北陵月報出 雲 - 出雲北陵中学・高等学校

北陵月報
平成二十六年度 出雲北陵高等学校
3月2日
平成27年3月12日
出雲北陵中学高等学校
本校体育館
卒業生受賞者一覧
︶
日本私立中学高等学校連合会会長賞
下垣花梨︵
︶
島根県高等学校体育連盟表彰
︵功労賞︶
勝部まりあ︵
島根県高等学校体育連盟
︵卓球部 優秀選手賞︶
大知︵
︶
・持田憲大︵
地
︵なぎなた部 優秀選手賞︶
中島杏佳︵
︶
・樋野
歩︵
島根県吹奏楽連盟表彰
安食敦史︵
︶
︶
・城下真璃︵
下垣花梨・森田百香︵
︶
島根県高等学校野球連盟表彰
西尾仁志︵
︶
・金山詩織︵
︶・城下真璃
︶
・吉田真実︵
︶
・秋國里奈︵
皆勤賞︵3カ年︶
田代卓也︵
田中裕也︵
園山悟史︵
吾郷萌香︵
下垣花梨
特別教育活動功労賞
︵団体賞︶
・男子バスケットボール部
・卓球部
・なぎなた部
・吹奏楽部 ・合唱部
︵個人賞︶
︶
︶
︶
︶
・杉谷昂平︵
︿ソフトテニス部﹀
矢壁諒樹︵
岸本拓磨︵
︿写真部﹀
金築知春︵
︿美術部﹀
金山詩織・小山怜華︵
︶
光︶
3-2
平田
︶
3-3
︶
3-5
出一
︶
︶
3-4 3-3
河南 平田
︶
3-6
平田
3-1
大社
3-3
北陵
3-3
出一
3-5
平田
No.355
第一〇六回 卒業証書授与式
189
3-3
大社
3-6
松一
卒業証書授与(代表 廣江 晴輝)
答辞(代表 持田 憲大)
3-2
斐東
3-6 3-5 3-4 3-3
北陵 大社 出三 出三
3-2 3-4
横田 横田
3-1
平田
3-6
江府
3-1
斐西
出雲
106
土江明文社 印刷
全員による校歌斉唱の後、卒業
3月2日、キャンパスの木々が
生は列席者の大きな拍手に見送ら
芽をふくらませ、確かな春の訪れ
れながら思い出深い学び舎を巣
が感じられるなか、多数のご来賓
立っていった。
の方々、保護者の皆様のご臨席を
賜り、第 回卒業証書授与式が挙
行された。本年度は、卒業生 名
の代表として廣江晴輝君に水谷厚
志学校長より卒業証書が授与され
た。
式辞の中で学校長は、学業、ス
ポーツ、芸術など様々な分野で輝
かしい成績をおさめた卒業生の功
績を讃えると共に、
﹁己に克つ心﹂
を持ち、心中の賊を退け、夢や目
標に向かって前進して行って欲し
いという願いを卒業生に託された。
また、青年らしいはつらつとした
精神と情熱を持ち、何事にも立ち
向かって欲しいという激励の言葉
が送られた。
卒業生を代表して持田憲大君は、
高校3年間を振り返り、卓球部で
の困難を乗り越えて、全国大会に
出場したときの感動や仲間との思
い出を語ると共に、保護者、恩師、
仲間への感謝の気持ちを述べた。
(1)
第3
55号
学校長式辞
︶
︶
︶
に、 時 間 を 忘 れ て 引 き 込 ま れ ま し た。
コンサート後の交流会はすぐに打ち解
け て、 通 訳 の 人 を 通 し て 会 話 が 弾 み、
和やかな雰囲気の中で終えることがで
きました。
次は参加した生徒の感想文です。
私達弦楽クラブ
は、先日行われた、
ロシア・ウラジオ
ストクの方達との
交流会に参加しま
した。初めて、外
国の人の前で演奏
するということも
あり、緊張して上
手に弾けませんで
したが、良い経験
になりました。後
半のロシアの方
達の演奏は、ピア
ノ三重奏をはじめ、
民族楽器のバララ
イカやバヤンとソ
プラノの美しい歌
声が披露されて、とても素晴らしい演
奏でした。この交流会で、外国の方の
演奏や民族楽器に触れ、とても良い経
験になりました。また、このような機
会があったらいいなあと思いました。
亀滝 和音︵
︶
回西日本卓球選手権大会
中学卓球部
第
第十七回 中学校卒業証書授与式
時 3月
日 本校黎明館
13
ば全校が団結するというパワーの面
ご卒業を祝して
