2016年度 私たちが取り組むこと(PDF)

2016 年度事業活動方針及び
予算承認の件
2016 年度
私たちが取組むこと
私たちをとりまく状況
◇東日本大震災・支援と復興の課題
東日本大震災から5年が経ちました。未だ 16 万5千人もの人たちが避難生活を強いられ、応
急仮設住宅、民間借上げ仮設住宅に入居している人は被災3県で 50,000 世帯となっています。
人口の流出や若い働き手世代が地元に戻らないなど、上物はできつつある中で、どのような地域
再生になっていくのかが見えない状況にあります。
福島県では東京電力福島第一原発の事故により、未だに震災瓦礫さえ撤去できない地域もあり
ます。依然と続く放射能汚染・放射性廃棄物の処分の問題、ドメスティックバイオレンスやアル
コール依存症者、震災関連死の増大、子どもたちの心のケアの問題などが顕在化しています。ま
た、3万人を超える自主避難者に対し、国と福島県は 2017 年3月をもって自主避難の方の住宅
支援は打ち切られることが決定しました。東日本大震災は過去の災害ではなく、今でも多くの人
たちが困難な状況に置かれており、その人たちにあった生活の再建支援が必要となっています。
◇自然災害
自然災害では、鹿児島県口永良部島や桜島、神奈川県の箱根山、長野県の浅間山、熊本県の阿
蘇山などの噴火活動、小笠原諸島でM8.5、チリ沖でM8.3 の地震活動が相次ぎ、全国では台風や
集中豪雨による被害が多く発生し、台風 18 号による東日本豪雨では茨城・栃木・宮城に大きな
被害をもたらし、茨城県常総市では鬼怒川堤防が決壊し、浸水約1万 2000 棟、孤立 (一時)数千
人、避難 (最大)1万人と甚大な被害となりました。2016 年4月 14 日、熊本県熊本地方を震源と
する最大震度7の地震は、16 日にも震度7(本震)が襲い大きな被害が出ました。活断層の連鎖
により大分県にも広がり、死者 49 人、3万人以上もの方々が避難生活を余儀なくされました。
その他にも、これまでなかったような自然災害が発生しています。大型台風、ゲリラ豪雨、竜
巻による風水害、火山の噴火などが毎年のように発生し大きな被害になっています。災害への備
えと災害時の対応などを準備しておくことや、地域での助けあい・支え合いの仕組みづくりが重
要になっています。
◇平和をめぐる状況
多くの命が犠牲となった太平洋戦争の終結から 70 年。戦争を経験された方々の平均年齢は 80
歳を超えました。一方で、戦後生まれが1億人を超え、人口の8割を占めるまでになっています。
戦争を経験された方々の実体験を次世代へ語り継いでいくことは 70 年目以降も重要な課題です。
シリアから 400 万人ともいわれる難民がヨーロッパを中心とした国々へ避難する中で、ヨーロ
ッパ各地でもテロが続き、多くの市民が犠牲となっています。過激派組織「イスラム国」
(IS)
を巡り、超大国を巻き込んで世界の緊張関係が広がっています。
世界に広がる戦争・紛争の数は 40 以上も存在しています。その戦争・紛争地域にくらす人々
の数は 23 億人超ともいわれ、世界の三分の一の人がなんらかの戦争・紛争の影響下にくらして
いることになります。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
昨年4月にアメリカで開催されたNPT再検討会議※1では核兵器廃絶へ向けた合意には至
らず、最終文書案が採択されないまま終了しました。2020 年の検討会議までの5年間は指針を失
うこととなりますが、日本が参加する軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)※2では、唯一
の被爆国として核軍縮・不拡散への取組みを牽引していく役割が求められています。
2014 年7月に閣議決定された安全保障関連法案は 2015 年9月に可決成立、2016 年3月に施行
されました。一方で多くの憲法学者が違憲との見解を示し、地方自治体からは、慎重にすすめる
ことの意見が出されています。2016 年4月には、安全保障関連法案は違憲だとした集団訴訟が起
こされ、全国各地に提訴が広がっています。また、沖縄県の普天間基地移設を巡り、沖縄県(県
民)と政府との対立が深まっています。
日本生活協同組合連合会は、1951 年の創立時に「平和と、よりよき生活こそ生活協同組合の理
想であり、最大の使命である」と宣言し今日に至っています。戦後 70 年が経過し、戦争や紛争
がない世界をつくっていくために私たち一人ひとりが考え、改めて平和とは何かを国民全体で議
論していく時期にきています。
◇経済
EU経済、中国の景気減速を発端とする世界経済の先行き懸念から世界経済は不安定な状況に
