こ Feature article れまで凝ったデザインでクオリ テ ィ ー が 求 め ら れ る シ ー ル は、 凸版印刷(レタープレス)では 生産が難しいと考えられてきた。とこ ろが、近年印刷機の精度が向上し、さ ら に、CTP 版 の 品 質 が 良 く な っ た ことで、ルーペで見てもオフセットか 凸版か判別ができないほど高品質な シールが増えている。 ㈱フナミズ刃型製版(本社・東京都 練馬区高松 ノ ノ 、木原一裕社 19 25 0 2 1 2 k r a p S I D C 」を ラデーションが自然に消える部分など ど課題があった。 ハイライト部分の再現性は非常に難し シ ョ ン が 使 え る よ う に な り、 デ ザ イ 一 方 で、DTP ア プ リ ケ ー シ ョ ン で簡単にドロップシャドウやグラデー 凝ったデザインの増加 フルカラー化の加速 かった。とくに、 %のアミ点を実際 ナーが好んで取り入れるようになった に印刷すると 〜 %相当になり、グ とができたが、ドットゲインが大きい フセット印刷に近い濃度を表現するこ 従来の樹脂版でも中間濃度部分は データを補正することで、ある程度オ シールラベル業界に貢献している。 ど 高 い 再 現 性 の 版 を 提 供 す る こ と で、 はどうしても境目が目立ってしまうな か な 文 字 や グ ラ デ ー シ ョ ン、 写 真 な ル印刷用樹脂凸版を製造している。細 導入し、より綺麗な印刷ができるシー CTP システム「 エスコアートワーク社製の樹脂凸版用 長)は、他社に先駆けて 2007 年、 6 5 10 1 ワークフローを円滑にするCTPシステム 特集 高品質なシール印刷が可能に 樹脂凸版用CTPシステムを活用 フナミズ刃型製版(東京・練馬区) 金属版(左)と樹脂凸版 ことで、凝ったデザインのシールが増 えてきた。 さらに、 シールのフルカラー 化も加速した。そのため、高品質が要 求されるシールはオフセット印刷に流 れてしまうこともあったという。 しかし、日本のシール業界は凸版印 刷が主流であったため、これまでのシ ステムを活用した高品質な印刷を求め る声が強くなってきた。このような背 景から、画像を正確に再現できる樹脂 ゼンマイ刃(左)とフレキシブルダイ 印刷界 2010.11 68 性に大きな変化をもたらしている」と にグラデーションやカラー写真の再現 の高品質な印刷が可能になった。とく 「印刷機の精度の向上と CTP 化に より樹脂凸版でもオフセット印刷並み 露光時に空気に触 が少ない。 さらに、 光の拡散する要素 シ ー ト が 不 要 で、 ルムやバキューム 刷ができる。 樹脂凸版用 CTP システム「CDI Spark 2120」 凸版用 CTP 版が注目を集めた。 CTP 版 で は 樹脂版上のブラッ クレイヤー層に直 木原社長。 素による硬化阻害 接描画すること アナログ版はプレートの上にフィル ムとバキュームシートが重なるために が起き、本来硬化 樹脂凸版でオフセット並みの 高品質な印刷が可能に 露光時の光が拡散し、過大なドットゲ してほしくない部 で、露光時にフィ インを引き起こしていた。また、フィ 分は硬化されない ある。これらの理由から、凸版印刷に れているため、酸 ルム各層間のホコリがボケやヌケの原 というメリットも よ る ド ッ ト ゲ イ ン は、CTP 版 で 格 欠だという。まさに長年の知識と経験 をはじめとするさまざまな調整が不可 正や加工が非常に重要で、アミの濃度 シール印刷ではデータをそのまま製 版に使えることは少ない。データの補 段に改善されるようになった。 凸版の特徴を活かした メリハリのある印刷 木原社長は「データ加工は基礎が大 切。最近の製版ソフトはかなり便利な が必要となる。 文字や線もシャープに再現可能。凸版 ものもあり、優秀な製版技術者が使う ま た、CTP 版 は 凸 部 分 が 理 想 的 な形状なので、つぶれにくく、細かな の特徴を活かした、メリハリのある印 69 印刷界 2010.11 因ともなっていた。 木原社長 特集 ワークフローを円滑にするCTPシステム 高品質なシール印刷が可能に 樹脂凸版用 CTP システムを活用 Feature article と格段に効率が上がる。だが基礎がわ かっていないと使いこなせない。この こ れ ま で シ ー ル 業 界 で は CMYK で刷られたものは少なく、特色を 色 色 使 っ た シ ー ル が 主 流 で あ っ た。 