会員であることの恩恵

会員であることの恩恵
RI 会長 K.R. ラビンドラン
会員であることの恩恵
皆さん、こんにちは。
2016-17年度のリーダーシップチームの一員となられる皆さんを、心から歓迎いたします。
7月1日には、ロータリーの全地区で、本年度のガバナーから皆さんへとバトンが渡されます。そして私も、
ポール・ハリスから代々受け継がれてきたリーダーのバトンを、会長エレクトであるジョン・ジャームさんに
手渡します。
ここで皆さんに一ついいことをお教えします。会長エレクトは、この上なく親切であるだけでなく、明らか
に私よりも聡明な方です。
ジョンは、空軍の航空士であり、土木技師であり、ポリオの専門家です。世界保健機関などの大きな会
議に彼と一緒に出席すれば分かりますが、ジョンが話しだすと、皆、彼を「博士(ドクター)」と呼ぶように
なります。
ですから私は、ジョン、そして皆さんの能力に絶大な信頼を寄せています。膨らみ、変化するこの世界に
おいて、膨らみ、変化する数々のチャレンジに挑むために、111年近いロータリーの奉仕を礎として皆さ
んが築くロータリーの未来を楽しみにしています。その世界では、名声だけでなくその力で、規模だけで
なくその強さで、会員数だけでなく、成すべきことを見事に成し遂げるその会員の能力と意志で、ロータ
リーの偉大さが測られるでしょう。
ロータリーは成長し続けています。会員数は123万人、クラブ数は過去最高。入会者は後を絶たず、す
ぐに退会してしまうこともありません。7月1日以来、8,500人以上の新会員が入会しています。
ロータリーは、その功績、財団、外部からの高い評価という点で、非常な強さを誇っています。
しかし、確実に前進するには、ロータリーの大切な財産である会員基盤を築かなければならず、そのた
めにはもっとなすべきことがあります。大勢の会員がいるだけでなく、多様な会員がいるクラブ。スキルだ
けでなく、やる気のあるクラブ。そして、意欲だけでなく、成功する力のあるクラブを築く必要があるので
す。
ロータリー世界本部では、ロータリー会員であることの付加価値を高める画期的な方法を考案することに
力を注いでいます。その一例が、「ロータリー グローバル リワード」です。半年ほどで、このサイトへの訪
問者数は44,000人以上、利用者数は12,000人を超えています。その半数以上が、現在掲載されている
約700種類の特典のいずれかを利用し、資金を節約したり、ロータリーのネットワークづくりに役立ててい
ます。現在は米国中心ですが、世界のほかの地域にも少しずつ拡大しています。
クラブでは以前よりも柔軟な運営が行われており、年代、家庭の事情、キャリアにかかわらず、誰にとっ
てもロータリー入会を現実的かつ魅力ある選択肢とするための新しい方法が考え出されています。
私たちは、多様な会員基盤を備え、優れた能力をもち、ロータリアンだからこそ可能な社会奉仕を実現
できるクラブづくりを、最優先として支援しています。
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今年度、そのような奉仕活動を私は数多く目にしました。
インドでは、ロータリーが4万の学校に、男子と女子用それぞれ2つのトイレを設置しました。
南米では、学校をつくり、青少年の識字率向上に取り組んでいます。
ここ米国では、救急用ヘリコプターを小児病院に寄贈する活動や、障害のある子どものためにロータリ
ーが造った美しい公園も目にしました。この公園には、車いすでも遊べるよう特別にデザインされたブラ
ンコやメリーゴーランドが設置されています。
イタリアでは、ロータリアンがバチカンと協力してカンボジアに移動式医療設備と遠隔治療を提供する活
動を行っています。この活動がバチカンに高く評価された結果、来る4月30日、フランシスコ・ローマ法王
がサン・ピエトロ広場でロータリアンにミサを行うこととなりました。前例のないこのイベントは、世界にロー
タリーの存在感を示す栄誉ある機会となるでしょう。ロータリアンのために8,000席が設けられますので、
皆さんの中からも多くの方にご出席いただけることを願っています。
また、アフガニスタンとパキスタンでは、ロータリーが地元保健当局および高レベルの政府高官と協力し、
野生型ポリオウイルスの世界最後の温床地域を狭め、ポリオを永久になくそうと懸命に活動しています。
このような話を耳にすると、ロータリーの活動とその可能性に感嘆せずにはいられないものです。しかし、
これらの活動を立ち上げるのは、皆さんでも、私でもありません。それを立ち上げるのは、会員です。地
域に根づき、クラブで例会を開き、奉仕に喜びを見い出し、ロータリーを通じて協力している会員たちで
す。充実した人生を送る最善の道はロータリーであると、会員たちは知っているからです。
皆さんの役割は、このような奉仕活動をすることではなく、それをサポートすることです。ここにいる私た
ちのように、同じ目的、熱意、大志を抱いたロータリアンと協力しながら、ガバナー就任時よりも地区をも
