イスタンブール経済の概要 2016年4月 在イスタンブール日本国総領事館 目次: 1.イスタンブールの概要 2.交通 3.観光 4.イスタンブール経済概要 5.日系企業の進出 黒海 イスタンブール マルマラ海 41°N 1.イスタンブールの概要 イスタンブールは、ボスポラス海峡を挟んでアジア大陸とヨーロッパ大陸の二つの大 陸にまたがる世界で唯一の都市。 四方をヨーロッパ、中東、ロシアに囲まれ、地政学的に重要な位置にある。 ハブ的位置づけ=4時間以内でヨーロッパ、中東等の主要都市に到達できる。 トルコ最大の都市で、人口の20%弱が集中(アンカラが第2の都市)。 トルコ経済及び文化の中心であり、トルコ企業やメディアの本社の多くがイスタンブー ルに集中。 【人口構造(2015年)】 【人口と面積(2015年)】 【イスタンブールから主要都市までの所用時間】 トルコ ロンドン 4時間 ヘルシンキ 3.5時間 バルセロナ 3.5時間 人口 (万人) モスクワ 3時間 イスタンブール 人口比率 (自国内) 面積 (k㎡) 人口密度 (人/k㎡) イスタン ブール 1,466 18.6% 5,313 (東京の 2.4倍) 2,759 アンカラ 525 6.7% 2,516 2,087 30-34才 イスタンブール カイロ 2時間 出典:トルコ統計庁、総務省統計局 テヘラン 3時間 トルコ 全体 7,874 100% 785,347 100 東京 1,339 9.5% (対日本) 2,188 6,119 (イスタンブー ルの2倍) 30-34才 (青:男性、 赤:女性) 1 2.交 通 アタテュルク空港は、ハブ空港としての位置づけ →ヨーロッパでヒースロー、シャルル=ドゴールに次ぐ3番目の利用客数 トルコ-日本間の直行便は、成田発着が1日2便、関空発着が1日1便。 新たなハブ空港として、世界最大規模の第三空港を建設中(2018年開港予定) イスタンブールはボスポラス海峡(国際海峡)を挟んでヨーロッパ大陸及びアジア大 陸に広がっているため、海路も交通手段の1つとして利用されている。 車両数の増加(過去10年間の年平均新車登録台数:25万台)により、イスタンブール の交通渋滞は深刻 →世界ワースト3位の渋滞(2015年世界交通渋滞調査、TOM TOM) 【 イスタンブールの空港 】 年間利用客数 (2015年) 年間便数(旅客) (2015年) 滑走路 アタテュルク空港(ヨーロッパ側) 6,132万3,000人 464,775便 3本 サビハ・ギョクチェン空港(アジア側) 2,811万2,000人 205,054便 1本 第三空港(計画) (ヨーロッパ側黒海沿岸) 1億5,000万人 (想定) (参考) 成田空港の年間利用客数 (2015年): 3733万人 - 6本(計画) 出典: Ministry of Transport, Maritime Affairs and Communications 【 ボスポラス海峡 】 北は黒海、南はマルマラ海。マルマラ海とエーゲ海を繋ぐダーダネルス海峡とあわせて、 黒海と地中海を結ぶ海上交通の要衝。2015年の航行船舶数は、43,544隻/年 出典:General Directorate Of State Airports Authority - DHMI 2 3.観 光 2012年以降イスタンブールへの外国人訪問者はトルコ全体の30%以上を占めている (2015年は34%)。日本人は、90%近くがイスタンブールを訪問。 イスタンブールへの訪問者数は、年々増加傾向。2015年は、治安情勢への不安やロ シアの経済制裁によりトルコ全体の訪問者数が減少する中、イスタンブールは伸び 率は下がったものの、前年比5%増と減少には到らなかった。 2015年の日本人のイスタンブールへの訪問者数は、前年比41%減。 4,000 3,491 ドイツ, 10.5% 3,684 3,146 3,178 3,000 イラン, 6.1% 2,863 2,634 2,708 米国, 4.5% 英国, 4.2% ロシア, 3.9% 1,500 938 1,000 705 751 696 1,048 806 中国, 2.3% 韓国, 1.6% 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 イスタンブール フランス, 3.7% 1,184 1,241 日本, 0.7% 25 20.4 イタリア, 2.8% シリア, 2.8% 19.5 20 イラク, 4.0% その他, 49.5% 2,000 500 (万人) 3,624 3,500 2,500 日本人訪問者数推移 イスタンブールへの訪問者数の 国別割合(2015年) 外国人訪問者数推移 (万 18.8 17.4 15.0 14.8 15 17.5 17.1 18.4 16.6 15.5 13.4 15.3 10.5 13.4 10 サウジ, 3.3% 9.0 5 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 イスタンブール トルコ全体 トルコ全体 出典:トルコ文化観光省、Provincial Directorate of Culture and Tourism (Istanbul) 3 4.