1.2 調査結果 1.2.1 相模原市の鳥類相(文献調査) 相模原市の鳥類の記録については、以下に示す既存文献・資料により整理した。 文献1:「かながわの鳥と獣」(神奈川県,1992) 文献2:「相模原の動物」(相模原市教育委員会,1988) 文献3:「相模原の野鳥」(1997,1998) 文献4:「神奈川県 地域環境評価書−県央地域−」(神奈川県環境部,1993) 文献5:「研究集録第64集 相模原市の自然環境調査∼鳥類について∼」(相模原市教 育研究所,1982) これまで相模原市域では、比較的詳細な鳥類調査が行われており、相模原市および相模 原市を含むメッシュでは17目43科185種の鳥類の生息が確認されている。相模原市の鳥類リ ストを表4.1.3に示す。 相模原市は、神奈川県北中部の内陸部に位置するが、相模川及びその支流は、周年生息 する種の生息地としてもちろんのこと、鳥類の渡りの中継地点、繁殖地、越冬地として重 要となっているおり、非常に多くの種が記録されている。 市内の相模川を軸とした水辺環境には、水辺の鳥類であるカモ類、シギ、チドリ、カワ セミなど水辺の鳥が多くみられるほか、丹沢山地に近い大島では山地性の鳥であるアオゲ ラ、ルリビタキなどの生息が確認されている。相模原貯水池は、県内でも有数のカモ類の 越冬地であり、カンムリカイツブリをはじめ数多くの水辺の鳥が確認されている。また、 市内中央部にある横浜水道沈澱池は昼間の休憩地となっており探鳥地として知られている。 しかし、近年、相模川では河原の過密利用のためにコアジサシなどの繁殖適地が減少し ているなどの問題も抱えている。 相模原市で確認される鳥類のうち、注目すべき種として以下の種があげられる。 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」(環境庁, 1993)における国内希少野生動植物種としてオオタカとハヤブサが、近年見直された「鳥 類レッドリスト」(環境庁,1998)おける絶滅危惧Ⅰ類(EN)にセイタカシギ、絶滅危惧 Ⅱ類(VU)にトモエガモ,オオタカ,ハヤブサ,アカアシシギ,コアジサシ,ブッポウソ ウ、準絶滅危惧種(NT)にミゾゴイ,チュウサギ,ミサゴ,ハチクマ,ハイタカ、情報不 足(DD)にウズラが指定されている。 これ以外の種では、「第1回自然環境保全基礎調査」(環境庁,1976)における主要野 生動植物としてカワウ,ヨシガモ,オオジシギ,ヤマセミ,カワセミが、「第2回自然環 境保全基礎調査」(環境庁,1977)における希少種としてカンムリカイツブリ,チョウゲ ンボウ,タゲリ,フクロウが指定されている。このほか、「神奈川県レッドデータ生物調 査報告書」(神奈川県生命の星・地球博物館,1995)における危惧種,減少種,希少種と してヨシゴイ,シロチドリ,コチドリ,イソシギ,アオジなどが、まとまりのある自然環 境の指標となる「地域環境評価書―県央地域」(神奈川県環境部,1993)における一級種, 二級種としてノスリ,アオゲラ,アカゲラ,キビタキ,クロジなどが指定されている。 表4.1.3 相模原鳥類リスト 目 科 カイツブリ カイツブリ ミズナギドリ ウミツバメ ペリカン ウ コウノトリ サギ カモ タカ カモ タカ ハヤブサ キジ キジ ツル クイナ チドリ タマシギ チドリ シギ 種 カイツブリ ハジロカイツブリ ミミカイツブリ アカエリカイツブリ カンムリカイツブリ コシジロウミツバメ カワウ ヨシゴイ ミゾゴイ ゴイサギ ササゴイ アマサギ ダイサギ チュウサギ コサギ アオサギ オオハクチョウ コハクチョウ オシドリ マガモ カルガモ コガモ トモエガモ ヨシガモ オカヨシガモ ヒドリガモ アメリカヒドリ オナガガモ シマアジ ハシビロガモ ホシハジロ キンクロハジロ スズガモ ホオジロガモ ミコアイサ カワアイサ ミサゴ ハチクマ トビ オジロワシ オオタカ ツミ ハイタカ ノスリ サシバ ハイイロチュウヒ ハヤブサ チョウゲンボウ ウズラ コジュケイ キジ クイナ ヒクイナ バン オオバン タマシギ コチドリ イカルチドリ シロチドリ ムナグロ ダイゼン ケリ タゲリ キョウジョシギ トウネン ヒバリシギ オジロトウネン ウズラシギ ハマシギ エリマキシギ 文献 文献 文献 文献 文献 1 2 3 4 5 a ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 国内 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 国内 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ b c 選定基準 d e f g 二級種 二級種 二級種 希少種 主要 危惧種 危惧種 減少種 減少種 減少種 減少種 NT NT 一級種 一級種 一級種 二級種 二級種 二級種 二級種 減少種 一級種 希少種 二級種 VU 主要 主要 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 NT NT 二級種 二級種 二級種 一級種 一級種 希少種 希少種 減少種 VU NT VU DD 希少種 希少種 一級種 希少種 一級種 希少種 一級種 一級種 減少種 一級種 希少種 希少種 一級種 一級種 減少種 二級種 二級種 減少種 二級種 二級種 危惧種 二級種 減少種 減少種 危惧種 減少種 減少種 二級種 希少種 減少種 二級種 減少種 減少種 減少種 目 科 (チドリ) (シギ) ハト カッコウ フクロウ ヨタカ アマツバメ ブッポウソウ キツツキ スズメ 種 ツルシギ アカアシシギ コアオアシシギ アオアシシギ クサシギ タカブシギ キアシシギ イソシギ チュウシャクシギ ヤマシギ タシギ オオジシギ セイタカシギ セイタカシギ ヒレアシシギ アカエリヒレアシシギ カモメ ユリカモメ セグロカモメ ウミネコ アジサシ セグロアジサシ コアジサシ ハト キジバト アオバト カッコウ ジュウイチ カッコウ ツツドリ ホトトギス フクロウ オオコノハズク アオバズク フクロウ ヨタカ ヨタカ アマツバメ ヒメアマツバメ アマツバメ カワセミ ヤマセミ カワセミ ブッポウソウ ブッポウソウ キツツキ アリスイ アオゲラ アカゲラ コゲラ ヒバリ ヒバリ ツバメ ショウドウツバメ ツバメ コシアカツバメ イワツバメ セキレイ キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ビンズイ タヒバリ サンショウクイ サンショウクイ ヒヨドリ ヒヨドリ モズ チゴモズ モズ アカモズ レンジャク キレンジャク ヒレンジャク カワガラス カワガラス ミソサザイ ミソサザイ ヒタキ ルリビタキ ジョウビタキ ノビタキ イソヒヨドリ トラツグミ クロツグミ アカハラ シロハラ マミチャジナイ ツグミ ヤブサメ ウグイス コヨシキリ 文献 文献 文献 文献 文献 1 2 3 4 