王子製紙株式会社による公開買付けの反対に関するお知らせ

平成 18 年 8 月 9 日
各
位
会
社
名
北越製紙株式会社
代
表
者
代表取締役社長
三輪
(コード番号:3865 東証1部
問 合 せ 先
正明
大証1部)
常務取締役
企画財務部・情報システム部担当
鈴木
電
正晃
03-3245-4579
話
王子製紙株式会社による公開買付けの反対に関するお知らせ
当社は、平成 18 年 8 月 2 日開催の取締役会において、王子製紙株式会社(以下「王子製
紙」といいます)による当社株券に係る公開買付け(以下「本公開買付け」といいます)
について反対の意見を表明することを決議いたしましたが、本日開催の取締役会において、
下記 2 に掲げる点を理由に、改めて本公開買付けについて反対の意見を表明することを決
議いたしましたので、お知らせいたします。株主の皆様におかれましては、本公開買付け
には応募なさらないようお願い申し上げます。
記
1.公開買付者の概要
(1) 商
号
(2) 主 な 事 業 内 容
王子製紙株式会社
紙・パルプの製造・販売、熱加工品及び包装用資材等
の製造・販売、造林・緑化事業、その他不動産販売・
賃貸等
(3) 設 立 年 月 日
昭和 24 年 8 月 1 日
(4) 本 店 所 在 地
東京都中央区銀座四丁目 7 番 5 号
(5) 代
者
代表取締役社長
額
103,880 百万円(平成 18 年 3 月 31 日現在)
(6) 資
表
本
の
篠田
和久
(7) 大 株 主 構 成 及 び 持 株 比 率(平成 18 年 3 月 31 日現在)
日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)
1
64,951 千株
6.1%
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口) 48,669 千株
4.6%
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口 4) 32,985 千株
3.1%
㈱三井住友銀行
31,668 千株
3.0%
㈱みずほコーポレート銀行
28,498 千株
2.7%
(8) 当 社 と の 関 係
資本関係
王子製紙は、当社株式 1,045 株を所有しています。ま
た、日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(住友信託銀
行再信託分・王子製紙㈱退職給付信託口)が当社株式
5,614 千株を所有しています。
人的関係
該当事項はありません。
取引関係
感熱記録紙の生産委託(平成 18 年 3 月期の取引高で 13
百万円)
2.本公開買付けに関する意見の内容及び理由
当社は、本年 8 月 2 日開催の取締役会決議に基づき、王子製紙による本公開買付けに反
対する旨の意見を表明いたしました。当社は、8 月 2 日に提出した意見表明報告書に記載の
理由に加え、本日、以下の理由により、改めて本公開買付けに反対する旨の意見を表明い
たします。株主の皆様におかれましては、本公開買付けには応募なさらないようお願い申
し上げます。
(1) 本公開買付けに対する反対の意見表明に至る経緯
当社は、本年 2 月から、王子製紙より非公式に経営統合についての打診を繰り返し受
けておりました。7 月 3 日、かかる非公式な打診の一環として、王子製紙から当社に対し
て、取締役会決議を経ることなく、経営統合に関する打診(以下「本件打診」といいま
す)がなされました。当社は、これを真摯に検討してまいりましたが、王子製紙は、本
件打診において自ら定めた 7 月 24 日の回答期限を俟たず、7 月 23 日に取締役会決議を
経たものとして「北越製紙株式会社に対する経営統合提案に関するお知らせ」を一方的
に公表し、当社が 7 月 21 日に公表した三菱商事株式会社(以下「三菱商事」といいます)
に対する第三者割当増資(以下「本件増資」といいます)及び業務提携(以下「本件業
務提携」といいます)の撤回を条件に当社との経営統合の実現を目指す旨(以下「本条
件付統合提案」といいます)を公表いたしました。
