町政執行方針 - 北海道幌延町

平成29年度
町政執行方針
幌 延 町
平成29年度
❑
はじめに
❑
まちづくりの基本姿勢
❑
❑
町政執行方針目次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
予算編成
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6
重点施策
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7
1 まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進・・・・・
7
2 地域経済の活性化
7
3 農業の振興
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4 暮らしの安全安心確保
❑
1
主要施策
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1 町民と行政との協働のまちづくり
2 夢と活力あふれるまちづくり
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
9
9
11
17
・・・・・・・
22
5 自然に恵まれ安全で快適なまちづくり
❑ むすび
8
・・・・
3 健やかに安心して暮らせるまちづくり
4 心豊かな人と文化を育むまちづくり
8
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
28
H29 町政執行方針
❑ は じ め に
平成29年第1回幌延町議会定例会の開会にあたり、平成29年度のま
ちづくりに臨む私の所信と施策の概要を申し上げます。
私が幌延町政を担わせていただいてから2年が経過し、折り返しの年に
入りました。
これまで、議員をはじめ町民の皆さんの御理解と御協力により、そして
職員の皆さんに支えられながら、行政運営を進めてこられましたことに心
から感謝を申し上げたいと存じます。
今後も、官民一体となって協力し合いながら、幌延町が目指すまちの
将来像である 『町民一人ひとりが主役! 夢と活力に満ち 自然と共生
する 安心で住みよい町』 の構築に向けて励んでまいります。
世界の情勢を振り返りますと、昨年は大きな出来事がありました。とりわ
けイギリスが EU 離脱を決めた国民投票とアメリカ合衆国における大統領
選挙の結果を踏まえますと、これまで進展してきた経済のグローバル化に
対する反動が、一気に表面化し、世界の潮流が変化しつつあると感じざる
を得ません。
グローバリゼーションに立脚している我が国の経済は、アベノミクスの取
組のもと、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復基調が続いていますが、
国内経済については、個人消費及び民間設備投資が、所得、収益の伸
びと比べ力強さを欠いた状況となっており、また、中小企業では人手不足
感が強まっています。
こうした中、政府は、デフレから完全に脱却し、しっかりと成長していく道
筋をつけるため、「未来への投資を実現する経済対策」を取りまとめ内需
を下支えするとともに、アベノミクス「新・三本の矢」に沿った施策の実施と
合わせて、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実
現に繋げていくとしています。
1
H29 町政執行方針
国の予算は、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算として、平
成29年度一般会計予算案を97兆 4 千 5 百億円とし、一億総活躍社会実
現に向けて保育士・介護人材等の処遇改善を図るほか、年金受給資格期
間の短縮や給付型奨学金の創設など、誰もが活躍できる社会を実現し、
成長と分配の好循環を強化しようとしています。
また、経済再生に直結する取組を推進するため、官民一体となっての
日本経済の成長力を高めるような施策や公共事業関係費の成長分野へ
重点配分を行うとともに、働き方改革を推進するため、賃金アップを図る
企業等への支援を行うとしています。
一方、財政健全化を進めるために、負担能力に応じた公平な負担、給
付の適正化などの観点から、後期高齢者医療の保険料軽減特例の見直
しや介護納付金の総報酬割の導入など、社会保障関係費をはじめ一般
歳出の伸びを「経済・財政再生計画」の目安に沿って抑制し、国債発行額
は34.4兆円と前年度に引き続き縮減させています。
このような状況の中、幌延町を取り巻く環境は、生産年齢人口の減少
が進み、今後の経済活動や集落維持への影響が懸念されます。特に農
業や商工業の担い手が減っており、従業者の確保も厳しい状況です。
町では、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、移住定住や子育
て支援、起業支援による定住人口の減少に歯止めをかける施策とともに、
交流人口拡大の取り組みを進めていますが、やはり産業を振興させ、しご
とづくり、雇用の場づくりを進めなければ生産世代の定住や子どもの増加
には繋がっていきません。
そして、しごとづくりの振興とともに、医療や福祉、生活環境の充実を図
り、誰もが安全に安心して快適に暮らせるまちへの取り組みを進めること
が肝要です。
一方、昨年 JR 北海道が宗谷線(名寄-稚内間)を維持困難な路線で
あると公表し、本町は路線維持のために上下分離方式など市町村の負担
が伴う様々な方策について、関係市町村と議論していかなければならな
い状況となっています。
2
H29 町政執行方針
また、深地層の研究が17年目を迎えようとしています。まちの経済波及
効果が大きい当該研究は、平成31年度までに考え方がまとめられることと
されています。
このように、20世紀初頭から形成され蓄積されてきた幌延町の産業や
町民の生活等に関わる環境が、時の流れとともに変わってきており、様々
な面で再構築する時期にさしかかってきていると感じています。
