インタフェースの認知科学 - 青山学院大学総合研究所

人間の情報処理モデル
視覚貯蔵庫
VIS
保持容量:7−17文字
減衰:200msec
インタフェースと認知科学
認知工学
擬人化エージェント
ARTプロジェクト
アフォーダンス
課題分割
ユーザ文化と設計者文化
刺激
情報
知覚
プロセッサ
T:100ms
聴覚貯蔵庫
AIS
保持容量:5文字
減衰:1500msec
GOMS
• ゴール(G)
– 課題、なすべきこと(段落を移動する、ボールドフォントに
する)
• カーソルをXの先頭に移動
– 選択+選択ルール:
» マウスでポイント
»
オペレータ:手をマウスに伸ばす
»
オペレータ:適切なだけマウスを移動する.
» カーソルキーで移動
• このように具体的なオペレータのレベル(Keystroke
Level)まで課題を分解する.
• 各段階でかかる時間を予測する.
切り貼り方法(2):
コンテクストメニュー
切り貼り方法(1):古典的
• 始点を設定する
– マウスを握る(移動)
– 始点でカーソルクリック(移動)
• 終点を設定する
– 終点までドラッグ(移動)
– ドラッグをやめる
• 切り取る
– 編集メニューをクリック(選択+移動)
– 切り取りをクリック(選択+移動)
• 行き先を指定する
– 行き先をクリック(移動)
• 貼り付ける
– 編集メニューをクリック(選択+移動)
– 貼り付けをクリック(選択+移動)
• 終了
運動・行為
– ゴール:Xをカットバッファへ
• メソッド(M)
– どの方法を用いるべきかの判断。
運動
プロセッサ
T:70ms
• ゴール:行Xを行Yに移動.
– 具体的な行為(カーソルを移動する、メニューバーからB
を探す)
• 選択ルール(S)
認知
プロセッサ
T:70ms
GOMSの適用例
• オペレータ(O)
– ゴールを達成すべき方法=オペレータの組み合わせ(切
り取って貼り付け、フォントの変更)
作業記憶
WM, STM
保持容量:7チャンク
減衰:7秒
• 始点を設定する
– マウスを握る(移動)
– 始点でカーソルクリック
• 終点を設定する
– 終点までドラッグ(移動)
– ドラッグをやめる
• 切り取る
– 右クリック
– 切り取りをクリック(選択+移動)
• 行き先を指定する
– 行き先をクリック(移動)
• 貼り付ける
– 右クリック
– 貼り付けをクリック(選択+移動)
• 終了
1
切り貼りの方法(3):ドラッグ
• 始点を設定する
– マウスを握る(移動)
– 始点でカーソルクリック
• 終点を設定する
– 終点までドラッグ(移動)
– ドラッグをやめる
• 行き先を指定する
– 選択部分をクリック(移動)
– 行き先までドラッグ(移動)
• 終了
切り貼り方法(4):ショートカット
• 始点を設定する
– マウスを握る(移動)
– 始点でカーソルクリック
• 終点を設定する
– 終点までドラッグ(移動)
– ドラッグをやめる
• 切り取る
– Ctrl-X(指の移動)
• 行き先を指定する
– 行き先をクリック(移動)
• 貼り付ける
– Ctrl-V(指の移動)
• 終了
NormanのUCSDモデル
UCSDモデル
• UCSD(user-centered system design)
• 実行過程
– 目標生成,意図の形成
– 入力選択:実際の操作をプランする.
– 実行:装置を実際に操作する.
• ユーザの心理世界とシステムの物理世界の間にあ
る溝.
• これをできるだけ少なくするのが,よいユーザインタ
フェースとなる.
• 評価過程
– ディスプレイを知覚する.
– その意味を解釈する.
– 目的の達成に貢献したかを評価する.
2つの距離
UCSDモデルの適用例
• 段落移動
• 実行過程
– 目標,意図:段落を移動したい.
