50号(2000年 3月31日発行 pdfファイル 6.4MB)

FLORA KANAGAWA
May3
1
.2000 N
o
.50
神奈川県植物誌調査会ニュース第 5
0号
干2
50-0031 小田原市入生田崎9 県立博物館内神奈川県植物誌調査会
TEL0465・2
1・1515'FAX0465・23-8846
e
m
a
i
l katsu@pat-net
.ne.jp
郵便振替 00230-5-10195
イワタイゲキ. 1
9
6
8年に 三浦市毘沙 門で、採集されて以降見あたらなかったの
2
0
0
0年 5月8日
,
で
, 絶滅したと思われていたが,湯河原 町福浦で再発見さ れた (
勝山輝男氏撮影).
・…… .
5
8
0
城川四郎 :
オトギリソウ属の新雑種,カツヤマオトギリ (
仮称 ).
.
..
..
.
.
..
.
.・
・
・
…・
・
… 一…..
.
.
.・
a
勝山輝男:神奈川県植物誌備忘録(
3
)・ ー ーー ・
…
.
.
.
・ー
・
ー一一一… …・・… -・・
・
… .
.
5
8
1
佐々木あや子 ・
勝山輝男・高橋秀男 :日本新産の帰化植物,トッ
クリツメクサ … .
"
.
,
…
・
・
・
・
・.
.
.
.
.
.
..
..
584
H
佐々木あや子:ウマゴヤシ属の絵解き検索........
・・
・
ー ー ・・・………・・・ー…….
・
.
.
.・
.
.
.
.
.・・
.
.
.
.
..
.
.
586
H
H
H
秋山幸也:圏内新帰化種の報告…-一 ー .
.
.
.
.
.
.
…
・
…-………………ー…・ ・ー・.
.
…
.
.
・.
.
.
.
.
.5
8
7
木場英久:新帰化植物,ミツノギソウ...
..
.
・ ・
・
.
.
.
...
.
..
.
.
.
.・・...
..・-…...
.
.
..
.
.
.
.
.
.
.
..
.
.
.
.
.
.
.
・. .
・
・
.
.・
.
.
588
H
a
H
H
高橋秀男 :新帰化植物, シロノヂシャ....
.
.
・
・
・
・
ー・…
.
.
.
.
.
・ ・
.
.
.
ー
…
・ー
・
ー
・ ・・・
・ ・
・・
ー
・ 一 一…5
8
9
H
浜口哲一 :["湘南植物誌 V
Jを作って.………・・
.
.
.
.
..
.
.
.
・
-ー
・・
・ ・.
・.
.
.
.
.
..
.
..
・. ・
.
.
・
.
..
・.
.
...
.
一
.…
・
…
・
・ .
5
9
1
H
H
H
事務局 :
2
0
0
0年度総会報告 .
.
.
..
.
.
.
.
..
.
.
.
.
.
.・
・・
ー 一
ー一
.
.
.
.
.
.
.
.
.
・ ・
・
高橋秀男 :顧問の籾山先生ご逝去
H
ー
・ ・・一….•••••••••.……・… 5
92
H
… ・・
・
・
・
・
・
・
・・… ・・
目・・
.
.
.
.・・
…
..
・. ・
ー
・一
・ 一・
.
.
.
..
..
.
.
.
5
9
4
H
5
7
9
-
ー
H
H
H
H
H
オトギリソウ属の新雑種司カツヤマオ
トギリ (
仮 称)
いもので、あ った.その採集地を教えて貰って
1
999年夏に同 地 を訪ね,オ トギリソウとナガ
(
城川四郎)
1
998年夏,須雲川上流の大沢渓谷付近で
勝 山先生がオトギリソウ Hy
pe
r
i
c
u
me
r
e
ct
um
とナガサキオトギリ H
.k
i
u
si
αn
um (
、
ノ
ハ ヤキ型
サワオ トギリ)との雑種と推定される植物を発
見,採集された .その標本は両者の性質が
混合し,果実は萎縮して正常に発育していな
サキオトギリとその推定雑種の生育状況を
観察し,標本を採集して詳細に検討した.そ
の結果,この植物が推定されたとおりの雑種
であると断定したのでここに報告する.この
雑種植物の和名には発見者を記念してその
名を冠することにしたい.
なお,加藤辰巳氏は詳細な研究によ って従
AHハ
ハ
ω
C3
a
: オトギjソ
ウ
, b ナガサキオトギリ
, C .d
: カツヤマオトギリ,1 植物体の模式図, 2・葉 (
腺 点),
3 苓 片 ス ケールは ,1
が
5
cm,3は Imm.2は葉形と明点,黒点をわ かりやすくするため適当に拡大,縮小しである のでス ケール は入れてない・
5
80
-
来サ ワオトギリとして l
種にまとめられていた
神奈川県植物誌備忘録(
3
)
もののうち ,日 本 海 型 の サ ワ オ トギリとソハ
(
勝 山輝男)
ヤキ型のサワオ トギリとは種のレベルで分
アメリカヤガミスゲをヒレミヤガミスゲに訂正
け,前者をサワオトギリ Hy
per
icumps
eudo-
前号(
F
lo
r
aKana
g
awaNo.
49
) の神 奈 川県
pet
iol
a
tumとし,後者をナガサキオ トギリH.
2
)で Car
e
xb
r
e
vi
or(
Dewa
y
)
植 物 誌 備 忘 録(
k
i
us
i
anumとした .箱根 に分布 するサワオトギ
Ma
c
k
e
nz
i
eについて報告したが,その和 名に
リの名で呼んでいた植物はナガサキオ トギリ
用いた
に該当する .ナガサキオ トギリは長崎の雲仙
「アメリカヤガミスゲ」はすでに香川
県や兵庫県で採集された北 アメリカ原産の c
.
岳で採集された標本に基づいて記載された
s
c
o
par
i
aSc
hk.
e
xW
i
l
l
d につけられているこ
サワオ トギリの変種 H
.ps
eud
o
pe
t
iol
atumv
aに
とを,小崎氏および、兵庫県の水田氏よりご
k
i
us
i
anumの和 名で、
あるが,今後は広くソハ
.b
r
e
vi
orの和名
教示いただいた .そこで, C
ヤキ型サワオ トギリの和名に用いられ,その
は果胞に幅広い翼がある ことから , ヒレミヤ
北 限が箱根ということになる .
ガミスゲに変更する.
