対象者: 37 歳 女性 (仮名:かおり) 【調査員】では、よろしくお願いします

対象者: 37 歳 女性 (仮名:かおり)
【調査員】では、よろしくお願いします。
【カオリさん】お願いしまーす。
【調査員】カオリさん、子どもの頃はどんなお子さんでいらっしゃいましたか?
【カオリさん】むっちゃいい子です
【調査員】おー、どんないい子で?
【カオリさん】親の言うこと良く聞く。親の言うこと聞いて、勉強だけしてるっていういい子です。
【調査員】ちなみにお母さんはどういった方でいらっしゃいますか?
【カオリさん】高度経済成長期の典型的な世代というか、女の幸せは勉強して良い学校行って、良い大学出
てエリート捕まえてみたいな。子どもの人生をそういう風にスケジュールを組んでたみたいな。
【調査員】お母さん自身もその様なレールに乗ってきた方なんですか?
【カオリさん】いや、全然違います。全然自分が違うから、子どもにはそうしてほしいみたいな希望を。
【調査員】どう違う感じでいらっしゃったんでしょうか?
【カオリさん】親はやっぱり戦後すぐの生まれなので。
【調査員】うちの親と同じ世代ですね、きっと。
【カオリさん】だから、まあ高校まで出て、大阪に出て来て就職して、でもなんか気がついたら田舎でお見
合いがセッティングされてて。で、お父さんとお見合いして。まあお父さんも大阪やったから、仕事が。そ
のまま大阪で、みたいな。ほんだら、すぐなんか子ども出来ちゃったみたいな。
【調査員】少し前の世代の女性はそんな感じの方、多いんじゃないですかね。
【カオリさん】やあ、どうなんでしょう。
【調査員】じゃあお父様は?
【カオリさん】父親は大工なので、でもそれも中卒で、集団就職で。なんか名古屋かなんか、大企業の会社
の下請けのところに行ってたけど、腰を痛めて、田舎帰って。でもふらふらしてたらあかんからと。父親は
兄弟がいっぱいいるので、お姉ちゃんの旦那さんが大工やったから、じゃあもう来いって言ってくれて。ま
あちょっと教えてもらって。でもそこで一人でやってたらあれやからって、なんか別の会社探して、一人親
方でやってて。ほんだらお父さんも気付いたら見合いがセッティングされててみたいな。なんか帰ってこ
いって言われて帰ったら、見合いやったみたいな。
【調査員】うわー、昔はすごいですね。勝手に物事が進む感じ。
【カオリさん】やったらしいですけど。まあでも丁度私を育ててたのがバブルやったので、まあ建築業界ウ
ハウハで。だから、もうめっちゃはっきり言って稼いでたんですけど、私の教育費にめっちゃ消えてるんで
すよ。もう塾とかがすごくって。働いてればいい、家のことは任してるみたいなんやから、お母さんそんな
家計とかもあんまりあれしてなくって。お母さんもあるだけどんどんどんどんあたしに遣っていってみたい
な。もう冷静になって考えたら、なんて無駄な遣い方を〜。
【調査員】貯めといたらよかったのに〜って思われてるんですね?
【カオリさん】ですね。
【調査員】お父さん、お母さんの性格的にはどういった方でいらっしゃったんですか?
【カオリさん】なんかもう典型的な日本人というか、田舎の人というか。でも、コンプレックスがすごい親
はあったんじゃないんですかね。特に、父親はそんなにあれかもしれないけど、母親はなんか、たまたまあ
たしがその子育てする上で付き合っていくママ友が結構、うちの近くだったんで、大手企業の人とかエリー
トの人が多くて、そう。なのになんか、自分の旦那は、みたいな。
【調査員】大工さんやのに?
【カオリさん】まあ職人でみたいな。すごく卑下してはって。だからなんか子どもにはエリートを捕まえろ
みたいな。
【調査員】なるほど。なんか、サラリーマン家庭に憧れるみたいな?
【カオリさん】そう。すごい憧れてた。でもどう計算しても、あの頃の手取りはかなりあったはずなんです
けど。
【調査員】お金じゃなかったんでしょうかね?お母さんは。
【カオリさん】なんかお金の面ではそんなに引けはとってなかったけどー、みたいなんがあったみたいです。
【調査員】まあ隣の芝生は青いといった感じだったんしょうか?
【カオリさん】そんな感じ。だから、そういう風な価値観をすごい植え付けられてきた。
【調査員】お母さんはエリートに育てようとされておられたですね。ご兄弟はちなみに。
【カオリさん】一人っ子です。
【調査員】あ、一人っ子ですかー。だからですね、また一身に託されて。なるほどー。
【カオリさん】一人っ子の一人娘なんて、もうこうでしょー(抱え込む、ジェスチャー付きで)
【調査員】もう可愛くてしょうがない!
【カオリさん】二人目がなんかつくらなかったわけじゃないらしいんですけど、まあほんとに出来なかった
みたいで。
【調査員】お母さんに愛情を注がれた感じでいらっしゃるんですね。
【カオリさん】重くて。
【調査員】重たかった。そうですかー。
【カオリさん】はい。
【調査員】なにか子どもの頃、夢とかっておありでした?
【カオリさん】それがねー、なかったんです。言う通りにさえしとけば、ずっと褒められるので。自分の頭
で考えるってことをしてなかったんです。ってことに最近気付いたんですけど。
【調査員】その子どもの頃には、それは苦には思っておられなかったんでしょうか?
【カオリさん】なにもその時はそれが当たり前やと思ってたから
【調査員】お母さんの言うことをもう聞いて。
【カオリさん】聞いて。
【調査員】なんか好きなこととかっておありでした?子どもの頃に。
【カオリさん】あ、でもなんか本を読むことがすごい。でも本っていっても良い本じゃなくって、いわゆる
推理小説とか。なんかそれもすごいケチつけられるんですけど、どうせ読むなら文学書とか、こう人に言え
るような本を読めって。どういう意味やねん!
【調査員】推理小説とかはなんでダメなんでしょうね?
【カオリさん】でも自分は全然読まない人なんですけどね。
【調査員】お母さんですか?
【カオリさん】自分は読まないけど・・・わかります?
【調査員】そうですね、託したいんでしょうね、夢を。
それは別に、カオリさんはしんどくはなかったですか?
【カオリさん】推理小説は父親が山ほど買ってくる人やったから。なんか本好き・新聞好きは父親譲りで。
父親もなんか、まあまあそんな学がある訳ではないけど、新聞はきっちり毎朝出勤っていうか出る前に読む
人やったから。なんかそれはずっと見てたので。で、パチンコも何もしない人だったんですよ、競馬もしな
いし。趣味が本だったので。日曜日には本屋さん行って、なんか若かったから、3冊も4冊も買ってきて読
んでて。あったら読むじゃないですか。まあ母親としては、“飲む打つ買う”じゃないから。そっちのお金
やったら、もういいかって感じで見てて。
【調査員】稼いではるしねえ、お金も。
【カオリさん】その時はねえ。でも人に言える本じゃないって言うんですけどね。
【調査員】なんででしょうね、そこお母さん。
【カオリさん】知りません。
【調査員】思いがあったんでしょうね。こうあってほしいっていうような。なるほど。まあ特にじゃあ、お
子さんの頃には特に何か特に特筆すべきエピソードってない感じでしょうか?
【カオリさん】あー、でもなんやろ。とりあえず高校は親の言う通りの高校に行ったんですね。高校を目標
設定されてて。あの高校に行けと。ずっと、あの高校に行きなさいって。
【調査員】いわゆる進学校みたいなところですか?
【カオリさん】まあまあトップ校にね、行けって言われてて。ずっと塾も行ってて。まあ全然余裕でクリア
したんですけど、そこは。入った時に、終わった!って思って遊んじゃって。もう笑えるぐらい遊んじゃっ
て。入った時の順位と出た時の順位がもう笑えるみたいな。
【調査員】へー。天と地との差みたいな感じになったんですね。
【カオリさん】はい。こう上からと下からの差が、こうみたいな。
【調査員】そのたまっていて、弾け感がすごかったんですね、きっと。
【カオリさん】もうほんとに何もしなくって。だから親としては高校入った時点で、次の大学の目標設定は
してくれたんやけど、でもあたしはもう疲れ果ててたので。なんか、予備校行く?って言われたけど、いや
ちょっと遊ばしてくれって言って。遊んだら、まあ成績落ちる落ちる。
【調査員】中学くらいまでは、もうずっとお母さんが言ったレールに乗ってこられたんですけど、入った瞬
間からもう自由だ!と、謳歌しちゃったんですね。
【カオリさん】でも、頭の良い子が集まってるから、当然しなかったらどんどん落ちるので。あれっ?と
思って、当然浪人ですよ。
【調査員】具体的になんかどういう弾け具合だったんですか?
【カオリさん】いや、もうほんとに勉強しないっていうだけです。一日中テレビ観てるっていうか。
【調査員】急になんかこういわゆる非行、ヤンキーになるとかそういう訳ではなく?
【カオリさん】ヤンキーにはならないけど、でも高校ももう高 3 の時とかは、土曜日とか 4 時間目しか行か
ないとか。不登校じゃないんですよね。単に、毎朝行くのがだるいみたいな。学校に行くのが嫌じゃないけ
ど、いやもう好きにさしてみたいな。
【調査員】溜まってたんでしょうね、ずっと我慢されてて、よっぽど・・。
【カオリさん】うーん、あほやなぁって思うんですけど。
【調査員】まあだからって別に学校さぼって悪いことするとかいうわけではなく?
【カオリさん】なく。そう、だから親も、悪いことしてるわけじゃないから・・・みたいな。
【調査員】注意しにくい感じやったんでしょうね?
【カオリさん】まあでも、なかなかそこに過剰な期待があるから、この子やったらまあ大丈夫やろみたいな。
【調査員】やる気になったら、また出来るやろみたいな。
【カオリさん】そうそうそう。あほやなぁと思うんですけど。で、浪人して、1年間浪人生活。もう予備校
遊びまくって。予備校代無駄やねーって思いながら、もう遊びまくって。もっと自由じゃないですか、高校
より。行っても、別に行かなくても。卒業もないし。もう遊びまくって、まあ当然もう 2 浪決定だったんで
すけど、そこで初めて父親が噛んで。いやもう女の子で 2 浪なんてあかん、と。もうバブルも弾けてんのに。
【調査員】そっか、そういう頃か。
【カオリさん】あかんと、それはあかん。もうどこでもええから行けって。じゃあどこでもっていうんで、
すっと文学部に入って。役立たんなと思いながら。
【調査員】でも、すごいですね。そこですっと大学に入れるのが。
【カオリさん】いや、入れるところがあったんです。たまたま。もうこれも名も無い大学ですけど、たまた
ま入れるところがあったので、入って。ただ入る時に、あんたタダでは出んといてやっていう一言だけは
入ったので、まあしゃあないから教員免許と司書と司書教諭は取っとこうと。お陰で 4 年になっても全然学
校さぼれず、みたいな。
【調査員】そうですよね、教職過程はまた授業数が多いし。
【カオリさん】もう教育実習あるしみたいな。なんですけど、まあこれだけはじゃあ取ってでますー言うて。
【調査員】いいですよねー、取っとくと。
【カオリさん】まあ何の役にも立ってないですけどねー。
【調査員】そうですか。でもお父さん、お母さん、それでまあ何とか目をつぶるって感じですか?
【カオリさん】何とか。それでまあ、でももう 3 年の冬に、その元夫と出会ってしまって。大学 4 年の時に、
教育実習とか卒業に対してはこなしてたんですけど、もうほぼ旦那の家入り浸りですわ。
【調査員】旦那さんちなみに、何歳ぐらいでいらっしゃったんですか?その時。
【カオリさん】えっと 9 つ上なので、私が 21 の時に 30。
【調査員】かなりの年上の方ですね。大学生の時にしたら。
【カオリさん】やから大人に見えたんですー。
【調査員】見えますよねー。かっこ良く見えますよね、きっと。その年の差だと。
【カオリさん】見えたんですー。
【調査員】でもその時は実際にかっこ良いと思われていたんですもんねー?
