三木歴史街道まち並み・町家勉強会 古建築再生事例情報交流会 ・日 時:平成 21 年 2 月 11 日 (水・祝) 後 2 時∼ ・場 所:三 木 市 立 福 祉 会 館 ・主 催:三木城下町まちづくり協議会 次 ・ 第 開会(司会) 1.主催者挨拶 2.パネルディスカッション ◎テーマ:「伝統的町家を生かしたまちづくり」 ★コーディネーター:八木雅夫先生 (国立明石高専建築学科教授) ☆テーマ解説:同上 ★報告:①三木湯の山街道・「日月くらぶ」 ・徳永 順男 氏 ②龍野地区・「エデンの東」 ・丸尾 功二 氏 けいざん ③篠山地区・「惠山 」 ・才本 謙二 氏 (建築家・ヘリテージマネージャー) ★質疑応答・フロア討論 ★まとめ:八木先生 ・閉会(司会) □終了後「日月くらぶ」にて懇親会 ・時間:午後 5 時∼6 時 ・会費:1000 円/人(お茶とお菓子) ・内容:「日月くらぶ」実地見学 ※時間の都合をつけて1人でも多くご参加下さい。 三木歴史街道まち並み・町家勉強会 古建築再生事例情報交流会 議事録 ・日時:平成 21 年 2 月 11 日(水・祝)午後 2 時∼ ・場所:三木市立市民活動センター(三木市立福祉会館) ・出席:コーディネーター:八木雅夫氏(国立明石高専建築学科教授) パネラー:①徳永順男氏(日月くらぶオーナー)②丸尾功二氏(エデンの東オーナー) ③才本謙二氏(惠山設計者・ヘリテージマネージャー) 参加者:41 名 →計 45 名 (概 要) 1.主催者挨拶:三木城下町まちづくり協議会 会長の小河壮太氏より歴史街道のまち並み づくりの活動(ガイドラインの作成等)等を含んだ開会の挨拶があった。 2.趣旨説明 :コーディネーターの八木先生より前回第1回からの経緯、古民家再生に おけるキーワード(財:ほりおこし、想:みつめなおし、繕:つくろい、 活:いかす、継:つなぐ)及び本会の趣旨について説明があった。 【趣旨(目的):古建築再生における、技術面、資金面、持続性、まちづく りとの連携、実現策等々の情報交流】 3.パネルディスカッション(事例報告) ◎テーマ:「伝統的町家を生かしたまちづくり」 1)三木湯の山街道「日月くらぶ」【発表者:徳永順男 氏】 ・私はまち並み保存の観点からでなく、家具のギャラリーづくりの観点から町家再生に入ってい きました。 ・きっかけは、知り合いから古い民家(現「日月くらぶ」築約 150 年)を紹介されたことに はじまりました。 ・当古民家は柱等が3度北東に傾いている等々の建物の傷み、ゆがみはありましたが、当初 から相談させて頂いていた八木先生の「古民家をよみがえらせられるのは施主の情熱だけで す」「技術的なことは何とかします」という言葉に心動かされ、再生利用する決意をしまし た。 ・当初中堅の工務店にお願いしていたのですが、「あぶない」「何時つぶれるか分からない」 といわれ、逃げられたのですが、地元の大工さんにお願いしたところ、内部を見られて「こ れは絶対大丈夫」「今まで同様の建物を何棟も解体、改修してきたからわかる」とお墨付き を頂き着工することとなりました。 ・壁、床等の解体中は大工さんの言うとおり何事もなく進みました。 ・改修内容としては、耐力壁の設置及び2階の床固めで構造補強し、1階を店舗(パン、小 物、家具)、食堂とする計画です。(期間:2 月∼4 月の約2ヶ月間) ・防腐材には、家具等でも使う「うるし」を使用しました。 ・「こういう所に住みたい内部、昔のたた住まいの外部」をコンセプトに私自身も建具製作 を中心に工事に参加し、「日月くらぶ」をつくり上げました。(総事業費:1200 万円 内 助成金 0 円) ・こういった交流会に参加させて頂き、湯の山街道のまち並み形成の一助になったことを改 めて実感しました。ありがとうございました。 