社団法人 電子情報通信学会 THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS 信学技報 IEICE Technical Report OFT2008-42(2008-10) PPP-BOTDA を用いた高分解能(10cm)かつ高速(10Hz)分布計測の実現 李 哲賢Ⅰ,津田 勉Ⅰ,澤 貴弘Ⅰ,牧田 篤Ⅰ,高野 宏和Ⅰ,岸田 欣増Ⅰ,呉 智深Ⅱ,武田 展雄Ⅲ,水口 周Ⅲ Ⅰ ニューブレクス(株) 〒650-0023 兵庫県神戸市中央区栄町通 1-1-24 Ⅱ 茨城大学工学部 都市システム工学科 〒316-8511 日立市中成沢町 4-12-1 Ⅲ 東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 〒277-8561 柏市柏の葉 5-1-5 E-mail: [email protected] あらまし PPP-BOTDA(Pulse-Pre-Pump Brillouin Optical Time Domain Analysis)測定技術を用いた 2cm 分解 能ブリルアン分布計測の実現についてはすでに発表しており,実際に 10cm 空間分解能の製品を用いて様々な分野で 活用されている. しかし,今までは静的なひずみ測定にしか応用されていなかった.本論文ではまず,PPP-BOTDA により実現可能な測定速度について検討し,次に検討結果を実現するために PPP-BOTDA 測定システムをどのように 構成すべきかについて述べる.最後に,開発した NEUBRESCOPE NBX-6040A を用いて達成した 10cm 空間分解能,50μ εひずみ測定精度(標準偏差σ),10Hz 測定速度の分布測定(1,000 データ)を報告し,PPP-BOTDA(NEUBRESCOPE NBX-6040A)が動的なひずみ測定も適していることを示した. キーワード パルス・プリポンプ方法,PPP-BOTDA,ブリルアン分布計測,センチオーダ空間分解能,動的なひずみ PPP-BOTDA method to achieve 10cm spatial resolution and 10Hz measuring speed in distributed sensing Che-Hsien LIⅠ, Tsutomu TSUDAⅠ, Takahiro SAWAⅠ, Atsushi MAKITAⅠ, Hirokazu TAKANOⅠ , Kinzo KISHIDAⅠ , Zhishen WUⅡ, Nobuo TAKEDAⅢ , Shu MINAKUCHIⅢ Ⅰ Neubrex Co., Ltd. Sakaemachi-Dori 1-1-24, Chuo-Ku, Kobe, Hyogo 650-0023 Japan Ⅱ IBARAKI UNIVERSITY DEPARTMENT OF URABAN & CIVIL ENGINEERING Nakanarusawa-cho 4-12-1,Hitachi 316-8511,Japan Ⅲ Graduate School of Frontier Sciences The University of Tokyo 5-1-5,Kashiwanoha,Kashiwa-shi,Chiba 277-8561,JAPAN E-mail: [email protected] Abstract The Pulse-Pre-Pump Brillouin Optical Time Domain Analysis (PPP-BOTDA) method is capable of achieving 2cm spatial resolution . Its fundamentals were already published in our previous papers. The PPP-BOTDA based system has been successfully used in various industrial applications. However, as it was previously pointed out, it was so far able to measure the static or quasi-static strain, only. In this paper, the study on the PPP-BOTDA maximum feasible measurement speed is presented. Moreover, the actual