2014年度版 - Vanilla Air

安 全 報 告 書
2014 年度
本安全報告書は航空法第 111 条の 6 に基づき、当社での安全にかかわる情報を記載したも
のです。
対象期間は 2014 年 4 月 1 日から 2015 年 3 月 31 日までとなります。
2014 年度 安全報告書
「2014 年度安全報告書」発行にあたって
日頃より、バニラエアをご利用いただき誠にありがとうございます。
航空法 111 条の6に基づく安全報告書を作成いたしましたので、バニラエアの安全に対する取り
組みを知っていただければ幸いです。
バニラエアは 2013 年 11 月 1 日にバニラ・エア(株)と商号を変更し、2013 年 12 月 20 日に運航
を開始いたしました。2015 年 8 月には累計で 200 万人のお客様にご利用いただき、国内 3 路線、
国際 3 路線を 8 機の機材で運航いたしております。
安全理念に基づき、日々の運航を実施しておりますが、安全にはゴールはありません。常に新
たな安全の取り組みを積み重ね、私たち一人ひとりが問題意識を持って、必要な改善を図り、“安
全は経営の基盤であり、社会への責務である”ことを肝に銘じて、バニラエアとしての確固とした
安全文化を作って参ります。
日本の新しい LCC として、さらに多くのお客様に支持していただけるよう、安全運航はもとより、
定時性や就航率をさらに向上し、安心と信頼の翼として、社員一丸となって努力して参りますので、
これからも皆様の変わらぬご愛顧とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2015 年 8 月
バニラ・エア株式会社
代表取締役社長 石井知祥
2
2014 年度 安全報告書
目次
1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針
1-1.安全理念................................................................................................................................................................. 4
1-2.安全にかかわる方針 ......................................................................................................................................... 5
2.輸送の安全を確保するための事業の実施および管理体制
2-1.安全確保に関する組織及び人員 ................................................................................................................. 6
2-2.各組織の機能・役割........................................................................................................................................... 8
2-3.日常運航に直接携わる要員の定期訓練と審査 ................................................................................... 12
2-4.日常運航における問題点把握とその共有、現場へのフィードバック体制.................................. 13
2-5.安全に関する社内啓発活動 ......................................................................................................................... 15
2-6.使用している航空機に関する情報(機種・機材数・機齢等) ............................................................ 16
2-7.路線別輸送実績 ................................................................................................................................................ 16
3.航空法第 111 条の 4「航空機の正常運航に安全上の支障を及ぼす事態」の発生状況 .......... 17
4.輸送の安全を確保するために講じた措置
4-1.国から受けた事業改善命令、厳重注意、行政処分または行政指導等 ...................................... 20
4-2.2014 年度の安全に関する目標の達成度・安全に関する取組みの実施状況 .......................... 20
4-3.2015 年度の安全施策 ..................................................................................................................................... 20
3
2014 年度 安全報告書
1.
輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針
当社では安全に関する必要な情報を報告し共有するオープンな企業文化の下、安全理念および
基本方針に基づき業務を行います。
1-1. 安全理念
《安全は経営の基盤であり、社会への責務である》
安全の堅持はお客様の生命、身体、あるいは財産を守るということだけでなく、私たちの生命、
身体、財産を守るということにおいても、社会的責任であると同時に、この責任を全うすること
ができなければ、企業としての存立が危うくなってしまう。安全を維持、向上させて行くことは企
業の発展には不可欠であり、経営の基盤となるものである。
《私たちはお互いの理解と信頼のもと、確かな仕組みで安全を高めていきます》
安全は数多くの組織・関係各社が、お互いに協力し連携しあって各々定められた業務を確実に実
施することで初めて達成される。
お互いの理解や信頼は、組織間で業務を行なううえで基礎となるもので、また組織を超えた協調
体制や安全を確保するための制度やシステムといったしくみを常に最新、最善の状態に保ち、継
続的に安全性を維持向上させることが重要である。
《私たちは一人ひとりの責任ある誠実な行動により安全を追及します》
これらのしくみのなかで、私たちも一人ひとりが常に安全の状況を確認し、改善し、安全を確保し
ていく責任を担っていることを十分認識し、より確実な安全を自らの行動により誠実に追及してゆ
かなければならない。
4
2014 年度 安全報告書
1-2. 安全にかかわる方針
① 安全は常に定時、快適、経済など他の品質要素に優先する。
② いかなる状況にあっても、全ての社員は安全を最優先に判断しそれぞれの役割を果たし、会
社はその判断を尊重する。
③ 安全は全部門、全社員が重要な役割を分かち合い協調することによって確立出来る。
④ 会社は事故、不法妨害行為を防止するためあらゆる努力を惜しまない。
⑤ 経営者および管理職者は安全の重要性と自己の責任を常に認識し、組織の先頭に立って安
全を推進するとともに、全社員にその認識を徹底する。また、社員の公正な判断と安全報告を
奨励し、安全情報の公開と共有を進め、運航現場での問題を把握して安全優先の企業文化
の定着と深化に向けリーダーシップを発揮する。
⑥ 全ての社員と組織が一体となりミスを防止する。
ミスをしない・・・・・・・・・・自分が
ミスをさせない・・・・・・・・仲間に対して
ミスを起こさせない・・・・ 組織として
ミスを隠さない・・・・・・・・企業文化として
5
2014 年度 安全報告書
2.