【カオリさん】知らない!
【調査員】え、どういった出会いでいらっしゃったんですか?
【カオリさん】インターネット。
【調査員】えー。そんな、もうそういう時代?
【カオリさん】 windows95 が出て
【調査員】お、走りですねー。
【カオリさん】走り。チャットとかが、すごいあちこちのチャットルームが流行ってた時に、大学の友だち
がやってるチャットに、おいでよって言われて入って。それパソコンを持つことに関しては、なんかまあこ
れからの時代絶対要るやろうからっていうので、結構すんなり素直に買ってくれて、ネットもすんなり繋い
でくれたんですけど。もうそれがあかんかったって。それがあかんかったって未だに言ってはるけど。ほん
だらもう入り浸りですよ、もう。あの頃は夜の 11 時から朝までチャットみたいな。もうネット依存状態に
入って、気付いてなかったけど。
【調査員】で、学校も行かず?ですか?
【カオリさん】まあ教職があるんで。
【調査員】そっかそっか。そこは頑張って行って。
【カオリさん】それはちゃんと行ったけど。で、オフ会って、会おうやーっていうので会った時に。
【調査員】そんときにもうオフ会があったんですね。
【カオリさん】まあなんか、ちょっとやってしまいましたねー。
【調査員】まあだから言えば、グループの中の一人とかっていうわけではなくって?もう一対一でいらっ
しゃったんですか?
【カオリさん】いやいや、オフ会はみんなで会ったんですけど。まあその時に。
【調査員】気が合って?
【カオリさん】うん。合っちゃったー。
【調査員】どこがいいなと思われたんですか?
【カオリさん】いやもう、とにかく大人やったんですよ。やっぱり、喋ることも、人との接し方もお店での
店員さんとの接し方とかも。何もかもが大人に見えたから。
【調査員】ちなみに何をしておられる方やったんですか?
【カオリさん】これがまた職人だったんです。
【調査員】へー。大工さんですか?
【カオリさん】大工じゃなくて、タイル。タイル施工業で。
【調査員】でもちょっと時代が、もう。
【カオリさん】そうなんですよ。で、どうも付き合ってるらしいと、そんな男らしい。でも父親はもう建築
業界なので、もうこれ先が無いからやめろって。冷静にそっちから言ってきたんですね。でも母親は感情論
で、あの人嫌いだったんですよ。
【調査員】なんででしょう?
【カオリさん】まあまあ、相手にバツがあったっていうのと。なんか気に入らんと。とにかく最初っから気
に入らんって言って。でも反対されたら盛り上がるんですよ。
【調査員】そうですよねー。反対されればされるほどって、そういうこと親も後になってわかるんでしょう
けどね。あの時、あんなに言わんかったら・・・とかね、うちもありました。
【カオリさん】思いっきり火に油を注いでたんで。でも、卒業じゃあしましょうってなって、とりあえず卒
業ん時に就職も一応決めました。もうこれでいいじゃんって。卒業式の次の日に荷物まとめて家出たんです
よ。あほやわー。
【調査員】うわー。やりますねー。
【カオリさん】でももう、その頃にはとにかくなんかもう、その母親の期待がもうほんとに疲れてて。就職
活動においても、やっぱり。要は、名のある企業じゃないと嫌だみたいなことを。嫌だって言われても困る
んですけど、みたいな。
【調査員】そっかそっか。まあお母さんの思いがねー。
【カオリさん】でももういい加減解放してくれっていうのがほんとに。その頃にははっきりと気付いてたの
で。もうダメだみたいな。
【調査員】お母さんからの束縛から逃げたいみたいな感じですかね。
【カオリさん】逃げたいっていうのがあって飛び出した。あと飛び出した先にその一人暮らしでおったか
らー。
【調査員】そうですよね。転がり込む所があれば。もう行っちゃおうと思うのも、わかります。
【カオリさん】まあでも、彼は気付いてたみたいですけどね、それは。なんか後々すごい言われた。お前は
たまたまあの時に俺が一人でおったから結婚になっただけで、あの時に俺がその状態じゃなければ、絶対に
結婚もしてないよなってことはすっごい言われました。そんときに、そんなことないよって口で言いながら 、
めっちゃわかってるやんって思ってましたから。やっぱり年上やったなって、それは思いましたね。
【調査員】なるほどー、そうかー。だから親のそういうことがなければ、違う人生があったかもしれない。
【カオリさん】うん、絶対違ったと思う。
【調査員】まあでもそれほど、お母さんのその思いが重かったんですよねー。
【カオリさん】重かったー。
【調査員】なるほどー。でも、え、おいくつですか?
【カオリさん】だから 24 ですよ。1 浪しての卒業なので。
【調査員】そっかそっか。で、24 でご結婚されて。
【カオリさん】まあできちゃったなんですけどね。だから卒業して、 1 年、23 の時は同棲状態で。同棲して
たら、出来てもたー、じゃあもう籍入れようかーって。
【調査員】お仕事はその時?
【カオリさん】最初はしてたけど、出産で辞めて。
【調査員】何されてたんですか?
【カオリさん】会社員、普通に事務員してました。
【調査員】お勤め辞められて、ご主人がタイル職人でお仕事をやってはったんですか?
【カオリさん】それがねー、もうその時にはあんまり無かったんですけどね。やから 1 年の同棲の間にもう
それもわかってたんやけど。
【調査員】まだ若いし、ねー。
【カオリさん】そうそう。若いし、でもなんやろ、その時すんごい正直な話、子どもを堕ろすか堕ろさない
かではもちろん悩んだし。
【調査員】それはどうしてですか?
【カオリさん】やっぱり堕ろしたら引き戻れるって思ったんでしょうね。いざとなったらもう別れれるとも
思ってた。けど、その時の病院の先生がね、その籍も入れてないしーって、よう産みませんって最初に言っ
たら、「いやいや自分さー自分のこと若いと思ってる?」って言われて。 24 やし。ほんなら先生が、こんな
仕事してたら 18, 19 山ほど来るからって。全然若ないでって言われて。
【調査員】その比較もどうかと思うけど。
【カオリさん】えっ、私若くないんですか?って。 24 ですけど、みたいな。若くないし、籍入れてないって
言っても、「相手も独身やろって。不倫ちゃうやん、大丈夫大丈夫」って言われて。そういう考え方??っ
て。
【調査員】なるほどー。
【カオリさん】いや、でもまあ一番思ったのは、その一回中絶をすると次の妊娠がしにくいみたいなことを
聞いたことがあったので。それも嫌やなって思って。なんか、産むのも怖い、堕ろすのも怖い。じゃあ産ん
じゃおかっていう、この訳分からん選択。かなぁ・・・
【調査員】そこって、やっぱり悩むところっていうのは、その元ご主人が経済的にちょっと厳しいって所が
大きかったんでしょうか?
【カオリさん】経済的にも難しいし、もうその頃には 1 年一緒に暮らしてるから、喧嘩になったときに半端
無かったので、モラハラが。すごくて。
【調査員】言葉のっていうことですか?
【カオリさん】言葉の。手は出さないんですけど、手の代わりに家具が壊れていくんですよ。家の物が。あ
のよく女の人がストレス発散に、袋に入れてお皿投げるっていうじゃないですか。女はそこまで計算します
よね、とりあえず袋に入れてって。
【調査員】後掃除すんの自分ですからね。
【カオリさん】それがないんで、もういきなりバーンはされるし。だってお茶も何もかも乗ってるんですよ。
【調査員】そんな星飛雄馬のお父さんみたいな。
【カオリさん】私やったらこれ、返す前に掃除を考えるじゃないですか。腹立ってても。
【調査員】自分がしないからやるんですよね、男性はね。
【カオリさん】もう、パーンやし。もう襖なんて、もう。食器棚なんて、もうガラスありませんみたいな。
ガラスのもの置けなかったんで。
【調査員】うーん、怖いですよね。
【カオリさん】それも 1 年住んでてわかるじゃないですか?もう途中で、あ、そっかもう私が怒らさんかっ
たら平和なんやって思ったんです。もうほんとに忘れられへんわ。お風呂洗いながら思ったんです。あ、私
が怒らすから、こんだけ面倒なことになんねんなーっていう、このおかしな思考回路に入ってたので。
【調査員】そう元ご主人がなられるきっかけ、なんか思い当たることってあるんですか?それとももう気分
次第でやられるような方ですか?もうその自分の、もう嫌なことがあったら当たるような感じですか?
【カオリさん】結構気分。だってねー、ご飯を。あ、すっごい料理の上手い旦那だったんで、毎日ご飯を
作ってくれてたんで。毎日お弁当も作ってくれてたんで。すごい晩ご飯も作ってくれてます。でもあたしが
ちょっと他のことしてて、こうテーブルにつくのが遅くなりました、でめっちゃ怒るんですよ。その理由は 、
お前のためにご飯を作ったってんのに、あったかいうちにお前が来る時に合わせて作ってんのに、それを冷
ますなんてどういうことやと怒られるわけですよ。
【調査員】怖い。
【カオリさん】でも、一理あるっちゃあるので、あーそうか、ごめんねって言うじゃないですか。ところが
ですね、私がご飯作った時には、延々 1 時間 2 時間待たされるんですよ。ゲームしてて。オンラインゲーム
で。今、行けないって。で、一回なんか納得いかへんなって思って、あんたさーって、前こう言ったよ
ねーって言って。だからあたしもそれで言ってんねんって言ったら、今度言われたんが、いや、俺の終わる
時間見越してやれって言われたんです。笑えるねー。でも、その頃からかなりハテナは飛んでたんです。
【調査員】そうですよねー。なんか変だぞっと。
【カオリさん】えっ?っと。なんか違うなって。
【調査員】なるほどー。で、まあそういうこともあったので、お子さんを産むことをどうしようかと考えら
れたと。まあでも、お産みになられたわけですよね。
【カオリさん】もうここからは下がるばっかりですね。
【調査員】うーん、だんだんエスカレートしていった感じですか?
【カオリさん】エスカレートもしていくし、その本業のタイルも全然仕事がないので。なんか色々ネット
オークションしたり、アフリエイトとか、色々したりとか。ちょこちょこなんか稼いではきてはったけど、
ほんとのこと言って何をして稼いでたのか、あたし知らないみたいな。たぶんかなり危ないこともやってた
んだろうなとは思うんですけど。でもあたしはあたしで、一応 2 年間は専業主婦をしたんですけど、いやも
う無理って。その時は外に出てはったんですよ。その時は、その 2 年は外に出る仕事をしてはったので、家
にはいなかったんですね。
【調査員】何かよくわからないけど、仕事はしてはった?
【カオリさん】とりあえず朝出て、帰ってくる。今度あたしがふたりっきりでおることに耐えれなくなって。
もう無理だって思って、これ以上いたら、あたしこの子に絶対手ぇ上げると思ったので、他人に託そうと
思ったんですよ。もうあたしの手じゃないところで、保育所だって思って。でもニワトリが先かタマゴが先
かで、保育所って入れない。
【調査員】そうですよねー。お仕事がないとね。
【カオリさん】ただ、あたしが働きたいということには何の反対もなかったんです、彼は。自分が楽出来る
から。彼も丁度限界だったんですね、 2 年間働くのが。だから 2 才の誕生日を迎える前に、ちょっと友だち
が入れてた無認可保育所があって、じゃあそこ入れよーって思って、とりあえずそこ入れて。もう先にお金
もないのに先に入れて。で、もうアルバイト探して、働いてます、無認可入れてますの状態で、とりあえず
保育所待ちですね。8,9,10,11,12,1,2,3…8 ヶ月。結局 4 月まで入れなかったんで、8 ヶ月その状態で。
【調査員】無認可だと保育料高かったんじゃないですか?
