日刊工業新聞社 プレス技術 10 月号 特集 改善タイトル「 糊付け

日刊工業新聞社
改善タイトル「
1.企業的命題
プレス技術 10 月号
糊付け∼プレス工程の多品種少量生産改善
特集
」
20 文 字 ×10 行 ×1 段
弊社の生産する「組立家具」は長い間作った
物は全て売れる、という恵まれた環境にあり
ました。しかし、ここ数年で重要得意先であ
る大手ホームセンター・総合量販店が独自で
海外から商品を仕入れ始めたため、大量生産
方式による低価格品では価格競争に勝てず、
より付加価値の高い商品をタイムリーに提供
する必要が出てきました。そこで生産品目と
生産量を自由自在に変動できるラインを構築
する必要がありました。
文 章 : 20 文 字 ×10 行 ×2 段
2.改善の目的
従来の大量生産方式の生産にて、原価を下げ
る生産においても中国等の低コスト商品に対
①生産品目と生産量が自由自在に変動できる
ライン作りをする。
応できなくなってきました。そのため多品種
②少量生産に見合った前工程の糊付け工程人
少量生産による付加価値の高い製品をより低
員の見直しを行い、1人当りの生産性を個
コストで生産できる体制作りが求められるよ
乗させる。
うになりました。
を実現させるために今回の改善を行いまし
多品種少量生産、低コスト化に対応するため
た。
3.どのような改善か
このため、プレス時間をベースに前工程の糊
以前までは、糊付け作業を6名にて作業して
付け作業分析と時間観測を行い、
いました。その内訳は側糊付け作業3名・棚
① 作業者のわずかな空き時間の活用を行う
糊付け作業3名と常時フル稼働して生産をし
ていました。第1段階としてこの作業を1名
活人して5人体制で行うように改善しまし
た。しかし、5人作業で行った場合、
① 1人減ったため生産速度が落ち後工程の
手待ちが発生するようになった。
② プレス後の乾燥時間不足によるハガレ等
の問題が発生した。
等により、各3名配置でバランスの取れた生
ようにした。
② 材料置場レイアウトの見直しにより段取
り時間の短縮を行った。
③ 材料運搬台車の小型化による少量運搬に
対応できるようにした。
④ 作業者間の応援を自在にできる体制を作
った。
⑤ プレスのプログラム変更により片方運
転・両方運転が自由にできるようにした。
産を行わなければ問題解決ができないことが
等の改善を行い、5人作業から4人作業が安
わかり、更に改善を加える必要性がでてきま
定してできるようにした。
した。
大洋株式会社
製造部
リーダー
〒 427-0017
山下大作
静 岡 県 島 田 市 南 2 丁 目 20 番 1 号
℡ 0547-37-5288
日刊工業新聞社
プレス技術 10 月号
特集
4.改善の効果
(改善前の説明文)
20 文 字 ×16 行 ×1 段
(改善後の説明文)
20 文 字 ×16 行 ×1 段
糊付けプレス機による糊付け作業が棚糊付け
① 時 間 観 測 に よ る 改 善 を 行 い 、作 業 を 4 人 に
作業と側糊付け作業の二つに分かれていま
分 担 し 、2 人 づ つ の 側 糊 付 け 作 業 と 棚 糊 付
す 。 1 日 当 り の 生 産 数 が 5000 枚 必 要 な た め 、
け作業が並行作業にて安定して行えるよ
サ イ ク ル タ イ ム は 5. 5 秒 に な り ま す 。
うになった。
これを 5 人単位で交互に側糊付けと棚糊付け
を行っていました。このため 5 人の作業者間
の手待ちが発生していると共に側糊付けと棚
糊付けとバッチ作業のため後工程のサイクル
タイムの短い製品は手待ちが発生していた。
② 1 日 当 り の 生 産 量 5000 枚 を 確 保 し な が ら
後工程の手待ちがなくなった。
③ 常にプレス後の乾燥時間が一定に保てる
ようになり品質も大幅に向上した。
④ 作業分析に基づいた作業配分を行ったた
め 、作 業 の 標 準 化 が で き 、作 業 者 の 負 担 が
軽減した。
⑤ レ イ ア ウ ト 変 更 に よ り 、 5S が で き る よ う
になった。
等により、生産性向上と作業環境の向上がで
き安定生産ができるようになった。
5.今後の課題
文 章 : 20 文 字 ×10 行 ×2 段
海外との価格競争に勝つためには更なるコス そして、工程毎の応援体制を作り必要な時に
ト低減が必要です。そのためには更に少人化
必要な人員が応援できるようにしていきま
を行う改善の必要性を感じています。
す。さらに、多能工化を進め工場全体の応援
そのためには、糊付け∼プレスの単体の改善
体制を作り、トータル人員の見直しを行い
で効果を出すためには大変難しく、投資も必
少人化を推進していきます。
要になってきます。
このため、前工程・後工程を含めたライン全
体の改善を行う第 1 ステップとして、工程毎
に行っている管理板をライン全体の管理板に
して全体の進捗ができるようにする。