テレビCMへの相談が過去最多

Japan Advertising Review Organization, Inc.
日本広告審査機構、21 年度上半期の統計を発表
テレビCMへの相談が過去最多
21 年度上半期(21 年 4 月∼9 月)の受付総件数は 3,048 件で、若干の減少となった。業種別で
は「通信」「行政・団体」「健康食品」などが増加し、媒体では「テレビ」の相談が 958 件(30.4%※1)と
同期ベースで過去最多に上った。また、業務委員会で審議して 18 件の見解を発信したが、そのう
ち 6 社は、若返りをうたう健康食品・化粧品の通信販売広告で、各社に警告を行った。これらは、広
告主がすべて異なるものの、広告内容は酷似したものであった。
※1 相談が複数の媒体にわたる事例があるため、媒体別の全件数(3,147 件)は、総件数(3,048 件)より多くなる。
1.全体件数
今期の受付総件数は 3,048 件で、匿名でないなどの要件※2 を備えた「苦情」は 181 件、それ以外の
「問い合わせ」は 2,867 件となった。「問い合わせ」の内訳は、「苦情」の要件を満たさないものの、内
容は苦情と同様である「意見」が 1,831 件、広告制作の相談などの「照会」が 799 件、番組や記事など
の「広告以外」が 237 件であった。実質的な苦情となる「苦情」と「意見」を合わせた件数は、近年減少
傾向にあったが、今期は若干の増加となった。
受付総件数 3,048 件
(前年同期 3,097 件/前年同期比 98.4%)
問い合わせ 2,867 件
(2,943 件/97.4%)
意見 1,831 件
照会 799 件
(1,789 件/102.3%)
(869 件/91.9%)
苦情 181 件
(154 件/117.5%)
広告以外 237 件
(285 件/83.2%)
※2 「苦情」とは①相談者の氏名、連絡方法が明らかである、②事務局で広告の確認ができる、③相談者
が広告に不都合ありと主張している―の 3 要件を満たすもの。「問い合わせ」はそれ以外をいう。「意見」
は 3 要件を満たさないが、内容は「苦情」と同様のもの。「苦情」と「意見」を合わせたものが実質的な苦情
となる。
2.業種別
多く寄せられた業種について「苦情」と「意見」を合わせた件数で見ると、「小売業」223 件、「通信」
172 件、「一般食品」111 件の順となり、前年同期と比べ順位に変化はなかったものの、例年 1 位で逓
増していた「小売業」が今期は減少した。「小売業」の内訳を見ると、昨年まで多かった家電量販店な
どの「専門店」より、今期はネット通販を含む「通信販売」が上回った。増加が目立った業種は、若返り
をうたう広告への相談が多かった「健康食品」「化粧品・石けん・洗剤等」、団体の啓発広告を含む「行
政・団体」などで、減少したのは「小売業」のほか「人事募集」「土地・建物」などであった。
21 年度上期
(全 2,012 件)
① 小売業
20 年度上期
(全 1,943 件)
223
① 小売業
② 通信
172
② 通信
167
③ 一般食品
111
③ 一般食品
118
④ 行政・団体
104
④ 人事募集
107
⑤ 健康食品
96
⑤ 土地・建物
80
⑥ 人事募集
90
⑥ 風俗・ギャンブル
74
⑦ 化粧品・石けん・洗剤等
74
⑦ 行政・団体
69
⑧ 医薬品・医薬部外品
73
⑧ 保険
57
⑨ 車両・乗り物
66
⑨ 車両・乗り物
56
⑩ 土地・建物
64
⑩ 飲食業
55
1
257
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3.媒体別
媒体別は「テレビ」958 件、「インターネット」406 件、「折込」381 件の順で多く、平成 13 年以降 1 位
となっている「テレビ」が今期は 121 件増加して過去最多となった。「テレビ」の相談を業種別に見ると、
件数が多かったのは「通信」「一般食品」「小売業」だが、増加したのは「行政・団体」や「医薬品・医薬
部外品」、オンラインゲームを含む「通信」で、これらは特定の広告への相談が目立った。また、年々
増加している「インターネット」は、「折込」を抜いて 2 位となり、「折込」「新聞」「ミニコミ誌」「雑誌」の減