2)龍野地区「エデンの東」【発表者:丸尾功二 氏】 ・私の実家である当建物は昔旅館をやっており、1階が住居で2階が客室でした。2階に美 味しそうな料理が運ばれるのを見て私もそういった職につきたいと思い、イタリア料理店に 修業に出ました。 ・修行を終え、実家の1階を簡単に改装し、ピザの店を開き商売を始めました。 ・しかしながら大型ショッピングセンターができ商店街は衰退していきました。 ・私が商店街を活性化させてやるという意気込みで店を続けました。城下町でピザというの は珍しく何とかやっていけましたが、なかずとばずの日々が続きました。 ・やがて、建物も老朽化し、かつ下水道工事のために 4∼500 万円の費用が必要になってき、 そろそろやめようかなと思っている時、神戸で震災があり、元町商店街の復興の活力を目 の当たりにし、感激し、「よしやろう」と改修を決意しました。 ・龍野地区のまちづくり活動の成果により徐々に観光客が増え始め、お店をのぞく人も多く なってきているのに店には入ってくれないことが多く、自分の店構えが龍野のまちに合っ ていないことに気づいた。 ・当時の龍野市町並み対策室 室長の盛田堅孝氏と京都府立大学の大場修先生に協力頂き、町 家再生に取組むこととなった。 ・大場先生から彼女なら張りぼてでない本物が出来ると女流建築家を紹介していただき改修 を進めることとなった。 ・龍野市からは 300 万円、兵庫県から 100 万円の計:400 万円の助成金(景観形成)をいただき 改修を行った。(総事業費:1800 万円) ・約2ヶ月間店を閉め工事し、12 月にオープンした。 ・当初、お客さんが入るか心配だったが、室長がオープン時に5社を集め記者発表していた だいたおかげで、オープンから大変賑いました。 ・また、ドラマで放送して頂いたり、ライブ会場に使って頂いたりと様々な宣伝を行いまし た。(ライブ:5,6 回 個展:約 30 回) ・波状効果で周辺の商店街でも同じような改修が進み、景観形成促進のきっかけづくりとな ったと自負しています。ありがとうございました。 3)篠山地区「惠山」【発表者:才本謙二 氏】 ・本日は、当建物のオーナーも来ていただく予定だったのですが、お母さんが倒れられ、コ ーディネーター(設計含む)の私だけ参りました。 ・篠山も空家、空地が増えてきており問題になっている。急に町家がなくなったりしている。 ・現在、私は、才本建築事務所をしながら「NPOたんばぐみ」 の古民家再生プロジェクトもしています。「たんばぐみ」で は右記のような仕組みで活動を行っています。「惠山」もこ の取組みの一つで、オーナーは「たんばぐみ」の活動を見に こられていた方でした。 ・オーナーは築 150 年のこの建物を何に使うか当初はイメージでき ていなかったが、直るのなら直そうということではじまった。 ・伝建地区からは外れていたが、景観形成のほうから約 300 万 円の助成をいただいて行った。 ・総事業費は 1880 万円(坪 28 万円・新築の半値程度)これく らいでないと再生事業はできないのかなと思う。 ・最初の作業としては、新建材の撤去から入り、あらかた裸にし、建物の現況を把握します。 ・当建物はシロアリや雨漏りといった建物の傷みは当然ありましたが、補強、駆除しながら改 修を進めました。ただ、ボランティアによる作業が大半ですので、進みが遅く、途中からプロ主 動に変え推進しました。 ・地元篠山の土をつかった「おくどさん」をつくる頃になってくるとオーナーもやる気になり 活用の意欲が湧いてき、竣工後奥さんがカフェ・レストラン、ギャラリーをやっています。 ・「たんばぐみ」の活動はまだ始まったばかりで、資金不足やボランティアの不継続等の問題はあ りますが、今後は「地域連携」として各地区とも交流していこうと思っています。 4.