スケジュール 第 1週 1.本学生実験の説明 2.安全講習 3.器具の点検 テキスト 9 ページの表に示した器具の所在を確認する。 第 2週 1.予習レポート提出 2.出席確認と実験の説明 3.シクロペンタジエンの蒸留(実験 No.1) 全体を4班に分け、4 箇所で蒸留を行う(4 人または 5 人一組)。 学生実験室ドラフト 2 箇所、松坂研究室ドラフト 2 箇所 4.Diels-Alder 反応仕込み(個人実験) 蒸留したシクロペンタジエンをもちいて学生実験室にて行う。 5.Diels-Alder 反応生成物 3 の再結晶 第 3週 1.予習レポート提出 2.出席確認と実験の説明 3.Diels-Alder 反応生成物 3 の濾別、洗浄、乾燥、秤量 4.Diels-Alder 反応生成物 3 の 1 H NMR 測定とジカルボン酸 4 の合成(実験 No. 2) 1班 2班 Diels-Alder 反応生成物 3 前半 ジカルボン酸 4 の合成 の 1 H NMR 測定 Diels-Alder 反応生成物 3 後半 ジカルボン酸 4 の合成 の 1 H NMR 測定 1 第4週 1.予習レポート提出 2.出席確認と実験の説明 3.ジカルボン酸 4 の 1 H NMR 測定とブロモラクトン 6 の合成(実験 No. 3) 1班 2班 ジカルボン酸 4 の 前半 ブロモラクトン 6 の合成 1 H NMR 測定 ジカルボン酸 4 の 後半 ブロモラクトン 6 の合成 1 H NMR 測定 第5週 1.予習レポート提出 2.出席確認と実験の説明 3. cis-ジブロモ化合物 5 の合成(実験 No. 4) 4.ブロモラクトン 6 の 1 H NMR 測定 5.cis-ジブロモ化合物 5 の 1 H NMR 測定 Br + 1 O O O O 2 Br2 Br O O O O O 3 5 H2O Br 2 COOH COOH 4 2 Br COOH O 6 O 本実験を行うにあたっての注意事項 1.遅刻・欠席厳禁 実験開始時刻14:40。この時刻に出席を取る。 2.実験室内では白衣と保護メガネを着用すること。 これをしない者には退室を命じる。 3.実験態度 危険な薬品を取り扱うので、マナーを守ること。 騒いだり、走り回ったりしない。喫煙・飲食は禁止する。 実験室内・実験台の清掃・整頓を心がけること。 4.予習を必ず行う 当日行う実験内容を予習すること。 (実験テーマ、操作、使用する装置、器具、試薬の確認。危険性の確認) 本テキストの実験項に掲げてある予習課題に解答し、当日の実験開始前に提出すること。 未提出者には実験を行うことを許可しない。 5.実験ノート及びレポートの提出 実験ノートを必ず用意し、実験内容を記録すること。記録がなければ実験をしていないに等し い。実験ノートとして、紛失しやすいルーズリーフやメモ用紙の使用は避ける。 実験報告書や研究論文は実験ノートの記録をもとに作成する。そのため、実験ノートは可能な 限り詳細に記録するよう心がけるべきである。 自分が行った実験(研究)の内容を他の研究者に伝えることは重要である。これをしなければ 実験を行った意味は殆どなくなる。本実験では、与えられた実験を通じて有機化学実験のレポー ト作成法を習得して欲しい。 レポートの提出期限を厳守すること。守らない者には単位を与えない。 6.緊急時の対応 事故が起きたら直ちに担当教員に通報せよ。教育研究中の不慮の事故・災害に備えて学生保険に 加入しておくこと。 火災が発生した場合、火を出した人は慌てているので、周囲の者が消火に当たる。 3 実験ノート・レポートの書き方 実験ノートは実験を行う際に必ず用意し、実験内容を記録する。その際、自分だけでなく他人が後日 それを見たときに、実験内容を容易に理解でき、その実験を完全に再現できるような記録とすることを 心がけよ。 記録すべき基本的事項を以下に挙げる。 (1)実験の通し番号 (2)化学反応式 (3)使用した試薬の種類、名称、量(モル数および重量または体積) (4)実験操作 操作を行った日時、場所、使用装置、使用器具、反応温度、反応時間(開始時刻と終了時刻)、 精製の方法と結果、分析の方法と結果など。 さらに、操作の途中で観察したことを詳細に記録せよ。 例えば、色の変化、物質の溶解・析出の様子、反応温度の変化など (5)生成物の収量と収率、色、形状 (6)その他気づいたこと 実験のコツ、失敗しやすい操作、試薬の危険性などについてのコメント (自分のノートを見て後日他の誰かが同じ実験をする場合がある) 実験レポートには、以下に挙げる事項を記す。 (1)題目、実験者氏名、実験年月日 (2)緒言 どのような反応によってどのような化合物を合成したのかを簡潔に説明する。 反応の特徴的な点を簡潔に説明する。 (3)実験操作と結果 実験ノートの書き方の(4)、(5)を参考にして分かりやすくまとめる。 (4)考察 実験結果、分析結果をどのように解釈したのかを論理的に説明する。 反応機構について考察したことを記す。 (5)問題への解答 本実験では実験内容の理解を深めるため、各実験テーマごとに問題を設けている。 これに対する解答を記す。 4 有機化学実験の基本操作 1.事故の予防と処置 1)火災 有機化学実験では燃えやすい物質を取り扱うことが多いので、火災については十分注意しなくて はならない。アセトン、ジエチルエーテル、ヘキサン、酢酸エチルなど低沸点で引火性の液体は火 元から遠ざけて取り扱う。また、このような液体を加熱する場合には、蒸気が散逸しないように還 流冷却器などをそなえるとともに、加熱中容器が破損することのないように気をつけなければなら ない。水素、一酸化炭素、エチレン等の可燃性気体は上にあげた可燃性液体の蒸気と同様に、爆発 の可能性を考えてその取り扱いを慎重にするとともに、万一爆発しても被害を最小限度にとどめる よう二重の対策を講じておく必要がある。汎用される可燃性物質の引火点、発火点および爆発限界 を表 1 に揚げておく。 火災が発生した場合には、周囲にある燃え易いものは片付け、消火器を用いて消化する。消化剤 は表 2 を参考にして選ぶよう平素から心掛けておく。 2)ガラスによる切傷 ガラスで手を切らぬよう主として次の 2 点に注意する。 A)ガラスを切断するときは、図 1 に示したようにヤスリで付けたキズを外に向け引っ張るように して切る。管の肉が厚かったり、径の太いものはガラス管に手拭を巻いて握るのがよい。 B)ガラス管または棒にゴム栓、コルク栓をはめる時、とる時、ガラスの外側またはゴム栓、コル ク栓の穴の内側を水やグリース、パラフィンなどでぬらし、静かにまわしてスライドさせる。図2 に示したように、ガラス管を握る位置はできるだけゴム栓に近い部分を握ること。離れた位置を握 って力を加えてはならない。特に、枝分かれのあるガラス器具(図3)の場合、C の部分を握って 栓をはめるのは極めて危険である。 誤ってガラスで手を怪我した場合には、傷口をきれいな水で洗い、ガラスの破片が入っていない か傷口をおさえて確かめる。刺すような痛みがなければ止血にかかる。 3)やけどと薬傷 ガラス細工の際など焼けたガラスを誤ってつかむことが多い。やけどをした場合はただちに流水 か、大量の水につけて冷やし、その後やけどの程度に応じて適当な処置をとる。 薬傷の際も酸による場合、塩基による場合ともに流水でまず洗い落とす。その後、酸のときは炭 酸水素ナトリウムの希釈水溶液を、塩基のときは酢酸の希釈水溶液を用いて洗い、さらに流水でよ く洗う。 薬品が飛び散って目に入ることは、安全メガネの着用で防げる。万一目に入ったときは、流水で 15 分くらいかけて十分に洗い、その後、医師の診断を受ける。 また、毒性の高い物質や、悪臭を放つ物質は十分な排気能力をもつドラフト内で取り扱う。 5 図1 c ガラス管の切り方 b a (○)b をにぎり a を押す (×)c をにぎり a を押す 図2 ゴム栓のはめ方(1) (○)b をにぎり a を押す (×)c をにぎり a を押す 図3 ゴム栓のはめ方(2) 6 表1 可燃物の物性 引火点 発火点 沸点 密度 ℃ ℃ 下限 上限 ℃ g/cm3 アセトン −20 465 2.2 13.0 56 0.790 酢酸エチル −4 426 2.0 11.5 77 0.901 ヘキサン −22 223 1.1 7.5 69 0.659 1,2-ジクロロエタン 13 440 6.2 16.0 84 1.253 ジエチルエーテル −40 180 1.9 48 35 0.706 テトラヒドロフラン −14 321 2.0 11.8 66 0.889 トルエン 4 480 1.2 7.1 111 0.867 メタノール 11 385 6.0 36.0 64 0.791 エタノール 13 363 3.3 19.0 78 0.789 酢酸 40 427 5.4 118 1.049 無水酢酸 49 316 ジシクロペンタジエン 45 物質名 爆発限界(vol%) 10.3 140 170 ジメチルエーテル 350 3.0 27 −25 水素 585 4.0 75.0 −252 アンモニア 651 16.0 25.0 −33 エチレン 450 3.1 32.0 −104 メタン 537 5.3 14.0 −162 7 0.986 表2 消化剤の選定 消化剤 臭化メ 分類 物質名 性質 水 タン 二酸化 塩化メ 炭素 化学泡 粉末 砂 タン 火 A 木質材料 − ○ × × ○ × ○ 災 B 可燃性液体 − × ○ ○ ○ ○ ○ − × ○ ○ × ○ × ○ × × ○ × ○ ○ × × ○ × ○ × × × × × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ ○ × × × × ○ × ○ ○ ○ ○ ○ の 種 通電中の電気施設 C 類 第 一 類 に付随したもの 塩素酸塩類、過塩素 酸塩類、過酸化物、 硝酸塩類、過マンガ ン酸塩類 強力な酸 化作用が あり爆発 の危険も ある 第 黄リン、赤リン、硫 自然発火、 二 化リン、硫黄、金属 爆発の危 類 険がある 粉 金属カリウム、ナト 危 険 物 第 リウム、マグネシウ 水と反応 三 ム、生石灰、カーバ して発火 類 イド、リン化カルシ する ウム の エーテル、アセト 種 類 第 四 類 ン、アルコール類、 ベンゼン、トルエ 引火性 ン、キシレン、石油、 火気厳禁 酢酸エステル、二硫 化炭素、動植物油 第 ニトロ化合物、 五 硝酸エステル、 類 セルロイド 第 発煙硫酸、 水と反応 六 発煙硝酸、 して発熱 類 クロロスルホン酸 する 爆発性 8 4)水害 コンデンサーの冷却水などのように常時水を流しておく場合は、水圧の変動によりホースが外れ たり、おどったりする。ホースの出口が排水口から飛び出さないように固定すること。また、冷却 効率を考え、適当な量の水を流すこと。 5)後始末 ガス、水道の栓のしめ忘れは、しばしば大きな事故の原因となる。使用後は必ず栓を締めたこと を確認せよ。器具、薬品類の後始末も、各自が責任を持たなければならない。後始末が完全にでき ているかどうか、常に細心の注意を怠らぬことが一人前の技術者、研究者となるためには必要なこ とである。実験机、薬品台、天秤台、作業台の上の掃除も怠ってはならない。 2.器具の種類と名称 本実験で使用する器具類は表3に示してある。実験を開始する前に、必要な器具が揃っているか どうか、器具に異常はないかどうか調べること。ガラス器具は乾燥しているものを使用すること。 使用後は、適切な方法で洗浄し、次の使用に備えて保管すること。各器具の取り扱いについては、 その都度説明するが、テキストに若干説明してあるのでよく読むこと。 表3 本実験で使用する器具の名称 マグネチックスターラー 連結管 磁気撹拌子 アダプター ジャッキ ビーカー クランプ パスツールピペット オイルバス シリコンスポイト スライダック ジョイントクリップ(黄) 三角フラスコ 50 mL メスシリンダー 10 mL 三角フラスコ 100 mL 濾紙 ナス型フラスコ 100 mL 桐山ロート ゴム栓 吸引瓶 アルコール温度計 NMR サンプルチューブ 水銀柱温度計 サンプル管 5 mL リービッヒ冷却器 スクリュー管 50 mL 3.天秤の使い方 信頼できる実験結果を得るためには、すべての実験操作に細心の注意が必要である。特に、秤量 は定量実験の生命線であるから、天秤の使用には気を付けなくてはならない。本実験では、0.01 g ま で秤量できる天秤を用いる。使用に際しては、試薬をはかりとる場合にこぼさぬように注意するこ と。万一こぼした場合には必ず責任をもって掃除しておくこと。 9 4.実験装置の組み方 (1)装置を組み立てる場合は、まず出来上がったときの空間配置を心に描く。ついで、その中 心部(自由度の最も低い部分)から実際に組み立てを始め、順次まわりにむかって拡大し ていく。 (2)容器にヒビが入っていないか。加熱した場合に割れる心配はないか。 (3)ネジはしっかりととめてあるか。ただし、フラスコの口をクランプで握る場合には、クラ ンプのネジを締めすぎてフラスコの口をこわさないように注意せよ。ガラス器具が少し回 転できる程度がよい。 (4)ガラス器具をクランプで固定する際は、まずガラス器具をクランプで挟み、クランプの「は さみ」の部分を手で固定し、次いでクランプのネジを締めるようにする。 (5)反応試薬をはかりとってから装置を組むことは、手順が悪いばかりでなく内容物をこぼし たり、フラスコを破損して内容物を流失したりする危険がある。試薬類を入れた部分は、 最後に接続する。 (6)出来上がった装置に不満な点があれば必ずこれを直すこと。不満足な装置のままで実験を してはいけない。一度組み立てた装置は二度目には非常に早く組み立てることができる。 5.すり合わせガラス器具の使い方 すり合わせガラス器具を使用する際には、密着性を保つと同時にすりが「噛んで」動かなく なることを防ぐため、すりの部分にシリコーングリースを塗って使用する。グリースを塗らな い場合もあるが、この場合にはすり合わせ部分を締め付けながら回転させてはならない。 すり合わせ部分がとれなくなってしまった場合はつぎの操作を試みる。 1)木槌またはゴム製の棒でやさしくたたく。 2)弱火で温めた後に引っ張る。 