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フォルクスワーゲングループは、
ITの俊敏性向上とイノベーションの活性化に向け、
Mirantis OpenStackを導入
全フォルクスワーゲンブランドとグループ企業にわたる
アプリケーション開発の迅速化とグローバルな次世代クラウド環境を低価格で実現
フォルクスワーゲングループ事業内容
業界
フォルクスワーゲングループは年間(2015)約990万台の自動車生産実績を誇る、
• 製造業
世界第2位の自動車メーカーであり製造業界における技術革新の世界的なリーダー
• ドイツ本社
でもあります。ドイツを拠点とする同グループのブランドは、
アウディ、
ポルシェ、
ラン
ボルギーニ、ベントレーを始めとする様々なブランドを有し、
これらのブランドで世
界153カ国にわたり自動車販売事業を展開しています。
• 従業員 610,000 名
課題
• ITインフラストラクチャの標準化と自動化
• イノベーションとアプリケーションデリバリーの速度向上
• ITインフラストラクチャのコスト低減
ソリューション
• Mirantis OpenStack Private & Hybrid Cloud
図1. フォルクスワーゲングループブランド
2015年同社は、118億ユーロ以上の技術開発投資を行い、
トラック、試験システム、
• Intel x86 based servers
• Cloud Foundry open source PaaS
金融、
リース、車両管理を含め2133億ユーロの収益をあげました。1937年に設立さ
ベネフィット
れた同グループは、一般大衆向け自動車ビートルの販売によって世界中から注目を
• 迅速なITプラットフォーム展開:数カ月から数時間へ
浴び、現在も自動車産業をリードし続けています。今日世界で約61万人いる従業員
は新たなマーケット革新者として、
エネルギー効率の向上、
自動運転、
コネクテッドカ
• 開発者の柔軟性、イノベーションの向上
ーを始めとする技術革新の実現に向け、積極的に活動しています。
• ITインフラストラクチャのコスト減
一方で、
これらの市場参入に向け新たなビジネスモデルを構築し、事業変革をより迅
引用
速に推進するために、同社はIT変革の必要性に迫られていました。IT変革に向け同
グループの経営陣は、
グローバル標準のITプラットフォームそして次世代のグループ
ITクラウドとしてOpenStackの導入を決定しました。
「ミランティスはクラウドの拡大に応じて優れたトレーニング、
サポート、そして運用知識を継続的に提供し続けてくれます。
今やMirantis OpenStackは、フォルクスワーゲンの開発者が
ソフトウェアを迅速に開発・提供するために
重要な役割を担っています。」
- フォルクスワーゲングループ IT運用サービス&インフラ担当
コーポレート・ディレクター
マリオミューラー
©2016 Volkswagen AG, and Mirantis, Inc.
フォルクスワーゲングループの挑戦
近年自動車産業界は、
自動車のデジタル化を推し進めており、
さら
にはモバイル機能やスマートサービスを導入しています。
そして、
スマートパーキングやナビゲーションシステムなど、将来に向けた
ソリューション提供のために、
アジャイルソフトウェア開発に注力
しています。
用や規模によっては、法外な費用が発生する場合がある、
と感じて
いました。
「我々が展開する大規模なワークロードやビッグデータ
プロジェクトは、
パブリック・クラウドには適していません。」
とミュ
ーラー氏は語ります。
以上の調査結果から、新たな次世代ITプラットフォームの模索を
新車開発や上記に代表される、新たなサービス導入実現に向け、
同グループのエンジニアは、
自動車産業界をリードする研究開発
環境を必要としていました。
しかし、当時のIT環境は、様々なシス
テムが孤立しており、集中的に管理されていませんでした。
ブラン
ド、部門、
そして先進プロジェクトは、
それぞれ異なるITプラットフ
ォームを利用していたため、同社は幾多の技術や開発用ツールに
対する多大な投資が必要でした。