私は、平成29年度の町政執行にあたっては、町民の安定した暮らしを
守るとともに、幌延町の未来に向けた投資に配意していく所存です。
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H29 町政執行方針
❑
まちづくりの基本姿勢
次に、「まちづくりの基本姿勢」について申し上げます。
私は、「まちづくり基本条例」と「町民憲章」を、まちづくりの基本理念とし、
「人口減少対策」、「産業振興」、「暮らし良いまちづくり」の三つを柱に据
え、町民の総力を結集し、和をもって元気な幌延町づくりを進めてまいりま
す。
1 人口減少対策
人口減少は、地域活力や住民サービスの低下をもたらすのみならず、
将来的には地域社会の機能維持にまで影響する重要な問題です。
幌延町の人口は、これまで緩やかな減少傾向を示してきましたが、平成
27年の国勢調査によると、総人口は2,447人、5年間で280人減少し、
再び減少数が大きくなってきました。
特に15歳から64歳までの生産人口の減少が著しく、310人減少してい
ます。逆に65歳以上の高齢者は38人増加して649人となり、人口割合は
26.5%となっています。また、15歳未満の人口は320人と横ばい状態で、
13.1%の人口割合となっています。
生産人口の減少は、農業、商業、建設業、運輸・サービス業など産業
全般にわたる担い手の減少であり、また、少子化の一因でもあります。この
状況がこのまま推移すると、まちの機能維持が困難になり、様々な分野で
外部依存度が高まっていきます。そして、それが負の連鎖へと繋がること
が危惧されます。
このような状況に歯止めをかけるために、「総合戦略」を推進して人口減
少の緩和を図るとともに、人材育成や担い手の確保に取り組んでまいりま
す。
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H29 町政執行方針
2 産業振興
幌延町は広い大地と豊かな自然を有し、その気候風土に立脚して酪農
畜産を基幹産業と位置づけ、まちづくりが進められてきました。
人々がその土地に根をおろし、産業を興して生活を営む。
そして、その産業基盤や生活基盤を整備することにより、生産力が向上
し生活の利便性が良くなり人が増加する。
さらに、それらの人々を対象に、商工業やサービス業など多様な仕事
が派生し成長して一層利便性が高まり、住み良い土地になる。
このように、生産力の向上が雇用と所得を生み出し支出になる、「地域
経済の好循環」を創りだしていくことが、まちづくりを進める上で極めて重
要だと考えますので、私は、産業振興を町政運営の大黒柱に据えて取り
組んでまいります。
3 暮らし良いまちづくり
人々がそのまちで暮らしたいと考える基準は、ライフステージや生活ス
タイルによって変わりますが、私は、誰もが幌延町に住みたい、住み続け
たいと思えるよう、町民の皆さんが生きがいを持って心地よい人間関係の
中で暮らしていけるまち、そして快適な環境のもとで居心地よく、安全で安
心して暮らしていくことを支えるまちづくりを目指します。
また、行政が地域と緊密に連携し、しっかりと町民の声をお聴きし意見
を交わしながら信頼関係の構築と意思の疎通を図り、共生と共助の精神
を大切にした協働のまちづくりを進め、町民が主体の暮らし良いまちづくり
を推進してまいります。
私は、これまでの2年間、様々な行政課題に取り組むとともに、幌延町
の将来に夢と希望の種を蒔くことに腐心してまいりました。徐々にではあり
ますが、多様な芽が吹き出し育ちつつあります。
平成29年度は、出た芽をしっかりとした苗にはぐくむ年と位置づけ、四
つの重点施策と、五つの主要施策でまちづくりを進めてまいります。
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H29 町政執行方針
❑ 予算編成
次に、予算編成について申し上げます。
平成29年度の予算は、町財政の健全性に配慮しながら、町民の暮らし
を支えるとともに多様化する行政需要に応えるべく編成を行いました。
とりわけ、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」事業については、人口減少
対策を推進するため、財源の重点配分を行い、事業費で1億円を超える
予算を計上しました。
継続事業は事務事業評価を実施して事業の点検と見直しを行い、消費
的経費は、前年度当初並みとしました。
また、投資的経費は、「まちづくりの基本姿勢」に沿って選択と集中を実
行し、産業の振興とくらしの安全安心、子育て・教育環境の充実に重きを
おくとともに、公共施設や道路・橋梁などの社会資本の長寿命化にも配慮
し予算編成を行いました。
なお、平成29年度に実施を予定している事業のうち、事業計画等の策
定に時間を要するものについては、今後の補正予算により対応することと
しました。
以上の結果、平成29年度の当初予算は、
一般会計
5,033,000千円
特別会計
1,194,760千円
合
6,227,760千円
計
となりました。
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H29 町政執行方針
❑ 重点施策
次に、重点施策について申し上げます。
1 まち・ひと・しごと創生総合戦略の推進
町では平成27年度に、「人口ビジョン」をまとめ、ビジョン達成のための
施策を網羅した「総合戦略」を策定しました。
人口ビジョンでは、町民の転出抑制と転入促進を政策誘導するとともに、
幌延町の合計特殊出生率1.68を、2040年(平成52年)までに2.07に
向上させ、社人研の推計人口1,693人に対し、目標人口を2,241人と
定めています。
総合戦略については、平成28年度から計画的に施策展開しており、今
後も目標達成に向けて着実に推進してまいります。
2 地域経済の活性化
経済の活性化については、地域での生産が地域内での所得へ分配さ
れ、その所得が地域内で支出され生産へ還元される「地域経済の循環」
を高めることが大切です。
国の地域経済分析システムによりますと、幌延町における年間120億