カツヤマオ ト ギリは茎の高さQ O ~ 40cm で ,
ハ1
)フタパ属 (
アカネ科)の帰化植物
主茎が直立するオ トギリソウ型から叢生する
横浜市瀬谷区上瀬谷の畑 地で松本雅人
ナガサキオ トギリ型 まで 変化 があり ,同一 抹
氏,秋 山 幸 也 氏が,ヒロハフタパムグラ
でオトギリソウ型の茎とナガサキオ トギリ型
Sperma
c
o
c
el
a
t
ザol
i
aAubl
.とマルノてフタノ Tム
の茎を併せ持つ個体もある(図 cl
参照).葉
グラ S
.pr
o
s
t
r
at
aAubl
.の2手重のアカネ本ト
ノ
¥
リ
は長さ S ~ 20mm , 葉形も長楕円状皮針形で
フタパ属の帰化 植物を採集されたので報告
多少茎を抱くオトギリソウ型から倒卵状長楕
円形
する.
倒卵形で有柄状のナガサキオトギリ
ノ¥リフタパ属 (
s
pe
rm
a
c
o
c
eL
.)
の在来種は南
型まで変化 がある .葉 の 腺 点 は 縁 に 黒 点 が
西諸島にハリフタパがあるのみで ,その他 に
並び,内部にも黒点を散在し,多くの場合明
4種の帰化が記録されている .ヒロハフタパム
点も少数分布する(図 c2.d
2参照).がく片は
グラ,マルノてフタノてムグラ ,ナガ J¥ハリフタノ〈
長さ 2.Smm,先端は 丸 みがあり ,縁に少数の
種が南西諸島に記録があり ,アメリカハリ
の3
黒 点 ,内部に黒点と黒条がある .花弁は長さ
フタパが千葉で、記録されている .
ほほ6mm,普通縁に少数の黒点を着ける .
本属には次の ような共通 した特徴がある .
pe
l
子房は高さ 2~2. Smm , 花柱の長さ 2mm , 花
後子房は萎縮し果実を形成しない.
カツヤマオトギリカfオ トギリソウとナガサキ
オトギリ との 雑種であると認めた根拠を下記
に示す .
① 両親種が近距離のに生育して いたこと
② 茎の直立 ,傾上,叢生の状況が両親種の
中間型を示すこと (
図 al~ dl 参照 ) •
① 葉形が両親種の中間型を示し,明点が交
じること(図a2 ~ d 2 参照 ) •
④ がく片の形態が両親種の中間型を示し,
黒条がオトギリソウより少ないこと(図 a3~ d 3
参照).
ヒロハフタパムグラ a 茎の上部,b
:種子(背面),
c 種子
⑤ 正常な果実,種子が形成されないこと.
(腹面), d 果実,巴托葉
581
-
スケー l
レ
はaが5c
m,b
巴が lm
m
に裂けるものをハリフタパ属 Borreria
G.
F.
W.
M巴y
.に細分する見解がある.日本に
ぬ糊
産するもので、は,アメリカノ ¥1)フタパ以外は細
分した場合には Bor
r
er
iaに属す.日本では
Yamazaki(
1993,F!orao
fJapan 凹a
)など
w
w
B
o
r
r
e
r
i
aに細分していることが多いが,長田
(1972, 北 隆 館 帰 化 植 物 図 鑑 ) で は
S
p
e
r
m
a
c
o
c
eを採用している .最近のアジアの
ds
d
a!
e(
l998,Dassanayakee
ta
.
l
文献で、は Ri
ザ
e
d
.,
A
r
e
v
i
s巴dhandbooko
ft
h
eF
lo
r
ao
fC
e
y
!
o
n,
1
2:
332-341
.
)
や Chaw& Peng(
l987,J
o
u
r
n
.
7
1
8
3
)など,属を広く見て
TaiwanMuseum40・
S
p
e
r
m
a
c
o
c
eを採用している.ここでも属を広く
S
p
e
r
m
a
c
o
c
eを用いた.
とらえ ,
や
:│
今回採集されたのはヒロハフタパムグラとマ
ルパフタパムグラの 2種であるが,日本に在
来または帰化する 5種のハリフタパ属はいず
れもよく似ているので,これらを含めて検索表
マルパフタパムグラ .
a茎の上部, b 種子(背面), C 種子
実
,e
:托業 スケールはa
がS
c
m,
b
eが l
mm.
(
腹
面
)
, d:果
を作成した.
(
1
)ヒロハフタノくムグラ S
permacocel
a
t
ザ'
ol
i
a
Au
b
l
l
年草.茎は直立または斜上して高さ 6
0cm
葉は対生し,その聞に櫛の歯状に裂けた托
葉がある .花 は葉服につき,多数が集まって
に達する.葉は楕円形または広楕円形で長さ
裂.
花団を作る.花冠は筒部が短く,裂片は 4
2 ~5 cm ,幅 1 ~3cm ,両面ともに細毛が生え
果実は上端に 2~4個の専片が宿存し,熟す
る.花田は多数の花からなり,直径 1~2cm .
と2
分果に分かれ,その上部が裂けて種子を
専片は 4個で長さ 1~ 2mm ,有毛.花冠は白
出す.
色で、長さ4~5mm. 種子は楕円形で,長さ 2.5
2個の分果の片方だけが裂けるものをアメリ
~3.5mm ,背面は円く,腹面には円い窪みが
p
e
r
m
a
c
o
c
e,2
個の分果がとも
カハリフタパ属S
ある.世界の熱帯 亜熱帯に広く分布し,日
ハリフタパ属検索表
A 茎や葉は有毛.種子は長さ長さ 2.5~3.5mm
B
.茎は有翼.花田は多数の花からなる
00'
ー
一 …ー・・…・…...
.
.
・・
..
・. ・
.
.
.
.・・-…(1)ヒロハフタパムグラ
H
H
H
B
.茎は無翼 .花団 は少数の花からなる….
.
..ー
ー
・ ・・
・
・・・・…-…-・..
.
.
.
.
...
.
.
.
.
.
.
.
.
.
..
.
.
.
..
.
.※ハリフタパ
A. 茎や葉はほとんど無毛 . 種子は長さ 1~2mm
B
.茎は有翼.葉 は楕円形.種子は長さ約 lmmで、背面には細かい格子紋がある
00.
(
2
)マルノ Tフタパムグラ
B 茎は無翼.葉は長楕円形または披針形.種子は長さ 1. 5 ~ 2mm
C 分果は 2個とも裂けて種子を出す.種子の背面には多数の横断する溝がある
日
・
.
.
.
.
.
※
ナ
ガパハリフタパ
c.分果は片方だけが裂け,もう一方は裂けない.種子の背面には格子紋がある
.※アメリカノ¥リフタノて
5
8
2
-
本では南西諸島に帰化.今回 ,本
州
、│
で初めて
も,愛川町服部牧場 (
Oct
.29,
1999松 本 雅 人 ・
r
r
r
e
r
i
aa
l
a
t
a(A
ub.
l)
採集された.学名には Bo
秋 山幸 也)
で採集された .葉が細長いこと,専
DC.