measurements employing developed NEUBRESCOPE NBX-6040A system (1,000 data points, spatial resolution of 10 cm and 50 με strain uncertainty) at 10 Hz frequency (speed) are included. The results clearly demonstrate that PPP-BOTDA based distributed sensing system (NEUBRESCOPE NBX-6040A) is suitable for the dynamic strain measurement. Keyword PPP-BOTDA, Pulse-PrePump Method, Brillouin, Highly spatial resolution,dynamic strain 1.は じ め に BOTDA,BOTDR の 測 定 技 術 は 測 定 時 間 の 制 限 で 動 的 な BOTDA,BOTDR の 測 定 時 間 が 短 縮 で き な い 理 由 と し て ( 1Hz 以 上 ) ひ ず み 変 化 に 対 応 で き ず , さ ら に セ ン チ 三 つ あ げ る こ と が で き る . (1) SN 比 が 足 り な い の で , オーダの空間分解能が達成できない理由で高空間分解 繰 り 返 し 測 定 で 10 3 以 上 の 平 均 加 算 を し な け れ ば な ら 能と動的なひずみ変化を求める業界にあまり注目され な い . (2) 短 期 間 内 の 偏 波 に よ る 信 号 の 振 幅 揺 ら ぎ を ていなかった.しかし,同じくブリルアン散乱を利用 改 善 し な け れ ば な ら な い . (3) 時 間 領 域 ( 1,000 デ ー し た BOCDA の 測 定 技 術 は 5cm 空 間 分 解 能 , 25μ ε 測 定 タ以上)と周波数領域(ひずみ量の測定範囲内)との 精 度 (σ ), 10Hz の 測 定 速 度 が 報 告 さ れ て い る [ 1]. 処理を同時に行わなければならない.この三つの壁が ⎛ A + CP R p = ⎜⎜ P ⎝ CP BOTDA, BOTDR の 高 速 測 定 を 阻 害 し た と 考 え ら れ る . 現 在 , PPP-BOTDA 測 定 技 術 を 用 い た 2cm 分 解 能 ブ リ ル ア ン 分 布 計 測 の 実 現[ 2],[ 3]が 発 表 さ れ ,10cm 空 ⎞ ⎟⎟ ⎠ 2 (2) 光ファイバの誘導散乱光の振幅は, ブリルアン誘 間 分 解 能 ,7.5μ ε 測 定 精 度 (標 準 偏 差 σ )の PPP-BOTDA 導散乱方程式系を摂動法で解くことにより ECW ( z , t ) = ACW [(1 + βH (t , Ω)] ( NEUBRESCOPE NBX-6040: ニ ュ ー ブ レ ク ス ㈱ 社 製 ) が 市販されている.今までの技術では空間分解能と測定 (3) 精 度 の 壁 を 多 少 克 服 し た が , 高 速 測 定 (1Hz 以 上 )の 壁 と 表 さ れ る . た だ し , こ こ で ECW ( z , t ) は cw 光 の 振 幅 , は依然立ちはだかっている. β は 摂 動 パ ラ メ ー タ で , H (t , Ω) は 後 述 す る よ う な 時 本 報 告 で は ,測 定 速 度 を 阻 害 す る 三 つ の 壁 に 対 す る 間 と 周 波 数 の 関 数 で あ る .こ れ ら の 意 味 を 文 献 [4]に 示 打開策を検討し,その検討結果から得られた対策を用 し た . 誘 導 ブ リ ル ア ン 散 乱 (Stimulated Brillouin い て 実 現 可 能 な PPP-BOTDA の シ ス テ ム を 構 築 し , そ の Scattering: SBS)の 利 得 は 散 乱 が な い 場 合 の プ ロ ー ブ 構 成 に つ い て 述 べ る . 最 後 に , 開 発 し た PPP-BOTDA 光のパワーからの増加分として次のように表される. ( NEUBRESCOPE NBX-6040A)を 使 っ て ,10cm 空 間 分 解 能 , V (t , Ω) = 50μ ε 測 定 精 度 ( 標 準 偏 差 σ ), 10Hz 測 定 速 度 の 分 布 1 βACW 2 H (t , Ω) + c.c. 2 (4) (1)式 の ポ ン プ 光 を 用 い た 時 , (4)式 の 右 辺 に 含 ま れ 測 定 (1,000 デ ー タ )が 達 成 さ れ た こ と を 報 告 す る . る成分は次のように4つの項に分解される. 