2007 オンライン ゲーム白書 メディア化するオンラインゲーム 進化する仮想世界(Virtual world)の ビジネスモデルをデザインする! 株式会社メディアクリエイト Contents ■目 次 本書を利用するに当たって ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 006 第1章:市場動向 1-1:国内オンラインゲーム市場の現状と展望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 010 伊藤雅俊[株式会社IRIコマース&テクノロジー SlashGames編集長] 1-2:韓国オンラインゲーム市場動向分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 014 [中央大学(韓国) 経営学科 教授 /(社)コンテンツ経営研究所 所長] 1-3:中国のオンラインゲーム市場動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 018 川口洋司[株式会社コラボ 代表取締役] 1-4:オンラインゲーム開発拠点としてのシンガポール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 022 岩本玲央[立命館大学 政策科学研究科 博士課程前期過程] 第2章:業界動向 2-1:トピック 現実でなく、ゲームでもない、新たな媒体『Second Life』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 028 浅枝大志[株式会社メルティングドッツ 代表取締役] ユーザークリエイトコンテンツはどう形成されたか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 032 新 清士[ゲームジャーナリスト / 立命館大学映像学部講師] オンラインゲームにおけるゲーム内広告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 037 川村佳央[株式会社アドプレイン 代表取締役社長 / インタラクティブ・プロデューサー] RMTの現状と今後 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 040 上山和久[株式会社ダイアモンドギル 代表取締役] 2-2:マネジメント【経営視点】 オンラインゲームのトレンドの変遷・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 045 小沼竜太[リュウズオフィス] 仮想世界の価値とビジネスモデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 049 野島美保[成蹊大学 経済学部 准教授] オンラインゲームの国際分業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 055 澤 紫臣[株式会社ハイファイブ・エンターテインメント 代表取締役 CEO] 複合カフェにおけるオンラインゲームの動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 062 兼森 淳[有限会社ベーダ横浜 代表取締役 / 日本複合カフェ協会理事] 2 Contents 2-3:ディレクション【運営視点】 関連ソリューションから見たオンラインゲームの運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 068 金 明均 課金事業者から見たオンラインゲーム市場2006 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 076 橋野太郎[株式会社ウェブマネー 執行役員 営業部長] コミュニティマネジメントについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 081 石山隼行[株式会社アメイジンググレイス / シークレットガーデン 乙女なネットパーク「女神幻想ダイナスティア」 ゲームディレクター] ゲームマスターサービスについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 086 高村 弓[株式会社ISAO アミューズメントオンライン事業部 ゲームマスターサービス部 スーパーバイザー] 根本から考え直すオンラインゲーム・プロモーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 090 小沼竜太[リュウズオフィス] 2-4:ユーザー【ユーザー視点】 オンラインゲームと欲望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 095 ネトゲ研究日誌 後藤 オンラインゲームユーザーの傾向分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 099 神谷 健[ワンズ・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役] ゲーム論文大賞 優秀賞受賞 オンラインゲームに関する消費者行動分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104 桑島淳郎 二見龍一 松岡一憲 八木崇裕[慶應義塾大学 経済学部] 第3章:タイトル動向 3-1:オンラインゲームの国内市場規模・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114 3-2:クライアントインストール型オンラインゲームの傾向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116 3-3:オンラインゲームタイトルリスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 120 3-4:2006年 業界NEWS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126 第4章:ユーザー動向 4-1:カジュアルオンラインゲームユーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 130 4-2:クライアントダウンロード型オンラインゲームユーザー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140 4-3:タイトル別ユーザー満足度調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 154 3 Chapter02 2-4 ユーザー オンラインゲームユーザーの傾向分析 第1章 神谷 健[ワンズ・コミュニケーションズ株式会社 代表取締役] 第2章 第3章 「オンラインゲームユーザー」とは、一体どのようなものだろうか。 