【カオリさん】高かったー。めっちゃ高かったー。だってもうその頃きちんとした日にちにお支払い出来な
くて、もう先生にもほんとごめんなさいの連続で。その無認可に消えていく状態なのに、彼は段々仕事をし
なくなっていってるんですよ、その 8 ヶ月の間に。ずっと家にいる状態になっていってて、気がついたら。
【調査員】家で何してはるんですか?
【カオリさん】ゲーム。なんかそこで何かして、他のことしてんのかもしれないけど、基本ゲームみたいな 。
なので、次アルバイトやったけど、もうその認可に入れるタイミングで、変わってますからね。もう認可入
れるんやったらフルタイムっていうか。でもフルまではしんどいから、10 時—16 時やなって探して。
【調査員】お子さんだいたい何才ぐらいのときですか?
【カオリさん】3 才になる時に。3 才 4 才。3 才から認可に入れたので。そこからもう、時給を求めて転職転
職転職で。パートの転職転職転職・・・。
【調査員】どういったお仕事されてたんですか?
【カオリさん】あたし事務以外出来ないので、ずっとそればっかり。基本誰にでも出来る事務で。っていう
のもやっぱり、やっぱり子どもが熱出したやなんや言うて休まなあかんのはあたしなので、誰にでも出来る
仕事をやっといて、あたしが休んでも代わりがきく人間でおれるようなところにずっといたんですよ。
【調査員】そうやって生活を支えておられたんですねー。
【カオリさん】でも、保育所の年中・年長の頃、最後の 2 年ぐらいは、もうずっと子どもに、「なあ、ごめ
ん、ママもう無理やねんけど離婚していい?」ってずっと聞いてて。
【調査員】うーん。お子さんなんておっしゃってたんですか?
【カオリさん】すっごいパパっ子だったんで。「絶対やめて、あかん。絶対イヤ。絶対 3 人がいい。絶対イ
ヤ」の繰り返しで。あー、3 人・・・って。3 人かー、みたいな。
【調査員】っていうことは、元ご主人は、お子さんには優しく、愛しておられる感じだったんでしょうか?
【カオリさん】うーん、愛してんのか愛してないか。その時は愛してたんでしょうね。
【調査員】でもその、ちゃぶ台なんかひっくり返したみたいなこととか見てますよね。
【カオリさん】全部見てる。
【調査員】見てても、お子さんはご主人のこと好きだったと。
【カオリさん】正直彼女がどう思ってたのか、今もわからないけど、その時はそういう答えやった。ただつ
い最近、しゃべってて、まあテレビでね、そういう色んなあるじゃないですか。そういうシーンとか。そう
いうのは、「ママたちの喧嘩も大概やったよね」って言われて。
【調査員】わー、4、5歳で覚えてるんですね、やっぱり。
【カオリさん】覚えてるんです。「あたしいっつも布団被ってるかトイレ逃げてたけど」ってさらっと言わ
れて。
【調査員】わー。まだちっちゃかったですよね。覚えてるんやー。
【カオリさん】彼女の中では、もう喧嘩始めたら布団被る、トイレに籠っとくのが、逃げ場所だったらしい
です。
【調査員】でも直接なんかその娘さんに暴力を振るうとかは?
【カオリさん】それは一回もない。それはほんとに一回もない。
【調査員】それはでもよかったですね。見てたのはしんどかったかもしれませんが。直接はなかった。
今お子さんの話になったんで。お子さんは、どういったお子さんでいらっしゃったんですか?
【調査員】なんかちっさい時から、手のかからない子で。
【カオリさん】カオリさんのちっさい頃のように。
【調査員】あのね、私人見知りすごかったんですけど、人見知りも何にもなくって。なんか児童館とか連れ
て行っても、1 人でだーっとハイハイとか。どっか行っちゃって、知らんお母さんにあっ!って。
【調査員】助かるー。
【カオリさん】この子誰の子—?言われて、すいませーんみたいな。だから保育所入るのも、何のあれもな
く、一回も泣かれたこと無く。
【調査員】お利口さん。結構、3 才ぐらいとかやったら朝別れるとき泣いたり、お母さん行かんとってーっ
てあるんですけど。
【カオリさん】最初無認可で、次入れたのが乳児保育所っていって 2 年しか行けなくって。その次最後は卒
園した 2 年で。結局 3 個行ってるんですけど、この変わる時もすごい悩んだんですけど、何にもなく。なら
し保育あるじゃないですか、普通 1 週間ぐらい。それ 2 回とも、2 日、3 日目か。お母さん、もういいわーっ
て。この子、帰りたくないて、おやつ食べて帰るってうるさいから、もういいわーって言われて。
【調査員】もうずっとおっていいよと。
【カオリさん】すいませーんって。もう全然、ほんとに楽でした。
【調査員】なんかじゃあ特に問題もなく。
【カオリさん】問題もなく。
【調査員】うらやましい。うちは男の子でいろいろあったんで。。
【カオリさん】それこそ、お友達と何かありましたとかもなく。彼女に関しては何もないですね。ただ旦那
が喘息持ちなので、遺伝で持ってて。3 才で一回発作起こして入院して、そこから月一でずっと通ってはい
たんですけど、でも卒園の時にもう大丈夫やろうって言わたので。今後はまあ小学校入ったら、インフルエ
ンザには気をつけてねっていうぐらいで。でもそれも 6 年間何事もなく。何も無いです。
【調査員】健康で、それは本当に嬉しいですね。
【カオリさん】本当に。ほんとに育て易い。
【調査員】ご主人が大変やっていうので、お子さんも色々あったらねぇ。それはよかった。じゃあまあ段々
ひどくなってきて、まあ 32 才にご離婚されたということですが。これは、何かすごい大きいきっかけがあっ
てなのか、徐々に溜まってきたものがあってなのか?その辺教えていただけますでしょうか?
【カオリさん】いや、もう私はその、彼女が保育所の時から、もうずっと別れたいってことは、ずっと彼女
には言ってたんですけど、ずっと嫌やって言うてて。そんなこんなの時に、卒園入学で、まあ入学式ぐらい
見したろかって思って。まあ入学はしました。そこもまた色々あったけど、時間が流れていったんですけど 。
この時は、友だち、保育所から仲の良かった友だちと 3 人でね、仲いい子と。晩ご飯食べようぜーってなっ
て。その友だちのとこ、ご主人がお店をやってはるので、帰ってこないからめっちゃ遅くまで食べて飲んで
たわけですよ。小学 1 年生を走り回らせながら。あかんよなーって言いながら。
【調査員】たまにはいいやんぐらいの気持ちで。
【カオリさん】まあめっちゃ普通に飲んで、まあ 12 時ぐらいに帰ったわけですわ。もうめっちゃ怒ってるん
ですよ。そういや確かに、携帯にめっちゃ入ってたんですよ電話。もう絶対入ってくるので、携帯にメッ
セージとか。あ、なんか家ん中えらいことなってるぞーと。その前の日に喧嘩してたんかな。めっちゃ喧嘩
になって、何が原因かは全然覚えてないけど、めっちゃ喧嘩になって。その日にあたしが何を思ったか、
ふっと冷静に、いつもやったらぐわーってお互いに言い返してえらいことになるのに、あまりにぶわーって
怒鳴られてなんかネジ外れたんでしょうね。もう俺出て行くわーて言ったから、あ、ちょっと待ってーって 。
引き止めると思ってたと思うんです、いつもの話で。行かんといてって言うんかと思ったと思うんですけど 。
なぁごめん、出て行くんやったらさ、離婚届書いていってって。むっちゃあの日冷静やったんです。もう鳩
が豆鉄砲くらった顔。
【調査員】そうですよね。引き止めてくれると思ったら。
【カオリさん】もう別の意味で向こうもネジ飛んで、分かったわーっ言って。なんかこいつは俺がおらなっ
て絶対思ってたんでしょうね。
【調査員】うん、歳もねぇ。離れてますもんね。
【カオリさん】でも一回出ていかはったんです。わかった言うて出て行ったなーって思って。どうしよっか
なーって思ってて。そしたらまた帰ってきたんですよ。早って思ったら、離婚届持ってて、区役所取りに
行ってて。夜中でもくれるんですよ。出すだけじゃなくて。もらってきたって。おーって。お前から書けっ
て。書かれへん思てんねんなーって、はーいって書いた。もうルンルンで書いて。もうさりげなーく子ども
の親権もあたしのチェックして書いて、ぜーんぶ書いて。判子もポンって。はい!って。そこまでしたら男
引けないじゃないですか。
【調査員】もう売り言葉に買い言葉でね。
【カオリさん】もう書きますわ、そこまでしたら。もうがっちり。綺麗に書いてくれはって、ほらって。押
しはった。あほやから、勢いで押しはった。今思えばすごいと思うんですけど、はいって渡されたから、あ
りがとうって言って、たたんで。じゃあ出て行くわって言うから、はいって。もうそれも止めず、わかりま
したって言って出て行って。破られたら困るよなって思って、即効で朝友だちに電話して、ちょーごめん、
すぐ話があんねんって言って。もうやばいって思ったんでしょうね。とりあえずすぐ会ってって言って会っ
て、封筒に包んで、ごめんやけど黙って預かってって。何なん?って、いや離婚届って、はぁー?って。
【調査員】びっくりですよねー。朝から。
【カオリさん】ごめん、破かれたら困んねんって。これ一枚しかないからって。えー、判子まで押してん
の?って、押してるって言って。何があったん?って。いや、昨日喧嘩して、ふとこうなってんって。
えー?って言ったんやけど、もうそれまでずっと愚痴って聞いてくれてたから、もう分かったって言って預
かってくれて。でもなって、この喧嘩であたし過ごされへんかもしらへんって言って、ほな飲もうやって
なって飲んだんです。
【調査員】なるほどなるほどー。
【カオリさん】ほんだらずっと電話入ってて、ずっと無視してて。その時はまだ出すつもりじゃなかったん
やけど、帰って、もう家の中はぐっちゃぐちゃにされてて。
【調査員】暴れて?
【カオリさん】暴れて。電話も出ぇへんってどういうことやーみたいな。いや、飲んでたしみたいな。知っ
てるやんみたいな。で、ぶわーって。えーって、どうせーっちゅうねん・・・って思ったら、横で子どもが 、
ママもういいよと。おじいちゃんとこ行こーって。
【調査員】はー、鳥肌立った。へー、お子さんすごい。
【カオリさん】言ったでって。よっしゃわかった、じゃあ。
【調査員】小 1?
【カオリさん】2 年生の 4 月。よっしゃって言って。もうその時はランドセルにすぐ教科書全部詰めなさ
いって言って。もうおもちゃは全部持っていかれへんけど、全部おじいちゃんが買ってくれたおもちゃやか
ら、また買ったるからーって言って。教科書だけ詰めて。私ももう衣装ケースとか、すっごい旦那が引っ越
し魔やったから、お金もないのに引っ越し魔やったから、かなり荷物が片付いてて。必要書類とか大事な物
を一ヶ所にまとめてる癖があったので。
【調査員】これ幸いですね。
【カオリさん】衣装ケース一個にもうだーっと詰めて、もう洋服とかはもういいやって思って必要最低限だ
けって思って。で、もう一回友だち電話して、ごめんやけど今すぐ来てくれへん?って言って。でも旦那は
興奮して怪しいから、ごめん殺されるかもしらへんって言って。
【調査員】それ、隣にいる中で?