円の生産と地域外からの流入を含めた、およそ250億円の雇用その他の
所得は支出へとなりますが、その支出のうち約半分が地域外へ流出して
いることが判りました。
このようなことから、地域内での好循環を生み出し、まちの自立度を高
めるために、産業基盤整備を行いつつ一定の公共事業を確保するととも
に、地域資源を活用する事業や産業の創出及び育成を図ってまいります。
また、地域で発生する生産や仕事が、できる限り地域内で循環できるよう
事業者の育成を図るとともに、事業者が有資格者の確保や養成を行うた
めの取り組みに対する支援を検討してまいります。
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H29 町政執行方針
3 農業の振興
まちの自立度を高めるためには、第1次産業の振興と安定が重要です。
幌延町は酪農畜産を第1次産業の主軸と位置付け、振興を図ってきまし
たが、平成15年と比較すると、搾乳農家戸数が96戸から69戸にまで減
少し、生乳生産量も年4万9千トンから3万7千トンを下回る状況になって
います。営農者が高齢化し後継者も少ない中、現状維持の姿勢では、今
後更に農家戸数と乳量が減少する可能性が高く、第2次、第3次産業へ
の影響も計り知れません。今ここで攻めの農業対策に打って出なければ、
自立の道は極めて険しいと言わざるを得ません。
このような状況を踏まえ、私は、農家や農協等と連携して、新規就農対
策や担い手対策にしっかり取り組みます。また、多様な農業基盤整備事
業を進めるとともに、乳牛の増頭や生産乳量増産など生産力の向上対策
にも積極的に取り組んでまいります。
4 暮らしの安全安心確保
町民の暮らしについては、いつまでも慣れ親しんだ地域で安心して暮
らしていけるよう、快適で安全な環境づくりを進めるとともに、生涯にわたり
学習する機会の提供に努め、生きがいある暮らしを支えてまいります。ま
た、子育て世代が安心して働き、安定した生活を営んでいけるよう支援し
てまいります。
何らかの支援を必要としている方には、保健・福祉・医療・介護等の関
係機関が連携して地域で支え合う体制づくりを進めるとともに、急病など
への備えとして24時間救急医療体制の確保に努めてまいります。
JR 宗谷線の存続問題に対しては、鉄道の利用促進を図りつつ維持の
ための方策について、関係自治体と協議してまいります。また、併せて、
住民の生活交通に係る利便性向上方策についても検討を進めてまいりま
す。
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H29 町政執行方針
❑ 主要施策
次に、第5次幌延町総合計画の体系に基づく、五つのまちづくり施策
大綱に沿って、主な施策を申し上げます。
1 町民と行政との協働のまちづくり(町民参加と行財政運営)
はじめに、「町民と行政との協働のまちづくり」について申し上げます。
まちづくりは、町民の地域に対する想いに始まり、それを形にしようとす
る行政職員の熱意と専門能力により成り立っていくものだと考えます。
複雑多様化する行政課題に対しては、行政と町民が対話と情報共有を
重ね理解し合いながら、町民の町政参画を進め、「自助・共助・公助」によ
る役割分担と連携によって一つひとつ課題を克服しながら、まちづくりを
進めていくことが大切になってきます。
<コミュニティ活動と人づくり>
コミュニティ活動の活性化と協働のまちづくりを推進するため、町内会
活動の支援を行います。また、住民主体の将来構想づくりや地域の資源
を活かした住民活動等を支援してまいります。
ボランティア活動や地域を元気にする活動などに取り組む団体やグル
ープの育成・支援を図るとともに、町の推進施策に沿った活動や取り組み
に対しては手厚い支援方策を検討してまいります。
<広聴・広報活動の充実>
町政懇談会のほか世代別や団体別に意見を聴く機会をつくり、ニーズ
の把握に努め、町政に反映させてまいります。
広報誌や町ホームページは、タイムリーで分かりやすく、町民等に親し
んでもらえるよう内容の充実に努めます。
告知放送サービスについて、行政情報や防災情報の発信のほかに、
公共的団体等からの情報提供を充実させるため、放送サービスの内容の
拡充を行いましたので一層の利用を促します。また、告知端末機の更新
について検討を進めます。
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H29 町政執行方針
<協働のまちづくりの推進>
審議会委員の公募やパブリックコメント制度をとおして情報の共有化を
図り、町民の町政参画と協働のまちづくりの推進に努めます。
今年度は、総合戦略の基本目標に掲げている、若い世代の結婚・出
産・子育ての希望をかなえるための施策について、町内の主な事業所か
ら委員を推薦していただき、官民が協力して婚活支援事業に取り組んで
まいります。
<男女共同参画社会の推進>
また、主要な政策や計画を検討する場には、女性や若い世代の登用
を進めるとともに、参画しやすい環境作りに配慮します。
<健全で効率的な行財政運営の推進>
効率的な行政運営を推進するため、事務事業の評価と見直しを進めま
す。また、町民の町政に対する信頼を高めるため、職員研修を実施すると
ともに人事評価制度の運用を進め職員の資質向上と意識改革を図りま
す。
戸籍原本の保全と住民サービスの向上を図るため、戸籍情報総合シス
テムの更新を進めるとともに、住民票等の交付サービスについて検討して
まいります。
税収等の自主財源や国等からの有利な財源を確保するとともに、適正
な公債管理と公共施設等の計画的な補修に努め、財政負担の軽減と平
準化を図ってまいります。
<広域行政の推進>
西天北五町衛生施設組合で実施する、使用済み紙おむつの燃料化
を主とする「広域ごみ処理施設におけるエネルギー地産地消システム」の
実証試験について、連携し推進してまいります。
また、稚内市を中心とした宗谷定住自立圏においても、圏域市町村と
の交流や連携を深めて、本町の振興発展や町民の福祉向上を図ってま
いります。