また、どのような傾向があるのか─。 オンラインゲームユーザーを対象としたアンケート調査を行い、その実態に迫った。 第4章 ■ データ取得に当たって 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 『2006オンラインゲーム白書』に引き続きデ ータ面で携わることとなり、データの精度を高 めるために、ありとあらゆる可能性を考慮に入 調査は、4万人(16歳∼39歳)のインターネ ットユーザーを対象にスクリーニング(予備調 査)を行い、対象者となるユーザーを抽出した。 対象者は、オンラインゲーム歴2年未満のカジ れて調査設計を立てた。 相互通信が可能であるインターネットであっ ても、大半のユーザーがROM(Read Only Member)で「サイレント(声を発しない)ユ ーザー」である。オンラインゲームユーザーも ュアルオンラインゲームユーザー、オンライン ゲーム歴2年以上のカジュアルオンラインゲー ムユーザー、オンラインゲーム歴2年未満のク ライアントインストール型のオンラインゲーム ユーザー、オンラインゲーム歴2年以上のクラ 例外ではなく、公式的にアンケートを行ったと しても、その答えるユーザーのほとんどがゲー ム・運営に関心がある「声の大きいユーザー」 イアントインストール型のオンラインゲームユ ーザーをそれぞれ、3:1の男女比で抽出を行っ た(P.128-129割付表参照) 。 オンラインゲーム歴2年未満と2年以上で割付 を行った理由は、近年急速に増えつつあるオン ラインゲーム人口において、既存ユーザーと、 であることは否めない。 昨年の白書における調査では、オンラインゲ ームコミュニティサイトでの実施ということも あり、オンラインゲームに対して関心が高い、 「声の大きい」ユーザーの意見に寄っていた。 しかし、先に述べたように、市場全体を把握 するには、 「サイレントユーザー」の意見が必要 不可欠であり、それらを取り込み、かつ公正を 期するための調査を行う必要があると考えた。 それらの条件を考慮に入れ、今回の調査では インターネットリサーチ会社(マクロミル社) によるモニターを使用し、独自のスクリーニン グ(抽出)手法によって調査を行った。 99 新規ユーザーの比較分析を行うためであり、実 際の市場構成とは若干の差異があるものと考え られる。あらかじめ断っておきたい。 ■ ユーザーの全体像 カジュアルオンラインゲームユーザー 母集団の特性として、平均年齢が30.99歳と高 い。しかし、実際のところ、カジュアルオンラ インゲームの層は年齢のレンジが広いのが特徴 で、今回の調査結果では上層部分をとらえたも Chapter02 のとして解釈していただきたい。また、オンラ 休日216.24分となっている。 インゲーム歴では、2年未満と2年以上の割付を 行っているものの、2年以上のユーザーのオン ラインゲーム歴が長く、平均2.74年(32.90カ 月)という結果となっている。一般的には、カ これらの数値を参考に、1カ月当たりのプレ イ時間を計算すると、2年未満が約30時間、2年 以上が約45時間となり、ユーザー滞留時間が長 ジュアルゲームユーザーは、ゲーム歴が短いと 認識されがちであるが、サンプルの中には、5 年以上のキャリアを持つユーザー(約15%)も 存在し、インターネット黎明期よりオンライン ゲームに関与していたものと考えられる。 クライアントインストール型ユーザー 平均年齢は28.29歳と、前回の24.88歳に比べ て高い結果となった。市場全体の傾向からすれ ば、若干高い水準ではなかろうか。また、オン ラインゲーム歴は、カジュアルオンラインゲー ム同様の割付を行っており、平均2.72年(32.6 第1章 いと言われているSNS「mixi」の4時間28分を はるかに超える数値となっている(ネットレイ ティングス2006年6月発表) 。WEBサイトとオ ンラインゲームでは、土俵が違うものの、同じ インターネットを介したサービスとして考える ならば、オンラインゲームは最も滞留時間の長 いサービスといえる。 昨今、しきりにゲーム内広告について騒がれ ているが、その背景には市場の拡大はもちろん 第2章 第3章 第4章 のことだが、オンラインゲームの滞留時間の長 さが起因しているものと考えられる。 図表1:1週間当たりのプレイ日数 カ月)という結果となっている。 プレイ日数 2年未満 ■ オンラインゲーム歴に対する属性分析 (クライアントインストール型ユーザー) 2年以上 0日 1日 2日 3日 4日 5日 6日 9.0% 5.5% 22.9% 7.9% 11.1% 13.4% 11.1% 12.6% 5.9% 31.4% 11.4% 11.9% 14.9% 13.9% 10.4% 6.4% 7日 テレビや雑誌などのマス媒体、WEB上での 大々的なプロモーション効果で、2005年から若 年層や女性ユーザーが急激に増えてきていると 感じられる。先に述べたように、新規ユーザー と既存ユーザーとでは違いがあるのか。オンラ インゲーム歴2年未満を“新規ユーザー” 、2年 以上を“既存ユーザー”と仮定して、傾向分析 を行ってみた。 ・プレイ頻度 まず最初に、1週間当たりのプレイ日数を比 較してみる(図表1) 。2年未満のユーザーが0日 ・認知経路 続いて、オンラインゲームの認知経路だが、 インターネットの記事、現実社会の友人からの 勧め、オンラインゲーム自体に興味があったと いうことに関しては、両者に差はない(図表2) 。 2年未満のユーザーでは、インターネットバナ ー、テレビCMなど受動型の広告媒体が高くな っている。逆に、2年以上のユーザーでは、ネ ットの友達からの勧め、雑誌などの口コミや能 動型の広告の割合が高くなっている。 また、今回の調査では「始めたきっかけ」と 以上のユーザーは4日∼7日の割合が高い。