アジアにおける POPs 監視継続

プレスリリース
2012年11月13日 • PRJ-12-22
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アジアにおける POPs 監視継続
国連大学は危険な残留性有機汚染物質(POPs)のモニタリングを行うためにアジア
諸国の支援を継続します
残 留 性 有 機 汚 染 物 質( P O P s )はこれまで創り出された物 質のなかでも最も有 害な人 工 的な物 質の1つで
す。農 薬 、溶 剤 、プラスティックなどに用いるために合 成されたものであれ、工 業プロセスにおいて不 要な副
産 物として生 成されたものであれ、P O P sは人 間 活 動によって長い間 環 境中に放出されてきました。一 旦 放
出されると、P O P sは何 年もあるいは何 十 年もの間 環 境に残 留し、水や空 気によって発 生 源から広 範 囲に拡
大する恐れもあるのです。
P O P sは食 物 連 鎖を通じて体内組 織に蓄 積されるため、生 物にとって危 険です。高 濃 度の場 合には、慢 性 疾
患や死をもたらすP O P sもあります。低 濃 度の場 合でも、身体の免 疫 系や生 殖 器 系の損 傷など、潜 行 性の健
康被害を及ぼす可能性があります。
アジア沿岸水 域の P OP s レベルをモニタリング
環 境中のP O P sレベルをモニタリングする能力は、有 効な救 済 策とリスク削 減 政 策を実 施するうえで不 可 欠
です。しかし開 発 途 上 国の多くは、科 学 的な専 門 知 識の面でも分 析 機 器の入 手 可 能 性の面でも、こうした能
力に欠けています。
「アジア沿 岸 水 圏 における環 境 モニタリングとガバナンス」プロジェクトは 、この 問 題 に対 処するための 国
連 大 学の取 組みです。東 京に拠 点を置く国 連 大 学サステイナビリティと平 和 研 究 所( U N U - I S P )は、島 津 製
作 所の支 援(ガスクロマトグラフ質 量 分 析 装 置などの実 験 装 置 、ならびに技 術 研 修の提 供 )を受け、この能
力開 発のイニシアティブを実 施しています。このイニシアティブを通じて、開 発 途 上 国に国内のP O P sのモニ
タリングを行うための科 学 的 知 識と技 術を提 供し、開 発 途 上 国がストックホルム条 約などの多 国 間 環 境 協
定に適切に対応し、実施できるように支援します。
「アジア沿 岸 水 圏における環 境モニタリングとガバナンス」プロジェクトは、官 民パートナーシップによる国
連のパイオニアプロジェクトの1つとして1 9 9 6 年に開 始されました。これまでに最 新のP O P sのモニタリン
グと分 析 技 術に関し、アジア1 0カ国の参 加 機 関である政 府 系 機 関や大 学の1 0 0 名を超える研 究 者の研 修
を行ってきました。このプロジェクトはまた、学 界 、民 間 企 業 、政 府を超えた地 域あるいは国 際ネットワーク
へと成長してきました。
11月12日(月)、東京の国連大学本部にてコンラッド・オスタヴァルダー国連大学学長と中本晃 島津製作
所代表取締役社長は、さらに3年間(2012年~2015年)、プロジェクトのパートナーシップを延長する合
意書に署名しました。
P OPs追跡の重 要 性
環 境 中のP O P sの影 響は深 刻であるため、国 際 条 約である、残 留 性 有 機 汚 染 物 質に関するストックホルム
条約(http://chm.pops.int/default.aspx)が2001年に採択され、2004年に発効されました。ストッ
アジアにおける POPs 監視継続
クホルム条 約の目的は、
( 現 在 2 1ある)P O P sの化 学 物 質の製 造 、輸出入 、使用を制 限し、最 終 的には廃 絶
することです。
野 生 生 物の研 究では、環 境 中のP O P s への暴 露により、生 殖 障 害 / 個 体 数の減 少 、先 天 異 常 、オスのメス
化 /メスのオス化 、ホルモン系の機 能 異 常 、免 疫 系の低 下 、行 動 異 常 、腫 瘍を引き起こすことが 明らかにな
っています。
しかし、問 題は野 生 生 物に限られたことではありません。世 界 中の人 間の血 液 、筋 肉 、脂 肪 組 織からP O P s
が検出されています。POPsの人間の健康への影響に関する研究は継続されていますが、 人体にPOPsが
蓄 積されると、わずかでも、がんや神 経 行 動 障 害( 学習障 害など)の一 因となり、免 疫 系を低 下させ、生 殖に