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H29 町政執行方針
2 夢と活力あふれるまちづくり(産業の振興)
次に、「夢と活力あふれるまちづくり」について申し上げます。
【農林業の振興】
北海道の農業・農村は、日本の食料生産基地として、安心・安全で良
質な食料の安定供給と、食料自給率の向上に向けた役割が求められて
いるほか、美しい景観や国土と環境の保全など多面的機能の発揮が期待
されており、農業立国北海道の一員として幌延町が果たす役割は少なく
ありません。
しかしながら、本町の酪農畜産を取り巻く情勢は、農村を支える担い手
の減少や高齢化による設備投資の抑制傾向に加え、生産コストの上昇、
畜産環境問題への対応など、経営環境は厳しさを増しており、さらには、
TPP協定やアメリカ合衆国との二国間協定の行方に対する不透明感も高
まっています。
このような情勢の中、私は、将来を見据えた酪農畜産の持続的発展を
図っていくためには、広大な土地資源を活かした自給飼料に立脚した経
営の確立と環境保全型・地域循環型の生産構造の構築を進め、飼料自
給率の向上を図る草地畜産基盤の総合的な整備を進めていくことが重要
であると考えています。
<競争力のある農業の確立>
草地型酪農及び肉用牛生産を展開するため、農業基盤整備事業を継
続して実施し、生産性の維持と向上を図ります。
幌延西部地区草地畜産基盤整備事業、幌延地区団体営農業基盤整
備促進事業を実施し、草地整備や暗渠排水など土地基盤の整備を進め
るとともに、問寒別地区道営畑地帯総合整備事業、上幌延開進地区道営
畑地帯総合整備事業を実施し、営農飲雑用水施設の改修と統廃合を進
めてまいります。
また、今年度は、問寒別地区、上幌延地区、音類地区において農業用
水道施設の改修及び移設事業を実施します。
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H29 町政執行方針
農業用排水路及び農地機能の保全を図る幌延地区国営総合農地防
災事業の調査計画については、土地改良事業計画がとりまとめられます
ので、町として事業推進に協力してまいります。
農業生産条件の不利な中山間地域における生産活動の促進と、農業
の持つ多面的機能を維持し増進させるため、集落の皆さんとともに中山
間地域等直接支払事業、多面的機能支払事業を推進してまいります。
町営牧場については、農家の省力化、低コスト化と本町の酪農を支え
る牛づくりのために適切な飼育管理に努めているところですが、農家から
の預託頭数が年々減少していますので、今後のあり方について検討して
まいります。
良質な生乳生産を図るため、乳牛検定組合や生乳成分検査事業の運
営について引き続き支援します。
生乳の生産目標である年4万トンの生産にむけて、初妊牛の増頭によ
り乳量増産を図る生乳生産拡大事業を実施します。
また、酪農及び肉用牛経営の持続的発展のため、生産基盤の強化と
近代化施設の整備により労働負担の軽減を図る、畜舎等の生産施設の
規模拡大整備に対する支援を検討するとともに、畜産クラスター事業の推
進にむけて取り組みを進めます。
<ゆとりある農業経営の促進>
家畜の防疫体制を強化するため、営農指導対策協議会が行う防疫機
材の購入に対し家畜自衛防疫体制整備事業として支援してまいります。
ゆとりある農業経営の実現と高齢化に対応した労働力の確保を図るた
め、酪農ヘルパー利用組合への支援を継続します。
なお、幌延町農業協同組合が実施するコントラクター事業については、
酪農支援対策事業として支援を継続します。
<担い手の育成と確保>
農業に意欲のある担い手の確保と育成を図るため、幌延町酪農担い手
育成センターが実施する新規就農、酪農実習生及び農業青年配偶者対
策に支援するとともに、希望者の発掘に努め、関係機関と連携しながら対
策の推進に努めてまいります。
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H29 町政執行方針
<自然と共生した農業の振興>
バイオマス利活用可能性調査を進め、家畜ふん尿の有効利用と農家
や地域に合った事業形態を検討して、酪農畜産業の効率化と生産性の
向上を図るとともに、循環型農業と環境保全を推進してまいります。
<豊かな森林の整備>
森林が有する水源涵養、災害の未然防止、地球温暖化防止、保健・保
養などの多面的機能を増進するため、町有林の整備事業を行うとともに
民有林の整備や未来につなぐ森づくり推進事業など造林事業も引き続き
実施します。また、有害鳥獣の駆除も進めます。
<木質バイオマス利活用の推進>
木質バイオマスの利活用については、西天北五町衛生施設組合にお
いて、「広域ごみ処理施設におけるエネルギー地産地消システム」の事業
化検討を進めていますので、事業と連携して町内の森林資源が利活用さ
れ、林業再生や地域循環型事業の創出に結び付けられるよう取り組んで
まいります。
【商業・鉱工業の振興】
商工業は、人口減少による購買力の低下に加え、支出の域外流出など
厳しい経営環境が続いています。また、経営者の高齢化とともに後継者
や技術者の確保といった課題に直面しています。
私は、幌延町商工会をはじめ関係機関との連携を深め、商工業者の事
業継続や開業を積極的に支援し、後継者や従業員の人材確保と育成を
図ってまいります。
<魅力ある商店街づくり>
地域購買力の向上と町内消費の拡大を図るため、商工会が実施する
プレミアム商品券の発行に対し支援します。
また、経営基盤を安定強化するため、商工会育成事業及び中小企業
融資事業を引き続き実施します。
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H29 町政執行方針
消費者の利便性向上と商工業活動の促進や従業員の確保支援を図る
ため、店舗や事務所、従業員の社宅等の新築、改修又は取得に対する
支援事業を促進してまいります。
<活力ある地場企業の育成と振興>
建設業の安定と振興のため、町道の改良工事や橋梁の長寿命化補修
工事など、公共事業の確保と計画的実施に努めてまいります。
また、町内事業者の体質強化と後継者や従業員の人材確保及び育成