当社が本件増資により調達した資金は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確
保・向上のために必要な当社新潟工場の塗工紙生産設備増設その他当社新潟工場を中心
とした設備投資に充当するものであります。また、当社は、三菱商事との本件業務提携
により、同社の有する国際的な信用力と取引基盤を活用することで、当社の更なる成長
2
につながるものと確信しており、7 月 24 日、本件増資及び本件業務提携を撤回する意思
がない旨公表しました。王子製紙は、三菱商事及び当社の本件増資及び本件業務提携に
関する意思確認を一切行わずに本条件付統合提案を行ったため、いたずらに株式市場を
混乱させ、また、当社株式の株価を乱高下させる結果となりました。
当社は、本条件付統合提案後も、王子製紙との間で、当社の企業価値、ひいては株主
共同の利益の確保・向上に資するあらゆる可能性を真摯に検討してまいりました。当社
は、7 月 19 日に当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)
(以下「本買収防
衛策」といいます)を導入しておりますが、王子製紙に対しても、当社に対して正式な
経営統合提案を行うのであれば、本買収防衛策にしたがって、株主の皆様のご判断の前
提となる情報の提供を行うことを要請し、当社は、2 度にわたり、王子製紙の経営統合提
案の内容について質問書を送付いたしました。7 月 25 日には王子製紙から要請された広
範な秘密保持誓約書を提出して資料を受領するとともに、当社からも国内外のスクラッ
プ&ビルドに関する資料を提供しております。その後、7月 28 日には、王子製紙からの
申し入れにより王子製紙と当社の間でトップ会談が行われ、王子製紙から当社による本
件増資及び本件業務提携の見直しと公開買付けの凍結が提案されましたが、この提案は、
本条件付統合提案において公開買付け開始の条件としていた本件増資及び本件業務提携
の見直しを、公開買付け凍結の条件とするものであり、本条件付統合提案と真っ向から
矛盾するものでありました。加えて、7 月 29 日の土曜日には、王子製紙から二度目のさ
らに広範な秘密保持誓約書の差入れを条件に当社の追加質問に回答をすることを約束す
る書簡を受け取ったことから、当社としては、王子製紙の要請に従い当該秘密保持誓約
書についても差入れを行い、王子製紙から追加質問に対する回答を週明け早々に受領す
るための準備を進めておりました。しかしながら、王子製紙は、週明け早々の 8 月 1 日
に、突如、態度を翻し、
「公開買付けに関するお知らせ」を公表し、8 月 2 日から、本買
収防衛策に定める手続きを踏むことなく本公開買付けを開始しました。
当社は、8 月 2 日に、①本公開買付けの内容に記載された統合メリットはいずれも王子
製紙にとっての一方的なメリットにすぎず、当社自体の企業価値にとっていかなる利益
を与えるのかについて十分な説明がなされていないこと及び当社労働組合の賛同を得な
い本公開買付けによる経営統合がなされた場合には、当社の従業員の離職・労働意欲の
低下等が懸念され、その場合には、著しい生産効率の低下は免れず、当社の企業価値を
毀損するおそれがあること、②本公開買付けが、当社の要請にもかかわらず、本買収防
衛策を無視して、一方的に強行されたものであり、当社の企業価値・株主共同の利益を
損なう危険性が高いものと考えられることを理由に本公開買付けに反対する旨の意見を
表明しておりますが、本日、改めて、本公開買付けは当社の企業価値、ひいては株主共
同の利益を毀損するものと判断し、当社取締役会において改めて本公開買付けに反対す
ることを決議いたしました。
3
(2) 本公開買付けが当社の定める本買収防衛策に定める手続きを無視して十分な検討期
間の確保及び情報の提供なくしてなされたものであること
本年 8 月 2 日に公表した意見表明報告書に記載したとおり、本買収防衛策においては、
当社株式につき、買付者とその特別関係者の株券等所有割合の合計が 20%以上となる公
開買付けを行う際には、株主の皆様において当該公開買付けが真に当社の企業価値・株