があてられたことがあるが,これは誤同
が裂片も含めて長さ2~ 3mrn で、事裂片は長さ
定とされている .標本:横浜市瀬谷区上瀬谷
約l
m
r
nしかないこと,蔚が長さ1~ 1
.5mrnしか
Nov.
1
6,
1999松 本 雅 人 KPM-NAOlI7577
ないことはホソノ fフウリンホオズキと同じであ
(
2
)マルパフタパムグラ Spe
r
mac
o
c
epr
o
s
t
r
at
a
るが ,花冠は 長さ6 ~ 8mm あり,ヒロ ハフウリ
Aub.
l
ンホオズキと同じくらいの大きさがある .北 ア
l年 草.茎は直立または斜上して高さ 50cm
メリカ東南部原産 .ホソパフウリンホオズキと
に達する.葉は楕円形または長楕円形で長さ
は原産地では分布域が異なるが,最近は移
1~ 3cm ,幅5 ~1 白nm ,両面ともに無毛または
入により,両者が混生し,区別が困難な場合
細毛が疎らに生える .花団は多数の花からな
があるという .全体はホソパフウリンホオズキ
り,直径5 ~ 7mm. 事片は 4個.花冠は白色で
に似ているが,花の大きさがヒロハフウリンホ
小さい.種子は長楕円形で,長さ約 lmm,背
オズキに近いので,両者の中間という意味で
面には細かい格子紋があり,腹面には縦に深
アイフウリンホオズキと名付けた .県 外 で は
い溝がある.世界の熱帯
亜熱帯に広く分布
千葉県と三重県の標本を見ている.
し,日本では南西諸島に帰化.今回,本州で
ナガエセンナリホオズキの学名訂正
y
s
a
li
spe
n
d
u
l
a
ナガエセンナリホオズ、キカモPh
r
e
r
i
ao
c
ymo
i
d
e
s
初めて採集された.学名は Bor
(
Burm.f
.
)DC
.があてられていることがあるが,
で、はなく ,P
.wr
i
g
h
t
i
iで、あることを F
l
o
r
a
Rydb.
これは誤 同定と思 われる.本種によく似たも
KanagawaNo.
48に書いたが,この学名を P.
.m
a
u
r
i
t
i
a
n
aO.Gideonが台湾やハワ
ので ,5
a
c
u
t
i
f
o
l
i
a(
Mier
s
)Sandw.に変更する.ミズー
イに帰化しているが,これは専片が 2
個しかな
リボタニカルガーデンのホームページから学
l6,
1
9
9
9
い.標 本 :
横浜市瀬谷区上瀬谷 Nov.
h
t
t
p
:
/
/
m
o
b
ot
.mobot
.o
r
g
/
名のデータベース (
松本雅人 ・
秋山幸也 KPM
-N
AOl17576
P
i
ckJSe
a
r
c
h
/
p
i
c
k.
h
t
m
l)にアクセスできるカえ
※ハリフタパ Sperm
αc
o
c
ea
r
t
i
c
u
l
a
r
i
sL
.
f
.
一
一-
r
i
g
h
t
i
iは P
.a
c
u
t
i
f
o
l
i
a
これで検索すると P.w
S
.h
i
s
p
i
d
anonL
.
のシノニムになっている.最近のカリフォルニ
※ナガノてハリフタノて S
permacocea
s
uur
gens
Hickrnan,J
.
M.e
d
.,TheJepson
アのフロラ (
R
u
iz& Pavon- 5
.l
ae
v
i
snonLam
ManualH
igh
巴r
P
l
a
n
tso
fC
a
l
i
f
o
r
n
i
a.
Un
iv
e
r
c
i
t
y
※アメリカノ¥リフタノ'¥ Spermacoce gl
abra
o
fC
a
l
i
f
o
r
n
i
aP
r
e
s
sB
e
r
k
e
l巴y)でも同様の扱い
Michx.
になっている.本種は牛糞を撒かれた畑地周
アイフウリンホオズキ
辺で増加しているようだ .各 地 でぽつぽつと
Ph
y
s
al
i
sangul
a
t
aL
.va
r
.pend
u
l
α(
Ry
db.
)羽T
a-
採集されている .なお,県内産でもっとも古い
t
e
r
f
al
t
.l
l,
1
9
5
1
標本は横浜市保土ケ谷区権太坂 Oc
Fl
o
r
aKanagawaNo.
48でヒロノ 1フウリンホオ
出口長男で,出口 (
1
9
6
8,横浜植物誌)が引
ズキP
.αngu
l
a
t
ava
r
.a
n
g
u
l
a
t
aとホソノてフウリ
用している.
a
nc
e
i
f
ol
ia(
N
e
e
s
)
ンホオズキP.angulaωv紅 • l
キパナホオズキ (
新 称)
Ph
y
s
al
i
sph
yl
αde
l
p
h
ic
aLam.
Wa
t
e
r
f
a
lについて報告したが,ホソパフウリン
l
年草.全体に毛はなく,葉は卵形で縁には
ホオズキに似て,花冠がやや大きいものがあ
.a
n
g
u
l
a
t
αvar
.pendul
aで、ある .
り,これが P
不整の鋸歯がある .花柄は短く花時に長さ 5
2
0
∞,千葉県
千葉県で見つかり,木村・勝山 (
~ lOmm . 花冠は直径約 20mm ,鮮やかな黄
o.15)がアイフウリンホオズキと
植物誌資料 N
色で内面に顕著な紫斑がある . 約は長さ 2~
名付けて報告した .同じものが神奈川県で
3mrnで,花糸は蔚よりも細い.メキシコ原産.
58
3
-
最近愛川町で採集された(愛川町服部牧場
Oc.
t29,1
999松本雅人 ・
秋 山幸也).県外で
12,
1
9
9
5太田久次
は三重県産(四 日市市 Nov.
1
4
2
5
6)を確認した.オオブドウホオズキ(オオ
ショクヨウホオズキ,ホオズキ トマト )P.
i
x
o
c
a
r
p
aBro.
te
xHornem.はメキシコ原産で,
花が小さい点が異なるが,その他に大きな違
いがなく,区別できない可能性もある.愛川町
.ph
yl
a
d
e
l
p
h
i
c
α
の標本は花冠が大きいので,P
とし,花冠が鮮やかな黄色なので,上記の和
名をつけて整理することにした.