3)超音波洗浄器にかけてみる。 すり合わせを介して結合したガラス器具は一体と考えて装置を組み立てなければならない。 クランプで固定する位置と締め方に十分注意し、ガラス器具をこわす力が働かないようにする。 すり合わせガラス器具は通常のガラス器具と比べて非常に高価である(すり合わせ1箇所につ いて約1万円)。万一すり合わせ器具を壊すことがあっても、すり合わせ部分が生き残っている とあとで安価に再生できる。 10 6.液体の分離と精製 1)分液 分液漏斗はスタンドのカットリングにかける。ガラスと金属が直接触れないようにリングにビ ニールテープや布をまく。 分液漏斗に液体を入れるときや入れたまま放置するときは、下に十分 大きな容器をあてがっておく。いつのまにかコックが緩んでいることがあるし、また長時間放置 しておくときなど、少しづつしみだすことがある。分液漏斗のコックにはグリースを塗らずに抽 出溶媒で濡らす。 2)乾燥 ここでいう乾燥とは液体の有機化合物から水を取り除くことをいう。主な乾燥剤の種類と適用 可能物質を表4に示す。 表4 乾燥剤 金属 中性 乾燥剤 有機化学実験における代表的な乾燥剤 適用できる物質 適用できない物質 炭化水素、エーテル類 ハロゲン化炭化水素、アルコール、 Na, K, Na-K アミン、カルボニル化合物 MgSO4 炭化水素、エーテル類、ケトン、 Na2 SO4 エステル CaSO4 塩基性 KOH, NaOH エーテル類、アミン、ピリジン アルデヒド、ケトン、酸 乾燥剤 CaH ジクロロメタン、ニトリル 酸性物質 酸性 P2 O5 炭化水素、ハロゲン化炭化水素 エーテル、アセトン、アルコール 乾燥剤 H2 SO4 飽和炭化水素、ハロゲン化炭化水素 塩基、アルコール、アルケン 3)濃縮 低沸点の揮発性液体を簡便かつ迅速に留去するにはロータリーエバポレーターをもちいる。 この際、留去した液体を廃水系に流出させないよう、適切なトラップ方法を選択する必要があ る。通常、ドライアイス−メタノールのトラップを用いたり、低温のアルコールを冷媒として循 環させる冷却装置を使用する。 11 4)常圧単蒸留 蒸留は沸点の差を利用して液体物質を混合物から分離精製する方法である。通常、蒸留したい 液体混合物を入れるフラスコにト字管を接続し、ト字管の上に温度計、側方にコンデンサー、ア ダプター、受け容器を接続した装置をもちいる(図4)。 注意点として以下のことが挙げられる。 (1)沸点 130 ℃以下の場合、水冷。130 ℃以上の場合空冷とする。 (2)加熱法:オイルバス、マントルヒーター、砂浴、湯浴、金属浴など (3)温度計の水銀球の位置はト字管の分岐点の最下部とする。 (4)高沸点の場合、フラスコの首にテープ状の電熱ヒーターやアルミホイルを巻き保温する。 (5)沸騰石を加えるか、磁気撹拌子をもちいてフラスコの内容物を撹拌し、突沸を防ぐ。 (6)蒸留の速さは1∼2滴/秒 程度とする。加熱の具合で調節する。 (7)温度計が一定の値を示すようになるまでは初留として別の容器にとり、沸点が一定の留分 を純水物質の本留として採取する。温度計が示す沸点は浴温に依存する。浴温が高くなる と、蒸気は過熱状態となり蒸気温度が高くなる。沸点が分かっている場合は、浴温を沸点 付近まで早く昇温してもよい。 図4 常圧単蒸留装置 12 5)減圧蒸留 常圧で蒸留すると分解する物質あるいは沸点の高い物質を蒸留する場合には、減圧にして沸点 を下げて蒸留する。常圧蒸留と違って、常時気泡を生成するキャピラリーを使うため一般にはク ライゼンフラスコを使用し、気密性のよいゴム栓をもちいて装置を組み立てる(図5)。 最近では接続部がユニバーサルジョイントになったすりあわせ器具をもちいて装置を組み立て ることも多い。 (1)減圧蒸留の場合、圧力が 15∼20 mmHg 程度で、それ程高い真空度を必要としない場合には 水流ポンプでもでも間に合う。しかし、より高い真空度を必要とする場合には真空ポンプを 使わなければならない。 (2)真空ポンプ使用時は酸性蒸気、その他金属を腐食する蒸気を吸引しないように注意する。 (3)溶媒などの揮発性物質の吸引を避けるため、蒸留したい混合物中の低沸点物質はあらかじ めロータリーエバポレーターなどを利用して除いておく。 (4)減圧蒸留時、これらの低沸点溶剤を真空ポンプに入れないために、蒸留装置とポンプとの 間にトラップ(ドライアイス−メタノールまたは液体窒素)を組み込む。 (5)蒸留装置内の真空度を調べるには水銀柱マノメーターをもちいる。マノメーターが蒸留す る有機物質で汚染されないように、減圧度を調べるとき以外はマノメーターのコックを閉 めておく。蒸留中は時々減圧度を調べ、圧力の変化をチェックする。 (6)蒸留後は、まずオイルバスを外す。