村悟空・千葉 2014年2月20日

村悟空公開確認会
(農)村悟空
公開確認会(2014 年 2 月 20 日)監査報告
パルシステム生活協同組合連合会新農業委員会
パルシステム千葉とパルシステム連合会は2月20日(木)、千葉県にある産直産地、農事組合
法人村悟空で公開確認会を開催しました。
■生産者と消費者88名が参加
公開確認会は、1999 年からスタートした生産者と消費者の二者が産地で生産状況を確認するパルシステム
独自の制度です。
「(農)村悟空公開確認会」は、千葉県旭市の干潟公民館を会場に、パルシステム千葉、パルシステム連
合会の共催で開催されました。関東が大雪に見舞われる中、開催が危ぶまれましたが、当日は天候にも恵ま
れ、会員生協や関東近郊の産直産地など、総勢 88 名が参加しました。
農事組合法人村悟空は 1994 年、生産者約 20 名で創立されました。村悟空がある千葉県旭市は一年を通じ
て温暖な気候で、きゅうり、ミニトマト、大根、大葉、パセリ、長ネギ、おくらなどを様々な品目を栽培し
ています。
産地名「村悟空」の由来は、村=集団(団体・組合)
、悟=悟り(物事の意味を知り、理解する)、空=天
(天からの恵みを受ける)
。天の恵み(自然)を受け、農業を理解し、生産者同士が共に天竺(理想郷)を目
指す団体という意味です。
開会に際し佐々木博子理事長は「生産者と消費者がお互いにどのような農産物を求めていくのかを考え、
共有し、二人三脚で産直を作り上げていく場にしたい」、村悟空の嶋田良一代表は「消費側から見たらおかし
な事、理解しがたい事項があれば、是非、指摘して頂きたい。それにより、よい産地になると考えています。」
とそれぞれ挨拶がありました。
■産地の取組報告
産地プレゼンテーションでは、地元で出る畜糞などを使った自家製たい肥を中心とした土作りを行ってい
ること、土壌中のセンチュウ対策には太陽熱(50℃以上)を利用していること、作物の連作障害対策として
対抗性植物などの緑肥を採用していることなどが栽培の特徴として紹介されました。
特に、栽培については、自然循環に則った農法を生産者全員で実践していく証として「エコファーマー」
(持続性の高い農業生産方式導入計画認定者)の取得が会の規約として義務づけられ、更に千葉県が独自に
取り組む「ちばエコ農産物」の認証も取得するように努めています。
今回の監査品目である「エコ・大根」は、千葉県の特別栽培基準以上を目指し、化学合成農薬、化学合成
窒素量も慣行栽培基準の半分以下に抑えて栽培されています。それに加えて、土壌くん蒸剤と除草剤も使わ
れていません。村悟空では、その他の品目もエコ・チャレンジ栽培は千葉県の特別栽培基準以上で栽培する
ことを目標とするよう、部会として基準を設けています。
2002 年に開催された 1 回目の村悟空公開確認会がきっかけで、女性部会「たんぽぽ倶楽部」を結成し、
、
組合員向けの料理講習会の開催やオリジナルレシピの開発など、交流事業を支える大切な役割を担っていま
す。また 2006 年に結成された青年部は、生協まつりへの参加や産地交流会で組合員が収穫する圃場を管理
していることが紹介されました。今後を担う若い世代がしっかりと育っていることを実感しました。
産地として、
「生産技術の向上と安定生産」
「取扱高の拡大」
「産直活動を通じての地域貢献」といった課題
をどのように解決していくか、今後の取り組みに期待が膨らみます。
圃場視察の前の昼食では、村悟空の野菜を使ったパルシステム千葉夕食宅配パルご膳とたんぽぽ倶楽部お
手製のサラダ、豚汁も振舞われ、大好評でした。
■「エコ・大根」「エコ・キャベツ」の圃場視察
監査品目「エコ・大根」の圃場と作業場、
「エコ・キャベツ」の圃場を2つのグループに分かれて視察しま
した。
「エコ・大根」の圃場では、生産者の嶋田清治氏から栽培上の工夫や使用する農機具、作業場での検品
など、栽培から出荷までの流れを説明していただきました。