ヤクナガイヌムギと開花型のイヌムギ
開花していて,長さ4~5mm の荊が出てい
外穎 (左)と内穎(右).aイヌムギ開花型, bヤクナガイヌムギ
ればヤクナガイヌムギ、Bromus car
i
nαt
u
s
c
m.
① タイプ, cヤクナガイヌムギ② タイプスケールは l
Hoo
k
.etArn.
としてきたカえイヌム ギ}
J
r
o
m
u
s
ca
t
hαr
ic
u
sVahl(
B
.u
n
i
o
l
o
i
d
e
sHumb.
;B.
ある .せが長く 6m m以 上 あるものが B.
c
ar
i
n
a
t
usで,残りの2種はでが7mm以下とや
wi
l
l
d
e
nowiKunth)にも開花する株があり,こ
や短い .B
.mari
gi
n
a
t
usは葉,葉鞘, 小穂
、
と
れとヤクナガイヌムギが混同されているよう
もに毛が多いタイプで,ビロウドチャヒキの和
1
2~ 1
13の長さ
だ.イヌムギの 内穎は外穎の 1
y
a
n
t
h
u
sは毛の
名が与えられている .B.pol
しかなく ,外 穎の先の舎は長さ 1 ~ 2mm程 度
である .閉鎖花ばかりをつける株と 開花する
少ないタイプで,葉,葉鞘,小穂とも無毛また
株があり,閉鎖花の蔚は長さ O.
5mmと小さ
く,
はざらつく程度のものとされる .したがって,
i
n
a
t
usで良い.② はせが短いの
① は B.car
開花する小花の約は長さ 3~ 5mm ある. 開花
する株は, 小 花と小花の聞が聞き,長い菊が
.ma
r
g
i
n
a
t
usまたは B
.pol
y
a
n
t
husが考
でB
顔を出すので,ヤクナガイヌムギと誤認され
えられるが,下方の葉鞘が有毛で,外穎は
やすい.はじめに閉鎖花 をつける系統が日
ほとんど無毛で,どちらにもピタリとはあては
本に入り,最近になって開花する系統が帰化
まらない.最近の北 アメリカの植物誌では種
したと推定される.
を大きく見て B
.c
ar
i
n
αt
us一つにまとめてい
一方 ,ヤクナガイヌムギの内穎は外穎の3/
るものが多いので, ② も含めてヤクナガイヌ
ムギとして扱うのが良いと思う.なお,勝 山
4以上の長さがあり,外穎の先のをも長い.
これまでヤクナガイヌムギとされてきた標本
(
1989,
F
l
o
r
aKanagawaNO.
27:
2
3
8
)や田中・
のうち半数は 内穎が小さく ,
イ ヌム ギの開花
1
995,植物地理 ・
分類研 究
,4
2
:
1
7
3)で
勝山(
株で、あった .また,ヤクナガイヌムギとみなせ
.paci
f
ic
u
sは誤同
報告したミナ ト
イ ヌムギ B
る標本には次の2系統があった .
.c
ar
i
n
a
t
u
sの典型
定で,ヤクナガイヌムギ B
的なもので、あった.
① 下方の葉鞘も無毛,外穎は有毛でをは長
さ7 ~
12mm.
日本新産の帰化植物司卜ックリツメクサ
② 下方の葉鞘は有毛,外穎はざらつく程度で
(佐々木あや子 ・
勝 山輝 男 ・
高橋秀男)
では長さ 2~ 5mm.
B.car
i
n
a
t
usはきわめて多形な種で ,B
.
愛川町半原中河原の河川敷で 山口勇一氏
c
ar
inat
us
,B.mar
gi
nat
usNeesexS
t
e
u
d.
,B.
がマメ科シヤジ、ク、ノウ属 (
T
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mL
.
)の見慣
i
b
n.の3種に細分されることも
p
o
l
y
a
n
t
h
u
sScr
れない植物を採集された.帰化 によるものと
5
8
4
-
考え海外の文献に当たるとともに東大の博物
3分の l
ほどが柄につき,先は尾状にのびる.
館に収蔵されている標本と比較した.その結
花序は頂生し,有柄,直径約 2.5cm,多数の
果,アルパニア,ブルガリア,ハンガリー,ユー
花を球状から卵形につける.小花は柄がな
ゴスラピア,ルーマニア,ギリシャ,イタリア,シ
く,小包は膜質,披針形で,専筒とほぼ同じ
シリア,コルシカ,クリミア, ロシアに分布する
長さ,専は筒部がふくらみ,よく目立つ縦脈と
T
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I.
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c
u
l
o
s
u
mで、
それを繋ぐ横脈がある.専裂片は針状で,写
あることが判明した.専が丸くとっくり形をして
筒よりやや長い.花冠は淡紅色,長さ約
いるので,和名を トックリツメクサと新称し,日
l
c
m
.花弁には筋が目立つ .旗弁の先はする
本新産の帰化植物として報告する.
どく尖る .豆果に種子は2-3個 .
採集された標本をもとにトックリツメクサの
特徴を記す.
標本 KPM-NAOO118634愛川町半原中河
原J
u
.
129.1999山口勇 一.
一年草, 高さ約 3
O
c
m,全草無毛.茎は直上
最後に,情報を寄せてくだ、さった山口勇一
から斜上し,枝は分枝する.茎には多くの溝
氏,また,標本の閲覧に際してお世話になっ
がある.下方の葉は長さ 5cmの柄を持ち ,上
た東京大学総合研究博物館の清水晶子氏に
方のものは次第に短くなる.葉は掌状3出葉.
感謝申し上げます.
小葉は長楕円形, (下方の小葉は長さ 3cm幅
参考文献:Zohery,M.andHel
Ie
r,D.,1
9
8
4
.
lcmほど.)
長さ 15mm,幅 6mmで,側脈は縁
巴n
u
sT
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f
o
l
i
u
m.
TheI
s
l
a
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lAcademyo
f
TheG
の細かく鋭い鋸歯に入る .托葉は披針形で
,
S
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s,
J
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l l机肌州w
w
a
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:全
体
,b 葉
,c葱
, d花 ス ケ ー ル は a
が5
c
m,
bが l
c
m,
c
dが2mm.
5
8
5
-
ウマゴヤシ属の絵解き検索
の同定は、 小 葉に特徴を持つ種(キ レハウマ
(佐々木あや子)
ゴヤシ,モンツキウマゴヤシ)があるものの ,
花
, 小 葉等に大きな差異はなく,豆果の形を
ウマゴヤシ属 We
d
ic
agoL
.)は,地中海地
確認することが求められ ます .
0
方
, 西アジア,アフリカ 北部と西部に多く,約 5
種が知られています .日本に自生するものは
県 内の記録としては ,下記の他 に,長 田図
なく,全て帰化 によるものです.県内には,変
鑑(I972)に神奈川 県産として トゲミノウマゴ
種を含めて 1
0
種が記録,確認されています .