なっています。日本では景気回復を狙ったマイナス金利政策が打ち出されましたが効果は見えな
い状況にあります。
2014 年の消費増税後の消費支出は2年連続で減少し、社会保険料などの改定から家計への負担
は増しています。消費税率8%から1年以上過ぎても個人消費は低迷する一方で、企業の業績で
は大企業は過去最高水準、中小企業は厳しい状況となっており、輸出も落ち込んでいます。
食品市場では、競争が激化しており、スーパーやコンビニエンスストアの再編や寡占化が加速
しています。また、スマートフォンなどの普及からインターネットでの商品購入の一般化により、
オムニチャネル※3化もすすんでいます。国の長期債務(借金)は 2015 年末に 1,044 兆円を超
えました。
さまざまな企業による不正問題が噴出しました。電気機器メーカーによる粉飾決算に始まり、
自動車の排気ガス規制、建造物に対する杭打ちデータ、鉄道車両や船の振動を抑える防振ゴムの
検査データ、血液製剤、肥料偽装、自動車の燃費改ざんなど、幅広い分野での不正が相次いで発
覚し社会問題となりました。特に肥料偽装では、パルシステムの生産者も大きな被害を受けまし
た。生産者とともにチェックできる仕組みづくりをすすめるとともに、消費者として国や行政機
関へ体制強化を求めていく必要があります。
<用語説明>
※1 NPT再検討会議
核不拡散条約再検討会議のことで、核保有国が増えることを防止する目的で 1970 年に発効した核不
拡散条約の運用状況を検討するため、1995 年から5年ごとに国連本部で開催されている。
※2 軍縮・不拡散イニシアティブ NPDI
参加国は、オーストラリア,カナダ,チリ,ドイツ,日本,メキシコ,オランダ,ナイジェリア,
フィリピン,ポーランド,トルコ及びアラブ首長国連邦の 12 か国。
※3 オムニチャネル
「インターネット上でも実店舗でも分け隔てなく買い物ができる環境」のこと。
「オムニ」は「すべて
の」
「あらゆる」という意味を持ち、これまで実店舗を持ちながらインターネット通販も手掛けるこ
とにより「マルチチャネル化」と呼ばれていたが、SNSやスマートフォンが普及し、買い物が「い
つでも、どこでも」可能となり、それが「オムニチャネル化」と呼ばれている。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
◇くらし・貧困・格差・社会保障
各世帯が自由に使えるお金「可処分所得」は、実収入の増加以上に非消費支出(社会保
険料・税金など)が継続的に増加しており、2000 年と比べると5万円ほどの減少となっ
ています。「実収入が増えても使えるお金が増えない、生活が楽にならない」、「実収入が
減った以上に生活が厳しいように思える」という状況になっています。さらに急速な高齢
化や非正規雇用者の拡大(35%、2000 万人超)などにより、所得格差はさらに広がり、所得が低
い世帯が急増しています。厚生労働省の統計(2015 年 12 月)では生活保護受給世帯 163 万世帯、
受給者数 216 万人(人口 100 人中 1.71 人)となっています。世帯別では高齢者世帯が 50%、傷
病者・障害者世帯で 27%、母子世帯で7%となっており、特に高齢者世帯の受給割合が増加して
います。平均的な所得の半分を下回る貧困世帯でくらす子どもは6人に1人、母子家庭が多数を
占めるひとり親世帯の貧困率は5割を超えています。貧困は、高齢者ばかりか現役世代や、子ど
もにまであらゆる層に広がり、教育を受ける権利を支援するはずの奨学金制度は卒業後も返済の
ために生活が成り立たないという社会問題にもなっています。
介護報酬制度が4月に改定され、デイサービスなど通所型の施設を中心に事業収益が減少し、
特に小規模事業所は経営環境が悪化。職員の賃金引き上げ策では8割が「実感がない」と回答し
ています。これまで全国一律で設定されていた「要支援者向けサービスの一部」を市町村が責任
主体となって実施されることになりましたが、2015 年度中に実施を予定だった市町村は、わずか
に留まっています。
人口の減少とともに生産年齢人口が大幅に減少し、働き手不足が社会問題となってきます。女
性が活躍できる環境を整備するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性
活躍推進法)」が制定されましたが、それを支援する体制整備が課題となっています。超高齢化
と少子化が同時進行する中で子育て・介護と仕事の両立が社会問題化しつつあり、世帯の形も「夫
婦のみ世帯」
「単身世帯(高齢者)
」が増加しています。
TPP(環太平洋経済連携協定)は、2015 年 10 月に参加国で大筋合意に達し、2016 年2月に