輸送の安全を確保するための事業の実施及び管理体制
バニラエア安全管理システム
Vanilla air Safety Management System
XXXXXX
必要時設置機能
社長
全社安全推進組織
CEO
全社安全推進機能
事故調査会
安全統括管理者
安全推進部
Safety General Manager
総合安全推進委員会
Safety Promotion Committee
インシデント
調査会
専門部会
オペレーション
本部長
総合安全推進委員会
事務局
空港部
インフライト
サービス部
整備部
航空
保安部
運航部
オペレーション
コントロール部
オペレーション
ディレクター室
生産部門安全推進組織
安全推進
担当
安全推進
担当
品質保証
グループ
安全推進
担当
安全推進
担当
安全推進
担当
安全推進
担当
2-1. 安全確保に関する組織および人員
<各組織の人員数>
運航部
整備部
オペレーションコントロール部
空港部
228 名
72 名
17 名
47 名
6
2014 年度 安全報告書
各組織における資格者数
運航乗務員
客室乗務員
整備従事者/確認主任者
地上運航従事者/運航管理者
61 名
119 名
36 名(うち確認主任者 25 名)
8 名(うち運航管理者 8 名)
(2015 年 3 月 31 日現在)
7
2014 年度 安全報告書
2-2. 安全確保に関する各組織の機能・役割と概要
(1) 社 長
経営および運航の安全に関する最終責任者であり、「安全は経営の最優先事項である」旨を
含め、安全方針を明示します。安全マネジメントシステム(SMS)が、引き続き適切で、妥当性
があり、かつ有効であることを確実にするために定期的にマネジメント・レビューを行い、安全
の推進に必要な経営資源の確保と適切な配分を行います。
(2) 安全統括管理者
航空法 103 条の2に基づき選任される安全管理の取り組みを統括的に管理する責任者です。
経営の立場から SMS の継続的改善を推進し、安全の監視を行うと共に、安全施策・安全投資
の決定など安全に関する重要な経営判断に直接関与します。関連部門の組織長への安全に
関する助言、勧告、援助を行います。
(3) 安全推進部長
SMS の有効性と妥当性に関する事項と SMS の改善の必要性について安全統括管理者、経
営層を補佐し、また総合安全推進委員会を運営し、関連部門に必要な勧告や提言を行いま
す。安全に関わる全社的な方針、安全目標計画を立案し、実行に関わる総括業務と遂行管
理を行います。日常運航における不安全事象および対策状況を把握し評価し、社内において
安全啓発活動を実施します。
(4) 運航部
① 運航乗務員グループ
・
機長、副操縦士による乗務の実施および飛行技術情報の収集・分析・提供、日常運航上の
技術問題に関連する調整、運航乗務員に対する支援
・
インシデントやアクシデントの発生を把握し、航空局や必要に応じて関連官庁に報告
・
運航乗務員の人事・労務管理、組織運営サポート、厚生管理
② 乗務員訓練・審査グループ
・
乗務員の訓練審査体制の企画立案、訓練・審査基準および訓練シラバスの設定ならびに
訓練審査に関わる規程の維持、管理
・
乗務員の訓練・審査計画の作成、実施管理
・
乗務員の訓練にかかわる訓練技法、教材等の開発研究および作成
・
乗務員の技倆傾向の評価分析
8
2014 年度 安全報告書
③ フライトアテンダントグループ
・
機内品質全般の向上に関する方針・計画の策定
・
客室乗務員の採用方針の策定
・
機内サービスに関する手順の策定及び関連部署との調整
・
品質全般に関わる点検分析、改善策の策定及び関連部署との調整
・
客室乗務員の乗務に関わる報告書の管理
・
客室内安全に関わる事象への対応及び社内関連部署への報告
・
客室安全品質向上に向けた現状分析及び課題への対策の検討、施策の実施
・
客室乗務員の資格管理
④ 運航基準グループ