ヤシ,ウズマキウマゴヤシが載せられていま
マメ科の中でも,ウマゴヤシ属は,豆果の形
すが,これまでの植物誌調査では標本が採ら
れていないので今回は省略しました.
により 他 の属から容易に区別できますが,種
一
小葉は切れ込む
長
←
際
鶴
*キレハウマゴヤシ
I
紋がある
小葉に者しい D
急ー
d
時v
私
*モンツキウマゴヤシ
トー
花は淡紫色
小業の長さは帽の 3-6倍
葉
i
ま
切
れ
」
ま
ず
D
I
花
l
ま
賞
色
紋
も
な
い
葉
の
長
さ
l
ま
帽
の
3
倍
来
満
托
葉
の
縁
l
ま
総
状
細
裂
す
る
托ほ
葉と
のん
縁ど
十
⑩
伊藤
務
審
無事
噛
イ
3
時
子
牢神奈川県 1
9
8
8出版後に記録された種
5
8
6-
選
議
ムラサキウマゴヤシ
ウマコヤシ
*コトゲウマゴヤシ
キトゲナシウマゴヤシ
議
長
コウマゴヤシ
戸
惑
コメツブウマゴヤシ
国内新帰化種の報告
マルノ~' )
レコウソウ
(
秋山幸也)
ツタノハルコ ウ(
新称)I
pomoeahe
d
eηi
f
ol
i
aL
マルパルコウソウと花序などの形態が似て
1
.c
o
c
ci
ne
a
葉
ほほ全縁
種子
表面は平滑で
無毛
垂れる
いるものの ,
し
い
、吋くつカか〉の 明確な相違が見 られ
る座問市小池東原の標本 (
松本雅人氏採集)
を
乞,昨年カか、らフ、
、ロツ
や ク例会で
果柄
花冠
の結果,果柄の湾 曲の有無や,種子表面の
ツタノノ、ルコウ
1
.h
e
de
r
i
f
o
li
a
全縁,または茎の先
の方の葉は三浅裂
表面に凹凸があ り,
細毛が密生する.
直立する
マルノりレコウソウよ
りやや小さめ
形状の違し、から新帰化種である可能性が高
いと判断された.神奈川県立生命の星 ・
地球
ルパルコウソウとの相違点は上表の通りで
博物館の勝山氏によれば,熱帯アメリカ 原産
ある.
I
pomoeahe
de
r
i
f
ol
i
aとした根拠については,
で世 界 の 熱 帯 に 帰 化 している Ipomoea
he
de
r
i
f
ol
i
aL.が,果柄が直立する ,つるの先
r
A
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の方の葉が三裂することで一致することがわ
t
a
t
e
sJ
(1981)の記載に基づく .I
Unit巴dS
かった.
c
occmeaと併 記された検索表がこの文献に し
かなかったために拠り所としたが,記載の中
そこで,種小名が“キヅタの葉のような
(
hede
r
a(ウコギ科キ ヅタの古ラテン名)
, f
o
-
で
, 花冠の長さや専の長さが今回の標本と一
l
i
u
m(
葉))
"という意味であるため ,ツタノハル
致しないことや ,最大の識別点である種子の
コウと新称し,日本新産の帰化 植物として報
形状に触れていないなど,まだ問題点が残さ
告する.ツタノハル コウの主な特徴お よびマ
れている .世界的にもこ の両者がはっき り
と
区別 されているか疑問が残 るた
め,引 き続き情報収集にあたる必
要がある .
なお,
r
神 奈川県植物分布図集
1
9
9
9J
の1
9
1ページ最下段中央で,
マルパル コウ ×マメアサガオ(マル
パルコウ ×マ ・
・
・ )として分布図の
掲載されているものが,本品にあ
たるものである.
1
6,
011
11
7(
松本
標本 :SCM-Ol11
9
9
8
.
1
0
.
2,相模原市麻溝台
雅人, 1
2丁目 ),0
1
1086,
011325 (
松本雅
10.
1
8,座 間 市 小 池 東
人
, 1997.
原 ),010493 (松本雅人,
1998.
10.
2,座間市小池東原 ),
011214 (
松本雅人,1
9
9
8
.
11
.
1
,座
間市小池東原 )
b
ホソナルコビ工 (
新称)
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Er
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s(
F
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.
)H
i
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h
c
.
座間市小池東原で松本雅人氏
ツタノハルコウ a 種
子
, b三裂する葉,
c 全縁の葉
が,
イ ネ科ナルコピエ属の 一種を
スケールはaが lmm,bcカ{
8cm
5
8
7
-
称し,日本新産の帰化植物として報告する.
本種は第一包穎がほとんど退化 している点
i
lo
s
a
で,小穂、の構造が在来のナルコピエE
.v
と同様であるが,ホソナルコピエの方が小穂
はほ っそりしていて, 長さ 4.5mm程度,幅
1
.8mm
程度で、鋭尖頭となっている点ですぐに
見分けがつく .また,総もナルコピエのように
片側一方につかず,両側に 1
0本以上つく.
アメリカノキピおよび本種は, 1
9
7
5年に小笠
原諸島父島で帰化が報告されたムラサキノ
キピE
.p
r
o
c
e
r
a(
Ret
z.
)C
.E
.Hubb.
と小穂の
形状が酷似する近縁種であるが,花序に軟
毛があり,葉身の幅が広い点でムラサキノキ
ピとは異なる .また,ホソナルコピエとアメリカ
ノキピは,葉身の毛や幅のほかに,第二小花
の先端で見分けられる .ホソナルコピエは尖
頭状であるが,アメリカノキピは約 l
m m程 度
・
・
・
・ 8・
札
"・
.
.
争孟
..
,
..,~;.'tl早川伽酬 - JJ - /J
聞・
陶
・ ・. 陶
ヴ
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, 哩,
.
・
,
,
" 1U
'
"
弘
<
.
・・
叫
1
I
.
.
.
&
i
.
.
.
.
.
,
.
'
民
削帽
..
と
.
..
訳出子組
ので状の突起が見られる点で異なる.
H. ~.
標本:SCM-NS5013762 (
松本雅人,1999.
7.
5,
座間市小 池東原)
文献
勝 山輝男, 1
9
9
0植物誌発刊後に記録された
植物 (
4
).見 ORAKANAGAW A NO.29:
294-295.
A.
S
.,1
9
51
.Manualo
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.2nde
d
.
新帰化植物ーミツノギソウ
(木場英久)
c
また,松本雅人氏が見なれぬ植物を採集さ
ホソナルコピエ.a
:小穂 (第二奄穎側,
)b
:同(第一小花
れた.