平均 プレイ日数を計算すると、2年未満のユーザー は3.63日、2年以上のユーザーは4.34日となって おり、1日分とまでいかないが、2年以上のユー しか聞いてはいないが、過去の独自調査におい て、 「プレイする決定打となった情報は何です か?」という質問を行ったことがある。友人・ 知人からの情報が多いことは、上記と同様では あるが、 「個人サイト、ブログ」を見て決めた ザーの方が1週間当たりのプレイ頻度が高い傾 向があることが分かる。また、プレイ時間に関 しても同様の傾向が見られ、2年未満のユーザ ーの平均プレイ時間が平日105.97分、休日 174.89分、2年以上のユーザーが平日137.78分、 というユーザーの割合が高くなっていた。 新規オンラインゲームユーザーであれば、マ ス媒体や大々的なインターネット広告が、既存 オンラインゲームであれば、口コミを誘発させ る「個人サイト、ブログ」へのアプローチが会 ∼3日の割合が高くなっているのに対して、2年 100 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter02 員獲得への効果的な手法ではないだろうか。た として計算すると、2年未満では2,176円、2年以 だ、それらは相反する手法であるため、ターゲ ットごとに使い分けていく必要があるだろう。 上では2,258円と差があまり見られない。言い換 えれば、オンライン決済というハードルを一度 でも越えてしまえば、後は既存ユーザー層とあ まり変わらないということになる。 第1章 図表2:オンラインゲームの認知経路 基本無料・アイテム課金制では、 “無料でゲ 第2章 認知項目 ネット リアル ネット テレビ バナ− 友人の 友人の 紙媒体 記事 CM 勧誘 勧誘 2年未満 21.3% 21.3% 2年以上 20.7% ・ユーザー客単価 ームができる”というキャッチフレーズで多く のユーザーを獲得している。それらのユーザー に対して、いかに課金を促していくか。運営の 手腕によるところが大きいのではなかろうか。 また、今回の調査では、月に1万円を超す金 額を費やしているユーザーも存在する。アイテ 1ユーザー当たりの獲得単価が急激に上がっ てきている昨今ではあるが、せっかく獲得した ム課金制が浸透してきた昨今では、支払金額の 格差が広がっているものと考えられる。 ユーザーであっても、企業収益に結び付かなけ れば何の意味もない。次は、ユーザーが1カ月 図表3:1ユーザー当たりの客単価 興味 その他 5.8% 17.9% 2.4% 2.1% 17.0% 12.1% 8.4% 13.8% 19.0% 4.7% 0.8% 20.3% 12.3% 第3章 第4章 間に、どの程度支払っているかについて見てい 払って いない きたい(図表3) 。 2年未満のユーザーでは、 “払っていない”ユ ーザーが過半数を超え、そのほかのユーザーは 2,000円未満に分布しているが、2年以上のユー ザーは、1,000円∼3,000未満に集中している。 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 1,000円 1,000∼ 2,000∼ 3,000∼ 4,000∼ 5,000円 未満 1,999円 2,999円 3,999円 4,999円 以上 2年未満 54.7% 14.4% 16.2% 6.2% 2.7% 0.5% 5.2% 2年以上 25.5% 13.9% 30.9% 13.9% 7.4% 3.0% 5.4% ・プレイタイトル 最後に、2年未満と2年以上のユーザーが現在 プレイしているタイトルの違いについて、述べ てみたい(図表4) 。 両属性に対して、プレイしているタイトルを 上位15位まで算出してみた。基本無料・アイテ 後ほど述べるが、これはゲームの課金形態に関 係していると思われる。 平均客単価では、2年未満では985円、2年以 上では1,683円と二倍近い差があることが分か る。しかし、課金しているユーザーのみを対象 図表4:現在プレイしているオンラインゲーム 2年未満 101 2年以上 % 累積 1 スカッとゴルフ パンヤ 10.81 10.81 1 スカッとゴルフ パンヤ 10.49 10.49 2 メイプルストーリー 8.06 18.87 2 ラグナロクオンライン 8.99 19.48 3 RED STONE 6.86 25.73 3 ファイナルファンタジーⅩ Ⅰ 6.24 25.72 4 トリックスター+ 5.15 30.87 4 メイプルストーリー 4.00 29.71 5 プロ野球 ファミスタオンライン 3.77 34.65 5 リネージュ 3.25 32.96 6 ファイナルファンタジーⅩ Ⅰ 3.26 37.91 6 トリックスター+ 3.12 36.08 7 Xenepic Online 2.92 40.82 7 テイルズウィーバー 2.87 38.95 8 リネージュⅡ 2.92 43.74 8 RED STONE 2.75 41.70 9 テイルズウィーバー 2.57 46.31 9 ウルティマ オンライン 2.75 44.44 10 巨商伝 2.40 48.71 10 プロ野球 ファミスタオンライン 2.62 47.07 11 アラド戦記 2.23 50.94 11 リネージュⅡ 2.50 49.56 12 信長の野望 Online 2.06 53.00 12 マビノギ 2.25 51.81 13 ラグナロクオンライン 2.06 55.06 13 大航海時代 Online 2.12 53.93 14 君主 1.89 56.95 14 CABAL ONLINE 1.75 55.68 15 マビノギ 1.89 58.83 15 ファンタジーアース ゼロ 1.75 57.43 順位 タイトル % 累積 順位 タイトル Chapter02 ム課金サービスのゲームタイトルに関しては、 手法である因子分析を採り入れ、オンラインゲ 2年未満では11タイトルに対して、2年以上では 9タイトルと若干少なくなっている。また、上 位5タイトルのみを見る限り、2年未満のユーザ ーでは、同形態のサービスタイトルで占められ ームユーザーの依存心理について分析を行っ た。設問は、ユーザーの熱中(依存)度にかか わる内容8個に対して、相関関係の強い順に三 つのグループにまとめた(図表5) 。また、これ らの分析を元に、各ユーザーに対して得点を付 ていることが分かる。 パッケージ購入、もしくは課金をしなければ プレイできない月額定額課金と違い、自分に合 ったゲームかどうかを十分に見極めることがで きる基本無料・アイテム課金形態は、ゲームに 対する関与度が低い女性や、可処分所得が少な い若年層のユーザーの間口を大きく広げた画期 的な収益構造であるといえる。