人間の情報処理モデル 視覚貯蔵庫 VIS 保持容量:7−17文字 減衰:200msec インタフェースと認知科学 認知工学 擬人化エージェント ARTプロジェクト アフォーダンス 課題分割 ユーザ文化と設計者文化 刺激 情報 知覚 プロセッサ T:100ms 聴覚貯蔵庫 AIS 保持容量:5文字 減衰:1500msec GOMS • ゴール(G) – 課題、なすべきこと(段落を移動する、ボールドフォントに する) • カーソルをXの先頭に移動 – 選択+選択ルール: » マウスでポイント » オペレータ:手をマウスに伸ばす » オペレータ:適切なだけマウスを移動する. » カーソルキーで移動 • このように具体的なオペレータのレベル(Keystroke Level)まで課題を分解する. • 各段階でかかる時間を予測する. 切り貼り方法(2): コンテクストメニュー 切り貼り方法(1):古典的 • 始点を設定する – マウスを握る(移動) – 始点でカーソルクリック(移動) • 終点を設定する – 終点までドラッグ(移動) – ドラッグをやめる • 切り取る – 編集メニューをクリック(選択+移動) – 切り取りをクリック(選択+移動) • 行き先を指定する – 行き先をクリック(移動) • 貼り付ける – 編集メニューをクリック(選択+移動) – 貼り付けをクリック(選択+移動) • 終了 運動・行為 – ゴール:Xをカットバッファへ • メソッド(M) – どの方法を用いるべきかの判断。 運動 プロセッサ T:70ms • ゴール:行Xを行Yに移動. – 具体的な行為(カーソルを移動する、メニューバーからB を探す) • 選択ルール(S) 認知 プロセッサ T:70ms GOMSの適用例 • オペレータ(O) – ゴールを達成すべき方法=オペレータの組み合わせ(切 り取って貼り付け、フォントの変更) 作業記憶 WM, STM 保持容量:7チャンク 減衰:7秒 • 始点を設定する – マウスを握る(移動) – 始点でカーソルクリック • 終点を設定する – 終点までドラッグ(移動) – ドラッグをやめる • 切り取る – 右クリック – 切り取りをクリック(選択+移動) • 行き先を指定する – 行き先をクリック(移動) • 貼り付ける – 右クリック – 貼り付けをクリック(選択+移動) • 終了 1 切り貼りの方法(3):ドラッグ • 始点を設定する – マウスを握る(移動) – 始点でカーソルクリック • 終点を設定する – 終点までドラッグ(移動) – ドラッグをやめる • 行き先を指定する – 選択部分をクリック(移動) – 行き先までドラッグ(移動) • 終了 切り貼り方法(4):ショートカット • 始点を設定する – マウスを握る(移動) – 始点でカーソルクリック • 終点を設定する – 終点までドラッグ(移動) – ドラッグをやめる • 切り取る – Ctrl-X(指の移動) • 行き先を指定する – 行き先をクリック(移動) • 貼り付ける – Ctrl-V(指の移動) • 終了 NormanのUCSDモデル UCSDモデル • UCSD(user-centered system design) • 実行過程 – 目標生成,意図の形成 – 入力選択:実際の操作をプランする. – 実行:装置を実際に操作する. • ユーザの心理世界とシステムの物理世界の間にあ る溝. • これをできるだけ少なくするのが,よいユーザインタ フェースとなる. • 評価過程 – ディスプレイを知覚する. – その意味を解釈する. – 目的の達成に貢献したかを評価する. 2つの距離 UCSDモデルの適用例 • 段落移動 • 実行過程 – 目標,意図:段落を移動したい. – 入力選択:部分の選択+カット+ペースト – 実行:マウス移動,メニュー操作 • 評価過程 – 知覚:段落の反転,移動の結果 – 解釈:段落の反転(=選択),目標位置 – 評価:正しく移動したか. • 意味的距離 – ユーザは自らの目標をシステムの用語に翻訳し なければならない. – |システムの意味−ユーザの意味| – 自らの目的がシステムの中でどのように実現でき るか. – 変更=選択+操作 – 移動=選択+カット+ペースト • 形状的距離 – 翻訳され意味が具体的にどのように実行可能か. – |システム中の実現形式−プランの実現形式| 2 Rasmussen Rasmussenのモデル • 利用者の学習状態に応じたモデルになっている. – 初期:問題解決的,思考しながら課題を遂行する. • 移動するときは、まずその部分を切り取るわけだから、編集メ ニューで切り取りをやって・・・・・ – 中期:利用しやすい手続き的知識,ルールによって課題 を遂行する. • 移動なんだから、切り取って、貼り付ける – 後期:目標,出力のパターンに反射的に対処し,課題を遂 行する. • ただ手が自動的に動く。 