【カオリさん】もうやりながら。詰めながら、電話して、ごめんやけどすぐ来てって。え?ってなって。で
もごめんやけど、この電話も切らんといてって。私殺されるかもしらへんっていって。もうわかってるから 、
えーってなって。すぐ行くわって言って。ご主人も帰ってきてはったから。でもそこで男が出て行ったら
もっと怪しいから、じゃあちょっと女だけ行ってこいって言って。でもすぐ待機はしてくれてはったんやけ
ど、すぐ行って。大丈夫なん?って来てくれて。ごめん、荷物だけ出すん手伝ってくれへん?って言って、
必要な荷物だけ出して。でも、すっごい言ってくれた。ご主人わかってますか?って。もう彼女本気です
よって。今ここで出て行かしたら、もう 2 度と帰ってこないってわかってますか?って。そしたら、もう勝
手にせぇみたいな。もう話にならへんから、あ、もうほんまにご主人あんな人やったんやねって言って。外
面すごいよかったんですよ。
【調査員】なるほど。モラハラ系でそういう人、多いですが。
【カオリさん】あれが家の中やってんって言って。もうわかるわーって言って。もうでも、とりあえず荷物
出して、はいさようならで出て行って。即効でおじいちゃんに電話して。夜中 12 時回ってんのに。ごめんや
けど今から迎えに来てって言って。はぁ?や。それこそこっちもはぁ?ですわね、寝耳に水。
【調査員】ですよねー。夜中に何事やと。
【カオリさん】いや、もう離婚するからって、えーって。少し離れていたので 1 時間はかかるでーって。1 時
間じゃあ友だちの家で、もう事情話して待ってますっていうことで待って。そのまま友だちとお酒飲みなが
ら、もうやってられへんよなーって言いながら。じゃあ預かってた離婚届、はいって言って。もうおじい
ちゃん来ました、荷物積みました、そのまま区役所寄って夜中に出して。激動の一日、ひゃーー!
【調査員】本当ですねー。その時って、もめなかったですか?ご主人が・・。
【カオリさん】いや、それがねー、そのままとりあえず実家にいるじゃないですか。もう学校も休まして、
しゃーないから。そしたら 1 週間後ぐらいに電話かかってきて。お前どこおんの?って。いや、言うわけな
いやんって思って。でも実家以外ないやんって思いながら。え、なんで?って、なんで帰ってけーへんね
んって。え?って、ほんとに思わず電話見て、んーって。あのさーって、離婚したん知ってる?って。
【調査員】提出したのはご存知でなかった?
【カオリさん】お前出したんか?って。いや、だってあんた判子押したやん。それで無効やなんやって言い
出すから、いやあんなーって、判子押してたら合意の元やねんでーって言って。で、そこからですわ。
【調査員】だろうなっていう、なんか予感がしたんですけれども。
【カオリさん】とりあえずゴールデンウィークにからんでたので、とりあえずあたし転校させたくなかった
から、元々住んでいた地域で家を借りたいって、父親に言って。借りてもらったんですよ、転校せずに済む
ところに。
【調査員】元々そちらの地域の出身でいらっしゃったんですか?
【カオリさん】出身は違うんですが、結婚してそこに。それで、家を借りたんですね。そのままゴールデン
ウィーク明けには学校通わしてたんですけど。ほんだら学校、警察、市の子どもセンター、 3 ヶ所廻りま
くってるんですよ。その理由が、嫁が子どもを誘拐した。
【調査員】なるほど。
【カオリさん】あり得へんって思って。あんまりうるさいから、子どもは会わしてもいいかなって思って、
最初は会わしてたんですね。会わしてたんですけど、なんか一回会わしたら図に乗って、なんか泊まらせぇ
とか、なってきて。なんかもうこれ話おかしいなって思って。もう引っ越し。今度は転校覚悟で、もう会わ
しませんって言ったら、今度警察になんかずっと居座ったみたいで。
【調査員】うーん、誘拐されてると、訴えてはったんですか?
【カオリさん】警察から電話かかってきて、円満離婚ではないけど判子は押したんやろ?って。押したーっ
て。ほんならあっちの言ってることが間違ってんねんなって、間違ってるって。でも、とりあえずごめんや
けど、事情説明に来てくれるかなって言われて、そうですねって言って、事情説明に行って。もうその時に
は、離婚の時に区役所でなんか母子手当とかってどうしたらいいですかって聞いたら、区役所の人がなんか
感じたんか、あなたちょっとこっち来なさいって横によけられて。
【調査員】別室にって言われたんですか?
【カオリさん】何があったの?って。で、離婚の理由を話したら、それモラハラだからって。 DV だからっ
て。え?って、暴力振るわれてないしーって。いやそれ DV だからって、その地域では男女共同参画セン
ターがあるので、すぐに行きなさいと。チラシどわーって渡されて、こっちが必要書類ね、みたいな。なん
ですかこれ?って。でもなんか行け言われてるから行こって。行ったら、もうそれ完全にモラハラだ、みた
いなんをだーっとレクチャーされて。
【調査員】じゃあそこまでは、ご自身で気付いておられなかったんですね。なるほどー。
【カオリさん】しかもこの離婚直前に旦那の闇金借金が発覚して。その督促が仕事場にかかったりとかで。
でもそこで精神科に通ってたんですよ、あたし。通ってる状態で色んなことやったんですけど。やって、男
女共同参画行って、モラハラやって言われて。じゃああたしはもうあの人、まあ会いたくないけど会わん方
がいいよなーっていうことで、そこでその時に一回目の警察に被害届を出しに行ってるんですよ。え、離婚
してるんやろ、でも離婚したけどなんかあたしやばそうなんですと。なんか追いかけられそうなんですと。
【調査員】怖いですと。
【カオリさん】えー、君みたいなパターンもなかなかないでって言われながら。それを出してたもんやから 、
会わせませんって言って、その行った時にあーあの人やってなって。
【調査員】なるほど。警察の方で合致されたんですね。
【カオリさん】合致されて。そらどうも言ってることおかしいわってなって。もう一回説明においでって言
われて、説明に行って。
【調査員】しんどいのにねー。
【カオリさん】そらあれやなって。こんな被害届も出してるくらいやし、子どもがあれなんはわかるけど、
学校にも迷惑かかるから、もう転校しーって言われて。もう地元帰りーって言われて。警察で。ああ、やっ
ぱりー?とか言って、そうですねーって、じゃあ地元に帰りますーって。しゃあないわーって、転校させへ
んってつもりやったけど、ごめんやでー言うて転校して。まあさすがに心配やったけど、これまたすんなり
馴染んでくれて。
【調査員】あー、そこがすごいな。お子さん、助かりますねー。
【カオリさん】もう 3 日目には転校生でしたよね?っていうぐらいの。ほんとに。
【調査員】はぁー、お子さん凄すぎる。
【カオリさん】ほんとに、助かった。あの性格。それであたしも住んでた地域の仕事を辞めて。
【調査員】そうですよねー、それはそれで大変。
【カオリさん】就職活動もすごい必死でやったんやけど、ほんとに精神的に病んでたんですね、きっと。
【調査員】そうですね、精神科にも通っておられたし。
【カオリさん】(娘が)2 年生の 4 月に離婚して、ちょっと結婚して住んでた地域におって、 10 月に地元に
転校して、でも 3 月までは元々住んでた地域の職場通ってたんです。でももうしんどいって思って、 4 月か
ら新しいところに行ったんですけど、まあ合わない。ちょっと人間関係が合わない。っていうんで、そこか
ら職業訓練に行ったりとかして。9 月から正社員で見つけたんです、医療事務を。
【調査員】おー、すごい!
【カオリさん】これ 3 年生の 9 月から。ほんだらここでイジメに遭いまして。まあ今思えばあたしの態度も
あれやったんかも知らんけど。もう一緒に働いてた方が誰かを標的に虐めないと気が済まない方だったみた
いで。まあ虐め易かったんでしょうね、その時のあたしは下手下手に出るタイプなので、なんでも。そこ 9 月
に入ったんですけど、もうそこでぶわーって虐められて、あまりにも。
【調査員】具体的にどんなイジメやったんですか?言葉とか?無視とか?
【カオリさん】え、もう挨拶も何も返事が無いとか。一斉に無視。それも医療事務なので、人数が 5 人とか
6 人の中で徹底的に無視されて。無視されるけど用事だけ言いつけられるみたいな。
【調査員】仕事押し付け?
【カオリさん】そこそこ仕事こなすタイプやったんで、あれもこれもってすっごい言われて、ちょっとのミ
スをわーって責められるんですよー。でも聞いても教えてもらえないし。やから 3 年の 9 月から働いた時か
ら結局 3 月にもうあかんって思って、辞めますって。でももう辞める時には直前に地元の精神科に変わった
んで、住んでた所まで通うのしんどいって。そこで先生に、最初は辞められへんとか言うてたけど、いやも
う辞めなさいと。無理やって。あの、まともに喋ってるつもりやろうけど、かなり言ってることおかしい
よって言われて。
【調査員】そんな状態やったんですね。
【カオリさん】私おかしいですか?みたいな。かなりおかしいからって言われて。
【調査員】どんな感じやったんですか、具体的に。
【カオリさん】いや、だからなんか出来ないことを出来るってすごい言ってるみたいで。
【調査員】ほー、もう明らかに出来ひんやろっていうのをなんですね。
【カオリさん】端から見たらどうやっても無理な状態やのに、本人は大丈夫って言ってるみたいな。今なら
分かるけど。
【調査員】気付いてへんのはしんどいですからねー。そっかそっか。
【カオリさん】結局それでもう 4 年生の間、1 年間は、もうちょっと仕事その時に辞めて、はっきりと病気
として診断されて。ほんとに糸の切れた凧というか。こう伸びきった風船というか。起きれなくなったんで
す、今度。ほんっとに、トイレに行く以外起きれなくって。お風呂も入れないし、汚ね自分と思いながら。
もう布団から起きれない。また薬がそういう薬なので。
【調査員】ちなみにどういった、診断名がついてはったんですか?
【カオリさん】双極性ⅱ型感情障害かなんか。要は鬱病なんですけど。
【調査員】うんうん。まあしんどい時はみんなそうなるでしょうねという感じのですね。
【カオリさん】もう完全に薬ばーって出されて。こんなに飲んでて大丈夫かってくらい飲んでたんですけど。
【調査員】それ怖い。もうずっとだるーい感じでしたか?
【カオリさん】ずっとだるい。一日ずっとだるくて。だからその頃は、 4 年生ですよ。朝起こして、とりあ
えずパンだけ焼いて、置いとくんですよ。牛乳とパンだけ置いて。
【調査員】そこはでもちゃんとされてたんですね。すごいわー。
【カオリさん】そこだけして、そのままあたしは布団入って寝てたら、自分で全部食べて、着替えて、顔
洗って、ちゃんと登校まで。一回も遅刻なし。今思ってもえらいなーって思うけど。それが 4 年生。ほんだ
らまた、運って言うのも不思議なもんやけど、6 月の母子対象の市営住宅の抽選に当たってるんですよ。
【調査員】パチパチ(拍手)それすごいですね。10 年当たれへんとかザラにいるんで。
【カオリさん】でも一番しんどい時やったんです。今引っ越しですか?って。
【調査員】そうかー、引っ越し結構体力いるもんなー。
【カオリさん】2 年の 10 月の転校して、今度は 4 年の 2 学期に転校ってことで、2 年居なかったんで、そこ
の学校。もうめっちゃ責められて。なんでそんなん応募したん?って。めっちゃ楽しい学校やから、もう変
わりたくないとか。いや、そやな、その気持ちはわかるけど、でも最初そこに来た時は、もうとりあえず
やったから、ワンルームだったので。今度の家は部屋もあるし、次は中学校卒業までは絶対に引っ越せへん
からって言って、説得して。めっちゃしんどい中、とりあえず 8 月に引っ越しして、2 学期から。でももう
結婚してたとき住んでいた地域から来た時点で、万が一の追いかけがあるかもしれないっていうことで、学
校にも言ってたんですよ。
【調査員】言っとく方がいいですよね。すごいすごいなかなか言えないもんです。
【カオリさん】うん、でまあもう一回言っといた方がいいなっていうことで、 2 年経ったけどまあまだ
ちょっとあれやなーと思って。もうそんな状態でとりあえず校長先生に会って。校長先生すみません、私今
こんな病気の状態で、動けないんですって。ほんであの子には何にも出来ませんみたいな状態を説明して。
校長先生もえらいのが来た状態で。また女の先生やったんで、たまたま。えーってなって。その時あたしは 、
でも言っといた方が、もし制服が非常に汚れてるとか給食のナプキンとか汚いまんまやとか、何か気付いて
くれるだろうと。だから、えこひいきしてくれじゃなくて、見といてくれって言って。あたし自信ないか
らって。
【調査員】あー、それほんとすごいなー。
【カオリさん】これほかの人にも言ったら、それすごいねって言ってはったんやけど。もう、なんせ人の目
を入れとかないと動かないやって思ってたので。そこまで言って。これめっちゃすっ飛ばしてるけど、この
間に色んな調停も入ってるんで。
【調査員】そうですよね、あたしもなんか遡ってまたお聞きしたいなって今思いながら、メモしてますけど。
【カオリさん】そうそうそう。まあそれで、薬の状態も落ち着いて。とりあえず引っ越しをこなしたという
ことでちょっと自信がついてたんですよ。
【調査員】あたし大丈夫やん!と?
