死んだ? ▲写真は、日銀の金融政策決定会合風景 の重圧で 東短リサーチ 取締役チーフエコノミスト 加 藤 出(司会) エービーエヌ・アムロ・バンク マネージングディレクター・ヘッドトレジャリー 永 井 伸 野村信託銀行 資金為替部 次長 小 山 優 出 席 者 東京三菱銀行 資金証券部 円資金デスクチーフ (発言順) 松田 丈太郎 量的緩和下のディーリングの現場 市場の取引量が縮小すると、 ショートポジションではいざと て二年以上が経過した。日銀当 加藤 ングポジションを維持してい まとわれる。このため、常にロ ではないかというおそれにつき いうときに資金調達できないの 座預金残高は二年前の四兆円か る。外銀は〇一年一月のRTG 市場機能もディーラーも スポイル ら現在約三〇兆円に達してい S導入前後、決済資金が不足す ﹁量的緩和﹂が導入され る。ディーリングの現場はどの る事態に備えて担保の確保に気 を遣ったが、量的緩和以後は担 ような状況だろうか。 永井 保の必要さえなくなってしまっ 九九年二月のゼロ金利政 策導入当初、〇・〇二%が金利 た。 数兆円規模の追加的な資金需 の下限だった。そのとき、金融 市場は死ぬと直感したが、まだ のため、金融危機特別勘定が二 要が発生しても市場金利は動か しかし、〇一年三月に量的緩 兆円を調達する際にも入札金利 市場は金利の動向をみながら資 和導入後の〇・〇〇一%、〇・ は低位のままだった。金利上昇 ない。りそな銀行への資本注入 〇〇二%などという金利は完全 期待や市場の価格形成機能をつ 金をやりとりしていた。 にバーチャルなものであって、 ぶすという意味で量的緩和の影 財務内容を健全に保ったり、 運用者にとってはなんの意味も における運用のインセンティブ 流動性を保持したりする金融機 響は大きい。 がまったく働かなくなってしま 関の自助努力はまったく意味の ない数字である。短期金融市場 った。 12 2 0 0 3.7.2 1 金融財政事情 【特集】 短期金融市場は 日銀当座預金30兆円 喪失する市場機能 バーチャル化した金利で縮小続く取引量 金利がゼロの下限に達し、金融政策の目標は日銀当座預金残高を大量に積みあげること(量的緩 和政策)に転換した。量的緩和は金融機関に際限なく資金を流入させ、不安感を取り払うことに 成功したが、短期金融市場が価格形成機能を失うという副作用も生んでいる。金融不安を防ぐ代 償として、短期金融市場という社会的インフラの衰退を甘受しなければならないのか。今後市場 機能を復活させるための方策はあるのか。市場参加者に話し合ってもらった。 う感じだ。若い世代が急速に経 を出すのをやめておこう﹂とい あっても﹁面倒くさいから資金 金利環境で〇・二%のビッドが のだが、いまは〇・〇〇一%の 金は拾うようにしつけられたも は一円であっても落ちているお もスポイルされている。かつて ないものになった。ディーラー 施されるたびに衰弱していった た。マーケットは金融緩和が実 場としての機能を失ってしまっ 関同士の資金過不足を調節する の場としてはともかく、金融機 小山 た﹂との声も聞こえてくるが。 が け て き た が、も う あ き ら め 備をなるべくもたないように心 技術を維持するために、超過準 短期金融市場は金融調節 済やイールドカーブをみる目を が、一〇〇〇分の一きざみのレ ート導入で完全に死んでしまっ た。金利はゼロに張り付いてい るので、金利動向を知るために 市場を利用する必要もない。 失いつつある。 インターバンクの 資金調節機能の喪失 地方の金融機関から﹁無 運用者はリスクに見合う金利 加藤 担保コールの事務フローを忘れ をとれないので、運用自体を放 棄している。調達 金融財政事情 2 0 0 3.7.2 1 者 に と っ て は、 一、二週間の金利 は一〇〇〇分の一 きざみだが、一カ 月以上の期間にな ると突然一〇〇分 の一きざみになっ て割高にみえる。 13 て し ま っ た﹂﹁デ ィ ー リ ン グ の RTGS 即 時 グ ロ ス 決 済(Real Time Gross Settlement) 。資 金 の 出 し手と取り手が取引を約定する つど、資金を全額決済する 方 法。これに対し、時点ネット決 済(Designated Time Net Settlement)では、いくつかの取 引をまとめて一定時点で相殺決 済する。時点ネット決済のほう が決済に必要な資金は少なくて すむが、約定から決済までに時 間がかかるうえに連鎖的な決済 不能が発生しやすい。0 1年1月 から、日銀ネットにおける当座 預金振替および国債振替が時点 ネット決済から即時グロス決済 に移行した。
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