教具の開発と活用 97E13009 小原 裕美 97E13010 加藤 恵 97E13013 川北 貴子 1.はじめに 算数の教具には色々なものがある。しかし 実際にどんな教具があるのか、どんな使い方 をし、どんな効果が得られるのかについては あまり知らなかった。純粋に「算数の教具と は何なのか?」と考えた私たちは、市販され ている教具について調べることに加え、自作 の教具が作れないか研究を進めていくことに した。 新しい学習指導要領では、 「算数的活動」 が 強調されている。 この算数的活動については、 「指導計画の作成と各学年にわたる内容の取 り扱い」に「作業的・体験的な活動など算数 的活動」とある。この「作業的・体験的な活 動」 には教具は不可欠なものであるといえる。 したがって私たちは、「作業的・体験的な活 動」を強く意識した教具に焦点を当て、教具 に対する認識を高めることを大きなねらいと した。 2.研究方法 私たちは研究を進めるにあたって4つの柱 を設けた。 ((1) 教具と算数的活動 ( (2) 教具の役割と種類 ( (3) 市販の教具について ( (4) 自作教具の開発と活用 1・2については文献研究を進め、3につい ては実際に小学校で使用されている教具を調 査した。4については指導要領・教科書に基 づき自作の教具を開発し、具体的な活用法に ついて考えた。 3.研究内容 (1) 教具と算数的活動 ①作業的・体験的な活動 「算数的活動」の中で、特に「作業的・体 験的な活動」ということに着目するとき、こ れは低学年の目標にも示されている通り「具 体物を用いた活動」となるだろう。具体物を 用いた活動は、子どもが抽象的な数や図形を 具体的にイメージすることに役立つものとな る。この具体物こそが教具であり、教具を使 って観察したり、構成したり、分解したり、 数えたり、測ったり、比較したりなどの活動 をすることが算数的活動であるといえる。 これまで、小学校における算数の授業は黒 板に教科書、ノートを中心に進められるもの が主流であった。しかし、日常生活において 子どもたちの経験・体験不足が叫ばれる中で、 算数に関しても従来の授業のあり方では子ど もたちに考える力、学ぶ力が身に付かなくな った。この問題を改善すべく算数的活動にお いて、その活動を支える教具が注目を浴びる ようになっている。今日、子どもたちの算数 嫌いが問題となり、自ら疑問を抱き、考える ことが困難な現状において、教具の開発と活 用の工夫はこれからの算数教育の重要な研究 課題であるといえる。 ②「ハンズオン・マス」1) 私たちは算数的活動と教具に関連した文献 を探すうちに、 「ハンズオン・マス(Hands on Math)」という言葉を見つけた。あまり聞き 慣れない言葉であるが、「ハンズオン」とは 「体験的な」とか「直接参加」といった意味 であり、実体験を通して子どもの感性に訴え る教育のことを期待しての言葉である。 また、 「マス」とは「マスマティクス」の略で「算 数」のことである。つまり、 「ハンズオン・マ ス」とは「体験的な活動を通した算数の授業」 をしようと主張するものである。つまり算数 的活動とはまさしく「ハンズオン・マス」で あるといえる。ただし、 「活動」と言われるか らといって、教具があってそれを操作すれば よいというものではない。 子どもが本当に問題意識をかきたてられる ↓ 不思議だ、おかしい、やってみたいといった 興味・関心に基づきそれを追究し続ける ↓ 新しい疑問・問題意識が生まれる この流れが本当に子どもが活動していると 言えるのではないか。 ハンズオン・マスの学習では、一人一人が 個別に何か物を使いながら学習するイメージ を持たれそうではあるが、教室で学習する場 では、ひとりではできない「学び」を作るこ とにもなる。一人一人がそれぞれの考えや活 動を披露しながら、別の人の指摘によってそ のよさを見つけたり、自分には考えもつかな かったところを他の人の考えによって知った りする場が授業なのである。