"花のソコが知りたい!" vol.6 ハナモモ編

品質カイゼン室
ハナモモとは
科名 :バラ科
学名 :Prunus Persica
原産地:中国 タリムー盆地
3 月 3 日は桃の節句!市場にも 1 月下旬から入荷が始まってき
ています。
庭の桃は 4 月中旬に咲くのになぜ 3 月 3 日が桃の節句なのでし
ょう?時期でもないのになぜ?
ハナモモについて知りたいソコをお伝えします!
日本への到来
弥生時代、縄文時代の遺跡からモモのタネが発見されていることから縄文~弥生時代から日本へ
モモが渡ってきたとの説があります。その時期のモモは花も実も今の姿とは違い、薬または鑑賞
用として用いられてきました。
世界中にはシルクロードを渡って広がったと考えられています。
ペルシアの
縄文~弥生時代
植物
2300 年前
シルクロード
原産地
Wow!
こんな
植物あるよ
学名にある Prunus Persica はペルシアのサクラ属という意味です。
学名を名付けた当時の学者たちは中国ではなく、ペルシア帝国が原産と思っていたのかもしれま
せん。実際はもっと東の中国が原産地だったのです。
モモの力 『邪気祓い』
古代中国からの伝承、また日本の古事記ではイザナギが黄泉の国でイザナミや魔物達から追いか
けられる際、モモの実を投げて窮地を脱するとの話があるように古来モモには邪気祓いの力があ
ると考えられてきました。
鬼を退治する桃太郎もモモが持つ邪気を祓う力で鬼を
倒すため桃太郎と名付けられたとの説もあります。
(モモから生まれたり、モモが関連しているのはそのた
めだったのかもしれません。)
3月3日 『邪気祓いの日』
3月3日は古代中国では上巳の日とあり、陽の数字である3が重なる日でもあります。
陽が重なると、陰となる厄日は邪気を祓う必要があります。
① 邪気を祓うモモの力
② 旧暦での3月3日は現在の4月の中旬(2015年は4月21日)モモの花が満開になる時
期であること
この2つの要因から日本では江戸時代からモモが3月3日に飾られるように
なりました。
しかし!時代は一変 明治時代には旧暦でなく新暦を用いることに!!
ハナモモを栽培していた花農家は困惑 ウメの花を代用したり・・・
モモのつぼみ
まだ固いよ・・・
ム ロ
そこで開発された技術が室です!
ムロ
室
モモが花芽を形成するためには5℃の低温に500時間遭遇する必要があります。
3月の出荷では冬を迎えているので花芽形成のための休眠打破は行う必要はありません。
しかし、開花するためには一定温度25度前後の暖かい気候が必要なのです。
ムロ
それを人工的に作り出した環境が室です。
室温:20~25 度(一定)
湿度:80~90%
暗室:ほう芽抑制
開花率アップ↑
期間:5~7日間
1 日未満など様々
かちかちつぼみが
ふっくらつぼみに変身!
圃場の様子
市場での様子
カチカチつぼみが
ふっくらつぼみに!
室
室温が高すぎると花が小さくなったり発色が悪くなる実験結果があります。
ム ロ
室の温度・湿度・入室期間は品種・生産者の方によって多少差があります。
ム ロ
室の環境はカビにとっては最高の居心地・・・ですので促成中の水に殺菌剤を含む切花栄養剤を
用い、室内のカビの数を減少させる工夫が必要です。
栽培工程
切花栽培
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
開花・収穫期
加温(室)促成
施肥
多くの農家さんでは 2 年や 3 年単位で収穫。
ハナモモは日照不足に敏感な植物であり、日当たりが良い方が花芽の着生がよく高品質。
12月
ハナモモの色
白系
(白桃)
桃色系 (桃・曙・矢口・新矢口 etc..)
赤系(モモローズ)
ハナモモを楽しむ
ハナモモを選ぶポイント
① つぼみに注目!⇒つぼみが緩んできれいに色づいているもの
② 枝に注目!⇒黒い枝より飴色の綺麗な枝、枝肌が綺麗なもの
ハナモモを飾るポイント
生け水⇒糖分の入ったお水
(切花栄養剤、もしくは水1L に砂糖大さじ 2-3 杯+台所漂白剤 1 滴)
切花のハナモモは収穫されてから室で促成され出荷されているため、
原木から長期間切り離されています。そのため栄養不足になりやすい
ので糖分を多く含む切花栄養剤等を使用することをお薦めします。
私もデスクに飾りました!切花栄養剤を使用してます。
ふっくらピンクのハナモモに癒され、ふくっと咲く姿に元気づけら
れます。ぜひ、皆さんもハナモモを楽しんでくださいね。
参考資料・写真提供
産地ウンチク探検隊!Vol.81,82 http://www.otakaki.co.jp/blog/place/archives/2011/02/11.html
ハナモモ切り枝の開花に及ぼす促成温度の影響 小池安比古 古関隆一 2012 年生態工学会
(株)大田花き
品質カイゼン室