の精神』において,三権分立を提唱した。 ③ ルソーは,著書『社会契約論』において,一般意志に基づく共同体を提唱した。 ④ ケネーは,著書『経済表』において,重農主義を唱え,自由放任を説いた。 問2 2 ⑥ 加盟国数だけで正解を導ける。NAFTA(北米自由貿易協定)は,カナダ・アメ リカ・メキシコの3カ国によって締結された。AFTA(ASEAN自由貿易地域) は,ASEAN(東南アジア諸国連合)の 10 カ国によって組織された地域経済統合 である。MERCOSUR(南米南部共同市場)は,ブラジル・アルゼンチン・ウル グアイ・パラグアイ・ベネズエラの5カ国によって組織された地域経済統合である。 問3 ② 3 ② 外国為替市場での自国通貨の売り介入とは,中央銀行が自国通貨を売って他国通 貨を買い,自国通貨の供給を増やすことで,その結果,自国通貨の価格(=為替レー ト)は切り下げとなる。 ① デフレーションを止めるためには,市場から資金を吸収する必要があるので,中 央銀行は国債の買いオペレーションを行う必要がある。 ③ 金融を緩和するためには,中央銀行が政策金利を低めに誘導して,金融機関の貸 出金利の引下げをはかる必要がある。 ④ 金融機関による企業への貸出しを増やすためには,預金準備率を引き下げること によって,金融機関が日本銀行に預ける準備預金を減らす必要がある。 問4 4 ④ 政府債務残高の対GDP比は,表によるとギリシャの方が低い。また,経常収支が 赤字の場合,その赤字の分だけ資金が海外に流出するので,対外債務は増加する。 問5 A-ウ 5 ⑥ 信教の自由は,自由権(精神的自由権)に分類され,「国家に対して,不当 に干渉しないことを求める権利」であり,日本国憲法第 20 条に規定されている。 B-イ 国家賠償請求権は,請求権に分類され,「国家に対して,一定の積極的な行 為を求める権利」であり,日本国憲法第 17 条に規定されている。 C-ア 選挙権は,参政権に分類され,「国家に対して,その意思形成への参画を求 める権利」であり,日本国憲法第 15 条などに規定されている。 問6 ③ 6 ③ 比例代表選挙においては,各政党の得票数を1・2・3…の整数で順に割ってい き,その商が大きい順に議席を配分するドント式が用いられる。 ① 衆議院議員選挙の比例代表制は 11 のブロックに分けられている。 ② 参議院議員選挙では,選挙区と比例代表区での重複立候補は認められていない。 ④ 参議院議員選挙の被選挙権は,満 30 歳以上の日本国民に認められている。 問7 ① 7 ① 国会議員の除名は,その議員が所属する議院において,出席議員の3分の2以上 の賛成が必要である。 ② 憲法改正の承認は,国民投票における投票総数の過半数の賛成が必要とされる。 ③ 内閣不信任決議案は衆議院において出席議員の過半数の賛成で可決される。 ④ 条約の承認は,両議院において出席議員の過半数の賛成が必要とされる。 問8 8 ② ② 地方自治特別法(特別法)の住民投票は日本国憲法第 95 条に規定されている。 ① 地方分権一括法によって機関委任事務は廃止された。法定受託事務が正しい。 ③ 地方裁判所は下級裁判の1つで,地方自治体の機関ではなく,国の機関である。 ④ 住民投票条例に基づいて行われた住民投票の結果に法定拘束力はない。 問9 9 ④ ④ 小泉純一郎内閣の構造改革の一環として各地に構造改革特区が設けられた。 ① 日本道路公団の民営化は 1980 年代ではなく,2005 年に実施された。 ② 国家戦略特区の設置は,2013 年に第2次安倍晋三内閣によって決定された。 ③ 2007 年に郵便を含めた郵政三事業が民営化された。 問 10 10 ② A-ア グリーン=ツーリズムとは,農山漁村における滞在・体験型の休暇をいう。 B-ウ スローフードとは,食を根本から見直していく運動で,食育なども含まれる。 C-イ 六次産業化とは,第一次産業である農林水産業が,第二次産業である加工や 第三次産業である流通・販売などに踏み出すことをいう。 