日本のJUKIと中国上工企業について

問題意識
中国経営管理学会秋期研究集会
日本のJUKIと中国上工企業について
• なぜミシン産業か?
• 上工とJUKIとの関係は?
• 両社の競争力要因は何か?
鹿児島国際大学
附置地域総合研究所
康上 賢淑
(コウジョウ シオン)
2005.9.24
主な内容
本報告の目的は、日本の工業用ミシン産業
における牽引企業、JUKIと中国の上工股份有
限公司(以下「上工」と略称)を事例に,そ
の競争力創出のプロセスと技術移転の特徴を
検討する。
1. 異なる技術条件
2. 企業の自立プロセス
3. 技術移転の特徴
1
表1
大企業
1
異なる技術条件
1) JUKI
中小企業
主要工業用ミシン企業
企業名
主要機種
備考(売上高・億円)
東京重機工業㈱
工業用ミシン
53
三菱電機㈱
工業用ミシン
25
大和ミシン㈱
工業用ミシン
21
アイシン精機㈱
工業用ミシン
ブラザー工業㈱
工業用ミシン
シンガー日鋼㈱
工業用ミシン
ペガサスミシン製造㈱
工業用ミシン
近藤ミシン㈱
工業用ミシン
ニューロング㈱
特殊工業用ミシン
昭和精機㈱
ミシン・編機部品
三和実業㈱
工業用ミシン
㈱大仁工作所
工業用ミシン部品
シンガー日鋼㈱
工業用ミシン
名東工業㈱
ミシン部品
荻原ミシン工業㈱
工業用ミシン
㈱セイコーミシン
工業用ミシン
林工業㈱
ミシン部品
丸岡金属㈱
ミシン部品
出所)東京都商工指導所『業種別調査報告書』1981年。
JUKIの企業史(2)
JUKI企業史(1)
1938年 12月
1943年
1947年
1953年
1957年
1961年
1961年
1962年
1964年
1965年
9月
10月
3月
4月
2月
10月
9月
8月
3月
東京都の機械業者約900名が出資し
「東京重機製造工業組合」として発足
株式会社に改組し「東京重機工業株式会社」と改称
家庭用ミシン第1号機完成
工業用ミシン発売開始
単軸回転天秤の発明に対し、恩賜発明賞を受賞
電子計算機周辺機器の開発製造に着手
東京証券取引所市場二部上場
大阪証券取引所市場二部上場
東京証券取引所ならびに大阪証券取引所市場一部上場
新宿に営業本部ビル竣工
1970年 7月
香港に工業用ミシンを主とした現地法人の販売
JUKI(HONG KONG)LTD.を設立
1971年 4月
栃木県大田原市に大田原工場竣工
1972年 4月
独・ハンブルグに現地法人の販売会社
JUKI(EUROPE)GMBH設立
1974年 3月
アメリカに現地法人の販売会社JUKI AMERICA INC.を設立
1977年 11月
本社に業界初のソーイングセンター開設
1981年 11月
工業用ミシン本部(現在工業用ミシン事業部)
がデミング賞実施賞事業部賞を受賞
1986年 3月
本社に総合技術研究所ビル竣工
1987年 7月
電子産業装置分野に参入
1988年 4月
JUKI株式会社に社名変更
1988年 6月
米国、ユニオンスペシャル社をグループ化
2
1990年
1991年
1992年
1994年
5月
5月
11月
11月
1995年 4月
1995年 8月
1996年 4月
1998年
2000年
2001年
2001年
2001年
2001年
2001年
2002年
2002年
2002年
11月
10月
1月
6月
7月
10月
11月
1月
9月
12月
表2
JUKIの企業史(3)
中国上海に家庭用小型ロックミシン製造の合弁会社設立の調印
工業用ミシンが生産累計500万台を突破
国産初の全自動メール処理システム(Mailmation7000)発売開始
ベトナムに関連会社との共同出資による部品製造会社を設立、
機械部品生産開始
シンガポールに現地法人の販売会社
JUKI SINGAPORE PTE.LTD.を設立
中国河北省に工業用ミシン製造の合併会社設立の調印
オーストリアに現地法人の販売会社
JUKI(MIDDLE EUROPE)GMBHを設立
産業装置事業部をISO9001に審査登録
重機(上海)工業有限公司を設立
重機(中国)投資有限公司を設立
本社、大田原工場をISO14001に審査登録
重機(寧波)精密機械有限公司を設立
JUKI AUTOMATION SYSTEMS HOLDINGS を子会社化
JUKI EUROPEAN HOLDINGS B.V.を設立
JUKI AMERICAS HOLDING INC.を設立
重機(上海)産品服務有限公司を設立
チップマウンタが販売累計1万台を突破
JUKIとブラザーの事業内容比較(单位:%)
JUKI
年
工业用
ミシン
家庭用
ミシン
1966
22
1968
•
出所)
1)《有価証券報告書》,各年版。
2)鉆石出版社,《会社要覧》,各年版。
表3 JUKIとブラザーの研究费/広告宣传费の比率(单位:%)
Brother
年
通信機器
工作
机器
机器
家用电器
制品
家用电器
制品
工业用/家用缝纫机
31
30
40
12
24
21
28
32
40
10
22
1969
247
21.8
6.3
34.3
1970
27
21
6
36
36
14
9
1975
31
16
13
24
34
21
1980
45
19
13
14
38
1983
43
13
11
18
1985
51
10
13
16
1988
68
14
9
6
10
1990
73
15
6
3
14
1994
67
18
7
3
1995
54
21
12
5
计算机周
边设备
图1 JUKIの売上推移
Brother
JUKI
研究费
広告宣传费
研究费
広告宣传费
1975
0
1.2
0
1.7
