平成24年度事業報告 公益財団法人 阿蘇地域振興デザインセンター 平成24年度 事業報告 Ⅰ.総括的事項 平成 24 年度は、公益法人制度改革という国政の流れに沿い、阿蘇地域振興デザインセンタ ー(以下「阿蘇DC」)も財団法人から公益財団法人へ移行する転換期でした。4 本柱である 「地域振興」 「観光振興」 「環境・景観保全」 「情報発信」をより公益性の高い事業として地域 へ還元するため、平成 24 年度から向こう 5 ヶ年間の重点的に取り組むべき課題を新・中期計 画として整理したのも、こうした組織の成長・伸展を見据えてのものです。阿蘇の大切な地 域資源である「草原」の維持・再生を改めて掲げるのは、環境・景観保全に取り組むのはも ちろん、そこへ創意を加え競争力のある地域づくりを目指す志を付託するからです。 平成 24 年 7 月 12 日未明から降り続いた記録的な豪雨により阿蘇地域では深刻な被害がも たらされました。外輪内壁の土砂災害や内牧温泉街を中心とした浸水被害などは農業や観光 に大きな影響を与えました。阿蘇DCは、今回の災害に即応するため、観光圏という枠組み を通し大分県竹田市や宮崎県高千穂町とも連携し、域内の拠点施設へ速報を随時流すなど、 当初事業計画の一部を変更し、阿蘇地域にとって優先すべき包括的な利益を優先させました。 また、ジオパークを推進する視点に立脚し、火山地域における地質的災害予測の面から調査・ 検証も行ってきたところです。さらには、域内の農家レストラン、農家民宿、直売所からな る阿蘇グリーンツーリズム協議会を組織し、復興第一弾企画として 10 月 1 日から 3 ヶ月にわ たる「阿蘇スローフードフェスタ」を開催し、風評被害の払拭に努めたところです。 阿蘇DCが事務局となり取り組んでいる世界ジオパーク認定に向けては、2 度目の現地審査 を受けましたが、それまでの指摘事項を改善することにより推薦するに相応しい地域になる と判断され、「保留」というステージに控える状況となっています。 また、平成 20 年度から取り組んできた観光圏制度については、観光庁による基本方針の見 直しがなされ、阿蘇DCが観光地域づくりプラットフォームとして位置づけられ、新たな基 準による申請手続きを経て、新観光圏 6 地域の一つに認定され、新年度における新規事業へ の枠組みを構築できました。草原の維持・再生に向けた取組みで、熊本県が策定する「あそ 草原再生ビジョン」と共同歩調をとるかたちでまとめた「千年の草原を活用した阿蘇地域活 性化総合戦略」も向こう 5 年間の計画であり、新観光圏に臨む阿蘇地域の心意気と戦略を、 具体的な戦術に落とし込んだものとなっています。 なお、人事面においては、7 月から事務局次長の職責を設け事務局体制の強化を図るととも に、10 月からは新事務局長体制により新たな展開を期するところです。 1 Ⅱ.理事会・幹事会関係の報告 1.理事会 平成24年度は、阿蘇DCの運営に関する事項を決議する理事会を6回開催しました。 1)第1回理事会 ①開 催 日 平成24年 5月22日(火) ②場 所 大阿蘇環境センター未来館(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 役員の就退任(案)について 議案第2号 平成23年度事業報告(案)について 議案第3号 平成23年度会計決算(案)及び監査報告について 議案第4号 平成24年度一般会計補正予算(案)について 議案第5号 事務局長公募(案)について ④協議事項 1)公益法人移行後の役員選任について 2)地域活性化総合特区について 2)第2回理事会 ①開 催 日 平成24年 7月 2日(月) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎中会議室(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 公益財団法人移行に伴う定款の変更(案)について 議案第2号 公益財団法人への移行認定申請(案)について 議案第3号 公益財団法人移行後の役員(案)について 議案第4号 事務局長審査要項(案)について 議案第5号 阿蘇地域づくり支援事業実施要綱一部改正(案)について ④協議事項 1)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略(仮称)策定について ⑤報告事項 1)最初の評議員選定委員会について 2)平成24年度第2回基金管理運営委員会について ⑥そ の 他 1)JGN協賛会員の申込みについて 3)第3回理事会 ①開 催 日 平成24年 9月 5日(水) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 財団法人阿蘇地域振興デザインセンター事務局長の選任(案) について 議案第2号 阿蘇草原の維持・再生事業内容の一部変更(案)について 2 4)第4回理事会 ①開 催 日 平成24年10月24日(水) ②場 所 温泉割烹がね政(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 平成24年度第2回一般会計補正予算(案)について ④報告事項 1)公益法人移行申請の進捗について 5)第5回理事会 ①開 催 日 平成25年 2月 5日(火) ②場 所 阿蘇いこいの村(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 平成24年度第3回一般会計補正予算(案)について 議案第2号 法人移行後の各種規程(案)について ④協議事項 1)新・阿蘇くじゅう観光圏整備計画について 2)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略について ④報告事項 1)公益法人移行認定申請内容について 6)第6回理事会 ①開 催 日 平成25年 3月22日(金) ②場 所 阿蘇プラザホテル(阿蘇市) ③議 題 議案第1号 平成25年度事業計画(案)について 議案第2号 平成25年度一般会計予算(案)について 議案第3号 千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略について (関連)地域活性化総合特区の指定申請について 議案第4号 公益法人移行後の各種規程、規則の整備について 議案第5号 公益法人移行後の幹事会組織について ④報告事項 1)公益法人移行認定申請内容について 2.