2.PPP-BOTDA の 特 徴 H (t , Ω) = H 1 (t , Ω) + H 2 (t , Ω) + H 3 (t , Ω) + H 4 (t , Ω) 2.1.高 い SN 比 ただし, 従 来 の BOTDA は 光 パ ル ス を 被 測 定 光 フ ァ イ バ に 入 射 H1 (t , Ω) し,ある測定点についての信号は時間軸上でサンプリ ングによって得られる.光パルスの幅は空間分解能を = AP2 決め,光パルスのデューティは測定距離の範囲を決め υ g (t − D pre + D ) / 2 ∫υ る.高い分解能を得るために光パルス幅を狭くしなけ 平 均 を し な く て は 十 分 な SN 比 が 得 ら れ な い .さ ら に 最 = APCP 大のブリルアン・ゲインを持った周波数シフトを求め るために光周波数を掃引しなければならないので,あ いしは 3 分かかる. = APCP 本 研 究 で 進 め て い る PPP-BOTDA に よ れ ば 、 各 測 定 点 υ g (t − D pre + D ) / 2 ∫υ PPP-BOTDA の 計 測 概 念 図 を 図 1 に 示 す . = CP2 プローブ光(CW) AP+CP ACW Dpre t z=0 0 z 図1 計測概念図 (6.1) ∫ t − 2 z /υ g 0 h ( z , s )dsdz (6.2) ∫υ g (t − D pre ) / 2 ∫ t − D pre + D − 2 z / υ g 0 h ( z , s )dsdz (6.3) H 4 (t , Ω) 間 分 解 能 (10cm)の 場 合 で も 高 い SN 比 が 得 ら れ る .そ の 光ファイバー g (t − D pre ) / 2 υ g (t − D pre + D ) / 2 に対して,常にプリポンプ光が到来しており,高い空 D 0 h( z , s )dsdz H 3 (t , Ω) るひずみ波形が得られるまでの平均的な時間は 2 分な CP 0 ∫ g (t − D pre ) / 2 t − D pre + D − 2 z / υ g H 2 (t , Ω ) ればならないので,得られる信号が弱く,長い時間で ポンプ光(階段状パルス) (5) υgt / 2 ∫υ g (t − D pre ) / 2 ∫ t − 2 z /υ g 0 h( z , s ) = Γe −[ Γ +i (Ω B ( z ) −Ω)]s t h ( z , s )dsdz (6.4) (7) で あ り , Lは 光 フ ァ イ バ の 長 さ を , Ω B (z)は Brillouin 散 乱 の 中 心 周 波 数 を 表 す . ま た , Γ = ΓB / 2 で あ り , ΓB z=L は ス ペ ク ト ル の 半 値 全 幅 ( FWHM:full width at half maximum)に 等 し く ,フ ォ ノ ン の 寿 命 と は 式 (8) で 関 係 パルス・プリポンプ光として用いる光を ⎧Ap + C p , ⎪ AP (t ) = ⎨ C p , ⎪ 0, ⎩ 付けられる. τ B = 1 / ΓB D pre − D ≤ t ≤ D pre 0 ≤ t ≤ D pre − D (1) (8) (6.1)式 か ら (6.4)式 に よ っ て ポ ン プ 光 か ら プ ロ ー ブ elsewhere 光 へ の エ ネ ル ギ ー の 転 移 に 関 し て (6.1)式 と (6.2)式 で と 表 す . こ こ で AP と CP は そ れ ぞ れ ポ ン プ 光 と プ リ ポ は 局 所 的 ( D) に 行 わ れ ,局 所 的 な 位 置 情 報 が 保 持 さ れ ン プ 光 の 振 幅 を 表 す . AP (t ) の 消 光 比 は (2)式 で 表 す . る よ う に な る .一 方 ,(6.3)式 と (6.4)式 で は エ ネ ル ギ ー 2 Strain,(micro) の 転 移 が 長 時 間 ( D p r e ) に わ た っ て 行 わ れ ,位 置 情 報 が 拡散されてしまう. 