調印、3月から国会審議が開始されました。TPPにより食料自給率が現在の 39%から 27%以
下になるとの調査結果もある中で、多くの地方議会からは地域の農業や産業への影響を懸念し慎
重に審議することを求める意見書が出されています。私たちのくらしに大きな影響を及ぼし、日
本のあり方を変えてしまう可能性がある内容だけに、国民に情報を公開し、議論することが重要です。
◇環境
エネルギー課題
温暖化により、世界では干ばつ、洪水、森林消滅、生物の絶滅、海面上昇による国規模の水没、
人口増と相まっての食料危機が問題となっています。水の不足で影響を受ける人は 2025 年には
50 億人になるともいわれています。中国では大気汚染が深刻化しており、日本への影響が心配さ
れています。
フランスのパリで「国連気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議(COP21)
」が開催され、参
加した 196 か国が温暖化を脅威に感じ、協調して対策を講じ、世界全体で低炭素社会、さらに脱
炭素社会をめざしていくことが決まりました。さらに 2020 年以降の地球温暖化対策を発展途上
国を含むすべての国が温室効果ガスの削減に取組むとした画期的な協定(パリ協定)が採択され
ました。日本は先進国として、今後、自ら高い排出削減目標を設定し、それをどのように実現し
ていくのかを世界から問われています。
2016 年4月 26 日、ウクライナ(旧・ソビエト連邦)のチェルノブイリ原発事故から 30 年が経
ちました。ウクライナのポロシェンコ大統領は「世界最悪の人災だった。最終解決には程遠い。
チェルノブイリは平和利用の原子力が時として核兵器同様の危険性を持つことを見せつけた」と
述べました。現在でも残留した核燃料の処理方法は決まっておらず、事故処理は少なくともさら
に数十年を要するとしています。一方で、日本政府は原発の再稼働を急いでいます。福島第一原
発事故処理がすすまない中、鹿児島県の九州電力川内原発が再稼働し、愛媛県の四国電力伊方原
発、関西電力高浜原発も再稼働に向けて準備がすすめられています。地域住民の避難体制など、
解決すべき問題が山積するなかでの見切り発車を懸念する声が絶えません。熊本地震のすぐ隣の
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
鹿児島県には九州電力の川内原発、震源となっている活断層の延長上には四国電力伊方原発があ
ります。川内原発について住民などから影響を心配する声がある中で、政府は「停止の必要はな
い」としています。
2016 年4月から、これまで各地域で決まった1つの電力会社しか行えなかった家庭や小規模事
業所向けの電気の小売販売への新規参入が可能になり、消費者はエネルギーを選択することが可
能となり、パルシステムでもエネルギー政策(減らす・止める・切り替える)の実現に向け、産
地などと連携し、事業所や組合員宅へ太陽光・水力・バイオマスを源にした再生可能エネルギー
での電力供給事業を開始しました。2014 年度の国全体の発電量の内、再生可能エネルギーの比率
は、約 16%まで拡大しています。
神奈川県では、3つの原則『原子力に過度に依存しない。環境に配慮する。エネルギーの地産
地消を推進する。』を計画の基本理念においた「かながわスマートエネルギー計画」を推進して
おり、官民が協力してすすめていくことが重要です。
◇食をめぐる状況
日本の食料自給率は、2014 年度は 39%で先進国の中で最低の水準となっています。また、日
本の主食である米は、この間、主食用米の需要量が減少傾向で推移しています。また、食の安全・
安心を脅かす肥料偽装問題やTPPによる影響、気候変動による作物への影響などが問題となっ
ており、私たち消費者は、生産者とともに日本の豊かな農林畜産業を未来に繋いでいく責任が問
われています。
2015 年4月から新たに施行された「食品表示法」やこれまでの食育の推進の成果と食をめぐる
状況や諸課題を踏まえつつ、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくため、2016 年
度から 2020 年度までの5年間を期間とする「第3次食育推進基本計画」5つの重点課題※4が
作成されました。
食品の基準(添加物・遺伝子組み換え・放射線照射)、食品表示、農薬、食材、肥料偽装、廃
棄食品の不正転売など、食をめぐる問題・課題は生産から流通、法制度へと多岐にわたります。
◇神奈川県の動き
神奈川県の総人口は 2019 年をピークに減少となり、高齢化のスピードは他県より早くすすみ
ます。横浜・川崎・相模原では県内の市町村からの転入も多い一方で、横須賀・三浦・小田原な