幹事会 阿蘇DCの事業運営に関する事項を協議し、意見を具申する幹事会を9回開催しました。 1)第1回幹事会 ①開 催 日 平成24年 5月17日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎1F中会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)役員改選について 2)平成23年度事業報告(案)について 3)平成23年度会計(一般・特別)決算報告(案)について 4)平成24年度一般会計補正予算(案)について 3 5)法人移行後の役員等について 6)地域活性化総合特区について 7)事務局長公募について 2)第2回幹事会 ①開 催 日 平成24年 6月27日(水) ②場 所 大阿蘇環境センター未来館2F会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)移行認定申請書(案)について ①定款の変更について ②法人の事業について ③公益法人認定上の財務基準について ④基本財産と遊休財産について ⑤法人移行後の役員について 2)阿蘇地域元気再生支援事業実施要綱一部改正(案)について 3)事務局長審査要項及び審査基準(案)について 4)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略(仮称)策定について 3)第3回幹事会 ①開 催 日 平成24年 8月 9日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎1F中会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)事務局長第一次審査及び第二次審査について ①審査基準等について ②第二次審査(案)について 2)第一次審査(履歴・小論文) 3)草原再生事業について 4)第4回幹事会 ①開 催 日 平成24年 9月28日(金) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎 1F記者室(阿蘇市) ③協議事項 1)新事務局長の給与について 5)第5回幹事会 ①開 催 日 平成24年10月18日(木) ②場 所 大阿蘇環境センター未来館2F会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度第2回補正予算について ④報告事項 1)公益法人移行進捗について 4 6)第6回幹事会 ①開 催 日 平成24年11月26日(月) ②場 所 大阿蘇環境センター未来館2F会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)新しい観光圏制度について 7)第7回幹事会 ①開 催 日 平成24年12月27日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)新しい観光圏整備実施計画について 2)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略について 3)阿蘇ジオパークの事業推進について 4)公益法人移行申請の進捗について ④そ の 他 1)草原の活用事業について 8)第8回幹事会 ①開 催 日 平成24年12月27日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度第3回補正予算について 2)阿蘇ジオパークの事業推進について ①各種規程(案)について ②法人移行申請内容報告及び今後のスケジュールについて 3)阿蘇くじゅう観光圏整備実施計画認定申請について 4)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略について 9)第9回幹事会 ①開 催 日 平成24年12月27日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成25年度事業計画(案)及び収支予算(案)について 2)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略(案)について 3)地域活性化総合特区の指定申請(案)について 4)公益法人移行後の各種規程について ①各種規程、規則の整備(案)について 5)公益法人移行後の幹事会組織(案)について 5 3.基金管理運営委員会 平成24年度は、阿蘇DCの基金管理及び運用に関する事項を決議する委員会を5回開催 しました。 