1500 1000 500 0 (6.2)式 は PPP-BOTDA の 主 要 信 号 で あ り ,そ の 式 か ら 80 わ か る よ う に 適 切 の A p と C p と D pr e を 使 え ば ,PPP-BOTDA 60 40 Strain difference 方 式 は 従 来 の BOTDA 方 式 よ り SN 比 が 6~ 12d B 向 上 す る こ と が 可 能 で あ り ,平 均 加 算 時 間 を 換 算 す る と 4~ 8 倍短縮することが可能である. 20 ばらつき 0 -20 -40 -60 2.2.加 算 回 数 に よ る 測 定 結 果 の ば ら つ き -80 今 回 , 市 販 し て い る PPP-BOTDA(NBX-6040)を 使 用 し -100 40 て図2に示すような測定系を用いて加算回数による測 (a) Strain,(micro) 定結果のばらつきについて評価を行った. 評価対象 Test Under Fiber 45 50 55 60 Distance,m 65 70 75 80 加 算 回 数 2 8 の 測 定 結 果 (5 回 の 比 較 ) 1500 1000 500 0 80 Probe光 5cm 5m 10cm 5m 15cm 5m 60 20cm 40 Strain difference 10m Pump光 10m 2m 5m 1m 5m 50cm 5m 30cm 4m 20 ばらつき 0 -20 -40 -60 -80 1400 2m 1m 75cm 50cm 30cm 20cm 15cm 10cm -100 40 1200 (b) Strain,(micro) Strain,(micro) 1000 800 600 45 50 55 60 Distance,m 65 70 75 80 加 算 回 数 2 1 2 の 測 定 結 果 (5 回 の 比 較 ) 1500 1000 500 0 80 400 60 200 Strain difference 40 0 40 45 図2 50 55 60 Distance ,(m) 65 70 75 80 ひずみ測定精度を検証する対象 20 ばらつき 0 -20 -40 -60 図 2 の 測 定 対 象 は ひ ず み 量 1200μ ε を 持 っ た 2m~ -80 10cm の フ ァ イ バ を 5m な い し は 4m の 間 隔 に 配 置 す る . -100 40 評 価 条 件 (10cm 分 解 能 )で は ,各 々 の 加 算 回 数 で 各 5 (c) 回の繰り返し測定を行い,そのばらつきの標準偏差を 図 4 図 3 に 示 し た . 加 算 回 数 28, 212, 216 の 測 定 結 果 は 図 45 50 55 60 Distance,m 65 70 75 80 加 算 回 数 2 1 6 の 測 定 結 果 (5 回 の 比 較 ) 加算回数によるひずみ測定結果のばらつき 4 (a), (b), (c)で 示 し た . 図3と図4の評価結果からわかるように, 60 PPP-BOTDA の 方 式 を 使 え ば 、 10cm 空 間 分 解 能 , 加 算 回 標準偏差σ(με) 50 数 2 8 に お い て も 50μ ε 測 定 精 度 (σ )が 得 ら れ る . 40 30 2.3.実 現 可 能 な 測 定 速 度 へ の 検 証 20 分布データの測定はある光パルスを繰り返しに被 10 測定光ファイバへ入射し,すべての測定点についての 0 8 図3 10 12 14 加算回数(2のべき乗) 16 信号は時間上でサンプリング(アナログ・デジタル変 18 換)によって得られる.得られる信号は弱いので,繰 加 算 回 数 V.S. ひ ず み 測 定 結 果 の 偏 差 り 返 し に 加 算 平 均 を 行 い ,SN 比 を 向 上 さ せ な け れ ば な 3 らない.その光パルスの繰り返し周期とサンプリング 表 1 は NBX-6040A の 性 能 を ま と め た 内 容 で あ る . 時間との繰り返し加算平均時間は,測定速度を制限し 表1 T=(( Tp×(Ts/Tr)+ Ta)) ×N+ Td NBX-6040A の 性 能 一 覧 測定条件 : 空間分解能:10cm、サンプリング間隔:5cm、歪みの測定範囲:±1500με ている.