特に、2年未満 ではゲームポータルサイト「ハンゲーム」でサ ービスされているタイトルが多く、オンライン ゲームユーザーの拡大に大きく貢献しているも け、クラスタリング分類を行った(図表6) 。 第1章 第2章 【ゲーム内外依存】 最もオンラインゲームに対する熱中度が高い ユーザーと言える。オンラインゲームの中だけ 第3章 にとどまらず、日常生活においても常にゲーム のことを考えている傾向がある。オンラインゲ ームの利用頻度は3グループの中でも一番高く、 特に月の平均支払金額に関しては1,725円と突出 している。 第4章 のと考えられる。 ■ オンラインゲーム熱中(依存)度分析 【ゲーム内依存】 ゲーム内では、常に他人の装備やステータス 「オンラインゲーム依存症(ネトゲ廃人) 」な どという言葉が世に出て久しい。韓国や中国で は、長時間プレイし続けた人が亡くなられたり、 を気にしている傾向がある。しかし、月の平均 支払金額は3グループの中で最も低く、ほかの プレイヤーを気にしていることと、課金をする アメリカでは依存者を持つ家族が被害者の会を 設立したりと、切実な問題となっている。国内 においてはまだ表立った事例は出ていないもの の、市場拡大と共に、確実に依存ユーザーが増 ことは結び付いていないようにも思える。 えてきている。 そこで、今回の調査では、オンラインゲーム に対する熱中(依存)度に関して分析を行って みた。分析は、性格分析などでよく用いられる 【コミュニティ依存度】 ゲーム上の友人との結び付きが強い傾向があ る。利用頻度は、 「ゲーム内依存」と変わらな いが、月の平均支払金額では1,220円と上回って いる。また、オンラインゲーム歴は、28.59カ月 と最も少ない。 図表5:因子分析 ゲーム内外 依存 固有値(寄与率の累計) ゲーム内 依存 コミュニティ 依存 3.13(39.08) 1.26(55.84) 0.96(66.82) 旅行・飲み会などの遊んでいるとき、ふとゲームのことを思い出すことがある 0.837 0.165 0.203 オンラインゲームの中に、住んでみたいと本気で思ったことがある 0.757 0.006 0.056 学校・職場などの就学・就業中のとき、ふとゲームのことを思い出すことがある 0.736 0.214 0.278 ほかのプレイヤー(アバター)のレベル・スキル・ステータスが気になる 0.157 0.851 0.103 ほかのプレイヤー(アバター)の装飾品が気になる 0.128 0.836 0.064 もう少しのところで、レベルアップ・スキルアップ・ステージアップする 状況のとき、無理をしてでも上げてしまう方だ 0.019 0.502 0.457 狩りや対戦、イベントなど、ゲーム上の友人に誘われると断れない方だ 0.229 0.118 0.778 気の合う、ゲーム上の友人と話していると時間が経つのを忘れてしまう 0.189 0.081 0.826 因子抽出法:主成分分析 / 回転法:Kaiserの正規化を伴うバリマックス法 102 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter02 図表6:クラスタリング分類による各項目の平均値 ゲーム外依存 (313) ゲーム内依存 (207) コミュニティ依存 (286) 平均年齢 27.83 28.58 28.59 ゲーム歴(月換算) 36.11 33.11 28.59 利用頻度 4.42 3.63 3.77 金額実数(全体) 1725 902 1220 平日プレイ時間(分) 146.50 106.88 105.89 休日プレイ時間(分) 239.66 165.65 169.09 項目(サンプル数) 第1章 第2章 第3章 第4章 ンゲーム、ネクソン、ゴンゾロッソは、テレビ などを利用した積極的なプロモーションを行 い、今までオンラインゲームの対象外とされて きた層へのアプローチに成功している。 しかし、今回の調査で分かるように、オンラ インゲーム人口が格段に増加しているものの、 お金を払わないユーザーが多いのも事実であ る。市場が成熟しつつある中、ユーザーのプレ イスタイルや嗜好を的確に把握していくこと は、企業収益に大きく影響を与えていくだろう。 また、今回の分析では、 「オンラインゲーム への依存度が高いほど収益に直接結び付く」と 今回の分析で、ゲームをしていないときまで 熱中(依存)をしているユーザーが、オンライン ゲーム事業収益に起因していることが分かっ た。これらのことを考えると、自宅以外でも気 軽にできる携帯アプリへの展開は、彼らにとっ いう結果が出ている。依存という範囲もさまざ まあるが、とりわけ未成年に対しては、十分な 配慮が必要なのではなかろうか。海外では、政 府主導でさまざまなオンラインゲームに関する 規制が検討され、実施されている。元々、国内 て有益なサービスといえる。2007年4月よりエ ヌ・シー・ジャパンが携帯電話向けサービス 『リネージュモバイルi』 、また同年6月にはガン 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 ホー・オンライン・エンターテイメントが『ラ グナロクオンライン GAMES』を開始するが、 既存サービスとのシナジー効果が期待できる。 ではコンソールゲームの文化があり、ゲームに 対する免疫力はあるものと考えられるが、オン ラインゲーム依存症の持続性や中毒性に関して ■ まとめ は、筆者自身も身をもって体験している。営利 を追求することは企業活動として重要なことで はあるが、問題が表面化する前に、産業全体の 将来を見据え、考えていかなければいけない時 期にきている。 2004年末からサービスを開始したゲームポッ ト『スカッとゴルフ パンヤ』のブレイクから 始まり、2006年は、空前のカジュアルオンライ ンゲームブームであったことは間違いない。ハ 図表7:クラスタリング分類によるユーザー分布図 4.00000 3.00000 ゲ ー ム 内 外 依 存 度 2.00000 ケースのクラスタ数 ○ゲーム内外依存 1.00000 □ゲーム内依存 0.00000 ×コミュニティ依存 -1.00000 -2.00000 -3.00000 000 -3.00 000 -2.00 000 -1.00 000 0.00 000 1.00 000 2.00 000 3.00 103 2.00000 0.00000 -2.00000 -4.00000 ゲーム内依 存度 度 依存 ティ ュニ コミ Chapter03 3-1 市場規模 オンラインゲームの国内市場規模 ■ 2006年 PCオンラインゲームの国内市場規模 第1章 ・2006年のオンラインゲーム市場規模は567億円 PCオンラインゲーム市場における、2006年の市場規模は567億円と推計する。 