トランコム株式会社 事例紹介 物流における、トラックの「空車情報」と 荷主の「貨物情報」のマッチング確度を向上させ、 マッチングビジネスの成約率を前年比20%向上 あらゆる業界の物流を知り尽くした物流サービスのプロフェッショ ナル企業、 トランコム株式会社(以下、 トランコム) 。 同社の物流情報 サービスグループが提供している、 トラックの「空車情報」 と荷主の 「貨物情報」 をマッチングするサービスでは、 未来予測によるマッチン グ精度向上や業務の効率化のためにMotionBoardを採用した。デー タ分析と活用によるワークスタイル改革によってマッチングビジネ スの成約率は前年比20%向上し、 売上高も増加した。 人材不足の解消 やスタッフのモチベーションと顧客満足度向上を実現した。 採用の背景 Company Profile ● 景気変動で空車不足に。マッチングのアプローチ手法を改善したかった ● 空車と貨物情報を簡単に調査し、容易にマッチングできる仕組みが必要だった ● 過去実績データを統計的に分析して未来予測し、営業や運営に活用したかった トランコム株式会社 設立 所在地 :愛知県名古屋市 事業内容 : 物流のプランニングから運営管理、情報シス テムの開発運用までをワンストップで提供可 能な、物流企業の枠を超えたロジスティクス コラボレーター企業。日本国内を中心にアジ ア130の拠点、1万社を超えるパートナー企業 によるネットワークがクライアントの物流の 最適化を実現している。 URL 選定ポイント :1959年6月22日 : http://www.trancom.co.jp/ Interview ● クライアントライセンスフリーなのでライセンス費が他社の3分の1だった ● ウイングアーク1stの手厚い導入サポートと定着化への支援を評価した 導入効果 ● 実績データに基づく分析による未来予測で、確度の高いアプローチが可能になった ● 計画達成を日割りで数値化し、視覚化できるため、努力すべき目標が明確になった ● スタッフのスキルや実績、貢献度を分析することにより、評価の適正化を図れるため、 スタッフのモチベーションが向上した ● オーダー特性を分析することで、パート社員の勤務時間の適正化とオペレーション の効率化が図れた。結果、労働生産性が向上し、人材不足が解消した MotionBoard 導入後の驚きの声! Before トランコム株式会社 物流情報サービスグループ 管理・システム担当 マネージャー 加藤 由貢 氏 After 「徹底した業務分析の結果、貨物情報と空車情 「クライアントが空車/貨物を必要とするタイ 報のピークのタイミングにズレがあり、クラ ミングでピンポイントにアプローチできるよ イアントごとにピンポイントな、高確度のアプ うになり、成約率が2倍となった。実績分析に ローチが必要だった。そのためには情報共有シ よって未来予測や売上目標に対する進捗の視 ステムの見直しが必要だった」 覚化もできたほか、スタッフの強み・弱みの 分析や評価も容易になった」 トランコム株式会社 荷主と空車のマッチングで 物流を劇的に効率化する す」 (加藤氏) 割り出すなど、加藤氏は新たなアプローチを模索 トランコムでは他社に先駆けて2002年に、独 した。その一方、社員にかかっている負荷を調査 」 を運 自の配車システム「COMPASS(コンパス) したところ、午前中に業務が集中していることが 日本国内外に合計130の拠点をもつ総合物流企 用開始。それまでは個人ベースで管理されて属人 判明したのである。 業トランコム。その中で、コアビジネスの物流情報 化していた取引先情報をシステムで共有したこ サービスグループは、日本国内外に合計31の拠点 とで情報収集力が圧倒的に強化され、マッチング と全国1万社を超える物流パートナー企業のネッ 成約も順調に増えていた。 パート社員の活用とBI導入 導入コストと支援の品質を評価 トワークを持っている。物流を運送会社へ委託し しかし10年が過ぎ、物流情報サービスグルー ているメーカー企業にとって、コストを抑制しつ プにとって死活問題ともいえる現象が生じたの 加藤氏は時間帯別の業務負担と必要な人員 つ商品を目的地へ適切に届けることは、重要な課 である。2008年に発生したリーマンショック を分析し、時間と人の使い方を見直した。そして 題のひとつだ。一般的に運送会社は、目的地で貨物 によって景気は悪化。貨物は減少し、運送会社も サービスレベルが低下していた午前を中心に、 を降ろした後、新たに積む貨物がない場合、空車の コンプライアンス強化や労働環境改善の影響に ショートタイムのパート社員の大幅増員に踏み まま回送する。これでは運送会社にとっては片道 よってトラック台数を減らしつつあった。