一般に下記の式で処理時間を表す. (9) 精度(με) Tp:光 パ ル ス の 繰 り 返 し 周 期 Ts: デ ー タ の サ ン プ リ ン グ 間 隔 再現性(με) 再現性(με) 測定時間(sec) 28 回 29 回 210回 28 回 29 回 210回 28 回 29 回 210回 Tr:ア ナ ロ グ ・ デ ジ タ ル の サ ン プ リ ン グ 速 度 50mレンジ 50 35 25 50 35 25 0.1 0.2 0.4 Ta:加 算 平 均 の 余 分 処 理 時 間 250mレン ジ 50 35 25 50 35 25 0.15 0.3 0.6 500mレン ジ 50 35 25 50 35 25 0.25 0.5 1.0 Td: デ ー タ の 転 送 時 間 N:加 算 平 均 回 数 た と え ば ,光 パ ル ス の 繰 り 返 し 周 期 (Tp)=2.5μ s,デ ー 表 1 か ら わ か る よ う に NBX-6040A は 50m の 距 離 レ ン タ の サ ン プ リ ン グ 間 隔 (Ts)=500ps(5cm),サ ン プ リ ン グ ジ ,5cm の サ ン プ リ ン グ 間 隔 ,±1,500μ ε の ひ ず み の 速 度 (Tr)=500ps/S, 加 算 平 均 の 余 分 処 理 時 間 (Ta)=1.5 測 定 範 囲 , 1,000 ポ イ ン ト の ひ ず み デ ー タ で は μ s, 加 算 平 均 回 数 (N)=256 回 で あ れ ば , 処 理 時 間 は 0.1s(10Hz)の 測 定 間 隔 で 取 得 す る こ と が で き る . 500m 1.024ms で 5,000 デ ー タ の サ ン プ リ ン グ と 256 回 の 加 の 距 離 レ ン ジ ,5cm の サ ン プ リ ン グ ,±1,500μ ε の ひ 算平均の処理ができる.最大ブリルアン・ゲイン周波 ず み の 測 定 範 囲 , 10,0000 ポ イ ン ト の ひ ず み デ ー タ で 数シフトを求めるためにある光周波数範囲内に掃引し は 0.25s(4Hz)の 測 定 間 隔 で 取 得 す る こ と が で き る . な け れ ば な ら な い .た と え ば ,±1.500μ ε の 測 定 範 囲 で あ れ ば 光 周 波 数 掃 引 範 囲 を ± 100MHz に 設 計 す べ き 4.実 験 の 構 成 で あ る . 掃 引 ス テ ッ プ を 5MHz に す る と , 41 回 の 繰 り 図 6(a)は 今 回 の 実 験 構 成 で あ り ,光 フ ァ イ バ セ ン サ 返 し 測 定 が 必 要 で あ る . つ ま り , PPP-BOTDA の 測 定 時 は フ ジ ク ラ 社 製 の FN-SSL-3 を 使 い ,試 験 片 の 両 面 に 貼 間 (Tt)は 下 記 の 式 で 表 す こ と が 出 来 る . り付けた.比較するために電気ゲージを試験片の両面 Tt=(((Tp×(Ts/Tr)+ Ta) ×N+ Td)×Fn)+ Tf (10) に 取 り 付 け た .図 6(b)の よ う に 試 験 片 の 遠 端 を 固 定 す Fn: 光 周 波 数 の 掃 引 回 数 る と 約 2Hz で 振 動 を さ せ る こ と が で き , 電 気 ゲ ー ジ で Tf: 各 BGS か ら 各 周 波 数 シ フ ト の 計 算 時 間 測 定 し た 結 果 は 図 6(c)に 示 し た . 式 (9) と 式 (10) か ら 上 記 の 条 件 で , Tt=1.024ms ×41 + Tf に な る .Td と Tf は 短 い 時 間 に 抑 え ,測 定 時 間( Tt) は 100ms(10Hz)以 内 に 達 成 す る こ と が 出 来 る と 考 え た . 3.測 定 器 の 基 本 構 成 図5は測定器の基本構成図であり,パソコンの中に ハード加算機能を持った高速デジタイザーを搭載して 2GS/s の サ ン プ リ ン グ 速 度 を 提 供 し て い る の で , 加 算 平 均 の 余 分 処 理 時 間 は 1.5μ s し か し な い . NBX-6040A の中に高速偏波スクランブラーを実装し、偏波スクラ ン ブ ラ ー の 速 度 は 100μ s で 光 源 の DOP を 5%以 下 に す (a) ることが出来る.ソフト側も並列処理(制御とデータ Start位置 :電気ゲージ(表と裏) :光ファイバセンサ(表と裏) 転 送 )を 工 夫 し ,Td を 最 小 値 に 抑 え る こ と が で き ,さ らに中心周波数の検出アルゴリズムも最適化した. 