社会情報流通基盤 研究センターが目指すもの 東京工業大学 像情報工学研究所 社会情報流通基盤研究センター 大 山 永 昭 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 1 東工大ソリューション研究機構 • 東工大統合研究院(旧研究所群)内にH22より設置 • 理念 – 近い将来に実現すべき社会・産業課題を設定し、学内外と広く連携 して取り組む組織的研究 参考 ソリューション研究: 社会的・経済的価値の創出 ディシプリン研究(従来の研究): 学術的価値の創出 • 研究課題等 – AEM ( Advanced Energy Management ) センター – ASISTセンター ⇒ 社会情報流通基盤研究センター – グリーンICEイニシアティブ – 原子燃料サイクル C Copyright 東京工業大学 大山永昭 2 社会情報流通基盤研究センター • センターの設置目的 – ICT技術を活用して社会的な課題解決を図るソリューション研究の 実施 ⇒ 政策提言を行う意味をこめてセンターの英文名をASIST (Advanced research center for Social Information Science and Technology)と命名 • 研究理念 – 行政機関や医療機関等が管理している個人情報を、本人が自ら必 要に応じて取得・確認・利活用できる安全確実な社会情報流通基盤 を整備すること ⇒ 究極は、正当な人が、安全な機器で、正しいコ ンテンツにアクセスできる技術的な手段を研究開発し、その実現を 図ること – この情報流通基盤を用いて、例えば行政のワンストップサービスや 生涯に渡る個人健康管理を実現し、その効果を明確にすること C Copyright 東京工業大学 大山永昭 3 社会情報流通基盤研究センター • 研究組織と研究課題 – 社会情報流通基盤システム研究部門 • 新番号制度(税・社会保障の共通番号、利用番号と連携番号) • JPKI、HPKI、マイポータル(電子私書箱) 等 – 電子行政システムケア工学研究部門 • 霞ヶ関、自治体のクラウド対応 ⇒ 政府情報システムの改革 • 情報システムの政府調達 ⇒ ガイドライン等への反映 • 年金・特許システムの刷新支援 等 – 個人健康管理システム研究グループ • レセプトのオンライン化、EHR、服薬情報システム • (DBマイニングによる)新たな知見の獲得 C 等 Copyright 東京工業大学 大山永昭 4 共通番号と国民ID • 平成23年1月31日、政府・与党社会保障改革検討本部により “社会保 障・税に関わる番号制度についての基本方針―主権者たる国民の視点 に立った番号制度の構築―”が決定・公表された • 共通番号の利用シーンを考えると、共通番号は民-民-官で利用される ため、見える番号になる ⇒ 民は共通番号を使ったDBを作成できると 思われる。しかし、個人情報保護の必要性や社会の受容性等を勘案する と、利用範囲は限定される ⇒ 個人情報保護WGの設置 • 国民IDの機能は、異なる行政分野等をまたがる情報連携を可能とするこ とから、連携番号になる。そして、秘匿される番号と想定 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 5 番号制度に必要な3つの仕組み • 基本方針には、新たな番号制度に必要な3つの仕組みが明記されている • 3つの仕組みは、① 付番、② 情報連携、③ 本人確認である ① 付番 – 新たに国民一人ひとりに唯一無二の民-民-官で利用可能な見える番号を 最新の住所情報と関連づけて付番する仕組み ② 情報連携 – 複数の機関において、それぞれの機関ごとに「番号」やそれ以外の番号を付 して管理している同一人の情報を紐付けし、紐付けられた情報を相互に活用 する仕組み ⇒ リンクコードとIDコードを用いる情報連携基盤を例示 ③ 本人確認 – 個人や法人が「番号」を利用する際、利用者が「番号」の持ち主本人であるこ とを証明するための本人確認(公的認証)の仕組み C Copyright 東京工業大学 大山永昭 6 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 7 情報連携と情報共有 • 概念の定義 – 情報連携は、異なる組織が個人の異なる(独立した)属性情報を 集約すること – 情報共有は、異なる複数の組織が共有すべき(法令等に基づくな ど合理的な理由があることに立脚)個人の属性情報を、現実の手 続きのフローにおいて、一時的に、一部の組織にのみ存在する場 合において、その情報を共有できる状況に変えること • 例外 – 統計業務等の法定業務は、個人特定を要さないので、情報連携 や情報共有の範疇外 – 捜査等、ログ記録を行わない業務は除外 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 8 情報連携と情報共有 • 具体的な例 – eTaxとelTax(紙の手続きを含む)では、確定申告者は国税庁に対して行うだ けでなく、申告書が複数枚になっており、その一部は地方税向けの申告書に なっている。