【カオリさん】色んなことしないとダメじゃないですか。住民票から何から、とかも色んな処理せなあかん
し。ちょっと自信がついて。ちょっと自信がついたけど、まあしんどいなーって年越したのかな、 4 年の
時・・・お正月に、新聞にある人の記事が載ってたんです。 2011 年のお正月に読んで、この人絶対連絡した
いと思ったんですよ。あかんって、この人あたし絶対連絡しなあかんって思って。で、手紙書いて。新聞宛
に、何月何日のこの人に連絡が取りたいって。あたしも自分の住所、名前、電話番号、メルアド、全部書い
て送ったら、メール来たんです。会いましょうってすぐ言ってくれはって、ええーってびっくりで。
【調査員】ダメもとやったんですね、カオリさんの気持ち的には。なるほど。
【カオリさん】だってね、一応新聞に載る人で。そしたらすぐ来てくれて、会って、もうその時に、わかる
わーって話を聞いてくれて。え、わかるんやーって。でも書いてた内容が結構似た部分があったから。
【カオリさん】わかってもらえますかーってなって、そこで初めて当事者同士の会があるからおいでって言
われて行って、こんな世界もあるんやーって。でもその後ちょっとまたぼーっとしてたんです。ぼーっとし
てたっていうか、1 年も家におったら飽きてきたんですよ。
【調査員】少し落ち着いてこられてウズウズしてきはったんですね。
【カオリさん】ちょっと飽きてきてー、どうしよかなーって思って。もう働きたいやって思って、就職活動
をいきなり始めて。5 年生の 6 月からよっしゃーって、なんかコールセンターが決まったので、よっしゃっ
て思ったら、タイミング良くその新聞の方からメールが来て。アルバイトせーへん?って。え?って。実は
今こうこうこんなんでね、決まったんやけどって。もう決まったんやけど、その決まった先が、不安なとこ
ろがあんねんって言って。それはほんまに些細な書類送ってきた住所とか名前が間違えられてたりとか。
【調査員】はいはい、大丈夫かって心配になるところがあったんですね。
【カオリさん】結構名前の通った大きな企業だったのに、そういうのってさー、なんか微妙に嫌やんとかっ
て言ったら、そういう直感って当たるわとかってなって。かおりちゃんたまたまあたしが電話したん、すご
いタイミングやでーってなって。お金はそら稼がれへんけど、アルバイトでとりあえず身体慣らしぃやって
言ってくれはって。その方の紹介でアルバイトに行き始めたんですよ。
【調査員】具体的には何やったんですか?
【カオリさん】タクシーに乗って、高速道路の料金所とかをチェックしたりっていう仕事だったんですけど。
【調査員】また変わった、特殊な仕事ですねー。
【カオリさん】まあでもその方のお友達の会社で。でも、これが正解。もうすごいご親切に、体調の良いと
きだけで週 2 日、3 日、好きにしていいって。
【調査員】はー、ありがたい!
【カオリさん】1 ヶ月に何日間かやけど。だからお金はもう全然ね、時給 800 円やしないけど、体調を戻す
ことで考えーって言ってくれはって。それも 10 時-16 時やったんで、もう最初は 1 日行って、めっちゃ次の
日もう無理って寝て、っていうのを 7 月くらいからやったんですけど、これ 9 月ぐらいになったら、仕事無
い日、めっちゃ毎日遊びに出るようになったんですよ。身体が戻ってきたので、リズムが。
【調査員】はぁー、素晴らしい。そんなもんなんですね。
【カオリさん】出て帰ってくるというリズムが戻ってきたので、下手したらその仕事じゃない間の日の方が
一日遊んでいます、みたいな。
【調査員】わー、でもすごい。
【カオリさん】あれ、あたし毎日出てるーって気がついて、よっしゃ、もうこれなら働けるやろって思って 、
もう一回活動始めて、今のところに。
【調査員】はぁー。今は正社員ですか?
【カオリさん】今は派遣。
【調査員】派遣社員で、フルタイムで働いてるんですか?アルバイトがリハビリになったんですね。
【カオリさん】むっちゃリハビリやった。ああいう働き方大事やわーと思って。
【調査員】そうですね。急にきっとコールセンターとかで、フルタイムでやったらね。
【カオリさん】もう疲れててつぶれてたから。めっちゃ簡単な割には色々しゃべったな。
【調査員】一回ちょっとお茶とか飲んで頂いて。戻ってちょっとしんどい話をお聞きすると思うんですけど 。
元ご主人、なんかその子どもを誘拐したみたいな話のところで、ちょっと大分戻るかもしれないんですけど 。
それって実際にお子さんに愛情があっておっしゃっていたんでしょうか?
【カオリさん】いや、あたしに対する当てつけというか。あたしを困らせるためだけだと思います。
【調査員】そうですよね。具体的になんかエピソードってありますか?旦那さんがストーカー、ストー
カーって言っていいのかわからないですけど。
【カオリさん】とりあえずもう会わさないって言って、離婚した時点であたしの籍の付票とかは取られない
ようにしてるんですけど。当然住所は探れないじゃないですか。住所探れないけど、もともとの二人がいた
住所で、面接交渉権の調停をぱーんと立てられて。
【調査員】うわー、やりますねー。
【カオリさん】やられたー。何が腹立つって、もともと住んでいた地域の裁判所に行かなきゃいけない。家
裁なので。養育費の調停を、あたしも立てさせて頂いて、両方同時に進めよーってなったんやけど。ああい
うのって子どもの福祉の観点からいくので、基本会わせる。最近はハーグ条約の話をかもあるので、どっち
があれとは言えないんですけど、あたしはもうとりあえず会わせたくなかったので、もう嫌だっていう平行
線をずっと辿って。でもこれが月一回繰り返されて。とりあえずその時はあたしと夫が会わないように別々
に調停員の人が聞いてくれたんですけど。
【調査員】もう家裁の中で会うような感じですか?
【カオリさん】もうその家裁の中も、時間もずらして。全部。こういう被害届も出してるし、無理ですって。
【調査員】配慮してくださったんですね。
【カオリさん】けど、結果はまあ会わせろって出たんですよ。
【調査員】それどういうことでしょう?
【カオリさん】年に 3 回は、なんか会わせろみたいな結果は出たんですけど。調停員の人じゃなくって裁判
所側の人が一人入って。その方はちょっと良い方で、こういう判決には絶対なるけど、子どもが 14 才になる
まではもういいって。 14 才になったら子どもの意見が裁判では大人と同等の意見として認められるから、そ
の頃にも彼女はもうきちんと考えて、それこそ親の気持ちも考えた上で結論を出せるようになってると思う
から、14 才までは逃げちゃいなさいって。
【調査員】おー、そんなアドバイスしてくれる人いるんですね。
【カオリさん】たぶんあかんと思うけど。
【調査員】普通四角四面で、そんな情のある様な方の話聞かないですけど。
【カオリさん】なんか巡り会った方はすごい色んな点でよかったんだと思う。もう 14 才までは、その約束の
場所にも行かず、言ってきたらなんか調停とかその度に立てられたら答えるだけで、こっちからもうアク
ション起こさず、逃げなさいと。もう 14 才なったら、もうあなたじゃなくて彼女の意見で考えなさいって言
われて。ああ、そうですか、 14 才ですかーって。14 才まではじゃあ逃げさして頂きますーみたいな。なんか 、
そういう判決が出たのは来たけど、一切約束の日時は行かず、なんか言ってくるかなって思ったけどそれも
言ってこず。
【調査員】それ今でもずっとおっしゃっているんですか?年 3 回
【カオリさん】いや、なんか結局どうなんでしょうね、それ。あたしなんかもうその判決書すらどっかに置
いちゃったぐらいなんですけど。なんにも言ってけーへんから、いいんちゃう。
【調査員】その時ってカオリさんが会わせたくないって思った理由って、どういう思いからだったんです
か?
【カオリさん】向こうの価値観で子どもに喋ってほしくない。うまく説明出来ひんねんけど、あたしの自分
の価値観が良いとは思わないけど、でもなんか向こうの、それこそ倍返しじゃないけど、やられたらやり返
すというか、やられる前にやれみたいな、ああいう価値観をこう喋ってほしくなかったっていうか。
【調査員】なんか刷り込まれたくないって感じですか。
【カオリさん】あと下手したら、子どもからお金を取っていきそうな感じがするので。あげるんじゃなくて 、
パパ今困ってんねん、頂戴みたいなのを言いそうな気がしたから、やだ。
【調査員】感情的なことですか?
【カオリさん】うーん。感情もあるし・・・
【調査員】お子さんはちなみにそのことどうおっしゃってるんですか?
【カオリさん】そのなんか裁判所の人が一回子どもにも会わなきゃいけないっていうことで、一回面接子ど
もとしたんですけど。何にも言ってくれへんねんけど、その人が言うには、会いたかったら会っても良い
よって返事したらしいんですね。なんか自分から会いたいって言った訳ではなく、でもすっごい勘のいい子
なので、色んな計算をしての答えだと思うんですけど。
【調査員】おー。それはどういう計算なんでしょう?
【カオリさん】だってやっぱり私の地元に帰ったらおじいちゃんおばあちゃんが可愛がってくれてるわけ
じゃないですか、基本。あたしが動けない時は全部あれなので。おじいちゃんおばあちゃんがお父さんを
嫌ってるっていうことは知ってるので。だから色んな計算の元の返事だとは思うんだけど、どうなんでしょ
うね。何回か会いたかったら会ってもいいよって言ってるんですけど、んーいいわって言われるんで。本音
はわからないです。
【調査員】なるほどー。まあでも今は特に何もない?
【カオリさん】今は忙しいしね、自分が。
【調査員】そうですね、中学生でね。今はじゃあ落ち着いて普通に生活をされてるんでしょうか?
【カオリさん】そうですね。
【調査員】なるほどー。じゃあもう特に地元に戻ってこられた後は特に元旦那さんから何かあるっていうわ
けではなく?
【カオリさん】何もなく。
【調査員】あ、良かったですねー。ちょっとじゃあ、ほっとされている感じでしょうか?
【カオリさん】うん、もうほんとにこっちに完全に引っ越しての、調停とかも全部終わってからは、何の接
点もないので。
【調査員】もう二度と会いたくもないし、という感じですか?
【カオリさん】生きてんのか死んでんのかもわかりません。
【調査員】今はカオリさん自身はまた、病院とかにも通われながらお仕事されてるんですか?