従来の教師が児 童に一方的に行う授業から、教師と児童が共 に作り上げていく授業へと変えていくねらい から「ハンズオン・マス」の精神は生まれた のである。 (2)教具の役割と種類 授業の流れにそって、教具の果たす役割に は次の4つの点がある。 ① 問題場面を具体的なイメージをもって 把握することができる。 ② 問題を解決していく過程で、解決の手 がかりを得ることができる。 ③ 考えて出した結果が正しいかどうかを 確かめることができる。 ④ 教具の使い方を工夫することによって、 発展的に考えることができる。 教具によっては 4 つ全ての役割を果たすもの から、部分的な役割しか持たないものまであ ると思われる。いずれにせよ、子どもにとっ て学習内容を具体的にわかりやすく伝える役 目を持っている。 また教具の種類としては、大きく分類する と市販の教具と自作の教具とに分類される。 「教具の開発」というと自作の教具に限定し てとらえられがちだが、市販の教具でも使い 方を工夫することによって効果的な教具にな る。したがって、使い方の工夫した教具も開 発した教具と考えてよいと思われる。 自作教具もいくつかの分類ができる。教師 が作る教具と子どもに作らせる教具に分類で きる。また、メディアによる分類もできる。 紙、木材、プラスチックなどの素材を使って 作る教具と OHP の TP シート、パソコンソ フト、ビデオソフトなどの教具である。ここ 数年で公立小学校にもパソコンが普及したの で、まだまだシェアの少ないコンピュータに よる教具・教材もこれから発展することが予 想される。しかし、コンピュータを利用した 授業には利点も多いが欠点も多い。また学習 内容によっては向き不向きがあるのは当然で ある。互いのメディアを上手く利用すること もこれからの課題であるといえる。 さらに教具を用途別に分類すると a.黒板で一斉指導に使用する場合 b.グループで1つ使用する場合 c.1人が1つ使用する場合 の3つが考えられる。 私たちは、研究当初算数における「教具」 をとらえる際に、aにあたる教師が説明のた めに用いる「道具」的なものから、cにあた る子どもたちが実際に作業・操作する「具体 物」までを幅広くとらえていた。しかし、従 来の「道具」を使うだけでは補えなくなった 今、注目を浴びているのは「体験的な活動」 のできる具体物、つまりはハンズオン・マス のための教具である。教具の開発と活用を考 える上でハンズオン・マスの精神に基づき、 私たちが研究の対象とする教具に対して「子 どもたちが見たり、触ったり、遊んだり、考 えたりして“自ら学習するための材料” 」とし て焦点を当てることにした。 (3)市販の教具について 教材会社が製作・販売している市販の教具 には、前述の教具の種類にあるように3パタ ーンの用途がある。また、それぞれにおいて オールマイティに活用できるものから、使用 する単元が限定されるものまで様々な種類が ある。ここでは個人用で、尚かつ様々な領域 で多様に活用する事ができる教具について取 り上げることにした。 私たちが注目したのは、欧米では以前から 広く用いられている教具3)である。これまで の日本の算数教育で用いられてきた教具には 「概念や知識を教えるための教具」が多かっ たが、これらは「子どもたちが自ら進んで学 習するための教具」なのである。その代表的 なものとして以下のものがあげられる。 <キズネール棒> キズネール棒は、ベルギーの教育実業家キ ズネール氏によって創案され、ロンドン大学 教授ガットノー博士によって数学的、 教育的、 心理的意味づけなどがなされた。 キズネール棒は数を表現した10種類の棒 であり、底面の一辺が1㎝の正方形の角柱に なっている。長さは1㎝から10㎝まで1㎝ 刻みで、 それぞれに異なった色が付いている。 そして単位になる1の長さに印の線などは無 いところが特徴である。 この棒を使って、数の構成における合成・ 分解の学習が可能である。 <ジオボード> ジオボードもキズネール棒と同様にガット ノー博士によって日本に紹介された教具であ る。