第2問 問1 ① ≪環境問題≫ 11 ① 企業の利潤は,株主への配当として還元されたり,企業内部に蓄えられたりする。 企業内部に蓄えられた資金は,必要に応じて設備投資の原資として使われる。 ② 国民経済計算では, 企業の利潤は,雇用者報酬ではなく営業余剰・混合所得に 分類される。雇用者報酬に分類されるのは,賃金など雇用者に支払われた報酬である。 ③ 企業の利潤は,生産活動により得られた収入から賃金や原材料費などの費用を差 し引いたものである。 ④ 株式会社において,利潤から株主に支払われるのは出資金ではなく,配当である。 問2 ② 12 ② GDPは,一定期間に一国で生産された付加価値の合計であり,価格が明らかな ものだけが計上される。その結果,GDPには,財・サービスの生産にかかわるもの のうち,原則として,市場で取引されたものが算入される。したがって,市場で取引 されない環境破壊による損失は,GDPに計上されない。 ① 株式の取引額は,財・サービスの生産額ではないので,GDPに計上されない。 ③ 輸出される財・サービスも,国内外のいずれかの市場で取引されており,その付 加価値の額が明らかとなっているので,GDPに計上される。 ④ 通貨量は,財・サービスの生産額ではないので,GDPに計上されない。 問3 13 ④ 公害国会は 1970 年に開かれた国会の呼称である。Dは,1964 年結成の公明党,1955 年に再統一の日本社会党,同年成立の自由民主党,1960 年結成の民社党が議席を獲得 していることから,1970 年の公害国会直前の総選挙の結果であると判断できる。 Aは,日本新党や新生党などが議席を獲得していることから,1993 年以降の総選挙 であると,Bは,自由民主党と日本社会党とでほとんどの議席を獲得していることか ら,1950 年代後半の総選挙の結果であると,そして,Cは,1996 年に結成された民 主党,2012 年に結成された日本維新の会,2009 年に結成されたみんなの党が議席を獲 得していることから,2012 年以降の総選挙の結果であると,それぞれ判断できる。 問4 14 ③ ③ 行政委員会の1つである人事院の勧告についての記述として正しい。 ① 労働委員会は,労働者委員・使用者委員・公益委員の三者で構成されている。 ② 公正取引委員会が独占禁止法に基づく規則の制定権(準立法権)や準司法権を有 するなど,行政委員会の中には,準立法権・準司法権を与えられている機関がある。 ④ 国家公安委員会は,政治的な中立性が求められる警察行政分野に設置されている。 問5 ③ 15 ③ 公害対策基本法は,高度経済成長期に社会問題となった四大公害などを背景とし て 1967 年に制定された。足尾銅山鉱毒事件は明治時代に起こった。 ① 1987 年採択のモントリオール議定書で,オゾン層を破壊するフロンが規制された。 ② 汚染者負担の原則は 1972 年にOECD(経済協力開発機構)が提唱した。 ④ アス ベ ストの飛散物を吸ったことによって肺がんなどの健康被害が発生したこ とから,2006 年にアスベスト新法が制定された。 問6 ② 16 ② 地方自治体の首長は,議会が首長の不信任を決議した場合に限り,対抗措置とし て議会を解散することができる。 ① 議会の解散請求には,原則として有権者の3分の1以上の署名が必要である。 ③ 条例の制定や改廃の直接請求は条例案の審議を議会に求めるものにすぎず,条例 案を可決するかどうかは議会の議決によって決定される。 ④ 首長は条例や予算に関する議会の議決について再議を要求することができる。 問7 17 ⑥ A-ウ 「市場取引に任せると,公正かつ自由な競争が行われない場合があるため」, 独占禁止法は,私的な独占や不当な取引を制限し,不公正な取引を禁止している。 B-イ 公害のように,「経済活動が,市場を通さずに他の経済主体に悪影響を及ぼ す場合があるため」,大気汚染防止法は,有害物質の大気中への排出を規制している。 