【カオリさん】ううん、もう今のところに就職が決まった時に、紹介でアルバイト始めて 1 ヶ月ぐらいして
から、急に薬が怖くなって。こんなに飲んでたらやばいやろとかって思って。先生に内緒で。
【調査員】たくさん飲んでて、普通の感覚かもしれないですね、それ。
【カオリさん】そう、先生に内緒で止めてたんですよ。でも、一応行ってたんですけど、もう決まった時に 、
先生すいません、ちょっと最近薬怖くて飲んでないんすよねーって。ふーん、そうなん?って。気付いて
はったと思うけど、たぶん。目も変わってると思うから。どしてもこうぼーっとさせる目になるので、気付
いてはったと思うけど。もう自分がしんどくなったら来るんでいいんですかね?みたいな。いいよーって言
われて。
【調査員】じゃあもう今はお薬もなく?
【カオリさん】もう全然なく。
【調査員】問題はないですか?
【カオリさん】たぶん。
【調査員】たぶんですかー。なんかその児童扶養手当の手続きとか行った時に、すぐにこう別部屋に呼ばれ
たっていう話があったじゃないですか。それってどういう状態でいらっしゃったんですかね?なんかそれ
よっぽどかな?って思ったんですけど。気付くって、ねぇ。外見で。
【カオリさん】全然。あたしはでも全然。実際に暴力は振るわれてないので、アザがあるとかでも何でもな
いので。ほんっとに何にもないんです。
【調査員】その方が、勘が鋭かったのでしょうか?
【カオリさん】勘が鋭かったんだと思います。だってその時あたし名前も名乗ってないですから。
【調査員】そうなんですか?
【カオリさん】どんな手当がありますか?って言っただけで、ちょっとこっちおいでって。
【調査員】すごいな、その職員さん。
【カオリさん】もうほんっとに、今思えば。えーっみたいな。
【調査員】でもすごい救われたんですよね、きっと。ご自身は気付いておられないので、その時点では。
【カオリさん】DV は、手が出る暴力だと思ってたので。だからもうその場で、あたし暴力は振るわれてな
いですって返事しましたから。だからーって、言葉の暴力でしょって。そう言われればそうですかねーぐら
いな感じだったから。
【調査員】ずっと色んな方にお話聞きますけれども、窓口で嫌な思いをしている方の話しかほとんど聞かな
いんですけれども。このカオリさんのケースはいい話。
【カオリさん】びっくりです。
【調査員】ねー。良い職員の方に当たられたんだなーと。
【カオリさん】もうほんとにこれはもう、あちこちでネタで言ってますけど、ほんとにびっくりでした。
【調査員】もうよっぽどすごい疲れ果ててはったんかなーとも逆に思ったんですけど。
【カオリさん】でも疲れてたのは、疲れてたのかもしれないですね、確かに。
【調査員】なんかサインがあったんかも。
【カオリさん】でもアザとかではないから、手は出されてないので。
【調査員】なんかちょっと嬉しいなっていうエピソードとしてお聞きしてたんです。ほんとに窓口でひどい
扱いをされてる方が多いので。それぐらい自分のせいちゃうんですか?とかね、 DV やのに言われたりとか。
あなたにも悪い、落ち度があったんじゃないか?とかね。しんどい時に言われて、もうへこんだ話とか聞く
と、腹立つなーと思うことが多いんですけど。じゃあそこで、ご自身で DV だったっていうことに気付かれ
てそれで警察に訴えもされ、段々好転していったっていうことですよね?
【カオリさん】でもその時はもうあたしの感情が今度は恨みにしか走ってないから。
【調査員】なるほど。そうだったのかとわかって、腹立つっていう気持ちが沸き上がってこられたんですね。
【カオリさん】まあ。今度はもう恨みばっかりになっちゃったんで。
【調査員】それまでは別にそこまで恨んでるということではなかったと?離婚はされたんですけれども。
【カオリさん】なんか、ただの性格の不一致の離婚だと思ってたんですよ。なんか、自分の我慢の限界が来
たっていうか。どこの家庭でもちょっとはこうズレてるのは、お互い折り合っていくけど、もうあたしはこ
れ以上我慢出来ないやぐらいだったんだけど、そうやって言われりゃ、そうか、モラハラか、みたいな。
【調査員】腹立つなーと?まあそのお金、お仕事されていないとか、そういうこともあったんですもんね?
【カオリさん】だって離婚直前、あたし 3 つ掛け持ちですよ、仕事。
【調査員】えー。どんな生活やったんですか?
【カオリさん】9 時から 17 時にコールセンターで働いて。家の前に和食のレストランがが丁度出来て。表に
出るのは嫌やから、洗い場のバイトを 18 時から 22 時。
【調査員】あらー。はい。そこ 1 時間だけですね、休み。
【カオリさん】でもこれはほんとにね、彼が子どもにご飯を作って食べさせることが出来る人やったから。
そこは、良い面だったんですけど。
【調査員】その 1 時間でご飯の用意とかをしているっていう訳ではなかったんですね。まあでも長時間でし
んどいですよね?
【カオリさん】しんどいんですけど、そこは何も。逆にそこだけ働いてたら、あたし何にも帰ってしなくて
よかったんですけど。
【調査員】まあ言えば、なんでしょう。旦那さんが主夫しているような感じ?
【カオリさん】ただ洗い物は全部台所に残ったままなんです。 22 時に帰ったら洗い物はどんってあるんです
けどね。そういう男の料理だったんで。まあでも作れるのは作れるし、子どもにも食べさせられるし。小学
生だったんでもう。別に明日の用意の手伝いとかも出来る人やったから。でも 22 時まで。土曜日は、歯医者
さんのアルバイト。日曜日だけかな。さすがに日曜日は休ましてくれって思って、日曜日だけは休み入れた
けど。
【調査員】なるほどー。ほんとにもうそれで何とか一家の生計を立てていらっしゃったんですね、カオリさ
んが。借金は具体的に何に使ってたんでしょう?
【カオリさん】知りません。ほんとに何にも知りません。
【調査員】そういう会話するようなご夫婦ではなかったんですね。
【カオリさん】いらん事聞かんでいいって。なんかそういう時だけ、すっごいこう子ども扱いみたいな。お
前が知ることじゃないというか。お前は知らんでいいって。
【調査員】知らんでいい・・ちなみにどれぐらいの額、やったんですか?
【カオリさん】知らない。ほんとに知らない。
【調査員】そうなんですね。
【カオリさん】だって、モラハラをするってことは、理屈がすごいんですよ。
【調査員】どんなんやったんですか?モラハラ。具体的には。
【カオリさん】モラハラ・・・具体的には・・・。え、まずあたしのことは基本的にクソ女やし。
【調査員】あの、呼ぶ時いつもですか?
【カオリさん】はい。あの普段はあれなんですけどね。喧嘩の時。そんなやし、まあ料理も出来なかったの
で、基本。勉強しかしてこなかったから。
【調査員】ねぇ、大学卒業してすぐ結婚されてるし。
【カオリさん】お前みたいな女は、結婚してもらっただけでありがたいと思えっていうのが、まず大前提に
あって。お前みたいなあほ知らんわ、から始まって。今度は、親の顔が見たいって。いや、知ってるで
しょって感じなんですけど。そうそう面白かったのが「掃除は掃除機がする。洗濯は洗濯機がする。で、お
前は料理が出来ない。どこに価値があるの?」って。
【調査員】家事が出来ない奴は人間として価値がないと?
【カオリさん】そうそう。よう結婚してもらったよなって。でもその時は、うんって思ったんです、あたし。
【調査員】そうかー、と受け入れてはったんですね。
【カオリさん】それで、さっきの助けてくれた友だちに言ったらね、ちょっと待って、て言われて。掃除機
のスイッチ入れんのは誰?って。動かすの、洗濯機のスイッチ入れるん誰?って、あんたなんで言わんかっ
たん?って。思い付かんかったーって言って。それぐらい洗脳されてて。
【調査員】その時、でも自分が、そんなもんなのかなーと。
【カオリさん】もうほんとに自分に自信がなかったから、ほんとに今でも料理下手やし。
【調査員】家事に関してということですか?
【カオリさん】そうそう。
【調査員】でもねー、勉強も出来はるし。資格もいっぱい持ってはるし、働いてるし。
【カオリさん】でもあたしの中では、冷蔵庫の中見て、残り物でぱっとご飯作れる人ってすごいなっていう
のがあるんですけど。まあそれが出来る人やったので。
【調査員】得意なとこがちゃうかっただけという言い方もありますけど。
【カオリさん】その時はそう思わなかった。
【調査員】年も離れてはりますしねー。でもまあ、しんどかったんですよね?しょうがないと思いながらも。
【カオリさん】だってなんかずっと否定されるので。お前はおかしい、お前の考え方はおかしい、お前の価
値観はおかしいって。なんでそうなの?わからへん、ってぶわーって言われて。あたしがおかしいんかーみ
たいな。え、でもあたし結構、普通やと思うけどなーみたいな。
【調査員】まあね、ご主人一度ご離婚されてるって話だったんですけれども。それってどういった理由やっ
たとかお聞きされてましたか?離婚理由について。
【カオリさん】離婚の理由は、彼から聞いてるのは全部彼女の悪口しか聞いてないから。でも今思い返せば 、
似たような理由やったかもしらん。
【調査員】おんなじ状況やったん違うかなーと。
【カオリさん】状況はほぼ一緒やったと思うんですけど。でもそういや彼氏が前の奥さんに言う悪口は、家
事が出来ないやったわ。今思えば。
【調査員】奥さんが出来ないと同じように責めてはったんですかね。
【カオリさん】まあ知りません。
【調査員】ちなみにそのご主人のお父さんお母さんとのお付き合いは?
【カオリさん】ないです。えーっと、お母さんは亡くなってました。お父さんとは上手くいってなかったみ
たいで、あたし会った事ないです。
【調査員】あー、そうなんですかー。ご兄弟とかは?
【カオリさん】弟が 1 人。弟は会った事ありますけど、もう知らない。
【調査員】あんまりお付き合いがなかった?じゃあ結構孤立されてる感じの方だったんでしょうか?
【カオリさん】孤立ですね、かなり。
【調査員】ご相談される方とかおられたんでしょうか?カオリさん結構お友達とかにも、すぐご相談されて
ますが。
【カオリさん】今思えば、あの性格が故に友だちもいなかったので。だからかなー、余計そういう。モラハ
ラに走りやすいタイプだったのかなと。
【調査員】孤立されてて仕事とかもなくなってきて、カオリさんに当たってるような感じだったのかな・・。
【カオリさん】仕事があれば、一応職場の付き合い、職人の付き合いとかもなきにしもあらずなんやろうけ
ど。でもその職人の付き合いを外れて飲みに行こかみたいな友だちがいなかったってのは致命的ですよね。
【調査員】そうですね。仕事がなくなったら、そこで職場仲間との縁も切れてきてと。なるほど。まああの
全然加担するつもりはないですけれども、なんか何となくはしんどい気持ちもわかる。
【カオリさん】うん、わかる。
【調査員】だからってして良い事と悪い事はあるんですが。なるほど、それ離婚された後も、つきまといみ
たいなことがあったこともすんなり理解出来るというか。
【カオリさん】そうそう。だからもうほんまに、次の彼女はよ見つけてくれって思いましたもん。
【調査員】ほんまですね。怖いですものね。
【カオリさん】犠牲者が出るのは大変申し訳ないですけど、次の彼女が出来たら、そっちにもう完全に向く
から、早く出来てくれって思って。いや、出来たかどうかは知らないけど。
【調査員】もうどうでもいいっていう話でしょうけどね。なるほど。なんかその旦那さんの心理状態ってい
うのがなんかわかりました。もうだからずっと一番しんどい時って、この離婚される時ですか?