関する問題や伴性疾患を引き起こす可能性があることがこれまでにわかっています。
取り組みの拡 大
P O P sに汚 染された地 域は、開 発 途 上 国の多くで見られます。農 薬の不 適 切な使 用 、一 般 / 産 業 廃 棄 物の
不 十 分な管 理 、備 蓄 品の無 差 別な廃 棄など、環 境 上の不 適 切な管 理によるものです。地 元 住 民や下 流に住
む人々だけではなく、汚染された地域で栽培された食物を食べる人々もリスクにさらされます。
「アジア沿 岸 水 圏における環 境モニタリングとガバナンス」プロジェクトの第 5 期の3 年 間では、これまでに
プロジェクトパートナーの国々の科 学 者を支 援し、有 機 塩 素 系 農 薬( O C P s )、ポリ塩 化ビフェニル( P C B s:
変 圧 器 、コンデンサ、電 動モータなどで広く使用)、ポリ臭 化ジフェニルエーテル( P B D E s:建 築 、電 気 、プラ
スティック、繊 維などで使用)を主とした1 0 0 種 類 以 上のP O P s 化 合 物を測 定し、分 析してきました。プロジ
ェクトパートナーは、アジア諸 国の8 0 0 以 上の河川、湖 沼 、沿 岸 域の(サンプリング ) 地 点から収 集された水
質、底質、土壌、海洋生物(エビ、魚類、イカ)の試料のPOPs濃度を分析しました。
島 津 製 作 所の中本 社 長は「 持 続 的 成 長と環 境 保 全 、それを支える分 析 技 術の普 及という観 点で、非 常に意
義深い」プロジェクトと呼び、国連大学のオスターヴァルダー学長もこの点を繰り返し、
「このUNU-ISPのプ
ロジェクトは、島 津 製 作 所とのパートナーシップ下で運 営されることで、開 発 途 上 国におけるプロジェクトパ
ートナーに対する支援ならびに研修の場の提供を行い、国際社会に貢献してきた」と述べました。
1 1月1 2日の調 印 式で国 連 大 学と島 津 製 作 所が承 認するプロジェクトの次の3 年 間では、2 0 0 9 年 5月にス
トックホルム条 約の附 属 書 Bに(ペルフルオロオクタンスルホン酸( P F O S )とその塩 、ペルフルオロオクタン
スルホン酸フルオリド(PFOS-F)として)追加されたペルフルオロ化合物(PFCs)に重点が置かれます。
この期では、アジア諸 国のパートナー 機 関を引き続き支 援し、環 境モニタリングプロジェクトを継 続します。
具体的な目標は以下の通りです。
• (島津製作所が提供する研修と装置で)現地国における産業および環境試料のPFCsを分析するための
能力開発を行う。
• 関連する学術会議および国連会議でプロジェクトの活動や成果を周知する。
• PFCの製造者、使用者、廃棄物管理セクターをプロジェクトに参加させ、パートナー諸国でのローカル
ネットワークを確立する。
• ストックホルム条約事務局と国連工業開発機関(UNIDO)/国連環境計画(UNEP)との関係を確立
し、情報/知識を交換する。
• POPs関連の多国間環境協定のいっそう効果的な実施に向けて、ハイレベルな提言を作成し、提出する。
「過去5期のプロジェクトにおいて、PFCsの分析は行われておりません。」とオスターヴァルダー学長は述
べました。
「PFCsの適切な管理の重要性を考慮すると、第6期プロジェクトでは参加国パートナーの分析
能力の育成を強調するだけではなく、アジアの近隣諸国ならびにすべての途上国にこのプロジェクにおける
能力育成の実績を伝えることが不可欠であると、私は考えます。また、ストックホルム条約におけるこれらの
アジアにおける POPs 監視継続
物質に対する再調査に従い、私たちは今期プロジェクトにおいて、プロジェクト結果をもとにPFCの使用に
ついての提案書を作成し、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)に提出する予定です」
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プレスリリースのオンライン版で、関連書類や写真がご覧いただけます。国連大学のウェブサイトをご覧くだ
さい。
(http://jp.unu.edu/news/releases/keeping-watch-on-asian-pops.html)
国連大学広報部は、プロジェクトの詳細についてのお問合せおよびインタビュー、またはUNU-ISP 「アジ
ア沿岸水圏における環境モニタリングとガバナンス」プロジェクトに重点を置いた記事やニュースの執筆の
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