1)第1回基金管理運営委員会 ①開 催 日 平成24年 4月 6日(金) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎1F中会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成23年度の基金運用(後期)状況報告について 2)平成24年度の基金運用予定について 3)債券の購入検討 2)第2回基金管理運営委員会 ①開 催 日 平成24年 6月19日(火) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度の基金運用(初期)状況報告について 2)平成24年度の基金運用予定について 3)阿蘇 DC基金管理運営基準(有価証券)の見直しについて 4)債券の購入検討 3)第3回基金管理運営委員会 ①開 催 日 平成25年 1月 8日(火) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎1F記者室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度の基金運用(前期)状況報告について 2)平成24年度の基金運用(後期)予定について 3)平成25年度の利息収入と予算について 4)岐阜県債の状況について 5)今後の債券運用検討 4)第4回基金管理運営委員会 ①開 催 日 平成25年 1月22日(火) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎1F記者室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度第3回基金運営委員会報告について 2)平成24年度の基金運用(後期)予定について 3)岐阜県債の状況について 4)各社からの売却単価、購入債券提案 6 5)第5回基金管理運営委員会 ①開 催 日 平成25年 3月28日(木) ②場 所 熊本県阿蘇総合庁舎2F大会議室(阿蘇市) ③協議事項 1)平成24年度第4回基金運営委員会報告について 2)平成24年度の基金運用状況について 3)岐阜県債の状況について 4)ノムラヨーロッパ FNVの償還について 5)購入債券の提案及び検討 7 Ⅲ.阿蘇DCの事業報告 1.豊かな自然による世界ブランドの確立 熊本県下では、阿蘇草原再生千年委員会の設立や阿蘇草原再生募金の開始等により、阿蘇 の草原を維持・再生する気運が高まっています。それに加えて平成 21 年の日本ジオパーク認 定以降は、より一層の環境・景観保全の必要性が認識されるようになりました。今後、世界 ジオパーク認定や世界文化遺産登録、世界農業遺産認定を獲得するには、内外からの評価に 求められる基準をクリアすることが必須条件です。阿蘇の貴重な財産である「草原の維持・ 再生」を中心に、環境・景観保全の促進を図りました。 1)千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略の策定 平成 24 年度から事業の柱の一つとして「草原の維持・再生」に取り組むこととして位置づ けられてはいたものの、その計画としての熟度が低いのが現状でした。また、「草原の維持・ 再生」は、地域活性化と不可分のテーマであって、関係する施策分野も幅広く、検討する課 題が多いものです。これらのことから、地域をとりまく経済社会と草原の現状及び阿蘇DC のこれまでの事業成果を踏まえ、阿蘇地域全体の活性化に結びつけていけるよう戦略的な取 組みを進めていくための計画を策定しました。 この計画策定にあっては、阿蘇草原再生協議会や草原再生募金活動、熊本県の「あそ草原 再生ビジョン」策定など様々な関係者の動きと調整を図りながら、各市町村への個別ヒアリ ング、地域住民や観光事業者へのアンケート調査を踏まえ、向こう 5 ヶ年の計画として整理 まとめたものです。 さらに本計画は、内閣府の「地域活性化総合特別区域」制度の趣旨とも合致していること から、その一部を「千年の草原の継承と創造的活用総合特区」として、整理とりまとめを行 い、関係市町村の連名による指定申請書の提出に協力しました。 2)あそ千年祭の開催 平成 24 年 10 月 27 日(土) ・28 日(日)に、熊本大水害からの阿蘇地域の復興機運を盛り 立てるとともに、千年にわたり守られてきた阿蘇の草原を次世代に継承する契機とするため、 熊本県や関係市町村と実行委員会を組織し、阿蘇復興及び阿蘇草原の文化、自然、食をテー マとした「あそ千年祭」を開催しました。 武蔵野美術大学基礎デザイン学科の宮島慎吾主任教授等の指導の下、九州北部豪雨災害か ら 100 日を経過した 10 月 20 日(土)から 1 週間、延べ 300 名以上のボランティアにより、 草原の干し草を使用した草アートの制作を実施しました。 また、当日の開催は、 「あそのみなみのあきまつり(南阿蘇村)」 「上色見復興祭(高森町)」 とのタイアップにより、初日は約 5,000 人、二日目は約 12,000 人の来場者がありました。 8 3)阿蘇ジオパーク活動の推進 阿蘇ジオパーク推進協議会による活動は、4 年目を迎え、世界ジオパーク認定に向けては 2 度目のチャレンジの年でした。阿蘇DCが事務局を担い、阿蘇火山博物館に阿蘇ジオパーク 推進室として分室を設け、推進体制の強化を図りながら、解説板の設置やパンフレット充実 など環境面の整備に加え、地域への普及啓発活動に取り組んできました。専門的なガイド組 織として「阿蘇ジオパークガイド協会」の受け皿も組織し、万全な体制で日本ジオパーク委 員会の現地審査に挑みましたが、まだ世界レベルに達していないなどの理由から「保留」と いう結果に至っています。指摘事項を真摯に対応し、随時改善をしながら、新年度における 再審査へ向けてさらに強化をしていかなければなりません。 