次に、マノメーターのコックが閉じていることを確認 し、フラスコの内容物が冷却してから、静かに空気を導入して大気圧とし、ポンプを止め る。その後、マノメーターのコックをゆっくりと開き水銀柱をもとにもどす。以上の操作 は急激な停止によるポンプ内のオイルの逆流、内容物と空気中の酸素との反応による発火 を防ぐという意味で重要である。 図5 減圧蒸留装置 13 (7)減圧下での沸点を知る方法 ある物質の常圧での沸点がわかっている場合、下の図表を使ってその物質の別の圧力にお けるおおまかな沸点を予測することができる。 <図表の使い方> 図の左の目盛りは沸点を示しており、右の目盛りは圧力 を示している。温度目盛のうち(a)は一般の有機化合物 に適し、(b)は水酸基をもつ物質など会合性のあるもの についてもちいる。まず、常圧における物質の沸点(こ れを A 点とする)を調べ、右の 760 mmHg の点(これを B 点とする)と結ぶ。そして所望の圧力(C 点)から直 線 A−B に平行に線を引き、温度目盛との交点(D 点) を求める。この温度がその物質の C 点の圧力における予 想沸点である。この予想沸点は正確な値ではないから、 D ℃付近であると解釈すればよい。 7.固体の分離と精製 1)吸引ろ過 この操作は固体と液体の分離を迅速に行うためのものである。フィルターとしては通常、桐山 漏斗、ブフナー漏斗、ガラスフィルターがもちいられる。桐山漏斗とブフナー漏斗は目皿の上に 漏斗に合う大きさに丸く切断した濾紙をのせて使用する。濾紙の大きさに注意せよ(図6)。 ブフナー漏斗は陶製であり、熱した液体を通す際に保温効果があることが特徴である。しかし、 陶製であるため目皿の裏側が見えず、汚物の付着に気づかないことがあるので、ろ液を必要とす る場合は注意が必要である。いつも使用後に適当な溶剤で充分に洗浄しておくことが大切である。 ガラスフィルターは多孔質のガラスが漏斗に接着された構造を有しており、水のように濾紙を 劣化させる(ふやけさせる)液体を通す際にもちいられる。 14 図6 濾紙のはりかた 2)再結晶 固体物質を純粋な状態にするためには結晶化をおこなう。再結晶とは、固体物質の粗製品を適 当な溶媒に溶解させた後、結晶の状態で再び析出させることをいう。析出した結晶を液から濾別、 乾燥させることで、粗製品中に含まれていた不純物を溶媒とともに取り除くことができる。 固体物質が再結晶によって結晶化できるかどうかは、もちいる溶媒の種類、粗製品の純度、再 結晶の温度に大きく依存する。溶媒の種類は、固体物質の溶解度を考慮して選択する。固体は一 度完全に溶解させねばうまく結晶化しないが、溶媒への溶解度が高すぎると結晶が析出しない。 また、粗製品中の目的物の含有率が高いほど結晶化させやすい。 一般に固体物質の溶解度は温度とともに大きくなるため、温度を下げることで結晶化を促進で きる場合が多い。ただし、急激に冷却をすると固体が結晶としてではなく、粉末として析出した り、不純物も同時に析出してしまう可能性がある。 3)乾燥 固体物質に付着した揮発性物質を取り除く操作である。乾燥が完了したかどうかは固体物質の 重量が一定値を示すかどうかをモニターすれば確認できる。 (1)自然乾燥(風乾) 空気中に放置、または素焼板の間に挟む。適当な乾燥剤を入れたデシケーター中に放置するこ ともある。 (2)加熱乾燥 熱に安定な物質に適用可能。加熱温度が融点、昇華点、および分解点より低くなくてはならな い。アセトンなどの引火性液体が付着したままで加熱乾燥を行ってはならない。 (3)減圧(真空)乾燥 減圧にすることにより乾燥時間を大幅に短縮できる。減圧乾燥をした場合は、減圧の状態から 常圧に戻す際には、コックを静かに開けること。中に入れてある固体物質を吹き飛ばしたり、コ ックに塗ってあるグリースを混入させてしまう可能性がある。 15 8.化合物の保存 合成した化合物は、適当な容量のサンプル管あるいはスクリュー管に保存する。空気や湿気に 不安定な物質は容器内を窒素やアルゴンなどの不活性気体で置換しておくか、真空にして保存す る。真空下の保存では、ガラス管の口をバーナーで焼き切って封緘する場合もある。 保存容器には、実験者の氏名、物質の名称、日付を記したラベルをつけておくこと。 9.薬品類の廃棄 一般に化学薬品類を廃棄する場合は第1に事故に通じるおそれのないこと、第2に環境を汚染 する可能性のないことを考慮して処置しなければならない。種々の薬品類についてその毒性、引 火性、爆発性、腐食性等を知ることのほかに、廃棄した製品の行方にも配慮する必要がある。有 害物質をそのまま廃棄することは許されないので化学的処理で無毒化したり、適切な方法で焼却 しなくてはならない。 