・
航空機の運航に関する基準、手順の設定、飛行場および航空路情報の総合管理として、
「運航規程」、「Flight Crew Operating Manual」、「Route Manual」等の規程類の維持管理
・
ロードコントロールに関する業務要領等の教育訓練の実施および規程類の維持管理
・
日常運航上の技術的な課題については、社内各部門および航空機メーカー等と調整を行
い、運航乗務員に対する技術的支援の実施
⑤ 乗務員計画グループ
・
運航乗務員及び客室乗務員の年度/月次人員計画の策定と調整
・
運航乗務員及び客室乗務員の月次乗務割作成
・
運航乗務員及び客室乗務員の乗務割運用と調整
・
運航部各グループの業務時間外における運航乗務員及び客室乗務員の業務支援
(5) 整備部
① 監査グループ
・
整備部門内の監査に係わる総括管理
・
監査に係わる仕組みの維持管理、内部監査計画策定ならびに実施、委託先監査の補佐
② 整備グループ
・
設定された仕組みに基づく整備作業の実施
・
指示された整備作業の日々の実施計画(工程計画含)・実施・工程管理及び整備記録の作
成
・
整備帳票類の現物管理、運航中の機材に係わる不具合管理統括や不具合発生時の総括
9
2014 年度 安全報告書
指示、配置された施設・設備・資材の日常管理
③ 技術グループ
・
技術管理に係わる整備管理業務
・
航空機材の仕様検討、整備方式の設定、整備要目および整備手順書の維持管理、技術指
令書の発行、信頼性管理、新規技術の調査・研究等の航空機材の技術管理業務
④ 生産管理グループ
・
生産管理に係わる整備管理業務
・
整備要目および技術指令に従う月間整備実施計画の策定と、それに基づく整備作業指示
・
設定されたダイヤに対応した機材アサイン
⑤ 生産計画グループ
・
整備計画に係わる整備管理業務
・
事業計画等に基づく生産体制構築、委託先管理、整備従事者の訓練計画・実施管理、等
の基盤構築維持関連業務
・
整備要目および技術指令に従う中長期的な整備実施計画の策定
⑥ 資材物流グループ
・
資材・施設・設備・物流に係わる整備管理業務
・
航空機資材・整備用施設設備の購買、貸借、修理等の統括管理、およびそれに係わる契
約締結・履行管理業務
・
資材・施設・設備の維持管理業務、物流管理業務
⑦ 品質保証グループ
・
整備部門の品質保証・品質管理に係わる総括管理
・
資格審査・選任・資格者名簿等の総括管理、事業場認定関連業務、資格管理、不具合報
告記録の保管、整備従事者の教育訓練に関する方針等の総括管理
・
検査制度、資格制度の設定
・
規程の維持管理
(6) オペレーションコントロール部
・
飛行計画等の作成、飛行監視、運航・気象情報の入手などの業務を通じ、安全運航を大前
10
2014 年度 安全報告書
提として、定時性を維持し、効率的かつ快適なオペレーションの推進
・
イレギュラー発生時は運航方針策定までの各機能間の進捗管理と方針決定後の速やかな
情報発信と周知
・
運航便全体に関する統制・調整・通報、月次ダイヤ統制に関わるダイヤ調整、運航実績管
理業務
・
運航管理部門の品質管理・教育訓練・生産体制・システム開発に関わる企画立案などの統
括管理業務
・
規程類の維持管理
・
オペレーション情報の社内共有促進による、迅速かつ的確な意思決定と、戦略的な情報発
信
(7) 空港部
① オペレーションサービス企画グループ
・
空港旅客サービス業務、及びランプハンドリング業務に関する基準作成、業務手順の構築
と運用管理、教育訓練の実施と訓練実績の管理。
・
空港旅客サービス業務、及びランプハンドリング業務に関する規定類、ルールの改廃。規
定類の維持管理に際しては、各種法令や規則に準拠するよう、適宜基準や手順を改訂す
ると共に、その情報を定期的に関連部署に発信し、各就航地におけるハンドリングサポート
を実施。
・
地上ハンドリング業務に関する委託管理部署として、業務委託先とのハンドリングに関する