を予測することや、何をするとそれが たことでフルカラー化が加速し、品質 しかし、近年、機械と版の質が向上し 〜 改善できるのかをしっかり理解するこ や色への要求が高くなっている。 加工の依頼も多い。 高まる色への要求 デジタルカラープルーフを活用 の 設 備 を 完 備 し、 印 刷 を シ ミ ュ レ ー う。同社ではデジタルカラープルーフ 流であった。)また、1993 年から ル用の刃型では糸ノコによる加工が主 ザ ー 加 工 機 を 設 備 し た。 (当時のシー は 製 版 に も 事 業 を 拡 大。2001 年 し て き た。1984 年 に ゼ ン マ イ 刃 取 り 入 れ、 新 し い こ と に 果 敢 に 挑 戦 それぞれを別の会社に発注すると生じ 型 と 製 版 の 注 文 が 一 度 で で き る 上 に、 刃型と製版の両方を強みとする会社 は珍しいという。顧客にとっては、刃 版用 CTP システムを導入した。 2007 年、 他 社 に 先 駆 け て 樹 脂 凸 に は フ レ キ シ ブ ル ダ イ の 製 造 を 開 始。 マシニングセンターで刃先を研磨する のベース板をカットするためにレー 1980 年、 刃 型 の 製 作 所 と し て 創 業 し た 同 社。 顧 客 の 意 見 を 素 直 に 刃型と製版の両方を強みに 品質向上・効率化に貢献 ションしたプルーフを出力可能だ。 たことで困っている会社が多いとい るとどのような色になるのか」といっ シール印刷業界でも「何に色を合わ せればよいか」 「このデータで印刷す サービスを提供している。 基材、版材など)のプロファイル作成 や凸版印刷の各条件別(印刷機、印刷 とが重要」と話す。データを正しく補 データのまま印刷するとどうなるのか 1 正できる同社には印刷会社からデータ 3 そこで、同社ではジャパンカラーを ターゲットにしたカラープルーフ出力 手作業で仕上げられるゼンマイ刃 印刷界 2010.11 70 いる。 活用し、品質向上・効率化に貢献して た品質管理のもと、校正抜き機などを やすい型と版のズレも防げる。徹底し 評判も高い。フレキシブルダイは複雑 な抜き加工を実現し、印刷会社からの 改善をかかさない。このため、高精度 まで可能だ。 ザインから印刷、ラミネート、カット ンターを活用している。いずれも、デ ア ル ミ 板 を 使 用 す る な ど、 常 に 工 夫、 メディアにはフルカラーレーザープリ な形状や寸法精度に対応するためエッ チングの後、マシニングセンターで刃 ネットワークの中心となる 〝ハブ〟として 同 社 で は CTP 版 の 他 に 従 来 の ア ナログ樹脂版、平圧用や箔押し・エン ボス用の亜鉛、銅などの金属版を製造。 先 を 研 磨 し て い る。 そ の た め PET 刃型ではゼンマイ刃とフレキシブルダ に柔軟に応えていきたい。さらに、業 やユポも問題なく抜け、また仕上げに 製版、 木原社長は、「これからも刃型、 フ ッ 素 コ ー テ ィ ン グ を し て い る の で、 データ加工などさまざまな顧客ニーズ 糊も付きにくい。 の様な存在になれたら幸せですね」と イを手がけている。 また、小ロット、サンプルシール作 成も好評だ。ホワイトインキが印刷で 話している。今後も同社は常に新しい ノ 界でネットワークの中心となる 〝ハブ〟 りずれたりするのを防ぐため、スポッ きるインクジェットプリンターを導入 技術を取り込み、業界を牽引していく ゼンマイ刃は1本の刃を曲げてつく られるが、同社ではつなぎ目が開いた ト溶接をしている。さらに刃型の高さ し、透明メディアにも対応。紙基材の 考えだ。 ノ 25 ◇ 【フナミズ刃型製版】 本社=東京都練馬区高松 19 シール印刷用製版、版下作成、デザイ 代表者=代表取締役社長 木原一裕 営 業 品 目 = シ ー ル 印 刷 用 刃 型 製 造、 創業= 1980 年 電話= 03 ノ 5393 ノ 3170 6 ン、小ロット・サンプルシール作成 HP = 71 印刷界 2010.11 ムラをなくすためウラ板に精度の高い 校正抜きで品質を確認 スポット溶接でつなぎ目が開くのを防止 p j . o c . a t a g a h . w w w / / : p t t h
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