がんの治療方針は変わってきました

呉共済病院広報誌
地域医療支援病院
広島県指定がん診療連携拠点病院
災害拠点病院
広島DMAT指定病院
日本医療機能評価機構認定
消化器内科 吉岡 京子
がんの治療方針は変わってきました
~食道がん、胃がん、大腸がんについて~
外科 前田 佳之
がんになった場合、早期のがんかどこまで進行したがんかで生死が決まるため、進行度が最も重要なこと
になります。日本ではがん取り扱い規約という規則を作り、規約のなかのステージ分類によって進行度を
決めました。ステージ分類を決めることにより、おおまかな治療方針も決まります。ステージ分類は 1 から 4
まであり、このなかでステージ 1 は早期がんで内視鏡的切除などで完全に取りきることができるものです。
ステージ 2、ステージ 3 は進行がんですが、取りきることができるため手術の適応となります。ステージ 4 は
すでに手術では取りきれないところまで広がったがんであり、手術以外の治療法(抗がん剤投与、放射線照
射など)を主に選択します。
消化管のがんの治療方針は、治療した後の生存率を治
療別に比較することで、より生存率の高い治療法を選択する
ように変わってきました。
まず、食道がんの治療方針をお話しします。食道がんの
ステージ 2、ステージ 3 は進行がんであり、以前はまず手術をして、その後、
抗がん剤を使用していたのですが、現在は抗がん剤を手術前に使用してがん
をできるだけ小さくしてから手術で完全に取りきるという方針に変わりました。
胃がんにおきましては、手術で完全に取りきれると考えられる場合はまず
手術をして、手術後の進行度がステージ 2、ステージ 3 であれば、手術後に
抗がん剤を使用します。ステージ 4 のように手術で取りきれないと考えた場合
は抗がん剤を使用します。抗がん剤投与にてがんが小さくなれば手術で取り
きれるようになることもあります。
大腸がんの場合は、ステージ 4 でもがんによって大腸が閉塞することがあ
るため、大腸を切除してから抗がん剤を使用します。また、転移があっても
切除が可能なら積極的に切除するようになりました。
私が医者になってから 38 年がたち、がんに対する治療方針がかなり変わってきました。優れた抗がん剤
が開発され、手術術式も進歩してきました。今後もいろいろな治療法による生存率を比較してより優れた治
療法に変わっていくと考えます。
―病院の理念―
高度良質の医療
最善の奉仕
研鑽と協調
地域医療の支援
―病院の基本方針―
一 良質で、適切な医療の提供に努めます
二 患者様の権利を尊重し、満足・安心・信頼を追求します
三 新しい知識と技術を積極的に習得し、常に質の高い先進的医療を行います
四 地域の中核病院として、地域社会の要請に応えうる医療を提供します
五 職員が意欲を持って働ける病院をめざします
六 次代を担う有能な医療従事者の育成をめざします
七 専門的ながん医療の提供に努めます
八 国内での医療救護活動に積極的に参加します
第5回 呉共済病院
市民公開講座
臨床研究科 道中 一也
当院は、広島県指定の『がん診療連携拠点病院』として地域の方々のがん治療に積極的に取り組んでお
ります。その一環として、がんについてもっと知っていただきたいとの思いから市民公開講座を毎年開催して
おります。
がんは死亡原因の第 1 位であり、避けては通れない病気です。ご自身もしくはご家族が、がんに罹って悩
まれている方、がんに罹ったらと不安な方もいらっしゃると思います。そのような方々に希望を見つけていた
だけるよう、今回の市民公開講座を企画いたしました。
講師は、映画やテレビなどで活躍中の「俳優・黒沢年雄」、「当院消化器内科医長・野間文次郎」の2名が
務めます。
黒沢年雄氏は、「がんになってわかったこと~やっぱり人生プラス思考で~」という題で話をされます。
40 代の時、大腸がんという大きな病気を悩みながらも克服し、告知を受けたときの気持ち、支えてくれた家
族との絆など、がんになってわかったことも多かったといいます。「人生プラス思考で」という持論で、今までも
幾多の困難を乗り越えてきた黒沢年雄氏が語る人生に勇気と希望を感じる講演です。がんを克服され、元
気に講演をされる黒沢年雄氏自身のパワーをみなさんも感じてください。
野間医師は、「膵がんを見逃さない」という内容で話をします。膵がんは症状がほとんどないため発見しに
くく、死亡率も非常に高いとされています。医療の水準は日進月歩でありますが、膵がんは発見が困難で予
後の悪いがんです。大切なことは膵がんに罹らないための予防及び早期発見です。今回の講演は膵がんに
ついての理解を深めていただけるよい機会になるはずです。
是非、皆様のご参加をお待ちしております。
入場無料
申込不要
手話通訳付き
―患者さまの権利―
一
二
三
四
個人の尊厳は尊重されます
平等な医療を受ける権利を有します
最善の医療を受ける権利を有します
知る権利を有します
五 自己決定権を有します
(検査・治療の内容)
(セカンドオピニオン)
(治験・臨床研究への参加)
六 プライバシーの権利を有します
等々