も発揮してくれました。
更に、部活動面では6つの運動系、
副校長
5
つの文化系の活動で、正に﹁文武
木村
進
両道﹂の精神の通り、皆さん一人ひ
と り が 個 性 を 生 か し た 努 力 を 重 ね、
後輩へ大きな励みとなりました。中
3年生の皆さん、ご卒業おめでと
うございます。平成 年4月に、緊
で も、 3 年 連 続 全 中 卓 球 大 会 出 場 、
張の中にも期待と希望に胸を膨らま
県総体での女子バスケットボール部
せて本校に入学してから、早いもの
の優勝と野球部の県優勝大会第3位
でもう卒業の季節を迎えました。保
入賞は特筆すべき活躍でした。同時
護者の皆様をはじめ、ご家族の皆様
に、創部第一期生のサッカー部、男
に重ねてお祝いを申しあげます。
子バスケットボール部、陸上競技部
の皆さんの努力、そして文化系部活
さて、私は入学後の新入生オリエ
ン テ ー シ ョ ン で 皆 さ ん に﹁ 中 学 生
の皆さんの頑張りも賞賛すべきこと
としての目標を自己決定すること﹂
、
です。
﹁その実現に向けてコツコツと自己
どうか皆さん、今後、社会の激し
努力をすること﹂、﹁時々自分自身を
い変化に戸惑うことなく、本校で学
見直す自己評価をすること﹂の大切
ん だ 校 訓 の 精 神 を 生 か し て、﹁ 他 人
さをお話しましたが、皆さんそれぞ
を 大 切 に す る 心 ﹂ を 忘 れ ず に、﹁ 心
れにいい思い出をつくってくれたと
身ともに剛くたくましい人生﹂を創
確信しています。
造してください。大いなるご活躍を
祈ってやみません。
皆さんは、この3年間、校訓﹁柔
しく 剛く﹂の精神を常に踏まえな
がら、生活面・学習面・部活動面等
卒業おめでとうございます
においてよく努力し、大きな成果を
残してくれました。皆さんの印象は、
三年一組担任
この3年間を通して、本当に男女仲
飛石美智子
良く、いつも笑顔で明るい話題が絶
えない﹁さわやかな学年﹂であった
ことです。
あっという間の3年間でした。毎
日一生懸命勉強しました。また、様々
本年度の生徒会のテーマ﹁ 名が
協力し日本一の中学校を創る!﹂の
な学校行事、学級活動、部活動によ
通り、皆さんはよきリーダーシップ
り大きく成長することができました。
を発揮し、学年を超えた温かい友人
3年前はまだ小学生らしさが残る顔
関係と団結力を生み出してくれまし
をしていた皆さんでしたが、最近は
た。例えば、中高合同の学園祭で中
大人びた顔になりました。特にオー
学校が総合優勝を遂げたように、温
ストラリア語学研修旅行後の皆さん
かい友人関係をもとに学校の雰囲気
は、海外での貴重な経験を日々の学
を盛り上げると同時に、いざとなれ
校生活に生かしながら、勉強に一生
24
卒業生会入会式
時
2月 日
於
本校体育館
卒業式を3日後
に控えた2月 日、
卒業生会会長の森
脇俊樹様にご臨席
を賜り、本年度卒
業生 名の卒業生
会︵和風会︶入会
式 が 挙 行 さ れ た。
会長からは﹁社会
に出てからは挨拶
が大切。本校の伝統である挨拶を今後
の人生でも生かして頑張って欲しい﹂
と力強いお言葉で卒業生達を激励いた
だいた。
︶
日
全商情報処理検定合格者
今井栄里
︵
︶
・佐藤菜美︵
︶
・長岡丈瑠︵
︶
・持田凌太︵
︻三級合格︼
多久和歩
︵
椋木泰成
︵
三島慎平
︵
︶・花田愛美︵
︶・前原祐太︵
︶・松本侑子︵
時
1月
︻二級ビジネス情報部門︼
第 回
今後、卒業生会の輪が更に広がって
いくよう努力したい。
︵卒業生会事務局 竹内康貴︶
27
ロシア・ウラジオストク芸術大学と
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119
27
18
2-2 2-1 2-1
浜山 松一 斐西
52
音楽の交流会開催!