【カオリさん】ここ下がっていってるけど、経済的にもどんどん下がっていってたけど、一番しんどかった
んは、この離婚した後の鬱の時ですよね。
【調査員】そうですかー。そのとき、一番しんどかったエピソード。なんかどういった状況やったとかって
お話していただけますか?
【カオリさん】そのどういった状況も、動いてないです。ほんっとに。
【調査員】もうトイレ行くのもしんどいかったみたいなことお聞きしてましたね。
【カオリさん】もうほんっとうにこんなことってあるんだって思いましたね。なんかテレビとか観てて、そ
ういうの聞いてたけど、知識は知ってたけど、起きれないってあるんだって思って。もうすっごい負のスパ
イラルですよ。自分の価値観は無いし、逃げたいし、死にたいし。この頃近くの病院だったんですけど、と
りあえず線路には飛び込まないでねって言われて。はーいって言って。あそこは飛び込んだら、あとが迷惑
だよって。
【調査員】そこでそれを選ばなかったっていうのは、理由って今考えると思い当たる事ってございますか?
【カオリさん】なんでしょうね?たぶん、ほんとは死にたくなかっただけでしょうね。あとはまあ、死神さ
んが来なかったぐらいで。
【調査員】うーん、でもたまたまっていう感じですか?
【カオリさん】うん、たまたまやと思う。
【調査員】死んでいてもおかしくなかったと思われますか?
【カオリさん】うん。
【調査員】わー、よかったー、生きてお会い出来て。
【カオリさん】もうこの頃はオーバードーズ、薬大量飲みも 2、3 回やってるし。この時ワンルームだったの
で、彼女が一番しんどかったと思う。
【調査員】覚えてはるんですか?
【カオリさん】どうなんでしょうね。でも 3、4 年生やから覚えてると思う。
【調査員】そうですね。はっきり何がとはわからなくても、お母さんしんどそうやなとか。
【カオリさん】なんかママやばいで、ぐらいは思ってたと思いますけどね。
【調査員】でもおっしゃってたように遅刻せずに、ちゃんと生活を送っておられたんですねー。
【カオリさん】そう。だから、今なんか「もう 50 分やで、あんた間に合うの?」って、「あんたはよ行きー
や」ってめっちゃ言ってるけど、この子言わんでも行くんやろなって思いますもん。これ思い出したら。
だって、一回も言ってないですもん、あの頃。寝てたから。「ママ、行ってくる」「いってらっしゃい」っ
て言って、時間見たら、「あ、8 時や」って。だからあのめざましテレビのデジタルを見て、何分ぐらいに
は顔洗ってーみたいなんを、自然にやってた。
【調査員】お母さんがしんどいなっていうのを見てて、自分で出来ることはやろーってやってはったんで
しょうかね?
【カオリさん】どうなんでしょう、知りません。
【調査員】うちの息子まだ小 2 で、出来る気がしないので、そんなこと。
【カオリさん】いやでもほんとに、今思えば一回も遅刻してないし。
【調査員】問題も起こさなかったーとおっしゃってて。すごいなー、お子さん。
【カオリさん】地元では放課後授業があるんですけど。前は学童だったから、そっちで申し込んだら、まあ
これが楽しかったみたいで、毎日毎日。まあたまたま仲良い子がみんな行ってたみたいで。夏休みも毎日よ
ろこんで行ってくれて。いや逆に夏休みお弁当作らなあかんから家おってくれていいんですけど、みたいな。
【調査員】確かに。
【カオリさん】普段は給食なんですけど、いや夏休み家おってくれてもいいけど行くのーみたいな。行くー
言われて、ああそうですかーみたいな。
【調査員】なんかすごいですね、娘さんすごいな。
【カオリさん】やから、あの子やからあたし乗り越えてきてるんやと思う。
【調査員】ねー、そこでなんかまたお子さんが不登校になるとか、よく聞くお話で。そこでまたしんどさが
倍増するっていうことがあったりするんですが。
【カオリさん】坦々と自分のリズムでいってはりました。
【調査員】はー、素晴らしい。今もう中学生になられて。(バイオリズム表)一番下がってからは、徐々にこ
うまた上がって?
【カオリさん】そうこれほんま新聞記事読んでその方に会ってからですわ。もうあの人はあたしの人生の師
匠でございます。
【調査員】そうですかー、よかったそんな出会い!もうフルタイムでお仕事もされて、まあ生計も立ててお
られるということで。今なんかしんどいこと、困ってることっていうのはございますか?
【カオリさん】あたし、別れて、3 年生の時からこないだ働くまで、生活保護を受けてたんですよ。ほんだ
ら、ぶっちゃけ今の方が収入少ない。
【調査員】そうなんですよね、あたしも生活保護から抜けられた話は聞かないのでお聞きしたかったんです。
そこはどうしてだったんですか?ほんとに。
【カオリさん】結局その市営住宅に入って、引っ越して、その福祉も移ってるじゃないですか。病院のね受
付が同級生のお母さんだったんですよ。最初、気付かなくって。他の地域の病院に行きにくいので、そのの
中でもちょっと違う所に行けばよかったんですけど、もうしんどかったから自分が。そこで近くに行ってた
ら、後で気付いたんですけど、あれ?っと思って。あのお母さん見た事ある、参観で、と思って。なら、当
然守秘義務もあるので、そんな口の軽い方ではないのも十分承知なんですけど、向こうも言わないしね。で
も、あかん、保険証欲しいと思って。
【調査員】気持ち的にねー。
【カオリさん】これは・・・って。でも見た目はその頃かなり普通に元気に働いてたので。最後の方は自分
のこの収入に対してなので、全額もらってる訳ではなかったんですけど、医療証だけは完全に、あっち(生
活保護)じゃないですか。ほんだら、あかん、保険証欲しいと思って。
【調査員】なるほどなー。そっかー。そういった理由かー。
【カオリさん】以外と、ズシンときました。あーと思って。
【調査員】それってやっぱり娘さんのことが大きかったんですか?
【カオリさん】やっぱり何かの拍子に。彼女には言ってないので、受けてたって。言ってもいいんでしょう
けど。
【調査員】正当な病気もお持ちですし、権利なんですけどね。
【カオリさん】でもあたしの中で、最初っからずっととは思ってなかったんです。今しんどいからさせてく
れって思ってたので、自分の中でもずっとじゃないって思ってたし。言ってなかったから、そこにそれが余
計。うわ、これはもうこれ一本でやらなーと思って。
【調査員】娘さんにイヤな思いもさしたらあかんとかいうのもありますよね。
【カオリさん】何かの拍子にね、回り回って。
【調査員】なるほどー。親の気持ちはそうですよね。
【カオリさん】だから正直今の方が苦しい。だからそれを切って今だけの生活にした時に、どうやってもし
んどいぞっていって、知り合ったファイナンシャルプランナーの方に相談したんです。ちょっといっぺん家
計見てくださいって言って。金銭的にはほんとに。丁度昨日児童扶養手当の新しい証書来たら、下がってた
わー。
【調査員】減らされれますよねー。
【カオリさん】だからね、ずっとその生活保護やったから、満額出てたんですよ。この 1 年は。
【調査員】満額っていくらぐらいやったんですか?
【カオリさん】4 万ちょい出てたんですけど、もう完全に切って、今の収入だけの計算になると、えっと昨
日来てたんがなんぼやったかな。3 万 2、3 千円ぐらい。1 万痛いなーと思って。
【調査員】おっきいおっきい。
【カオリさん】4 万と、月 1 万円か。
【調査員】はい、児童手当。
【カオリさん】プラス 5 万ですね。まあでも、家賃は市営なので、2 万ちょいなんですけど。
【調査員】でも 2 万はするんですね。5 千円ぐらいにはならない、そっかー。
【カオリさん】ただ、その彼女は任天堂の Wii も持ってるし、 DS も持ってるし、確か去年の誕生日には
ウォークマンも買ってるしー。まあ公文だけはずっと行ってるので、離婚する前から。公文行ってて、進研
ゼミやっててー。そんなに持ってない子ではないと思うんです。
【調査員】それはご両親の、カオリさんのご両親のプレゼントですか?
【カオリさん】それもあれば、うちが買ってるのもあるので。思いっきり貧困なんやけど。
【調査員】貧しいと感じてはおられないんですね。
【カオリさん】そんなにはないと思うんですけど。でも、正直今中学校入って塾って言われると。口では、
なんかもう「塾行かすでー」って言って、本人がもうクラブするから嫌やーって言うてるので、まあ内心有
り難く嫌やを頂いてるんですが。いざ塾ってなると、余裕で 3 万いくんですよ、毎月。プラス夏期講習、冬
期講習、春期講習、プラステキスト代。やっぱそれは、行きたいって言われたら正直行かせられないなって。
【調査員】本音的には、生活保護で補助して頂きたいなと?
【カオリさん】その方が、楽。
【調査員】働いても生活保護以下になるのでねー。
【カオリさん】ほんっとに、自分のプライド代って感じですよね。
【調査員】例えばどういったサポート、まあその経済的な支援ということが一番おっきいですかね?今必要
なことといえば。
【カオリさん】この間、塾代助成カードの申請が来てて、それはまあ一応出したんですけど。なんか、 11 月
か 12 月ぐらいになんかそれが来てどうのこうのっていう書類はあったんで。それが今行ってる公文に適用さ
れるのかどうかっていうのは知らないぞって思いながら。
【調査員】そうすると少しはましになりますか?
【カオリさん】公文、中学校になると上がるんですよー。知ってました?
【調査員】知らないです。7 千円ぐらいなんじゃないんですか?
【カオリさん】なんか小学校って 1 教科 6300 円なんですけど、中学校は 7350 円なんで。あれ?っとかって。
そういや上がりましたね、みたいな。部活のお金とかも出さない訳じゃないから、出すけど。また顧問の先
生が校長先生なんですけど、遠征大好きで。
【調査員】わー、親としたらやめてーって感じですよね。
【カオリさん】休みのたんびに、あっちこっち行くので。電車代がまず、大人料金になったんです。
【調査員】そうか。ほんまや。忘れてた。中学生大人料金。
【カオリさん】地下鉄乗るだけでも、嘘やんみたいな。
【調査員】それなんか行政での免除って、なくなったんですっけ?
【カオリさん】いや、母子のは大人だけなんですよ。
【調査員】あっ、子どもは適用されないんですか?あれ。知らなかった。
【カオリさん】あたしはだから半額で乗れるんですけど、子どもは普通に大人料金なので。遠征に行くの、
大人料金で。滋賀県とかまで遠征に行ってくれるので、行かんでよろしいみたいな。一応ちょっとユニ
フォーム買うのとか、シューズとか。バレーボールなので。かかるじゃないですか。出さない訳じゃないで
すけど、出しますけど。ぶっちゃけ痛いと言えば痛い。だからなんかほんまに些細なこと、日常の些細な方
は切り詰めてるって感じですよね。
【調査員】育ちざかりで食費とかねー、増えるでしょう。
【カオリさん】でも、これもみんなに言われるんです。女の子やから食べる食べる言うてもしれてるって。
男の子半端ないらしい。男の子はほんとに家に毎日カップラーメン置いとかないと、菓子パンとか置いとか
ないと回らないって、みんな言うけど、言うても。
【調査員】でも、食べ盛りは食べ盛りですよね。
【カオリさん】でも、ほんまにいかに安い物を買うかっていう話じゃないですか。これうちの母親とかはほ
うれん草とか中国産とか怖くてよー買わへんって言う人なんですよ。そんな価値観で育ってるんですけど、
背に腹は代えられないって感じで。
【調査員】今ご実家はすぐ近くですが、何かご支援はあるんですか?