– 入力選択:部分の選択+カット+ペースト
– 実行:マウス移動,メニュー操作
• 評価過程
– 知覚:段落の反転,移動の結果
– 解釈:段落の反転(=選択),目標位置
– 評価:正しく移動したか.
• 意味的距離
– ユーザは自らの目標をシステムの用語に翻訳し
なければならない.
– |システムの意味−ユーザの意味|
– 自らの目的がシステムの中でどのように実現でき
るか.
– 変更=選択+操作
– 移動=選択+カット+ペースト
• 形状的距離
– 翻訳され意味が具体的にどのように実行可能か.
– |システム中の実現形式−プランの実現形式|
2
Rasmussen
Rasmussenのモデル
• 利用者の学習状態に応じたモデルになっている.
– 初期:問題解決的,思考しながら課題を遂行する.
• 移動するときは、まずその部分を切り取るわけだから、編集メ
ニューで切り取りをやって・・・・・
– 中期:利用しやすい手続き的知識,ルールによって課題
を遂行する.
• 移動なんだから、切り取って、貼り付ける
– 後期:目標,出力のパターンに反射的に対処し,課題を遂
行する.
• ただ手が自動的に動く。
わかりやすさと学習のトレードオフ
認知工学
• 始めは豊富なメッセージを提供し,ステップバ
イステップで作業を進めた方がよい.
• 「認知工学とは、計算機科学によるシステムの知識
と、認知科学によるユーザ とタスクについての知識
を、よりよいシステムのデザインという工学的目的
の ために応用する分野である」(宮田, 1987).
• 論理的、合理的分析によるタスクと、人間が捉える
タスクとの間のギャップを 埋めるための現実的な手
段を考案すること。
• 人間工学が人間の感覚、知覚、運動機能との関連
でインタフェースを考 えるのに対して、認知工学は
認知(記憶、概念、表象、メンタルモデル、学 習、思
考)との関連でインタフェースを考える(海保, 1991)。
– 対話
– イルカ?
• しかし慣れてくると,これらが煩わしくなる.
– ショートカット
– カスタマイゼーション
– 適応的インタフェース(?)
我が家の居間と廊下
スイッチ
バスの運賃箱
スイッチ
• 1:運賃投入口
• 2:両替用紙幣投入口
(1,000円札のみ)
• 3:両替用硬貨投入口
(500円,100円,50円
硬貨)
• 4:カード乗車券挿入口
• 5:両替後硬貨取出口
3
携帯のバッテリ残量
• 3つほど山があり徐々に減っていく。
• 等間隔で減っていくのでは?
X
デザインと利用の葛藤
• デザイナの思考
• ユーザ
– 見栄えのいいものを好む
– 機能が多いものを好む
– 使いやすいものを好む??
– 本当は何がほしいのかよくわかっていない。
– 水平面 → 座る、置く
– 垂直面 → 止まる、寄りかかる、(押す)
– 出っぱり → 押す
– くぼみ → 入れる
擬人化 Agent
アフォーダンス
押
アフォーダンス
• 環境がそこに存在する生体に対して提供する
「価値」、「意味」。
• 行為の可能性を意味する。
• 意味、「行為の」可能性なのだから、外界に存
在するというわけではない。
– 見栄えの良さが一番
– 出っ張り、文字、注意書きはきらい!
– 必要なものを隠す
• よいアフォーダンス
フロッピー
して
• アフォーダンスの例
– 諏訪さん(中京大)の学
生によるコレクション(間
違いもあり)
• 貼り紙とは??