主共同の利益を確保、向上させるものか否かをご判断いただけますよう、検討の時間や
提供される情報が十分であることのほか、独立委員会による客観的な検討の機会が確保
されるべきことなどの一定の要件を満たすことを要求しております。しかるに、本公開
買付けは、当社の要請にもかかわらず、本買収防衛策を無視して、一方的に強行された
ものであり、そもそもかかる公開買付けが許されるならば当社の企業価値・株主共同の
利益を損なうと考えられます。
これに対して、王子製紙は、8 月 1 日付けで公表した「公開買付けに関するお知らせ」
において、同社が本買収防衛策に従わなければならない法的根拠はいささかもないと考
えている旨公表しておりますが、本買収防衛策は、経済産業省・法務省の定める企業価
値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針に完全に準拠した
適正かつ適法なものであり、しかも、既に導入されている大多数の会社の買収防衛策と
も同様の内容を有するものです。また、王子製紙が取締役会決議を経て 7 月 23 日に行っ
た条件付統合提案及び本公開買付けを行ったのは、当社の本買収防衛策導入後でありま
す。さらに、これまでに王子製紙により開示された情報は、前述の 7 月 29 日の王子製紙
からの書簡にて同社自身が認めるとおり、当社と王子製紙との経営統合という重要事項
を決定するにあたっては、未だ不十分なものにとどまります。したがいまして、当社と
しては、王子製紙が本買収防衛策を無視したうえ、これに従うことなく本公開買付けを
行ったことについては極めて遺憾であるといわざるを得ません。当社独立委員会は、王
子製紙による本公開買付けについて、本買収防衛策に定める手続きを無視して一方的に
本公開買付けを開始したことについて遺憾の意を表明したうえで、8 月 8 日に対抗措置発
動の勧告を行っておりますが、当社取締役会は、今後、当社独立委員会の判断を最大限
尊重し、対抗措置発動の必要性、対抗措置発動の当社または当社株主等に与える影響そ
の他諸般の事情を考慮の上、対抗措置発動の要否、発動の時期等について適切に判断し
てまいります。
(3) 本公開買付けが当社の企業価値向上に資するものではないこと
王子製紙による本公開買付けに係る公開買付届出書の「買付け等の目的」に記載され
た経営統合のメリット(以下「本公開買付けの内容」といいます)は、いずれも王子製
紙にとってのシナジー効果が一方的に示されているに過ぎず、当社と王子製紙との経営
統合が、当社自体の企業価値にいかなる影響を与えるのかについては十分な説明がなさ
れていません。当社は、これまでもシェア拡大よりも効率性を重視し、成長商品に特化
4
して自立的な成長と互恵精神に基づく他社との事業提携により、高い利益率を維持し、
企業価値の向上に努めてまいりました。このような当社の考えは、総合メーカーを志向
し、規模拡大と市場プレゼンスを重視して他社との統合をテコにしたリストラクチャリ
ングを推進してきた王子製紙とはそもそも根本的に異なるものであり、王子製紙による
本公開買付けは当社の企業価値向上に資するものではありません。
(ア)会社を跨いだスクラップ&ビルドについて
王子製紙は、本公開買付けの内容において、同社の小型老朽設備のスクラップと当社
新潟工場への集約を同時に実行し、コスト競争力を強化するという、会社を跨いだスク
ラップ&ビルドを掲げております。
しかしながら、そもそも当社新潟工場は、業界随一の高い生産効率を誇っており、当
社新潟工場の 1 人あたり生産量は平成 17 年暦年において 1,880tであり、洋紙大手 5 社
の各工場における 1 人あたり生産量の 1.5 倍以上の高い生産性を誇っております。また、
当社は、三菱商事による本件増資により調達した資金で、更なる設備投資を行い、これ
まで以上に高い生産効率を実現することとしております。また、製紙業界においては、
日本製紙(平成 18 年 5 月 10 日)及び大王製紙(平成 17 年 6 月 20 日)がいずれも自社
でのスクラップ&ビルドの方針を公表していることからも明らかなように、スクラップ