主に図形の概念形成に用いられる板にク ギを打った教具である。そのクギに輪ゴムを 引っかけて図形を作るのだが、クギの本数も 様々であり、クギの打たれ方も格子状のもの や円形など、活動の内容に応じて幅広い種類 がある。 ジオボードを使えば、ノートに図形を描く 場合と異なり作る図形を試行錯誤させていく らでも作れるという長所がある。また上下な どの決まった向きがないので、板を自由に回 転させることで色々な方向から見ることがで き、ノートや教科書の図形のように固定的に 見なくても済む。また市販の一般に見受ける ジオボードは板が透明ではないが、透明なア クリル板で作られたジオボード*1を使えば、 図形を裏側からも見ることができる。 さらに、 透明なので OHP にのせて簡単に投影できる ため、短時間で教室全体に発表したり、OHP 上で2枚重ねて比べられるという利点もある。 <パターンブロック> 近年、日本でも広がりつつある教具である が、アメリカでは 1970 年代から指導事例集 などに紹介されている。パターンブロックと は、木製で6種類の形のブロックがたくさん あって、低学年から高学年まで夢中なるおも しろさを秘めた教具である。 正三角形(緑) ・菱形(青) ・等脚台形(赤) ・ 正六角形(黄) ・菱形(白) ・正方形(橙)の 6種類であり、それぞれの形に別々の色が付 いているところに特徴がある。 また、辺の長さは全て1インチ(赤の等脚 台形の底辺だけは2インチ)となっている。 さらに形を構成する角度は、どれも 30°の倍 数になっているところも大きな特徴である。 面積についても、教材の開発に利用できる性 質を持っている。 正三角形の2倍が青の菱形、 正三角形と青の菱形を合わせると台形と等し くなり、正三角形の6倍と台形の2倍が六角 形と等しくなる。このことを利用すれば、正 三角形を1とした正数の計算や六角形を1と した分数の計算など、図形に留まらず計算の 領域でも活用することができる。 以上の3種類の中でも、特にパターンブロ ックは多様な活用が紹介されている。その中 から低・中・高学年それぞれにおいての事例 1) を紹介する。 <事例1・低学年> 第2学年 形を「見つける」活動 ∼パターンブロックを用いての 陣地取りゲーム∼ 一辺が3インチの正六角形の陣地に黄(正 六角形) ・赤(等脚台形) ・青(菱形) ・緑(正 三角形)の4種類のブロックを敷き詰め、2 人対戦で最後にブロックを置いた人が勝ちと なる。 ゲームを通して、残っている陣地の図形の 中に、それぞれの形を回転させながら当ては めることで、図形同士を合成したり、分解し たりする経験を積むことができる。低学年の 時から身の回りのものの中に基本図形を見い だすことや、補助線を引くこと行うことで、 学年が上がっても豊かな図形感覚をもって学 習に向かうことができるようになると考えら れる。 <事例2・中学年> 第3学年 形を「作る」 「表す」活動 「数と計算」領域と「図形」領域の総合的 な活動をすることができる。 「図形」領域の内容として、複数のパター ンブロックによって構成されるある形にブロ ックを敷き詰めさせる。敷き詰めのバリエー ションを考える過程で、パターンブロックの 角や辺、広さの相対的な関係に気づくことが できる。また、敷き詰めのパターンが何通り もあることに気づき次々と多様な置き方を見 いだす。その後それを式で表し、作った式を 友達同士で読み合うという活動を通し、「数 と計算」の領域へとつなげることができる。 <事例3・高学年> 第6学年 形を「作る」活動 パターンブロックを用いてきれいな形を作 る活動を行い、できたきれいな形の根拠を検 討する授業を行う。 課題は、きれいな形をつくりながら、そ の形のきれいさの根拠を明らかにしていくこ とである。また、6種類の形の異なるブロッ クを思いのままに子どもが手を動かして移動 させることができ、楽しみながら学習を進め ることができる。