委託契約の更改、調整、各就航地における業務委託先への業務指示、品質管理業務の実
施。また、安全・品質を確立するための業務委託先に対する定期・臨時監査の実施。
・
自社ハンドリング空港においては、実ハンドリング部署として、安全、定時、かつ効率的な
業務遂行を確立・維持すると共に、他空港での発生事例も踏まえたハンドリング事例の振
り返り、共有、及び課題の抽出、改善の実施。
・
地上ハンドリング業務を委託している空港においては、オペレーションサービス企画グルー
プで検討、確認した品質向上策を水平展開すると共に、ハンドリング品質、業務手順の正
確な履行、教育訓練の実施が、会社の定める基準を満たしていることの確認・評価の実
施。
② 空港所
・
管轄事業所における地上取り扱い業務総括。
・
管轄事業所における地上取扱い業務に関わる空港ハンドリング品質(定時性、安全性、快
適性、経済性)向上についての課題の把握、課題解決。
11
2014 年度 安全報告書
・
管轄事業所における業務品質に関する日常指導、契約に基づく履行管理
・
管轄事業所における事業所委託業務管理責任者業務。
・
空港業務関係先及び関係省庁との折衝、調整、申請、窓口等の業務。
・
管轄事業所における予算の策定。
・
管轄事業所における費用執行状況の管理及び効率的な組織運営の実施。
・
成田空港所以外の所轄事業所における、危機等発生時の初期対応。
・
その他、管轄事業所運営に付帯する業務。
(8) 航空保安部
・ 保安対策の企画・立案・実施管理、保安関係補助金に係る調整・精算業務、保安検査業務
委託契約管理、保安用設備管理、監督官庁・保安関係先との調整業務、保安品質管理保
安教育計画・実施管理、保安関連規程の設改定
・
航空保安プログラムに基づく保安対策方針の立案、実施
・
ハイジャック、爆破予告、不審物、危険物、脅威レベル増大時などにおける対策の立案と実
施
・
航空保安に関する訓練の統括
(9) オペレーションディレクター 室
オペレーションにおける最高責任者である担当役員の指示・権限の委譲を受け、会社を代表
する総括責任者として、オペレーションに係る各機能に対する機能的指示権限の下、関連部
門を統括し以下の業務を遂行し、日常運航の基本品質の維持・向上を図ります。
・
危機等発生時の社内外体制発動及び初動指揮
・
重大なトラブルとなることが予想される場合、関連部署への対応指示及び内容の承認
・
欠航(営業上の欠航を含む)の承認
・
ダイバート後の運航及び臨時便の設定方針の承認
・
台風対策、災害対策、及び大規模イレギュラー体制の発令・解除・運航方針の指示及び情
報の通報
・
最小客室乗務員による運航の決定
・
飛行中の、機長と運航管理者に対する飛行実施計画変更の要請
・
規程(規定)・基準に無い事項及びそれに準じる事態発生に対して、会社として意思決定を
行う場合の処置判断と指示
・
イレギュラーやオペレーション上の問題に関し、業務改善に資するため、オペレーションに
係る部門への改善提案
12
2014 年度 安全報告書
・
成田地区における危機等発生時の初期対応
2-3. 日常運航に直接携わる要員の訓練および審査
(1) 運航乗務員の訓練審査
運航乗務員に対して、乗務資格を維持するために運航規程に基づき、定期的に訓練と審査を受
ける必要があるため、学科訓練、模擬飛行訓練、緊急訓練、LOFT(Line Oriented Flight
Training)訓練 *1を実施しています。
また、訓練とは別に、シミュレーター(模擬飛行装置)の技能審査と運航便における路線審査を受
け、これらに合格することが求められます。
*1: LOFT訓練とは・・・
シミュレーターを使用し、実運航に近い環境でクルーコーディネーション能力の向上を目的とす
る訓練方法です。
(2)
客室乗務員の訓練審査
客室乗務員に対して、運航規程に基づき、以下の通り職務遂行に必要な知識及び能力を付与、