実験構成 振動現象 【試験片】 100cm 0.28cm 40cm 3cm アルミ板 光ファイバセンサ (FN-SSL-3) 図5 測定器の基本構成 (b)試 験 片 の 構 成 4 固定台 表 ( 表 面( 2.763m),裏 面 (1.279m))を 抽 出 し ,時 系 列 に 裏 1000 並 び 表 示 を し た 波 形 で あ り 、そ の 結 果 と 図 6(c)と 比 較 800 す る と , 試 験 片 の 振 動 周 期 は 約 2Hz で , ひ ず み の 大 き 600 さ は ±600μ ε か ら 指 数 関 数 で 減 衰 し て い っ た こ と が 歪(με) 400 観察できた.事前に光ファイバセンサを校正し,その 200 ひ ず み 係 数 は 10MHz/ 200μ ε で あ る こ と が 判 明 し た . 0 -200 Start -400 0.9秒後 1.0秒後 1.1秒後 1.2秒後 1.3秒後 1.4秒後 静止後 10.920 -600 10.910 -800 10.900 16.75 17.75 18.75 (c) 20.75 時間(s) 19.75 21.75 22.75 23.75 24.75 25.75 10.890 中心周波数(GHz) -1000 15.75 試験片の振動現象 図6 実験の構成 10.880 10.870 10.860 10.850 10.840 5.実 験 結 果 と 検 討 10.830 図 7 は ,図 6(a)の 試 作 装 置 を 用 い て 試 験 片 の 静 止 状 10.820 態 を 測 定 し , BGS の 最 大 レ ベ ル の 周 波 数 を 表 現 し た 分 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 布 波 形 で あ る .0.972m か ら 1.586m ま で は 裏 面 に 貼 り 付 図8 け の 光 フ ァ イ バ セ ン サ で あ り , 2.456m か ら 3.070m ま では表面に貼り付けの光ファイバセンサである. 3.50 4.00 4.50 5.00 1.023m 1.381m 1.074m 1.432m 1.126m 1.484m 1.177m 1.535m 1.228m 1.586m 1.279m 10.920 サンプリング間隔:5cm 10.900 10.910 10.890 10.900 中心周波数(GHZ) 10.880 中心周波数(GHz) 3.00 様々の時間帯に測定した結果 0.972m 1.330m 10.910 2.50 距離(m) 10.870 10.860 10.850 10.840 10.890 10.880 10.870 10.860 10.850 10.840 10.830 10.830 10.820 10.820 0 10.810 0.00 0.50 図7 1.00 1.50 2.00 2.50 距離(m) 3.00 3.50 4.00 4.50 1 2 3 4 5.00 5 時間(sec) 6 7 8 9 10 (a)裏 面 (0.972m~ 1.586m)に 貼 付 の 光 フ ァ イ バ セ ン サ 静止状態の中心周波数分布波形 測 定 条 件 は , 距 離 レ ン ジ 50m, 空 間 分 解 能 10cm, サ 2.456m 2.814m ン プ リ ン グ 間 隔 5cm, 周 波 数 の 掃 引 範 囲 ±100MHz で 測 2.507m 2.865m 2.558m 2.916m 2.609m 2.967m 2.660m 3.018m 2.711m 3.070m 2.763m 10.920 10.910 は 振 動 前 の 測 定 結 果 ,振 動 さ せ て か ら 6 回 の 測 定 結 果 , 10.900 静止後の測定結果を表示した波形である.距離のサン 10.890 中心周波数(GHZ) 定 を 行 い , 一 回 の 測 定 時 間 は 約 100ms に な っ た . 図 8 プリング点の中心周波数は振動時間とともに変化して いることが観察できた.つまり,距離と中心周波数と のデータは時間と共にサンプリングされて3次元のデ 10.880 10.870 10.860 10.850 ー タ 構 造 に な る .図 9 (a)は ,そ の 3 次 元 構 造 の デ ー タ 10.840 か ら 裏 面 に 貼 り 付 け の 光 フ ァ イ バ セ ン サ ( 0.972m ~ 10.830 10.820 1.586m) の 測 定 結 果 を 抽 出 し た 波 形 で あ る . 