5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ a b c VU 選定基準 d e 主要 f g 危惧種 減少種 減少種 二級種 減少種 減少種 減少種 減少種 減少種 危惧種 一級種 主要 EN VU 希少種 危惧種 二級種 二級種 二級種 二級種 一級種 減少種 希少種 減少種 一級種 VU 主要 一級種 主要 希少種 二級種 主要 危惧種 一級種 二級種 一級種 一級種 二級種 減少種 減少種 減少種 二級種 二級種 二級種 一級種 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 減少種 二級種 二級種 目 科 (スズメ) (ヒタキ) 種 オオヨシキリ メボソムシクイ エゾムシクイ センダイムシクイ キクイタダキ セッカ キビタキ ムギマキ オオルリ エゾビタキ コサメビタキ サンコウチョウ エナガ エナガ ツリスガラ ツリスガラ シジュウカラ コガラ ヒガラ ヤマガラ シジュウカラ ゴジュウカラ ゴジュウカラ メジロ メジロ ホオジロ ホオジロ コジュリン ホオアカ カシラダカ ミヤマホオジロ アオジ クロジ オオジュリン アトリ アトリ カワラヒワ マヒワ ベニヒワ ベニマシコ ウソ コイカル イカル シメ ハタオリドリ スズメ ムクドリ コムクドリ ムクドリ カラス カケス オナガ ハシボソガラス ハシブトガラス 17目43科185種 文献 文献 文献 1 2 3 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 68 文献 文献 4 5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 104 140 126 170 a b c 選定基準 d e f 減少種 g 二級種 希少種 二級種 減少種 一級種 減少種 一級種 二級種 危惧種 二級種 減少種 二級種 二級種 一級種 減少種 二級種 希少種 一級種 減少種 一級種 文献1:「かながわの鳥と獣」(神奈川県,1992)(相模原市周辺のメッシュで確認された種を含む) 文献2:「相模原の動物」(相模原市教育委員会,1988) 文献3:「相模原の野鳥」(1997) 文献4:「相模原の野鳥」(1998) 文献5:「研究集録第64集 相模原市の自然環境調査 ∼鳥類について∼」(相模原市教育研究所,1982) 選定基準 a:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)による国内・国際希少野生動植物種、緊急指定種 b:国および県指定天然記念物 c:鳥類レッドリスト(環境庁1998)による絶滅危惧種IA類(CR)、絶滅危惧種IB類(EN)、絶滅危惧Ⅱ類(VU)、 準絶滅危惧種(NT)、情報不足(DD) d:第1回自然環境保全基礎調査(環境庁1976)の主要野生動物 e:第2回自然環境保全基礎調査(環境庁1977)の指定種(希少種40種) f:神奈川県レッドデータ生物調査報告書(神奈川県生命の星・地球博物館1995)による危惧種、減少種、希少種 g:地域環境評価書−県央地域−(神奈川県環境部1992)による一級種、二級種 ※分類は「日本産野生生物目録(脊椎動物編)」(環境庁編1993)に準じた。 1.2.2 現地調査における鳥類の記録 (1)生息確認種 現地調査の結果、表5.1.4に示す14目31科91種(帰化種および飼育種を除く)の生息を確 認した。 調査時期別の確認種数は、春季50種,夏季45種,秋季67種,冬期67種と、総じて夏よりも 冬に多くの種が生息していた(図4.1.2)。また、渡り区分も留鳥41種,夏鳥12種,冬鳥28 種,旅鳥3種,その他(渡り区分が不明瞭な種)7種と、半数近くが留鳥で、夏鳥に比べて 冬鳥の割合が高かった(図4.1.3)。なお、渡り区分は「神奈川レッドデータ生物調査報告 書」(神奈川県立生命の星・地球博物館、1995)に従った。 図4.1.2 季節別確認種 図4.1.3 渡り区分 相模原市には、山地や丘陵地のような地形はなく、市域の大半を占める平地はほとんどが 市街地や住宅地として利用されている。そのため、とくに台地上の平地には生息する鳥類は 非常に少なく、スズメやカラス類,ヒヨドリといったいわゆる都市鳥が優先していた。 樹林は、大野台や麻溝台を中心に「首都圏近郊緑地保全地域 」として残された 雑木林や、 相模川沿いの段丘崖に形成された帯状の斜面林にみられ、キツツキ類やカラ類といった樹林 性の種が生息していた。また、オオタカやフクロウ類(聞き取りにより、市内の社寺林に生 息するとの情報を得たが、種は不明)といった食物連鎖の頂点に位置する猛禽類の生息も確 認した。ただし、市域には樹林は少なく、とくにまとまった樹林地の分布は非常に限られて いるため樹林性の種の生息は少なかった。 一方、市域の西側を流れる相模川は良好な河川環境を呈しており、カワウやヤマセミ,サ ギ類といった多くの「水辺の鳥」のほか、河川敷や隣接する耕作地には相模原市の鳥である ヒバリも生息していた。また、横浜市水道局の相模原沈殿池は、県内でも有数のカモ類の飛 来地となっており、とくに冬季には多数のカモ類が生息していた。 表4.1.4 相模原市鳥類現地調査確認リスト 分類 目 科 種 カイツブリ カイツブリ カイツブリ カンムリカイツブリ ペリカン ウ カワウ コウノトリ サギ ゴイサギ ササゴイ ダイサギ チュウサギ コサギ アオサギ カモ カモ オシドリ マガモ カルガモ コガモ ヨシガモ オカヨシガモ ヒドリガモ オナガガモ ハシビロガモ ホシハジロ キンクロハジロ カワアイサ タカ タカ ミサゴ トビ オオタカ ノスリ ハヤブサ ハヤブサ チョウゲンボウ キジ キジ コジュケイ キジ ツル クイナ オオバン チドリ チドリ コチドリ イカルチドリ シギ キアシシギ クサシギ イソシギ タシギ カモメ ユリカモメ セグロカモメ コアジサシ ハト ハト キジバト アオバト カッコウ カッコウ カッコウ アマツバメ アマツバメ ヒメアマツバメ アマツバメ ブッポウソウ カワセミ ヤマセミ カワセミ キツツキ キツツキ アオゲラ アカゲラ コゲラ スズメ ヒバリ ヒバリ ツバメ ツバメ コシアカツバメ イワツバメ セキレイ キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ビンズイ タヒバリ ヒヨドリ ヒヨドリ モズ モズ ヒタキ ルリビタキ ジョウビタキ トラツグミ アカハラ シロハラ ツグミ ウグイス オオヨシキリ センダイムシクイ セッカ キビタキ エナガ エナガ 渡り区分*1 留鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 夏鳥 留鳥 旅鳥 旅鳥・冬鳥 留鳥 旅鳥・冬鳥 冬鳥 冬鳥 夏鳥 留鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 