省貴金属対応・小型・軽量・高性能 自動車排気ガス浄化装置の技術開発

栃木県産業技術センター 研究報告 No.13(2016)
省貴金属対応・小型・軽量・高性能
自動車排気ガス浄化装置の技術開発
研究開発期間
平成 26 年度∼平成 27 年度
分 野
精密加工
触媒性
るにはセ
向になる
且つ入口
ある。そ
を触れや
従来型よ
川下の抱える課題及びニーズ
◦川下分野横断的な共通の事項
高機能化・精密化・軽量化 / 新たな機能の実現 / 品質の安定性・
安全性の向上 / 環境配慮 / 生産性・効率化の向上、低コスト化
高度化目標
品質の安定性・安全性の向上 / 環境配慮の取組 / 生産性・効率
化の向上、低コスト化
研究開発の背景及び経緯
グラフ1 アジア5か国台数推移
図1 ベトナムバイク写真
地球環境の悪化が深刻化している中、自動車の内燃機関
は当面環境対応しつつ存在し続けると考えられる。
環境対応を飛躍的に向上させているのは、排出ガスを浄
化する触媒技術である。排出ガス用の触媒とは、排気ガス
中の有毒ガスを触媒により無害な物質に化学変化させるも
ので、触媒物質としては、白金、パラジウム、ロジウムの
三種類の貴金属が使用されている。これら貴金属の用途別
割合では、白金の55%、パラジウム54%、ロジウムの86%
が自動車排気ガス触媒に使われている。
自動車の普及は増加の傾向であり、二輪車の生産は中国、
インド、アジア、アフリカは二桁オーダーで生産が増加し、
そのほとんどで排気浄化システムが採用されていない実態
があり、環境悪化の原因になっている。
不採用の要因は技術面より価格面が大きく、安くて高性
能な浄化装置の出現が待たれている。
従来の排気ガス浄化システムコストは、使用する触媒貴
金属の材料費が80%に達している。コスト削減は貴金属の
使用量を削減するしかない。その為に触媒内の排ガス流を
変化させ、排ガス浄化効率向上を図り、使用貴金属量を削
減するものである。
排ガスの流れを変える方法として、担体外筒にステンレ
スのメッシュを螺旋形状に成型し、メッシュの固定とガス
の分散を狙ったセパレーターとの組み合わせ構造を採用し
た。さらに触媒を担体に担持させる従来のウォッシュコー
ト法に加え、メッシュとセパレーターに直接触媒金属を
めっきする試みも行っている。
すなわち本研究は、排ガスの流れを変化させ浄化効率を
あげて小型化を図り使用貴金属を少なくする事と、担体へ
の貴金属めっきを確立し、より少ない量を無駄なく担持す
る事によりコストを削減するものである。
研究開発の概要及び成果
更に触
する方法
メリット
事業
図2 本研究開発の概要
86
関東経済産業局 戦略的基盤技術高度化支援事業
研究開発成果事例集
(平成25年度~平成26年度採択事業)から抜粋
- 30 -
◎所
◎担
◎T
◎プ
◎プ
◎主
栃木県産業技術センター 研究報告 No.13(2016)
26年度採択
補助事業
触媒性能は担持貴金属量に左右されるので、性能を上げ
るにはセルを極力小さくし数を増やし、触媒面積を稼ぐ方
向になる。従来構造では、排ガスはセル間の移動ができず、
且つ入口から出口まで排ガスが触媒金属と触れない部分も
ある。そこで本開発では排気ガスの流れを変え、触媒金属
を触れやすくする構造を採用した。結果、触媒浄化効率が
従来型より優れる事が実証できた。
開発された製品・技術のスペック
使用貴金属量1/3で従来品と同等浄化性能のキャタライ
ザーの開発ができた。
拠ってコストの約80%を占める貴金属量を1/3に低減す
ることで全体コスト目標1/2達成の目途がついた。
精密加工
る触媒貴
貴金属の
ガス流を
属量を削
図4 従来品との比較写真
ステンレ
定とガス
を採用し
シュコー
媒金属を
グラフ2 性能比較-1
化効率を
、担体へ
く担持す
図3 メッシュ構造
更に触媒金属の担持について、担体に触媒金属をめっき
する方法についても開発を進めている。めっき担持の最大
メリットは、使用貴金属量を微調整できる事である。
グラフ3 性能比較-2
この研究へのお問い合わせ
事業管理機関名
一般財団法人地域産学官連携ものづくり研究機構
◎所在地:〒 373-0057 群馬県太田市本町 29-1
◎担当者:佐藤 純一
◎ TEL:0276-50-2100 ◎ FAX:0276-50-2110 ◎ E-mail:[email protected]
◎プロジェクト参画研究機関(大学、公設試等)
:国立大学法人群馬大学、学校法人上智学院、群馬県立群馬産業技術センター、
栃木県産業技術センター
◎プロジェクト参画研究機関(企業)
:株式会社深井製作所、株式会社エコラ・テック
◎主たる研究実施場所:株式会社深井製作所
関東経済産業局 戦略的基盤技術高度化支援事業
研究開発成果事例集
(平成25年度~平成26年度採択事業)から抜粋
- 31 -
87