を図るため、正規雇用の増員や研修又は資格取得に対する支援を検討
してまいります。
<特産品の創出と販売促進>
「ほろのべ」の資源を活用した地場産品や民芸品づくりを振興するため、
乳製品やトナカイ製品等の開発や湧水の活用への取り組みを積極的に
支援するとともに、トナカイや合鴨の生産強化にも配慮し、ふるさと応援推
進事業と連携させて、ほろのべ地域特産品の創出を図ってまいります。
また、北大天塩研究林と連携して幌延町産ミズナラ材を使ったワイン樽
の試験製造に取り組みます。
【観光の振興】
観光について、町では、目指す姿を『「楽しい・美味しい・美しい」に出
逢えるまち HORONOBE/ほろのべ』 ~北緯45度のゲートウェイ(関所)を
目指して~ と題し、宗谷地域を訪れる観光客の“交流点”となり、幌延町
にしかない資源を活かした体験・経験を提供するなどして、観光振興を通
じてまちが潤い元気になることなどを基本理念とする、幌延町地域振興
(観光)計画を策定中であり、まもなく完成します。
この計画は、アンケートやワークショップ等をとおして町民や旅行者の
皆様、小中学生からいただいた多くの意見や提案を基に、観光関係者や
産官学金労言議で構成された検討会で調査・検討を経て取りまとめてい
ただいたものですので、今後の観光振興は本計画を指針にして推進して
まいります。
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H29 町政執行方針
<観光資源の発掘>
計画では、基本戦略の中に北大天塩研究林を活用した教育型プログラ
ムや四季に応じた体験メニューの開発など、雄大な自然資源の活用検討
が盛り込まれ、また、秘境駅等の鉄道資源やサイクリング、カヌー等のクワ
イエットスポーツの振興など、幌延らしい新しい観光の創出と滞在メニュー
の開発を図ることが位置付けられました。
今年度においては、関係者と連携しながら、これらの検討を進めるととも
に、秘境駅の里「ほろのべ」推進事業を通じて、幌延ファンや交流人口の
拡大に努めてまいります。
<観光施設の整備>
観光施設については、トナカイ観光牧場やノースガーデン、ビジターセ
ンター等が整備されていますが、計画では、これら既存観光施設の魅力
の向上を図るべきとの方向性が示されましたので、町民や関係者と協働し
て取り組んでまいります。
また、幌延町と宗谷地域における交流・交通の要所となる拠点の整備も
基本戦略の一つに位置付けられましたので、構想の具体化に向けて検討
を進めてまいります。
<観光 PR とイベントの充実>
観光PRについては、インターネットやスマートフォンの普及を踏まえ、
動画等による情報発信の強化に努めます。また、町内飲食店や宿泊施設
の情報発信策についても、関係者と検討してまいります。
情報発信の強化にあわせ、観光案内所の整備やガイド養成についても
検討し、ホスピタリティの充実を図ってまいります。
冬のイベントを望む声が多いことから、官民協働により冬の賑わいを創
出する取り組みを検討します。
また、引き続き町出身の井上仁志観光大使にご協力をいただくとともに、
地域おこし協力隊の活動も促進させながら、幌延町のPRとイベントを充実
させてまいります。
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H29 町政執行方針
<観光振興の体制づくり>
私は、“町民みんなが活躍”することで、人口減少に負けない観光まち
おこしを実現したいと考えています。
今年度は、計画のアクションプランを策定することとし、観光に関係する
組織や団体のほか、商工業者、農業者、町民、行政など幅広い主体がそ
れぞれの役割に応じて連携・協働するために全体連絡会を立ち上げ、そ
の下に観光コンテンツ開発部会、特産品開発部会、拠点検討部会の推
進体制を設けて観光振興に取り組んでまいります。
【新産業の創出と企業誘致の促進】
<深地層研究の推進と関連施設の誘致>
深地層の研究については、幌延町が、国のエネルギー政策に協力しつ
つ地域の振興を図るとして進めてきた、これまでの経緯を十分に踏まえ、
「三者協定」や「深地層の研究の推進に関する条例」を遵守し、尊重する
中で、研究の継続と推進に向けて鋭意取り組んでまいります。
また、その他の調査又は研究開発についても、協定や条例の趣旨を踏
まえて誘致し受け入れを図ってまいります。
幌延地圏環境研究所における、褐炭層や珪藻岩層内の未利用有機物
を地下微生物の作用によりバイオメタンに変換する方法の研究開発は、
将来的には資源に乏しい日本において、地下環境有機物を新たな資源
として利用することが大いに期待されますので、町としても研究が円滑に
進められるよう更なる支援を検討してまいります。
<新エネルギー産業の育成>及び <企業誘致の促進>
本町における有用な資源である風力エネルギーを活用して風力発電
事業や関連事業者の誘致に取り組みます。
また、新たな雇用の場をつくり地域の振興を図るため、企業立地推進条
例を制定するとともに関係機関との連絡強化と情報収集に努め、企業誘
致を進めてまいります。
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H29 町政執行方針
3 健やかに安心して暮らせるまちづくり(保健・医療・福祉の向上)
次に、「健やかに安心して暮らせるまちづくり」について申し上げます。
多くの人は住み慣れたまちや家で、いつまでも健やかに安心して暮らし
たいと願っています。また、今後の幌延町を支えていく若い人達には、安
定した生活と安心して子どもを産み育てていける環境が必要です。
町では、少子高齢化や人口減少が進む中、総合戦略に、「若い世代の
結婚・出産・子育てへの支援」と「高齢者が健康で生きがいを持って暮ら
せるまちづくり」を施策の基本的方向として位置付けし推進することとして
います。
【保健事業と医療体制の確保】
<保健事業の推進>
町民の健康を維持するため、乳幼児健診や子育て相談などの母子保
健事業を推進するとともに、健康相談や各種検診、保健指導など成人保
健事業を実施します。
妊婦健康診査助成事業については、妊婦健診に係る交通費の助成対