旅鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥・留鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 夏鳥・冬鳥 冬鳥 夏鳥・冬鳥 夏鳥・冬鳥 冬鳥 冬鳥 夏鳥・留鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 春季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 現地確認 夏季 夏期補足 秋季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 鳥類稀少、二級種 主要、一級種 繁:減少種G 繁:減少種G、二級種 繁:減少種G、二級種 NT、二級種 繁:減少種H 一級種 繁:希少種I*、二級種 ○ 主要、二級種 二級種 二級種 二級種 二級種 NT、鳥類稀少、一級種 繁:減少種H ○ 国内、VU、鳥類稀少、繁:希少種I*、一級種 一級種 国内、VU、鳥類稀少、一級種 鳥類稀少、一級種 ○ ○ 二級種 繁:減少種G 繁:減少種G 非繁:減少種H 非繁:減少種G、二級種 繁:減少種G 非繁:減少種H ○ ○ 注目種*2 道保川 ○ ○ ○ ○ ○ VU、繁:危惧種E ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 二級種 二級種 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 繁:減少種H ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 二級種 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 主要、一級種 主要、鳥類稀少、二級種 一級種 一級種 二級種 繁・非繁:減少種H ○ ○ 二級種 二級種 二級種 繁:減少種H 二級種 繁・非繁:減少種H 一級種 二級種 備考*3 R R R R,W L L,R L R,W R L,R W W W R R R R R R R R L R,W L L,R R L,R W R L R L,R R R R R R R L W R R R R R R R R W R W R W R W R R R W W L,R W R R R W W R R R R R,W 分類 科 種 シジュウカラ ヒガラ ヤマガラ シジュウカラ メジロ メジロ ホオジロ ホオジロ ホオアカ カシラダカ アオジ アトリ カワラヒワ イカル シメ ハタオリドリ スズメ ニュウナイスズメ ムクドリ コムクドリ ムクドリ カラス カケス オナガ ハシボソガラス ハシブトガラス 野生化した鳥類 ガビチョウ (帰化動物) ドバト 飼育鳥 アヒル ニワトリ 合計 14目31科91種 目 (スズメ) 渡り区分*1 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 冬鳥 旅鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 − 留鳥 − − 種 数 春季 ○ ○ ○ ○ 現地確認 夏季 夏期補足 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 50 45 ○ 35 ○ ○ ○ 秋季 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 注目種*2 道保川 ○ ○ ○ ○ 繁:減少種H、二級種 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 繁:希少種I* ○ ○ 非繁:危惧種D ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 67 67 37 備考*3 R R W W W R W L W R R W R L W R R W W ? T T,L − *1 渡り区分(主に「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)に従った。 留鳥:一年中見ることができる 夏鳥:繁殖のために渡来する 冬鳥:越冬のために渡来する 旅鳥:春秋の渡りの時期に定期的に渡来する *2 注目種 国内 :「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成5年2月10日告示,環境庁)による国内希少野生動植物種 VU :「鳥類レッドリスト」(1998年,環境庁)による絶滅危惧Ⅱ類 NT :「鳥類レッドリスト」(1998年,環境庁)による準絶滅危惧 主要 :「自然環境保全調査」(1976年,環境庁)による主要野生動物 鳥類稀少:「第2回自然環境保全基礎調査」(環境庁)による鳥類稀少種 減少G :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による減少種G 分布は広分布種であるが、分布が狭まり、個体数も減少している種 減少H :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による減少種H 広域に分布しているが、個体数が減少している種 希少I* :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による希少種I* 健在種のうち、分布が希薄で、かつ個体数の少ないと考えられた種 また、繁は繁殖期、非繁は非繁殖期を表す。 一級種 :「地域環境評価書 県央地域」(1992年,神奈川県環境部)による一級種 まとまりのある自然環境(植生・湖沼・干潟・岩礁等)に強く依存している種、あるいは生息数が少ない種や近年減少傾向にある 二級種 :「地域環境評価書 県央地域」(1992年,神奈川県環境部)による二級種 一級種に準ずるが農耕地・植林地・未開発な二次林など人為的改変地域においても生息できる種 *3 備 考 W、R、L、Tは「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)によるステータス(生息状況)を表 また、2つ記入されているものは、前者が繁殖期、後者が非繁殖期を表す。 W:普通。広域に分布し多い。 R:少ない。広域に分布するが少ない。 L:局地的。局地的に分布し少ない。 T:偶発的・一時的。 1.2.3 各地域における鳥類の状況 以下に、各地域毎の鳥類の確認状況・生息状況について概説する。 (1)低地部(相模川沿岸地域)(R1,3,4、P1,3,4,5) 3ルート、4定点で調査し、12目28科70種を確認した。本地域は相模川とそこに広がる 河川敷に代表される地域で、その背後には耕作地や崖線斜面に生育する帯状の樹林からな る地域である。 河川では、カワウやサギ類,カワセミ,ヤマセミといった魚食性の種をはじめカモ類、 セキレイ類といった水辺周辺に生息する種を多く確認した。