中1-2
世紀
189
14
1-5
北陵
時
2月7日
於
バタフライアリーナ
︿男子カデット﹀
ベスト8 井上友希
︵
︶、津村優斗
︵
︶
大会総評
参加選手5名中、3名の選手が山口
県 の 野 田 学 園 中 学 校 の 選 手 に 敗 れ た。
技術的な面での差もあったが、メンタ
ル的な面でも相手選手の方が勝ってた
ように感じた。試合の際、自信を持っ
てプレーができるように、これからの
練習に励んでいきたい。
︵顧問
相場翔太︶
中1-1
戸坂
2-2 2-1 2-1
出三 平田 斐西
2-1
大社
2-1 2-1 2-1
平田 旭丘 平田
2 月 日、島根とロシアのウラジオ
ストクとの音楽交流の一環として、ウ
ラジオストク芸術アカデミーの学生と
教授8名が来校し、音楽の交流会が開
催されました。コンサートは、本校の
中高生による弦楽クラブの演奏で始ま
り、吹奏楽部の金管8重奏や合唱部の
歌声を披露しました。続いて、ウラジ
オストク芸術アカデミーの皆さんの演
奏を聴き、高い技術と素晴らしい演奏
77
第355号 (2)
fffffffffffffffffffffffffffffffffffffffff
中3-1
北陽
中3-1
北陽
中3-1
岐久
平成
﹁職場体験学習を通して﹂
中学2年生は、出雲市内の 事業
所 の ご 協 力 を い た だ き、 月 日、
日の2日間にわたり、職場体験学
習をさせていただきました。その体
験学習の振り返りを発表しました。
どの事業所
に お い て も、
礼儀正しく振
舞うことが社
会人として基
本的なマナー
であると学び
ました。また
仕事をしてい
らっしゃる
方々が﹁人に
喜んでもらう
こと﹂
、
﹁人の
役にたてる喜
中学2年
記入をしなが
ら発表をする
など、新たな
取り組みにも
チャレンジし
ました。
今回の発表
を通して、周
囲と協力する
ことの大切
さ、また調査・
発表すること
の苦労や楽し
さを学ぶこと
ができたと思
います。更に、自分達が主体となっ
て活動を行ったということも生徒達
にとっては大変良い経験になったと
思います。
年度﹁総合的な学習の時間﹂発表会
中学1年2組
﹁温泉さいこう︵最高/再考︶﹂
1 年1 組 で
は﹃温泉﹄に
着 目 し、 次 の
4 つの視点か
ら温泉につい
て調査しまし
た。
①﹃ 温 泉 っ て
何?﹄ で は、
温泉の条件や
泉質について
発表しまし
た。
②﹃ 北 山 健 康
温泉﹄では、一日の利用者数や効能
について発表しました。
③﹃ 今、 島 根 で 話 題 の 温 泉 ﹄ で は、
県内の人気ランキングベスト3を紹
介しました。
④﹃世界の温泉﹄では世界最大の露
天風呂やハンガリーの歴史と伝統の
ある温泉の紹介をしました。
中学1年1組
26
﹁石見銀山﹂
、
﹁歴
石 見 銀 山 に つ い て﹁ 現 代 ﹂
史﹂
、
﹁採掘方法﹂、﹁世界遺産への登
録﹂の4つのグループに分かれ調査
を行いました。
各グループ、インター
ネットや本を参考にしながら、資料
を 集 め て 発 表 の 準 備 を 行 い ま し た。
発表の形式は本校の生徒が﹁石見銀
山をよく知る人物﹂の所へ調査に行
くという設定で、調査役の生徒と石
見銀山をよく知る人物役の生徒に分
かれて行いました。発表の際、石見
銀山をよく知る人物役の生徒は、電
子黒板を利用し、実際に電子黒板に
18 18
懸命取り組むことができたと思いま
す。今後の進路先は違うかもしれま
せんが、出雲北陵中学校で一緒に過
ごした日々を大切にし、失敗を恐れ
る こ と な く、 そ れ ぞ れ の 場 で 自 分
の力を大いに発揮してくれることを
願っています。
effffffg
︶
11
卒業おめでとうございます
中学校卒業生表彰者
山 鈴音︵
︶
島根県中学校体育連盟会長賞
︶
・松本紗英︵
門脇裕太︵
19
三年二組担任
境
健吾
皆さんが入学してきた年、私も初
め て こ の 学 校 に 勤 め る こ と に な り、
そして当時1年2組の担任として皆