このような廃棄処理を適切に行うためには、廃棄物の分類を厳格におこなうことが重要である。 本実験で使用する薬品類の廃棄法と分類を以下にまとめておくので、それを参考にして、今後 遭遇する種々の化学物質の廃棄処理を考えて欲しい。 1)有機物を5%以上含む水は「水系廃液」のポリタンクへ廃棄する。 2)水は殆ど含まないが、クロロホルムや臭素化に使用した反応溶媒など ハロゲンを含む有機廃液は「含ハロゲン有機廃液」のポリタンクへ廃棄する。 3)アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、シクロペンタジエンなど 水もハロゲンも含まない有機廃液は「非ハロゲン系有機廃液」のポリタンクに廃棄する。 4)使用済み濾紙など有機物の付着した固形廃棄物は専用のポリ容器内へ廃棄する。 16 [実験 No. 1] 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 (Diels-Alder 反応) O O + O O O 1 2 3 O 【原料】 無水マレイン酸 4.0 g シクロペンタジエン 4.0 mL 【操作】 A. シクロペンタジエンの蒸留 1 ジシクロペンタジエン約 50 mL を 100 mL ナス型フラスコに入れる。図7に示す 蒸留装置を組み立てる 約 170 ℃に加熱する 2, 3 4? 6 。オイルバスを とジシクロペン タジエンの熱分解が始まり、単量体のシク ロペンタジエンが留出してくる。沸点 40 ∼41 ℃。約 30 mL のシクロペンタジエン が蒸留できたら終了する 7 。 B. Diels-Alder 反応 8 50 mL の三角フラスコに無水マレイン 酸 4.0 g を入れ、10 mL の酢酸エチルに溶 かす。フラスコを氷水に浸し 9 、振り混 ぜながらシクロペンタジエン 4.0 mL を約 3 分かけてピペットで滴下する。滴下後、 発熱反応が完結するまで(約 5 分間)氷浴 図7 中で放置する。 シクロペンタジエンの蒸留装置 室温に戻し、ヘキサンを 5 mL 加える。フラスコを 50 ℃のオイルバスに浸し、よく振り混ぜて固 体を全て溶解させる。溶けきらない場合は、酢酸エチルを 1 mL 加えて再び加熱する。固体が全て溶 解するまで、これを繰り返す(酢酸エチルを一度に多量に加えると失敗する可能性がある)。 固体が全て溶けたらフラスコをオイルバスからとり出し、オイルをよく拭き取る 10 。フラスコに 栓をし、氏名を記したラベルを貼って翌週まで実験室の所定の場所に保存する。 桐山ロートを装着した吸引ろ過装置をもちいて結晶を吸引ろ過により集める。フラスコに残って しまった結晶はヘキサンを加えて全てロートの上に流し出す。ヘキサン 10 mL で結晶を3回洗浄し た後、風乾する。秤量。1 H NMR の測定(20 ページを見よ)。 17 ★注意事項 1)シクロペンタジエンは臭いので、蒸留はドラフト内で行う。 2)装置組み立ての際、すりガラスの部分には必ずシリコングリースを塗ること。また、接続部分 は黄色のジョイントクリップでとめる。 3)冷却水用のチューブが外れないように注意せよ。 4)スライダックの目盛り 80 程度が目安。ただし、気温やオイルバスのサイズにより異なる。 5)加熱時にはオイルバスおよびナス型フラスコの中の撹拌子を常に回転させておく。撹拌が不十 分であると加熱効率が悪いばかりでなく、オイルが局所的に過熱状態となり発火する恐れがあ る。また、フラスコ内のジシクロペンタジエンの突沸をまねく原因となる。 6)加熱中のオイルバス(100 ℃以上)に水が入ると、沸騰した水とともに飛びはねたオイルによ って火傷する危険性があるので十分注意する。また、シリコーンオイルは高価であり、汚染し ないように気を付ける。 7)後片付けの際は、蒸留に使用したガラス器具はアセトンで洗浄し、シクロペンタジエンを取り 除く。洗浄液はドラフト内の廃液タンクに捨てる。 8)以下の操作はドラフトの外で行ってよい。 9)フラスコ内に水を決して入れないように注意すること。 10)フラスコに付着したオイルは熱いうちにペーパーで拭き取る。その後、十分冷えてからアセ トンで濡らしたペーパーで拭き取る。 【予習課題】 1)原料 1, 2 および生成物 3 の分子式を示し、分子量を計算せよ。それを実験ノートにも記せ。 2)次の化合物を Diels-Alder 反応を利用して合成する方法を考案せよ。 (a) O b) O O O O 3)ジシクロペンタジエンから 2 分子のシクロペンタジエンが生成する反応は Diels-Alder 反応の逆 反応(retro- Diels-Alder 反応)である。ジシクロペンタジエンの構造式を示せ。 【問題】 1)Diels-Alder 反応の機構について述べよ。 