少が目立った。
21 年度上期
20 年度上期
件数
件数
①テレビ
958
①テレビ
837
②インターネット
406
②折込
416
③折込
381
③インターネット
355
④チラシ
167
④新聞
182
⑤新聞
164
⑤チラシ
145
⑥パンフレット等
104
⑥雑誌
106
101
⑦ラジオ
79
⑦ミニコミ誌
⑧ミニコミ誌
74
⑧パンフレット等
93
⑨雑誌
64
⑨ラベル・パッケージ等
71
⑩屋外広告
50
⑩ラジオ
65
ラベル・パッケージ等
50
4.一般の相談
総件数の 4 分の 3 を占める「一般」からの相談は 2,265 件で、男性 1,490 人、女性 736 人、不明 39
人※3、年代別では「20 代」「60 代」「70 代以上」が増加した一方で、例年多い「30 代」「40 代」「50 代」
が減少した。特に「60 代」「70 代以上」の男性の増加が目立つが、この年代は媒体別の「テレビ」が多
くを占める。近年の傾向として、広告が事実と異なるなどの「虚偽・誇大」を訴えるものより、セクハラ、
青少年への悪影響などを訴える、広告への「意見・要望」の割合が増加しており、後者の割合が高い
「テレビ」の相談を押し上げる結果となった。
相談者内訳
一般
全体
2,265
消費者団体
2
「一般」の年代・性別
( )は前年同期
件
年 代
男性
数
女性
不明
消費生活センター
61
10 代
13(4)
6(1)
7(3)
0(0)
行政機関
17
20 代
277(250)
174(159)
103(91)
0(0)
(会員)
133
30 代
426(504)
274(343)
151(161)
1(0)
(非会員)
190
40 代
437(479)
273(288)
164(191)
0(0)
(会員)
180
50 代
284(327)
185(216)
99(111)
0(0)
207(175)
157(127)
50(48)
0(0)
82(74)
66(44)
16(29)
0(1)
539(454)
355(309)
146(121)
38(24)
2265(2267)
1490(1487)
736(755)
39(25)
広告主
広告業
媒体
(非会員)
69
60 代
(会員)
94
70 代以上
(非会員)
21
不明
関係団体等
合計
16
3,048
合計
※3 「不明」とは、匿名の郵便など性別・年代が分からない相談
2
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5.見解事例
JAROでは業務委員会で審議し、広告主などにその見解を発信して広告の適正化を促しているが、
今期は警告 10 件、要望 4 件、提言 4 件※4 の計 18 件の見解を出した。警告のうち 6 件は、若返りをう
たう健康食品・化粧品の通販広告で、広告主はすべて異なるが、酷似した内容の広告であった。
警告 10 件は次の通り(括弧内は媒体)。①「20 歳若返る」とうたう美容液(ダイレクト・メール)②使用
前後の写真とともに年齢を表示した美容クリーム(折込)③「身につけるだけで脂肪燃焼」とうたうダイ
エット腹巻き(折込)④「たった 30 日で 20 歳若返る」とうたう健康食品(折込)⑤「しわを短期間で消し
た」とうたう健康食品(折込)⑥「レースクイーンが 1 カ月で 15kg 減」とうたう健康食品(ラジオ)⑦ノーベ
ル賞成分が「飲むだけで瞬時に若返る」とうたう健康食品と美容液(折込)⑧若返り効果をうたう健康
食品と美容液(折込)⑨内閣府認証をうたう心理カウンセラー養成スクール(ホームページ)⑩「空気
感染から身を守る」とうたう健康食品(ホームページ)。
※4 [警告] 広告および表示事項が関係法令に抵触することから、当該広告の即時排除もしくは当該表示の撤回が
必要と認められるもの。
[要望] 広告および表示事項が消費者に誤認を与える恐れのあるもの、または関係法令に抵触する恐れがあり、
当該表示の修正を求めることが必要と認められるもの。
[提言] 広告および表示事項の一部が消費者に誤認を与える恐れがあるため、検討を求めることが必要と認めら
れるもの。
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