側)
, C: 第二小花.スケールは 3mm.
小穂はl
小花からなり,護穎の先端に 3本の
採集された.FLORAKANAGAW ANO.29に
T
きがあることなどから,イネ科の A
r
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属であ
o
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a
おいて報告されたアメリカノキピE
.c
ることはすぐに分かった.でがねじれないこと
H
i
t
c
h
c
.(
勝 山,
1990)に一見すると似ている
からマツパシパ,オオマツバシパではない.直
が,葉身は無毛で、幅も I
Om
m以上と広い(アメ
穎が不等長なことやせが反曲しないことからヒ
リカノキピは軟毛が密生し,幅 5mm ~ 8mm程
メマツバシパでもない.そうなると,新帰化植物
度).これらの特徴から,北アメリカ大陸南部
A
r
i
s
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i
d
aは世界に約250
種
ということになるが,
とメキシコの高地に分布する E
.gr
a
c
il
isで
、
あ
があり,種を同定するのは難しい作業である.
r
a
c
il
is (
か
ることがわかった.そこで、,手重小名g
細い,ほっそりした)からホソナルコピエと華庁
採集された場所は,大豆粕を撒いた畑で,他
にも北米原産の帰化植物が産するところなの
58
8
-
で,原産地を北米と推定し
,H
i
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c
∞kのManua
1
のなのか,一時帰化なのかは分からない.北
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巴s
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sで、
調べたとこ
米以外の地域からの帰化の可能性も否定でき
ろ,せが長さ 1O ~ 15mm で,ねじれず,直穎が
ないので,学名は暫定的に当てたものである.
不等長なことなどから ,A巾 t
i
ぬa
d
s
c
e
n
s
i
o
n
i
sL
.
多くの人の目で探していただきたいと思い,調
と同定された.本種は,世界の暖地で普通に
べか不充分な段階ではあると思いつつ紹介す
見られる雑草なので,いかにも帰化に成功しそ
ることにした .
うである .
3
本のでどが基部までねじれず目立つ
ので ,ミツノギソウと新称する .標本は相模原
新帰化植物司シ口ノヂシャ
市博と県博に収蔵されている.
(高橋秀男)
9
9
8年 1
2月 1
3日に横浜市瀬谷
本種は,まだ1
綾瀬市史の調査に携わ っていた秋 山守氏
区上瀬谷で 1回だけ採集されただけなので,県
9
9
6年 5月,厚木飛行場付近(綾 瀬 市 深
が
, 1
内の他 の場所にあるのか,今後,定着するも
谷)で純白花のノヂシャの群生地を見出した.
ノヂ‘シャは通常花は淡青色で、あるが,白花の
b
a
ミツノギソウ .
a 全体, b 小 穂 スケ ー jレ
はa
が5
cm,bが3mm.
5
8
9-
ものは青色を帯びることはない.花の色のほ
帰化し,普通種となっている.同属のシロノヂ
か,種子の形も大きく異なっていた.単なるノ
シャも帰化種と思われたので,文献に当って
ヂシャの白花品種ではなく,別種と,思われた
みたところ,北アメリカ原産の V
a
l
e
r
iαn
e
l
l
a
ので,花の色にちなみ,シロノヂシャと名づ
E
n
g
e
l
m
.
)Kro
kとよく 一致するこ
と
s
t
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n
o
c
a
r
p
a(
け,形態的な特徴を調べた.
が分かった.日本での帰化は,神奈川県の記
その結果は,標本及びカラー写真,種子の
を
量
カfはじめてのようである .
電顕写真を添えて,神奈川県立生命の星 ・
地
葉や茎の様子では,ノヂシャとシロノヂシャ
9
9
7年3月に開催された,日本
球博物館で, 1
の区別は難しいが,花や果実を見れば容易
植物分類学会のポスターセッションで発表し
に区別ができる.
た.その後,県央ブロックで、採集されたほか,
Oノヂ‘シャ花は淡青色.果実は扇平でやや
湘南ブロックで、は伊勢原市を分担しておられ
円く,長さ・幅とも 2 ~ 2.5mm ,側面に稜が 1 本
た宮崎直緒子氏が, 1998年4月に伊勢原市
ある.
東富岡で採集された標本を検討することがで
Oシロノヂシャ花は純白.果実は長楕円
きた.浜口哲一氏によると湘南ブロックで、は,
形,長さ 2mm,幅 lmm,腹面は深い溝にな
ほかに2ヵ所で、採集された標本を同定したと
る.
いう (
湘南植物誌 V).
(
本稿の一部は横浜植物会会報第 1
6
6号に
ノヂ、シャはヨーロッパ原産で,世界の各地に
報告した .)
b
爪川川 W
小川川 W
爪
川V
a
巴シロノヂシャ, fノヂシャ a全体, b果実の電顕写真(木場英久氏撮影,スケールは 5
0
0
μ m)
,
c
:果実の腹面, d
:側
:背面, f
:側面.
面
,e
5
9
0-
「湘南植物誌 V
Jを作って
がある程度浮かび、上がってきました.そのお
(
浜 口哲一)
もなものを下記 に紹介してみます .
湘南フゃロックで、は ,第二次調査のまとめとし
0年という 間隔
植物の増減を記録するのに1
て平塚市博物館から 『
湘南 植 物 誌 vjを刊行
は短いのではないかとも 思 えます が,ウラジ
しました .これはメッシュ別 の4段階の産量評
ロチチコグサやミチタネツケパナの広がり具
価(大・・ A)を分布図としてまとめたもので,
合などを見ると,人為 的な要因が加 わってい
種と主要な変種を合わせて ,約 1900
枚の分
るにしても,植物の広がる早さは我々の想像
布図が掲載されています .
以上に早いのではないでしょうか.また,減少
湘南では,第 一次調査時にも産量評価の
傾向については,あまりはっきりしませんでし
分布図を載せ た植物誌を作りましたが,今回
たが,これは評価 の仕方にもうー工夫必 要だ
はその当時の評価との 比 較をいくつかの記
ということなのかもしれません.
号で示しました .それは,新たに記録された
N
),明らかに増加傾 向 にある種(↑),減少
種(
第二次調査で
傾 向 にある種(↓),そのメッシュで、は絶滅した
た
干
種
重
種 (X),今回の調査で、は確認で、きなかった種
-在来種/マツノ Tラン・ミズニラ・コパノイシカ
(7)です .こうした記号を加 えた結果, 1
98
0年
グマ ・
タニイヌ ワラビ・ミヤマワラビ・キノクニベ
990年代にいたる植物の増減の動 向
代から 1
ニシダ ・トキワ トラノオ ・
タチアマ モ
・ ヒロハトリ
ヒメスミレ
λミ
レ
ヰ
ヰ
ナ
子.
