センサネットワークにおける 位置測定のための データ収集方式の提案

センサネットワークにおける
位置測定のための
データ収集方式の提案
大阪大学 大学院情報科学研究科
情報ネットワーク学専攻
博士前期課程2年
太田 義和
2004/11/18
情報ネットワーク
1
発表内容
► 研究背景
ƒ センサによる位置推定の目的
ƒ 距離測定と位置推定法
► 位置推定に関する考察と提案
ƒ データ数と位置推定精度の考察
►シミュレーション結果
►大量のデータを収集する問題点
ƒ データ収集法の提案と評価
► まとめと今後の課題
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情報ネットワーク
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センサによる位置推定
► 利用目的
ƒ GPSの利用できない屋内(建物、地下)でターゲットの位置
を特定するため
► 利用例
ƒ
ƒ
ƒ
ƒ
スーパーでの消費者の行動
地図情報サービス
社内での社員管理
倉庫での商品管理
: センサ
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情報ネットワーク
3
センサでの位置推定方法
► センサを調査領域に配置する
► センサが、ターゲットとの距離を測定する
ƒ ターゲットは電波 or 超音波を発信するデバイスを持つ
ƒ センサではターゲットからのメッセージを受信し、電波強
度や発信時刻などから距離を測定する
► センサが収集したデータをシンクに集めて、位置の
計算を行う
: センサ
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データ(距離、センサの位置)
情報ネットワーク
シンク(データ
収集用端末)
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本研究で対象とするセンサ
► 受信電波強度により2点間の距離を測定するセンサ
► 特徴
ƒ 受信電波強度は、周囲の環境の影響を受け変動しやすい
ため、誤差が大きい
► 障害物(壁、人)
► 他の電波の干渉
► センサの個体差(アンテナ・送信電力)
ƒ 超音波やレーザーなどと比べ、低コスト・省電力で実現可能
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情報ネットワーク
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位置推定アルゴリズム[1]
►
概要
ƒ センサの位置とセンサとターゲットとの距離から、ターゲットの位置
(X,Y) を求める
►
計算の方法 2: Minimum Mean Squared Error (MMSE)
ƒ ∑i =1 f i ( X , Y ) を最小にするように (X,Y)を求める
N
fi ( X ,Y ) =
( X − x i ) 2 + (Y − y i ) 2 − d i
・・・①
(xi, yi):センサiの位置 di :センサiが測定したターゲットとの距離 N :データを収集したセンサ数
►
MMSEの特性
ƒ
ƒ
ƒ
3つ以上のセンサからのデータが必要
センサの位置は分散しているほうが正確に推定できる
センサが直線状に並ぶ時は推定不可能
[1] A. Savvides, C.-C. Han, and M. B. Strivastava, “Dynamic fine-grained localization in ad-hoc networks of sensors,”
in Proceedings of the 7th International Conference on Mobile Computing and Networking, pp. 166–179, 2001.
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情報ネットワーク
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発表内容
► 研究背景
ƒ センサによる位置推定の目的
ƒ 距離測定と位置推定法
► 位置推定に関する考察と提案
ƒ データ数と位置推定精度の考察
►シミュレーション結果
►大量のデータを収集する問題点
ƒ データ収集法の提案と評価
► まとめと今後の予定
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シミュレーションの設定
► シミュレーションのエリア
ƒ
ƒ
: 100m×100m
エリア内にセンサを固定配置
ターゲットの位置はランダムに決定
► ターゲットの電波送信距離
: 20m
ƒ ターゲットから20m以内にあるすべてのセンサは、
受信電波強度を測定し、そのデータを収集可能
► 収集されたデータに基づいて、ターゲットの位
置を推定する
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情報ネットワーク
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測定誤差モデル
► 距離測定の誤差
ƒ 一様分布に従う3つのモデルを与える
► Model(1)・・・平均距離の10%
► Model(2)・・・平均1m
平均誤差 (m)
► Model(3)・・・∼10m
2.0
Model(1)
Model(2)
Model(3)
1.0
0 0
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平均1m , 10m∼ 平均距離の10%
10
ターゲットからの距離(m)
情報ネットワーク
20
9
センサ数と位置推定誤差の関係
3.0
Model(1)
Model(2)
Model(3)
平均推定誤差 (m)
2.5
センサ数が増加しても
誤差が小さくならない
2.0
1.5
1.0
Model(2)と比較
して、Model(1)
と(3)の誤差が
大きい