C-ア 「売り手と買い手との間に,情報や交渉力の格差があるため」,消費者契約 法は,弱い立場にある消費者の保護をはかっている。 問8 18 ① ① 太陽光発電の年間発電量は,ドイツが日本の3倍を超えている(2012 年)。 ② 再生可能エネルギーとは,自然の営みから半永久的に得られるエネルギーをさし, 地熱・潮力・太陽光・風力・バイオマスなどが含まれる。 ③ 再生可能エネルギーは,化石エネルギーと異なって二酸化炭素をほとんど排出し ないので,その開発と普及は持続可能性の高い低炭素社会の実現に寄与する。 ④ バイオマスとは,再生可能な生物由来の有機性資源のことをさす。 第3問 問1 ア ≪民族紛争と人権≫ 19 ④ 「それぞれの民族のもつ言語や価値観などを尊重して積極的に共生を図る」ため には,1つの社会の中に複数の人種・民族が持つ言語・文化の共存を認める多文化主 義の考え方が必要である。自民族中心主義は多文化主義とは相反する考え方である。 イ 「少数派(の民族)の独立を承認する」という考え方は,民族自決の原則に基づ いている。単独行動主義とは,多国間協調を避け,自国の独自判断で行動すること。 問2 ③ 20 ③ A国とB国がともに「協調」を選択すれば,「A国に 10 点,B国に 10 点」が配 分されるので,両国の点数の合計は最大化される。しかし,相手が「非協調」を選択 すれば,自国の点数は1点になってしまうので,相手の行動にかかわらず「協調」を 選択するわけにはいかない。 ① A国が「協調」を選択し,B国が「非協調」を選択した場合,A国の点数は1点 となり,最も低い点数になってしまう。 ② A国が「協調」を選択する場合,B国が「協調」を選択した場合の点数は 10 点, 「非協調」を選択した場合の点数は 15 点であるから,B国がより高い点数を得るには 「非協調」を選択する必要がある。 ④ A国とB国がともに「非協調」を選択した場合,A国の点数は5点,B国の点数 も5点となるから,両国の点数の合計は 10 点となり,「最小化」される。 問3 A-ア 21 ② 20 世紀末,コソボ自治州では,セルビアからの独立を求めるアルバニア系住 民とセルビア政府の間で内戦が勃発し,1999 年にはNATOがセルビア空襲を行った。 B-ウ パレスチナでは,1948 年のイスラエル建国時から,イスラエルとアラブ人と の間で紛争が続いている。 C-イ 問4 ロシアはチェチェン共和国が独立を宣言したことから,軍事侵攻を行った。 22 ④ ④ 難民条約第 33 条のノン=ルフールマン(送還禁止)の原則についての記述である。 ① 難民条約の保護の対象は,迫害などで国外に逃れた政治難民に限られている。 ② 難民条約の保護の対象は,国籍国の外に逃れた者に限られている。 ③ 難民条約(難民の地位に関する条約)は,1951 年に国連全権会議で採択された。 問5 ② 23 ② 労働基準法は,それらの法律が定義する労働者に当てはまる限り,不法就労の状 態にある外国人労働者にも適用される。 ① ワーキングプアと呼ばれる人々の就労形態は非正規雇用であることが多い。 ③ 使用者には労働安全衛生法によって労働災害防止が義務付けられている。 ④ 非正規労働者についても,団結権・団体交渉権・団体行動権が保障されている。 問6 24 ③ ③ 日本は,国際人権規約のB規約を批准しているが,選択議定書は批准していない。 ① 子どもの権利条約では, 18 歳未満の者を権利保護の対象としている。 ② 世界人権宣言は,条約ではないので,国家を法的に拘束する効力はない。 ④ 障害者権利条約は 2006 年に国連総会で採択され,日本は 2014 年に批准した。 問7 A-ア 25 ① アムネスティ=インターナショナルは,人権保護の活動を行っている国際的 なNGO(非政府組織)である。 B-イ パグウォッシュ会議は,アインシュタインとラッセルの提唱によって始まり, 科学者が核兵器・核戦争の廃絶に向けた話し合いなどを行っている国際会議である。 C-ウ 問8 ア 赤十字国際委員会は,紛争地において人々の支援・保護活動を行っている。 