ど東京通勤圏最外縁部に位置する市町では減少傾向です。神奈川県民のうち約 41%が横浜市民、
約 16%が川崎市民、約8%が相模原市民です。その一方で、三浦市では人口が5万人を割り込む
など、県西・三浦などでは人口減が顕著になっています。
神奈川県では、子どもの貧困対策推進計画(2015 年度~2019 年度)を策定し、貧困の連鎖に
より経済的に困難な状況にある子どもたちの将来が閉ざされないよう、官公民連携による子ども
の未来を応援するプロジェクト「子供の未来応援国民運動」に取組み、ホームページを開設して
います。
また、神奈川県の政策「いのち輝くマグネット神奈川」の実現に向けて 2012 年3月にまとめ
た「かながわグランドデザイン」は、2014 年に実施計画が終了し、2015 年7月には「プロジェ
クト編」として、5つの柱 ①未病を治し健康長寿、②経済のエンジンによる活力あふれる、③
安全で安心してくらせる、④ひとのチカラを最大限に生かす、⑤個性が輝き魅力あふれる神奈川
とし、それに伴う 23 のプロジェクトを策定し、第2期(2015 年度~2018 年度)の実施計画とな
っています。
<用語説明>
※4 5つの重点課題
①若い世代を中心とした食育の推進、②多様な暮らしを支える食育の推進、
③健康寿命の延伸につながる食育の推進、④食の循環や環境を意識した食育の推進、
⑤食文化の継承に向けた食育の推進
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
基本視点
<全体基調>
2016 年度は、第6次中期計画の最終年度として、中期計画の達成に向けて取組みます。2015 年
度に続き「パルシステムらしさ」を大切にし、事業と活動、生産者やメーカーとともにさらなる事
業成長をめざし、協同の力でくらし課題を解決し、心豊かな地域社会づくりに向けて、社会的に責
任を果たしていきます。また、2020 年ビジョン実現に向けた第7次中期計画を策定します。
<組合員に信頼される事業>
食の安全・安心、くらしの安心が脅かされる状況の中で、「ほんもの実感!くらしづくりアクシ
ョン」の取組みをとおして、持続可能な生産を支え、組合員が安心して利用できる商品、社会づく
りをすすめます。
たすけあい共済事業、福祉介護事業、さらに電力の自由化にともないパルシステムのエネルギー
政策<切り替える>を推進していくために再生可能エネルギーでの電力供給事業※5にグループ
全体で取組みます。
<平和活動の継続>
昨年は、戦後 70 年として平和について歴史から学び、考え、伝える活動に取組み、組合員とと
もに真の平和な社会をつくるために、私たち一人ひとりが考え実行する重要な役割があることを
共有しました。戦後 71 年目となる 2016 年度も、平和な社会をつくるための活動を継続し、広め
ていきます。
<東日本大震災被災者支援>
東日本大震災から5年が経ちました。復興に向けて進みだしている地域がある一方で、未だに 23
万人もの人たちが避難生活を強いられ、被災3県で 69,000 世帯が自宅に戻れない生活を余儀なく
されており、多くの問題が山積みになっているのが現状です。
依然と続く、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染・放射性廃棄物の処分の問題、個人の
生活再建、地域再生の課題など、東日本大震災は過去の災害ではなく、今でも多くの人たちが困難
な状況にあることを、私たちは忘れないよう、支援の継続に取組みます。
<くらしを守る社会的課題への取組み>
パルシステムが大切に取り組んでいる様々なくらしの問題(遺伝子組み換え食品、肥料や食品の
偽装による食の安全・安心、少子高齢化社会・社会保障、安心して子育てができる環境づくり、環
境保全・資源循環型社会の実現、貧困の連鎖による生活不安など)を「くらしの身近な課題」とし
て捉え、組合員とともに学習や啓発に取組みます。
特にTPP(環太平洋経済連携協定)は、私たちのくらしや日本の産業に大きな影響がある可能
性があるとされています。その影響を明らかにし、安全・安心なくらしと地域の産業を守るために、
学ぶこと・発信することに取組みます。
生活困窮は、大きな社会問題のひとつとなっています。生活困窮者の割合は年々増加し、子ども
の6人に1人が貧困状態にあるとされています。また、子どもだけでなく幅広い世代でも増加して
います。生活協同組合として“助け合い・支え合い”の力を発揮できるように取組みます。
<用語説明>
※5 電力供給事業
パルシステムグループでは、再生可能エネルギーによる電力供給事業を 2016 年 10 月、パルシステム
東京から開始し、電気料金は、一般的な家庭の契約(従量電灯B)と同額に発電産地応援金(108 円)