ところ 切った。だが、単に人を増やすだけでは成果に結 分の利益にしかならず、非効率的である。 が2012年頃から景気は徐々に回復し、2013年 びつきにくい。いかにして熟練したスタッフと同 運送企業には中小企業が多く、独自に貨物を集 には貨物量は一気に増加に転じた。その結果、従 等のパフォーマンスを発揮してもらうかを検討 めるには労力が大きすぎる。そこでトランコムの物 来の「貨物情報より空車情報の方が多い」という した結果、加藤氏が行きついたのがBIツールの導 流情報サービスグループでは、こうした「貨物を求 状況から逆転し、 「空車よりも貨物の方が多い」と 入と活用だった。 めるトラック」と、「トラックを求める荷主」の情報 いう事態となったのである。空車情報をより正確 「短時間でも働きたいという意欲のある女性 を収集して照会し、相互のニーズが一致した場合は に把握し、トラックを1台でも多く確保すること を中心に採用したことは非常に良い効果があり マッチング(成約)することをビジネスとしている。 が必要となった。 ました。パート社員は効率的に事務作業に当たっ 運送会社の利益改善に貢献し、荷主にとっても この課題解決が求められたタイミングで加藤氏 てくれて、何よりしっかりと数字を作ってくれま 輸送コスト削減や業務効率化を実現するこのビジ は着任した。 「何が起きているのか、徹底的な現状 す。パート社員の時給を上げても、効率的に働い ネスのニーズは飛躍的に高まっており、トランコ 分析を行いました」と加藤氏は振り返る。 「分析に ていただくことにより、トータルでの人件費を抑 ムの物流情報サービスグループは年間約100万台 よって、 興味深い事実に気づきました。 空車情報は えることが可能です」 (加藤氏) のマッチング実績によって、年商616億円(2015年 減少しているにも関わらず、マッチング率は40% そして、 「誰にでもわかりやすく、 簡単に扱える 3月)の事業へと成長した。 程度。トラックは不足しているのに、60 %のト システムを作りたいと考えました。そこでまず、 ラックが成約できずにいたのです」 (加藤氏) 。 自分たちの業務を仔細に分解し、何を改善すれば 景気の変動で空車不足に直面 業務分析で課題を発見 明らかになったのは、 「空車情報は前日午前に より効率が上がるのかを徹底的に調査しました。 ピークを迎えるが、貨物情報は前日午後にピー 出来上がった『営業利益分解図』 は、 経営的視点の クを迎える傾向がある」ということ。つまり空車 KPIと、業務現場のKPIを多層的に表現した内容 このマッチング業務には4つのステップがある ピーク時に貨物情報はなく、貨物情報がピークの です。重なる視点と切り分ける視点が明確に分解 と、同社物流情報サービスグループ 管理・シス 頃には空車がない」のである。 「 それまで当社で されています」と加藤氏は説明する。 「当社では職 テム担当 マネージャー 加藤由貢氏は話す。 は、独自に時間枠を区切り、社内の独自のリスト 位・階層で見るべき視点が異なります。そのた 「①運送会社の空車情報の獲得 ②荷主の貨物情 に従って取引先に電話をしていました。しかし情 め、 『何をみせるべきか』 『具体的にどうみせるべ 報の獲得 ③獲得した空車情報と貨物情報との 報を取得できるタイミングはお客様によって異 きか』 『そのデータから何がわかるのか(定着) 』 を マッチング ④集荷に向かうドライバーへの経路 なり、需要と供給のタイミングにズレがありまし しっかり考え、管理職者が見るデータと、現場の の連絡(誘導) 。 これらの業務を担当する正社員と た。お客様ごとにピンポイントかつ、確度の高い アジャスターが見るデータを分離する必要があ パート社員の営業スタッフを当社では『アジャス アプローチが必要だと考えたのです」 (加藤氏) りました」 ター』と呼んでおり、アジャスターの業務を最適 基幹システム内の実績データを基に、クライア MotionBoardの導入に際し、KPIの整備され 化することが、物流情報サービスとして重要で ントごとに適した電話のタイミングを統計的に たこの図と、基幹系にすでに必要なデータが用意 物流情報サービスグループ 名古屋情報センター 物流情報サービスグループ 名古屋第2情報センター センター長 石本 哲也 氏 センター長 堀 匡史 氏 「以前は、今起こっている動きがわかりづらかったのです 「幅広く客層を増やすために、いままでは新規顧客のリスト が、MotionBoardでリアルタイムにデータが集計され把 を用意して上から下までローラーで電話をかけていました 握できるようになりました。前年や前月の指標数値と市場 が、他のセンターで取引があるパートナー様や休眠中のパー の動きを比較して、市場予測をしています。