圃場に大根を植える前に、緑肥を栽培して鋤きこんでいること、何度も繰り返し選別して出荷すること、
規格外になった大根は破棄していること、等の話がありました。
「エコ・キャベツ」の圃場では、生産者の加瀬茂さんから栽培、収穫について説明がありました。
村悟空公開確認会
■産地の今後に期待
圃場から戻り、監査人からの所見報告がありました。監査人からは「パルシステムの基準以上の取組みを
行っている事に感心しました。」「書類をいろいろ拝見し、日々の努力がひしひし伝わってきた。圃場を拝見
し、ご自身で魚かすなどを配合して堆肥を作っている事を知り、堆肥まで手間隙かけて作っていると感激し
ました。」
「有機物の循環を地域で行っている点が良かった。地域の廃棄物など、捨てるものを上手く利用し
て土作りをすることは旭の立地に合った農業のやり方で、非常に参考になります。」と取組を評価する所見が
出されました。また、
「この地域は若手が多く活動しているので、次の世代が地域に根差して農業を行ってい
る事をアピールして欲しい。」
「設立当初より生産者の数は増え、今は見る限り 30 名はいる。プレゼンテーシ
ョンを見ると 1.5 倍の売り上げの拡大も出来ている。欲を言えばもっと村悟空の生産者、若手青年部の活動
をフューチャーして欲しかった。」
「今でこそ、トレーサビリティーが一般的になったが、昔は全く普及して
おらず、本日のように帳票も綺麗に整備されていなかった。そのため、監査される書類を皆で作っていた。
若手もベテランも頑張っており、産地を今以上に成長させてほしいと感じる。2 度目の公開確認会の開催だ
が、産地のレベルアップを非常に感じた。」と今後に期待する所見も出されました。
産地受け止めとして、嶋田代表からは「多くが褒め言葉と、応援言葉に聞こえ、もっと厳しい意見を覚悟
していた。今日の監査に甘えず、今後とも自分達で律して生産を行っていきたい。」と述べました。最後にパ
ルシステム千葉小田育美理事から「現場と、我々消費者は違う立場ですが、次世代に環境を残したいといっ
た面では共通しています。これからも協力してよりよいものを作っていきたいと思います。」と閉会の挨拶が
あり、公開確認会は終了しました。
▲パルシステム千葉 佐々木博子理事長
▲産地プレゼンテーションの様子
▲大根に使う肥料や農機具の説明を受ける
▲村悟空
嶋田良一代表
▲たんぽぽ倶楽部(女性部)の皆様
▲エコ・大根圃場では、生育状況も確認。
村悟空公開確認会
村悟空 公開確認会所見のまとめ
1、 産地の理念・事業内容について
・村悟空の理念は、概要報告からパルシステムの産直四原則と合致していることが確認できた。
・環境への配慮と後継者育成が理念の中に掲げられている。
2、 産地の組織や意思決定について
・組織図や内部規定から、組織の役割や責任関係は明確であり、事業計画・方針・活動計画は毎月の勉強会
や報告会などで審議していることがわかった。従って組織内部の取り決め等は共有化されている。
・栽培申告用紙の記入により、どの畑でどのように栽培されたかがわかるようになっている。
3、 産地の栽培基準について
・ジーピーエスとの会議で作付が決定される。
・生産基準は県の慣行栽培及び土壌診断書の結果より決定する。
・栽培する際の手順書やルールは生産工程内部規定に記されている。
・品目別に部会があり、定期的に会議が行われている。その会議で栽培基準の見直し等が行われている。
・産地自主点検を二者で行い、もれのないよう工夫されている。
・栽培基準書が作成されており、栽培時のルールや手順が文書化されていることが確認できた。
4、 栽培の実践について
・エコ・大根の場合、土壌くん蒸剤は使用禁止である。
・除草剤は圃場には使用しない。
・エコ・大根の場合、土壌中のセンチュウに効果があるカバークロップを作物の休閑期に栽培したり、太陽
熱を利用して土壌を殺菌を行なう等、土壌くん蒸剤を使わない工夫がされている。
・使用する農薬を春に話し合って、むやみに数を増やさないようにしている。