または維持させるための訓練及び審査を実施しています。
客室乗務員訓練生に対して必要な知識を付与し、資格を発令するために Flight Attendant Initial
Training(初期訓練)を実施しています。
資格発令後は業務に係る知識及び能力を再確認するために 1 年毎に Flight Attendant Safety
and Emergency Recurrent Training(定期訓練)を実施、一定期間乗務を行わなかった客室乗務員
に対しては、乗務を再開する前に Refresher Training(復帰訓練)を実施することで知識と能力を再
確認しています。
その他、シニアフライトアテンダント(先任客室乗務員)として乗務するための資格を取得する
Senior Flight Attendant Training (先任客室乗務員訓練)、インストラクターとして客室乗務員の訓
練及び審査を担当する資格を取得するための Instructor Training(インストラクター資格取得訓
練)、インストラクターとして客室乗務員の OJT を担当する資格を取得するための OJT Instructor
Training (OJT インストラクター資格取得訓練) を実施しています。
(3) 整備従事者に対する訓練審査
整備規程および業務規程に基づき仕組みを構築しています。
整備管理業務、整備業務に係わる者は、職務内容・経験等に応じ、必要な知識・技能を訓練で取
得させます。訓練修了者に対する資格審査は、整備規程・業務規程に定める訓練・経験等の要
件に基づき実施します。審査の結果、全ての要件を満足していると認めた者を資格者として選任・
任命します。選任・任命した者に対しては資格の維持のため、定期訓練を設定しています。
13
2014 年度 安全報告書
(4) 地上運航従事者に対する訓練審査
1年毎の定期訓練並びに職務を円滑に実施できるよう随時訓練を実施しています。
査察運航管理者は運航管理者を任命する際に審査を実施します。運航管理者として必要とされ
る技術及び質疑が生じた場合、随時審査を実施しています。
2-4. 日常運航における問題点把握とその共有、現場へのフィードバック体制
当社では、運航の安全水準を継続的に把握するとともに、自社の運航経験及び社外の情報から
不安全要素を抽出して、そのリスクに応じて排除・回避・軽減・モニターなどの対策により、リスク
を許容可能な水準(安全な水準)に留めるよう管理しています。
レベル A:受容可能なリスクレベル
レベル B:リスクはあるが、直ちに対策を
講じる必要性は低いレベル
レベル C:受容できないリスクがあり、対
策を講じる必要があるリスク
レベル D:受容できない大きなリスクがあ
り、直ちに対策を講じる必要
があるリスク
日常運航における問題点は、主に安全や品質を扱う会議で対策が検討され、実施されます。ま
た、そこで決定された内容を社内の業務ルートを通じて周知しています。
<現場へのフィードバック体制>
(1) 総合安全推進委員会
安全に関わる重要事項の最高意思決定機関として、組織を横断する総合安全推進委員会を設置
し定期的に開催します。当委員会では SMS の実施状況について評価を行い、必要に応じ改善の
ために提言・勧告および指示を行い、安全に関する情報の共有化をはかると共に、部門間の意思
の疎通を確保しています。
14
2014 年度 安全報告書
(2) WOR会議(Weekly Operations Review)
日々の運航において発生した事象について、各部門の担当者が定期的に集まり、情報共有をし、
発生原因と対策を検討しています。また、運航便に影響を及ぼす様な事象、手順などについてオ
ペレーション本部各部門での共有化と、各部門の課題あるいは複数の部門に共通な課題などに
ついて認識の一致を図ると共に、それらの課題や問題の適切で迅速な解決を促すことを目的とし
