Regular Lecttve連 載講座 静砕欅>>>Cha‖ enge【 応用】 今回のKeyWord B定期報告制度、浮きの補修 工7 ″ ・ 図2〕 赤外線法 の仕組み 〔 仕上 げトラカ レ撃退法 により調査す ることを求 めている。こ こで「全面打診等」とは主に打診法 と 第0回 (イ ラスト:平 田 利 之 ) 赤外線 法 の 2つ の手法を指す。 レの浮きは 広範日のタイガ 全 面 改修で剥落 日 )スク排除 :西 ,II忠 講 師 ――剥離部 健全部 打 診 法 は、文 字 通 リテ ス トハ ン マーを用いてタイルを 1枚 1枚 たた き、打撃 音 の違 いか ら浮 いているタ イルを判別す る方法である。作業 に コンステック執行役員研 究開発本 部長 当たつては、屋上 からゴンドラを設置 したり、高所 作 業 車 を使用 したりす 図1〕 義務化された定期 点検の対 象 〔 写真2〕 赤 外 線法 による外 壁 調 査 〔 ある程度の距離をとって、地上からタイル熟画像 を撮影するので仮設足場は不要だ 写真1〕 。広 く用 いられて る必要がある〔 ――‐ 剥離部温度分布 一一健全部温度分布 日射で浮き部と健全部の間に温度差が生じる。そ の温度分布で浮き部を検出する (資 料:筆 者 ) いるが 、現地作業 の手間がかかるこ 対象建物 ・床面積の合計が100m2を 超える 殊 特 建築物 (注 1) ・階数が5以 上かつ延べ面積が1000m2を 超える事務所等 とと、ゴンドラなどの足場費用がかか ることが難点である。 点検 を要する外壁仕 上 げと範囲 ・ モルタ時 で歩行者l希 害を与ぇるも` 石張り、 れ おある範囲 侮霊f、 赤外線 法は、仮設足場 を必要 とし ない方法である。日射や外 気温変動 点検頻度 ・3年 以内ごとに目視点検 により、壁面 と外気 の間 に熱 の授受 。 10年 以内ごとに、テストハンマーによる全面打診 等 が あるとき、浮 き部 と健全 部 の 間 に 制至 筆 営 脇會 鏃霜(な黄 t野 軟鉄な ξ 献 墨 盈 絵 亀 田 2008年 改正の定期点検制度では、タイル張り仕上げの点検が努力義務から 罰則を含む義務に強化された (資 料:国 土交通省告示282号 をもとに筆者が作成 ) わずかな温度差 が生 じる。その壁面 写真1〕 ゴンドラを用 いた打 診 調 査 〔 屋上から吊るしたゴンドラに乗った技術者が、テストハンマーでタイルをたたく。 その打撃音から浮きの有無を判断する停真:109ベ ージまで特記以外はコンステック ) 温度分布 をサ ーモカメラによって測 写真 定することで、浮 き部を検出するに 図幻。短時間 で広 い面積 の情報 が 熟練 を要するが、現実 には劣化状況 得 られるので、現地作業 に要す る時 を正確 に判定 できる有資格者 は非常 間 を短縮できる。 に不足 しており、診断業 務 の省力化 2、 タイル張り仕上げには、定期的な点検 仕上げと異なる点であり、設計時も と適切な補修 が欠かせない。タイル の 後々の点検や補修を念頭に置かなけ 浮き率が高い場合には、部分補修 を ればならない。 が義務付けられている。 写真3〕 サ…モカメラで撮 つた熱画像 の例 〔 熱画像 を判読してタイル浮きを抽出する。白っぽ い部分が高温部で、浮きが生じた箇所だ 写真4〕 外 壁 診 断 ロボツト 〔 吸引ポンプで壁面 に吸着しながら、前後左右 に 移動する(写 真掴土技術政策総合研究所 ) は待ったなしの状況 だ。 対象 は特殊建 築物 だけで あり、範 ただし、採用 に際しては、壁面 に対 囲も歩行者などへの危険性がある部 して日射 などの熱供給があること (晴 分だけである。これはあくまでも剥落 天であること)が 条件 であり、タイル 打診 する外壁 診 断 ロボ ットである。 事故 の防止 を目的としているか らだ の種類 によって温度差 を生じやすい 国土交 通省 国 土技術政策総合研 究 分 のみを対象 とする方法 と、壁面全 体 を新規の仕 上げ材でカバーする方 2008年 の建 築 基 準 法 改 正 によ が 、建築 物 を健全 な状態 に保 ち、長 ものとそうでないものが ある点 に注 所で開発 した。このロボットで作業性 図 。 法 に分かれる〔 り、図 1に 該当するタイル張 り仕上げ 持ちさせるためには、点検 義務 の対 意が必要 である。また、サ ーモカメラ や測 定精 度 の研 究が進 められてお 浮 き部分だけを補修す る方法で について、建物所 有者や管理 者 は定 象 とならない建物や範 囲 についても はあくまで も汎用 の温 度 計 で あり、 り、実用化 の可能性も見 えてきた。