この他、阿蘇ジオパークとしての新しい取組みとしては、去る 7 月 12 日に発生した九州北 部豪雨災害の体験を踏まえ、ジオパークは自然と地域社会との共存の理解に大きな役割を持 つことを改めて認識し、減災のための教育手段として有効活用することです。具体的には、 阿蘇中央高校科学部によるジオパーク地形災害研究を支援し、研究結果は高知県室戸市で開 催された第 3 回日本ジオパーク全国大会にて発表するなど、全国的な評価も得ました。また、 各種専門家により構成される「阿蘇ジオパーク専門家委員会」に、防災のエキスパートを選 任するなど、活動の幅の広がりとその必要性が充実化してきています。 さらには、熊本県阿蘇地域振興局の協力により、阿蘇ジオパークを表現、あるいは阿蘇火 山の恵みを由来とする物産品を募集し、 「阿蘇ジオパーク認定品」として認証する仕組みづく りや、その認定品を販売する店舗(施設)を「阿蘇ジオパークを紹介する店」として一覧化 し、各店舗のラリー型イベントを通じ、地域住民や観光客に対し、阿蘇ジオパークへの理解 浸透を図るための機会を提供しました。新年度においては、本格的制度化に取り組みます。 平成 24 年度の財源は、阿蘇DCからの負担金のほか、環境省の地域コーディネーター活用 事業交付金や、阿蘇市から受託の熊本県緊急雇用創出基金事業などを活用した取組みです。 4)阿蘇環境デザイン策定事業 阿蘇地域の魅力や評価を高めるため、地域の水源や森林環境、草原景観の維持など、景観・ 環境の保全が重要であり、世界に誇れる独自の歴史・文化を有していることから、それらの 継承が求められているなか、景観・環境、歴史・文化を保全、継承していく方策を検討する ことを目的として、世界文化遺産登録に向けて、熊本県と市町村により設立された阿蘇世界 文化遺産登録推進協議会と連携し、「阿蘇環境デザイン策定事業」に取り組んできました。 阿蘇環境デザイン策定事業においては、阿蘇地域の 7 市町村それぞれが地域の特性を理解 し、景観形成、なりわいの向上、地域住民が自分の住むまちに対する誇りと愛着の醸成へと つなげる道筋を示すために、地域別検討会等を開催し、地元住民の意見を聞きとりながら景 観づくりの目標づくりを進めています。 平成 24 年度は、これまでの調査・検討の結果を整理し、「阿蘇の文化的景観」マスタープ ラン(中間報告書)として取りまとめました。本事業は、平成 25 年度までの 3 ヶ年継続とし ており、景観条例並びに景観計画の検討を進めながら地域住民との座談会、ワークショップ 等を開催し、阿蘇の文化的景観の重要文化的景観選定に向けて今後も支援していきます。 9 2.地域の元気再生による地域力向上 阿蘇地域が抱えている積年の課題として、地域の基盤産業の弱体化や若年層の流出など、 地域の生活基盤に影響を及ぼすものが多くあります。一方で、阿蘇の環境・景観等の遺産に 大きな関心が寄せられています。こうした課題や期待に応えるためには、地域のリーダーと なる人材を育成していく必要があります。地域課題解決に向けた地域づくり事業や地域資源 等を活用したコミュニティビジネス等を支援することで、地域コミュニティの強化による地 域力の向上を目指します。 また、阿蘇地域の情報発信は、域外へはもちろんのこと、域内の住民向けにも啓発を兼ね たものとして実施するものです。単なる阿蘇の地域振興や観光面だけでなく、阿蘇地域の市 町村が有する本来の魅力を情報誌やインターネットで配信しました。 1)阿蘇地域元気再生支援事業 本事業は、地域の元気再生による地域力の向上を目指し、地域の自然、文化、歴史、産業、 生活習慣等の特性を地域資源として発見、活用し、魅力ある地域づくりと地域の活性化を図 ることを目的とした取組みに助成を行うものです。平成 24 年度は、以下に示す事業に支援を 行いました。 番号 1 事 業 名 農家民宿及び民泊パンフ 場 所 南阿蘇村 事業主体 南阿蘇村 レット作成 内 容 年々増加する農家民宿及 び農家民泊情報を一つの パンフレットにまとめ、都 市住民や旅行代理店へP Rを行い、グリーンツーリ ズムの普及推進を図る。 2 アートなまちOGUNI 小国町宮原 アートなま アートをテーマにした地 ち OGUNI 域づくりイベントの実施 実行委員会 ①彫刻展 ②アサヒ鉄工展 ③絵葉書ワークショップ 3 蘇陽峡もみじ祭 山都町蘇陽 蘇陽峡もみ ジオサイトの蘇陽峡を活 ~山都町蘇陽ツーリズム 峡一帯及び じ祭実行委 用したエコツーリズム及 「近くで・見て・触れて 馬見原商店 員会 び馬見原商店街を活かし 阿蘇ジオパーク」 街 たタウンツーリズムの確 立に向けたイベントの開 催。ガイド育成のため阿蘇 ジオパーク学習会も開催。 10 備 考 2)情報誌の作成 阿蘇DCが発行してきました従来の「情報誌ASO大陸」は、平成 23 年度に開催しました 滞在交流型の旅の博覧会「阿蘇ゆるっと博」の記録を紹介した第 30 号をもって一定の成果を 認め、その在り方に区切りをつけ、新たな情報誌としてリニューアル発行しました。今回か らの新たな提案は、“地域の人々の手でつくり上げる地域の人々のための情報誌”をコンセプト に、阿蘇地域に生活する人々を読者の対象にする考えです。そこで、新たな情報誌を制作す るにあたり、地域の意見や情報を反映する方策の一環として、民間主導型の地域協議会を設 立し、そこで広く深く情報収集や企画・編集作業などを行い、今までにない個性とパブリッ ク性の高い情報誌を提供しました。 ①情報誌「ASO大陸」(VOL.1~4)の発行 各 3 万部 ※配布先:阿蘇地域全世帯、熊本県、阿蘇地域市町村、その他 ②機関紙「WAVE」(VOL.19)の発行 3 万部 ※配布先:阿蘇地域全世帯、熊本県、阿蘇地域市町村、その他 ③ガイドブック「阿蘇くじゅうウォーカー」(角川マガジンズ)の発行 4 万部 ※全国書店での販売 3)ホームページの管理・運営 当財団の公式ホームページの適切な更新管理に努め、 「スローな阿蘇づくり」をより分かり やすく紹介するための動画専門サイト「阿蘇テレビ」の運営を継続的に実施しました。 平成 18 年度の国土交通省実証実験「まちめぐりナビ・プロジェクト」の成果により、携帯 電話を活用した移動支援と多彩な観光情報の提供機能として開発した「阿蘇ナビ」は、平成 22 年度の財団法人地域総合整備財団(ふるさと財団)からの助成事業を活用して、阿蘇観光 情報のデータベース化と併せて、 「阿蘇・旅の市場」システムとして、大幅リニューアルして きたところであり、総合的な管理・運営体制を推進しています。 また、平成 22 年度に総務省の地域雇用創造ICT絆プロジェクト事業で導入しましたパソ コン(Macbook)やWiFi環境、さらには観光庁の観光地域づくりプラットフォー ム支援事業などで導入しましたデジタルサイネージの円滑な運用を図りました。 ①阿蘇DC公式ホームページ http://www.asodc.or.jp ②阿蘇の動画サイト「阿蘇テレビ」 http://www.aso-tv.com ③阿蘇データベース「阿蘇・旅の市場」 http://www.asonavi.jp ④Macbook 及び無線 LAN 親機(域内 120 カ所に貸出し中) ⑤阿蘇デジタルサイネージ(域内 13 カ所及び博多駅に設置・運用中) 4)ラジオ番組の放送 毎週土曜日のお昼 12 時 30 分から 13 時までの 30 分番組、FM熊本の「ゆっくりのんびり ASO大陸」の放送内容や取材先の決定、生電話コーナーの出演者の手配等を行いました。 阿蘇地域の人や自然、観光地、イベントなどを広く紹介し、阿蘇の魅力を発信しています。 平成 23 年度のスポンサーについては、阿蘇DCのほか、 (株)阿蘇熊牧場、 (株)日本リモナ 11 イト、黒川温泉観光旅館協同組合の4社であり、 「FMKあそ大陸の会」を運営し、番組の企 画・協議を行いながら進めました。 また、毎週金曜日の夜 8 時から 9 時までの 1 時間番組、RKKラジオの「阿蘇ゆるっとラ ジオ」の放送内容や出演者の選定・手配等も行いました。この番組は、平成 23 年度に開催し ました「阿蘇ゆるっと博」をきっかけにスタートしたもので、当時の宣伝課長であった南阿 蘇在住のミュージシャン、進藤久明氏をパーソナリティに迎え、地域で活躍している人々と 語らいをする構成として、平成 24 年度は 10 月から半年間放送しました。 12 3.広域連携による競争力のある観光地づくり 阿蘇地域は、これまで自然のフィールドや農村集落、商店街などの活性化に取組み、地域 の魅力を引き出しながら阿蘇カルデラツーリズムを推進してきました。これは、阿蘇地域へ の訪問客を観光の面だけにとらえず、地域の取組みに誘客し、経済的な波及効果をもたらす ものとして取り組んできました。一方で、観光の将来展望として、時代の潮流も地域の質の 向上や滞在地域への転換が求められています。 阿蘇DCは、こうした阿蘇に寄せられている様々な関心・評価に着目し、来訪者に対して 地域に密着した滞在交流型の新しい旅のカタチを提供していきます。これまでの阿蘇カルデ ラツーリズムと公共交通が連携した滞在交流型の観光の仕組みを地域づくり型観光として継 続し、地域振興と観光振興の融合を目指します。 1)観光地域づくりプラットフォーム支援事業(国土交通省/観光庁補助) 本事業は、観光を核とした地域の再生・活性化を図るため、観光圏整備法に基づき、2 泊 3 日以上の滞在型観光が可能な観光圏の形成を推進するとともに、地域の資源を活用した着地 型旅行商品の企画・販売等を行うため、市場とワンストップ窓口機能等を担う「観光地域づ くりプラットフォーム」の形成を促進するものです。 阿蘇地域は、大分県竹田市及び宮崎県高千穂町と県境を越えた広域連携により、阿蘇くじ ゅう国立公園などを活かした自然、温泉、歴史文化を連携させた九州№1 の滞在交流型観光 地づくりを基本方針とした取組みとして、平成 24 年度は以下に示す事業を実施しました。 ①阿蘇くじゅう観光圏コンシェルジュ育成研修 滞在交流型の旅を提供するため、現場での相談など適切に対応する地域コンシェルジュの 確立が必要です。各市町村単位にある観光インフォメーション機能や、地元旅行会社などを 地域コンシェルジュとして育成するための研修会を開催しました。また、本研修会では、各 エリアでの現地研修などを取り入れ、情報共有を図り、横の連携強化を含めた受入れ体制の 強化を図りました。 ・第 1 回研修 平成 24 年 9 月 20 日 大阿蘇環境センター未来館(参加者:52 名) ・第 2 回研修 平成 24 年 10 月 25 日 阿蘇ジオパーク・Aコース(参加者:29 名) ・第 3 回研修 平成 24 年 11 月 21 日 阿蘇ジオパーク・Bコース(参加者:38 名) ・第 4 回研修 平成 24 年 12 月 13 日 阿蘇ジオパーク・Cコース(参加者:36 名) ・第 5 回研修 平成 25 年 1 月 23 日 阿蘇ジオパーク・Dコース(参加者:32 名) ・第 6 回研修 平成 25 年 2 月 28 日 阿蘇ジオパーク・Eコース(参加者:36 名) ②阿蘇くじゅう観光圏マップ作成 平成 23 年度から阿蘇くじゅう観光圏に、新たに宮崎県高千穂町が加盟し、規模拡充したこ とから、観光圏全域を紹介する広域マップを作成しました。今回のマップは、デフォルメす ることなく、縮尺を合わせ、且つ地域の高低差なども把握できるように配慮しました。