シコ粍
イヌコ J、コベ
口
花
月 2月 311 4月
A
5月 6月 711 BI
l 9月 10月 11月 12月
U
A
.
ラ
ン
特
エビネ
月 2月 3月 4月
1
1
1 2月 3月 4月
511 6周 7
1
1 8月 9月 1
0月 I
II
'
l 12月
H. A
.
A
村科
AA U
月 2月 3周 4周
5月 6月 7A 8" 9周 1
0月 1
1月 1
2月
A
.
アキノキリンソウ
5月 6月 7月 B周 9月 1
0月 1
1月 1
2月
A AA AA
A
5
91
-
ゲモ ・
アズマガヤ
・ スズメガヤ ・
イトハナピテン
ジロチチコグサ
ツキ・
ミコシガヤ・コ アゼガヤツリ ・
コウキヤガ
明らかな減少傾向にある種
在来種/オオアカウキクサ・エビネ・カワラナ
ラ・
ヒメノヤガラ ・
タシロラン・ミヤマウズラ ・
ジガ
バチソウ ・
アカメヤナギ・エゾエノキ ・
コケミズ ・
ギ・コパノボタンヅル・ハルユキ
ヒノキパヤいJ
デシコ ・
アキノキリンソウ
*r
湘南植物誌vj購入希望の方は
ノシタ・カラメドハギ・ヤマハギ・オオパアサガ
ラ・
サワフタギ・リュウキュウマメガキ・キジ、ヨラ
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ヒ
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し
、
・帰化種/ハイコヌカグサ ・
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ハマガヤ・ニセアゼガヤ・タチスズメノヒエ・セ
平塚市浅間町 1
241 平塚
市博物館 浜口あて
トガヤモドキ・シュロガヤ ツリ・ボタンウキクサ・
2000年度総会報告
ホウライツユクサ ・ルリニワゼキショウ・ニセス
ナジミチヤナギ ・
コガ ネギシギシ ・
ヒ
メ シロピ
(
事務局)
∞
ユ・ヒメアオゲイトウ ・
ヌカイ ト
ナ デシコ ・
セリパ
∞o年4月9日に相模原
2 0年度の総会が2
ヒエンソウ ト
・ ゲミノキツネノボタン ・
コタネツケ
999
市立博物館大会議室で開催されました. 1
ノくナ・アコウグンノてイ・オハ ツキガラシ・ホソエ
年度の事業報告,会計報告,会計監査報告
ガラシ・ハイキジムシロ・ウマゴヤシ・アメリカ
年度の運営体制と事業計画,
がなされ, 2 0
アワゴケ・エノキアオイ ・
オオカナダオトギリ ・
コ
予算が審議され可決されました .
∞
エンドロ・マルパハッカ・オランダハッカ・ハコ
その後,湘南ブロック,横浜ブロック,厚木ブ
ベホオズキ ・
ヒメヤエムグラ ・
シロノジシャ・ ヒ
ロックから活動状況の報告があり ,ミニレク
ナキキョウソウ ・
クソニンジン・イワヨモギ¥タカ
チャーとして,秋山幸也氏から相模原市やそ
ヨモギ ・
ベニニガナ ・
ウスベニチチコグサ・カミ
の周辺で最近見つかった植物について,
ツレ・エゾヨモギギク・バラモンギク
佐々木あや子氏から,マメ科のシヤジクソウ
頃向にある手重
明らかな増加 f
属とウマゴヤシ属について,勝山輝男氏から
在来種/イワヒメワラビ・ウリカワ・ネジ、
パナ ・
イヌホオズキ類について話題提供があり,会
ヒメスミレ
場の後方のスペースを利用して, 3人のレク
帰化種/イヌカタヒパ・ホウライシダ・メリケン
チャーに登場した植物標本の展示が行なわ
カルカヤ ・
ヒメコノ Tンソウ ・
ムギクサ ・
シマスズ
れました .
メノヒエ・メリケンガヤツリ ・
ト キワツユクサ・ホ
.19
9
9年 度 事 業 報 告
テイアオイ・シンテッポウユリ ・
ニラモドキ・ヒメ
1
9
9
9年 4月1
7日 1
9
9
9年 度総 会
ツルソパ ・
ミナ トアカザ¥ゴウ シュウアリタソウ ・
(
神奈川県立生命の星 ・
地 球 博 物 館)
シロパナマンテマ ・
イヌコハコベ・ナガミヒナゲ
1
9
9
9年 6月1日 フロラカナガワ48
号発行
シ・ミチタネツケ J~' ナ ・ オランダガラシ ・ ツルマ
1
9
9
9年 7月1
5日神奈川県植物分布図集 1
9
9
9
発行
(
生命の星・地球博物館総合研究費 )
ンネングサ ・
オカタイトゴメ・アレチヌスピトハ
2
0
0
0年 1月 1
0日フロラカナガワ49号発行
ギ・オッタチカタバミ ・
オオニシキソウ ・
ウサギ
アオイ ・
アカパナユウゲショウ ・
ツルニチニチソ
ウ・ホシアサガオ ・
ワ ルナスビ ・
タマサンゴ・
マ
.19
9
9年 度 決 算 報 告 ・
監査報告
ツレ ・
マルパフジバカマ・タチチチコグサ・ウラ
5
9
2-
新退合
ラ・
キキョウソウ ・
アメリカオニアザミ ・
マメカミ
年度当初
九一会計
[会員]
ツバウンラン ・
アメリカアゼナ ・
ハナヤエムグ
2
6
1名
1
1名
3
4
名
2
3
8名
[
一般会計]
横 浜:
高橋秀男・堀川美哉 ・
武智憲治
収入
予算
決算
繰越金
1
7
2,
3
2
7円
1
7
2,
3
2
7円
会費
520,
000円 6
6
8,
000円
FKパックナンバー販売
雑収入(寄付)
小計
湘南:守矢淳一 ・
浜口哲一
0円
3
2,
400円
塊真史
厚木:諏訪哲夫 ・佐藤恭子 ・
0円
3
9,
500円
8円
相模原:秋山幸也
6
7
3円
利息
川崎:吉田多美枝・吉田 三夫
三 浦 :山田友久 ・
青木清勝・大森雄治
津久井 (
小 ):小崎昭則
6
9
3,
000円 912,
2
3
5円
箱 根(
小 ):
井上香世子 ・古川 公貴
支出
その他:城川四郎 ・
勝山輝男 ・
木場英久 ・
事務費
20,
000円
通信費
1
2
0,
000円
9
1,
8
5
0円
フロラカナガワ印刷費 1
4
0,
000円
1
0
0,
1
7
0円
編集委員城川四郎-大場達之・大森雄治・小崎昭
350,
000円 350,
000円
則・浜口哲一 ・山本明・高橋秀男・勝山輝
出版会計に積立諜
1
4,
8
4
6円
6
3,
000円
予備費
小計
田中徳久
執筆者省略
1
5,
000円
男・
木場英久・田中徳久
6
9
3,
000円 5
7
1,
8
6
6円
会計監査諏訪哲夫 ・
大森雄治
0円 340,
3
6
9円
差 引残高
事務局勝山輝男・木場英久・田中徳久
(次年度に繰り越し)
※作業委員は,植物誌改訂のための調査などの
※新しい植物誌の出版へ向け,特別会計の充実を
調整作業を行い,各フゃロックの事務局と執筆者で、
計るため,一般会計から,販売会計へ積み立てた.