開始しました。2015年初頭、
フォルクスワーゲングループ全社に
わたる横断的な組織を設立し、同グループのあらゆる要求に応え
ることのできる、効率的な統合システムの検討を開始しました。
「自動車産業界は、今や様々なサービスを提供する方向にシフトし
ています。
フォルクスワーゲンは、
クラウドプラットフォームを採用
し、
ソフトウェア開発の迅速化を図り、革新的なソリューションを
素早く市場に投入しなければなりません。
クラウドは、我々の成長
以前のITプラットフォームでは、特殊なハードウェアを必要とする
場合もあったため、
その調達期間も長期にわたり、
かつ新たな環境
を構築するためには多くの工程を人手に頼る必要がありました。
さらに、
ストレージ・ソリューションは、高価な上に導入後もアプリ
ケーションによってストレージが使用されていくため、2年ごとに
その容量を2倍にする必要がありました。
をサポートするための最良の手段なのです。」
とミューラー氏は語ります。
ソリューション
革新的な新サービスを早期に実現するために、同社のグループIT
部門は、ITプラットフォームの導入時間を月単位から時間単位へ
と短縮する必要がありました。
それは、同グループのITインフラス
同グループのIT運用サービス&基盤技術担当ディレクター、
マリ
オ・ミューラー氏は、次のようにコメントしています。
「私の部門には、
フォルクスワーゲングループ内の研究開発部門を
始めとする様々な部門から、
たくさんの要望が挙がってきます。 これらの多様な要望に応えるには、非常に複雑な管理を行わなく
てはならず、社内ユーザーの様々な要望に対して、
より迅速に、IT
環境を提供するためには、次世代クラウドプラットフォームの実現
が必要不可欠でした。」
トラクチャーを再構築すると同時に、
プライベート・クラウドへの
移行を意味しました。
検討開始当初、
グループIT部門は同社独自のソリューションを検
討しました。
しかし、同社の早いイノベーションサイクルに対応す
るためには、オープンソースクラウドプラットフォームを活用した
方が、
より早く新たな技術導入に対応できることを、実感していま
した。
自然な成り行きとして、OpenStackを検討することとなりま
した。
フォルクスワーゲンは、豊富な機能と特定ベンダーへの依存
中でも、ITインフラチームには、
フォルクスワーゲングループ内で
一貫した作業手順やプラットフォームの自動化が求められました。
新たな標準インフラストラクチャーには、重要なデータを維持する
ためのレガシーアプリケーションを継続利用しつつ、既存の開発シ
ステムからの移行が求められました。
性の低さからOpenStackを高く評価しました。
その後、
フォルクスワーゲンは、各社の提供するディストリビュー
ション版OpenStackの評価を行い、2社に絞り込みました。
フォル
クスワーゲンは、
ミランティスともう1社を本社に招き入れ、64の
ユースケースにわたるデモと機能検証を実施しました。
新システムは、
アジャイルソフトウェア開発を実現すると同時に、
例えばスーパーボウルのような大きなイベントでのキャンペーン
発表による、
ウェブサイトへの急激なアクセス数増加への対応な
ど、様々な要件を満たす必要がありました。加えてドイツでは、
パブ
リック・クラウドに対して厳格な個人情報秘匿保護の法律やデー
タ保管ポリシーが設けらています。世界中の各地域・国においても
同様に固有のルールやポリシーがあります。
更にインフラストラクチャーチームは、パブリック・クラウドは、運
Mirantis OpenStackはフォルクスワーゲン社の提示した要件の
うち、98%を満たしていること、
そして確実に迅速に展開できるこ
とが評価され、
ミランティスが選定されました。
「ミランティスは、
より安定した堅牢なディストリビューション版を
提供するのみではなく高い技術的専門知識を備えています。
また、
OpenStackコミュニティにも深く関与しています。」
と、
フォルクスワーゲングループのインフラストラクチャー事業部の
部長を務めるホルガー・アーバン氏は言います。
©2016 Volkswagen AG, and Mirantis, Inc.