これらの種のうち、魚食性の 種は魚の豊富な河川、カモ類は大きな水辺の存在、セキレイ類は水生昆虫の豊富な河川の 指標となるものである。また河川敷に広がる草地には、相模原市の鳥であるヒバリやオオ ヨシキリ,セッカといった草地を好む種も生息するなど、相模川周辺には良好な河川環境 が形成されていることがうかがえる。なお、現地での聞き取りにより、石切場にヤマセミ の巣があり平成11年にも繁殖を行ったとの情報を得た。 周辺の斜面林ではコゲラやシジュウカラ等、樹林に生息する種を確認した。ただし、こ れらの生息密度は高くはなく、またいずれも平地の樹林で普通にみられる種で、良好な樹 林環境の指標となるような種は確認されなかった。農耕地では、カラス類やスズメ、ムク ドリ等がよくみられ、特に冬期には群となって多数が生息していた。また、秋∼冬季には オオタカやミサゴ,チョウゲンボウといった猛禽類も確認した。ミサゴは魚食性の猛禽類 であり、採餌のために相模川に出現したと考えられる。オオタカは相模川河川敷で確認し たが、非繁殖期のみの確認であり、また周辺にも営巣に適した良好な樹林が見あたらない ことから、狩り場としての利用で付近での繁殖の可能性は低いと考えられる。 ■R1(12目27科52種を確認) 相模川の河川敷に設定したルートで、確認種は14ルート中最多であった。サギ類やカワ ウ,ヤマセミ,カワセミといった魚食性の種や、カルガモやシギ・チドリ類,セキレイ類 といった水辺周辺に生息する種が優先していた。また、秋∼冬季にはミサゴやオオタカ, チョウゲンボウといった猛禽類も確認した。 ■R3(11目25科48種を確認) 相模川沿いに広がる耕作地に面したルートで、サギ類やカワウ,コアジサシ,カワセミ といった魚食性の種や、カモ類,シギ・チドリ類やセキレイ類といった水辺周辺に生息す る種が優先していた。なお、現地での聞き取りより、石切場にヤマセミの巣があり平成11 年にも繁殖を行ったとの情報を得た。このほか河川敷ではオオヨシキリやセッカといった 草地に生息する種も確認した。 ■R4(11目25科47種を確認) 相模川に面した耕作地に設定したルートで、サギ類やカワウ,コアジサシ,カワセミと いった魚食性の種やカルガモやシギ・チドリ類やセキレイ類といった水辺周辺に生息する 種が優先していた。耕作地ではキジバトやカワラヒワ、スズメ、ムクドリ等が多く生息し ていた。また、冬季にはミサゴやノスリといった猛禽類も確認した。 ●P1(9目20科32種を確認) 相模川の堤防上に設定した地点で、サギ類やカワウ,カワセミといった魚食性の種や、 セキレイ類等、水辺周辺に生息する種が優先していた。また、秋∼冬季にはミサゴやノス リといった猛禽類も確認した。 ●P3(8目18科27種を確認) 相模川の河川敷上に設定した地点で、サギ類やカワセミ,セキレイ類といった水辺周辺 に生息する種のほか、セッカやホオジロ,カワラヒワといった草地等開けた環境に生息す る種を確認した。また、秋季にはミサゴも確認した。 ●P4(10目24科37種を確認) 相模川に面した土手上に設定した地点で、サギ類やカイツブリ、カワセミ、イカルチド リといった水辺周辺に生息する種が優先していた。河川敷ではオオヨシキリやセッカとい った草地に生息する種を確認した。また、秋∼冬季にはオオタカやミサゴといった猛禽類 も確認した。 ●P5(7目18科28種を確認) 相模川に近接した水田の中に設定した地点で、サギ類やセキレイ類といった水辺周辺に 生息する種のほか、カワラヒワ,スズメ,ムクドリといった耕作地でよくみられる種を多 く確認した。また、秋∼冬季にはオオタカやチョウゲンボウといった猛禽類も確認した。 表4.1.5 低地部(相模川沿岸地域)鳥類確認種(R1,3,4、P1,3,4,5) 目 カイツブリ 分類 科 カイツブリ 種 カイツブリ カンムリカイツブリ ペリカン ウ カワウ コウノトリ サギ ゴイサギ ササゴイ ダイサギ チュウサギ コサギ アオサギ カモ カモ マガモ カルガモ コガモ ヒドリガモ カワアイサ タカ タカ ミサゴ トビ オオタカ ノスリ ハヤブサ チョウゲンボウ キジ キジ コジュケイ キジ チドリ チドリ イカルチドリ シギ キアシシギ クサシギ イソシギ タシギ カモメ ユリカモメ コアジサシ ハト ハト キジバト アマツバメ アマツバメ ヒメアマツバメ ブッポウソウ カワセミ ヤマセミ カワセミ キツツキ キツツキ アカゲラ コゲラ スズメ ヒバリ ヒバリ ツバメ ツバメ コシアカツバメ イワツバメ セキレイ キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ビンズイ タヒバリ ヒヨドリ ヒヨドリ モズ モズ ヒタキ ジョウビタキ シロハラ ツグミ ウグイス オオヨシキリ センダイムシクイ セッカ エナガ エナガ シジュウカラ ヤマガラ シジュウカラ メジロ メジロ ホオジロ ホオジロ ホオアカ カシラダカ アオジ アトリ カワラヒワ イカル シメ ハタオリドリ スズメ ニュウナイスズメ ムクドリ ムクドリ カラス カケス オナガ ハシボソガラス ハシブトガラス 野生化した鳥類 ガビチョウ 合計 12目29科70種 渡り区分 留鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 旅鳥 旅鳥・冬鳥 留鳥 旅鳥・冬鳥 冬鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥・留鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 夏鳥・留鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 − 種 数 現地確認 春季 ○ 夏季 夏期補足 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 秋季 ○ ○ ○ 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 41 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 34 23 47 45 ○ ○ ○ (2) 斜面部(西部地域)(R2,6,7,8,9、P2,6,7) 5ルート、4定点で調査し、14目29科68種を確認した。本地域は、相模川と台地の間に 形成された河岸段丘に位置する。段丘崖には広葉樹やスギ植林を中心とした斜面林が帯状 に生育するなど、樹林が少ない市域にあってはまとまった樹林がみられる地域であり、キ ツツキ類やカラ類,アカハラ,シロハラ,センダイムシクイなど比較的多くの樹林性鳥類 が生息していた。また夏季にはオオタカを確認し、聞き取りから市域で繁殖しているとの 情報を得た。 崖線下部には湧水を起源とする小河川が流れ、カワセミやセキレイ類といった水辺周辺 に生息する種を確認した。