て
引い
– 野島さん(NTT)のコレク
ション
4
MS Agent
• パソコンのデスクトップやウェブ上で、インタラクティ
ブな案内をするアニメ・キャラクター(アバター)が作
成できるソフトの名称。
• 仮想的なキャラクターがユーザーに応対する
ActiveXを用いて作成されたエージェントの総称。
• マウスやキーボードに加えて、新たなユーザー・イン
タフェースとして付け加えられた。
• このエージェントに相談しながら、作業の代行を依
頼することができる。
エージェント
• 応答的、自律的なコンピュータプログラム
• システム、あるいはユーザの代わりになって、
インタフェースを円滑にする(インタフェース
エージェント)
• 多くの場合、人、あるいは生き物のような形を
したエージェントが用いられる。
• 話したり、動作をしたりすることが多い。
• ユーザが自分の好みでカスタマイズできる。
• Yahooの提供するavatar
Knowledge Interaction Design
(by 中小路)
• 情報創出
– 曖昧なゴール
– 徐々に部分を作り上げる
– 徐々に全体のイメージを作る
• 表現と操作
– 表現:考えを何らかの形で外に表す
– 操作:表現されたものを動かす
• 表現と操作のモデル化
マルチモーダルインタフェース
• Multimodal=multi(多様な)+modal(感覚
的)
• 現在のテキスト的情報に欠けている、
– 表情
– 抑揚
– 動作
• を加えることにより、より実感のある、安心し
たインタフェースを開発する。
• NTTでの取り組み
既存のアプリケーションの問題
• WYSWYGはいいのか?
– 成果物の見かけを表現しているだけでは?
• ワープロ
– 途中のアイディアをどう表現する。
– アイディア間の関係をどう表現する。
– 全体(ゴール)と部分の関係をどう表現する。
外化の意味
• 手書きメモ、スケッチ
• シンボル性、文脈、関連性にあいまいさを残
す
• それゆえ、解釈の多様性が確保される。
• Reflection-in-Action vs. Reflection-onAction
• 「問題」と「解」の相互作用
• 部分と全体の相互作用
5
アプリケーションの要件
•
•
•
•
表現のあいまいさを表すことができる。
解のみならず、問題も表すことができる。
作りつつある部分と全体とが一望できる。
上記を直感的に操作できる。
ARTプロジェクト
• Amplifying Representational Talkback
• 表現されたものからの語り返し(Talkback)を重視す
る。
エレメント
スペース
ドキュメント
ビューワー
• WSYWYGはいいのか?
– 成果物の見かけを表現しているだけでは?
エレメント
エディタ
私が戦っていること
コミュニケーション的観点から
見たユーザインタフェースにおけ
る信頼と愛着
鈴木宏昭(青山学院大学文学部)
植田一博(東京大学情報学環)
道具的コンピュータ観
• ビジネス
– Office Suite Users
• 学校教育
– 「コンピュータで学ぶ」
• ホームユース
• 道具復古主義
– 単純な道具とのアナロジーでインタフェースの問
題を解決しようとしている人たち
– アフォーダンス、透明性
• 誤解したリアリティに基づくインタフェース
– 「現実」に近づけばよいと考え、ハイテクづくめの
インタフェースを考えている人たち
– 必要のないVR、バンド幅消費指向のインタフェー
ス
なぜ道具ではだめか?
• 古典的道具と情報機器との違いを無視する
から
• 道具への愛着を説明できないから
• 情報機器の学習に対する誤解を生み出すか
ら
– ネットサーフィン
– ワープロ(年賀状)
6
道具の3条件
• 佐伯(1997)「新・コンピュータと教育」(岩波)
• 非規範性
– 道具から人間にあれこれと指示を出さない。
• 手段性
– 道具は人間の目標の達成のための手段とならねばな
らない。
• 透明性
– 道具はそれが使われるとき、人間の意識に上らず、身
体の自然な延長でなければならない。
道具への愛着
• 人は道具を奴隷として扱うか?
• 専門家と道具の関係
– 大工や料理人
– もの書き
• 素人と道具の関係
– ドライバーと車
– 携帯電話
メディアへの反応
• メディアと実在の混同は,まれに見られるも
のでも,また無知のせいでもない.
• 人はfundamentally socially and naturallyに
メディアに対して対人反応をする.
• 長い進化の過程で,これはアクティブに反応
するものが,人間に限られていたためである
(脳の未発達?)