職人的な勘で部 トナー様などをBIツールで確認し、効率的に判断できるよ 下に市場予測を伝えていましたが、現在はBIツールの指標 うになりました。新規パートナー様に加え、過去に反応がよ があるため、部下も納得して行動できます。メンバー全員が かった取引先、絶対獲得したいパートナー様など、月次の目 足並みを揃えて進めるようになりました」 標に向けターゲットを変えてあらゆる角度で実践できるよ うになりました」 ■全従業員がアクセスする「B-STRONG」トップ画面 ■「運用分析」画面 早期マッチングの分析をはじめ業務負担率を時間や曜日単位で分析できる されていたことから、3 ヶ月という短期間でシ ステムの構築が実現した。 トランコムがMotionBoardを選定した理由と ■センター長など管理者が確認する「台数分析」画面 トラック台数の曜日別、実績などが分析できる 目標達成までの道筋を視覚化 労働生産性が向上し、 新人も短期に戦力化 というコ 「BIツールをみんなで使って『強くなろう』 ンセプトとメッセージを込めています」 (加藤氏) 実績集計の画面では、累計実績と目標に対する して、加藤氏は次のように述べる。 「当社では現場 着地が簡単に把握できる。特長は目標数値を 見え から経営層まで全従業員がBIツールを利用する パート社員を含む全従業員がアクセスする る化 している点だ。例えば、その日までの日割り 必要があります。そのためMotionBoardのクラ MotionBoardのトップ画面には、 「集計(全社員が の実績から計算して、あとどれほどで目標を達成 イアントライセンスフリーである点は有効な決 共有する実績。昨年比などで自社の実態を把握で できるのかという指標(通称「がんばるライン」)が め手でした。他社製品ではライセンス費によって きる)」、 「ユーティリティ(営業担当が把握するた 簡単にわかるようになっている。 コストが3倍になってしまう試算だったのです。 めの機能)、 「分析(センター長など管理者が確認す 例えば300件/日の計画に対して250件/日しか また、ウイングアーク1stの対応が優れていた る機能)」の3つに機能が分類され、そこから小分類 達成できていない場合、残りの日数は1日350件を ことも挙げられます。ウイングアーク1stの担 に枝分かれしている。 達成していく必要があると視覚的に示される。 「目 当者は当社の課題を理解し、相談にも柔軟に応じ 。 ビジネス環 新しいシステム名は「B-STRONG」 標設定がわかりやすくなることで、各担当者は目 てくれました。現場への利用の定着に向けて積極 境の変化によって空車情報を取得できず疲れ切っ 標を必ず達成するんだ、という意識を持ちます。こ 的にサポートしてくれたことも高く評価してい ていたアジャスターを、BIツールによって笑顔に のように目標達成までの道のりを見えるようにし ます」 するシステムを作りたいとの願いで命名された。 ました」 (加藤氏) 物流情報サービスグループ 名古屋情報センター 東北セクション リーダー 蟹江 佑香理 氏 東海・北陸エリア ゼネラルマネージャー 渡辺 一紀 氏 「例えば、営業速報や日々の速報で2月まで数字が落ち込ん 「BIツールの導入により、アジャスターの評価も 感覚の評 でいた支店が3月に数値が向上した場合など 『なぜ変わった 価 から 正確な評価 に変わり、何ができて何ができていな のか?』 を、BIツールで運営の中身を調べることができるよ いかも明確になりました。好成績を残している方もわかるよ うになりました。他の運営方法を分析し取り入れることで、 うになり、その方のノウハウを手本として継承していけるよ 情報量が増え、今月の目標に対してどうだったか、素早く理 うな活動に繋げられます。荷主・パートナー様に対して、1日 解できるようになりました。また、数字により裏づけされて 300 ∼ 400件の電話対応がありますが、的確でかつ確度の いるため、 取引先とも自信をもって交渉ができるようになり 高いヒット率となり、業務が遂行できるようになりました」 ました」 基幹システム「COMPASS」と BIシステム「B-STRONG」 が同時に閲覧できるようにモニターを1人2台保有し、 データ確認作業の効率化を推進。 各物流情報サービス拠点の代表が集い「B-STRONGチーム」を発足。 現場で働くアジャスターを笑顔にさせる をス ローガンに、 「BIを使ってどう可視化させるか」を軸としたディスカッションを週1回実施する。地方の特色を踏まえた 上で「環境の変化に対応できるBI活用」を推進している。 集計の画面では、取引先別の成約情報などを分 トの2つに表示させ、自分自身の強み・弱みの把 すれば終わりという考えでは、絶対に現場は使っ 析できる。