がプラスされる予定。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
<健全な事業活動と組織運営・信頼される組織基盤づくり>
厳しい経済競争や社会問題が取り巻く中、社会的な課題を解決し、組合員、地域のくらしを守る
事業活動・運動の健全性を高めるとともに、多様な組合員の参加・参画づくり、人材育成、職員採
用の強化、災害や緊急時の対応など、組織運営の改革や整備を行い、信頼される事業活動・運営を
行う組織をつくります。
テーマ
神奈川に協同の輪を広め、地域から必要とされる生協をつくります。
事業活動方針
1.地域社会への貢献
東日本大震災の復興支援の継続や地域の課題に、福祉の視点を持ちながら、行政や他団体と連
携し、事業活動・組合員活動を通して、安心してくらせる地域コミュニティづくりに取組みます。
(1)東日本大震災及び原発事故被害者のための支援と被災地の現状を伝える活動の継続
①東日本大震災の被災者支援を継続し、組合員が参加できる宮城県南三陸町を中心としたスタディツ
アーや新たに取組む福島スタディツアーを通じて、震災の風化を防ぎ、被災地の現状を継続して伝
えます。
②『福島の子ども保養プロジェクト』を継続し、より保養の場が必要とされる福島の子どもたちに提
供します。
③東日本大震災の復興支援や被災者支援を行う他の団体との連携や活動への協力を行います。
(2)地域での活動の場づくり
①地域で活動する組合員を増やし、組合員活動の輪を広げます。
②組合員による講師活動とたすけあい活動を地域に広げます。
③くらしの中の課題解決に多くの組合員が地域で参加・参画しやすい場づくりをすすめます。
④パルシステム神奈川ゆめコープの存在が地域から見え、組合員がより身近な地域で活発に活動でき、
高齢者や子どもたちなどの地域の人々が気軽に集える「活動拠点」を一部の地域に設置します。
(3)地域の団体、NPO団体と連携し、地域に貢献する事業活動
①市民活動応援プログラムを通じ、地域の団体との連携を深めます。
②地域の団体と連携し、食と農の学びや子育て・福祉・環境を中心とした地域活動を推進します。
③地域の団体とのネットワークを深め、地域の課題をともに解決できる仕組みをつくります。
④小田原地域の森林・林業、農業、漁業の地域再生の取組みを地域の団体とともに取組みます。
(4)安心してくらせる地域の基盤づくり
①産地交流を通じて関係の深い宮城県の市町村及び農業協同組合との災害協定を締結します。また、
地域の自主防災組織づくりに参画し、地域防災の学習、教育を行います。
②地域の見守り活動に積極的に取組みます。
③地域で模範となる安全運転に取組み、交通事故を抑制します。
④未配達エリアの商品供給を継続して検討します。
⑤安全なまちづくりをすすめるために地域連携を深めます。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
(5)地域に密着した福祉サービスの基盤構築・安定運営・サービスの拡充
①誰もが安心して地域でくらせるよう、すべての事業活動において福祉の視点をもった運営をすすめ
ます。
②介護保険法改正に伴い、サービス利用対象から外れる要支援者への対応を地域包括支援センターや
行政などと連携をすすめます。
③パルシステム事業と福祉事業の連携を強化し、サービスの拡充をすすめます。
④介護保険法改正に伴い、福祉事業の経営改善の検討を継続します。
⑤障がい者等からの相談に対応出来るサービスを開始します。
2.活動政策の推進
社会的な問題、身近なくらしの問題を7つのテーマ[食、農、福祉、子育て、環境、生活、平和・国際活
動]とし、事業活動や組合員、諸団体と連携して、問題解決に取組みます。
(1)〔食〕 ほんものの食の価値を伝える
①健康やくらしを守る食べ物の選び方について学び、伝えます。
②遺伝子組み換え、添加物について学び、食の未来について考えます。
③「食品の表示」の関心を広めます。
④「放射能」について、引き続き現状を知り、伝えます。
(2)〔農〕 産地の取組みを交流を通して、より深く知り、伝える
①組合員と生産者が交流し、学びの場をつくります。
②産地の取組みや現状について交流を通じて知り、伝える活動を行います。
③県内及びパルシステムの産地との相互理解を深め、産地の取組みを伝えます。
④「農商工消連携」※6の取組みと価値を広く伝え、また新しい事業モデルを構築します。
(3)〔福祉〕 地域福祉の広がりと理解を深める活動に取組む
①社会福祉協議会などと連携し、地域で必要とされる福祉活動を行います。
②子育て層が交流できる機会を増やし、年代別のくらし課題解決に向けた取組みをすすめます。
