A.8.5 10代の飲酒傾向

A8.5〔参考訳〕
両親の飲酒を見ていると、子ども自身も定期的に飲酒するようになる確率が 2 倍に達す
ることが、10 代前半を対象とした調査から示された。
また、the Joseph Rowntree Foundation によると、両親の監視が乏しい場合でも、10
代の飲酒傾向が高くなる。
The Ipsos MORI survey では、飲酒習慣を占ううえで、友人の行動も大きな要因である
ことが示された。
すなわち、友達と過ごす時間が長いほど、飲酒する傾向が強くなるということだ。
The Joseph Rowntree Foundation による 13~16 歳の 5,700 人を対象とした調査では、
5 人に 1 人が 14 代までに飲酒したことがあると答えている。
また調査対象のうちの半分もが、16 歳までに飲酒したことがあると答えた。
しかし調査ではまた、10 代における過度の飲酒に何が影響を与えるのか、ということも
指摘されている。そして、両親の習慣が特に大きいようだ。
10 代が繰り返し飲酒するようになる確率は、両親の飲酒を見ている場合は、仮にそれが
数度であったとしても、2 倍にも達する。
著者は両親の監視の重要性も指摘している。すなわち、もし両親が、土曜の夜に子ども
がどこにいるかも知らず、18 以上向けの映画を監視されることなく子どもが見るに任せる
場合、子どもたちはアルコール飲料をより手に入れやすくなるのである。
友達もまた飲酒に大きな影響を与える。
10 代が過度に飲酒する確率は、友達と週に 2 回以上夜を共に過ごす場合は、2 倍にもな
る。
毎晩友達と過ごす場合だと、過度の飲酒傾向が 4 倍にもなる。
この報告の筆頭著者で、Ipsos MORI の Pamela Bremner はこう述べている。
「今回の研
究は、若者の飲酒行動に何が最も影響を与えるのかを順位付けした、イギリスで最初の研
究だ。」
「友達や家族の振る舞いが、若者が飲酒する傾向や頻度を決定する最も一般的な影響要
因であることが分かった。」
しかし、どのようにして若者は飲酒に導かれるのか、ということについて相反する根拠
がある。両親には、まだ答えられていない難解な問題が、いくつか残ったままだ。
研究者は、10 代がアルコールを飲み始めるのに理想的な年齢及び方法に関して、色んな
教訓を見つけた。
一般的には、極めて若い時にアルコールを飲み始めた人は、常に飲酒するようになる確
率が数倍に達する。
しかし、年齢によってそのパターンには相違が見られた。
「今回の研究で、おそらく多くの人が考えている以上に、両親が 10 代の行動に大きな影
響を与えることが示された。」と the Joseph Rowntree Foundation のプログラム管理者
Claire Turner は述べた。
「両親が言うこと、両親の振る舞い、2 つともに 10 代の飲酒、定期的な飲酒、過度な飲
酒に強い影響を与える。
「例えば 10 歳に満たない時など、極めて若い時にアルコールを飲み始めると、10 代にな
って飲酒し、更には飲みすぎるようになる傾向が強くなる。」
「しかし、集団によって異なるパターンが見られる。10 代後半では、両親の監視を離れ、
友達を介して遅くになってからアルコールを飲み始めた場合、より過度な飲酒に走る傾向
が強い。」
Alcohol Concern のチーフエグゼクティブである Don Shenker は、この報告により、子
どもの一生の始まりから両親は子どもの将来の飲酒パターンに強い影響を与えることが確
認された、と言っている。
「親自身の飲酒に対する態度、飲酒の頻度、酩酊状態は、それらが意図的なものであっ
てもなくても、飲酒は許容される標準的な行為だと子どもに受けとめられる明らかなサイ
ンだということを、親は理解し、認める必要がある。」
「さらに、子どもが監視なしで飲酒することを認めると、子どもが酒飲みになる危険性
は高くなるということを受け容れなければならない。これは危険な結果に繋がりうるもの
だ。」
「政府はまた、子どもがえてして家からいとも簡単にアルコールを入手できる理由につ
いて、その一因を探っていかなければならない。」
「より多くのアルコールの購入を促し、結果として家庭でより多くのアルコールを貯め
ることに繋がるような安価なアルコールを、大きなスーパーマーケットが強く勧め続ける
ことを止める為に、できることを全てやってきたかどうか、政府は調査しなければならな
い。」
The Royal College of Physicians はまた、簡単にアルコールを入手できることが、10 代
の飲酒パターンや酩酊状態に対する重要な作用因子であるということについて、驚くべき
ものではないと述べている。
声明では以下のように述べられている。「今回の報告は、政府がアルコールの単価を引き
上げ入手しづらくすることを最優先事項として集中しなければならないことを示している。
加えて、若者やその家族にアルコールの危険性を訴える啓蒙活動や全国的なキャンペーン
をしなければならないことも示している。」
【解答例】
問1
親が土曜の夜の子どもの居場所を知らないこと。親が必要な指導をせずに、18 歳以上向け
の映画を見るのを子どもに許すこと。
問2
the more likely they are to drink
問3
(A) odds
(B) drunk
問4
(ア)what
(イ)how
問5
親自身の飲酒に対する態度、飲酒の頻度、酩酊状態は、それらが意図的なものであっても
なくても、飲酒は許容される標準的な行為だと子どもに受けとめられる明らかなサインだ
ということを、親は理解し、認める必要がある。
問6
酒の購入単価を上げることで、酒が 10 代の子どもたちの手には入りにくくすること。酒の
危険性を訴える全国的なキャンペーンを展開して、若者とその家族の両方を啓蒙すること。