&ビルドによるコスト削減は、企業統合によらずとも各社の自助努力により達成しうる
ものであります。当社は、5 月 18 日に発表したとおり、日本発の国際的なスクラップ&
ビルドを単独で成し遂げる予定であり、王子製紙と統合してスクラップ&ビルドを行う
必要はありません。
したがいまして、王子製紙による本公開買付けの内容は、単に当社の高い生産効率に
よる利益を王子製紙が一方的に享受しようというものに他ならず、当社にとっては何ら
企業価値向上に資するものではございません。
(イ)従業員政策について
当社は、労使の相互信頼関係を重視し、従業員との日常の意思疎通を通じて製造現場
の創意工夫を促すとともに、従業員の意見を経営に積極的に取り入れております。これ
により、当社の従業員は極めて高い労働意欲と高い生産性を保ってまいりました。当社
労働組合は、8 月 2 日に王子製紙による経営統合提案及び本公開買付けについていずれも
反対する旨の声明を公表しております。当社労働組合の賛同を得ないまま本公開買付け
に基づく経営統合が行われた場合には、当社の従業員の離職・労働意欲の著しい低下等
が懸念され、その場合には、生産効率の著しい低下は免れないものと考えております。
王子製紙の本公開買付けの内容は、当社がこれまで自主・独立を標榜し、地域に密着
して従業員・労働組合とともに企業価値を高めてきたという事実及び企業風土を完全に
無視したものです。
5
(ウ)生産・販売体制の最適化について
当社新潟工場は、印刷・情報用紙の約 60%の需要のある首都圏からも近く、当社の生
産・販売体制は同業他社と比較しましても非常に効率的なものです。当社はこのような
理想的な生産拠点の配置により、顧客ニーズに合わせた機動的な生産、きめ細かな顧客
サポート、物流コストの削減を実現してまいりました。
本公開買付けの内容では、生産・販売体制の最適化の実現が掲げられておりますが、
本公開買付けの内容における生産・販売体制の最適化とは、首都圏から遠隔地(富岡、
米子等)に所在する王子製紙の生産を当社新潟工場に集約するということにすぎず、当
社にとっては何ら企業価値向上に資するものではございません。
(エ)原燃料コスト削減等の取り組みについて
本公開買付けの内容においては、原燃料コストの削減等のメリットが掲げられており
ますが、当社は、これまでも燃料転換、薬品自製化などを行い、原燃料コストの削減に
努めてまいりました。現に、平成 12 年 7 月から平成 17 年 7 月までの間に行った三菱製
紙との包括的業務提携においては、独立した企業間の互恵精神に基づく提携によって、
年間約 55 億円にも上る十分なコスト削減効果等を実現いたしました。また、今後は、三
菱商事との本件業務提携により、同社の世界的な原材料調達ネットワークを利用して安
定的にコスト競争力のある製紙原料を調達してまいります。さらに、製品販売において
も、三菱商事の国際的なネットワークを生かし、海外市場への輸出・販売を推進すると
同時に、国内においても同社の関係会社との協業体制を検討してまいります。
(オ)事業規模拡大に伴うリスクについて
本公開買付けの内容では、事業規模の拡大に伴う一般的なメリットが掲げられていま
すが、他方で、事業規模の拡大に伴うリスクについては適切な分析がなされているとい
えません。
紙製品の品種や顧客の需要が多様化した現在の業界動向に鑑みれば、当社をはじめと
する日本の製紙業者にとっては、市場動向・顧客動向を適時適切に捉えた生産・販売施
策をとり、高い品質の製品を迅速・機動的に供給することが必要であり、実際、当社は
かかる高品質製品の機動的な供給を実現してまいりました。しかしながら、十分な品質
対策を講じることなくして規模拡大を追求した場合には、かえって適時適切に高い品質
の製品を迅速・機動的に供給するという当社の強みが失われることになります。
また、8 月 8 日、全国印刷業者 13,000 社の加盟団体である日本印刷産業連合会が、本
公開買付けについて、ユーザーの意見を無視し、商品を寡占化して利益を得ようとする
ものであるとして反対声明を公表しております。紙・パルプ製品を複数のメーカーから
調達する方針を採用しているユーザーにとっては、仮に当社と王子製紙が経営統合した