象に、新たに出産のための通院や産後健診を加え、また出産直前の準備
のための宿泊費についても助成対象とするとともに、助成率を 1/2 から
2/3 にするなど制度の拡充を図ります。
不妊治療を受けている夫婦の経済的負担を軽減し、少子化対策の推
進を図るため、今年度から不妊治療費及び不育症治療費の助成を開始
します。
町民の自主的な健康づくり等を増進させるため、いきいきブルピーポイ
ント事業の対象を拡充します。
17
H29 町政執行方針
<医療体制の確保>
町民の安心を支える町立診療所は、初期医療と24時間救急医療体制
を確保するとともに、2次・3次医療機関との連携が図られるよう、医療スタ
ッフの確保と医療サービスの向上を図ってまいります。
今年度は、医療情報の共有と連携に資するオーダリングシステムの導
入により診療所機能と安全性の向上を図ります。また、新たに禁煙外来を
開始することとし、心療内科については患者数が増加傾向にありますので
継続します。
歯科診療所についても運営が継続されるよう配慮してまいります。
【地域福祉と高齢化に対応したまちづくり】
住民の福祉に対するニーズが増大し多様化する反面、少子高齢化の
進行や核家族化などにより、高齢者等を家族や地域で支える力が弱まっ
ています。
福祉サービスを必要とする人を支えていくために、地域の繋がりを強め
るとともに、住民等の多様な主体が参画する地域支え合い体制を構築し
て基盤となるサービスや支援が行われるよう努めてまいります。
<地域福祉活動の推進>
高齢者世帯や障がい者世帯、ひとり親家庭の低所得者世帯に対し暖
房用燃料購入費の助成を行う、冬の生活応援事業を実施します。
経済的理由で結婚に踏み出せない低所得者を対象に、婚姻に伴う新
生活を支援する新婚生活応援事業を実施するとともに、独身者の婚活を
支援する活動の促進を図ります。
<高齢化に対応したまちづくり>
一人暮らしの高齢者等が地域で自立した生活ができるよう、高齢者生
活支援事業により除雪や給食サービスを実施します。
また、緊急通報システム事業の実施や安心バトンの設置を進めるととも
に、民生委員・児童委員をはじめ民間事業者とも連携して支援活動や見
守り活動を推進するほか、町内の社会福祉法人と連携して通所型独自サ
ービスや横だしサービスなど新たな提供サービスの実施を進め、高齢者
福祉サービスの充実を図ってまいります。
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H29 町政執行方針
<介護保険事業の推進>
介護保険事業については、介護保険法の改正により平成29年4月1日
までに「介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)」を実施すること
とされています。
幌延町では介護予防・生活支援事業として訪問型サービス及び通所型
サービス等を実施し、一般介護予防事業として運動機能及び口腔機能の
向上を図る「はつらつ教室」や閉じこもり予防のための「にこにこ教室」を実
施してまいります。
また、「こざくら荘」と連携し、従来の通所介護サービス終了後の時間を
利用して、入浴や夕食等ができる独自サービスを提供します。
さらに社会福祉協議会と連携し、通院時の付き添いや電球取替えなど
の横だしサービスも実施してまいります。
高齢者の増加とともに、認知症等により判断能力が低下する住民が増
えており、権利を擁護する事業が必要とされていますので、市民後見人制
度推進事業を実施し、社会福祉協議会と連携して実施機関の立ち上げを
進めてまいります。また、認知症総合支援事業の推進を図るため、地域包
括支援センターの体制整備に努めてまいります。
介護保険事業の中心的施設である特別養護老人ホーム「こざくら荘」は、
平成23年の町立病院の診療所化に伴う増床により小規模型から通常型
特養へ移行したことで報酬単価が低下したことなどにより、収支バランスが
とれない状況ですので、運営する社会福祉法人に経営努力を求めるとと
もに、運営費の一部を支援してまいります。また、介護ロボットの導入とショ
ートスティサービス用の車両購入に対し支援します。
なお、介護保険料については、町民税非課税世帯全体を対象に軽減
の強化を図ります。
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H29 町政執行方針
【児童福祉とひとり親家庭の支援】
核家族化の進行や女性の社会進出などにより、子育て環境が変化しニ
ーズも多様化しています。このため、安心して子どもを産み育てられるよう、
家庭、地域、行政が連携して子育て支援の環境づくりを進める必要があり
ます。
<保育サービスの確保>
認定こども園の運営体制を確保し、保育サービスが低下することのない
よう配慮してまいります。
国は幼児教育の無償化を、財源を確保しながら段階的に進めることとし
ており、本町においても町民税非課税世帯やひとり親世帯等に係る認定
こども園の利用者負担額を軽減してまいります。
問寒別へき地保育所は、機能維持が図られるよう施設の一部を補修し
ます。
<子育て支援の推進>
子育て支援については、「幌延町子ども・子育てプラン」に基づき、総合
的かつ効果的に施策を推進することとしています。
放課後児童クラブや子育て支援センター、ファミリー・サポート・センタ
ーの運営が円滑に実施されるよう配慮し、子育て支援の充実を図ります。
また、子育て支援の一環として、高校生までの医療費全額助成を継続
します。
【障がい者福祉に対応したまちづくり】
障がい者福祉については、「障害者総合支援法」が目指すところの、
「地域社会における共生の実現」にむけて、障がい者への支援や福祉サ
ービスの向上に取り組んでまいります。
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H29 町政執行方針
<障がい者自立支援への対応>
障がい者等が自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、
地域における自発的な取り組みを行う団体等に対し、支援します。