こ て劣 化環境 にさらされることにより、 期的に点検 して結果 を報告する義務 点検 を励 行すべ きである。 写真3〕 。 剥離診断専用機器 ではない 〔 ぅしたロボットが人 に代 わつて自動 は、それ以外 の部分にあとで浮きが 発 生する可能性 が残り、同様 の補修 剥落の危 険性が生 じる。危険防止の を負うことになった。違反 した場合の 点検する日もそう遠 くないだろう。 ための定 期 的な点 検 は不 可 欠であ 熱画像 を判読 してタイルの浮きを抽 罰則 規 定 も設 けられている。特 に、 り、浮 きを生 じた場合 には速やかに 竣 工 か ら 10年 以 内ごとに公 道 など 補修する必 要がある。これ はほかの に面する壁 面 については、全面 打診 繰 り返萌より、全面をカバ…リングして 剥落リスクを封じ込めるほうが長期的 には得策だ。(本 誌 ) タイル 張 り仕上 げは長期 にわたっ 106 NIKKEIARCHITECTURE 20呵 5-9-25 建物所 有者 に報告義務 壁面点 検 に2つ の方法 定期報告制度では 10年 以内ごとに 「テストハンマーによる全 面打診等 」 写真 4は 壁面 を吸着歩行 しなが ら 出す るのは、診断者 の知 識 と経験 に 委 ねることになる。 どちらの診断方 法も十分 な経験 と タイル浮き部 の補修 タイル 浮 き部 の補修 には、浮 き部 3〕 を繰り返 さなくてはならないケースも ある。一 方、新規仕 上げ材でカバ ー リングする場合 には、その後浮 きが 発生しても剥落 の危険性は解消され 2015-9-25 NIKKEIARCHITECTURE 107 Re♂ 岨額 Lecture連 載講座 滲鴻 図3〕 タイル張り仕上げの補修方法 〔 補修対象 補修 。 改修工法 うが長期的に見 て得策である。 (1)部 分張り替え まず、部分補修 について解説する。 (2)浮 き部 への注入 +ピ ンニング 図 3(1)の「部分張 り替え」と (2)の タイル陶片の浮き (3)タ イルのピンニング 「浮 き部 へ の注入 +ピ ンニング」は、 (4)ク リア系塗 材 によるカバーリ ング 全面 浮き位置に かかわらない に ngel応 用 l 図5〕 有機 系塗材を用いたピンネットエ法 〔 浮き位置 下地モルタルの 浮き部分のみ 浮き "Ch』 (5)ピ ンネットエ 法によるカバーリ ング (6)乾 式工法によるカバーリング タイル浮 き部 の補 修 に は、浮き部分だけを対象 とする方法と、壁面全 体 を新規 の仕 上 げ材 でカ バーする方 法 の 2つ に …_ _」 大男Uで きる (資 料:筆 者 ) 写真5〕 タイルのアンカ…ピンニング 〔 個々のタイルをアンカービンで固定。ダイヤモンド ビットで音電 子と する 写真6〕 クリア塗 材 による剥 落 防 止 工 法 〔 引張力の大きいクリア塗材と、アンカーピンを併 用することで剥落を防止する(写 真:ア イカエ業 ) 〔 図4〕 セメント系塗材を用いたピンネットエ法 建築保全センターの「建築改修工 事 監理指 針」などに詳細 に示 されてい るので省略する。 全面をカバーリング 既存タイル 続 いて、全 面 をカバー リングする MCア ンカー 工法 を説 明す る。これ には、湿 式 工 法 と乾式 工 法がある 湿式 工法で広 く採用 されているの が「ピンネットエ法 」だ。これは、既存 図 4の ボリマーセメントモルタルの代わりに、アクリ ル樹脂を用 いて施工した。追従性や防水性 に優 れ るが、施工単価 はボリマーセメントモルタルより高 い 資料:コ ンステック) (写 真と 専用ネット (3)タ イルのピンニングは、個 々の タイル面 の上をポリマーセメントモル タイルをアンカ ー ピンで 留 め付 ける タルと専用ネットで覆ったうえで、躯 写真5〕 。下地 モル タルに浮 き 方法だ 〔 体 にアンカーピンを施 正 してタイル 既存タイル仕上げ があつた場合 には、空隙部分 にエポ の剥落 を防止する方法である 個 4〕 。 接着 モルタル キシ樹脂などの接着剤 を注入できる ポリマーセメントモルタルを用いる が、タイル 陶 片 の 浮 きにつ いて は 代 わりに、アクリル 樹 脂 などの有機 個 々のタイルの背面 に注入するのが 図5〕 。有 系樹脂 を用 いる工法もある 〔 難 しい。そのため、タイルを張 り替 え 機 系樹脂 は伸 びが大きいので、下地 写真7〕 金 属 板 でタイル 外 壁 を覆 う 〔 既存のタイル張り仕上げをアルミスパンドレルで ない場合 には、タイルのピンニングを にひび割れが発 生しても追従性 が大 覆 っ た 改 修 事 例 (写 真 :理 研 軽 金 属 工 業 ) 用 いる。 