質疑応答・フロアー討論 ・姫路城下の商店街から来ました。私どもの地区にも姫路城の観光客が大勢くるのですが、そ の観光客をうまく捕まえなければと思いました。本日は勉強になりました。 ・「日月くらぶ」の総事業費はいくらかかりましたか? →総事業費は 1200 万円ですが、本体工事で 900 万円です。(厨房機器、建具、家具 除き) ・こういった古民家を再生するまでは良いが、それから運営し、閉めずに開け続けることが重 要だと思うのですが、そういった点で、龍野の丸尾さんに追加でお話をお願いいたします。 →新オープンしてから 10 年間は様々な宣伝もしていただき、それなりに儲かりましたが、 ここ 2,3 年は、子供も巣立ち母もなくなり、気が抜けたのかスランプになっています。た だ、自宅ですので家賃がなく、基本的に妻と二人ですので人件費もかからないので、赤字 ではないです。 ・高砂から来ました。明治 37 年築の郵便局を住宅に再生する事業を手伝ったものです。当初 は解体し、駐車場にする案が持ち上がっていましたが、ヘリテージの観点から残し、住宅に することとなりました。国の登録有形文化財でしたが、内部な改装自由でしたので、住める よう改修を行いました。今回は、店舗としての町家改修の事例でしたが、住宅も伝統的まち 並みの一つの要素であり重要だと思います。こういった古建築の再生は、勇気ある施主とバ カでお節介な建築家ときがいある職人とまち、地域の人々の後押しが必要であり、みんなで 未来に継承し続けることが重要だと思います。 ・〈八木先生〉:古民家再生を支える仕組みとして助成制度があり、事例報告でも県の景観形 成助成等が出ましたが、三木の旧市街地(街道筋)もそれだけの価値があると所だと思います が、そのあたりのまちづくり全体と個々の活動との関係について御三方にお聞きします。 ・〈才本氏〉:助成金で安く再生でるとは言っても 1000 万円級の費用がかかる上、1軒再生 したところでまちに与える影響は少ないのかもしれませんが、篠山の川原町では「惠山」が でき人の流れが多少変わりました。一歩踏み出すことが大事。それがきっかけで、まち並み 景観が共通の財産だということが認識され始めた。 ・〈丸尾氏〉:龍野もここ 10 年で良くなってきているが、合併され「たつの市」になってか ら助成が他方に散り、ここ最近は停滞ぎみに感じます。 ・〈徳永氏〉:私もあらゆる可能性を探りましたが三木では助成は無理だと分かりました。現 在三木では、どんどん伝統的町家がなくなっています。古民家、町家の価値を認識していた だいて、他のように三木でも助成制度をつくって再生の支援をして頂きたく思います。 5.まとめ(八木先生) ・本日は、3地区の事例報告の中で、丸尾氏からは、竣工後もPR活動を積み重ねな がら活性化にご努力された事、才本氏からは、地域としてどう守って行くのかとい う仕組み実践について、徳永氏からは、助成制度のない三木で一歩踏み出して、自 らも参加し実例を示された事が印象的でした。 ・古民家再生というのは、まち並みからは個々の活動であるが、それが一つ一つ積み 重なって、長いスパンでまち並みを形成していく重要な取組みです。 ・その取組みを支える仕組みとして助成制度もさることながら、こういった知恵の情 報交流あるいは蓄積がもっと必要だと思いました。 ・三木も宝物がいっぱいありますので是非とも未来に伝えていただきたく思います。 ・本日はありがとうございました。(→閉会) 6.懇親会(「日月くらぶ」にて) ・小河会長はじめ、まち協メンバー、八木先生、パネラーの方々等 16 名が参加し、懇 親会が行われ、徳永氏の実地説明や今後の古民家再生の展望等について意見がかわ された。
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