っと良くしてガバナーの任を終えることです。
しかし、今日この会場にはあるものの、ほとんどのロータリークラブにはなく、私たちがこれまで一度も目
にしたことのないもの、実現に向けて私たちが組織全体で取り組まなければならないものがあります。そ
れは、男女同数の会員です。
1995年に女性会員の割合はロータリアン100人中わずか5人でした。今日、その数は100人中20人まで
増えています。これは前進ではありますが、まだ不十分です。
クラブが地域を十分に代表するには、地域人口を真に反映しなければなりません。当たり前ですが、経
済的、社会的、教育的に地域の可能性を最大限に実現するには、世界人口の半数を占める人びとをロ
ータリーが十分に代表しないわけにはいきません。女性会員の歴史はロータリーの歴史の4分の1にす
ぎませんが、その間がロータリーで最も実り多い期間となっていることは偶然ではありません。
男女平等に関するロータリーの方針は非常に明確です。それにもかかわらず、クラブの5分の1近くが未
だに女性を除外しており、その主な理由として「会員資格のある女性が見つからない」と主張しています。
このように主張するロータリアン、あるいはそう信じているロータリアンは、基本的な2つのロータリー会員
資格に欠けていると思います。それは、誠実さと良識です。ジュラシックパークのような恐竜時代で時間
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がストップしている人には、恐竜がたどった運命を思い出していただきたいと思います。恐竜は絶滅した
のです。
男女の機会均等は、「あったほうがいい」のではなく、奉仕のため、未来のために、「なくてはならない」も
のです。女性の入会促進を最優先させなければ、ロータリーは前に一歩も踏み出せないまま、いずれ暗
礁に乗り上げてしまうでしょう。
女性を除外しているクラブは、本来なら得られるはずの才能、能力、人脈の半分を逃しています。そして、
家族や地域社会に効果的に奉仕するために必要な視点も逃しています。このようなクラブは、典型に陥
って自らに限界を設けることで、クラブ自身の奉仕にダメージを与えているだけでなく、ロータリー全体に
ダメージを与えているのです。このままでは、他団体はロータリーを真のパートナーとはみなさず、入会
候補者、特に、未来を担う若い人びとにとって、ロータリー全体の魅力は薄いものとなります。
女性差別を容認することは、ロータリーとこの世界との格差を広げていくことなのです。
私たちは、今もポール・ハリスの時代に生きているかのようなふりをすることはできませんし、ハリスもそれ
を望まないでしょう。なぜなら、ハリスの言葉のように、「ロータリーの物語は何度も書き替えられなければ
ならない」からです。
ロータリーの新しい年度がまもなくやって来ます。新年度のロータリーの物語を書くのは、ほかでもない
皆さんです。
これは非常に重要な責任です。人びとの人生、そして生活が、文字通り、皆さんの肩にかかっているの
です。
次年度に皆さんは、任務に追われ、非常に多忙で、かつてないほどの試練に直面することになります。
幾度となく難題に突き当たるでしょうが、皆さんは果敢に挑んでいかれるでしょう。重い責任を課されてこ
そ、内なる能力が発揮されるものです。
最後に古代ギリシャの数学者アルキメデスの逸話をご紹介したいと思います。
存命中、アルキメデスは、円の面積と球の体積を計算するなど、物理学と幾何学の分野で名を馳せてい
ました。ローマ軍が故郷シラクサの島を攻撃したとき、既に老年を迎えていたアルキメデスは、もてる能
力を発揮して、画期的な方法でローマ軍に立ち向かいました。(紙と鉛筆の代わりに)砂と棒切れという
シンプルな道具を使って構想を練り、防御のための新手法を編み出したのです。
彼は、ギリシャ兵たちに指示して沿岸にいくつもの鏡を配置し、太陽光の反射による熱光線を敵艦に浴
びせました。ローマの軍艦を炎でつつんだこの「アルキメデスの熱光線」の物語は、その後何百年も、ギ
リシャ人たちに尊敬の念をもって語り継がれました。今日、アルキメデスは、数学者としてだけでなく、英
雄としてもギリシャの人びとから愛されています。
アルキメデスの生涯について詳しいことは不明ですが、彼が書いた文献が残されています。かつて「て
こ」の原理を実演したアルキメデスは、次のように言ったそうです。「十分な長さのてこと支点さえあれば、
地球を動かしてみせます」
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私たちには支点が与えられています。それはロータリーです。その「てこ」となるのがロータリアンです。
両方があれば世界を動かすことができます。一緒に世界を動かしましょう。
ご清聴ありがとうございました。
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