『2013年 FS 正月山行、利尻山東稜』 堀井 信弘 いよいよ、厳冬期の利尻山に向う日がやって来た。 自分の仕事や休みの都合で、今回のパートナーである栗山さんにはかなりの迷惑&プレッシャーを掛けてし まった事を心で詫びながら20:30・・・野幌駅に向い、自宅を後にした。 {12月27日} 大通バスターミナルに22:10頃に落ち合い、稚内フェリーターミナル行き23:00発の都市間バスに て移動。近くのコンビニでビールとつまみを買い、バスの中でちびちび飲んでいたらアッという間に睡魔に 襲われ撃沈!!しかし、深夜バスのリクライニングシートはやはり腰が痛くなり、途中何度も目が覚めては 温くなったビールを飲み干す作業が続いた・・・。 {12月28日} 定刻通り、フェリーターミナル着6:00。乗船券を買いに行くと中にはすでに、3人ぐらいの山ヤさんが 椅子に座って利尻行きの船を待っていた。・・・すると栗山さん、「あれぇ∼∼∼、利尻行くの∼?」とその 山ヤさんとお話中!!聞けばバビシェの2人 P で、その中の一人と昨年の HWCM で知り合った様子。 ルートもウチらと一緒の東稜でしかも、今回の利尻が初めてだと言う・・。なかなか肝っ玉の座った P だと 思いながら鴛泊行き6:50のフェリーに無事、欠航する事なく乗れてとりあえずホッとした。 船はかなり揺れたが定刻通りに着き、いよいよ正月山行の始まりである。当初の予定では出発地点である アフトロマナイ林道まで町営バスを使うつもりだったが、バビシェ P も一緒だと言う事からタクシーで向う 事となった。タクシーから眺める利尻山は何も展望がなく、ただただ自分の目には「今時季は来たら駄目だ ぞ・・」と、山が言ってる様な気がしたが遠くにちょっとだけ太陽が見え隠れしてるのが見えて少しだけホ ッとしてアフトロ林道に向った。 9:15林道出発。途中まで砂防ダム工事の為、除雪がしてあり超ラッキー!!ラッセル無しで軽快に進ん で行くと除雪ゾーンも敢無く終点。ワカン&スノーシューを装着して再度出発。程なくして後ろから体力バ リバリなバビシェ P がウチらと合流して丁重にラッセルを譲る。 東北稜との分岐地点で11:00。もう暫く行くと林道終点になり今回ウチらが取りつく予定の尾根スジへ とアプローチするのだが、ここでバビシェ P が右往左往している・・・。 聞くとバビシェ P の予定しているアプローチは本来の東稜へと向う尾根スジなのだが、どうやら最初に取り つくルートを過ぎてしまいルートロスをした様子・・・。知らない仲でもないし、どうせ同じ東稜から登る なら一緒に行こう!という事になり急遽、北稜&バビシェの編成 P となり4人で向う事となった。 取りつき尾根に着いた時刻、この時11:40。 4人でラッセルを交替しながら軽快に歩みを進め Co1055まで登り、雪尻が張り出している箇所を見つけ 雪洞を掘り、テントを押し込めて本日の C1とした。C1完成時刻16:40。 テントの中で栗山さんと2人、いつも通り酒を呑み晩メシを食べて明日の行動予定の打ち合わせをしながら 明日からの天気予報を携帯で確認すると・・・・何と!30日いっぱいまで保つ予定の天気が30日昼から 16 年が明けて1日まで暴風雪警報に変わっていた・・・。当初、31日から天気が荒れるとの予報があったの で、30日にはなんとしてでも下山しようと決めていたのだ。しかも30日は気温がプラスに上がり雨混じ りの雪になる可能性があるとの事。 んんん・・・・取りあえず予定起床時刻の04:00に起きて、外の様子を見てから判断しよう!と決め、 20:55に就寝した。 {12月29日} 04:00起床。雪洞のフタを開けてまだ暗い外を見てみると、やはり風雪。行動開始時刻の6:00にま た外を見るとまだ風雪・・。外が明るくなるまでちょっと待機しようと隣のバビシェ P に伝え、ウチらは作 戦会議。30日に下山し帰りのフェリーに乗るには今日中に何としてでも長官小屋まで行かなければ厳しい 状況。尚かつバビシェ P と組んだ事により、鬼脇山から長官小屋までのルートが天候次第では厳しい行程に なってきそうな気配・・。明日からの悪天候も考慮すると、何とか登頂し無事に下山出来ても31、1日の フェリーはほぼ間違いなく欠航するだろう・・。んんんん・・・・・・・・ 7:10。色々な事を考慮し下山決定。 その旨、バビシェ P に伝えると同じく下山するとの事・・。 8:30。Co1055、C1から下山開始。すると、どうでしょう・・・・これぞまさしく下山性高気圧!! 今まで灰色で雪が降ってた天気がスーーッッッと雲が流れ、頂上まで見える程の青空でこの山は僕達の下山 を祝福してくれました。山ってこれだから次のモチベーションが沸くんですね・・きっと! 11:50。アウトロマナイ林道入口に到着。来た時のタクシーを呼びフェリーターミナルへ。 17:35。稚内行きフェリーへ搭乗。19:20。稚内フェリーターミナル到着。 23:00。稚内バスターミナル発、札幌行き都市間バスにて帰路へ。 {12月30日} 06:00。大通バスターミナル到着。利尻東稜、栗山 P、各自帰路へ。 結果、今回の厳冬期・利尻山東稜は敗退に終ってしまったが、利尻に行くプレ山行の段階から自分的にはこ れからの冬山に置ける必要なスキルを栗山さんに伝授して頂き、非常に有意義な山行になったと確信してい る。まだまだ経験や知識・技術に乏しいが、山へのモチベーションが消えなければ『山は逃げない!!』と 勝手に思い込んでいる。歳も中年真っ只中になり、若い世代に着いて行くのはかなりシンドくなって来たが 自主トレーニングに励み、これからも利尻山に挑戦していきたいと思っている。 最後に・・色々と面倒を掛けて、面倒を見てくれて、色々な気遣いをさせてしまった栗山親分には感謝の気 持ちで一杯です。 今度は自分が栗山さんの様に、次の世代に教えていける様に精進しようと思います。 本当に有り難うございました。 ・ ・・・・ってか、また行きましょう!! 17
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