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西洋ナシ豆知識 (西洋ナシバイヤーズマニュアル)

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西洋なし豆知識
(西洋なしバイヤーズマニュアル)
西洋なしフォーラム実行委員会編
平成16年11月
1.西洋なしの楽しみ方
(1)西洋なしのルーツ
„
„
„
„
ナシ(梨)はバラ科、ナシ亜科、ナシ属に属する植物で、そ
の起源は中国の西部と南西部の山地であろうと考えられて
います。その起源植物にはここから西に向かって移動した
グループと、東に向かったグループが想定されます。
現在の西洋なしは西に向かって移動しながら分化していっ
たもので、逆に中国なし、日本なしなどは東に移動して交
雑種を残したものと推測されます。従って、西洋なしのふる
さとはヨーロッパ(西部および南東部)およびトルコあたりと
思われますが、この他の起源説もあります。
日本には、りんごや他の西洋果実と同様に明治初期に欧
米から導入されました。導入後は多くの県で試作されまし
たが、日本なしと栽培法が違ったため、一部の県に定着し
たにとどまりました。
最初は、加工用として伸びてきた西洋なしも1970年代半ば
から加工需要が停滞し、生食へ変換してきました。
(2)品種
„
„
„
形、色も色々
味も色々
香りも色々
カリフォルニア
食べ頃になると鮮や
かな赤色になります。
オーロラ
バートレット
全面褐色のサビ
で覆われています
ビン形で西洋ナ
シの代名詞です。
コンファレンス
欧米諸国の主要品
種です。細長い形
が特徴的です。
ラ・フランス
床屋さんであったク
ロード・ブランシェ氏が
発見しました。日本に
は1903年(明治36年)に
導入されました。
フランスでは栽培され
ていません。
ドワイエネ・デュ・
コミス
欧米諸国での高
級品種
時期別出荷品種(山形県)
8月
品種・系統名
バートレット
オーロラ
マルゲリット・マリーラ
バラード
ゼネラル・レクラーク
ドワイエネ・デュ・コミス
ラ・フランス
シルバーベル
ル・レクチエ
パス・クラサン
9月
収穫
10月
11月
12月
可食
収穫
収穫
可食
可食
可食
収穫
収穫
可食
収穫
可食
可食
収穫
収穫
可食
収穫
可食
収穫
可食
全国品種別栽培面積
50.7
145
46.7
14.1
67.1
オー ロ ラ
バー トレット
マルゲ リット・ マリー ラ
バラー ド
ゼ ネラル・ レク ラー ク
1236.9
ラ・ フラン ス
81.2
133.3
シルバー ベル
ル・ レク チエ
0
500
1000
平成14年栽培面積(ha)
(農水省特産果樹生産動態等調査)
1500
(3)果実の流通経路
収穫
産
地
出荷
出荷
出荷
追熟
出荷
出荷
小
売
店
追熟
冷蔵
出荷
市
場
・
仲
卸
出荷
出荷
予冷・エチレン処理・冷蔵
追熟
販売
未追熟果
追熟果
(4)食べ方
●切り方 西洋なしは、櫛型に切って食べるのが一般的です。
皮つきのまま4等分にして、
芯を取り、皮をむきます。そ
の後、食べやすい大きさの
櫛型に切ります。
また、食べ頃の果実をちょっと冷
やして食べるのがおすすめです。
口に含んだときのとろけるような
肉質と芳醇な香りは、幸せな気
分にしてくれます。
その他、櫛形や二等分に切っ
たら皮をむかずに芯だけくりぬ
き、スプーンで食べるという方
法もあるでしょう。
(4)食べ方
●ワイン煮
西洋なしが硬い! そんなときはワイン煮
やシロップ煮にしてみましょう。これらは硬
めの洋梨を使うことがコツなんです。
西洋なしのワイン煮は、赤ワイン、白ワイ
ンお好きなほうでどうぞ。やすいワインでも
結構おいしくできます。西洋なしはあらかじ
め櫛型に切っておきます。
ワイン、水、砂糖適量、レモン汁またはオ
レンジ果汁などを少々を入れて火にかけ、
沸騰したら洋梨を入れて柔らかくなるまで
煮ます。アクを取りながら、全体に色がつく
ように煮て、火からおろして冷ました後、冷
蔵庫に入れて十分冷やします。
生クリーム、アイスクリームを添えたり、ミ
ントの葉を添えたりするとおしゃれで素敵な
デザートに。タルトやケーキも手軽にできま
す。シロップもカクテルやゼリーにご利用く
ださい。(川島佐登子さんのHP「食品広場」
より引用させて頂きました。)
