利用しなくていいですか? ~進む小水力発電

利用しなくていいですか? ~進む小水力発電~
平成23年10月
北陸財務局
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、わが国のエネルギー政策に注目が集まる中、本年8月に「電気事業者による再生可能
エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立。今後更に再生可能エネルギーの普及促進が期待されている。
こうした中、富山県内では、水が豊富(包蔵水力(※1)は岐阜県に次いで全国2位)であるほか、急峻な河川が多く、自然の落差を利用した発電が可能であることを
背景に、小水力発電事業が活発化している。(※1)包蔵水力とは、発電水力調査により明らかとなった我が国が有する水資源のうち、技術的・経済的に利用可能な水力エネルギー量をいう。
【発電電力量構成比】・・・北陸地域は水力発電の割合が高い
100%
(平成22年度)
1
1
28
新エネルギー
29
原子力
0
50%
LNGほか
31
44
石炭
3
24
25
石油
6
水力
8
0%
北陸電力
10電力
(出典:北陸電力)
【都道府県別包蔵水力】・・・富山県は岐阜県に次いで第2位
14000
◎再生可能エネルギー源とは・・・ ◇太陽光 ◇風力 ◆水力 ◇地熱 ◇バイオマス
◎小水力発電とは・・・
旧電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法上、出力1,000kW以下(※2)
の水力発電(※2)「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」では、3万kW未満を中小水力発電という。
●一般的に小水力発電は、
➢ 太陽光発電等と比較して既に高度に確立された技術が存在
➢ 自然の形状を有効活用(大規模開発が不要)
➢ 太陽光発電等と比較して供給安定性に優れている
などの特長を有し、純国産、再生可能エネルギーの供給源として注目。
【富山県内の小水力発電所数】
☆富山県内では、既に15箇所の小水力発電所が運転中(H23.8現在)。
12,864
(出典)資源エネルギー庁
12000
10000
☆15箇所のうち3箇所は、H21年度以降の運転開始であり、更に、「庄発電所」(本年9月着工)、「山
田新田用水発電所」(本年10月着工)を含め、H28年度までに23箇所までの増設が検討されている。
8000
<庄川合口発電所>
6000
4000
2000
0
(単位:GWh) 岐阜
富山
長野
新潟
北海道
福井
石川
【河川縦断概略図】・・・富山県の河川は世界有数の急流河川
【建設例】
今年8月に砺波市で送電を開始。庄川沿岸用水土地改良区連合
が保有し、発電量は最大570kW、一般家庭の1,147世帯分。全量を
北陸電力に売電し、農業用ポンプなどの保有施設の維持管理費用
に充当。
【今後の課題】
【臼中発電所(南砺市)】最大出力910kW
□公の水を利用することによる利益の分配に関する権利調整のあり方の確立や、河川法等の手続
きの簡素化が求められている。
□小水力発電に必要な水車などには規格品がなく割高となっている一方、現状、電気事業者による
買取価格は高くても10円/kW程度であり、初期投資に見合う買取価格の設定が必要。
(出典:富山県)
(富山県内:うち5河川が一級河川)
小水力発電の普及促進には、未だ多くの課題が残っているが、電気事業者によ
る買取価格の見直しなどにより、ビジネスとして成り立つことも可能と考えられ、富
山県の持つ高い潜在能力を活かして、更なる発展が期待される。