本書で市場規模を算出するのは今回が初めてであるため、対前年比でどれだけ成長したのかまでは 分からないが、月額定額課金制は堅調であること、ゲーム内アイテム課金、アバターアイテム課金が 急激に伸びてきていること、またここ数年、オンラインゲームの利用者数が急速に拡大してきている ことを考えると、今後とも大きな市場の伸びが期待できるだろう。 第2章 第3章 ちなみに、家庭用ゲーム機の市場規模と比較すると、家庭用ゲーム機(新品のみ)における2006年 の市場規模は6,034億円(ソフト3,379億円、ハード2,655億円)であるから、全体の約十分の一、ソフ ト市場のみでは約五分の一の市場規模となる。 第4章 ・オンラインゲームの市場規模は2011年には1,011億円に 今回の白書では市場規模の算出と合わせて、今後の予測も試みた(下図表参照) 。 先にも述べたように、月額定額課金制は堅調、ゲーム内アイテム課金、アバターアイテム課金は急 伸、オンラインゲーム利用者数は拡大傾向にある。この傾向は今後とも継続すると思われ、市場の拡 大とともに、インターネットカフェ、キャラクター商品売上からのロイヤリティ、ゲーム内広告も増 加していくと見られる。また、パッケージ販売についても、ある種のダイレクトディストリビューシ ョン(直接販売)形式が確立しているオンラインゲームでは減少していくと思われがちだが、購入目 的が従来の「月額定額のタイトルをプレイする」から「パッケージソフト購入によるインセンティブ」 へと変化してきているため、むしろ微増していくのではないかと推測する。 これらを勘案すると、今後とも大きな市場の伸びが期待できるのは間違いないだろう。PCオンライ ンゲームの市場規模は毎年100億円規模で拡大していき、2011年には1,000億円を突破、1,011億円に達 すると予測する。 オンラインゲーム市場規模予測 月額定額:サービス利用に当たって、ユーザーが月々支払う金額 アイテム課金+アバター:サービス利用に当たって、ユーザーが必要に応じてその都度支払う金額。ゲームポータルサイトなどにあるアバター(自分の化身)を着飾っ たり、WEB上にあるユーザースペースの家具などに対して支払われる金額 ソフト販売:流通を通じて販売されるパッケージソフトの金額 その他:オンラインゲーム事業に関連するキャラクターグッズなどの金額。代行パブリッシング、インターネットカフェから生じるロイヤリティなどの金額 115 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter04 4-1 調査結果 1 カジュアルオンラインゲームユーザー 第1章 ■ 回答者の基本特性 第2章 第3章 第4章 本書において、カジュアルオンラインゲーム ユーザーの動向を調査するのは、今回が初めて である。調査は、16∼39歳のカジュアルオンラ インゲームユーザーを対象に、オンラインゲー ム歴2年未満と2年以上を1:1で割付、かつ男女 比を3:1と設定して行った。インターネットリ 団の特性はオンラインゲームをプレイしている 以外、一般的なユーザー層の情報を収集するこ とができたと思う。ただし、平均年齢は30.99 歳。市場全体と比べ、高い水準となっている。 カジュアルゲームの特性上、年齢のレンジは広 く、今回の調査ではあくまでその上方層をとら サーチのモニターを使用したことにより、母集 えた分析として見ていただきたい。 平均年齢:30.99歳 ▼ 年齢 ▼ 性別 (%) 35 男性 女性 30 女性 25.00% 25 20 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 15 10 5 0 男性 75.00% 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 ▼ 男性 平均年齢:31.01歳 ▼ 女性 (%) 35 (%) 35 30 30 25 25 20 20 15 15 10 10 5 5 0 130 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 0 平均年齢:30.92歳 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 Chapter04 ■ よく利用しているゲームポータルサイト 最もよく利用されているゲームポータルサイ トは「ハンゲーム」 (41.83%) 、次いで「Yahoo! ゲーム」 (27.88%) 、 「Infoseekゲーム」 (11.06%) 、 「Shockwave.co.jp」 (5.77%)の順になった。 「ハンゲーム」は、2005年よりテレビ媒体、 ゲーム、ボードゲームといった気軽にできるカ ジュアルオンラインゲームが主流であったが、 2006年より、 「ハマれる!本格ゲーム」と題し て、MMORPGやスポーツゲーム、アクション ゲームといったジャンルを強化している。これ 屋外広告など、積極的なプロモーションを行っ は、より収益性の高いコンテンツへの誘導を狙 ており、順調に会員数を伸ばしていったものと 考えられる。また、サービス開始当初はカード ったものであり、今後もこうしたタイトルがさ らに増えていくものと思われる。 第1章 第2章 第3章 ハンゲーム Yahoo! ゲーム 第4章 Infoseekゲーム Shockwave.co.jp ネットマーブル MSNゲーム NEXON その他 0 10 20 30 40 50(%) ■ 好きなゲームジャンル[複数回答] カジュアルというだけあって、 「ボードゲー ム」 (29.04%) 、 「パズルゲーム」 (24.55%) 、 「カ ードゲーム」 (22.75%) 、 「ギャンブルゲーム」 のような長い時間を要するゲームに対しての支 持率は極めて低い。P.137の「カジュアルオン ラインゲームの魅力」の項目で述べるが、クラ (10.78%)といった、誰でも気軽に楽しめるよ うなゲームに対する支持率が非常に高い。しか し、その一方で、 「アクションゲーム」 (4.19%) 、 「スポーツゲーム」 (3.59%)のようなユーザー の技量を必要とするゲーム、 「RPG」 (2.40%) イアントインストール型のオンラインゲームを プレイするユーザーと、カジュアルオンライン ゲームをプレイするユーザーとでは、好みのジ ャンルも、ゲームに対する目的も違っている。 