(5)機能性と栄養価
„
西洋なし:食物繊維とソルビ
トールで便秘解消、カリウムで
高血圧防止
①水溶性食物繊維が豊富で血
糖値の上昇抑制、高脂血症予
防、便の水分を適正化
②ソルビトール(糖アルコール)
の吸水作用やpHを下げる働き
により腸の運動を活発にする。
③カリウムが豊富で血圧を下
げる。
2.一般的な西洋なしの取り扱い法
(1)追熟とは
„
„
„
„
„
„
果物は本来、樹の上で熟したものが一番美味し
いとされていますが、西洋なしは、樹上ではお
いしく熟してくれません。収穫後、おいしく成熟を
始めます。このことを追熟といいます。
収穫後に追熟させるわけですが、収穫時期は
いつでもよいかというと、これがそうでもありま
せん。収穫が早すぎても遅すぎても追熟がうま
くいきません。
最適な時期に収穫しないと、肉質が悪く香りが
少ないだけでなく、果肉褐変などの障害がおき
やすくなります。産地では、開花後の日数や温
度、果実内のでんぷん含量の変化等を総合的
に判断して収穫しています。
西洋なしは収穫後1~2週間は2~5℃程度で冷
蔵し(これを予冷といいます)、その後15~20℃
ほどで追熟させると、追熟のそろい・品質共に
最もよいとされています。
ポリエチレンのビニル袋にりんごと一緒に入れ
ておくと、りんごから発生するエチレンガスの影
響により早く追熟します。
一般に西洋なしの追熟で問題になるのは、収穫
時期が早すぎた場合です。こうした果実はいつ
までも硬かったり、追熟期間が長引いたり、しな
びてきたり、香り・肉質が不良になります。逆に
収穫時期が遅くなると、追熟は早まりますが、と
ろけるような肉質にならず、内部褐変したり、粉
質化して果汁が少なくなります。
(2)追熟完了果実の見分け方
„
„
„
„
„
一般的に果皮の色が全体に黄色く変わってきた頃、
香りが強くなってきた頃が食べ頃です。果肉硬度とし
ては、3~2ポンド位が適熟となります。
ラ・フランスなど一部の果実ではほとんど黄変しない
果実などもあります。その場合、手にしっとりとなじみ、
軸の部分をそっと押してやわらかく感じられたときが
食べ頃という言い方もできますが、お店ではあれこ
れさわって判断しないでください。
最近、産地で追熟して食べ頃になったものを出荷す
るような動きも出てきました。これにより、店頭から購
入した消費者が、いちごなどと同様すぐに食べられ
るという利点があります。
また、出荷期間の拡大のために、冷蔵期間を長くし
たり、エチレン処理により出荷の前進化を図ったりし
ています。
西洋なしを扱うにあたっては、その果実がどのような
追熟管理を行ってきたのかがわかるような出荷が大
切です。
(3)追熟完了果実の取り扱い
„
„
„
やや硬めの好きな人と、軟らかいの
が好きな人がいますが、食べ頃の期
間は4~5日と思った方がよいようで
す。
追熟完了果を冷蔵庫に入れるとその
分食べ頃が延長できますが、過信せ
ず数日程度で食べてください。
少し硬めくらいから冷蔵庫に入れて
調節すると、一気に食べ頃にならず、
食べ頃の期間も延長できます。
(4)色々な障害
①輪紋病
„
„
„
果実、枝、葉に被害を及ぼす病気です。
特に、流通段階の果実で追熟中に発生す
る場合があり、問題になっています。
産地では、適正な防除体系を構築しており、
輪紋病に対応しています。
②内部褐変
„
„
追熟完了を過ぎた時や貯蔵後に果実を切
ると果肉部分が褐変していて、食用に適さ
なくなる場合があります。
原因ははっきりしていませんが、収穫時期
が遅くなったり、カルシウムが欠乏すると
発生しやすいようです。
③石なし、尻腐れ
„
„
„
石なしは果実のお尻の部分が硬化し、石
細胞が多く集積する現象をいいます。
尻腐れは初期症状としては石なしと全く同
様ですが、次第に黒変します。場合によっ
ては収穫後、追熟中にも発生することがあ
り、出荷の場合には注意する必要があり
ます。
ラ・フランスでは発生が少ない障害です。
原因は、一般にカルシウム欠乏や窒素肥
料過多が考えられます。
3.品種解説及び取り扱い
オーロラ
[来歴]
„
アメリカのニューヨーク州立農試がマルゲリット・マリーラ
とバートレットを交配してつくった品種で、1964年に命名
されました。日本には1983年(昭和58年)に導入されま
した。早生の有望品種として注目されています。
[品種特性]
„
„