0.5
0
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0
2000
4000
6000
センサ数
情報ネットワーク
8000
距離の遠いセン
サの誤差が大き
いため
10000
10
ターゲットからの距離と位置推定誤差の関係
►
►
センサ数:1000
遠くのセンサからデータを収集しない
3.0
Model(1)
Model(2)
Model(3)
平均推定誤差 (m)
2.5
データ数の増加とともに
誤差の増大
2.0
1.5
1.0
0.5
0
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データ数が減っても
誤差は大きくならない
0
10
ターゲットからの距離 (m)
情報ネットワーク
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位置推定の問題点
► センサ数が増えても精度は向上しない
ƒ 理由
►センサが多くなることで、ターゲットから位置が遠く誤差
が大きいセンサの情報を多く収集する
ƒ 多くのデータを収集することによる問題
►消費電力
センサネットワークの稼働時間減少
►ネットワークへの負荷
パケットの衝突や遅延
►位置推定誤差の増加
収集するデータ数を
減らす
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情報ネットワーク
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データ収集法
収集するデータ数 :5
►
アイディア
ƒ 必要以上にデータを集めない
► センサの密度が大きい時には、
ターゲットと距離が近いセンサ
の情報だけを集める
► 収集するデータ数を与え、それに
従いデータを収集する
►
ターゲット
必要な条件
ƒ 各センサで周囲の密度を測定
ƒ 各センサが定められたデータ数
に従い自律的にデータを収集す
る方法
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データ
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データ収集法
► 各センサで周囲の密度を測定する
ƒ 定期的にパケットを送受信することで、無線の通信
範囲内にいるセンサ数を測定する
ƒ センサi 周辺の密度
►密度=Mi / (πR2)
Mi : 周囲のセンサ数
R : 無線の通信距離
A
パケットを受信したセンサは
センサAの存在が分かる
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データ収集法
► ターゲットとの距離
D(m) 以内のセンサだけがシンク
にデータを送る
► 距離Dの決め方
ƒ 各センサが測定した密度に基づき決定
ƒ D(m)以内のセンサ数 : R(m)以内のセンサ数 = πD2
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密度 =
Z
π D i2
Di = R
Z
Mi
:πR2
Diよりも近い
よりも遠い
Z : 収集するデータ数
Mi : 周囲のセンサ数
R : 無線の通信距離
情報ネットワーク
データをシンクへ送信
データの破棄
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データ収集法の効果
(収集するデータ数)
50
100 sensors
1000 sensors
10000 sensors
収集したデータ数
40
収集するデータ数を制御に成功し、
30
消費電力・ネットワークの負荷を軽減
意図したデータ数を収集
20
10
ターゲットの周囲にセンサが
10個程度しかないため
0
0
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10
20
30
収集すべきデータ数
情報ネットワーク
40
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データ収集法の効果
(推定誤差)
3.0
100 sensors
1000 sensors
10000 sensors
平均推定誤差 (m)
2.5
2.0
1.5
データ数を減らしても位置推定の
精度は下がらない
1.0
0.5
効率的な位置推定が可能
0
0
10
20
30
40
収集すべきデータ数
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偏りのあるセンサ配置
►
►
センサ数 1000
一様にセンサが配置されている場合、ほぼ同じ性能を示す2つ
の比較
ƒ 提案手法:平均10個のセンサからデータを収集
ƒ 距離でデータを制限する方法:6m内のセンサからデータを収集
100
平均10個のセンサ
からデータを収集
Error
25,25 0.982
位置
50
25,75 1.082
75,25 0.665
0
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0
50
100
75,75 0.818
情報ネットワーク
Data
9.48
10.63
13.05
11.52
6m以内のセンサ
からデータを収集
Error
0.513
1.065
2.181
3.501
Data
29.87
6.73
4.54
3.79
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まとめと今後の課題
► 電波強度による位置推定
ƒ
ƒ
ƒ
位置の計算
センサ数と位置推定精度の関係
データ収集法の提案
► 今後の課題
ƒ 少数のセンサでも高い精度で位置を検出する方法
ƒ 実環境での動作確認
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情報ネットワーク
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