情報機器の「道具」性
• 典型的な道具=3条件を満たすもの(はさ
み、金槌、なべ)
• 情報機器は3条件を満たすか?
– 多機能性:何をしたいかを告げる
– 編集性:通常の道具では不可能な高度な編集
が可能(どこをどうするの指定)
– 応答性、対話性:問い合わせ、指示の連鎖に
よる目的の達成
Media Equation
Reeves & Nass (1995)
• 人はメディアが実際の人間であるかのように振る舞
う
• 礼儀正しさ
• 人格(内向 vs. 外向)
• チームワーク
• 応報性(竹内・片桐、1998)
• などにおいて人間の対人行動で見られるのと同様
の反応がメディアに対してなされている.
Media Equationの戦略
• 社会科学の論文で、人に対する、あるいは環境に
対する人間の反応を記 したものを選ぶ、
• そこでルール化されていることを抜き出す
• そのルールの中で「人」と書かれてある部分を「メ
ディア」に置き換える
• その論文でどうやってテストを行ったかの部分を抜
き出す、
• そのテストの中で「人」と書かれてある部分を「メ
ディア」に置き換える
• 実験を行う
• 結果の含意を考える
7
メディアへの礼儀?
メディアの人格
• データベースへの入力を行わせる.
• そのコンピュータ,作業などについて評価を行っても
らう.
• 人間の性格はdominance/submissiveの次元を持
つ.
• 同じタイプの人を人間は好きになる.
• もしコンピュータのメッセージにdominance(命令,
断定)なもの,submissive(質問,サジェッション)な
ものを入れたらどうなるか?
• これらのコンピュータに各々の性格を持つ人を割り
当てる.
• マッチしたコンピュータを使った場合は,そのコン
ピュータは知的であり,知識があり,洞察にとみ,援
助的であり,役に立つと評価された.
– A群;そのコンピュータで評価を行う.
– B群;別室で評価用紙に記入する.
• A群はB群と比べて,コンピュータ,作業に対する肯
定的な評価が有意に多い.
• 被験者はいわゆる初心者だけではなかった.
メディアの権威
• 2台の同一のテレビがおかれている.
– ニューステレビ:ニュースのチャンネルに固定してある.
– 娯楽テレビ:娯楽番組のチャンネルに固定してある.
• 被験者はどちらか一方のテレビで,娯楽番組,
ニュースを見る.
• その後に番組,テレビの評価を行う.
• 娯楽番組は娯楽テレビ,ニュース番組はニューステ
レビで見た方が評価が高くなる.
「道具」メタファーによる誤解
•
•
•
•
学習不要の幻想
奴隷的道具観
道具からのメッセージの無視
手順主義
リアリティのパラドックス
• 先端的なグラフィックス技術と、顔のモデルを組
み合わせた人工顔が「死人」のように見えてしま
う。
• 一方、およそリアルではないものにリアリティを感
じる。
– ELIZA
– Rogue、ウィザードリー、たまごっち
– トーテミズム、シンボリズム
人を媒介とした類推
人の
イメージ
ユーザ
人的な情報
システム
写像
agent
• 「リアル」への接近が「リアル」を保証するわけで
はない。
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類推の原理
• 重要な、関連する情報を写像する。
– 構造的同型性
– 目標構造
• 重要で関連する情報を顕著にする。
– 構造を見えやすくする
– よけいな情報を加えない
類推の研究からの示唆
• 擬人化エージェントの表層的類似性を高めることに
より、その本質(構造=人格)が見えなくなってくる。
• 擬人化エージェントにおける表層的類似がどのよう
な関係の要素かがわからない。
• 余計なことはあまりせずに本質を見えやすくするこ
とが重要。
• 細部は人間の類推的想像力に任せてしまえばよい。
• 表層的類似性と構造的類似性の関係
コミュニケーション的
インタフェース論
• 道具を「道具」ではなく、いっしょに仕事をして、
目的と達成するPeer=同僚として捉える。
• 道具とのやりとりを、目的達成に向けたコミュ
ニケーションと捉える。
• インタフェースをコミュニケーションメディアとし
て捉える。
不思議な現象
• ワープロにおける文章の移動
– その前まで熱心にやっているにもかかわらずほと
んど操作方法がわからない。
• ビデオの予約録画
– 実家に帰ると毎週のように予約録画の方法を教
えてくれと、両親に頼まれる。
道具の人格、文化
• Peerとしての道具は、製作者の人格を受け継ぐ。
– 世界観(分節化、課題の捉え方)
– コミュニケーションの仕方
• さらに製作者は、彼が属する文化や共同体の価値
観や規範を受け継ぐ。
• 道具は製作者の属する文化の価値観を受け継ぐ。
• どんな人格?どんな文化?