ボードゲーム パズルゲーム カードゲーム ギャンブルゲーム アクションゲーム スポーツゲーム RPG ワードゲーム その他 0 5 10 15 20 25 30(%) 131 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter04 4-2 調査結果 2 クライアントインストール型オンラインゲームユーザー 第1章 ■ 回答者の基本特性 第2章 第3章 第4章 ここからは、クライアントインストール型オ ンラインゲームユーザーの動向について見てい く。調査は、16∼39歳のクライアントインスト ール型オンラインゲームユーザーを対象に、オ ンラインゲーム歴2年未満と2年以上を1:1で割 付、かつ男女比を3:1と設定して行った。平均 干高くなっている。ただし、10代に至っては全 体の10%強と低くなっている。そのため、10代 のユーザー動向が薄まった感は否めない。最近 では、10代を対象としたタイトルも増えてきて いるので、この点については次回調査に向けて の優先課題として取り組んでいきたい。 年齢が28.29歳と前回調査(24.88歳)よりも若 平均年齢:28.29歳 ▼ 年齢 ▼ 性別 (%) 30 25 男性 女性 女性 24.81% 20 15 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 10 5 男性 75.19% 0 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 ▼ オンラインゲーム経験2年未満 平均年齢:27.48歳 (%) 30 25 ▼ オンラインゲーム経験2年以上 (%) 30 男性 女性 25 20 20 15 15 10 10 5 5 0 140 平均年齢:29.10歳 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 0 男性 女性 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 Chapter04 ▼ 総合[複数回答三つまで] ■ 現在プレイしているタイトル ユーザー占有率のトップに輝いたのは、ゲー ムポットの『スカッとゴルフ パンヤ』 。誰でも 手軽に楽しめるゲーム内容、基本プレイ料金無 料というハードルの低さもあるが、公式サイト だけでなく、「ハンゲーム」「ガマニア」「BB Games」と複数のゲームポータルサイトから利 用でき、多くのユーザーの目に触れたことが新 規ユーザーの獲得につながっていったものと考 順位 タイトル プレイ率 1 スカッとゴルフ パンヤ 10.62% 2 ラグナロクオンライン 6.07% 3 メイプルストーリー 5.71% 4 ファイナルファンタジーⅩ Ⅰ※ 4.99% 5 RED STONE 4.48% 6 トリックスター+ 3.97% 7 プロ野球 ファミスタオンライン 3.11% 8 テイルズウィーバー 2.75% 2.67% 第1章 えられる。2006年11月下旬には、累計登録会員 が150万を超えたとの発表もあり、まだまだ順 9 リネージュⅡ 10 マビノギ 2.10% 調な伸びを見せている。 11 リネージュ 2.02% 2位は、ガンホー・オンライン・エンターテ イメントの『ラグナロクオンライン』 。オープ ンβから含めるとサービス期間が5年以上経つ タイトルだが、日本人好みのかわいらしい絵柄 が支持され、いまだ根強い人気を誇っている。 12 Xenepic Online 1.95% 12 巨商伝 1.95% 12 大航海時代 Online 1.95% 15 信長の野望 Online※ 1.81% 16 ウルティマ オンライン 1.73% 17 CABAL ONLINE 1.66% 18 SiLKROAD ONLINE 1.59% 19 アラド戦記 1.52% 20 ファンタジーアース ゼロ 1.37% 21 コルムオンライン 1.30% 22 君主 1.16% 急激にユーザーが増えているものと思われる。 22 眠らない大陸 クロノス 1.16% ユーザー層が拡大したせいか、前回調査以上 に、ユーザー占有率は下がっており、ビッグタ イトル集中から多様化・分散化の流れがさらに 加速しているといえる。 24 アスガルド 1.08% 24 エンジェルラブオンライン 1.08% 26 SPECIAL FORCE 1.01% 26 グラナド・エスパダ 1.01% 28 新・天上碑 0.87% 29 RAPPELZ 0.79% 30 ときめきメモリアルONLINE 0.72% 30 ミックスマスター 0.72% 32 ガンダムネットワークオペレーション シリーズ 0.65% 33 フリフオンライン 0.65% 33 ゴルトモ 0.65% 3位は、ネクソンジャパンの『メイプルスト ーリー』。カジュアルオンラインRPGとして、 男性、女性問わず幅広い年齢層に受け入れられ ている。サービス開始からすでに3年以上が経 っているが、テレビCMの効果もあって、近年 ▼ タイトルの併用状況 (%) 60 50 40 30 20 10 0 1タイトル 2タイトル 3タイトル 33 女神転生 IMAGINE 0.65% 36 Master of Epic 0.58% 36 MicMacONLINE 0.58% 36 NOSTALE 0.58% 36 クールにバスケFREESTYLE 0.58% 36 童話王国 0.58% 36 ホーリービースト 0.58% 36 ミュー 奇蹟の大地 0.58% 36 ヨーグルティング 0.58% 36 ローズオンライン エボリューション 0.58% 36 野菜村 0.58% 141 第2章 第3章 第4章 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter04 4-3 調査結果 3 タイトル別ユーザー満足度調査 第1章 第2章 回答者が最も長く遊んでいる(いた)オンラ インゲームを対象に、 「ユーザーから見た満足 度」についての調査を行った。調査は、1ユー ーザーの主観による評価であり、タイトルの優 劣を決めるものではない。特に年齢、男女比に 関しては、母集団の属性ならびに割付に依存す ザーにつき2タイトルまで回答可能とし、回答 数が多かった上位23タイトルについての満足 るところもある(P.7、P.128参照)ため、全体 平均に比べて高いか低いかという相対評価とし 度、プレイ状況などをまとめた。