飼料用米の畜種別 年間利用量の把握について

飼料用米の畜種別 年間利用量の把握について
飼料用米の栽培に注目が集まっています。飼料用米の給与による効果(メリット)を畜産経営に活か
すため、地域で生産される飼料用米を上手に利用しましょう。
1 飼料用米の給与目安
「飼料用米の生産・給与技術マニュアル(2013年版)」や最新の知見を勘案して、家畜別の代替の
目安または目標値として表 1 に取りまとめました。実際の給与は飼料設計等により、飼料用米の給与
量を決めてください。また、飼料は急激に変更せず、慣らし給与をします。家畜の様子を見ながら徐々
に給与量を増やしましょう。
表 1 家畜別 1 頭当たり飼料用米給与量の目安(破砕玄米)
肉 牛
乳用牛
給与方法
TMR
代替飼料 飼料全体
代替率
・量
30% 程度
養 豚
子 豚
肥育豚
(~30kg) (後期)
採卵鶏
にいがた
地 鶏
肥育牛
繁殖牛
分 離
分 離
混 合
混合・
週2回
混 合
混 合
配合飼料 配合飼料
配合飼料
配合飼料
配合飼料
配合飼料
配合飼料
10~15%
15%程度
15~30%
15~30%
20%程度
30%程度
分 離
30%程度
7 kg/
2 kg/
1 ~ 3 kg/
(原物
日・頭程度 日・頭程度 日・頭程度
重量比)
混 合 又 は、
週 に1~2
日を玄米 4
kg/ 日・頭の
みの給餌日
とする
*鶏は、玄米を破砕しなくても給与可能です。また、肥育牛では配合飼料の中に玄米が10%以上入って
いるときは、破砕玄米の代替量を減らして計算してください。
2 年間給与量の概算
耕種農家が飼料用米を作付けするには、事前に契約が必要です。契約するためには 1 年間に利用す
る給与量を把握する必要があります。まずは、経営内で無理なく利用できる飼料用米の量を把握しま
しょう。
<計算式>
・年間配合飼料給与量×代替率×安全性率 * =概算年間飼料用米給与量
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*安全性率の考え方
飼料用米の給与量には限度があり、家畜に多く与えすぎると代謝病の発生や生産性の低下が
懸念されます。そこで、初めて飼料用米を使うにあたり安全性率を設定しました。安全性率の
範囲は、0.1~1を想定しています。
安全性率は下例のような不安要素により、自分で適宜設定してください。
ただ、安全性率を低く設定すると利用量が少なくなり、経営効果(メリット)にも影響しま
すので、よく検討して設定してください。
(例)初めて使う飼料(飼料用米)なので、慣らし給与の期間を長くとりたいので安全をみて
年間利用量を少なめにしたい場合 等
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~初めて飼料用米を利用するA農場での試算~
<計算事例> 年間100tの配合飼料(米含まず)を利用する畜産経営。代替率30%、破砕した飼料用玄米の利用で、
安全性率0.8として試算。
[年間利用量]
・年間配合飼料給与量100t / 年×代替率30%×安全性率 0 . 8 =24t
◦年間で24t の飼料用米(玄米)が必要となります。
3 経営効果(メリット)の試算
・上述の計算事例のA農場における年間の代替効果を試算してみます。配合飼料が 1 kg60円とし、飼
料用米(破砕した玄米)を 1 kg30円とすると
現 状
改 善
配合飼料費
(配合飼料のみ給与)
600万円
内 訳
(@60円 /kg ×100t)
(@60円 /kg ×76t)+
(@30円 /kg ×24t)
配合飼料費
の 変 化
100%
88%
-
(飼料用米に24%代替)
528万円
効 果
=
低減
72万円
▲12%
◦この試算では、現状より配合飼料費が12%低減します。
・生産物の量や品質が変わらなければ、この低減分が儲けにつながる可能性があります。ただ、大豆粕、
ビタミン等の他の飼料の追加、混合にかかる労力や設備など他に経費が発生することがあります。
・飼料用米の利用のコツをつかめば、 2 年目は初年より幾分利用量を増やすことも可能と思われます。
安全な範囲で試し、経営効果が最大になる方法を見つけましょう。
【経営普及課農業革新支援担当 坪野 樹】
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