障がい者等世帯の経済的負担軽減を図るため、心身障がい者や特定
疾患患者等が治療や検査などにより町外の専門医療機関等へ通院もしく
は通所する場合の交通費又は宿泊費の一部助成を継続します。
<障がい者福祉施設の支援>
知的障がい者の暮らしの場、生活支援の場となる「幌延町立北星園」に
ついては、指定管理者である社会福祉法人「幌延福祉会」との協定に基
づき、業務の適正かつ円滑な管理運営が図られるよう努めてまいります。
グループホームでの生活の安全確保と快適性向上のため、スプリンクラ
ーの設置及び浴場等の改修に対し支援します。また、グループホームの
新規整備についても支援してまいります。
【社会保障の充実】
国民年金は、受給資格を得るために必要な保険料の納付期間を25年
から10年に短縮する改正年金機能強化法が今年8月に施行され、対象
者は10月から新たに年金を受けられることになりますので、年金事務所と
連携して年金制度の広報や相談業務に努めてまいります。
国民健康保険事業は、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等に
より制度を安定化させるため、平成30年度から運営主体を市町村から都
道府県に移すこととされていますので、円滑な移行に向けて作業を進め
てまいります。
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H29 町政執行方針
4 心豊かな人と文化を育むまちづくり(教育・文化の振興)
次に、「心豊かな人と文化を育むまちづくり」について申し上げます。
地域を支え、まちを興していくのは「人」であり、まちづくりの基本は「人
づくり」にほかなりません。
次代を担う子どもたちが、郷土に愛着と誇りを持ち、そして将来への夢
と希望を抱き、その実現に向かって学ぼうとする意欲を育むための教育環
境づくりを進めてまいります。
また、各々が生涯をとおして豊かに学び、生きがいを実感できる社会形
成が望まれています。幼児から成年、そして高齢者まで、それぞれの年代
に応じた多種多様な学習機会の創出を図ってまいります。
今年度は、各小中学校情報通信機器等整備事業と外国語指導助手派
遣事業を引き続き実施するとともに、各小中学校のLANシステムとテレビ
会議システムの改修を行い、教育活動の推進と環境整備を図ります。
社会教育の分野では、問寒別パークゴルフ場整備事業としてクラブハ
ウスや芝刈機を整備します。また、軽体操教室やキッズダンス教室など社
会体育振興事業の充実を図るとともに、地区住民からの要望により、開進
地区体育館の解体を行います。
私は、総合教育会議において協議し策定した幌延町教育大綱に沿っ
て、未来の幌延町を担う子どもたちの健やかな成長と、創造性豊かな生涯
学習社会の実現に向けて、幌延町教育委員会の教育行政執行方針を尊
重しながら、学校教育及び社会教育の充実に配慮してまいります。
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H29 町政執行方針
5 自然に恵まれ安全で快適なまちづくり(生活環境の向上)
次に、「自然に恵まれ安全で快適なまちづくり」について申し上げます。
幌延町は、緑が豊かで道路や建物などが整備され、快適そうなまちだと
言われており、私たちの誇りとするところです。
これまで先人が切り拓き、整備してきた大地と社会資本をしっかり受け
継ぎ、今後も自然と調和した、安全で快適なまちづくり施策を進めてまいり
ます。
【道路・交通体系の整備】
<国道・道道の整備>
道路整備については、国道40号幌富バイパス幌延インターの立体交
差工事が進み、天塩防災道路では天塩大橋の架け替え工事が進んでい
ます。今年度も引き続き事業が継続されますので、事業推進と早期完成
に向けて国に要請してまいります。
道道稚内幌延線の幌延郵便局前交差点から幌延小学校付近交差点
までの道路整備やホロノエル通りの歩道整備については、車両や通学児
童等の歩行者が安全に通行することができるように、事業の推進に向けて
北海道へ引き続き要請してまいります。
<町道の整備>
町道整備については、幌延下沼線と下沼線の道路改良を引き続き実
施するほか、新規に幌延北進線の実施設計を行い、問寒中問寒線、問寒
18号線、幌延3号線、中問寒上問寒線の道路改良を実施します。
橋梁については、長寿命化修繕計画に基づき、豊栄橋、十五線橋の
補修工事と六号橋、酪農橋の実施設計を行います。また、28橋のストック
点検を実施し、久喜橋、日の出橋の護岸修復も実施します。
道路維持については、除雪トラックの更新を行い、道路橋梁の整備と維
持管理を適切かつ計画的に進めながら、道路交通の安全確保に努めて
まいります。
23
H29 町政執行方針
<交通体系の確保>
鉄道については、JR北海道が経営危機の状況にあることから、昨年、
持続可能な交通体系のあり方について考え方をまとめ、宗谷線について
は維持困難な路線であるとし、鉄道サービスを持続的に維持するための
費用確保方策について、地域に提案がされています。
幌延町に係る事項としては、経費節減策として、これまで普通列車の減
便や工務系職員の集約化、糠南、南幌延及び下沼駅の廃止、特急列車
の運行見直しなどが提案されてきました。また、宗谷線維持に向けた方策
の協議についても、今年度から本格的な論議に入っていく状況です。
町としては、普通列車減便対策として講じられた町民乗車票の取扱い
について、利用が促進されるよう購入等の利便性向上を図ってまいります。
また、廃止提案のあった3駅については、当面、町が費用負担して維持管
理します。
宗谷線については、北海道は今後のロシア極東地域と本道とのさらな
る交流拡大の可能性を踏まえ、引き続き鉄路の維持を図る必要があると
の考え方を持っており、大変心強く思っています。今後、北海道や関係市
町村と一層連携しながら鉄路の維持に向けてまい進してまいります。
また、秘境駅の里「ほろのべ」推進事業による企画イベントや、ふるさと
応援推進事業、地域おこし協力隊運営事業など、施策を連携させながら、
鉄道や駅の利用促進を図ってまいります。