構成される.
会計担当木場英久
.2000年度事業計画
「神奈川県植物誌 2001Jのための補充調査・
会計監査諏訪哲夫・秋山守
[特別会計]
執筆・編集
決算
収入
, 5月 ・
9月
・l
月頃を
フロラカナガワの発行(年3回
3,
674,
3
2
9円
繰越金
一般会計より積立
350,
000円
予定)
フロラカナガワ総目次の作成
217円
利息
野外研究会・標本同定会 (
基本的に各フ。ロ ックが
4,
024,
546円
小計
主催し,事務局は連絡を受け持つ )
支出
パソコン(事務局)
5
6
1,
750円
5
6
1,
750円
小計
.2000年 度 予 算
[一般会計]
3,
462,
796円
差引残高
(次年度に繰り越し)
収入
会計担当田中徳久
会計監査諏訪哲夫・秋山守
繰越金
340,
369円
会費
300,
000円
6
3
1円
利息
小言十
641
,
000円
運営委員秋山守・大場達之・大森雄治・小崎
事務費
20,
000円
1
2
0,
000円
.2000年 度 運 営 体 制
代表
城川四郎
支出
昭則・小原敬・笠原基知治・北川淑子・
通信費
鈴木一喜・諏訪哲夫-高橋秀男・西山清
フロラカナガワ印刷費出 1
4
0,
000円
治・
長谷川義人・浜口哲一・守矢淳一・村
積立(出版会計へ)諜
諜
上司郎・山本明・勝山輝男・木場英久・
予備費
300,
000円
6
1,
000円
田中徳久
作業委員 盟 フーロック事務局+執筆者
6
4
1,
000円
※フロラカナガワの総目次を作成するので, 一部
ブロック事務局
流動的となる.
小計
5
9
3
-
※※「神奈川県植物誌 2
0
0
I
Jの刊行にむけ,多額
の出版費用が必要と予想されるので,会の会計と
しては変則的であるが,そのための費用を販売会
計に積み立てていく .
[特別会計]
収入
繰越金
3
,
4
6
2,
7
9
6円
が,その完成を待たずに,お亡くなりになられ
たことは,誠に残念の極みに思います.
鎌倉の稲村ケ崎には,籾 山先生の名がつ
けられたユキヨモギ冶 r
t
e
m
i
s
i
amomiyamae
K
it
a
m
.が生育しています .葬儀の当日,みち
くさ会の方が若い葉や前年枝を採集してこら
れ,お傍に添えられていました.
支出
謹んで先生の冥福をお祈りします .
パソコン(植物誌版下作成)1台
5
0
0,
0
0
0円
差引残高
2,
9
6
2,
7
9
6円
8
3
),
及
*大井次三郎:日本植物命名者表(19
び小林義雄 ・
金井弘夫 :
生物学者寿命表
顧問の籾山先生ご逝去
(
19
8
1)によって,日本人の植物学者を長寿の
(高橋秀男
)
1買に記してみました.
伊藤圭介(1803-1901
)
9
8才
亡くなられました。1
9
0
4年 l月生まれ,亮年 9
6
佐竹義輔(1902-20
才でした。
久内清孝 (1884-1981)
9
8才
9
7才
本年3月4日,本会顧問の籾 山泰一先生が
∞
木村有香 (1900-1996)
96才
1
9
6
5
)へ勤務されたほか,東京大学理学部植
籾山泰一 (1904-20
96才
物学教室,都立大学牧野標本館,東京大学
5才
牧野富太郎 (1862-1957) 9
先生は,財団法人資源科学研究所(1922-
∞
総合研究資料館で,植物分類学の研究に携
わってきました。植物の全てに造詣が深く,さ
編集後記
まざまな研究がありますが,なかでもグミ科や
r
Q
)FLORAKANAGA
W A50号を記念して, 1
パラ科,クスノキ科など,樹木学の分野に多く
号 ~50号の総索引を作成してお配りする予
論文を残されております 。また,大学や博物
定です.
館で植物標本の同定や分類をする一方,み
。会員同士で連絡を取り合うために名簿を掲
ちくさ会や牧野植物同好会などの,ご指導に
載して欲しいとのご意見を会員の方からいた
も当って来られました。
だきました.これまで本誌に何度も会員名簿
9
8
8
Jの出版に際しては
「
神奈川県植物誌1
を掲載して参りましたが,このごろの常識で考
有益なご助言,ご指導を賜る一方,先生から
えますと個人情報の管理は慎重にしなけれ
は序文を頂戴し,ご自身にもナデシコ科,モク
ばなりません.もしも,電話番号や住所などの
レン科,パラ科,クスノキ科,パラ科,グミ科,
掲載をされたくないとお考えの方がいらっしゃ
ブドウ科,モクセイ科など,多数の科を分担執
いましたら,事務局までご連絡ください.ちな
筆して頂きました.
みに本誌は約 3
0
0部が印刷され,会員の他,
先生の業績は ,本会刊行の 「
籾山泰一先生
全国の植物関係の研究会に配布され,また,
J(1994)に,全てが収
図書室で開架されることもあります.問い合
録されています .あらためて,頁をめくってみ
わせがあれば,会員でない方には l
部 500円
ますと,大変有益な興味深い解説や文献,調
(会員には 300円)で頒布しております .
査記事が満載です .この機会に会員の皆さ
。本誌前号でみなさまにお願いした地名デー
んに再読をお薦めします.
タの修正作業についてですが,沢山の情報を
論文集一卒寿記念
いま, I
神 奈川県植物誌 2
0
0I
Jの計画が進
み,先生も出版を楽しみにしておられました
お寄せいただきありがとうございました .多く
の難題が解決しました .
5
9
4
-