③くらし助け合い「ゆいねっと」による「くらし支え合い活動(インフォーマルサービス)」を広げ
ます。
④「ゆいねっと」の活動をより地域のニーズに合わせ、積極的にすすめます。
⑤子育て活動とシニア層の支援活動を複合的に行う仕組みづくりに着手します。
⑥シニア層が気軽に集える場づくりなどを行い、社会的に孤立しない地域づくりをすすめます。
(4)〔子育て〕 地域・社会全体で子育てができる環境づくりをすすめる
①子育て中の親の“居場所づくり”を地域の団体と連携してすすめます。
②子育て中の組合員がインターネット上で新たに“集える”場の提供を研究します。
<用語説明>
※6 農商工消連携
農林水産業者と商工業者、それぞれの有する経営資源を互いに持ち寄り、新商品・新サービスの開発
等に取り組む農商工に、消費者である当組合が参加し、神奈川県内のパルシステム産直産地やメーカ
ー(ジョイファーム小田原、神奈川中央養鶏農協、豆腐製造の共生食品㈱、納豆製造の㈱カジノヤ)
で 2012 年より開始され、未利用資源の地域内循環や商品作りをめざす取組み。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
(5)〔環境〕 次世代の地球環境を今のくらしから考える
①原発再稼働に反対し、パルシステムエネルギー政策【減らす】【止める】【切り替える】をより一
層促進します。
②省エネルギーの取組みをさらに広め、事業所においてもCO2排出量削減をすすめます。
③パルシステムの電気の小売り開始に向け、電力自由化や再生可能エネルギーについての学習会、啓
発活動を積極的に行います。
④産地やメーカーが行う、再生可能エネルギーを推進する取組みを支援します。
⑤3R運動をさらに推進し、啓発活動を積極的に行います。
⑥リサイクルペットボトル※7(100%再生資源を活用)「富士の天然水(PET)」の 100%回収を
めざします。
⑦環境商品の普及と組合員の身近な環境活動を広めます。
⑧神奈川県の森林・林業についての理解を深め、森林保全に向けた取組みを推進します。
⑨森林の大切さを伝えるため「ウッドスタート宣言」※8を行います。
(6)〔生活〕 豊かなくらしのための学びと支え合いの社会をめざす
①消費者問題を考え、消費者教育の推進に取組みます。
②健康から始まる心豊かな生活を広めます。
③原発事故による放射能問題に取組み『子どもの甲状腺エコー検診』を継続して実施します。
(7)〔平和・国際活動〕 平和を学び・考え・伝える
①憲法について学び、話し合うきっかけや機会をつくります。
②平和・国際活動を伝えるイベントを地域の団体と連携して開催します。
③「平和を伝える活動」に取組みます。
④貧困の現状、民族・文化・宗教・価値観など多文化共生について学ぶ場をつくります。
<用語説明>
※7 リサイクルペットボトル
2016 年2月から供給開始の再生資源を 100%活用したパルシステムのPB商品「富士の天然水(PE
T)
」。リサイクルペットボトルの製造から供給、回収、再生までを一貫して行う、国内初の取組み。
※8 ウッドスタート宣言
認定NPO法人 日本グッド・トイ委員会が実施しているもので、ウッドスタートとは、「木」を真ん
中においた、子育てや全ての人たちが木の温もりを感じながら、楽しく豊かに暮らすことや、全国の
森林資源の活用と地方創生に結びつける取組みを、自治体や企業、幼保育園が展開。ウッドスタート
宣言をするには、3つの条件があり、当組合でもその条件を満たしたため、ウッドスタート宣言を行
うことになった。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
3.商品・事業活動の強化
多様な世代の組合員ニーズに対応し、安心して利用できる商品づくりと商品の価値を広め、信頼され
る事業活動により、供給高 457 億円、県内組織率 7.9%をめざします。
(1)商品を通じた組合員のくらしを支える取組み
①組合員が開発した商品の利用普及活動をすすめます。
②「ほんもの実感!くらしづくりアクション」に組合員・役職員が一体となり取組み、パルシステム
ブランドの商品価値を伝えます。
③神奈川県内の生産物の取扱い品目を増やし、地産地消に取組みます。
④組合員が安心して利用できるよう商品管理を強化します。
(2)くらしに役立つ事業活動の推進
①組合員の声にもとづいて改善要望の具体化を行い、業務改善を積極的にすすめます。
②カタログの媒体改革としてチラシの再編などを行い、個人別に適した情報提供の仕組みを構築しま
す。
③多様な世代に対応した、より利用しやすいインターネット、カタログ、広報、営業、商品で総合的
なプロモーション企画を推進します。
④組合員の多様な生活スタイルに応える配送形態として、「夜間配送」や「エリア担当制」をすすめ