6
場合には、調達先の選択肢が狭まることとなり、ひいては複数のユーザーが当社から離
反するものと考えられます。このように、仮に本公開買付けによる経営統合が実現した
場合には、当社の強みである、ユーザーとの長期的な信頼関係が損なわれることになり
ます。
さらに、王子製紙による本公開買付けは独占禁止法上の問題もあります。独占禁止法
上の問題が生じうる公開買付けを行うに当たっては、公正取引委員会に対して事前相談
を行い、独占禁止法上問題がない旨の回答を得るか、あるいは問題がある場合には対応
策を十分に検討した上で公開買付けを開始すべきであり、そのことは公開買付者の当然
の責務であるといえます。しかるに、王子製紙は、公正取引委員会の結論を待つことな
く、本公開買付けを開始したものであり、王子製紙及び当社のシェアに鑑みれば、当社
の主力製品である塗工紙、白板紙等について公正取引委員会による排除措置が命じられ、
当社の利益が大きく損なわれることになると考えられます。
(カ)地域社会へのメリットに関する具体的提案の欠如
本公開買付けの内容においては、王子製紙は新潟工場の増設計画を積極的に支援する
ことで雇用の安定と地域への貢献を行うことが掲げられております。これは元来当社が
単独で実行可能なものであり、王子製紙との統合により地域社会に新たな貢献をもたら
すものではありません。
当社は、地域社会との共生、地域社会から信頼される会社となることを企業理念に掲
げ、地元企業として長年にわたり戦後復興、文化設備の創設、北越製紙明星学園の設立、
災害復興支援、文化講演会の後援等地域社会から信頼される企業となるべく努力を続け
てまいりました。当社のこのような取り組みについては地域社会の皆様にもご理解をい
ただいており、現に、王子製紙による本公開買付けの内容が公表されて以降、地域住民
の皆様、地方自治体の関係者の皆様から、今後も当社が自主独立経営を継続していくこ
とを望む多数の声がよせられております。
(キ)王子製紙の中国事業に関する記述の不存在
本公開買付けの内容においては、王子製紙が日本市場と一体であると主張する東アジ
ア市場に関する事業計画については一切述べられていません。王子製紙の 7 月 31 日付の
プレスリリースによれば、同社の中国事業に対する投資額は 19 億米ドル(日本円で約
2200 億円)に上るとされております。本公開買付けの内容において、連結経営上極めて
大きな影響を持つ中国事業に関するリスクについて適切な説明がなされていないのは極
めて不自然であり、本公開買付けにより当社が王子製紙と経営統合すれば、採算が極め
て不透明な王子製紙の中国事業のリスクに当社がさらされることになります。
(ク)新潟工場のみに焦点をあてた不明確な提案
7
本公開買付けの内容においては、王子製紙は、当社の長岡工場及び関東工場(市川工
務部、勝田工務部)について全く言及していません。
しかしながら、当社関東工場は白板紙の重要な生産拠点であり、長岡工場も利益率の
高い優良工場であって、いずれも当社の利益の貴重な源泉であります。
本公開買付けにおいて、これらの各工場に関する王子製紙の考えが何ら言及されてい
ないのは、一企業全体に対する経営統合提案としては極めて不明確、不確実な要素を含
むものであるといわざるをえません。
(ケ)王子製紙の紙・パルプ業界の現況に関する認識について
本公開買付けの内容においては、経営統合の必要性として、東アジア市場の興隆と国
内市場との一体化、すなわち、東アジアの印刷・情報用紙市場の急成長を背景に、東ア
ジア市場、さらには世界市場において、存在感のある紙・パルプメーカーとして活動し、
持続的に企業価値・株主価値の向上を実現するためには、経営統合等による更なる業界
再編によって効率性を高めつつ規模の拡大を図ることが不可避になる点が、掲げられて
います。また、王子製紙による本条件付経営統合提案の参考資料においては、印刷・情
報用紙の分野では直近 2~3 年の間に輸入紙が急激に増加しているということが紙・パル
プ業界の現況として記載され、経営統合の必要性の一つの理由として掲げられています。
しかしながら、日本製紙連合会の公表資料 1 によれば、2004 年を境に、塗工印刷用紙に