きく、剥落 防 止効果 と防水性が保持 手間のかかる工 事であり、グイヤ ( ¬ 静i .● 1 EPS断 熱材 写真8〕 タイル 外 壁 の外 断 熱 改修 事例 〔 既存のタイル張り仕上げを湿式外断熱工法で改 修した事例 (写 真サンクビッけ される。 済ませておく必要がある。 上する。 モンドビットでタイルをせん孔するの モルタルを使った工法 の施工単価 躯体コンクリート で、タイル寸法 により差 はあるが 、一 の上 限 は 1万 円/m2程 度、有機 系樹 既存仕上げ材 般 に施 工 単価 は 1枚 当たり2000円 脂 を使 った場合 の上限は 1万 5000 省エネ改修も合わせて実施 ためには、開 口部や屋根 の断熱化 も 前後 と高額 になる。 円/m2程 度 だ。どちらも外装 の表面 最後 に外 断熱 改修 による価 値 向 バランス良 く行うことが大切である。 (タ イル ) モルタル下塗り 専用ネット MCア ンカー モルタル上塗り 新規仕上げ材 (別 進工事 ) 1専 用ネットを内蔵したボリ │マ ーセメントモルタルの 薄塗り仕上げ層を、アン カービンで固定する。表 1面 の仕上げは塗装仕上 げとするのが一般的であ フ る (資 料:コ ンステック ) なお、空調負荷 を効率 的 に減 らす 上について説明する l写 真8〕 。 部分補修 として、クリア塗材 による を塗装仕上げとするのが一般的だ。 剥落 防止 工 法 もある。これ は、既存 一 方、乾式 工 法 による全面カバー 外壁改修 を必要 とする年代 の建物 のタイル 張 り仕上 げの外観 を残 した リングでは、新規 の外装材 として軽 では、現行 の省 エネルギ ー基 準 に比 いときなどに用 いる方法で、透明性 と 量で耐 久性 に優 れ る金 属板 が使 わ べると相 当 に断熱性能が低 く、躯体 引張強度を兼ね備えた樹脂でタイル れることが多 い。写真 7は アル ミスパ の劣化 も進行していることが多い。そ 表面をコーティングする。写真 6に 示 ンドレルを採用 した事例 だ。パネル 自 の場合 には、外断熱改修 が有効であ す工 法では、アンカーピンを併用 (縦 体 の耐久性 は高 いので、その特性 を る。既存仕 上げを新規断熱層で外側 横 50011ull間 隔、4本 /m2)し て、剥落 生かす ためにもシー リング材 を多用 から押 さえることで、空調 に要するエ )ま す 連載の予定 (内 容は変更 になる場合があ′ しない納 まりとしたい。 ネルギ ー 消費量 を減 らす ことができ 第 7回 第 8回 る。ただし、1回 当たりの改修 費用 は 目的なら、カバ ー リングによる全 面改 防止機 能 を高 めている。以前か らこ 部分補修 に比べて相当大きい。 修 とするのが現 実的だ。あくまで目安 の種 のクリア系 コー ティング材 は存 また、乾式 工法 は現場で のサイズ る。結露 のリスクも抑制できるので衛 そのため、浮 き率が小 さい段 階で だが 、筆者 の経験では浮き率が 10% 在 したが、経年 による黄変や 白変が 調整 など小回りが利かない点 にも要 生環境 の改善 にも寄与するほか、躯 は部分補修、大 きい場合や年数を経 を超 える場合 には、場 当たり的な対 問題 となっていた。近年 の製 品では 注意 だ。既存 ダクトや換 気 口などと 体 が雨や 日射 にさらされず、室 内環 て躯体の劣化進 行 を抑制することが 応 を繰 り返すより全面改修 をするほ これが改善されている。 の納 まりについては、事前 に検 討 を 境 と同じ状態 になるので耐久性 も向 108 NIKKEIARCHITECTURE 2015-9-25 ¬ 川忠 に i コンステック執行役員研 究開発本部 長。1961年 北海道生まれ。北海道大 学大学院社会基盤 工学専攻。工学博 士。83年 から北海道立寒 地住宅都市 研究所 に勤務。98年 にコンステック入 社。建築物 の調査診 断、耐震補 強、 改修など1こ 幅広く携わる ) 美しい打ち放 しを実現する (10月 25日 号 ) ALCの トラブルと防止法 (11月 25日 号 ) 第 9回 シーリングの劣化 パターン (12月 25日 号 ) (全 12回 の予定 ) 2015-9-25 NIKKEIARCHITECTURE 109
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