2)Diels-Alder 反応ではジエンとしては電子供与性基をもつもの、親ジエンとしては電子吸引性基 をもつものの組み合わせが最も反応が速い。その理由を述べよ。 3)本反応では、反応条件によっては異性体である exo 付加体も生成する。 exo 付加体の構造を示せ。ただし立体構造を明瞭にすること。 4)実際には endo 付加体が exo 付加体に優先して生成した。この立体選択性について説明せよ。 5)生成物の 1 H NMR シグナル(重クロロホルム中)の帰属を記せ。 18 [実験 No. 2] 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸 O + H2O COOH O COOH O 3 4 【原料】 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 2.0 g H2 O 25 mL 【操作】 50 mL の三角フラスコに 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 3(2.0 g)と純水 25 mL を 入れる。フラスコをクランプでつかみ、150 °C のオイルバス中で振り混ぜる 1,2 。この時、一部の固 体は溶解し、一部は透明な油状物となる。油状物が全て溶解するまで加熱を続ける。酸無水物が全 て溶解したら加熱を止め室温まで放冷すると結晶が析出する 3,4 。室温程度まで冷えたら、氷浴中で さらに 30 分間冷却する。 得られた結晶を桐山ロートを用いて吸引ろ過し、純水で洗浄する 5,6 。ロート上で約 10 分間乾かし た後、デシケーター中で減圧乾燥する 7 。秤量。1 H NMR の測定(20 ページを見よ)。 ★注意事項 1)加熱中、フラスコにふたをしてはいけない(溶媒の沸点を越えているので)。 2)静置したままだと突沸する可能性がある。ただし、強く振りすぎて中身をこぼさないこと。 3)油状物が残っていると結晶化しにくい。 4)この間にフラスコに付いたオイルを拭き取っておくこと。 5)ろ紙は水で濡れると破れやすくなる。ろ紙を破らないように注意する。 6)ろ液および洗液は「水系廃液」のポリタンクに廃棄する。 7)結晶を入れた 5 mL のサンプル管をデシケーター中に入れる。 サンプル管に氏名を記したラベルを貼ること。 【予習課題】 1)原料 3 および生成物 4 の分子式を示し、分子量を計算せよ。それを実験ノートにも記せ。 2)酸無水物 3 がすべて水に溶解した時、本反応は完全に進行したものと判断できる。 その理由を述べよ。 【問題】 1)生成物の 1 H NMR シグナル(重アセトン中)の帰属を記せ。 2)反応機構を示せ。 3)合成したジカルボン酸の溶媒への溶解度が、原料の酸無水物と比較して著しく低いのは何故か? 19 [実験 No. 3] 5-exo-ブロモ-6-endo-ヒドロキシノルボルナン-2,3-endo-ジカルボン酸-2-ラクトン Br COOH + Br2 CH3COONa COOH O COOH O 3 6 【原料】 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸 910 mg 臭素(1.0 mol/L 酢酸溶液) 5.0 mL 【操作】 50 mL の三角フラスコに 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸 910 mg と酢酸ナトリウム 410 mg を入れ、純水 10 mL に溶解させる 1 。パスツールピペットをもちいて臭素の酢酸溶液 5 mL をメスシ リンダーに秤量し、それを同じピペットを用いてフラスコ内へ滴下する 2,3 。滴下とほぼ同時に臭素 の赤色が消失する。フラスコを氷浴に浸し、1時間静置すると生成物が無色の結晶として析出する。 結晶を吸引ろ過し 4 、純水 10 mL で5回洗浄する。これをデシケーター中で減圧乾燥する 5 。秤量。 1 H NMR の測定(20 ページを見よ)。 ★注意事項 1)溶解しにくい場合、オイルバスで 80 ℃程度に加熱する。 2)臭素溶液の秤量と滴下は、保護手袋を着用しドラフト内で行う。 3)臭素は非常に揮発しやすいので、使用後は直ちに試薬瓶にふたをする。 4)ろ液と洗液は「水系廃液」のポリタンクに廃棄する。 5)結晶を入れた 5 mL のサンプル管をデシケーター中に入れる。 サンプル管に氏名を記したラベルを貼ること。 【予習課題】 1)原料 3 および生成物 6 の分子式を示し、分子量を計算せよ。それを実験ノートにも記せ。 2)上記の実験操作の項に示してある原料 3、臭素、酢酸ナトリウムのモル数を計算せよ。 