ます。
⑤組合員のくらしに役立つ、たすけあい共済を中心とした共済の良さを伝えます。
⑥子育て世代を中心とした仲間づくりを積極的にすすめ、県内組織率 7.9%をめざします。
4.人材の育成
中長期的な教育・育成プランをつくり、個々の可能性を引き出し、組織や地域社会に貢献することを
喜びと感じられる人材を育成します。
(1)組合員・役職員の人材育成
①自ら考え行動する人材を育成します。
②パルシステムグループの役職員が共同で行う研修「パルカレッジ」を活用した独自育成プログラム
運用を取り入れ、効果的な教育を実施します。
③総代向けに協同組合やパルシステムの取組みを学ぶ機会をつくります。
④組合員・役職員の研修をさらに体系的に充実させ、地域に貢献できる人材を育てます。
⑤女性職員が活躍できる機会をつくります。
5.組織基盤の強化
社会環境の変化に対応できる組織構造の改革、整備を行い、組合員の願いを実現し、信頼される事
業活動を行います。
(1)地域課題の解決に向けた組織づくり
①組合員の声を組織運営に反映する仕組みをつくり、業務改善や事業活動方針作りにいかします。
②機関誌やホームページなどの広報媒体を組み合わせ、より分かりやすい広報を行います。
③パルシステムグループと連携して、研修を開催し、介護人材の確保に取組みます。
④「パルカフェ(地区会)」を積極的に開催し、地域の「声」を集めます。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
(2)組織を支える力の向上
①将来の事業や活動を支える職員の採用を強化します。
②雇用の定着化をめざし、業務改革をすすめます。
③事業成長に必要な経営情報を収集・分析し、中期的な経営戦略を組み立てます。
④労務課題の改善に取組みます。
⑤男女共同参画・ワークライフバランス・次世代育成支援を推進します。
⑥障がい者雇用と就労支援を促進します。
⑦将来に向けて、配送センターの配置計画を策定します。
(3)自然災害への備え
①災害リスクへの適応力・事業継続の向上を図ります。
(4)内部統制システムの強化と発展
①事業活動における重大なリスクの抑制や、業務の効率化及び有効性を評価し、内部統制を強めます。
②内部統制推進機能の強化を目的に総合マネジメントシステムをさらに発展させます。
③総合マネジメントシステムについて外部評価の仕組みを整備し、ISO14001 認証を返上します。
④コンプライアンス及び行動規範を遵守できる教育、啓発活動を継続的に実施します。
(5)2016年度の総事業収入473億円、事業と活動の原資となる経常剰余7.1億円をめざします。
(6)第7次中期計画策定
①第7次中期計画(2017 年度~2020 年度)を策定します。
行政機関への届出の際、訂正を求められた場合議決の本旨を変えない字句の訂正等は理事会に一任
願います。
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件
■ 2016年 度 予 算 ■
(単 位 : 千 円 )
費 目
供給高
パル個人供給高
パルグループ供給高
供給原価
パル個人供給原価
パルグループ供給原価
供給剰余金
パル個人供給剰余
パルグループ供給剰余
利用事業収入
共済手数料収入
受取手数料収入
パルシステム基本手数料
その他事業収入計
福祉事業収入
福祉事業費用
福祉剰余金
総事業収入
総事業剰余金
役員報酬
職員給与
職員賞与
通勤交通費
契約職員給与
定時職員給与
定時職員賞与
定時職員交通費
法定福利費
厚生費
退職給付費用
役員退職給付引当繰入額
賞与引当繰入額
派遣人件費
人件費計
委託運搬費
委託料
ポイント付与費
広報費
事業広報費
消耗品費
包装費
事務用品費
電算消耗品費
車両運搬費
修繕費
施設管理費
衛生費
水道光熱費
保険料
研修費
採用費
調査研究費
会議費
諸会費
渉外費
通信費
旅費交通費
教育文化費
組合員活動費
貸倒引当繰入額
雑費
減価償却費
地代家賃
車両リース料
リース料
租税公課
物件費計
分担費計
事業経費計
事業剰余金
受取利息
受取配当金
利用割戻し
雑収入
事業外収入計
事業外費用計
経常剰余金
2016年 度 予 算
45,774,063
44,016,784
1,757,279
35,190,002
33,839,383
1,350,619
10,584,061
10,177,401
406,660
46,847
213,084
19,717
1,033,324
1,312,972
237,607
265,488
-27,881
47,324,642
11,869,152
87,000
780,582
130,250
49,494
251,360