ユーザインタフェースの改善?
• 機械の方ではそれなりに工夫している。
• プロンプト
• メニューの改善(階層、ポップアップ、プルダ
ウン)
• アイコンやボタンの活用
9
コピー機
•
•
•
•
•
実験で用いたコピー機
高機能化
メニューや操作方法の改善
日常的
事前の訓練がさほどいらない
しかし原始的な方法しか知らない人が多い
コピー機のパネル部分
ソータ(仕分け)機能の場面
予備的な観察
課題分割ストラテジー
• 3名の大学生に5枚の原稿を両面で仕分け機能を
用いて5部コピーするという課題を与える。
• このうち一名(Xさん)は一時間かかった。
• Xさんの特徴
– すべての設定を行わないうちにスタートボタンを押す。
– 一つの設定をやっているのに、別の設定にジャンプする。
– 失敗からの学習がきわめて少ない。
• 情報機器は多くの場合、ユーザに複合課題
の遂行を要求する。
• 複合課題には課題分割が必要。
– 課題がt1, t2, t3 ... tnから成っているならば、 t1, t2,
t3 ... tn を行え
• このストラテジーはコピー機、ワープロ、予約
録画などにとどまらず、サブタスクが関与する
すべての課題に必要になる。
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課題分割ストラテジー
課題分割実験
課題の
ゴール
両面
設定
タイプ
片面
→
両面
印刷枚数
偶数
or
奇数
ソータ
設定
部数
設定
タイプ
丁合
or
スタック
5部
• 課題分割という考え方を教えるグループと教
えないグループの比較を行う。
• 教示群:課題分割ストラテジーを日常的な課
題を用いて説明し、一度抽象化させたあとに、
コピー機課題で練習させた。
• 統制群:特になんの教示も行わなかった。
• 題材:コピー機を用いたやや複雑な課題6題
(両面で仕分けをして5部コピーをとる)
課題順の達成時間
課題順のエラー回数
順番別エラー回数
順番別の課題達成時間
3
450
400
2.5
300
250
教示群
統制群
200
150
100
エラー回数
達成時間(秒)
350
2
教示群
統制群
1.5
1
0.5
50
0
0
1
2
3
4
5
6
課題番号
1
2
3
4
5
6
課題順
考察(その1)
考察(その2)
• 機械音痴の原因の一端は課題分割ストラテ
ジーにある。
• なぜ各種の設定が必要なのかわからない。
• したがって、何をやっているのかを自分で理
解できない。
• うまくいっても失敗してもそれがなぜかわから
ない。
• ユーザインタフェースの改善?
