中長期ボランティア・エクアドル ALE・Hacienda Tranquila 事業報告書 ~目次~ 1) 2) 3) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 10) 名前 はじめに 事業の概要 参加者・協力者 活動期間中の日程 事業のねらい、ワーク、その成果 ワーク以外の活動 生活 自分自身の変化 提案と今後の構想 終わりに :有村麻利 活動期間:2012 年 1 月 28 日〜3 月 16 日 1)はじめに このプロジェクトは、 ガラパゴスの環境保全を第一の目的として活動している団体が主催しているものだ。 多い時で 20 名、少ない時で 6 名ボランティアが、生活を共にしながら一緒に活動を行った。 活動内容は、主に3つの柱に分かれており、 ①外来種から在来種を保護するための活動 ②島の子どもたちを招いての環境教育 ③知的・身体障害を持った子どもたちへの馬を使ったセラピーの実施 であるが、7 割ほどは①の活動を実施した。 オノやナタを用いた原始的かつ地道な活動で、かなり体力を使うので、最初の頃はついていくのに必死だっ たが、環境保護というのはひとつひとつの地道な作業の積み重ねであり、とても根気のいるものであること を実感した。 団体の活動はまだ手探りのところもあり、今後はいかに地元の人を巻き込みながら活動していくかがキー だと感じた。私は 7 週間というとても短い期間の活動ではあったが、少しでもガラパゴスの自然保護に加担 できたことを嬉しく思った。 2)事業の概要 2-1)事業名 2-2)開催期間 中長期ボランティア・エクアドル Hacienda Tranquila 2012 年 1 月 28 日~3 月 16 日(49 日間) 2-3)開催地 エクアドル・ガラパゴス諸島の、サン=クリストバル島。 Hacienda Tranquila という、港からタクシーで 25 分ほどの高地に滞 在。 2-4)事業目的 ① 島の固有植物、在来植物を保護する/増やす ② 島の子どもたちへの環境教育 ③ 知的・身体障害をもった子どもたちへの馬セラピー 2-5)参加者 *共に活動したボランティア:9 ヶ国 50 名 (出入りが激しかったので期間中出会った人が全部で約 50 人というこ と) *様々な形で参加した住民 :約 10 名 詳しくは、 「3」参加者と協力者」を参照 2-6)ワーク内容 ① 外来植物の除去(ほぼ毎日) ② 島の小学校の子どもたちに、島の固有種についてミニレクチャー ③ 馬に子どもを乗せて、敷地内を一緒に歩く 2-7)他の活動 ・農林水産省との共同作業(有機コーヒーの栽培のヘルプ) ・近くの小学校の清掃 ・荒れ地を農地にする作業の手伝い ・ビニールハウスで育てている苗木の世話 2-8)生活方法 宿泊:団体の宿泊施設 食事:自炊(ガスコンロが 8 口あるキッチンあり。ただし、オーブン、 電子レンジはない。 ) 2-9)言語 2-10)協力 共通語は英語。現地責任者や地元の人と話す時のみスペイン語を使用。 エクアドルの農林水産省。 サン=クリストバル島の農家。 地域の家族。 3)参加者・協力者 3-1)共に期間中活動したボランティア(女 約25名:男 約15名) ※私がいた間、かなり出入りが激しく、みんなの滞在期間もまちまち。大半が3週間ほどだった。 また、下記のメンバー以外に、イギリスの学生の団体が2グループおり(11人と14人のグループ)、それ ぞれ2週間滞在した。 姓名:難しい場合ふりがな Jessica Paula Daniela Jill Yan Ernst Lale Kelly Jessica Flavio Peter Nora Caitlin 在住地 U.S.A Spain Germany Canada Germany Austria Germany Canada U.S.A Switzerlan d Germany Germany U.S.A 性 W W W W M M W W W M 年 30 18 24 28 18 66 19 19 25 26 職業(専攻) 会社員 学生 学生 会社員 学生 定年退職後 学生 学生 会社員 会社員 M W W 34 会社員 28 会社員 28 会社員 3-2)協力団体・協力者の方々 ガラパゴス・サンクリストバル島にある、Hacienda Tranquila が受け入れ団体。 http://www.haciendatranquila.com ・HaciendaTranquila の代表であり、かつ最高責任者:Geovanny Sarigu(ジョバンニ) ・現地責任者:Carlos, Paul, (Edgal) ・農林水産省 ・地元の住民 備考 4)開催中の日程と出来事 4-1)大まかなスケジュール ※月ごとにワークが決まっているわけではなく、毎日異なるワークを実施。 