3)臭素、酢酸ナトリウムも含めた本反応の化学反応式を書け。 【問題】 1)反応機構を示せ。 2)生成物の 1 H NMR シグナル(重アセトン中)の帰属を記せ。 (化合物 3, 4, 5 のスペクトルと比べながら考えるとよい) 3)本実験での酢酸ナトリウムの役割を説明せよ。 20 [実験 No. 4] 5,6-exo-ジブロモノルボルナン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 Br O Br + Br2 O O O O O 3 5 【原料】 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 1.64 g 臭素 (2.0 mol/L クロロホルム溶液) 5.0 mL 【操作】 50 mL三角フラスコに 5-ノルボルネン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物 1.64 g および磁気撹拌子を入 れ、酢酸エチル 10 mL に溶解させる。パスツールピペットをもちいて臭素の 2.0 mol/L クロロホル ム溶液 5.0 mL を 10 mL のメスシリンダーにとり、それを同じピペットをもちいてフラスコ内へ滴下 する。フラスコにゴム栓をしたのち、50 °C のオイルバス中で加熱撹拌する。約 10 分で臭素の赤色 が消失し、無色の溶液となる(この時点で生成物が析出する場合もある)。室温に戻し、ヘキサンを 25 mL 加えてよく振り混ぜる。得られた白色結晶を吸引ろ過し 3 、ヘキサンで洗浄した後ロートの上 で風乾すると 5,6-exo-ジブロモノルボルナン-2,3-endo-ジカルボン酸無水物が得られる。秤量。1 H NMR の測定(20 ページを見よ)。 ★注意事項 1)臭素溶液の秤量と滴下は、保護手袋を着用しドラフト内で行う。 2)臭素は非常に揮発しやすいので、使用後は直ちに試薬瓶にふたをする。 3)ろ液と洗液は、「含ハロゲン有機廃液」のポリタンクに廃棄する。 【予習課題】 1)原料 3 および生成物 5 の分子式を示し、分子量を計算せよ。それを実験ノートにも記せ。 2)シクロヘキセンと臭素との反応では、trans-1,2-ジブロモシクロヘキサンが得られる。 生成物の構造、および反応機構を書け。 【問題】 1)生成物の 1 H NMR シグナル(重クロロホルム中)の帰属を示せ。 (化合物 3, 4 のスペクトルと比べながら考えるとよい) 2)アルケンへの臭素付加反応は極性溶媒中では主にイオン機構で反応が進行し、トランス付加に よる 1,2-付加体を与えるが、本実験では exo-シス型の付加体が得られた。この理由を説明せよ。 3)シス付加体とトランス付加体を識別する方法を述べよ。 21 [1 H NMR スペクトルの測定] 実験 No 1 ∼ No 4 共通 本実験で合成した 4 種類の有機化合物は、いずれも 1 H NMR スペクトルを測定して本当に目的化 合物が合成できているかどうかを確認する。 シグナルの本数、ケミカルシフトおよびカップリングによる分裂が目的化合物の構造から予想さ れるスペクトルパターンとなっていればよい。 有機化合物の 1 H NMR スペクトルに関する基礎的解説は下記を参照せよ。 「マクマリー有機化学(上)」(東京化学同人) p455 ∼ p477 「有機化学のためのスペクトル解析法」(化学同人) p95 ∼ p115 ★サンプルの調製法 注意1)重水素化溶媒は非常に高価である。無駄遣いをしないように気を付ける。 試薬瓶を倒さないようにクランプで固定してある。固定したままで使用せよ。 注意2)重水素化溶媒を他の化合物で汚染しないこと。 重溶媒をとる際、汚れたパスツールピペットは決して使用してはならない。 1)測定したい試料を小さなスパチュラ 1 杯分程度とり、5mL のサンプル管に入れる。 2)重溶媒をパスツールピペットで約 0.5 mL とり(図8)、試料を入れたサンプル管に加える。 3)サンプル管を軽く振り、試料固体を全て溶解させる。 4)溶液をパスツールピペットで吸い取り、NMR サンプルチューブに入れる。 溶液部分の長さが NMR チューブの底から約 4 cm となるようにせよ(図9)。 多すぎても少なすぎてもよくない 5) サンプルチューブにゴムキャップを取り付つけて完成。 測定に使用する重水素化溶媒の種類と価格 化合物 重水素化溶媒 重クロロホルム 3, 4 (¥4,400 / 100 mL) 約 2 cm 重アセトン 5, 6 (¥18,500 / 100 mL) 4 cm 図8 重溶媒をとる量の目安 図9 22 サンプル溶液の量
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