ています。
(3) 飛行データ解析プログラムの運用
運航の安全の向上を図るため飛行記録装置等において収集したデ-タの解析・評価を行っていま
す。解析されたデータを基に、毎月報告書をまとめ、運航乗務員と関連部署に配布し、安全運航
の維持・推進と運航品質の向上を図っています。
<報告制度>
安全運航を維持推進するためには、会社が運用する運航の実態と発生事象を日常的に監視し、
各社員が気になっている安全上の問題点など会社に報告しやすい環境を整備して、以下のような
制度を運用しています。
直接運航に携わる社員に対し、安全に影響を及ぼす事象について速やかに報告を行うことを義務
付け、安全対策に活用しています。
(1) 運航乗務員の報告
① Captain Report
航空法等に基づいて機長としての報告が求められる事項の報告をしています。
② Air Safety Report
航空法、通達等により監督官庁に会社としての報告が求められる事項ならびに運航中に発
生した事象を把握し、事故予防対策及び運航品質の向上を図ることを目的として、会社が報
告を求める事項の報告をしています。
(2) 客室乗務員の報告
・ Flight Report
運航に係わるイレギュラー報告、機内業務やサービスに係わる改善提案を報告しています。
(3) 運航管理者の報告
・ Dispatcher Report
15
2014 年度 安全報告書
通常とは異なる運航状況が発生した場合、及び改善意見を提案する報告をしています。
(4) 整備士の報告(整備不具合事象報告書)
・ Maintenance Quality Information (MQI)
整備作業者および整備管理業務に携わるスタッフのヒューマンファクターに起因して、航空機
材および関連業務に不具合事象を及ぼした事象に対し、その不具合情報を MQI を発行し、
関連部署へ展開することによって情報の共有化を促進し、不具合の再発防止を図ることを目
的としています。
2-5. 安全に関する社内啓発活動
SMS をさらに効果的なものにしていくために、安全啓発や情報共有の為に、定期、不定期を問わ
ず、安全意識の向上に寄与する取り組みを以下の通り行っています。
■安全教育
全社員を対象に入社時に安全教育を実施しています。
■安全に関する表彰
当事者および社内の安全意識向上の為、安全性の向上の取り組みやインシデントの未然防止行
為など安全に貢献した者への表彰を行っています。
■ヒヤリハット制度
安全対策に一層役立つと思われること、あるいは結果が事象として表に現れず、不安全要素の排
除に有効と思われる経験(ヒヤリ・ハット)などを自発的に報告する制度を運用しています。
16
2014 年度 安全報告書
2-6. 使用している航空機に関する情報
機種
機数
座席数
平均機齢
A320-200
8
180
0.7
平均年間
平均年間
飛行時間
飛行回数
2,626
1,026
(2015 年 3 月 31 日現在)
2-7. 路線別輸送実績
(2014 年 4 月 1 日~2015 年 3 月 31 日)
※1
※2
※3
※4
※5
※6
路線
有償旅客キロ(RPK)※1
(百万旅客キロ)
座席キロ(ASK)※2
(百万座席キロ)
運航実施便数
成田-新千歳
340
451
2,908
成田-那覇
355
485
1,502
成田-奄美※3
120
151
544
成田-台北
582
663
1,725
成田-高雄※4
44
52
118
成田-仁川※5
199
255
1,140
成田-香港※6
128
146
273
有償旅客キロとは、有償旅客数×輸送距離
座席キロとは、総座席数×輸送距離
成田-奄美は、2014/7/1より運航開始
成田-高雄は、2015/2/1より運航開始
成田-仁川は、2015/03/29より運休
成田-香港は、2014/11/2より運航開始
17
2014 年度 安全報告書
3.