イスタンブール経済概要 イスタンブールはトルコ全体のGDPの23%を創出。一人当たりGDPは、トルコ平均の 約2倍(参考:トルコの名目GDPは中東でトップ)。 主要産業はサービス業で、産業全体の72%を占める。 イスタンブールはトルコ最大の消費地。家計消費支出はトルコ全体の24.5%を占める (2012年-2014年) (首都アンカラを含む西アナトリア地方は11.5%)。 貿易に関しては、輸出入共に、トルコ全体の50%以上を占める。 【イスタンブールの産業別構成比(2011年)】 【主要国の名目GDP】 順位 国 2014年(億ドル) 農業 工業 サービス業 1 米国 173,481 イスタンブール 0.2% 27.4% 72.4% 2 中国 103,565 トルコ全体 9% 27.5% 63.5% 3 日本 46,024 16 インドネシア 8,887 17 オランダ 8,807 18 トルコ 7,983 トルコの名目GDPに占める イスタンブールの割合 19 サウジアラビア 7,463 イスタンブールの1人当たりのGDP 29 イラン 4,170 31 ア首連 3,995 出典: IMF World Economic Outlook Database, October 2015 (参考) 2014年のトルコの実質GDP成長率 : 3.0% 2015年のトルコの実質GDP成長率: 4.0% ※GDPの金額に基づく構成比 出典:トルコ統計庁 【イスタンブールのGDP(2014年)】 23%(1,836億ドル) 24,867ドル (トルコ平均:10,381ドル) 出典:The Brooking Institution 【イスタンブールの輸出入(2015年)】 (単位:億ドル) イスタンブール トルコ全体 ※カッコ内はトルコ全体に占める割合 輸出額 輸入額 771(53.5%) 1,178(56.8%) 1,439 2,072 出典:トルコ統計庁 4 5.日系企業の進出 ①概要 トルコに進出している日系企業の90%近くがイスタンブール及び周辺地域に集中。 イスタンブール及び周辺の日系企業は約220社(トルコ経済省、2015年12月時点)。 イスタンブール日本人会加盟企業数:90社(2015年12月時点)。 商社、金融、製造業、物流、サービス部門等幅広い分野の企業が進出。 中東、北アフリカ、東欧等の周辺地域をカバーする拠点企業も増加。 【 イスタンブール周辺の日系製造業の分布 】 日系製造業はイスタンブール周辺のマルマラ地域に集中している。 ブリヂストン (コジャエリ県イズミット市) 黒海 イスタンブール YKK (テキルダー県 チェルケズキョイ市) マルマラ海 トヨタ、トヨタ紡織 (サカルヤ県アダパザル市) アンカラ 矢崎総業、豊田通商 (ブルサ県ブルサ市) いすゞ、トヨテツ、デンソー、 バンドー化学 (コジャエリ県ジェイロヴァ市) イズミル JTI、AKZO、NOVEL(関西ペイン ト)、EGE-TAV(日本ハム) (イズミール県) アンカラ ホンダ、三五、日本セキソー (コジャエリ県ゲブゼ市) 5 5.日系企業の進出 ②2015年の主なビジネス動向 トルコでのビジネス展開に加え、トルコ企業との連携による第三国でのビジネス展開の 事例も見られる。 2月 3月 4月 6月 9月 10月 豊田通商 2013年に設立した電磁鋼板加工会社が稼働。 武田薬品 工業 製薬Neutec社の子会社Toplam Kalite社の全株式取得。既存の消化器系・呼吸器系・代謝系・ 筋骨格系疾患領域に13品目を加え,トルコにおけるプレゼンスを強化。 三菱商事 チャルック・ホールディングとの連携により、トルクメニスタンの化学プラント建設受注。 三井物産 トルコ最大の総合パッケージメーカーSarten社の株式15%取得。 日本ハム トルコ養鶏大手Ege-Tav社の株式60%を取得。トルコでの事業展開に加え、中東諸国やヨー ロッパ諸国へのアクセスを拡大。 住友商事 電磁鋼板加工MKS社へ出資参画。主力仕入先である新日鐵住金製の方向性電磁鋼板のトル コ及び周辺国への販売拡大を目指す。 三菱商事 チャルック・ホールディング傘下のエネルギー・インフラ事業会社チャルック・エナジー社との資 本提携に合意。トルコ及び周辺国でのインフラ事業を強化。 ピジョン イズミルのエーゲフリーゾーン(工業団地)に新工場建設(2015年10月着工)。北米、欧州及び トルコ市場向けの哺乳びん等の生産を開始予定。 クボタ コジャエリに組立拠点を新設。トルコでの農機販売台数拡大を目指す。 ダイドー ドリンコ 大手食品グループYildiz Holding の保有する飲料製造子会社3社の株式を90%ずつ取得。 GSユアサ 据置鉛蓄電池等製造・販売Inci社の株式を50%取得。トルコ国内での販売拡大及び欧州、ア ジア、中東、北アフリカ等地域への輸出拡大を目指す。 三菱電機 2011年3月に受注した通信衛星「Turksat4B」の打ち上げに成功。 ※「Turksat4A」は2014年2月に打ち上げ成功。 出典:各社プレスリリース等 6
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