・エコ・大根の場合、栽培確認書により、化学合成農薬散布回数・削減率 70%、化学肥料使用量・削減率 50%
であることがわかった。
・豚糞、牛糞、鶏糞、魚かす、もみがら、マッシュルーム菌床、豆腐かす(原料の大豆が Non-GMO であるか
確認して使用)を使った土づくりを行っている。
5、 表示・出荷について
・大根を抜いた時、畑から軽トラックに載せて移動する時に検品して規格外のものを取り除いている。それ
から袋詰めの時も検品を行い、規格外のものを出荷しないようにしている。
・「エコ・チャレンジ」のカードや『産直いきいき品質』のカードは分けて保管されていた。
・管理規定や格付け表を基に適切に管理されている。
・出荷場はきちんと整理・整頓されており衛生的であった。
6、 その他
・青年部や女性部会(たんぽぽ倶楽部)があり、確認会当日の発表から活動は活発であることがわかった。
・生協祭りや各センターでの催しに参加しており、商品がすぐに売り切れる程人気がある。その他に料理講
習会やレシピの開発等も行っている。
・定期的に土壌診断や放射能検査を行っている。
・旭市の震災復興イベントに参加した。
監査人名簿
1 パルシステム千葉
2 パルシステム千葉
3 パルシステム千葉
4 パルシステム千葉
5 株式会社ジーピーエス
6 パルシステム連合会
組合員
組合員
理事
理事
事業本部長
産直・商品活動部
久我
奈良
佐藤
村上
工藤
高橋
桂子
扶規子
尚子
佳代子
友明
英明
村悟空公開確認会
※ 監査シートの自由記載欄及びレポートの「産地への応援メッセージ」に記入いただいた内容を掲載しました。
・5mm ほどの大きさの大根の種は、7000 粒撒いて 5000 粒発芽するそうです。発芽率は 7 割だそうです。
発芽しても、昨今の異常気象で害虫の被害(タネバエ)を受けやすく、また以前より被害が大きくなった
そうです。色々工夫してせっかく育てた大根が規格外になると廃棄になってしまいもったいないです。
小さな種がしっかり根付き立派な大根に育ったのは、生産者の丁寧な土づくりや栽培の取組によるものと
いうことを、話を聞いて実際に目で見ることが出来よかったです。ありがとうございました。
・パルシステムとの協定や組合で取り決められた基準をさらに上回る努力をされていることが、この公開確
認会に参加してよくわかりました。今回は、とても貴重な体験をさせて頂き、より安心・信頼する気持ち
となりました。私にできる範囲での応援をしていきたいと思います。ありがとうございました。
・お昼にいただきました豚汁とサラダバーが本当に美味しかったです。豚汁にマッシュルームは初めてでし
たが、あの食感が忘れられません。ふだん冬にはあまり生野菜を食べないのですが、この度のサラダバー
のどれも驚くほど美味しいこと!実に幸せなランチタイムを過ごさせていただきました。たんぽぽ倶楽部
の皆様、ありがとうございました。
生産者のお話を伺えば伺うほど、その苦労とご努力に感心させられます。ただでさえ厳しいエコ栽培の基
準に加えて、このところの異常気象でマニュアルが意味をなさなくなっているとのこと、胸が痛みます。
それでも、こだわり続けて下さる環境保全型・資源循環型農業の実践によって、私達は大いなる安心感を
いただいております。そして、その安心感によって美味しさが増すような気がいたします。大根の葉っぱ
も、人参の皮も、キャベツの外葉も・・・安心して残すところなくいただいております。
この度、実に様々なことを学ばせていただき、想像力の幅が広がりました。又根の大根は届かないのでし
ょうが、少し曲がった大根が届いたらセンチュウがいたのかな?お隣さんがいなくなってしまったのか
な?というように。曲がっていても細くても虫喰いでも大丈夫!家族で想像力を働かせて有難くいただき
ます。
大根にタネバエの被害があまり広がりませんこと、加瀬さんのキャベツが大きくなることをお祈りしつ
つ・・・応援メッセージとさせていただきます。ありがとうございました。
* 編集の都合で、加筆・修正している箇所があります。