1984
0
1.9
0
1.7
22
1994
6.9
1.1
7
1.2
13
18
1999
8
1.1
7
1
19
18
18
39
13
15
2002
8.2
12.5
13.4
2
45
13
10
売上额
18
46
7
6
1970
24,147
10,320
19
45
7
6
14
15
58
4
2
1975
40,143
19,619
15
16
60
6
3
1984
160,907
74,894
1994
160,180
78,806
1996
142,573
79,517
1999
205,100
78,806
2002
136,480
114,197
8
47
10
23
28
12
25
1997
51
17
19
13
17
12
62
6
3
1999
52
18
19
12
13
11
66
6
4
2001
54
13
-9
16
17
50
2002
57
12
-9
11
17
53
出所) 1)《有価証券報告書》,各年版。
2)鉆石出版社,《会计揺籃》,各年版。
3)Brotherのデーターは同社の提供により,2003年3月18日。
3
(百万日元)
出所)《有価証券報告書》,各年版。
3
表4 JUKIミシンの輸出比率变化
年
1968
69
80
96
97
2002
出所)同图2
国内
80
74
71
35
35
48
輸出売上
20
26
29
65
65
52
表5 JUKI製品の市场構成
年
1950 1965 1997 2000
国内
62
60
亚洲(除日本)
17
22
美洲
5
11
欧洲
4
7
出所)《有価証券報告書》,各年版。
1
2002 2003
39
38
36
41.2
8.8
6.9
11.8 11.9
異なる技術条件
2)
上工
4
表6
• 图2 中国ミシンの輸出推移
年
機種
1965
創立
上工のミシン技術
備
考
上海市自転車二厰(バイク生産)を原型に創立し、
後に上海工業用ミシン工厰と改名
1966
GC7-1, GA5-1 高速直線縫いミシン、厚縫いミシン
1967
GBG-1
大型厚縫い直線縫いミシン
1968
GAG-1
2重針皮靴縫いミシン
1969
GN2-1, GI2-1
高速3ライン縁かがりミシン、眠り穴かがりミシン
1970
GI3-IX5, GN5- 鳩目穴かがりミシン、高速5ライン縁かがりミシン
1
1972
GC8-1
高速直線縫いミシン
1973
GKI2-2
2本針直線縫いミシン
表7「上工企業集団」ミシン生産・販売推移
年
投資額
/万元
1965
創立期・290
生産量
/万台
備考
利潤
/万元
中国初めて唯一の工業用ミシン企業
1966
127
1.3
1976
3.8
1979
179
1981
419
1982
1984
694
2.企業の自立プロセス
7.5
1,233 日本ミシン専門家の診断と提案(初)
2463・733$
1985
1990
JUKIとの技術合作
10
33品種?
1992
8つの企業が合併される
1993
7000
1994
株上場,資本金と銃利益業界トップ、500強入
2000
2001
2002
「飛人」、「胡蝶」企業を買収
累積600
「上海最佳工業企業形象単位」となる
5
JUKI
上工
1) 武器の生産
2) 政府の援助?
3) 家庭ミシンから出発
4) ライバルの存在
5) 自己開発型へ
6) 世界一のレベルに達する
1)
2)
3)
バイク生産
政府の直接投資
同業者の協力
(協昌ミシン・恵工ミシン・第一ミシン)
4) JUKIの技術協力
5) 量産型
*上工:三年後
3.技術移転の特徴
製品はできた しかし問題も
オーバロックの生産
1) 交渉の取引コスト
2) 人脈の形成
3) 技術移転の所要時間
6
取
引
契
機
技術移転の特徴
政府
政府
①
軍(資材配分)
②
上工
③
人
設備導入
固体貼付型?
JUKI
脈
技
技術導入
液体染型?
術
者
技術導入:完成製品で終了
設備導入:設備購入で終了
液体染型?
固体貼付型?
原型の変化
原型の無変化
7
•「技術巨人」の存在
•
河内保二
両社の取引特徴
1)駆け引き=取引コスト(感情→冷静)
2)ジレンマ=国家利益優先によるトラブル
3)閃き=人間性
4) 環境=好条件
•1986年
次代社会の生産論において「共感生産のすすめ」を論じる
•1988年
JUKIマガジンにおいて「共感生産」「個産」を論じる
•1988年11月
JUKIマガジンにおいて「供業生産」として「多高短少生産」と造語して論じる
•2002年5月
アパレルビジネスマガジンにおいて「客業生産」と造語して論じた
•2004年5月
著書「チェックリストによる 少量・短納期生産 モデル縫製工場 実践ガイド」
において「客業生産」を詳論した
1976年
1982年
1991年
1993年
1994年
1995年
2001年
2002年
中国(北京、広州)、香港…北京で
国営縫製工場に自動ミシンの導入指導
台湾(台北、高雄)…縫製管理技術指導
台湾(台北)…自動縫製セミナー講演
台湾(台北)…自動縫製技術指導
台湾(台北、高雄)…自動縫製指導
中国(上海、杭州、寧波)日清紡顧問として縫製指導
中国(上海、南通)…縫製工場指導
韓国ソウルツアー
まとめ
1.異なる技術条件
1) 競争環境
2) 技術の育成主体
2.企業の自立プロセス
1) 政府の関与度
2) パートナーの重要性
*パートナーチェンジの必要性
3. 技術移転の特徴
1) 固体貼付型
2) 液体染型
ヤンガー集団
董事長 李如成さん
インタビュアー
JUKI代表取締役会長・山岡建夫
8