わかりやすさと学習のトレードオフ 認知工学 • 始めは豊富なメッセージを提供し,ステップバ イステップで作業を進めた方がよい. • 「認知工学とは、計算機科学によるシステムの知識 と、認知科学によるユーザ とタスクについての知識 を、よりよいシステムのデザインという工学的目的 の ために応用する分野である」(宮田, 1987). • 論理的、合理的分析によるタスクと、人間が捉える タスクとの間のギャップを 埋めるための現実的な手 段を考案すること。 • 人間工学が人間の感覚、知覚、運動機能との関連 でインタフェースを考 えるのに対して、認知工学は 認知(記憶、概念、表象、メンタルモデル、学 習、思 考)との関連でインタフェースを考える(海保, 1991)。 – 対話 – イルカ? • しかし慣れてくると,これらが煩わしくなる. – ショートカット – カスタマイゼーション – 適応的インタフェース(?) 我が家の居間と廊下 スイッチ バスの運賃箱 スイッチ • 1:運賃投入口 • 2:両替用紙幣投入口 (1,000円札のみ) • 3:両替用硬貨投入口 (500円,100円,50円 硬貨) • 4:カード乗車券挿入口 • 5:両替後硬貨取出口 3 携帯のバッテリ残量 • 3つほど山があり徐々に減っていく。 • 等間隔で減っていくのでは? X デザインと利用の葛藤 • デザイナの思考 • ユーザ – 見栄えのいいものを好む – 機能が多いものを好む – 使いやすいものを好む?? – 本当は何がほしいのかよくわかっていない。 – 水平面 → 座る、置く – 垂直面 → 止まる、寄りかかる、(押す) – 出っぱり → 押す – くぼみ → 入れる 擬人化 Agent アフォーダンス 押 アフォーダンス • 環境がそこに存在する生体に対して提供する 「価値」、「意味」。 • 行為の可能性を意味する。 • 意味、「行為の」可能性なのだから、外界に存 在するというわけではない。 – 見栄えの良さが一番 – 出っ張り、文字、注意書きはきらい! – 必要なものを隠す • よいアフォーダンス フロッピー して • アフォーダンスの例 – 諏訪さん(中京大)の学 生によるコレクション(間 違いもあり) • 貼り紙とは?? て 引い – 野島さん(NTT)のコレク ション 4 MS Agent • パソコンのデスクトップやウェブ上で、インタラクティ ブな案内をするアニメ・キャラクター(アバター)が作 成できるソフトの名称。 • 仮想的なキャラクターがユーザーに応対する ActiveXを用いて作成されたエージェントの総称。 • マウスやキーボードに加えて、新たなユーザー・イン タフェースとして付け加えられた。 • このエージェントに相談しながら、作業の代行を依 頼することができる。 エージェント • 応答的、自律的なコンピュータプログラム • システム、あるいはユーザの代わりになって、 インタフェースを円滑にする(インタフェース エージェント) • 多くの場合、人、あるいは生き物のような形を したエージェントが用いられる。 • 話したり、動作をしたりすることが多い。 • ユーザが自分の好みでカスタマイズできる。 • Yahooの提供するavatar Knowledge Interaction Design (by 中小路) • 情報創出 – 曖昧なゴール – 徐々に部分を作り上げる – 徐々に全体のイメージを作る • 表現と操作 – 表現:考えを何らかの形で外に表す – 操作:表現されたものを動かす • 表現と操作のモデル化 マルチモーダルインタフェース • Multimodal=multi(多様な)+modal(感覚 的) • 現在のテキスト的情報に欠けている、 – 表情 – 抑揚 – 動作 • を加えることにより、より実感のある、安心し たインタフェースを開発する。 • NTTでの取り組み 既存のアプリケーションの問題 • WYSWYGはいいのか? – 成果物の見かけを表現しているだけでは? • ワープロ – 途中のアイディアをどう表現する。 – アイディア間の関係をどう表現する。 – 全体(ゴール)と部分の関係をどう表現する。 外化の意味 • 手書きメモ、スケッチ • シンボル性、文脈、関連性にあいまいさを残 す • それゆえ、解釈の多様性が確保される。 • Reflection-in-Action vs. Reflection-onAction • 「問題」と「解」の相互作用 • 部分と全体の相互作用 5 アプリケーションの要件 • • • • 表現のあいまいさを表すことができる。 解のみならず、問題も表すことができる。 作りつつある部分と全体とが一望できる。 上記を直感的に操作できる。 ARTプロジェクト • Amplifying Representational Talkback • 表現されたものからの語り返し(Talkback)を重視す る。 エレメント スペース ドキュメント ビューワー • WSYWYGはいいのか? – 成果物の見かけを表現しているだけでは? エレメント エディタ 私が戦っていること コミュニケーション的観点から 見たユーザインタフェースにおけ る信頼と愛着 鈴木宏昭(青山学院大学文学部) 植田一博(東京大学情報学環) 道具的コンピュータ観 • ビジネス – Office Suite Users • 学校教育 – 「コンピュータで学ぶ」 • ホームユース • 道具復古主義 – 単純な道具とのアナロジーでインタフェースの問 題を解決しようとしている人たち – アフォーダンス、透明性 • 誤解したリアリティに基づくインタフェース – 「現実」に近づけばよいと考え、ハイテクづくめの インタフェースを考えている人たち – 必要のないVR、バンド幅消費指向のインタフェー ス なぜ道具ではだめか? • 古典的道具と情報機器との違いを無視する から • 道具への愛着を説明できないから • 情報機器の学習に対する誤解を生み出すか ら – ネットサーフィン – ワープロ(年賀状) 6 道具の3条件 • 佐伯(1997)「新・コンピュータと教育」(岩波) • 非規範性 – 道具から人間にあれこれと指示を出さない。 • 手段性 – 道具は人間の目標の達成のための手段とならねばな らない。 • 透明性 – 道具はそれが使われるとき、人間の意識に上らず、身 体の自然な延長でなければならない。 道具への愛着 • 人は道具を奴隷として扱うか? • 専門家と道具の関係 – 大工や料理人 – もの書き • 素人と道具の関係 – ドライバーと車 – 携帯電話 メディアへの反応 • メディアと実在の混同は,まれに見られるも のでも,また無知のせいでもない. • 人はfundamentally socially and naturallyに メディアに対して対人反応をする. • 長い進化の過程で,これはアクティブに反応 するものが,人間に限られていたためである (脳の未発達?) 情報機器の「道具」性 • 典型的な道具=3条件を満たすもの(はさ み、金槌、なべ) • 情報機器は3条件を満たすか? – 多機能性:何をしたいかを告げる – 編集性:通常の道具では不可能な高度な編集 が可能(どこをどうするの指定) – 応答性、対話性:問い合わせ、指示の連鎖に よる目的の達成 Media Equation Reeves & Nass (1995) • 人はメディアが実際の人間であるかのように振る舞 う • 礼儀正しさ • 人格(内向 vs. 外向) • チームワーク • 応報性(竹内・片桐、1998) • などにおいて人間の対人行動で見られるのと同様 の反応がメディアに対してなされている. Media Equationの戦略 • 社会科学の論文で、人に対する、あるいは環境に 対する人間の反応を記 したものを選ぶ、 • そこでルール化されていることを抜き出す • そのルールの中で「人」と書かれてある部分を「メ ディア」に置き換える • その論文でどうやってテストを行ったかの部分を抜 き出す、 • そのテストの中で「人」と書かれてある部分を「メ ディア」に置き換える • 実験を行う • 結果の含意を考える 7 メディアへの礼儀? メディアの人格 • データベースへの入力を行わせる. • そのコンピュータ,作業などについて評価を行っても らう. • 人間の性格はdominance/submissiveの次元を持 つ. • 同じタイプの人を人間は好きになる. • もしコンピュータのメッセージにdominance(命令, 断定)なもの,submissive(質問,サジェッション)な ものを入れたらどうなるか? • これらのコンピュータに各々の性格を持つ人を割り 当てる. • マッチしたコンピュータを使った場合は,そのコン ピュータは知的であり,知識があり,洞察にとみ,援 助的であり,役に立つと評価された. – A群;そのコンピュータで評価を行う. – B群;別室で評価用紙に記入する. • A群はB群と比べて,コンピュータ,作業に対する肯 定的な評価が有意に多い. • 被験者はいわゆる初心者だけではなかった. メディアの権威 • 2台の同一のテレビがおかれている. – ニューステレビ:ニュースのチャンネルに固定してある. – 娯楽テレビ:娯楽番組のチャンネルに固定してある. • 被験者はどちらか一方のテレビで,娯楽番組, ニュースを見る. • その後に番組,テレビの評価を行う. • 娯楽番組は娯楽テレビ,ニュース番組はニューステ レビで見た方が評価が高くなる. 