いずれも、ユ てとらえていただきたい。 第3章 ■ グラフィック 第4章 トップは、昨年と同じく『リネージュII』。 2006年からサービスを開始した『CABAL ONLINE』 、 『SiLKROAD ONLINE』も上位に 位置しているが、大半は2、3年以上前からサー ビスを行っているタイトルで、すべてのユーザ ーが最新のグラフィックやきめ細かいテクスチ ャーなどを求めているわけでないことが分か る。絵柄や世界観が自分の好みに合うかどうか が重要な判断基準になっているのだろう。 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 ■ ストーリー・世界観 順位 タイトル ポイント 1 リネージュII 4.40 2 ファイナルファンタジーXI 4.38 3 CABAL ONLINE 4.22 4 SiLKROAD ONLINE 4.12 5 大航海時代 Online 4.07 6 スカッとゴルフ パンヤ 4.00 6 ファンタシースター シリーズ 4.00 8 信長の野望 Online 3.84 9 テイルズウィーバー 3.79 10 ラグナロクオンライン 3.74 順位 タイトル ポイント 1位『ファイナルファンタジーXI』 、2位『信 長の野望 Online』 、3位『大航海時代 Online』 と、日本産タイトルが上位を独占しており、家 庭用ゲーム機で長年培ってきた日本メーカーの 1 ファイナルファンタジーXI 4.15 2 信長の野望 Online 4.13 3 大航海時代 Online 4.11 4 ウルティマ オンライン 3.97 強みが発揮された結果となっている。また、上 位5タイトルはいずれも月額定額制を採用して おり、課金体系によって、ユーザーの「ストー リー・世界観」に対する感じ方が多少異なって いることがうかがえる。 5 リネージュII 3.94 6 巨商伝 3.88 7 テイルズウィーバー 3.87 8 SiLKROAD ONLINE 3.76 9 ファンタシースター シリーズ 3.70 10 マビノギ 3.66 ■ ゲームシステム 順位 タイトル ポイント 1 巨商伝 4.12 2 ウルティマ オンライン 3.92 3 スカッとゴルフ パンヤ 3.89 4 アスガルド 3.81 るタイトルが多く、運営ノウハウとゲームシス 5 CABAL ONLINE 3.72 テムには密接な関係があるのではないかと思わ れる。実際、 「ゲームシステム」と「運営・管 6 ファイナルファンタジーXI 3.66 7 リネージュ 3.61 理」のランキングを比べると、10タイトル中8 タイトルが同じタイトルとなっており、この推 7 信長の野望 Online 3.61 9 メイプルストーリー 3.51 10 大航海時代 Online 3.50 1位『巨商伝』、2位『ウルティマ オンライ ン』は共に3年以上のサービス実績があるタイ トル。そのほかも、長期間サービスを行ってい 測を裏付ける。 154 Chapter04 ■ コミュニティ要素 いずれも、3年以上のサービス実績のあるタ イトルがランクインしている。サービス期間が 長ければ長いほど、ユーザー間のコミュニティ が成熟し、それがコミュニティの評価として表 れてくるものと思われる。オンラインゲームの 順位 タイトル ポイント 1 ファイナルファンタジーXI 3.85 2 リネージュ 3.84 3 眠らない大陸 クロノス 3.81 4 ウルティマ オンライン 3.78 5 ラグナロクオンライン 3.77 6 信長の野望 Online 3.74 運営において、コミュニティが重要な要素であ 7 新・天上碑 3.73 ることはすでに広く認識されていることだが、 それは一朝一夕に形成できるものではないとい 7 アスガルド 3.73 9 巨商伝 3.65 10 ファンタシースター シリーズ 3.61 う厳しい結果となった。 ■ 価格・プレイ料金 『ファンタジースター シリーズ』と『ウルテ ィマオンライン』を除き、基本無料+アイテム 課金制のタイトルで占められている。価格・プ レイ料金は、現在プレイしているサービスに対 して、安いか高いかといったユーザーの感覚で あり、一概に安く設定すれば良いというもので はない。言い換えるなら、支払い対価に対して 得られる効用が高いか低いかによるもので、サ ービス全体の満足度とも関係があるといえる。 ■ 管理・運営 順位 タイトル ポイント 1 ファンタシースター シリーズ 3.78 2 巨商伝 3.65 3 眠らない大陸 クロノス 3.50 3 アスガルド 3.50 5 テイルズウィーバー 3.45 6 ウルティマ オンライン 3.39 7 スカッとゴルフ パンヤ 3.27 8 トリックスター+ 3.26 9 ミュー ∼奇蹟の大地 ∼ 3.25 10 メイプルストーリー 3.17 順位 タイトル ウルティマ オンライン 3.36 2 信長の野望 Online 3.35 3 巨商伝 3.29 4 大航海時代 Online 3.25 ーの多くが管理・運営に対して、少なからず不 満を抱いていることがうかがえる。その点では、 古参タイトルが大半を占める中、新規タイトル である『CABAL ONLINE』、『SiLKROAD ONLINE』は共に健闘をしているといえよう。 5 ミュー ∼奇蹟の大地 ∼ 3.19 6 スカッとゴルフ パンヤ 3.18 7 CABAL ONLINE 3.06 8 ファイナルファンタジーXI 3.02 9 メイプルストーリー 3.01 10 SiLKROAD ONLINE 2.96 順位 タイトル ポイント 1 ウルティマ オンライン 3.44 2 巨商伝 3.35 3 信長の野望 Online 3.32 4 眠らない大陸 クロノス 3.31 ス』 、 『SiLKROAD ONLINE』 、 『RED STONE』 、 5 SiLKROAD ONLINE 3.24 『ミュー∼奇跡の大地∼』と、ゲームオン社の タイトルが多い。同社は、2007年3月末に情報 6 スカッとゴルフ パンヤ 3.15 7 大航海時代 Online 3.14 セキュリティマネジメントシステムの国際規格 を取得しており、高いセキュリティマネジメン 8 RED STONE 3.13 9 ミュー ∼奇蹟の大地 ∼ 3.06 9 ファイナルファンタジーXI 3.06 トが実施されているものと考えられる。 第4章 ポイント 1 個人情報の取り扱い、不正ユーザーへの対応 などを表す満足度である。上位に関しては「管 理・運営」と大差ないが、 『眠らない大陸クロノ 第2章 第3章 全体の平均が2.67ポイントと、 「セキュリテ ィ」の項目と合わせて低い水準となっている。 