航空法第 111 条の4「航空機の正常運航に安全上の支障を及ぼす事態」の発生状況
(1) 航空事故・重大インシデント
2014 年度、当社では航空事故・重大インシデントの発生はありませんでした。
航空事故とは・・・
航空法第76条に定められている「航空機の墜落、衝突または火災」、「航空機による人の死傷(重
傷以上)、または物件の損壊」、「航空機内にある者の死亡(自然死等を除く)または行方不明」、
「航行中の航空機の損傷」等の事態が該当し、国土交通省が認定します。
重大インシデントとは・・・
「航空事故が発生するおそれがあると認められる事態」で、滑走路からの逸脱、非常脱出等が該
当し、国土交通省が認定します。
(2) 安全上のトラブル
安全上のトラブル(義務報告)とは・・・
2006年の航空法改正により、航空事故等を防止する手段として、航空事故や重大インシデントに
至らなかった事案に関する情報についても航空関係者で共有し、予防安全対策に活用していくこ
とを目的に、新たに「その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」(以下、「安全
上のトラブル」という)を国に報告することが義務付けられました。これらのトラブルが積み重なっ
た場合には事故を誘発することにもなりかねないものの、個々のトラブルは航空機の安全な運航
にほとんど影響はなく、直ちに航空事故につながるものではありません。
2014 年度に当社が運航中、整備中に発生した安全上のトラブルは 12 件でした。
原因を分析し、必要な対策をとり、再発防止に努めています。また機材トラブルについては、装置や
機器の交換および動作点検を実施し、規程基準の再徹底を周知致しました。
18
2014 年度 安全報告書
2014 年度
2013 年度
①鳥衝突・被雷等による航空機損傷
0
0
②システムの不具合
4
3
エンジン・プロペラ等
2
0
与圧系統
1
0
通信系等
0
0
油圧系統
0
0
表示警告
1
2
着陸装置
0
0
その他
0
1
③非常用機器等の不具合
4
0
④制限・規定値を超えた運航
2
1
⑤急激な操作・緊急措置
2
0
航空機衝突防止装置作動
2
0
対地接近防止装置作動
0
0
その他の緊急操作
0
0
非常用装置・器具の使用
0
0
0
6
12
10
0.15
0.17
(内訳)
(内訳)
⑥その他
合計
1,000 便あたりの発生数
(3) イレギュラー運航
イレギュラー運航とは
航空機の多重システムの一部のみの不具合が発生した場合等に、乗員がマニュアルに従い措置
した上で、万全を期して引き返し等を行った結果、目的地等の予定が変更されるものです。一般
的には、直ちに運航の安全に影響を及ぼすような異常事態ではありません。
2014 年度当社のイレギュラー運航は 1 件でした。
国内線
国際線
2013
1
2
2014
0
1
19
2014 年度 安全報告書
イレギュラー運航の発生原因は機材の故障によるものですが、同様故障の多発する傾向はみら
れませんでした。事象については、原因の調査・分析を行い、適切な再発防止処置を施していま
す。
今後も更なる機材品質向上を目指し、お客様に安心してご搭乗いただくために様々な取り組みを
行っていきます。
事象の概要は、国土交通省のホームページ内「航空安全に関する統計、報告書等」の
「イレギュラー運航情報」に掲載されています。
http://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000191.html
20
2014 年度 安全報告書
4.
輸送の安全を確保するために講じた措置
4-1. 国から受けた事業改善命令、厳重注意、行政処分又は行政指導等
2014 年度、当社において該当する事案はありません。
4-2. 2014 年度の安全に関する目標の達成度・安全に関する取組みの実施状況
2014 年度は以下の安全目標を設定し、各部門で具体的な施策に取り組み、安全運航の確保に
努めました。
2014 年度安全目標
(1)
法令、規定の遵守・徹底
(2)
安全文化の醸成
(3)
安全管理の的確な実施
4-3 2015 年度の安全施策
前年度の安全活動結果を踏まえて、全社安全目標ならびに管理指標を設定し、その達成を図る
ための具体的施策に取り組むことにより、更なる安全レベルの向上を目指しています。
○重点目標(全社安全目標)
(1)法令、規定の遵守・徹底
(2)安全文化の醸成
(3)安全管理の的確な実施
○安全指標
(1)航空事故・重大インシデント発生件数 0 件
(2)ヒューマンエラーに起因する安全上のトラブル件数削減:7件未満
○主な安全の取り組み
(1)安全キャラバン:現業部門社員との直接対話
(2)一般社員の客室乗務員定期訓練参加制度の継続実施
(3)夏期安全キャンペーンなどの安全行事 など
その他、本社間接部門も含め組織や職種に応じて、部門単位で安全施策を個別に設定し、
取り組んでいます。
○進捗管理
これらの施策については、「安全目標・指標」を設定し、この指標管理を定期的に行い、取り
組み状況を確認し、必要により施策の見直しを行うこととしています。
21