OpenStackコミュニティに、深く関与することによって、
ミランテ
参加した開発者のOpenStack環境への移行と利用を促進するた
ィスはクラウドへの移行を推進するための高度な機能を提供する
めに、
ミランティスとインテルは、同社の経験を参加した開発者た
ことにつながる、
とフォルクスワーゲンは確信します。
ちと共有しました。
2015年10月フォルクスワーゲンは同グループ内のすべてのブラン
「このようなコミュニケーションやワークショップは、開発者が最
ドや部門にわたる、統合クラウドプラットフォームとしてMirantis
新のプロジェクトの状況を理解し、
クラウド環境に関するより深い
OpenStackの導入を開始しました。次世代クラウドプラットフォ
認識を養うことに有用です。」
とアーバン氏は述べます。2016年に
ームは、本社から、
スタートアップ文化を持つサンフランシスコの
は、
フォローアップワークショップやトレーニングも予定されてい
先進技術研究所、
そして北京、
ベルリンの研究所に至るあらゆる部
た。導入に先駆けて行われるこれらの広報活動は、今後のクラウド
門も対象でした。新クラウドプラットフォームは、従業員、
サプライ
への移行と実運用に向け、極めて重要です。
ヤー、
ディーラー、
そして顧客にまでカバーすることのできるプラッ
トフォームです。
また、OpenStack開発者コミュニティとの協力も、重要な活動の
一つです。
「コミュニティとの情報交換はとても重要です。
われわれ
フォルクスワーゲンは、OpenStackの利用する立場としてだけで
なく、
自動車産業界に革新的なOpenStackの機能を提供する立
場からも、OpenStackに貢献するつもりです。」
とミューラー氏は
語ります。
OpenStackを利用し、開発者が新たなアイデアを、
その場でテス
トし、
デプロイすることができる、CI/CDツールチェーン導入によ
って、
フォルクスワーゲンは、真のDevOps文化をもたらしました。
図2. ヴォルフスブルクデータセンター サーバーおよびストレージ容量
同社はドイツ・ヴォルフスブルクにデータセンターを、新たに建設
しました。
同データセンターは2016年末の時点で、5,000のインテ
ルx86コア、150,000GBメモリー、500TBのストレージを備えてい
そして同氏は「ミランティスとOpenStackに寄せる全幅の信頼の
元、
フォルクスワーゲングループは、2部門・12ブランドで今後導入
される新たなアプリケーション全てをクラウド上で利用することを
決定しました。」
とも語っています。
ます。
そのデータセンター内に設置された、
インテルベースのサー
バー上でOpenStackを稼働させています。2,000平方メートルの
面積と900コアを利用しています。図2をご参照ください。
コンピュートノード上ではオープンソースであるKVMハイパーバ
イザーを、分散オブジェクトストレージとしてCephをインテルベー
スのx86サーバ上で稼働します。
「Mirantis OpenStackは、新技術のみならず社内システムとの連
携も容易であるため、
フォルクスワーゲングループのインフラに関
するリスクを排除してくれます。」
と、
アーバンは述べます。
クラウドへの移行を速やかに行うために、
グループITは、OpenStack導入の計画を全世界の同社内向け社内報や会議を通じて
発信しました。
また、2015年9月、
ヴォルフスブルクにて開催された
OpenStack Daysに続いて、2015年12月、2日間のOpenStack
Developers Conferenceも同じくヴォルフスブルクにて開催しま
した。
このイベントには、全世界から100名以上の同社開発者が参
加しました。
このイベントを通じて同社開発者は、次世代ITクラウ
結果
2015年12月31日のグループITクラウドの開始と同時に、初期段
階からの開発者との相互理解のもと、
フォルクスワーゲンは最初
のテナントとして、
カスタマーサービスグループへのサービス提供
を開始しました。
それに先立つ数ヶ月の間、既存のビッグデータに
関するアプリケーションの書換を行いました。
このアプリケーショ
ンはワークロードの変動が大きいため、既存のプラットフォーム上
で運用することは、非常に困難でした。
現在、
このグループは、真のアジャイルIT開発文化の浸透に向け、
コンテナとマイクロサービスの評価を行っています。
「私たちのアプリケーション開発における、技術要件に最もふさわ
しいと考え、我々はグループITクラウドの利用を決めました。」
と、
フォルクスワーゲングループのプログラムアーキテクト ヒスチャム
・アブルオラは説明します。
ド環境にまず最初に登録した上で、デモやハンズオンによる実際
の操作を通じて学習していきました。
©2016 Volkswagen AG, and Mirantis, Inc.
