独立行政法人国立国語研究所「外来語」委員会 議事要旨 第21回 1.日時 平成17年12月22日(木)14:30∼16:30 2.場所 国立国語研究所大会議室 3.出席者 杉戸委員長,水谷副委員長,相澤委員,甲斐委員,古賀委員,佐藤委員,柴田委員, 関根委員,田中委員,鳥飼委員,松岡委員,山崎委員 4.会議の概要 (1)第4回最終発表について ・最終発表原案に基づき,中間発表からの変更が大きい語を中心に,語別に提案内容を審議 した。 (2)総集編について ・総集編を出版物として市販することが提案され,了承された。 ・その上で,編集方針や盛り込むべき内容について,提案,検討を行った。 ・第 1 回提案で取り上げた「ユニバーサルサービス」の言い換え語を,総集編では,現在の 実態に合わせて「全国均質サービス」から「全国一律サービス」へ変更することとした。 5.会議での主な意見 ①第4回最終発表について イ.「センサス」の言い換え語を「大規模調査」から「全数調査」に変更することについて ・厳密には全数を対象とした調査でなくても,大規模に行う調査を指して「センサス」と呼んで いる場合がある。その実態に合わせて「大規模調査」を言い換え語に残すべきではないか。 ・「センサス」という語の厳密な意味を表す「全数調査」と,使用実態を考慮した「大規模調査」 の両方を,言い換え語として併記する。 ロ. 「リードタイム」の言い換え語を「所要時間」から「事前準備期間」に変更することについて ・「準備」は「事前」の意味を含む。 「準備に必要な時間」と考え「準備所要時間」または「準備 所要期間」としてはどうか。 ・その間に行うことは「準備」だけとも限らない。「事前所要時間」が良い。 ハ.「リバウンド」の言い換え語を「揺り戻し」から「反動」に変更することについて ・「反動」では意味がずれる。「揺り戻し」が適当である。 ・「揺り戻し」は若者にとって分かりにくく,「リバウンド」を「揺り戻し」と言い換えることへ の反対意見の中には,「揺れ」との誤解もあるようだ。 ・ 「リバウンド」は,主に高齢者にとって分かりにくい語であり,高齢者にとって「揺り戻し」は 決して難解な語ではない。「反動」に抵抗を感じる高齢者が多いことも予測され, 「揺り戻し」 とするのが妥当であろう。 ニ.その他 ・今回の修正案で, 「オペレーション」のその他の言い換え語に,防衛庁からの意見を受けて「運 用」が加えられたが,防衛庁が提案する「運用」の実質的な意味合いは,すでにその他の言い 換え語に挙げられている「作戦行動」であり,不要である。 ・現時点で,前文をもう一度推敲し直してはどうか。 ・ 「サムターン」の言い換え語「内鍵回し」の「鍵」は常用漢字ではないが,非常に良く使われる 漢字であり,提案では,ルビを振った上で漢字で表記する。 ②総集編について ・五十音索引は,提案語だけでなく,その他の言い換え語例や複合語例などに挙げた語も入れ込 んだものにしてはどうか。 ・提案語の分野別の索引をつけるという案があるが,語を分野に分類するのは困難であり,総集 編の使い勝手を考えても,分野別索引は特に必要ないのではないか。五十音索引があれば,そ れで十分であろう。 ・提案語の分野別の分類は,付録やコラム程度の扱いでも良いので総集編に盛り込めると良い。 ・総集編として出版するものとは別に,報告書は作成しないのか。どの分野に外来語が多いかと いう観点はこれまで委員会が重視してきた観点のはずであり,その分析は報告書に盛り込むべ きものである。 ・言い換え語の提案にあたって一般からどのような意見が寄せられたのか,それをどのように提 案に反映させたのかといった内容も,できれば総集編に盛り込みたい。 ・寄せられた意見を読むと,言い換え提案を押しつけのようにとらえ,批判する声もある。この 活動が,外来語が分からないために不利益を被るおそれのある人へ向けた意義のある活動であ るということを,改めて述べるべきである。 ・総集編はこれまでの提案を並べるだけでなく,外来語を検討することがいかに重要で,また必 要なことであるかといった,外来語に関心を持ち,総集編を手にした人の参考になるような読 み物をつけてはどうか。 ・委員名を掲載するにあたっては,各委員の専門分野も明記してはどうか。 以上
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