「道具」メタファーによる誤解 • • • • 学習不要の幻想 奴隷的道具観 道具からのメッセージの無視 手順主義 リアリティのパラドックス • 先端的なグラフィックス技術と、顔のモデルを組 み合わせた人工顔が「死人」のように見えてしま う。 • 一方、およそリアルではないものにリアリティを感 じる。 – ELIZA – Rogue、ウィザードリー、たまごっち – トーテミズム、シンボリズム 人を媒介とした類推 人の イメージ ユーザ 人的な情報 システム 写像 agent • 「リアル」への接近が「リアル」を保証するわけで はない。 8 類推の原理 • 重要な、関連する情報を写像する。 – 構造的同型性 – 目標構造 • 重要で関連する情報を顕著にする。 – 構造を見えやすくする – よけいな情報を加えない 類推の研究からの示唆 • 擬人化エージェントの表層的類似性を高めることに より、その本質(構造=人格)が見えなくなってくる。 • 擬人化エージェントにおける表層的類似がどのよう な関係の要素かがわからない。 • 余計なことはあまりせずに本質を見えやすくするこ とが重要。 • 細部は人間の類推的想像力に任せてしまえばよい。 • 表層的類似性と構造的類似性の関係 コミュニケーション的 インタフェース論 • 道具を「道具」ではなく、いっしょに仕事をして、 目的と達成するPeer=同僚として捉える。 • 道具とのやりとりを、目的達成に向けたコミュ ニケーションと捉える。 • インタフェースをコミュニケーションメディアとし て捉える。 不思議な現象 • ワープロにおける文章の移動 – その前まで熱心にやっているにもかかわらずほと んど操作方法がわからない。 • ビデオの予約録画 – 実家に帰ると毎週のように予約録画の方法を教 えてくれと、両親に頼まれる。 道具の人格、文化 • Peerとしての道具は、製作者の人格を受け継ぐ。 – 世界観(分節化、課題の捉え方) – コミュニケーションの仕方 • さらに製作者は、彼が属する文化や共同体の価値 観や規範を受け継ぐ。 • 道具は製作者の属する文化の価値観を受け継ぐ。 • どんな人格?どんな文化? ユーザインタフェースの改善? • 機械の方ではそれなりに工夫している。 • プロンプト • メニューの改善(階層、ポップアップ、プルダ ウン) • アイコンやボタンの活用 9 コピー機 • • • • • 実験で用いたコピー機 高機能化 メニューや操作方法の改善 日常的 事前の訓練がさほどいらない しかし原始的な方法しか知らない人が多い コピー機のパネル部分 ソータ(仕分け)機能の場面 予備的な観察 課題分割ストラテジー • 3名の大学生に5枚の原稿を両面で仕分け機能を 用いて5部コピーするという課題を与える。 • このうち一名(Xさん)は一時間かかった。 • Xさんの特徴 – すべての設定を行わないうちにスタートボタンを押す。 – 一つの設定をやっているのに、別の設定にジャンプする。 – 失敗からの学習がきわめて少ない。 • 情報機器は多くの場合、ユーザに複合課題 の遂行を要求する。 • 複合課題には課題分割が必要。 – 課題がt1, t2, t3 ... tnから成っているならば、 t1, t2, t3 ... tn を行え • このストラテジーはコピー機、ワープロ、予約 録画などにとどまらず、サブタスクが関与する すべての課題に必要になる。 10 課題分割ストラテジー 課題分割実験 課題の ゴール 両面 設定 タイプ 片面 → 両面 印刷枚数 偶数 or 奇数 ソータ 設定 部数 設定 タイプ 丁合 or スタック 5部 • 課題分割という考え方を教えるグループと教 えないグループの比較を行う。 • 教示群:課題分割ストラテジーを日常的な課 題を用いて説明し、一度抽象化させたあとに、 コピー機課題で練習させた。 • 統制群:特になんの教示も行わなかった。 • 題材:コピー機を用いたやや複雑な課題6題 (両面で仕分けをして5部コピーをとる) 課題順の達成時間 課題順のエラー回数 順番別エラー回数 順番別の課題達成時間 3 450 400 2.5 300 250 教示群 統制群 200 150 100 エラー回数 達成時間(秒) 350 2 教示群 統制群 1.5 1 0.5 50 0 0 1 2 3 4 5 6 課題番号 1 2 3 4 5 6 課題順 考察(その1) 考察(その2) • 機械音痴の原因の一端は課題分割ストラテ ジーにある。 • なぜ各種の設定が必要なのかわからない。 • したがって、何をやっているのかを自分で理 解できない。 • うまくいっても失敗してもそれがなぜかわから ない。 • ユーザインタフェースの改善? • ボタンやアイコンは「単語」 • 開始あるいは最後の一手を意味するだけに 過ぎない • タスクの構造について何の展望も与えない。 11 コピー操作画面Aと支援画面 考察(その3) • 練習の効果 • 練習の効果は統制群においてはかなり強く 出た。 • 「慣れればできる」というのは確かに正しい。 • しかし、コピー自体が2分で終わるのに、設定 に400秒もかかるのでは、慣れる前にその操 作をやめてしまう。 1995年の実験結果(エラー回数) コピー機操作画面Cと実験結果 2.5 エラー回数 2 1.5 通常画面群 支援画面群 1 0.5 0 課題1 課題2 課題3 課題4 課題5 課題6 課題番号 • 課題1:支援画面群(0.43) vs. 通常画面群(2.14) • 平均:支援画面群(0.21) vs. 通常画面群(0.48) 設計文化 • 工学、設計の文化=トップダウン方式 • 目標があり、その目標を具体的で、より厳密 に定義できる課題に分解していく。 • この方式はコンピュータに限らず、何かを設 計し、制作する時に普遍的である。 • エラー回数・課題達成時間ともに、操作画面Aを用いた通 常画面群よりも有意に少ない • 操作画面Aを用いた支援画面群よりも、エラー回数はや や少ない(時間は有意に少ない) ユーザ文化 • 利用者の文化 • 目的と必要な操作がダイレクトに結びついて いる。 • 目的を達成したいのであって、サブタスク(わ けのわからない)を実行したいのではない。 12 異文化間コミュニケーション • 機械音痴はこうした2つの異なる文化が衝突 することから生じる。 • ここでは2つの文化の間のコミュニケーション が欠けている。 • 頭が悪いとか、数学ができないなどということ とは無関係 異文化間 ディスコミュニケーション • 設計者は課題分割が欠けている人間を想定 できない。あるいは複雑な機能の実現のため にはそれが不可避であると思っている。 • 利用者は機械を道具としか考えない。した がって、そもそも機械とコミュニケーションをし ようとは思わない。その背後にいる設計者、 および設計者をとりまく文化の存在を無視し ている。 道具と人間の 対話のための条件 • 対話性: – 相手の伝えていることが理解できる。相手が分か るように伝えることができる。 • 可塑性: – 複数のチャンネルを用いて対話できる。 • 開自性: – 自らを開き、相手に触れることで、より深いレベル の相互理解にいたる。 対話性 • システム側 – ユーザが行為の目的を伝える手段があること – 伝えられたことが了解されたかいなかを伝えること – 自分の状態を伝えられること • ユーザ側 – 道具は状態を持つ、という信念 – 道具は何かを伝えている、という信念 – 対話が成り立たないことがある、という信念 可塑性 • システム側 – 複数の操作モードを用意する – 複数の形式で伝え得る • ユーザ側 – 別の伝え方を考える – 課題分割してみる 開自性 • システム側 – 操作の構造、課題の概念化をはっきりと見 せる(自らの課題分割の方法と理念を示す) – どのような理念、制約の下でインタフェース が構成されたのかがわかるようにする • ユーザ側 – 自らの概念化としすてむのそれを対置させ、 システムの背後にある文化を理解する – そしてみずからの文化を相対化する 13 コミュニケーションを阻害する いくつかの主張 – 道具としてのコンピュータ • コンピュータは道具ではない。 • コンピュータは対話相手。 – 情報・メディアリテラシー コミュニケーションを促すマニュアル • 手順主義の克服 • 文体の変更 • 比喩の活用 • 技術を固定している。 • とんでもなく高い理想を掲げる – ユーザフレンドリ • ユーザを劣った人間とみなす。 • 幼稚化と使いやすさを区別できない。 