さんに出会いました。一人一人に新
しい名札を手渡ししたことは、今で
もよく覚えています。それから3年
間持ち上がり、今を迎えました。私
にとって初めて3年間共に過ごして
きた生徒達だけに、様々なことが頭
をよぎり感慨深くなります。そして
確かに一つ言えることは、皆さんに
出会えて本当に良かったと言うこと
です。これから進む先は人それぞれ
ですが、またいつか一回り成長した
元気な姿を見せに来てください。楽
しみに待っております。
‫ێ‬൤
fffffffffffffffffffffffffffffffffffffffff
★卒
業記念品★
ʃˁῴʯ˂ˋʗῴ
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日本私立中学高等学校連合会会長賞
(3)
第3
55号
び﹂を大切にしておられることに気
づきました。お金を稼ぐためだけで
なく、自分自身の生きがいとして仕
事をすることを発見でき、充実した
体験学習となりました。この2日間
で感じたこと、学んだことを、実際
の生活で行動に移すことこそ本当の
意味の﹁学び﹂です。これからの学
校生活で、集団行動の場で生かして
いくことを期待します。
中学3年
﹁オーストラリア語学研修旅行﹂
3年生は、オーストラリア語学研
修旅行につ
いて発表し
ました。姉
妹校のロッ
キンガム高
校での研修
では、日本
語、 体 育、
技術家庭科
などの授業
を一緒に受
け、日本の
授業との違
いに多少の
戸惑いを感
じ つ つ も、
英語と日本語を交えて現地の生徒達
と楽しく交流している様子を紹介し
ま し た。6 泊 の ホ ー ム ス テ イ で は、
それぞれの家族と一緒に海で泳ぎや
釣りをしたり、庭でバーベキューを
してオージービーフをたくさん食べ
たり、動物園でカンガルーやコアラ
を見たり、買い物を楽しんだりと幸
せ一杯の生徒達でした。自分達がホ
ストファミリーからいただいた﹁お
もてなし﹂を、今後は誰か他の人に
お返ししてくれるはずです。お世話
になったホストファミリーの皆さん
有難うございました。
作 品 と 研 究
錦織
伶奈︵
︶
文芸同好会の作品から Y
X
きりさめ
杏子色の微笑を
あま ね
簡単に傷つかないようになっています。﹂
福原がハハッと軽く笑った。
﹁やるな。﹂
﹁ねえ、後ろの車が1 台だけいなくなった
よ。﹂
小彩がそう言って緊張した顔をすると、
福原が静かに言った。
﹁そういうことか。﹂
その時、後ろの車がいきなり連続で霧雨
達の乗る車に向かって撃ち始めた。
﹁ 何 や っ て ん だ ろ う、 あ の 人 た ち。 私 た ち
の車に銃が効かないことぐらい、とっくに
分かって・・・。﹂
﹁霧雨、右だ。﹂
福原が鋭い声で言う。
先程から姿を消していた車が右の脇道か
ら出て来て、霧雨達の車に体当たりした。
﹁おわっ。﹂
何とか横転するのは堪えられたものの、
ス ピ ー ド が 落 ち る の は 免 れ ず、 そ の 隙 に
撃ってきて注意をそらさせていた後ろの車
が、左側に車体をぴったりとくっつけてき
た。
﹁どうしよう、挟み込まれちゃった。﹂
小彩が叫ぶ。
﹁落ち着いて、お嬢さん。﹂
霧雨が冷静な声で言う。
3台の車が、川の上にかかる古びた橋の
上を走行し始めた。
﹁さっきのお返しだ。﹂
そう言うと、霧雨は力任せにハンドルを
切り、右側の車を橋の端へと押しやり始めた。
橋の柵はひどく錆びていて、力を加えれ
ば簡単に壊れてしまいそうだった。
左側の車が霧雨の動きに気付き、霧雨達
の車ごと、右に押し始めた。右側の車ごと、
霧雨達の車も川に落とそうとしているのだ。
﹁へぇ、仕事のためなら仲間もあっさり捨
てちゃうのかよ。さすがだね。﹂
それでも彼女は右側の車を押すのをやめ
ない。
2台の車に押され、右側の車は抵抗しつ
つも徐々に端へと押しやられていき、やが
て霧雨達の乗る車内に車体と橋の柵がこす
れる、嫌な音が届いてきた。
﹁もうすぐだ、霧雨。﹂
福原がひどい金属音に負けじと声を張り
上げる。
﹁もうすぐって?﹂