住民の生活交通対策については、宗谷線の動向を考え合わせながら
公共交通不便地の利便性向上や通院・買い物等の生活支援にも対応で
きるような制度の構築に向けて、取り組んでまいります。
【住宅と公園・緑化・水辺の整備】
<公営住宅の整備>
公営住宅については、機能の維持を図っていくために計画的な補修に
努めてまいります。
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H29 町政執行方針
<宅地の確保・供給>
幌延町の人口減少対策の一つとして、移住定住促進事業を実施して
います。今年度は、空き家・空き地バンクへの登録とその活用を促進させ
るとともに、民間活力による賃貸住宅の確保と住環境の整備を目的とする
「民営賃貸住宅建設促進助成事業」と、持家住宅の新築や中古取得・改
修等を奨励する「定住促進持家住宅建設等奨励事業」の活用促進を図り
ます。
また、総合戦略事業等との連携と地方創生拠点整備交付金等の活用
を図り、移住定住用住宅や移住体験住宅等の整備を進めてまいります。
<公園の整備>
公園管理については、山村広場の施設保全のため塗装を行うとともに、
名林公園内の外灯をLED化します。
ふるさとの森・森林公園は、改修計画を検討しているところですが、安
全管理に配慮するとともに既存の施設を活用しつつ、利用者のニーズに
対応したものとなるよう、今年度からの着工に努めてまいります。
【上水道と下水道の整備】
簡易水道については、老朽化している機器や水道管の更新を進めるな
どして水道水の水質保全と安定供給に努めています。今年度は、引き続
き水道管路図のデジタル化を進めるとともに、問寒別配水池に水位計を
設置します。
農業用水道施設については、集落人口と乳牛飼養頭数の減少により、
供給水量が減少していることに加え、農業者による施設の維持管理が厳
しくなってきています。また、老朽化による設備の故障や水質の悪化が懸
念されますので、今後は町が管理主体となる簡易水道化を基本に、利用
者の皆さんと協議しながら施設整備を進めてまいります。
公共下水道事業については、管路の維持清掃等を実施するとともに、
施設の長寿命化計画に基づき下水道管理センターの中央監視装置の更
新を実施して、適切な管理に努めてまいります。また、集落地域の合併浄
化槽を整備する個別排水処理施設整備事業についても、引き続き希望
者の要望に応えてまいります。
25
H29 町政執行方針
【環境衛生の向上】
<適正なゴミ処理の推進>
家庭等から排出される一般廃棄物については、その再資源化により一
般ゴミの減量化を図り埋立処分場の処理可能年限を延ばしていくことが必
要です。そのため、西天北五町衛生施設組合と連携してゴミの適正な分
別と排出について周知啓発を図ってまいります。
<環境保全と生活環境の向上>
地球温暖化への取り組みは、2020年以降の温暖化対策の国際的枠
組みが定められた「パリ協定」が昨年発効し、我が国も批准しているところ
です。幌延町においても再生可能エネルギーの積極的な導入や省エネ
の推進により、温室効果ガスの排出量を削減し、地球環境の保全に貢献
してまいります。
住宅用太陽光発電施設設置や電気自動車等の導入に対して補助を
行う、「クリーンエネルギー普及推進事業」を継続するとともに、街路灯のL
ED化事業を拡大し推進します。
【消防・防災体制の充実と防犯・交通安全対策の推進】
<消防・救急体制の充実>
町民の安全を守るため、消防・救急体制の整備を進めます。
消防団活動の安全性を確保するため、団員用防火衣等を更新します。
問寒別分遣所については、新庁舎とサイレン塔の建設に着手します。
なお、消防職員の常駐化に向けた体制整備に向けても準備を進めてまい
ります。
消防車両や放水ホース等については、機能維持が図られるよう計画的
に更新してまいります。
26
H29 町政執行方針
<防災体制の充実>
我が国の防災対策は、東日本大震災を機とする災害対策基本法の見
直しにより、災害対策に当たっては災害時の被害を最小化する「減災」の
考え方が取り入れられ、住民の避難に関することや防災教育など市町村
が果たすべき役割が増しています。
本町においては、最新の情報と被害想定に基づく地域防災計画の改
訂が間もなく完了する見込みですので、計画に沿って自主防災組織と連
携しながら防災意識を高める取り組み等を進めてまいります。
また、災害発生時の初動マニュアルや災害の種類に応じた避難行動マ
ニュアルの整備を進めるとともに、ハザードマップの見直しや備蓄品の整
備など災害に備えた体制を強化してまいります。
<防犯・交通安全対策の推進>
町民の安全確保と犯罪防止のため、老朽化した防犯灯や街路灯の更
新を進めます。
交通安全意識の高揚と交通事故から児童等を守るため、児童用ヘルメ
ットの貸与とチャイルドシート着用促進事業を継続します。また、事故が多
発している交差点等への交通安全施設の整備については、対策が講じら
れるよう関係機関との調整に努めてまいります。
27
H29 町政執行方針
❑ む
す
び
以上、平成29年度のまちづくりに臨む私の所信と施策の概要を申し上
げました。
幌延町の地に開拓の鍬がおろされてから118年になろうとしています。
鬱蒼とした密林に覆われた大地を開拓した先人たちの労苦は筆舌に尽
くし難いものがあり、前人未踏の地に踏み込むことを恐れない勇気と旺盛
な行動力を持った開拓者魂、そして、どんな苦労や困難にも挫けない不
撓不屈の心によって幌延町の礎が築かれ、私たちは今日の繁栄を享受し
ています。
私たちは、北緯45度の厳しい風雪に耐え、幾多の苦難を乗り越えて、
今日の「ほろのべ」を築いてこられた偉大な先人たちに学び感謝するとと
もに、その意志を受け継ぐ者として、「開拓者魂」と「不撓不屈の心」をもっ
て、山積する課題に立ち向かい、信じた明日の夢に向かって、総力を結
集させて幌延町の2世紀目を創造していかなければなりません。
ここに、町民ならびに議員の皆さんの、深甚なる御理解と御協力をお願
い申し上げ、町政執行方針といたします。
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