月 活動内容 重点事項 2 ・子どものサマースクールの受け →私たちの活動を理解してもらう & 入れ(島の小学校の子どもたちに、 こと、固有植物を守る大切さを学 3 島の固有種についてミニレクチャ んでもらう ー) ・外来植物の除去/固有種植物の →雑草とりなど 保護 ・馬セラピー(馬に身体/知的障 →馬を触れ合うことで感受性を高 害を持った子どもを乗せて、敷地 め、心をオープンにさせる 内を一緒に歩く) ・野菜農園の手入れ ・農林水産省との共同作業(有機 →農林水産省の方とのコミュニケ ーション コーヒーの栽培のヘルプなど) ・近くの小学校の清掃 ・荒れ地を農地にする作業の手伝 い ・ビニールハウスで育てている苗 木の世話 出来事 →子どもたちはスペイン語 しか話さないので、コミュ ニケーションを取るのが大 変 4-2)基本的な週間スケジュール 曜日 月 予定 ワーク 火 ワーク 水 ワーク 木 ワーク 金 ワーク 土 休日 日 休日 活動内容 活動内容については、 4-1 を参照 自由 (他の島へショートトリ ップなど) 4-3)基本的な1日のスケジュール ※午前、午後のワーク時間以外は、基本的に自由 です。 ただ、スーパーやインターネットカフェがある町 へはタクシーを利用しないと行くことができない ので、みんな昼休みは、昼寝したり読書したりと Hacienda にとどまっていました。 午後のワーク後は、町へ行きたい人は 17 時ころ タクシーで出かけていました。 残った人たちは、思い思いにゆっくり過ごしてい ました。 ワークは基本的に力作業。 かなりきついです。 最初のころは慣れてないこともあり、バテてまし た。 ナタやクワを使って作業することが多いので、最 後の方は、エキスパートみたいになります。 高地にあるので、夜は冷えますが、晴れてる日の 日中は日差しが強く、暑いです。 日焼け止めクリームは多めに持参することをお勧 めします。 時間 6:30 起床 8:00 作業前ミーティング 8:30 午前中のワーク開始 11:30 ~ 14:00 14:00 昼食&昼休み 16:00 午後のワーク終了 16:00 ~ 19:00 19:00 シャワー 町で買い物(たまに) 23:00 行動 午後のワーク開始 夕食 団らん 就寝 5)事業のねらいワーク、その成果 5-1)本事業のねらいと背景 本事業の目的は主に、以下の3つである。 ① 島の固有植物、在来植物を保護する/増やす ② 島の子どもたちへの環境教育 ③ 知的・身体障害をもった子どもたちへの馬セラピー それぞれの背景は、以下の通りである。 ① ガラパゴス諸島は、年々増える観光客によって 外来種(代表的なのは、ブラックベリーMora と、グアバ Guayaba)が増え続け、島固有の植 物を脅かす存在になっている。すでに絶滅して しまった植物、絶滅の危機にさらされている植 物が多々あり、その状態に危機感を抱いた Hacienda Tranquila は 、 Manzanillo, Matazarno, Lecocarpus Darwinii, Palo Santo などの植物の保護に力を入れている。特に Manzanillo はガラパゴスゾウガメの好物であ るリンゴをつけるため、ゾウガメの保護という 観点でも大切な植物である。具体的には、それ らの苗を採集し(放っておくと、雨などが原因 で 10%ほどしか成長しないため) 、敷地内にに あるグリーンハウスで、約8週間育て、それを 自然に戻すという活動を実施している。また、 雑草抜きといったメンテナンスも欠かさない。 その他には、外来種を根っこから引きぬいたり、 ナタで切ったりという作業も実施している。 豊かとは言えず、現地に住んでいながらガイド と共にしか入場できない国立公園にはなかなか 行くことができないとか(ガイドを雇うのは高 いため)。そのため、島の小学校の子どもたちを 無料で招いて、島の自然について学んでもらお うというのが、この目的である。丘に登って、 海を眺め、美しい空や海を再確認してもらった り、外来種や固有種について説明したりする。 ③ Hacienda は5頭前後の馬を所有する。普段は牛 を追いかけたり、荷物を運んでもらったりする のに使っているが、この馬を使ってもっと地域 貢献できないかと考え、行きついたのが「馬セ ラピー」である。セラピーとして特別に訓練さ れたわけではなく、ごく普通の馬である。毎週 1 ~2 回、障害を持った子どもの家族がやってき て、子どもを馬に乗せて、敷地内を往復する。 ② ガラパゴスは世界的に見ても貴重な自然の宝庫 だが、約 23000 人の人口がおり、彼らにとって ガラパゴスは「生活の場」でしかない。彼らは、 5-2)ねらい①への成果 地道な作業で、一日で成果が出るわけではないが、それでも毎日少しずつ外来の植物を除去することで、目 に見えて減っていった。しかし、これを継続して除去していくことが必要。 Manzanillo は、過去のボランティアのおかげもあり、かなり数を増やし、大きく成長していた。 5-3)ねらい②の成果 子どもたちの感想をじかに聞けてないので、成果は分からない。 ただ、世界各国からボランティアが集まり活動しているということだけでも、子どもたちはとてもびっくり していて、 「ガラパゴス諸島」について考えるきっかけになったのではと期待している。 5-4)ねらい③への成果 私がいた2カ月の間では、子どもの変化を感じ取ることはできなかったが、母親がとても感謝してくれてい て、それだけでもとても嬉しかった。 6)ワーク以外の活動 6-1) スーパーやお店、インターネットカフェのある町へ はタクシーで約 20 分。毎日、行きたい人とでタクシ ーに乗り、洗濯を頼みに行ったり、インターネット したり、夜ごはんを食べたりした。 毎日行く人もいたが、 私は週に3回ほど行っていた。 6-3) 月に一度、 「フィルム・ナイト」というのを企画して くださり、みんなで映画を一緒に見た。私がいた時 は”CRUDE”というエクアドルの石油採掘に関する 映画だった。 6-2) 6-4) 毎週、水曜日か木曜日の午前中ワーク終了後に、み んなでピザを作った。この日のみ外のオーブンを用 意してくれるので、ピザでも作ろうというアイディ ア。参加は任意で、材料費は参加者で負担しなけれ ばならないが、週1回のイベントのような感じでみ んな楽しみにしており、だいたい全員で和気あいあ いとピザ作りをした。 週 末 は 、 サ ン = ク リ ス ト バ ル 島 で の 1-day Snorkeling tour や、Hiland tour に参加したり、他 の島へショートトリップに行ったりした。 他の島へ行くときは定期船を利用。 私は利用してないが、町にある旅行会社が 3 日間や 4 日間のツアーも企画しており、他のボランティア の人の中には、そのツアーに参加した人もいた。 7)生活 7-1)宿泊施設 5~6 人部屋が 2 部屋、 4 人部屋が 1 部屋、 3 人部屋が 2 部屋、 2 人部屋が 1 部屋ある。 ベッド、ライト、電源、棚という必要最低限しかな いシンプルな作りだが、特に問題なかった。 7-2)食事 基本的に自炊。キッチンは共同。冷蔵庫が2つ、4 口コンロが2つあり、フライパンやお鍋、おたま、 ボールなどの調理器具は揃っている。ただし、オー ブンや電子レンジはない。ホットサンドメーカー、 トースターが1つずつある。食料は全て自分で買わ ないといけないが、過去のボランティアが残した調 味料などは自由に使っていい。 7-3)シャワー シャワー&トイレ&洗面所が別棟になっていて、そ れが2棟ある。シャワーは温水だが、水量と温度は 調節不可で、量も多くない。はじめはとても不便に 思ったが(水の量が多くないので、特に髪を洗うの が大変) 、慣れると平気。 2012 年 3 月終りに、シャワー棟がもう一つ増設さ れるとこのこと。 7-4)その他 ・共有スペースとしてリビング、 ダイニングがある。 建物全体にクモが多く発生するので、クモ嫌いには つらいかもしれない。。。 ・Hacienda では牛 15 頭くらい、馬 5 頭くらい、ロ バ 1 頭、鶏 15 匹くらいを飼っている。たまに鳴き 声がうるさいが、慣れる。 ・日本の電化製品は使用可。 ・町に洗濯屋がいくつもあって、だいたい 1kg で 1.5 ドルくらい。私を含め、みんなその洗濯屋を利用し ていたが、Hacienda にも洗濯場があり、そこで手 洗いしても良い。 ・町にはいくつもインターネットカフェがあるが、 インターネットがとにかく遅い。スマートフォンや ノートブックなどがあれば、wifi を提供しているカ フェなどでインターネットが可能。 ・サン=クリストバル島は、日曜日はほとんどのお 店が閉まったり、長い昼休みを取ったりしており、 少し不便だった。 8)自分自身の変化 8-1)モチベーションの変遷 上がって、下がって、また上がってという谷曲線。 8-2)モチベーションの変化の分析 最初は、右も左も分からない状態で、とにかく必死。 2~3週間目は、意思疎通の難しさを実感したり、ボランティア同士の考え方の違いや現地責任者との意識 のギャップなどに悩んで、やる気をなくす。 