崖線上部に広がる段丘面の平地は、大部分が住宅地や耕作地と して利用されており、ツバメやヒヨドリ,ムクドリ,カラス類といったいわゆる都市鳥が 多く生息していた。 また、横浜市水道局の相模原沈殿池(P7)は広大な水域となっており、とくに冬期に は1000羽以上ものカモ類やカワウ訪れる水鳥の重要な越冬地となっている。 ■R2(8目21科34種を確認) 八瀬川沿いに設定したルートで、サギ類やカルガモ,カワセミ,セキレイ類といった水 辺周辺に生息する種や、キツツキ類やカラ類といった樹林に生息する種を確認した。耕作 地ではスズメやムクドリ,カワラヒワ等を多く確認した。また、夏季にはオオタカを確認 した。 ■R6(6目18科33種を確認) 横山丘陵緑地に設定したルートで、広葉樹やスギで構成される樹林が生育する。良好な 樹林が形成されているため、キツツキ類やカラ類のほか、アカハラ,シロハラ,センダイ ムシクイなど、他地区に比べ樹林性の種を多く確認した。 ■R7(8目20科32種を確認) 周辺は住宅地や一部宅地となっているため、キジバトやツバメ,ヒヨドリ、スズメ、カ ラス類といった都市鳥が優先していた。 ■R8(10目21科45種を確認) 沈殿池外周に設定したルートであるため、カモ類をはじめ、カイツブリ類やサギ類、カ ワウ、オオバンといった水辺に生息する種が優先しており、とくに秋∼冬季に生息種数が 多かった。また、スズメやムクドリ,カラス類といった都市鳥も多く確認した。 ■R9(7目19科33種を確認) 周辺は耕作地や宅地となっており、ツバメやヒヨドリ、スズメ、ムクドリ、カラス類と いった都市鳥が優先していた。また、段丘斜面の広葉樹林では、キツツキ類やカラ類とい った樹林性の種も確認した。 ●P2(3目12科16種を確認) 住宅地に囲まれた耕作地内の地点で、確認種は非常に少なかった。確認種はヒバリやツ バメ、カワラヒワ等、いずれも耕作地などの開けた環境で普通にみられる種であった。 ●P6(5目14科17種を確認) 住宅地に囲まれた横山公園内に設定した地点で、確認種は非常に少なかった。ツバメや ヒヨドリ,スズメ,カラス類といった都市鳥が優先していたが、樹林に生息するヤマガラ も通年確認した。 ●P7(10目22科40種を確認) 横浜市水道局の相模原沈殿池に設定した地点で、カモ類をはじめカイツブリ類やカワウ, アオサギ,オオバンといった水辺に生息する種が優先していた。とくに冬季には12種1000 羽以上ものカモ類が生息するなど、カモ類やカワウの重要な越冬地となっている。 表4.1.6 斜面部(西部地域)鳥類確認種(R2,6,7,8,9、P2,6,7) 目 カイツブリ 分類 科 カイツブリ 種 カイツブリ カンムリカイツブリ ペリカン ウ カワウ コウノトリ サギ ゴイサギ コサギ アオサギ カモ カモ オシドリ マガモ カルガモ コガモ ヨシガモ オカヨシガモ ヒドリガモ オナガガモ ハシビロガモ ホシハジロ キンクロハジロ カワアイサ タカ タカ トビ オオタカ ハヤブサ チョウゲンボウ キジ キジ コジュケイ キジ ツル クイナ オオバン チドリ チドリ コチドリ シギ イソシギ カモメ セグロカモメ ハト ハト キジバト カッコウ カッコウ カッコウ アマツバメ アマツバメ ヒメアマツバメ ブッポウソウ カワセミ カワセミ キツツキ キツツキ アオゲラ アカゲラ コゲラ スズメ ヒバリ ヒバリ ツバメ ツバメ イワツバメ セキレイ キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ビンズイ タヒバリ ヒヨドリ ヒヨドリ モズ モズ ヒタキ ルリビタキ ジョウビタキ トラツグミ アカハラ シロハラ ツグミ ウグイス センダイムシクイ キビタキ シジュウカラ ヤマガラ シジュウカラ メジロ メジロ ホオジロ ホオジロ カシラダカ アオジ アトリ カワラヒワ イカル シメ ハタオリドリ スズメ ムクドリ コムクドリ ムクドリ カラス オナガ ハシボソガラス ハシブトガラス 野生化した鳥類 ドバト 飼育鳥 ニワトリ 合計 14目29科68種 渡り区分 留鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 夏鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 夏鳥・留鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 夏鳥・冬鳥 冬鳥 夏鳥・冬鳥 夏鳥・冬鳥 冬鳥 冬鳥 夏鳥・留鳥 夏鳥 夏鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 冬鳥 留鳥 留鳥 冬鳥 留鳥 旅鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 留鳥 − 種 数 現地確認 春季 夏季 夏期補足 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 秋季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 31 31 ○ ○ ○ ○ 26 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 52 57 (3) 台地部(東部地域)(R5,11,12,14、P8,10,13) 4ルート、3定点で調査したが、確認種は6目18科31種と少なく他地域の概ね半数程度 であった。まとまった樹林や水域はほとんどみられず、台地上の平地は大部分が市街地や 住宅地として利用されているといった環境であったため、鳥類相も乏しくカラス類やスズ メ、ムクドリ、ヒヨドリといった都市鳥が優先していた。また公園等の緑地では、コゲラ やシジュウカラ,メジロといった樹林性の種も確認したが、良好な樹林環境の指標となる 種ではなく、大部分は緑の多い住宅地等で普通にみられる種であった。 ■R5(5目16科21種を確認) 調査地の相模原北公園は市街地に囲まれており、良好な雑木林が形成されていたが、樹 林内も散策路が整備されているなど人の立ち入りが多かった。そのため、良好な樹林環境 の指標となる種は確認されず、カラ類やエナガといった種も繁殖期の生息は少なかった。 ■R11(3目11科13種を確認) 周辺は市街地となっているため、確認種は非常に少なかった。ドバトをはじめ、スズメ やヒヨドリ、ムクドリといった都市鳥が優先しており、これ以外の種も都市周辺でみられ る種がほとんどであった。 ■R12(3目14科22種を確認) 樹林が生育する公園に設定したルートで、キツツキ類やカラ類といった樹林性の種、と くにシジュウカラが多く生息していた。周辺は住宅地となっており、ヒヨドリやスズメ、 ムクドリ、ハシブトガラスといった都市鳥が占める割合も大きかった。 ■R14(10目23科33種を確認) ゴルフ場と住宅地の間に設定したルートで、シジュウカラが比較的多く生息していたほ かは、ヒヨドリやスズメ,ムクドリ,オナガ,ハシブトガラス類といった都市鳥が優先し ていた。 ●P8(4目14科20種を確認) 周辺が住宅地となっている畑地に設定した地点で、確認種は非常に少なかった。ヒヨド リやハシブトガラスといった都市鳥が優先していた。 ●P10(3目13科18種を確認) 緑地が広がる相模原市立博物館に設定した地点で、アオゲラやエナガ,シジュウカラ, シロハラといった樹林性の種や、アオジやカワラヒワといった林縁∼草地で良くみられる 種が多く生息していた。 ●P13(2目9科11種を確認) 相模大野駅前の大野公園に設定した地点で、スズメやムクドリ,カラス類,ドバトとい った都市鳥が優先していた。 表4.1.7 台地部(東部地域)鳥類確認種(R5,11,12,14、P8,10,13) 分類 現地確認 渡り区分 夏期補足 目 科 種 春季 夏季 秋季 コウノトリ サギ ゴイサギ 留鳥 ○ ダイサギ 留鳥 ○ アオサギ 冬鳥 ○ カモ カモ カルガモ 留鳥 ○ ○ コガモ 冬鳥 ○ ヒドリガモ 冬鳥 ○ タカ タカ トビ 留鳥 ○ ハヤブサ チョウゲンボウ 留鳥 ○ キジ キジ コジュケイ 留鳥 ○ ○ キジ 留鳥 ○ ○ ○ チドリ シギ イソシギ 留鳥 ○ ハト ハト キジバト 留鳥 ○ ○ ○ ○ カッコウ カッコウ カッコウ 夏鳥 ○ ブッポウソウ カワセミ カワセミ 留鳥 ○ ○ キツツキ キツツキ アオゲラ 留鳥 ○ コゲラ 留鳥 ○ ○ ○ スズメ ヒバリ ヒバリ 留鳥 ○ ○ ツバメ ツバメ 夏鳥 ○ ○ ○ イワツバメ 夏鳥 ○ セキレイ ハクセキレイ 留鳥 ○ ○ ○ ヒヨドリ ヒヨドリ 留鳥 ○ ○ ○ ○ モズ モズ 留鳥 ○ ヒタキ ジョウビタキ 冬鳥 ○ シロハラ 冬鳥 ○ ツグミ 冬鳥 ウグイス 夏鳥・留鳥 ○ キビタキ 夏鳥 ○ エナガ エナガ 留鳥 ○ ○ シジュウカラ ヤマガラ 留鳥 ○ ○ シジュウカラ 留鳥 ○ ○ ○ ○ メジロ メジロ 留鳥 ○ ○ ○ ○ ホオジロ ホオジロ 留鳥 ○ ○ ○ アオジ 冬鳥 ○ アトリ カワラヒワ 留鳥 ○ ○ ○ ○ シメ 冬鳥 ハタオリドリ スズメ 留鳥 ○ ○ ○ ○ ムクドリ ムクドリ 留鳥 ○ ○ ○ ○ カラス オナガ 留鳥 ○ ○ ○ ○ ハシボソガラス 留鳥 ○ ○ ○ ハシブトガラス 留鳥 ○ ○ ○ ○ 野生化した鳥類 ドバト 留鳥 ○ ○ ○ ○ 合計 10目24科40種 種 数 20 24 11 32 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 23 (4) 境川地域(R10,13、P9,11,12) 2ルート、3定点で調査し、11目26科50種を確認した。境川ではサギ類やカモ類,カワ セミといった水辺周辺に生息する種も確認した。ただし、境川は河川の規模は小さく、ま たコンンクリートによる護岸が施されているため、水辺性鳥類の生息数は多くはなかった。 周辺はほとんどが住宅地となっており、ツバメやヒヨドリ、スズメ、カラス類といった都 市鳥が優先していた。 また、鵜野森の緑地ではキツツキ類やシジュウカラ,アカハラ,センダイムシクイ,シ ジュウカラ,シメといった樹林性の種の生息も確認した。 ■R10(9目22科32種を確認) 境川では、サギ類やカモ類,セキレイ類,カワセミといった水辺周辺に生息する種を確 認した。周辺はほとんどが住宅地となっているため、ツバメやスズメ、ムクドリ、ハシブ トガラスといった都市鳥も多く生息していた。 ■R13(9目22科28種を確認) 境川では、サギ類やカモ類セキレイ類といった水辺周辺に生息する種を確認した。周辺 の鵜野森の緑地には、キツツキ類やアカハラ,センダイムシクイ,キビタキ,シジュウカ ラといった樹林性の種の生息も確認した。 ●P9(2目22科15種を確認) 住宅地内の小規模な畑地に設定した地点で、確認種は少なく、大部分はヒヨドリやスズ メ,ムクドリといった都市鳥であった。 ●P11(3目11科17種を確認) 住宅地内の神社に設定した地点で、確認種は少なく、大部分はヒヨドリやスズメ,ムク ドリといった都市鳥であった。 ●P12(5目15科25種を確認) 鵜野森の緑地では、キツツキ類やアカハラ,センダイムシクイ,キビタキ,シメといっ た樹林性の種を多く確認した。 表4.1.8 境川地域鳥類確認種(R10,13、P9,11,12) 現地確認 渡り区分 夏期補足 目 種 春季 夏季 カイツブリ カンムリカイツブリ 冬鳥 ○ コウノトリ ダイサギ 留鳥 チュウサギ 夏鳥 コサギ 留鳥 ○ アオサギ 冬鳥 カモ カモ マガモ 冬鳥 ○ カルガモ 留鳥 ○ ○ ○ コガモ 冬鳥 ○ ○ ○ オカヨシガモ 冬鳥 タカ ハヤブサ ハヤブサ 冬鳥 キジ キジ コジュケイ 留鳥 ○ ○ チドリ シギ イソシギ 留鳥 ○ カモメ セグロカモメ 冬鳥 ハト ハト キジバト 留鳥 ○ ○ ○ アマツバメ アマツバメ ヒメアマツバメ 留鳥 ○ キツツキ キツツキ アオゲラ 留鳥 ○ ○ アカゲラ 留鳥 コゲラ 留鳥 ○ ○ スズメ ヒバリ ヒバリ 留鳥 ○ ○ ツバメ ツバメ 夏鳥 ○ ○ ○ セキレイ キセキレイ 留鳥 ハクセキレイ 留鳥 ○ ○ ○ セグロセキレイ 留鳥 タヒバリ 冬鳥 ヒヨドリ ヒヨドリ 留鳥 ○ ○ ○ モズ モズ 留鳥 ヒタキ ジョウビタキ 冬鳥 アカハラ 夏鳥・冬鳥 ○ ツグミ 冬鳥 ○ ウグイス 夏鳥・留鳥 ○ ○ センダイムシクイ 夏鳥 ○ ○ キビタキ 夏鳥 ○ ○ エナガ エナガ 留鳥 ○ シジュウカラ ヤマガラ 留鳥 ○ シジュウカラ 留鳥 ○ ○ ○ メジロ メジロ 留鳥 ○ ○ ホオジロ ホオジロ 留鳥 ○ アオジ 冬鳥 アトリ カワラヒワ 留鳥 ○ ○ ○ シメ 冬鳥 ハタオリドリ スズメ 留鳥 ○ ○ ○ ムクドリ ムクドリ 留鳥 ○ ○ ○ カラス オナガ 留鳥 ○ ○ ○ ハシボソガラス 留鳥 ○ ハシブトガラス 留鳥 ○ ○ ○ 野生化した鳥類 ドバト 留鳥 ○ ○ ○ 飼育鳥 アヒル − 合計 10目24科45種 種 数 27 24 15 分類 科 カイツブリ サギ 秋季 冬季 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 22 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 32 1.2.4 繁殖状況 調査の結果、幼鳥や巣の確認によって相模原市内での繁殖が確実と考えられる種は、カ ルガモ、コジュケイ、キジバト、ヤマセミ、ツバメ、ハクセキレイ、ヒヨドリ、シジュウ カラ、スズメ、ムクドリ、オナガ、ハシボソガラス、ハシブトガラスの13種であった。こ のうちヤマセミ以外の12種は、市街地周辺でも比較的普通に繁殖がみられる種で、相模川 等の水域(カルガモ)や、段丘崖の斜面林をはじめとした樹林内(コジュケイ,シジュウ カラ,カラス類)、あるいは人家周辺(ツバメ,スズメ)など市域の広範囲で繁殖してい ると考えられる。