661,674
4,840
31,308
264,000
49,356
94,848
5,628
138,815
16,410
2,565,565
3,045,307
419,244
150,013
366,269
120,927
278,765
1,815
31,060
30,037
33,241
4,613
21,658
18,322
97,785
16,692
15,714
24,552
23,639
13,463
25,479
15,045
86,007
27,685
114,758
22,596
18,000
9,119
188,062
325,979
16,126
107
30,260
5,592,339
3,076,225
11,234,129
635,023
23,475
6,168
30,940
28,439
89,022
8,615
715,430
摘 要
個人宅配の供給高
グループの供給高
商品の仕入原価額
個人宅配の仕入高
グループの仕入高
個人宅配の供給高から仕入高を差し引いた金額
グループの供給高から仕入高を差し引いた金額
パルシステム連合会サービス利用事業の手数料収入、コープゆめカレッジ受講料などの収入
コープ共済各種手数料収入
振 込 入 金 者 及 び 未 収 入 金 連 続 2回 の 方 か ら の 手 数 料 収 入
パルシステム基本手数料収入
福祉事業の収入
福祉事業に掛かる費用
福祉事業収入から福祉事業費用を差し引いた金額
供給高+その他事業収入計+福祉事業収入
供給剰余金+その他事業収入計+福祉剰余金
正規職員の給与 正規職員と契約職員に支給する賞与の予定額
役員、正規職員、契約職員の通勤交通費
定時職員に支給する賞与の予定額
社会保険料(厚生年金・健康保険・労働保険)の事業主負担などの費用
健 康 診 断 料 ・制 服 費 ・ 職 員 に 対 す る 各 種 補 助 な ど の 費 用
職員の退職金にかかわる費用 役員の退任慰労金にかかわる費用
2017年 度 の 夏 季 に 支 給 す る 職 員 ( 正 規 ・ 契 約 ・ 定 時 ) 賞 与 の 予 定 額
配送委託料、メール便・宅配便などの費用
代 金 引 落 手 数 料 、 講 師 料 、会 計 士 な ど の 業 務 委 託 の 費 用
ポイントの付与にかかわる費用
生協を地域へ広報する費用
組合員に対して商品などの宣伝に要する費用、共済の加入促進費用
ドライアイスなど業務用消耗品の費用
保冷用シート、セーフティカバーなどの費用
コ ピ ー チ ャ ー ジ 料 、コ ピ ー 用 紙 代 、文 房 具 、机 ・椅 子 な ど 費 用
LAN使 用 料 、 パ ソ コ ン レ ン タ ル 料 な ど 電 算 関 係 に か か わ る 費 用
車両燃料、自動車保険、車検などの費用
施設の修繕などにかかわる費用
施設の保守管理、警備などにかかわる費用
施設の清掃、消毒などにかかわる費用
火災保険、行事保険などの保険料
役職員の教育研修にかかわる費用
職員の採用にかかわる費用
書 籍 ・新 聞 な ど の 購 入 費 用 、調 査 な ど に か か わ る 費 用
機 関 会 議 ・ 業 務 会 議 の 実 施 、外 部 会 議 参 加 な ど に か か わ る 費 用
加盟する外部団体の会費
慶弔見舞、接待など業務上必要な渉外にかかわる費用
電話、郵便などにかかわる費用
公共交通機関利用、高速道路利用、駐車場利用など業務上の移動にかかわる費用
機関誌発行、商品展示会開催など組合員の教育・文化活動にかかわる費用
組合員活動組織の運営、諸活動にかかわる費用
債権の貸倒れに備えるための費用
被災地・被災者への支援活動・寄付、災害対策、関係諸団体への協賛などの費用
償 却 資 産 (有 形 ・ 無 形 ・ リ ー ス 資 産 ) な ど の 償 却 費 用
センター、福祉事業所の賃借、駐車場の賃借などにかかわる費用
OA複合機、印刷機のリースにかかわる費用
固定資産税(土地・建物・償却資産)、事業所税、印紙税などの費用
パルシステム連合会への業務委託にかかわる費用
人 件 費 ・物 件 費 ・分 担 費 の 合 計
総事業剰余金から事業経費計を差し引いた金額
パルシステム連合会預け金利息、金融機関の預金利息
関係会社などへの出資に対する配当金
パルシステム連合会、中央労金などからの利用割戻し金
協 力 会 社 へ の 貸 与 駐 車 場 使 用 料 、 自 販 機 手 数 料 、 2年 経 過 後 み な し 脱 退 出 資 金 な ど
事業剰余金+事業外収入
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第2号議案 2016年度事業活動及び予算承認の件