26 ③ 「集団的かつ過剰な取材活動」は,メディア=スクラムと呼ばれる。メディア=リ テラシーとは,メディアの伝える情報を主体的・批判的に読み解く能力をさす。 イ 「人々が意見広告や反論記事といった形で自己の見解を掲載するようマスメディ アに求める」権利とは,アクセス権である。リコール権は,長や議員などの公職にあ る者への解職請求権をさす。 第4問 問1 ≪市場メカニズムと政府の役割≫ 27 ① ① 保有資産の価格が上昇して余裕が生まれると,家計は消費額を増やす傾向にある。 ② 銀行の貸出金利が低下すると,企業は設備投資を増加させる傾向にある。 ③ 2015 年 12 月の数値では,食料費は保険医療費の約6倍である。 ④ 従業者の総数に占める中小企業の従業者の割合は約 70%である。したがって,中 小企業で働く人数の方が大企業で働く人数よりも多い。 問2 ④ 28 ④ 原材料の価格が低下した場合,財の価格が同一であれば,財1単位当たりの利益 が拡大するので,財の供給は増加する。したがって,供給曲線は右下にシフトする。 その結果,均衡点は右下に移動することになるので,財の価格は下がる。 問3 A-ウ 29 ⑤ 1601 年に成立したエリザベス救貧法(イギリス)は,労働能力のない者への 慈善的救貧事業を定めたもので,公的扶助の先駆けといわれている。 B-ア 1935 年に成立した社会保障法(アメリカ)によって,公的扶助と社会保険を 統合した制度が設けられた。 C-イ 1942 年のベバリッジ報告(イギリス)は,ナショナル=ミニマム(国民の最 低限度の生活水準)の保障を定めて, 「ゆりかごから墓場まで」の総合的社会保障制度 を提案した。 問4 ① 30 ① 非競合性とは,消費が競合しないことであり,「他の人々の消費を減らすことな く複数の人々が同時に消費できる」という性質をさし,公共財の特徴の1つである。 ② 公共財は,需要の変化に対して価格が非弾力的であることを説明した記述である。 ③ 公共財の非排除性についての記述である。 ④ 規模の利益(規模の経済)についての記述である。 問5 ③ 31 ③ 租税の垂直的公平とは,負担能力の大きい人により大きな負担を課すという原則 であり,「所得の高い人ほど租税負担が大きい」ことによって実現される。 ① アダム=スミスが唱えた租税についての4原則の1つで,便宜の原則についての 記述である。 ② 中立性の原則についての記述である。マスグレイブが租税について唱えた6条件 の1つである。 ④ 水平的公平の原則についての記述である。 問6 ③ 32 ③ 認定NPO法人になると,その法人へ寄付をした市民や企業などの寄付者が税制 上優遇されたり,認定NPO法人自身が納める法人税が優遇されたりする。 ① 特定非営利活動促進法では,ボランティア活動を行う団体に認定NPO法人とな ることを義務化しているわけではない。 ② 行政がNPO法人と協働して事業を行うことは禁止されていない。 ④ NPO法人は,市民や企業などから寄付を受けることが認められている。 問7 33 ④ 「国債収入を除いた歳入」から「国 基礎的財政収支(プライマリーバランス)とは, 債費を除いた歳出」を差し引いた収支をいう。したがって,Bの「租税収入を増やす」 ことは,「国債収入を除いた歳入」を増やすことになり,イの「国債費を除く支出の 金額を減らす」ことは, 「国債費を除いた歳出」を減らすことになるので,基礎的財政 収支の赤字を歳入と歳出の両面から縮小させることになる。 問8 34 ③ 少子高齢化が進んでいることから,生活保護や高齢者福祉などに充てる扶助費は増 加傾向にある。したがって,Aが「扶助費」に当たると判断することができる。次に, 近年では,公共事業が抑制傾向にあることから,Cが「普通建設事業費」に当たると 判断することができる。残りのBが「人件費」に当たる。
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