さら 13 には、周辺地域のインターチェンジや阿蘇くまもと空港を盛り込み、活用の度合いを高める 仕上がりとしました。平成 24 年度以降において、作成したマップの利活用を図ります。 ・仕様:A1 判、片面カラー印刷、20,000 部発行 ③阿蘇温泉郷・湯ごもり祭開催 阿蘇くじゅう観光圏に点在する特徴的な「温泉」資源の魅力に焦点をあて、各温泉地を舞 台に期間限定により「阿蘇温泉郷・湯ごもり祭」を開催しました。ここでは、本イベントの 開催にあたり、PRポスターやパンフレット等を作成し、地域内外へ広く情報発信しながら 誘客促進を図り、もって滞在機能強化を推進しました。 平成 24 年度は、第 3 回目の開催であり、期間は 11 月 1 日から翌年 2 月 28 日までの 4 ヶ 月間と設定しました。期間中、2,628 セットの入浴券購入があり、延べ 11,689 名の利用者が あり、阿蘇地域の冬季における誘客施策として定着化しつつあります。 ・PRポスター作成:B2 判、カラー印刷、300 枚 ・専用ハンドブック作成:B2/4+4 判、両面カラー印刷、4,000 部 ・PRチラシ作成:A4 判、両面カラー印刷、40,000 部 ・スタンドポップ:750×230 ㎜、150 個 ・入浴券作成:220×85 ㎜×5 枚綴、4,000 部 ・パンフレットスタンド:515×320 ㎜、150 個 ・スタンプ①(めぐり湯用):15 ㎜、90 個 ・スタンプ②(泊まり湯用):20 ㎜、90 個 ④阿蘇地域観光体験プログラム集作成 平成 24 年度からは、「阿蘇ゆるっと博」の受入れ体制を維持しながら、よりステップアッ プした観光地として確立していく必要があります。そこで、 「阿蘇ゆるっと博」を通じて整理 された体験プログラムや、おもてなしコンシェルジュ機能、 「阿蘇・旅の市場」システムにお ける情報活用術などに加えて、阿蘇ジオパークの理念を盛り込んだ新しい旅のカタチを提案 するガイドブックを作成しました。 今後は、この「阿蘇ゆるっと博」の考え方を踏襲したガイドブックを基に、効果検証を図 りながら、観光地域づくりプラットフォームとしての形成に向け、完成度を高めていきます。 ・仕様:A4 判、36 ページ全カラー印刷、20,000 部 ⑤阿蘇山上行き路線バスカラーリング JR阿蘇駅発の阿蘇山上行き路線バスは、特に外国人利用者が多いため、誰でも分かりや すく移動支援を表現する目的により、二ヶ国語を含めた車体カラーリングを施しました。阿 蘇地域に推進中の「ジオパーク」をビジュアル基調としたデザインによるカラーリングとし、 世界的な認知度を上げるための、広告宣伝塔としての役割も果たします。8 月 1 日からの運 行開始に際し、車内への多言語化されたパンフレットの設置なども併せて実施しました。 ・産交バス車両ラッピング整備 2 台(大型車 1 台、中型車 1 台) 14 ⑥インターネット動画情報の制作・配信 阿蘇地域のプロモーション活動を展開していくにあたり、九州の観光資源である阿蘇の自 然美、伝統などを映像化し、閲覧回数の多い動画配信企画「Nippon Archives」を活用した配 信により、滞在交流型観光の情報提供を行い、誘客促進と滞在機能強化を図りました。 「Nippon Archives」は、日本の文化、伝統、風習など残すべき日本の資産を美しい動画と 音楽の構成で保存できます。制作した動画は、番組専用ホームページや、Apple 社の iTunes などから閲覧、ダウンロードが可能です。日本全国からアクセスされており、全番組で年間 延べ約 1,500 万回の閲覧回数を獲得しています。首都圏近郊での視聴者が多く、番組で取り 上げた土地への来訪促進にもつながっています。視聴者の中心は 30~50 歳代の男女です。撮 影した素材は、CMへのリメイク、展示会や観光案内所などでも活用するなど二次利用も可 能です。 ⑦阿蘇くじゅう観光圏旅行商品造成・広報 平成 24 年度からは、阿蘇ゆるっと博の受入れ体制を維持しながら、よりステップアップし た観光地として確立していくものであり、その第 2 弾として平成 24 年度下期催行の滞在プロ グラムを地元旅行業団体により新規に造成しました。 観光圏のゲートウェイとなるのが「阿蘇くまもと空港」と想定していることから、ここを 起点に周遊型・滞在型の旅をつくり上げることが必要なため、航空キャリアと連携を図り、 関東・関西からの新規顧客を獲得することを目的に広報展開を図りました。 また、九州新幹線全線開業効果を最大限発揮するため、公共交通ネットワークを利用した 周遊型・滞在型の旅をつくり上げることが必要なことから、JR九州と連携を図り、九州管 内を含む関西以西からの新規顧客を獲得することを目的に広報展開を図りました。 さらに、九州管内をターゲットとして、新しい阿蘇の魅力を伝えることを目的に、利用頻 度の比較的高いホームページ上や旅行雑誌を活用した広報展開を図りました。 ・全日本空輸株式会社(ANA)との連携 ・九州旅客鉄道株式会社(JR九州)との連携 ・株式会社リクルート(九州じゃらん)との連携 ⑧阿蘇くじゅう高千穂ガイドブック作成 滞在交流型をキーワードに観光地づくりを進める中では、航空会社や鉄道・バス会社と連 携した公共交通網のシステム化を主軸に置いた取組みを実施していますが、やはりマイカー でのドライブ型観光が主流であり、その来訪者へも情報提供する必要性があると考えます。 そこで、阿蘇くじゅう観光圏の春夏秋冬の季節に応じ、年 2 回の発行による「食」情報や イベント情報を盛り込んだ総合版のガイドブックを作成しました。地域内外へ情報発信を行 うとともに、観光圏への誘客促進を図り、併せて観光圏における滞在機能強化を図ることを 目的としたツールとして活用しています。 ・仕様:A4 判、16 ページ全カラー印刷、100,000 部(50,000 部×2 回) 15 ⑨阿蘇くじゅう観光圏拠点化計画策定 阿蘇くじゅう観光圏は、阿蘇ゆるっと博の受入れ体制を維持し、さらなる向上を見据え、 観光圏の情報収集のネットワークの構築、総合的情報発信、問い合わせ窓口の一元化、外国 人旅行者への案内サービスの充実、長期滞在型旅行に対応するコンシェルジュ機能、地域密 着型旅行商品の造成・流通開拓など、総合的な拠点展開を進める必要があります。 そこで、地域の資源を活用した滞在プログラムの企画・販売などを行うため、市場と地域 のワンストップ窓口機能等を担う「観光地域づくりプラットフォーム」の形成及び完成度を 高める目的から、阿蘇ゆるっと博の体制における現状把握・調査及び関係者による検討会議 を踏まえ、阿蘇くじゅう観光圏における理想的な組織体制の方向性を取りまとめ、平成 25 年 度以降の体制づくりに向けた検討を進めてきました。 ・第 1 回検討会 平成 24 年 9 月 12 日 大阿蘇環境センター未来館(出席者:21 名) ・第 2 回検討会 平成 24 年 10 月 31 日 大阿蘇環境センター未来館(出席者:25 名) ・第 3 回検討会 平成 24 年 11 月 30 日 大阿蘇環境センター未来館(出席者:17 名) ・第 4 回検討会 ・第 5 回検討会 平成 25 年 1 月 16 日 平成 25 年 3 月 18 日 大阿蘇環境センター未来館(出席者:17 名) 熊本県阿蘇総合庁舎会議室(出席者:12 名) ⑩健康づくりの郷・ウォーキングプラン 観光圏の中核となる阿蘇市においては、平成 22 年度から「温泉」「食事」「運動」「環境」 の 4 つの要素をバランスよく組み合わせ、健康づくりを楽しむプログラムとして「健康づく りの郷」を推進しています。平成 23 年度に初の試みとして開催した「大阿蘇元気ウォーク」 を踏まえ、通年型によりJR宮地駅を起点に、農村集落や商店街を巡るモデルコースを設定 し、自然景観にふさわしいサインの在り方や、統一性と魅力ある体系的なデザインの確立、 国際化への対応などを総合的に検討した「阿蘇ウォークサイン計画」を策定しました。 また、本計画を活かして、モデルコース上に誘導案内板を 36 箇所に新設しました。さらに 関連するウォーキング用マップの作成を行い、平成 25 年度からはJR九州とのタイアップ企 画を創出しながら、滞在機能強化と交流空間の図られた地域づくりを進めます。 ・阿蘇ウォークサイン計画策定:一式 ・阿蘇ウォーク誘導板設置工事:36 箇所 ・阿蘇ウォークマップ作成配置:A3 判、両面カラー印刷、20,000 部 ⑪阿蘇くじゅう観光圏モニタリング調査の実施 この取組みは、滞在交流型観光地づくりに向けての指標づくりとして、現状で不足してい る阿蘇くじゅう観光圏の特に滞在促進地区におけるリピーター率、一人あたり平均宿泊数、 宿泊施設の稼働率などの調査と、2 泊 3 日以上の滞在を目的としていることから、宿泊者へ のアンケートによる連泊・転泊の実態や満足度などの調査を実施しました。 ・調査期間:平成 24 年 7 月 14 日から 9 月 17 日まで(夏季) 平成 25 年 1 月 12 日から 3 月 17 日まで(冬季) 16 2)阿蘇カルデラツーリズムの推進 阿蘇における地域づくり型観光の取組みは、自然を活用した「エコツーリズム」、農村集落 を活用した「グリーンツーリズム」、商店街や温泉街を活用した「タウンツーリズム」という 3つの地域ツーリズムの総合体による「阿蘇カルデラツーリズム」の開発と、公共交通網の システム化を融合した「スローな阿蘇づくり」をベースに、滞在交流型観光地を創出します。 ①エコツーリズムの推進 エコツーリズムは、阿蘇カルデラツーリズムの中でも核になる取組みです。特に、阿蘇D Cが組織化した「阿蘇自然案内人協会」では、阿蘇の雄大な自然や歴史・文化を幅広く紹介 するため、3 つのコースを基本に一般参加者を対象としたエコツアーの催行及び雑誌等マスメ ディアの取材対応も行い、エコツーリズムの普及・推進を図りました。しかしながら、その 活動に一定の成果を認め、今後は新規設立された「阿蘇ジオパークガイド協会」へ活動移管 する方向で検討が進められています。 また、阿蘇地域でエコツーリズムを推進している団体(13 団体)により、平成 21 年度か ら設立の「阿蘇エコツーリズム協会」の運営では、各団体が実施しているプログラムを基本 にした阿蘇エコツーリズム協会のホームページの管理・運営を行い、阿蘇エコツーリズムを 広くPRしました。また、火山を中心に動植物や歴史・文化が一体的なストーリーを形成す る阿蘇地域を正確に、分かりやすく、楽しく解説し、阿蘇地域を訪れる多くの人々にその魅 力を伝えていくために、阿蘇におけるガイドの統一的な育成とレベル向上を目的に、阿蘇ジ オパークガイド協会や公益財団法人阿蘇火山博物館などと共に、 「阿蘇ガイド養成講座実行委 員会」を組織し、自然体験活動に従事されるガイド育成及びスキルアップを図りました。 ②グリーンツーリズムの推進 平成 23 年度に開催した「阿蘇ゆるっと博」の成果を受け、様々な課題の調査分析を基に、 地域の農業者や住民と連携し、課題解決のために必要な地域資源を活用いした取組みを実践 し、阿蘇地域の活性化を図ることを目的に、農家レストランや農家民宿、直売所が連携した 46 店舗により、阿蘇グリーンツーリズム協議会を組織しました。 また、本協議会は、農林水産省の食と地域の交流促進対策交付金の交流促進計画に該当し、 平成 23 年度に引き続き第 2 回目となる「阿蘇スローフードフェスタ」を期間限定(10 月~ 12 月)により開催することができました。 