分析したい取引先をクリックすると、情 握や、同じ部署のメンバーとの比較ができます。こ てくれません。そこで『荷主ごとの売上分析や貨物 報を取得した時間帯が表示され、その取引先の曜 れにより、自分自身のスキルを向上させる際の目 情報の曜日別・時間帯別の分析の方法』といった 日別の状況がわかる。また、どの時間帯に最も多 標を設定しやすくなります。実は、過去は実績しか 目的別マニュアルを作りました」 (加藤氏) くの情報を取得できているかが掲載される。バロ 社員を評価する軸がありませんでしたので、水面 マニュアルと共に「機能をどのように使って欲 メーターも表示され、当日、前日、前々日のデータ 下でチームに貢献しているスタッフを評価するこ しいか」などの説明に全国を飛び回り、利用普及の がまとめられており、取引先ごとの特性を確認し とが困難でした。しかし現在ではBIツールで確認 努力を惜しまなかったことが、導入の真の成功要 ながら判断する。それを「テレビ欄風 取引先別ア することで、『縁の下の力持ち』的なスタッフをセ 因とも言える。 プローチリスト」 に落とし込んで利用する。 これは ンター長が見つけ、評価できるツールとしても機 現場が自主的に作成するもので、曜日と時間帯別 能しています」と加藤氏は言う。 「昨日までの実績データを基に統計的に分析し て未来予測して、営業に活用することが実現しま に高確率で情報を取得できる顧客が整理されて スタッフを公平に評価でき、昇給・昇格の根 いる。 「こうした仕組みによって、 新入社員でも、 熟 拠とできるこの仕組みによって、社員のモチベー ば過去実績を基に分析し、次のアクションである 練スタッフと同等の働きができるほか、お客様が ションは向上し、組織としてのパフォーマンスも 『対策』を考えて実行します。管理者はお客様の特 サービスを必要とする時間に手厚くスタッフを配 高まったのである。 置できるようになり、 顧客満足度も向上しました」 と加藤氏は言う。 労働生産性の向上に加え、 データに基づく評価で 現場モチベーションも向上 した。例えばセンター長は、成約数を増やしたけれ 性情報や、求貨情報と空車情報の量に適した従業 員の時間配分になっているかを容易に把握できま 利用定着のカギは 目的別マニュアルと説明会 す」と成果を語る。また、加藤氏はITシステムのス ペシャリストではないが、何よりも、ビジネスや現 状を理解し、徹底的な調査結果を熟慮し、課題を解 トランコムがBIツール活用に成功した理由とし て、利用の定着に向けた工夫がなされた点も挙げ られる。 「システムを現場に活用してもらうには、 決することに全力したことが成功の要因のひとつ とも言える。 このようにデータ視点で物事を考え抜いた加藤 トランコムでは、自己スキルや実績の分析、計画 作った人が『その想いを伝えられるかどうか』が 氏が先導しながら、ビッグデータを価値へと変え 「すべての情報 をする際にもBIツールを利用する。 キーポイントです。使わない人が悪いのではあり る仕組みを完成させたことで、現場スタッフが情 がデータベースに保存されているので、個人実績 ません」と加藤氏は話す。 「当初、用意された機能説 報を活用しつつ、生き生きと働き、成果を出せる環 集計も容易です。スタッフ一人ひとりのデータを 明マニュアルは55ページもあり、IT担当者の私 境をトランコムでは実現したのである。 実績系レーダーチャートと情報系レーダーチャー が読んでも分かりにくいものでした。現場へ提供 導入製品・サービス MotionBoard 企業内外に溢れる情報を統合可視化し、PC だけではなくスマートフォンやタブレット PC から、いつでもどこでも情報入手を可能に する情報インフラストラクチャ。 BI コンサルティングサービス ■ 専属パートナー/修理工場/ガソリンスタンドを自動プロットして表現 BI 導入に際し、どんなデータをどのように業 務に活用すればよいのか、どのように社内に 定着させ展開すればよいのかをお客様と一緒 に解決する支援サービス。 [ 本社 ]TEL: 03-5962-7300 [ 大阪 ]TEL: 06-6225-7481 [ 名古屋 ]TEL: 052-218-9520 [ 福岡 ]TEL: 092-292-1092 [ 仙台 ]TEL: 022-217-8081 [ 札幌 ]TEL: 011-708-8123 本リーフレットに掲載した会社名および製品名は、 各社の商標または登録商標です。 掲載内容は2015年6月現在のものです。 CSM014A1506
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