図 8 (b) 0 1 2 は , 表 面 に 貼 り 付 け の 光 フ ァ イ バ セ ン サ (2.456m ~ 3 4 5 時間(sec) 6 7 8 9 10 (b)表 面 (2.456m~ 3.070m)に 貼 付 の 光 フ ァ イ バ セ ン サ 3.070m)の 測 定 結 果 を 抽 出 し た 波 形 で あ る . 図9 図 10 は 電 気 ゲ ー ジ の 位 置 と 相 当 す る 場 所 の デ ー タ 5 試験片を振動した測定結果 試 験 片 の 振 動 周 波 数 を 5Hz 上 げ る と , 光 フ ァ イ バ セ 表(2.763m) ンサのひずみの大きさの追随性は悪くなり,振動周波 裏(1.279m) 10.920 数はサンプリング定理(振動数の倍以上のサンプリン 10.910 グ 速 度 が 必 要 で あ る .)か ら ,ぎ り ぎ り 試 験 片 の 振 動 周 10.900 期が取られていることが観察できた. 周波数(GHz) 10.890 10.880 6.ま と め 10.870 10.860 PPP-BOTDA(NEUBREX NBX-6040)の 高 い SN 比 の 特 徴 に 10.850 よ り 標 準 偏 差 (σ )2.5μ ε の 再 現 性 が 確 認 で き ,さ ら に 10.840 NBX-6020 の 高 分 解 能 の 特 徴 に よ り 2cm 空 間 分 解 能 が 達 10.830 成 で き た . こ れ ら の 性 能 を 活 か し て 高 速 測 定 ( 10Hz) 10.820 0 1 2 図 10 3 4 5 時間(sec) 6 7 8 9 に 関 す る 検 討 を 行 い , PPP-BOTDA ( NEUBRESCOPE 10 NBX-6040A) を 開 発 し た . NBX-6040A を 使 っ て ,10cm 空 電気ゲージの位置に相当する 間 分 解 能 ,50μ ε 測 定 精 度 (標 準 偏 差 σ ),10Hz 測 定 速 光ファイバセンサの測定結果 度 の 分 布 測 定 (1,000 デ ー タ )が 達 成 さ れ た こ と を 報 告 した. さらに試験片の固定点の位置を変え,振動周波数 を 5Hz ま で に 上 げ て 同 様 な 測 定 条 件 で 測 定 し , そ の 結 謝辞 果 を 図 11 に 示 し た . 本研究を進めるうえで有益な助言を頂いたニュー ブレクス㈱横山光徳氏と矢崎桂子氏に深謝致します. 1000.0 文献 800.0 [1] 石 岡 昌 人 ら ,” 航 空 機 搭 載 型 BOCDA 分 布 型 光 フ ァ イ バ セ ン サ ” ,信 学 技 報 ,OFT2007-10(2007-05) [2] 李 哲 賢 ら ,“ PPP-BOTDA 測 定 技 術 を 用 い た 2cm 分 解 能ブリルア ン分布計測 の実現”,信学技報 , OFT2008-13(2008-5) [3] 李 哲 賢 ,津 田 勉 ,岸 田 欣 増 ,“ PPP-BOTDA 測 定 技 術 を 用 い た 10cm 分 解 能 ブ リ ル ア ン 分 布 計 測 の 実 現 ” ,信 学 技 報 , OFT2005-16(2005-8) [4] 西 口 憲 一 , 岸 田 欣 増 ,” 光 フ ァ イ バ に お け る 漏 れ 光を考慮した誘導ブリルアン散乱の摂動解析”, 信 学 技 報 ,47,OFT, 9. Oct. 2004 600.0 strain(με) 400.0 200.0 0.0 -200.0 -400.0 -600.0 -800.0 -1000.0 0 500 1000 (a) 1500 2000 2500 3000 時間(ms) 3500 4000 4500 5000 電気ゲージの測定結果 10.920 サンプリング間隔:100ms 10.910 約200με 10.900 中心周波数(GHz) 10.890 10.880 10.870 10.860 10.850 10.840 10 10.830 .830 10.820 0 500 (b) 図 11 1000 1500 2000 2500 3000 時間(ms) 3500 4000 4500 5000 光ファイバセンサの測定結果 5Hz の 振 動 周 波 数 時 の 測 定 結 果 6
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