おける輸入紙のシェアは減少傾向にあり、印刷・情報用紙の分野では直近 2~3 年の間に
輸入紙が急激に増加しているとの王子製紙の指摘は必ずしも正しくなく、輸入紙の急激
な増加を経営統合の理由とすることは不適切であると考えられます。
(4) 本公開買付けの内容の定量的なリスク要因
上記(3)で述べた本公開買付けの内容に鑑み、本公開買付けの内容の定量的なリスク
要因を N9 が本格稼動(稼働率 60%を想定)する 2009 年度についてみると、例えば算定
可能なものだけでも、当社と王子製紙との間でスクラップ&ビルドを実施することによる
減産、独占禁止法に基づく事業売却/生産調整等、従業員の士気低下等による生産性低下、
ユーザーからのシェア調整リスク、物流コスト削減策による顧客喪失リスクの合計で約
134~179 億円のマイナスとなることが想定されます。
(5) 王子製紙の公開買い付け価格に関する見解及び当社の自主独立経営による企業価値
の向上
本公開買付けの内容における一株 800 円という公開買付価格の設定に関しましては、
王子製紙によりその前提及び算定過程が必ずしも明確に示されておりませんが、当社は、
1
日本製紙連合会
紙・板紙統計年報による。
8
当社の成長戦略の核である N9 の本格稼動による効果が意図的に無視されている点が最
も重要な問題点であると考えております。
結果として、王子製紙による公開買付価格の正当化は、主に過去5期平均の財務数値、
及び今期・来期のアナリストによる業績予測値のみに基づくマルチプルを参照すること
でなされており、当社の掲げる中長期的な戦略を反映した株主価値の向上という観点が
全く視野に入っておりません。当社は、2008 年度に稼働開始が予定されている N9 によ
る増産を成長の柱と位置づけており、従って、当社の株式価値評価は N9 計画を織り込ん
だ数値によってなされるべきだと考えております。
現在の当社事業計画では、2010 年度(N9 稼働率 85%を想定)には EBITDA348 億円
という高い利益水準となることを想定しております。当社は、今期及び来期は中期経営
計画である「J-100 計画」の達成に邁進するとともに、2009 年度以後は新たな成長ステ
ージに入るものと考えております。N9 フル稼働時(2011 年以降)には、三菱商事との
提携を通じたコスト削減等の実現により、更なる利益の実現が見込まれます。
(6) 最後に
以上のとおり、本公開買付けは、その手続・内容のいずれにおいても当社の企業価値
ひいては株主共同の利益を著しく毀損するものです。当社は、今後とも、製品の選択と
集中、業界トップの高い生産性、独自の技術、同業他社を凌駕する収益力、理想的な製
造・物流拠点、高い財務安定性、高マージンを実現する営業販売体制といった、自主独
立の経営体制、従業員の高いモチベーションに裏打ちされた当社の強みを生かして、更
なる成長を遂げる所存です。当社は、2010 年度には時価総額 2,800 億円以上を目指す方
針であり、当社の潜在的な一株あたりの株式価値は王子製紙の提示する 800 円を大幅に
超えるものと考えられ、王子製紙の提示する当社の直近 1 ヶ月終値平均株価に対するプ
レミアム(23%)は十分なものではないと考えられます。したがいまして、株主の皆様に
おかれましては、当社の自主独立経営による極めて高い生産性、中長期的視点による効
率的な経営、地域社会への貢献等にご理解をいただき、今後とも、当社の自主独立路線
についてご支援をいただくべく本公開買付けには応募なさらないようお願い申し上げま
す。
当社は、創業以来約 100 年間にわたり、自主独立の経営体制の下、労使が一体となっ
た効率経営と地域との共生を通じた中長期的な株主価値の向上を目標に経営にあたって
まいりました。今後とも、当社は、当社新潟工場における塗工紙生産設備の増設(N9 計
画)を推進し自主独立経営により新たな成長を遂げてまいります。
(ご参考)
本公開買付けの概要
9
(1) 買付けを行う株券等種類
普通株式
(2) 公開買付期間
平成 18 年 8 月 2 日(水曜日)から
平成 18 年 9 月 4 日(月曜日)まで