„
収穫期:8月下旬~9月上旬 可食期:9月中旬
予冷後の追熟日数:20℃条件下で10日程度
果皮は全面さびに覆われています。味は、同時期に出回
るバートレットより甘味が多いです。生産力に難点があり
ます。
[流通・取り扱い上の留意点]
„
„
追熟すると、果皮色が緑褐色から黄褐色に変わります。
追熟後の果実の日持ち性は早生品種の中では良いです。
追熟前
追熟後
バートレット
[来歴]
„
17世紀、イギリス、バークシャー州の学校長ステア氏が
発見、苗木商のウイリアムズ氏が繁殖させたことから、イ
ギリスではウイリアムズの名で知られていました。その後、
アメリカに導入された際、1817年にマサチューセッツ州
ドーチェスターのバートレット氏が自身の名をつけて出す
ようになったことから、この名で知られるようになりました。
日本には明治初期に導入されました。
[品種特性]
„
„
„
収穫期:8月下旬~9月上旬 可食期:9月中旬
予冷後の追熟日数:20℃条件下で10日程度
独特の芳香があり、昔の西洋なしというと、この品種を指
すことが多いようです。
[流通・取り扱い上の留意点]
„
„
追熟すると、果皮色が黄緑色から黄色に変わります。
追熟後の果皮は薄く柔らかいため、押し傷がつかないよ
う取り扱いに十分注意してください。
追熟前
追熟後
マリゲリット・マリーラ
[来歴]
„
1874年、フランスのリヨン郊外でM・マリーラ氏が発見し
た品種です。品種名も氏の名前に因んで付けられてます。
[品種特性]
„
„
„
収穫期:9月上中旬 可食期:9月下旬
追熟日数:無予冷で15℃条件で2週間程
(予冷しても良いですが、無予冷の方が美味です)
500g以上のボリュームのある果実が特徴で、中には1k
g近くになる果実もあります。酸味が少なく、甘味の多い
味です。
[流通・取り扱い上の留意点]
„
„
追熟すると、果皮が黄緑色から黄色に変わります。
追熟が進むと自重でつぶれやすいので、大きい果実はフ
ルーツキャップなどで被覆し、横に置いてください。
追熟前
追熟後
バラード
[来歴]
„ 1984年に山形県園芸試験場が、バートレットにラ・フラン
スの花粉を交配して育成し、1999年に品種登録されまし
た。名前の由来は、交配親のバートレットの‘バ’とラ・フラ
ンスの‘ラ’を合わせたのと、音楽のジャンル名である‘バ
ラード’から名づけられました。
[品種特性]
„
„
„
収穫期:9月下旬 可食期:10月中~下旬
予冷後の追熟日数:15℃条件下で16日程度
既存品種の中で最も糖度が高い(=甘い)品種です。果
皮はさびが多いですが、栽培の仕方によってはさびを少
なくすることができます。
[流通・取り扱い上の留意点]
„
„
追熟すると、果皮が緑色から黄色味を帯びてきます。完
全に黄色になる前が食べ頃です。
追熟後の果実は果皮が柔らかく傷つきやすいため、フ
ルーツキャップに入れるなど取り扱いには十分注意して
ください。
追熟前
追熟後
ゼネラル・レクラーク
[来歴]
„ フランス、パリ郊外でアンジェ国立農業試験場とノーブロ
苗木商会によって、1950年に発見されました。ドワイエ
ネ・デュ・コミスの自然交雑実生と考えられています。日
本には1977年に青森県が、さらに1983年に国が導入しま
した。
[品種特性]
„ 収穫期:9月下旬 可食期:10月下旬
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で15日程度
„ 果皮は硬く、さびが多いですが、肉質は良好で、甘味が
多いだけでなく適度な酸味があります。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟すると、果皮の地色が緑色から黄褐色に変わりま
す。
追熟前
追熟後
ドワイエネ・デュ・コミス
[来歴]
„ 1849年頃、フランス、アンジェの果樹園で初結実し、すぐ
にこの名前が付けられました。アメリカには1850年に導
入され、日本には明治の初期に導入されました。ヨー
ロッパでは高級品種に位置付けられています。
[品種特性]
„ 収穫期:9月下旬~10月上旬 可食期:10月下旬
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で15日程度
„ 果実品質は良好ですが、収量が安定せず営利栽培が難