【カオリさん】お米だけは買ってくれます。
【調査員】わー、助かりますね。お米あればなんとかなるってところもあるんで。
【カオリさん】お米が高い。でも、まあ親も仕事もないので、はっきりとそんな経済的支援は受けてないで
すね。別れてきた時に、家財道具一式揃えてくれたのと、最初の家賃を払ってくれましたけど。だから、
ちょこちょこはね。お菓子かなんか、家帰ったらお菓子がなんかあったみたいな。そんなんはあるけど。
【調査員】家計が少し助かるくらいですか。
【カオリさん】そんな月々なんぼとかはないので。
【調査員】そっかそっか。じゃあ今一番困っておられるのは、やはり経済的なところ。
【カオリさん】経済的。
【調査員】それ以外にっていうと何かございますか?
【カオリさん】今は。
【調査員】問題ないっていう感じですか?
【カオリさん】うん。もうほんとに高校進学不安なんです。高校大学が。そんな家計の結婚生活だったら、
貯めてないので、はっきり言って。
【調査員】ご主人が借金作っておられたぐらいですもんねぇ、貯金なん出来ない。
【カオリさん】そう。学資保険もしてないから、いくら無償化とはいえ、制服代だ、入学金だは要るじゃな
いですか。万が一公立落ちて、私立ってなった時に、授業料だけタダでも、修学旅行の積み立てとかは要る
じゃないですか。その辺りですよね。
【調査員】それ何かお考えはありますか?
【カオリさん】今は何にもないですね。さあどうしよっかなーって感じ。なんであたしこんなにのんびりな
んだみたいな。
【調査員】いえいえいえ。でもねぇ、少しずつ頑張ってきておられて、まあこれからまたきっと、考えてい
こうとされているんですもんね。
【カオリさん】シングル同士では、ほんま誰か結婚する?って感じなんですけど。
【調査員】まあそれもひとつですよねー。あのだからほんとに、その養育費のね、手続きやらやろうと思え
ば出来るのかもしれないですけど、そこはもう会いたくないというのがあるから、考えてはおられません
か?
【カオリさん】全く。もうめっちゃ誰もが知る金持ちになってるんやったら頂戴って言いますけどー。
【調査員】もらえる可能性は低い?
【カオリさん】いやー、知らん。
【調査員】まあでももう考えておられないんですよねー。取れる所から取ろうと、いうことでね。 3 万でも、
5 万とかでもほんと頂けたら全然ね、変わってくるとは思うんですけどね。
【カオリさん】でもなんか別の友だちは、ずっと養育費は出してくれてたご主人がこの不況で仕事がなく
なって、お嬢さん高校生なんですけど、後期の授業料払う直前にないって言ってきたっていって。自分の保
険保険を担保に借りる手続き行ってきたとか、大丈夫?みたいな。そんなんもあるからー・・・
【調査員】あんまり期待はしないということですかね?わかりました。じゃあ他に何か。娘さんも問題なく
中学生活、部活とかもやっておられて。
【カオリさん】うん、後はもう思春期なので難しいっていうだけで。
【調査員】それは普通ですよね。成長の過程というか。
【カオリさん】はい。
【調査員】反抗期とかでもあるんですか?
【カオリさん】そうこないだも、あまりに返事の仕方が腹立ったから、「なんなんよ、その返事—」って
言ったら、めっちゃ冷たい目で、「反抗期」って。
【調査員】それおもしろい!その正々堂々と開き直った感じで言うんですね。
【カオリさん】あーそうですか、そうですか、わかりましたって。
【調査員】でもその関係いいなーって聞いてて思います。
【カオリさん】でも、わかりましたーって言うたら、「もうそれがうざいねん」って言われて。
【調査員】いやもう絵に描いたような・・
【カオリさん】ぐさぐさぐさっ。もういいですーみたいな。
【調査員】まあでもねー、最近やったら思春期とか反抗期ちゃんと来たら、おめでとうって言うらしいので 。
その成長をちゃんとね。発達しているんだと喜ぶみたいですね。
【カオリさん】嬉しいけど腹立つんですよね。
【調査員】そこは別だ。なるほどー。
【カオリさん】ああもうほんとに、今は自分が復活した分、経済だけ。
【調査員】なるほどー。そこはなんかちょっと考えていかないといけない感じなんですね。
【カオリさん】もう 1 年生もこんなあっと言う間に過ぎて、受験までどうしよーみたいな、丸 2 年です、っ
て感じで。
【調査員】今でもカラーセラピー等やっておられるっていうのをお聞きしましたが、それが足しになれへん
かとかいうのがお考えにあるんですか?
【カオリさん】なったらいいんですけどー、全然まだそんなそこまではいってないです。それでやってはる
方もすごいいはるのでー、もうちょっとビジネス展開に出来ればいいかなーとは思いつつ。
【調査員】もうだんだん時間になってきたので、未来、どういった将来像を描いておられるのかとか、お聞
きしたいんですけれど。その、今の延長上で教えていただけますか?
【カオリさん】私は人の話を聞く活動をしたいので、こんなべらべら喋ってますけど。やっぱり自分がこん
だけしんどかったから、話す事の楽さっていうのは、話してみて感情とか思考も整理出来るしっていうので 。
まあ職業的にはカウンセラーと言われる職業の方に進みたいなという風に、もう思ってます。話を聞くって
いう活動に入っていきたい。それも、出来ればモラハラと気付いてないような方とか、気付いてても、その
感情を処理出来ないような方を対象に話を聞く方向で持っていきたいなと思ってて。まあそれに向けて、
ちょっと準備中みたいな。
【調査員】なんか学校とか行かれたりされてるんですか?
【カオリさん】そうそう、今行き始めてて。借金なんですけど。まあでも先にリスクを取るのも必要かもし
れないと思って。あとは、もう一個、ボランティアの方をちょっと始めてて。
【調査員】へー、何されてるんですか?
【カオリさん】電話相談のボランティアの養成に今行ってて。
【調査員】どんな方対象の電話相談なんですか?
【カオリさん】あー、自殺防止。
【調査員】へー、そうですかー。
【カオリさん】それはやっぱり落ちてる時に、自分が一回かけて。なんかいいなって思ったから。ほんとに
それはもう組織として何十年とされてるボランティア団体なので、完全な持ち出しなんですけど、一切出て
こない。でも、なんかそれはそれで自分のライフワークの1つになっても良いかなって思って。
【調査員】しっかりとこう、自分の経験を生かして人のお役にたとうとしておられるんですね。
【カオリさん】そこはもうその方向で行こうと思ってます。
【調査員】娘さんにはなんかこうなってほしいなっていう想いとかってございますか?
【カオリさん】いやー・・・・こうなってほしいなっていうか。とりあえず自分でちゃんと選択した結果に
責任を持って生きていく子になってほしい。私が一番逃げてたからね。やから、私の価値観だけで育てるの
は、もうすごく危険なので、私も偏ってるので。色んな大人の色んな働き方とか、色んな姿を見て、うわー
そんなんもアリかって思って、自分の未来は見ていてほしいなとは思う。
【調査員】しんどい経験を経て素晴らしいですね。ありがとうございました。ちょっと最後に、みなさんに
お聞きしているんですが、ほんとにカオリさんもご存知のように、こうしんどいシングルマザーの方たくさ
んおられて。まあ私ももちろんシングルマザーなんですけれども。今、困っている方にもし声をかけるとす
るならば、メッセージですとか頂けるとありがたいんですが、お願い出来ますでしょうか?
【カオリさん】あなたは 1 人じゃないよって。それだけですね。なんかもうその時って、あたしってなんて
不幸なんだって、こんなにしんどいのは私ぐらいだみたいな、なんかそういう思考にも陥ってしまうし。い
やいや、あんただけが苦労してるんじゃないでっていう言い方じゃなくって・・・いや、1 人じゃないから
みたいな。さっきおっしゃってたみたいに、助けてって言ったら伸ばされる手はいっぱいあるけど、それが
ないんですよねー。でもあたしはその点自分は自分でそこは褒めれるなと思いますね。学校にも行政にも、
私病気ですってめっちゃ言いに行きましたから。
【調査員】そこがものすごくおっきい違いになってくると思うんです。その言えなかったらね、カオリさん
もどうなってるかわからないですよね、きっと。家の中でずっと鬱病になって、死んでおられてもおかしく
なかったかもしれない、先ほどのお話だと。そこって何が違うんでしょうか?なんで言えはったんでしょう
か?
【カオリさん】ほんとになんでやろ。でもあたしはたぶん籠るとヤバいっていうのが、なんか本能的に。も
うその子どもが 2 才の段階で、もうヤバいと思ったし。こんなん無理って。あたし喋り相手おらんの無理と
か。なんか本能的にやばいと思ったのと。ものすごいあたし自身が、ずっと勉強ばっかりしてきた人間なの
で、中途半端にニュースとか新聞とかをいっぱい読むから、事件というものを見るじゃないですか。知識と
してあるじゃないですか。そこに載る側にはなりたくないというのもあって。
【調査員】知識・・
【カオリさん】そうなんです。結局ね、知ってるか知ってないかって大きいんですよ。さらっとテレビで事
件がありましたーって、ふーんで終わりじゃなくて。その報道のされ方を見たりとか、そういった時に自分
がなりかねないって思えるかどうかとか。知ってるか知ってないかだと思います。
【調査員】そうですね。カオリさん言えば、結婚されるまでお母さん、色々うるさく自分のレールに乗せよ
うとはされてましたけど、普通に大学まで出られて、生活を送られていたってことが大きいのかもしれませ
んね。
【カオリさん】おっきいと思いますね。
【調査員】勇気出して、言ってほしいと思うんですけど、言えない人も多いですから。
【カオリさん】言う事を知らない人ってたくさんいるんじゃないんですか。あたしなんか最近ちょっと思っ
たんですけど、学校のすごい近くにまるでゴミ屋敷のような、一軒家なんですけど。でもそこから小学生出
てくるんですよ。ってことは、男の子なんですけど、彼にとってはそれが普通じゃないですか。でもうちの
子なんかは、そこを見て「うわっ」って言うんですね。
【調査員】周りにも色々言われてるはるでしょうね。
【カオリさん】これってすっごいなと思って。だから逆にあたしの価値観だけで育てるってすごい怖いなっ
て思う反面、知らない人ってほんとに知らないだろうなって思って。ちょっと自分の家がおかしいかもしれ
ないとか。
【調査員】比較出来ませんからねー。自分の家のことしかわからない。
【カオリさん】ましてや行政のつながり方を知らないって当たり前やと思いますけど。あたしの場合は、ほ
んとにあの人ヒットですね。ちょっとこっち来なさいって。
【調査員】出会いとかもあるんでしょうけどねー。
【カオリさん】タイミングとかかな。
【調査員】なんか行政とかに行けない、つながっていない人にどうやっったら、そういう人とかサポートに
つながれるのかと思ってるんですが。何か、方法ってありますでしょうかね?
【カオリさん】ママ広場とか、色んな活動みんなされてるけど、そこに行く人ってもう限られてるんです
よー。それの下の潜在ニーズをどう掘り起こすかじゃないですか。
【調査員】どうすればいいか頭痛いです、考えると。
【カオリさん】そこやと思います。だってそこに行こっていう人は、少なくとも街歩いてて、子育て情報誌
を手に取ったり。ベネッセのサイトにつないだり。何かするので。それすらもしない、ましてや仕事に追い
まくられて出来ない。
【調査員】でもそこにほんとにしんどい方がね、おられるので。何か知恵を出していきたい。
【カオリさん】無認可の深夜にやってる保育所が一番ヒットでしょうね、たぶん。そこの先生経由で、広げ
るのがほんとは一番早いと思うんですけど。
【調査員】ちょっとアクセスしてみます。
【カオリさん】だって絶対無認可ですもん、最初は。ましてやちょっと遅いアルバイトをしようと思えば、
100%無認可なので。
【調査員】わかりました。なんか長くなってしまいました。ありがとうございました。
以上