新しいプラットフォームの払い出しに要する時間は、数ヶ月から数
分へと、劇的に短縮されしました。
その操作も数クリックするだけ
と、非常に簡単です。事実、最初の成功を発表するときにはカスタ
マーサービスグループは既に4以上のアプリケーションを作成し
ていました。
しかも、
クラウドアプリケーション開発はとても簡単に
行われました。
現在、
グループITクラウド上には既に200以上のテナントで700人
以上が稼働し、
フィードバックをもたらしています。
この初期の経
験は、
これまでの多様なITプラットフォームが混在した環境と比
べて、
プライベートクラウドは、
より低価格のプラットフォーム体系
図4. Touareg、2005年に勝利した自律型自動車
長距離レースであるDARPAグランドチャレンジにて
であることを証明しています。
2016年半ばには、
フォルクスワーゲングループは、
グループITクラ
ウドをPaaS(Platform-as-a-service)として利用することを計画
しています。
この環境では、更なる開発サイクルの短縮と、
アプリケ
ーション品質の向上を図るため、新たなCI/DCツールチェーンを
導入予定です。
フォルクスワーゲンは、ITの運用体系を、再構築するのみだけでな
く、企業文化も再構築しています。以前のITプラットフォーム部門
は、
サーバー、
ストレージ、
ネットワークと技術別に分かれていまし
た。現在では、
これらの技術別グループは、
クラウドとアプリケーシ
ョン運用を中心にイノベーションを主導し、迅速に提供するための
クラウドチームとして統合されています。
「先進的な企業文化は、
イノベーションに対する新たな心構えを養
います。我々のチームは、新技術を採用するとともに企業文化に影
響を与えることにも興味をかき立てられています。
フォルクスワー
ゲンのIT部門は非常に魅力的な職場です。」
とアーバン氏は語りま
す。
図3. ハイブリッドグループITクラウドへの計画
その段階では、現在、実環境において利用されているアプリケーシ
ョンサービスをグループITクラウドに移行します。例えば、一般ユ
ーザを対象として自動車のカスタマイズを行うことができる商用
アプリケーションサービスを展開中ですが、
このサービスを6ヶ月
以内にグループITクラウドに移行する予定です。
その他、
スマート
・プロダクション分析、3Dレンダリング、
フォルクスワーゲン社の革
新的なWeDriveカーシェアリングアプリケーションもグループIT
クラウド上に移行する予定です。
フォルクスワーゲンの次のステップは、Mirantis OpenStackを基
盤としたクラウドをアジア太平洋地域、
アメリカ地域に拡大するこ
と、
そして、
より大きい突発的な需要に対応するためにパブリック
クラウドと統合し、ハイブリッドクラウドを構築することです。図3
をご覧ください。
これらのステップを踏むことで、
フォルクスワーゲ
ン社のエンジニア達は、
コネクテッドカーや自動運転技術を実現
します。
「ミランティスはクラウドの拡大に応じて優れたトレーニング、
サポ
ート、そして運用知識を継続的に提供し続けてくれます。今や、
Mirantis OpenStackは、
フォルクスワーゲンの開発者がソフトウ
ェアを迅速に開発・提供するために重要な役割を担っています。」
とミューラー氏は語ります。
©2016 Volkswagen AG, and Mirantis, Inc.