• ボタンやアイコンは「単語」
• 開始あるいは最後の一手を意味するだけに
過ぎない
• タスクの構造について何の展望も与えない。
11
コピー操作画面Aと支援画面
考察(その3)
• 練習の効果
• 練習の効果は統制群においてはかなり強く
出た。
• 「慣れればできる」というのは確かに正しい。
• しかし、コピー自体が2分で終わるのに、設定
に400秒もかかるのでは、慣れる前にその操
作をやめてしまう。
1995年の実験結果(エラー回数)
コピー機操作画面Cと実験結果
2.5
エラー回数
2
1.5
通常画面群
支援画面群
1
0.5
0
課題1
課題2
課題3
課題4
課題5
課題6
課題番号
• 課題1:支援画面群(0.43) vs. 通常画面群(2.14)
• 平均:支援画面群(0.21) vs. 通常画面群(0.48)
設計文化
• 工学、設計の文化=トップダウン方式
• 目標があり、その目標を具体的で、より厳密
に定義できる課題に分解していく。
• この方式はコンピュータに限らず、何かを設
計し、制作する時に普遍的である。
• エラー回数・課題達成時間ともに、操作画面Aを用いた通
常画面群よりも有意に少ない
• 操作画面Aを用いた支援画面群よりも、エラー回数はや
や少ない(時間は有意に少ない)
ユーザ文化
• 利用者の文化
• 目的と必要な操作がダイレクトに結びついて
いる。
• 目的を達成したいのであって、サブタスク(わ
けのわからない)を実行したいのではない。
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異文化間コミュニケーション
• 機械音痴はこうした2つの異なる文化が衝突
することから生じる。
• ここでは2つの文化の間のコミュニケーション
が欠けている。
• 頭が悪いとか、数学ができないなどということ
とは無関係
異文化間
ディスコミュニケーション
• 設計者は課題分割が欠けている人間を想定
できない。あるいは複雑な機能の実現のため
にはそれが不可避であると思っている。
• 利用者は機械を道具としか考えない。した
がって、そもそも機械とコミュニケーションをし
ようとは思わない。その背後にいる設計者、
および設計者をとりまく文化の存在を無視し
ている。
道具と人間の
対話のための条件
• 対話性:
– 相手の伝えていることが理解できる。相手が分か
るように伝えることができる。
• 可塑性:
– 複数のチャンネルを用いて対話できる。
• 開自性:
– 自らを開き、相手に触れることで、より深いレベル
の相互理解にいたる。
対話性
• システム側
– ユーザが行為の目的を伝える手段があること
– 伝えられたことが了解されたかいなかを伝えること
– 自分の状態を伝えられること
• ユーザ側
– 道具は状態を持つ、という信念
– 道具は何かを伝えている、という信念
– 対話が成り立たないことがある、という信念
可塑性
• システム側
– 複数の操作モードを用意する
– 複数の形式で伝え得る
• ユーザ側
– 別の伝え方を考える
– 課題分割してみる
開自性
• システム側
– 操作の構造、課題の概念化をはっきりと見
せる(自らの課題分割の方法と理念を示す)
– どのような理念、制約の下でインタフェース
が構成されたのかがわかるようにする
• ユーザ側
– 自らの概念化としすてむのそれを対置させ、
システムの背後にある文化を理解する
– そしてみずからの文化を相対化する
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コミュニケーションを阻害する
いくつかの主張
– 道具としてのコンピュータ
• コンピュータは道具ではない。
• コンピュータは対話相手。
– 情報・メディアリテラシー
コミュニケーションを促すマニュアル
• 手順主義の克服
• 文体の変更
• 比喩の活用
• 技術を固定している。
• とんでもなく高い理想を掲げる
– ユーザフレンドリ
• ユーザを劣った人間とみなす。
• 幼稚化と使いやすさを区別できない。
手順主義を越える
• 現在のマニュアル
– 手順を事細かに伝える
– 個々の手順が、全体の構造のどこに位置するか
には無頓着
• しかし、初心者ユーザが戸惑うのは、全体の
構造がわからないためである
• 構造と手順との融合
研究の目的
• 勉強や仕事を補助する 道具 という位置づけ