しいので、生産量は僅かです。果実の陽光面がわずか
に赤く色づくことがあります。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟すると、果皮色が黄緑色から黄色に変わります。
追熟前
追熟後
ラ・フランス
[来歴]
„ 1864年にフランスのクロード・ブランシェ氏によって発見され、
その果実品質の良さから母国の名をつけたといわれていま
す。日本には1903年(明治36年)に導入されました。日本で
は有名ですが、原産国のフランスをはじめとするヨーロッパ
では、気候が合わなかったのか栽培されておらず、フランス
でもほとんど知られていません。
[品種特性]
„ 収穫期:10月上~中旬 可食期:11月上~中旬
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で17日程度
„ 西洋なしの代名詞的品種で、とろけるような肉質と、香りが
特徴です。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟後の果皮色の変化がわかりにくいのが難点です。予冷
庫から出して何日目かよく確認してください。
追熟前
追熟後
シルバーベル
[来歴]
„ 1957年(昭和32年)に山形県園芸試験場が、ラ・フラン
スの自然交雑実生(ラ・フランスが種子親)から選抜した
品種です。
[品種特性]
„ 収穫期:10月下旬 可食期:11月下旬~12月上旬
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
„ ラ・フランスより大きく、果実の形もやや細長いです。味も
ラ・フランスよりも酸味があり、とても濃厚です。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟すると、果皮色が緑から黄色に変わります。
„ 追熟前の果実は2ヶ月以上冷蔵できます。年が明けてか
ら追熟させても美味しく食べることができます。
追熟前
追熟後
ル・レクチエ
[来歴]
„ フランス、オルレアンの園芸家ルシュエール氏が、バート
レットとフォーチュニーとの交雑によって1882年に生み
出した品種です。名前は17世紀のフランスの果樹研究
者ル・レクチェ氏にちなんで付けられました。わが国への
導入は明治初期です。
[品種特性]
„ 収穫期:10月下旬~11月上旬 可食期:12月上旬以降
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
„ 果皮にさびが無く、きれいな外観です。酸味が少なく、甘
味と香りが非常に多いです。年によっては、やや渋味が
残ることがあります。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟すると、果皮色が緑から黄色に変わります。
„ 追熟前の果実に傷がつくと、果面が褐変して商品性が損
なわれるので、果実の取り扱いには注意してください。
追熟前
追熟後
パス・クラサン
[来歴]
„ フランス、ルアンの苗木商ボワブンネル氏が1845年に
育成し、1855年に発表した品種です。今もフランスのオ
ルレアン地方、ロワール川流域、セーヌ川流域、パリ地
域で栽培が盛んです。
[品種特性]
„ 収穫期:11月上~中旬 可食期:1月以降
„ 予冷後の追熟日数:15℃条件で25日程度
„ 果皮は硬くて頑丈ですが、肉質はきめ細かくて果汁が多
く味は良好です。
[流通・取り扱い上の留意点]
„ 追熟すると、果皮色が濃緑色から黄緑色に変わります。
追熟前
追熟後
編集後記
西洋なしが生食用として増加し始
めて20年程度となりますが、販売に携
わる方々にとっては、大変扱いにくい
果物といわれ続けてきました。
一方、西洋なしの持つ芳醇な香り
やメルティングな肉質は消費者に着
実に受け入れられてきております。
この小冊子は西洋なしを取り扱う
方々に、いくらかでもお役に立てばと
の思いから作成いたしました。疑問や
お気づきの点がありましたらお問い合
わせくださるようお願いいたします。
西洋なしフォーラム実行委員会
事務局:東京青果株式会社個性園芸事業部
TEL(03)5492-2341 FAX(03)5492-2408
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