ヤマセミは河川等の断崖に巣穴を開けて営巣する種であるが、田名の石 切場で本種のものと思われる巣穴を確認し、聞き取りによっても平成11年に繁殖を行った との情報を得た。 また、聞き取りにより、チョウゲンボウは麻溝台の南清掃工場での繁殖情報を、オオタ カも市内での繁殖情報を得た。 これ以外の種については、本調査の結果からは判断ができないが、渡り区分が留鳥もし くは夏鳥に区分されている種で、春∼夏季に生息していた種は繁殖の可能性が十分考えら れる。なお、カワウやサギ類は年間通じて多数が生息しており、周辺で繁殖している可能 性が高いと考えられる。ただし、本種は樹林にコロニーを形成して集団繁殖をする習性が あり、本調査ではコロニーは確認されていないことから、市域を採餌場として利用してい るが繁殖していないと思われる。 表4.1.9 分類 科 カモ タカ ハヤブサ キジ チドリ カモメ ハト カッコウ アマツバメ カワセミ キツツキ ヒバリ ツバメ 種 カルガモ ◎ トビ ○ オオタカ ○ チョウゲンボウ ○ コジュケイ ◎ キジ ○ コチドリ △ イカルチドリ ○ イソシギ ○ コアジサシ △ キジバト ◎ カッコウ △ ヒメアマツバメ △ ヤマセミ ◎ カワセミ ○ アオゲラ ○ アカゲラ ○ コゲラ ○ ヒバリ ○ ツバメ ◎ イワツバメ ○ ◎:繁殖確実 ○:繁殖の可能性大 △:不明 市域で繁殖の可能性がある種 繁殖の可能性 幼鳥確認 聞き取り 聞き取り 幼鳥確認 さえずり 幼鳥確認 聞き取り、巣確認 さえずり 幼鳥確認 分類 科 セキレイ 種 キセキレイ ハクセキレイ セグロセキレイ ヒヨドリ ヒヨドリ モズ モズ ヒタキ ウグイス オオヨシキリ センダイムシクイ セッカ キビタキ エナガ エナガ シジュウカラ ヒガラ シジュウカラ ヤマガラ メジロ メジロ ホオジロ ホオジロ アトリ カワラヒワ ハタオリドリ スズメ ムクドリ ムクドリ カラス オナガ ハシブトガラス ハシボソガラス 繁殖の可能性 ◎ ○ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ○ △ △ △ ◎ ○ ○ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 幼鳥確認 幼鳥確認 さえずり さえずり さえずり さえずり 幼鳥確認 さえずり さえずり 幼鳥確認 幼鳥確認 幼鳥確認 幼鳥確認 幼鳥確認 1.2.5 注目すべき鳥類 下記項目に該当する種を注目種とした。 a:「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(環境庁,1993)における 国内希少野生動植物種、国際希少野生動植物種、緊急指定種 b:「文化財保護法」(文化庁,1950)における天然記念物、特別天然記念物 c:「鳥類レッドリスト」(環境庁,1998)における以下の該当種 絶滅危惧ⅠA類(CR):ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの 絶滅危惧ⅠB類(EN):ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの 絶滅危惧Ⅱ類(VU):絶滅の危険が増大している種 準絶滅危惧種(NT):存続基盤が脆弱な種 情報不足(DD) d:「自然環境保全基礎調査報告書(第1回緑の国勢調査)」(環境庁,1976)における 主要野生動物 e:「第2回自然環境保全基礎調査報告書(第2回緑の国勢調査)」(環境庁,1982)における 希少種 f:「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(神奈川県立生命の星・地球博物館,1995)における 減少種、希少種 表4.1.10に示すとおり、現地調査での確認種のうち全国レベル(a∼e)での注目種とし てカンムリカイツブリ,カワウ,チュウサギ,ヨシガモ,ミサゴ,オオタカ,ハヤブサ,チ ョウゲンボウ,コアジサシ,ヤマセミ,カワセミの11種が、地域レベル(f)での注目種と してゴイサギ,ササゴイ,ダイサギ ,コサギ,オシドリ ,トビ,コチドリ,イカルチドリ, キアシシギ,クサシギ,イソシギ,タシギ,ヒバリ,オオヨシキリ,セッカ,ニュウナイス ズメの16種、合計27種が該当した。また、本調査では道保川沿いの調査対象していないため、 本地域が空白とならないように、近年の調査である「平成10年度一級河川道保川環境調査委 託」(相模原市,1999)の中で実施された調査結果を引用し、補完した。 なお、コシアカツバメ,ホオアカ,アオジの3種は「神奈川県レッドデータ生物調査報告 書」では、繁殖期における減少種あるいは希少種に該当するが、これらは繁殖期となる春季, 夏季,夏季補足調査のいずれでも確認されなかったことから、注目種からは除外した。 表4.1.10 注目種一覧 分類 渡り区分*1 目 科 種 カイツブリ カイツブリ カンムリカイツブリ 冬鳥 ペリカン ウ カワウ 冬鳥 コウノトリ サギ ゴイサギ 留鳥 ササゴイ 夏鳥 ダイサギ 留鳥 チュウサギ 夏鳥 コサギ 留鳥 カモ カモ オシドリ 冬鳥 ヨシガモ 冬鳥 タカ タカ ミサゴ 冬鳥 トビ 留鳥 オオタカ 留鳥 ハヤブサ ハヤブサ 冬鳥 チョウゲンボウ 留鳥 チドリ チドリ コチドリ 夏鳥 イカルチドリ 留鳥 シギ キアシシギ 旅鳥 クサシギ 旅鳥・冬鳥 イソシギ 留鳥 タシギ 旅鳥・冬鳥 カモメ コアジサシ 夏鳥 ブッポウソウ カワセミ ヤマセミ 留鳥 カワセミ 留鳥 スズメ ヒバリ ヒバリ 留鳥 ツバメ コシアカツバメ 夏鳥 ヒタキ オオヨシキリ 夏鳥 セッカ 留鳥 ホオジロ ホオアカ 冬鳥 アオジ 冬鳥 ハタオリドリ ニュウナイスズメ 冬鳥 合計 14目31科91種 種 数 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 注目種*2 ⑦ 鳥類稀少、二級種 主要、一級種 繁:減少種G 繁:減少種G、二級種 繁:減少種G、二級種 NT、二級種 繁:減少種H 繁:希少種I*、二級種 主要、二級種 NT、鳥類稀少、一級種 繁:減少種H 国内、VU、鳥類稀少、繁:希少種I*、一級種 国内、VU、鳥類稀少、一級種 鳥類稀少、一級種 繁:減少種G 繁:減少種G 非繁:減少種H 非繁:減少種G、二級種 繁:減少種G 非繁:減少種H VU、繁:危惧種E 主要、一級種 主要、鳥類稀少、二級種 繁・非繁:減少種H 繁:減少種H 繁:減少種H 繁・非繁:減少種H 繁:減少種H、二級種 繁:希少種I* 非繁:危惧種D 備考*3 R R R,W L L,R L R,W L,R R L R,W L R L,R R L,R R R R R L R R R R R R R L R *1 渡り区分(主に「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)に従った。 