1位の『ウルティマオンライン』でも3.36ポイン トにとどまっており、オンラインゲームユーザ ■ セキュリティ 第1章 155 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 Chapter04 スカッとゴルフ パンヤ DATA 第1章 第2章 第3章 第4章 ■運営会社 ■開発会社(国名) ■ジャンル ■正式サービス開始日 ■課金形態 ゲームポット NTREEV SOFT(韓国) MOスポーツ 2004.11.11 基本無料+アイテム課金 ■ユーザー登録数 ■アクティブアカウント数 ■最大同時接続者数 ■客単価 ■ 現役ユーザーの満足度・定着率高し 「ストーリー・世界観」 、 「コミュニティ要素」 以外はすべて平均以上。現役ユーザーの数値は すべて、タイトル平均を上回っている。現在も 遊んでいるユーザーの割合は78.87%で、評価対 象23タイトルの中でも最も高く、ユーザーの定 着率の高さがうかがえる。また、続けている理 由として、ほかのタイトルにはない「競い合い」 の割合が高く、ゴルフという特性を最大限活用 したサービスだといえる。 平均年齢:29.04歳 (男女比79.58:20.42) ▼ 年齢 (%) 50 全体平均 1,500,000(2006年11月下旬) 非公開[弊社推計266,000] 非公開[弊社推計26,000] 非公開[弊社推計1,722円 / 月] タイトル平均 グラフィック 5 4 セキュリティ 3 ストーリー・ 世界観 2 1 ゲーム システム 管理・運営 価格・プレイ料金 ▼ プレイ期間 コミュニティ要素 平均プレイ期間:オンラインゲーム34.46カ月 当該タイトル 15.13カ月 (%) 100 男性 女性 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 現役ユーザー オンラインゲーム 当該タイトル 40 80 30 60 20 40 10 20 0 0 13∼19歳 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 平均プレイ日数:4.06日 ▼ プレイ頻度 / 週 1年未満 2年未満 3年未満 4年未満 5年未満 6年未満 6年以上 ▼ プレイ時間 / 日 (%) 60 (%) 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 平均プレイ時間:平日 74.26分 休日100.35分 平日 休日 0 158 0日 1日 2日 3日 4日 5日 6日 7日 0 この日は 30分 30∼ 1時間∼ 1時間半∼ 2時間∼ 2時間半∼ 3時間∼ 4時間∼ 5時間∼ 6時間 やらない 未満 1時間 1時間半 2時間 2時間半 3時間 4時間 5時間 6時間 以上 Chapter04 平均客単価: ▼ 支払金額 / 月 873円[1] 1,722円[2] ▼ プレイ状況 払っていない 500円未満 500円以上 1,000円未満 1,000円以上 1,500円未満 1,500円以上 2,000円未満 2,000円以上 2,500円未満 2,500円以上 3,000円未満 3,000円以上 4,000円未満 4,000円以上 5,000円未満 遊んでいない 21.13% 第1章 第2章 遊んでいる 78.87% 第3章 5,000円以上 0 20 40 60 80 第4章 100(%) ※平均客単価[1]は支払っていない人も含めた平均、[2]は支払っている人のみの平均 ※任意回答のため、公式な月額料金と食い違う可能性があります ▼ 始めたきっかけ[複数回答] ▼ 続けている理由[複数回答] 複雑なゲームを 「攻略」する楽しさ 「グラフィック」や 「世界観」を楽しむこと キャラクターを「育成」したり、さまざまな アイテムを「収集」する楽しさ その世界の住人に 「なりきる」楽しさ 見知らぬプレイヤー との「出会い」 すでに見知った「友達同士で 一緒に」遊ぶ楽しさ ほかのプレイヤーとの 「チャットや会話」を楽しむこと ほかのプレイヤーと「協力」 してゲームを遊ぶ楽しさ ほかのプレイヤーと「競い合い」 ながらゲームを遊ぶ楽しさ インターネットの 記事を見て インターネットの バナー広告を見て ネット内で友人、 知人に勧められて 現実社会の知人、 友人に勧められて 雑誌・新聞・ 書籍の記事を見て テレビを見て 実際にプレイしている 様子を見て そのシリーズ・ジャンルが 好きだったから オンラインゲーム自体に 興味があったから その他 その他 0 10 20 30 40 50 60(%) 0 10 20 30 40 50 60 (%) ※現在、プレイしている人のみ回答 ▼ 止めた理由[複数回答] ▼ RMTについて ゲームに飽きたから RMTを知らない 18.31% ゲームが 面白くなかったから ほかに遊びたい ゲームができたから RMT容認サーバー 21.13% 運営に対する不満 βテスト期間が 終了したから ゲーム内で トラブルがあった 遊ぶ時間が なくなったから RMT禁止サーバー 60.56% 遊ぶお金がなくなった 親しい友人が 止めたから ※「新規タイトルをプレイする際に、RMT容認サーバーと禁止サーバーのどちらを選ぶか」という仮定に 対してのユーザー意見です。当該タイトルに対するRMTの考えを示すものではありません その他 0 ※現在、プレイしていない人のみ回答 10 20 30 40 50 60(%) ▼ 携帯ゲーム機の所持率 PSP保有率:19.72% DS保有率: 44.37% 159 2 0 0 7 オ ン ラ イ ン ゲ ー ム 白 書 ISBN978-4-944180-13-4 C3463 ¥30476E 定価32,000円(本体30,476円+税5%) 2007年のトピック&キーワードが満載 セカンドライフ、ユーザークリエイトコンテンツ、東南アジア市場── ビジネスのヒントとなる話題のトピック、2007年のキーワードを徹底解説 三つの視点からオンラインゲーム産業を考察 経営視点、運営視点、ユーザー視点──三つの視点から分析 オンラインゲーム産業の第一線で活躍中の豪華執筆陣が語る産業の今とこれから タイトル別ユーザー満足度調査 4万人のインターネットユーザーを対象に予備調査を実施 そこから抽出されたオンラインゲームユーザーによるタイトルごとの評価を掲載
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