農家レストランでは、地産地消を基本にありのままの素朴な料理で秋の味覚を提供し、自 家菜園での収穫体験や近隣散策など、食後にもお楽しい体験や特典を用意しました。農家民 宿では、農村のスローな暮らしで、贅沢な時間を提供し、収穫体験や郷土料理づくりなど、 期間中でしか体験できないプランを用意しました。阿蘇地域の恵がまるごと楽しめる直売所 では、様々なイベントや特典を用意しました。 また、域内の回遊性を高める施策として、スタンプラリーを開催したところ、応募者総数 は 262 名を確認しました。さらに、福岡都市圏を対象に催行した「阿蘇日帰り満喫スローツ アー」では、15 名の参加があり、新しい阿蘇の魅力を提供しました。 17 ③タウンツーリズムの推進 阿蘇市一の宮町の「一の宮町門前町会」「わきゃもん会」、内牧温泉街の「うちのまき案内 人協会」 「内牧温泉街繁栄会」、阿蘇駅前の「ASO田園空間博物館」、高森町の「風と森の会」、 小国町杖立温泉の「チーム背戸屋」などの地域づくり団体へ、日常的に情報交換やアドバイ スを行いながら、広域連携の強化を図っています。 また、1 月 25-26 日に開催された火の国未来づくりネットワーク阿蘇地域ブロック主催の 阿蘇地域づくり団体交流会及び熱血主張バトルに協力し、地域づくり団体相互のネットワー クづくりと阿蘇地域の活性化に波及する取組みにつなげました。 3)回遊の交通体系づくり 阿蘇地域における公共交通網の整備については、平成 23 年の九州新幹線鹿児島ルートの全 線開業に合わせて、新型観光列車「あそぼーい!」が同年 6 月から運行開始されました。産 交バスでは、「小国郷ぐる~っとバス」及び阿蘇市の「宮地環状線バス」、南阿蘇村の「南阿 蘇ゆるっとバス」の運行など循環バスの充実化は勿論、南阿蘇鉄道のトロッコ列車の継続的 な運行や、観光拠点である大観峰などへ行くことができる周遊型交通「阿蘇定期観光バス」 も運行しています。 ①あそまる切符の新登場 全日本空輸㈱と九州産業交通ホールディングス㈱は、ANA並びに旅行商品「ANAスカ イホリデー」の阿蘇くまもと空港到着便利用の来訪者を対象に、平成 24 年 4 月から、阿蘇く まもと空港と阿蘇くじゅう観光圏及び熊本駅までの、九州産交バスやロープウェーが乗り放 題(2 日間又は 3 日間)となるお得で便利な切符“あそまる”を発売しました。 ②YOKAROバスの運行 YOKAROバスは、会員制の貸切バスで、会費 5 千円で 1 年間乗り放題の画期的な交通 網です。平成 23 年度から阿蘇地域への運行が開始され、平成 24 年 4 月からは、福岡~黒川 温泉、福岡~菊池~内牧温泉、福岡~空港~高森といった 3 つの路線が整備されました。ま た、10 月からは国道 442 号のバイパス化により、小国町の道の駅ゆうステーションにも停車 するようになり、利便性が拡充されました。 2)阿蘇レンタサイクル(電動アシスト付き)運営 平成 20 年度から観光庁の観光圏整備事業を活用し、導入した電動アシスト付きレンタサイ クルは、阿蘇市、小国町、高森町、南阿蘇村の主要な交通結節点などに、合計 50 台設置し、 貸し出してきました。平成 24 年度の貸出し台数は、約 900 台であり、特に高森駅での貸出し が約 1/3 を占めており、公共交通機関からの次の交通手段として利便性に期待されます。 なお、平成 20 年度に導入した阿蘇市の一部 10 台においては、耐用年数 2 年間を経過して いることから、運用委託先の管理者に無償譲渡をしています。 18 4.その他 1)視察対応 国内外の行政や地域づくり団体及び観光関係者らによる阿蘇地域への先進地視察研修を受 け入れ、地域づくりにおける先進的な取り組みや概要説明などを行いました。また、実際に 商店街や農村集落にも案内し、地元の推進体制や先進的な事例等を紹介しました。 (単位:人) 番号 日 時 団 体 名 参加者数 1 H24.4.24 韓国安洞市農村開発推進委員会 29 2 H24.5.15 兵庫県朝来市役所 3 H24.5.16 長野県小布施町自治会連合会 4 H24.6.19 観光庁総務課 5 5 H24.6.21 大分県竹田市企画情報課 5 6 H24.7.5 鳥取県中部総合事務所 1 7 H24.7.7 尚絅大学 8 H24.9.7 宮崎県門川町まちづくり研究会 6 9 H24.9.14 東海大学観光学部 8 10 H24.9.14 長野県小布施町行政経営部門 4 11 H24.9.14 新潟県柏崎振興局 5 12 H24.10.3 和歌山県伊那郡町村会 6 13 H24.10.10 愛知県町村会 14 H24.10.11 信越 9 市町村広域観光連絡会議 15 H24.10.13 別府市政策推進課 25 17 H24.10.17 静岡県議会 17 18 H24.10.24 和歌山県議会 15 19 H24.10.25 福井県勝山市議会 15 20 H24.11.2 22 21 H24.11.15 福岡県伊東市議会 22 H24.11.15 韓国金羅北道完州郡 23 H24.11.22 福岡県東峰村議会広報委員会 24 H24.11.22 韓国金羅北道完州郡 32 25 H24.12.26 韓国金羅北道完州郡 27 26 H25.1.23 大分県豊後大野市 25 26 H25.1.31 観光庁観光人材育成研修視察団 26 27 H25.2.1 新潟県議会総務文教委員会 16 3 18 24 20 韓国全羅南道康津郡庁 9 8 32 6 371 計 19 備 考
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