したがって、この事務フローにおけるeTaxとelTaxの連携は見かけ であり、実は独立している ⇒ 情報連携、情報共有のどちらにも当たらない – 源泉徴収等、納税業務の一部は、国税庁以外の組織が代行している場合が ある。この例では、代行組織から国税庁に提出される所得等の情報は、本来、 国税庁に直接提供されるものの代行であるため、情報共有に当たる – 申請・申告等に要する添付書類を削減する場合は、情報連携に当たる • 情報連携は、情報連携基盤を利用して行われるのに対し、情報共有は、 他の手段を用いて行うことが出来る ⇒ 現状との整合性が確保される C Copyright 東京工業大学 大山永昭 9 情報連携と情報共有 • 法定手続きであり、転居や本人からの申請・申告等のイベン ト発生に基づかない情報連携業務があるのかを明確にする – もしなければ、バックオフィス連携でリンクコード等を用いるのは、本 人の申請・申告等に基づく手続きのみとなり、ワンストップサービスの 実現プロセスとして検討すべき課題と整理 – 何らかの事務処理がある場合には、その頻度、連携すべき情報量等 を示すユースケースとして検討し、情報連携基盤システムの最適設 計に反映させる C Copyright 東京工業大学 大山永昭 10 情報連携基盤の基本機能 • 基本機能は、①異なる利用番号間の変換を行う番号連携機能、②個 人の属性情報の連携に関するログの記録管理とアクセスコントロール • 番号連携機能 – 各情報保有機関は、内部管理番号を用いている ⇒ 分野別個人番号 – 分野別個人番号を一人ひとりに紐付けるには、当該個人を特定するため の何らかの情報が必要 ⇒ IDコード – IDコードは、情報基盤内でのみ用いられる秘匿された情報 ⇒ 数字でなくても良い – IDコードは、住民票コードと1対1対応 – 各情報保有機関はIDコードを直接参照しない、かつ分野を跨る個人情報 のマッチングを不可能にする ⇒ リンクコード C Copyright 東京工業大学 大山永昭 11 情報連携基盤の基本機能 • ログの記録管理とアクセスコントロール – 情報連携基盤を利用する全ての法定手続きをコード化する – 手続きの種別を表わす「手続き種別番号」、各手続きにおけるイベン トを特定するための「手続きシリアル番号」、各イベントの進行順序 を表わす「手続きシーケンス番号」等を識別子として記録 – 個人の属性情報の実体は、各情報保有機関に問い合わせ – ログに関するフォーマットを規定することで、記録容量の削減を図る ⇒ Business Process Flow Coding が必要となる – コーディングされた手続きのみ、情報連携基盤へアクセス許可 – 記録されるログを確認するためのブラウザー機能、自然言語への翻 訳手法を検討 ⇒ マイポータルの機能検討へ C Copyright 東京工業大学 大山永昭 12 マイポータルについて • 情報連携基盤に記録されるログの確認を可能にする • ログはコーディングされている(Business Process Flow Coding) • 利用者が分かる言葉に翻訳する機能が必要(ブラウザー機能に特化す るか?翻訳機能を持つかは要検討) • コーディングのフォーマットは、拡張性を考えると標準化すべき • 個人利用者のログインを厳格に行うため、JPKIの認証機能を利用 • JPKI電子署名による個人フォルダー(アカウント)の開設、利用、閉鎖な どの機能を実現 • より簡便な利用を可能とするために、ID・パスワードによるログイン等の 認証連携が必要 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 13 新たな番号制度導入に関する重要課題 • 番号導入の自己目的化の回避 – 訴求力のある導入効果の実現とセットで推進すべき • 直接・間接メリットの明確化 ← 何が変わるの? – 利用者に直接見えるのは、共通番号が記載された(?)ICカード ⇒ 何ができるの? – ICカードは自宅で使えることに加えて、使える場所を増やすことが 重要 ← 何処で使えるの? – 利用シーンごとのメリットを明確化 ⇒ 社会保障分野を重点的 に! C Copyright 東京工業大学 大山永昭 14 新たな番号制度導入に関する重要課題 • 利用番号との確実な紐付け – 年金納付記録や医療費等、本人属性情報と確実な紐付 け ⇒ 大変な作業になると予想 – 紐付けができれば、本人情報の確認、訂正請求等が可 能になる ⇒ 居所と住民票登録住所等の違いがある 方々の協力が不可欠 – 社会保険事務所、医療機関、自治体の窓口等で、ICカー ドを利用 ⇒ 正確な紐付けに大きく貢献 C Copyright 東京工業大学 大山永昭 15 まとめ • ASISTは、基盤、電子行政、社会保障分野の課 題解決に向けた研究・開発を産官学の連携で実 施 • ホットなトピックスを今日のシンポジウムで発表 • 研究成果の社会実装に向けた協働をお願い C Copyright 東京工業大学 大山永昭 16
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