4週間目に入ったころくらいから、割りきる部分、話し合う部分などを自分で分類し、みんなと意見交換す ることでうまく気持ちを切り替えることができた。 また、後半のボランティア達とが気が合ったのもあり、個人的に楽しめたのも最後の方。 8-3)活動を通じて得たことや気づき いろいろなボランティアがおり、みんながみんな、自分と同じ考えや動機でガラパゴスに来ているわけでは ない。 その中で、自分の軸を貫きながらワークをするのはすこし困難だと感じた。 自分はなぜ来たのか、どういう働き方をしたいのか、何が第一目的かをその都度考えることは大切だと思っ た。 それと同時に、ワークの内容だけではなく、参加者とだんらんしたり、一緒に旅行に行ったりすることも私 にとってはとても貴重で大切な思い出である。 8-4)今後どのようにこの経験を生かしていくか 直近の目標としては、まず私の体験を一人でも多くの人に話すこと。ガラパゴスについて、ボランティアに ついて、見たものやったことを周りの人に教えることで、何かを感じとってくれると嬉しい。 微々たるものではあったが、今回ガラパゴスの自然保護に関わることができ、失うことの容易さ、守ること の大変さを実感した。それと同時に、改めて自然の偉大さ、素晴らしさを実感した。何年後になるかは分か らないが、いつかガラパゴスを再訪した時、今回見た景色と同じものをもう一度見たいと強く思った。それ まで自然が美しいままであるには、私たち一人一人の「自然を大切にしたい」という思いが必要だと思うの で、これから先、常にそのことを頭に残していたい。 9)提言と今後の構想 Hacienda Tranquila では、 一人の最高責任者(ジョバンニという名前の男性。英語に堪能。 ) と 二人の現地責任者(パウルとカルロス。ガラパゴスで生まれ育つ。英語は勉強中。) がおり、ジョバンニはミーティングでワークの説明をしたり、私たちの質問に答えてくれたりしたが、ワー クにはあまり参加しない。 パウルとカルロスは、私たちと一緒にワークをし、指示をくれる人であるが、特にカルロスは英語をあまり 話せず、ボランティアとなかなかコミュニケーションをとれない。 ボランティアは、スペイン語を話せる人は少数派だったため、現地責任者とボランティアの間で、意思疎通 がうまくできず、いらいらしたり、間違ったりということが頻繁に起きていた。 また、パウルとカルロスは、ワークへ取り組む姿勢が真面目とは言い難く、それに対して不満を持つボラン ティアも少なくなかった。 このワークは何のために実施し、どういう効果があるのか、ということを十分理解したうえでワークをする ことはとても大切であるし、それによってボランティアの取り組み方も変わってくると思うので、もっとミ ーティングの回数を増やすなり、スペイン語を勉強するなりして、理解を深める必要があると感じた。 作業をするうえで、スペイン語は必要ないが、話せた方が 100 倍いい! 10)おわりに 「ガラパゴスの自然保護」という長い目で見ると、私が滞在した7週間というのはとても短い。でも、その 中で現地の人と触れ合い、ガラパゴスについて学び、ワークに参加できたことは、とても嬉しかったし、少 しでも役に立ってるという自信にもつながった。 何と言っても、すぐ近くのビーチで、人間とアシカが一緒に泳いでいたり、ウミガメが目の前を悠々と泳い でいる光景は、印象的だった。 動物と人間が共存している場所。 私にとってとても衝撃的だった。 だから、この自然をずっとこのままで残したいと強く思った。 ただ、自然保護というのは莫大な時間と労力とお金がかかり、現地の人を見ていると日々の生活を送るのに 必死で、そこまで手が回らないという状況のように見えた。 (そもそも、彼らにとってはそれが当たり前で、”貴重である”という感覚はないようだが。 ) しかし、ゴミの増加、観光客の増加、地球環境の変化などで、島の自然が失われつつあるのも事実。 ゆくゆくは、海外からボランティアを受け入れなくとも美しい自然を美しいままで残すために、地元の住民 だけで活動していくのが理想的なので、そのためにもエクアドル政府を筆頭に、自然保護にもっと力を入れ てほしいと強く思った。 ガラパゴスは、エクアドル本土とはまた違い、のんびりゆったちと時間が過ぎる場所だった。 島の住民みんなが家族、という雰囲気があり、それが私にはとても心地よかった。 吸い込まれそうな青い空、飲み込まれそうな青い海、そして愛きょうのある動物たち。 この島を発つ時、100年後も同じ姿でいることを願わずにはいられなかった。 またいつか絶対訪れます!!
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