手順主義を越える • 現在のマニュアル – 手順を事細かに伝える – 個々の手順が、全体の構造のどこに位置するか には無頓着 • しかし、初心者ユーザが戸惑うのは、全体の 構造がわからないためである • 構造と手順との融合 研究の目的 • 勉強や仕事を補助する 道具 という位置づけ • マニュアルは操作中心の、非常に端的な文体 ↓ マニュアルの文体を変化 目的:新たな捉え方(Peerメタファの獲得)が コンピュータの学習を促進する 文体 • ユーザのやるべきことがただ述べられている だけ – 「編集メニューから設定を選択します」 • ユーザがシステムとコミュニケーションをして いると実感できるような文体にする – 「編集メニューから設定を選択して、「設定をした い」と伝えてください。」 マニュアルの文体 • 従来 「∼する。 ∼される。」 ↓ • Peerメタファ 「∼したいので、∼して伝えてください。」 単純な語尾の変化だけに止めている 14 道具とみなす危険性 Peerメタファの効果 • 意思を持たない 道具 とみなすので、コン ピュータが出す情報は初めからないものとし て無視してしまう。 • 画面に手がかりはないと思い、とにかく手順 を覚えようとしてしまう。 ↓ Peerメタファ:コンピュータは同僚 • Peerとみなすことで、相手の意見(コン ピュータの情報)に耳を傾ける。 • 操作をコミュニケーションとして捉えるの で、手順の丸暗記にならない。 実験内容 達成度 • 被験者を2群に分け、それぞれマニュアルを 読んで、操作を学習。 • 課題 1、類似課題:マニュアルでの学習効果を調べる。 2、操作類似課題:操作手順を把握しているか。 3、意義理解課題:型どおりの操作になっていないか。 4、応用課題:操作の応用が利くかどうか。 達成度(課題別) 単位: 点数 3 2.5 2 実験群 統制群 1.5 1 0.5 0 類似 ミステイクの発生頻度 操作類似 意義理解 応用 外界の情報(確認頻度) ミステイクの推移 範囲確認頻度 単位: 回 単位:回 2.5 3.00 2.0 2.50 1.5 実験群 統制群 1.0 2.00 1.50 1.00 0.5 0.50 0.0 操作類似 意義 応用 0.00 実験群 統制群 15 結論 比喩の活用 • 熟達者の比喩 Peerメタファを用いることで… • 学習が促進される。 • 操作の丸暗記ではなく、本質の理解が促され る。 • 画面上の情報を、積極的に吸収するようにな る。 タンジブルビット(石井裕) デジタル情報(ビット)に 物理的実体を与える 身体的、全体的 感覚 人間の手による 情報の直接操作 (graspable objects, direct manipulation) 意識の周辺における 情報の環境的認知 (ambient media) ピンポンプラス • 卓球と研究の融合? • 卓球台の下にマイクを 多数設置。 • これの出す音波を拾う。 • この音波に基づき、波 紋、魚の動きをコン ピュータで計算。 • この画像を天井から吊 したプロジェクタで投影。 – ピーエス吐かせてさー – エディタを抜けて、 – 僕の殺してもらえますぅ? • 単なるペダンティック、エキセントリックな表現 ではない • 彼らのシステムの概念化を、豊かなイメージ をもって伝えている クリアボード • 遠隔対面コミュニケー ションのためのボード • ガラスの両側から、人 が話しているかのよう に対話できる。 • 1つの図面(ボード)を 共有する。 (情報)かざぐるま • ネットワークのトラフィッ クデータを集める。 • この値に基づき、かざ ぐるまを動かすモータを 制御する。 16 ミュージック・ボトル • ガラス瓶のふたを開けると、 瓶の種類に応じた音楽が 流れる。 • 音楽に合わせて、テーブル の下のライトが微妙に変化 する。 • テーブル下のコイルが電磁 界を作る。 • ふたの開け閉めによる電磁 界の変化を検出。 • 対応したプログラム(音楽、 光)の動作。 イン・タッチ • 3本のローラからなる、 1組のデバイス。 • 片方の動きと完全に同 調するように他方が動 く。 • 協調感覚、抵抗感覚な どを感じ取ることができ る。 Topobo • 動きを記憶する部品を用い る。 • これに適当な動きを記憶さ せる。 • 適当な部品(動かない)と組 み合わせる。 • 前の動きを再現する。 • 教育用おもちゃ。 • ある動きが特定の身体の 中でどのような形で現れる かがわかる。 17
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