留鳥:一年中見ることができる 夏鳥:繁殖のために渡来する 冬鳥:越冬のために渡来する 旅鳥:春秋の渡りの時期に定期的に渡来する *2 注目種 国内 :「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(平成5年2月10日告示,環境庁)による国内希少野生動植物種 VU :「鳥類レッドリスト」(1998年,環境庁)による絶滅危惧Ⅱ類 NT :「鳥類レッドリスト」(1998年,環境庁)による準絶滅危惧 主要 :「自然環境保全調査」(1976年,環境庁)による主要野生動物 鳥類稀少:「第2回自然環境保全基礎調査」(環境庁)による鳥類稀少種 減少G :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による減少種G 分布は広分布種であるが、分布が狭まり、個体数も減少している種 減少H :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による減少種H 広域に分布しているが、個体数が減少している種 希少I* :「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)による希少種I* 健在種のうち、分布が希薄で、かつ個体数の少ないと考えられた種 また、繁は繁殖期、非繁は非繁殖期を表す。 一級種 :「地域環境評価書 県央地域」(1992年,神奈川県環境部)による一級種 まとまりのある自然環境(植生・湖沼・干潟・岩礁等)に強く依存している種、あるいは生息数が少ない種や近年減少傾向にある種 二級種 :「地域環境評価書 県央地域」(1992年,神奈川県環境部)による二級種 一級種に準ずるが農耕地・植林地・未開発な二次林など人為的改変地域においても生息できる種 *3 備 考 W、R、L、Tは「神奈川レッドデータ生物調査報告書」(1995年,神奈川県立生命の星・地球博物館)によるステータス(生息状況)を表す。 また、2つ記入されているものは、前者が繁殖期、後者が非繁殖期を表す。 W:普通。広域に分布し多い。 R:少ない。広域に分布するが少ない。 L:局地的。局地的に分布し少ない。 T:偶発的・一時的。 以下に、注目種の確認状況について概説する。 [全国レベル] ■カンムリカイツブリ 秋季と冬季に相模原沈殿池で少数を確認した。 本種は、主に冬鳥として湖沼,河口,海岸に渡来し、潜水して魚類を捕食する。 ■カワウ 相模川と相模原沈殿池で年間通じて確認し、この他には境川でも生息を確認した。とく に冬季の沈殿池では190羽もの生息を確認した。 本種は、湖沼や河川等の水域で魚類を捕食し、局地的にコロニーを形成して集団で繁殖 する。なお、「神奈川県レッドデータ生物調査報告書」では渡り区分は冬鳥となっている が、少数は夏季にも生息するようである。ただし、市域ではコロニーは確認されなかった。 ■チュウサギ 春∼秋季に相模川のほか境川や小水路で確認した。 本種は、主に夏鳥として渡来し、水田や湿地で餌をとる。繁殖はコロニーを形成して集 団で行うが、市域ではコロニーは確認されなかった。 ■ヨシガモ 冬季に相模原沈殿池で確認した。 本種は、大部分は冬鳥として湖沼,河川,内湾等にする。 ■ミサゴ 秋季と冬季に相模川で確認した。 本種は、全国の海岸,河口,大きな湖沼等にすみ、魚を捕食する。相模川は採餌場とし て利用しているようである。 ■オオタカ ほぼ年間を通じて単発的に出現がみられ、秋季と冬季には相模川でたびたび確認した。 本種は、主に鳥類を捕食する猛禽類で、樹林で繁殖するが秋冬には農耕地や河川にも出 現する。調査では繁殖行動は確認されなかったが、聞き取りにより市域で繁殖していると の情報が得られた。 ■ハヤブサ 秋季に境川で確認した。 本種は、鳥類を捕食する猛禽類で、主に海岸の断崖で繁殖する。冬は全国の海岸,河口, 湖沼畔,原野等、開けた場所にすむ。近年は都市部での繁殖例も報告されている。 ■チョウゲンボウ 秋季と冬季に市域で散発的に確認した。 本種は、断崖で繁殖し、冬は全国の草地,河口,川岸,農耕地等にみられる。 ■コアジサシ 春季に相模川で確認した。 本種は、夏鳥として渡来し、海岸の砂浜,埋立地,川の中州等に巣を作り、海岸,川, 湖沼,濠等で餌をとる。 ■ヤマセミ 春季と夏季に相模川で確認した。 本種は、山麓から山地の渓流に留鳥としてすんで魚を捕食し、断崖に巣穴を開けて営巣 する。 ■カワセミ 全調査季に相模川や市域の小河川で確認した。 本種は、全国の平地から山地の池,湖沼,川等に留鳥としてすみ、魚類を捕食する。 [地域レベル] ■ゴイサギ 春∼秋季に相模川のほか小河川や沈殿池で確認した。 本種は留鳥で、川や池で魚類を捕食する。 ■ササゴイ 夏季に相模川付近の水路で確認した。 本種は、夏鳥として渡来し、川や水田で魚をとる。 ■ダイサギ 年間通じて相模川で確認した。 本種は、水田,川岸,湖沼,干潟等にすみ、水の中をゆっくり歩いて餌を探す。 ■コサギ 全調査季に相模川や小河川,水田で確認し、比較的普通にみられる種であった。 本種は留鳥で、水田,湿地,川,湖沼,干潟等で餌をとる。 ■オシドリ 春季に相模川で確認した。また、冬季は注目種には該当しないが、沈殿池で200羽以上も の生息を確認した。 本種は、山間の渓流にいることが多いが、林に囲まれた池や湖にもいる。巣は地上では なく、樹洞に作る。 ■トビ 全調査季に相模川で確認し、比較的普通にみられる種であった。 本種は留鳥で、とくに海岸や湖沼近く,市街地に多く生息する。 ■コチドリ 夏季に相模原沈殿池近くの耕作地で確認した。 本種は主に夏鳥として、河原,砂浜,干拓地に渡来する。 ■イカルチドリ 年間通じて相模原の川原で確認した。 本種は留鳥で、川の中流より上の川原にすむ。 ■キアシシギ 春季と夏季補足調査時に相模川で確認した。 本種は旅鳥として、干潟,入り江,海岸の岩場,川原,中州等に渡来する種で、渡り途 中の個体を確認した。 ■クサシギ 秋季に相模川で確認した。 本種は旅鳥または冬鳥として渡来し、水田,川原,湿地等にすむ。 ■イソシギ 年間通じて主に相模川で確認した。 本種は留鳥として、川原や湖沼畔の草地で繁殖し、秋冬には海岸の岩場や防波堤等にも いる。 ■タシギ 春季に相模川で確認した。 本種は、冬鳥または旅鳥として水田,蓮田,湿地,川原等に渡来し、日中はじっとして いて夕方から活動する。 ■ヒバリ 全調査季に、相模川や市域広範囲の耕作地で確認し、比較的普通にみられる種であった。 本種は留鳥で、平地から山地の草原,畑,川原等にすむ。 ■オオヨシキリ 春季に相模川の草地で確認した。 本種は夏鳥として、海岸,河口,川岸,湖沼畔の広いアシ原に渡来する。 ■セッカ 春∼夏季に相模川で多数確認し、比較的普通にみられる種であった。 本種は留鳥で、本州以南の低地から山地の草原で繁殖する。 ■ニュウナイスズメ 秋季に相模川で確認した。 本種は、積雪の多い地方で繁殖し、秋冬は温暖地の農耕地や川原に群ですむが、局所的。
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