• マニュアルは操作中心の、非常に端的な文体
↓
マニュアルの文体を変化
目的:新たな捉え方(Peerメタファの獲得)が
コンピュータの学習を促進する
文体
• ユーザのやるべきことがただ述べられている
だけ
– 「編集メニューから設定を選択します」
• ユーザがシステムとコミュニケーションをして
いると実感できるような文体にする
– 「編集メニューから設定を選択して、「設定をした
い」と伝えてください。」
マニュアルの文体
• 従来 「∼する。 ∼される。」
↓
• Peerメタファ
「∼したいので、∼して伝えてください。」
単純な語尾の変化だけに止めている
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道具とみなす危険性
Peerメタファの効果
• 意思を持たない 道具 とみなすので、コン
ピュータが出す情報は初めからないものとし
て無視してしまう。
• 画面に手がかりはないと思い、とにかく手順
を覚えようとしてしまう。
↓
Peerメタファ:コンピュータは同僚
• Peerとみなすことで、相手の意見(コン
ピュータの情報)に耳を傾ける。
• 操作をコミュニケーションとして捉えるの
で、手順の丸暗記にならない。
実験内容
達成度
• 被験者を2群に分け、それぞれマニュアルを
読んで、操作を学習。
• 課題
1、類似課題:マニュアルでの学習効果を調べる。
2、操作類似課題:操作手順を把握しているか。
3、意義理解課題:型どおりの操作になっていないか。
4、応用課題:操作の応用が利くかどうか。
達成度(課題別)
単位: 点数
3
2.5
2
実験群
統制群
1.5
1
0.5
0
類似
ミステイクの発生頻度
操作類似
意義理解
応用
外界の情報(確認頻度)
ミステイクの推移
範囲確認頻度
単位: 回
単位:回
2.5
3.00
2.0
2.50
1.5
実験群
統制群
1.0
2.00
1.50
1.00
0.5
0.50
0.0
操作類似
意義
応用
0.00
実験群
統制群
15
結論
比喩の活用
• 熟達者の比喩
Peerメタファを用いることで…
• 学習が促進される。
• 操作の丸暗記ではなく、本質の理解が促され
る。
• 画面上の情報を、積極的に吸収するようにな
る。
タンジブルビット(石井裕)
デジタル情報(ビット)に
物理的実体を与える
身体的、全体的
感覚
人間の手による
情報の直接操作
(graspable objects,
direct manipulation)
意識の周辺における
情報の環境的認知
(ambient media)
ピンポンプラス
• 卓球と研究の融合?
• 卓球台の下にマイクを
多数設置。
• これの出す音波を拾う。
• この音波に基づき、波
紋、魚の動きをコン
ピュータで計算。
• この画像を天井から吊
したプロジェクタで投影。
– ピーエス吐かせてさー
– エディタを抜けて、
– 僕の殺してもらえますぅ?
• 単なるペダンティック、エキセントリックな表現
ではない
• 彼らのシステムの概念化を、豊かなイメージ
をもって伝えている
クリアボード
• 遠隔対面コミュニケー
ションのためのボード
• ガラスの両側から、人
が話しているかのよう
に対話できる。
• 1つの図面(ボード)を
共有する。
(情報)かざぐるま
• ネットワークのトラフィッ
クデータを集める。
• この値に基づき、かざ
ぐるまを動かすモータを
制御する。
16
ミュージック・ボトル
• ガラス瓶のふたを開けると、
瓶の種類に応じた音楽が
流れる。
• 音楽に合わせて、テーブル
の下のライトが微妙に変化
する。
• テーブル下のコイルが電磁
界を作る。
• ふたの開け閉めによる電磁
界の変化を検出。
• 対応したプログラム(音楽、
光)の動作。
イン・タッチ
• 3本のローラからなる、
1組のデバイス。
• 片方の動きと完全に同
調するように他方が動
く。
• 協調感覚、抵抗感覚な
どを感じ取ることができ
る。
Topobo
• 動きを記憶する部品を用い
る。
• これに適当な動きを記憶さ
せる。
• 適当な部品(動かない)と組
み合わせる。
• 前の動きを再現する。
• 教育用おもちゃ。
• ある動きが特定の身体の
中でどのような形で現れる
かがわかる。
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