小彩の問いに、福原と霧雨が同時に答え
た。
﹁柵が一番脆いところ。﹂
霧雨が、ハンドルを握る手に力を込める。
﹁しっかり掴まって、これで決めるよ。﹂
小彩がぎゅっと目を閉じる。
﹁5、
4、
3、
2、
1。﹂
霧雨が素早くハンドルを左に切った。右
端の車の力も加わって、左の車が少し押さ
れる。
平行に密着していた3台の車の、霧雨の
車と左端の車の間に、隙間ができる。
そこで、霧雨は急ブレーキを踏んだ。
霧雨達の目の前で、2台の車が止まり切
れずに衝突する。柵がひしゃげる音が聞こ
え、
2台の車はそのまま、川へと落ちていっ
た⋮。
島根県高校写真展入選作品
﹁大和撫子﹂
中島
未稀
2−2
( 出三
)
福原天音と霧雨 透はボディガードとし
て、遺産相続争いから実の兄に命を狙われ
こ あや
ている少女・小彩を母親の元へ無事送り届
けようとする。
た霧雨は笑った。
﹁そんな落ち込まなくても、本物の殺し屋
ならこれから見れるよ。シートベルト締め
といてね、小彩さん。スピードをあげるか
ら。﹂
霧雨が一気にアクセルを踏み込む。する
と後方から銃声が響き、小彩が悲鳴を上げ
た。
﹁福原さん、後ろに今何台いますか?﹂
﹁3台だ。﹂
福原は助手席の窓から注意深く身を乗り
出して答えた。
﹁お嬢さん、そこにある鞄を渡してくれな
いか?﹂
小彩が急いで福原に鞄を手渡す。鞄は見
た目よりもずっしりと重かった。
﹁霧雨、次の交差点を右に曲がれ。﹂
﹁はい。﹂
霧雨はスピードを落とさずに、そのまま
ハンドルを切る。タイヤとアスファルトが
こすれて甲高い悲鳴を上げる。
福原は窓から顔を出し、距離を詰めてき
た 後 ろ の 車 が 右 折 す る 前 に、 そ の 車 に 向
しゅりゅうだん
かって鞄から出した手榴弾を投げた。
後ろで派手な爆発音が響く。
﹁やりました?﹂
霧雨は前を走る車を1台追い越して言っ
た。
﹁ああ。残り2台だ。﹂
後ろの2台の車から銃声が聞こえる。霧
雨が追い越した車がクラクションを鳴らし、
逃げるように歩道に乗り上げた。
﹁部外者を巻き込まなくても良いじゃない
ですか。﹂
霧雨が顔をしかめて言う。
後ろの窓ガラスに銃弾が当たり、小彩は
反射的に頭を下げた。
﹁安心しろ、防弾ガラスだ。﹂
福原が小彩に声をかけた。小彩が恐る恐
る後ろを振り返ってみると、ガラスには小
さな傷があるだけだった。
﹁これであの2 台に挟み込まれたら厄介で
すね。どうします?﹂
霧雨がバックミラーで後続車の様子を見な
がら言う。
﹁タイヤを狙え。﹂
﹁無理です。タイヤも防弾ガラスみたいに
1枚
3-4
出三
﹁ねえ、どうして昼間に出発じゃなくなっ
たの?﹂
走る車もまばらな夜明け前の道路を車内
の窓越しに眺めながら、後部座席に座る小
彩は疑問を口にした。
﹁敵の数が増えて、この車に乗っているの
が俺らだと気づかれてしまう危険性も増し
てしまったんだ。昼間の道路の交通量だと、
他の車の列に紛れ込むのは簡単だが、見つ
かったとき、逃げ切るには周りの車が邪魔
になってしまう。﹂
福原の言葉を引き継いで、霧雨が言った。
﹁それなら道が空いてるうちにさっさと空
港へ向かって、怖い顔の人達が来たら潔く
戦ったほうがいいってことだよ。﹂
バ ッ ク ミ ラ ー に 映 る 小 彩 の 硬 い 表 情 に、
福原は軽く微笑んでいった。
﹁ 大 丈 夫 だ、 俺 も プ ロ だ。 約 束 通 り、 必 ず
君を空港まで送るよ。﹂
小彩は福原や霧雨の膝の上に置いてある拳
銃や、自分の隣にある怪しげな黒い鞄を見
て言った。
﹁プロって・・・天音ちゃんは殺し屋なの?﹂
霧雨がその疑問に答えた。
﹁ 違 う よ。 私 た ち の 仕 事 は、 毎 回 同 じ こ と
をするわけじゃないんだ。その時依頼され
たことを仕事としてこなす。時には探偵ま
がいのことをやったり、今みたいにボディ
ガードみたいなことをしてね。いわゆる何
でも屋さ。
﹂
﹁そうなんだ。
﹂
小彩の少し残念そうな口調に、先程から
ちらちらと車の背後の様子をうかがってい
今月の
第355号 (4)