(3) 買付価格
1 株につき 800 円。但し、公開買付期間中に当社が 7
月 21 日付けで決議した三菱商事株式会社に対する第
三者割当増資(以下「本件増資」といいます。
)および
同社との業務提携(以下「本件業務提携」といいます。)
が撤回され、かつ、その他に本公開買付けの条件に影
響を及ぼす特段の事情が生じていない場合には、1 株
につき 860 円とする予定です。
(4) 買付価格の算定の基礎
平成 18 年 7 月 3 日に先立つ、当社の東京証券取引所における同年 6 月 1 日から同
月 30 日までの1か月間の終値平均株価に対して約 34%のプレミアムを加えた価格
(1 株あたり 860 円)を基礎とし、これに、本件増資および本件業務提携の影響を
勘案して決定したものです。1 株あたり 800 円の本公開買付価格は、当社の東京証
券取引所における同年 6 月 1 日から同月 30 日までの1か月の終値平均株価に対し
て約 24%の、平成 18 年 7 月 23 日の直近1か月(同年 6 月 22 日から同年 7 月 21
日まで)の当社の普通株式の東京証券取引所における終値平均株価との比較では
約 23%のプレミアムとなります。平成 18 年 7 月 21 日の東京証券取引所における
当社の普通株式の終値 635 円に対しては約 26%のプレミアムとなります。
(5) 買付予定株式数
買付予定株式数
(注1)
100,818,239 株
買付予定数は、当社が平成 18 年 6 月 28 日に提出した第 168 期有価証
券報告書に記載された平成 18 年 6 月 28 日現在の発行済株式総数
(164,052,054 株)に、本件増資による増加株式数 50,000,000 株を加え、
当社の自己株式の数 1,187,576 株(平成 18 年 3 月 31 日現在)を控除し
て得られる株式数(212,864,478 株)の 50%から、日本トラスティ・サ
ービス信託銀行㈱(住友信託銀行再信託分・王子製紙㈱退職給付信託
口)の所有する株式数 5,614,000 株を控除した株式数です。
(注2)
応募株券の総数が買付予定数に満たない場合は、応募株券の全部の買
付けを行いません。応募株券の総数が買付予定数以上の場合は、応募
株券の全部の買付けを行います。
(注3)
当社が本件増資および本件業務提携を撤回し、かつ、その他に本公開
10
買付けの条件に影響を及ぼす特段の事情が生じていない場合には、買
付予定数を、本件増資が行われないという前提で再計算した数字に引
き下げる予定です。具体的には、当社の発行済株式総数から当社の自
己株式の数を控除して得られる株式数の 50%から、日本トラスティ・
サービス信託銀行㈱(住友信託銀行再信託分・王子製紙㈱退職給付信
託口)の所有する株式数 5,614,000 株を控除した株式数とする予定です。
(6) 公開買付けによる所有株式数の異動
買付け前所有株式数
5,615,045 株(所有割合 3.45%)
買付け後所有株式数
106,433,284 株(所有割合 50.0004%)
(注1)
買付け後所有株式数は、買付予定株式数 100,818,239 株を買い付けた場
合の株式数です。なお、応募株券の合計が買付け予定株式数を超える
ときは、応募株券の全部を買い付けますので、本公開買付けで王子製
紙が取得する議決権比率は、50.004%を超え最大で 100.00%となる可能
性があります。
(注2)
所有割合は、当社が平成 18 年 6 月 28 日に提出した第 168 期有価証券
に記載された総株主の議決権の数(単元未満株式および相互保有株式
に係る議決権の数を含む。162,864 個)を基準に算出しております。但
し、買付け後の所有割合の計算に当たっては、本件増資により発行さ
れる予定の普通株式 50,000,000 株に係る議決権の数を総株主の議決権
の数に加算しています。
(7) 公開買付開始公告日
平成 18 年 8 月 2 日(水曜日)
(8) 公開買付代理人
野村證券株式会社
以上
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