この活動を通して整った美 しさや、均等が取れている、安定性があるな ど子どもの中にある図形の持つ美しさの感覚 を引き出し、図形を見る新たな視点の「対称 性」を見つけることができる。さらに、この 視点から図形を見直し、図形に対する豊かな 感覚をもつことができるようになる。 (4) 自作教具の開発と活用 ①開発と活用の留意点 教具は、市販であれ自作であれ、子どもた ちがそれを使って学習することを通して、よ りよく分かるとともに、考えを深めていける ものでなくてはならない。そうした教具を開 発し、活用していくための留意点として、中 野洋二郎氏2)は次のように述べている。 教具の開発をする上でより重要なことは、 教材研究である。 第1は、目標分析を通して、学習のねらい を明確にする。教師は教材研究の深さだけし か授業できないのと同じように、教具の開発 も教材研究の深さに依存している。さもない と「思考のない活動」になってしまう。 第2は、ねらいを達成するためにどのよう な活動をさせるかを明確にする。ねらいにせ まる活動に取り組ませるためにはどんな教具 が有効かを考える。 第3は、子どもたちの反応を予想し、それ に対する手だてを考えておく。とりわけつま ずきの予想もして、その対応を考えておくこ とが大切である。 また、教具の活用を考える場合には、次の 点に留意する必要がある。 第1は、できるだけ一人ひとりが操作でき るようにすることである。グループに1個し かないのでは他の子が操作するのを見ている しかなくなってしなう。それでは活動を通し て分かる経験ができない。 第2は、自力解決の後の全体検討の場面で は、自分の考えを教具の操作をしながら表現 するようにする。その方が具体的なイメージ をもって分かるからである。 ②自作教具の開発とその活用 前述の留意点を踏まえ、ハンズオン・マス の精神に乗っ取り 「1人が1つ使用する場合」 について自作教具を開発することにした。 <事例1> (単元名)第5年「合同な図形」 (学習内容)三角形を決定する要素と 合同な三角形のかき方 合同な三角形の作図に入る前に、三角形の 決定条件を考えさせる活動の場面での教具を 開発し、 教育実習中の算数の授業で活用した。 与えられた三角形と合同な三角形の作図の 仕方については、三角形の決定条件という既 成概念があるが、大切なのはそれを伝達し記 憶させることではなく、そのうちの1つでも 児童が自力で発見することである。決定条件 という立場で扱うのは中学数学の領域である から、ここではあくまでもかき方の理解にと どめる必要がある。そこで考えたものが、パ ズル形式の教具である。 用意したものは、竹ひごと色厚紙(3色) 。 取り上げる一般三角形の3辺の長さにあわせ 竹ひごを切り、 便宜上それぞれに色をつけた。 厚色紙も同様に角の大きさに合わせ、1角1 色になるよう切り取る。 3辺(長さの異なる3本の竹ひご) 3角(角度の異なる3枚の色紙) これらを2人に1セット配る。2人で辺と角 を上手に分けて見本を参考に合同な2つの三 角形をパズル形式で作らせる。2人で相談し 協力しなければ2つの三角形を作ることがで きないので、あえて2人に1セットにした。 教師のねらい通りに分けることができると 二辺夾角と二角夾辺の合同条件を満たした三 角形が2つできる。それによって3角と3辺 全てを使わなくても合同な三角形を作ること ができることが分かる。また、3角と3辺で 分けてしまった児童も、ねらいからははずれ ていたが、角が1つも分からなくても3辺を 使うことで三角形ができること(三辺相等) に気づくことができた。 この授業をふまえて、実際合同な三角形の 作図に入った。教科書には二辺夾角・二角夾 辺・三辺相等と3通りの作図方法が載ってい るが、ほとんどの児童はそれぞれの違いが分 からず、余分な辺や角を用いて作図してしま う。そこで、 「前の授業で竹ひご2本と角1個 でも三角形作れたよね」 とアドバイスすると、 前時のパズルと本時の作図を頭の中で一致さ せることができ、決定条件を利用し合理的に 作図することができるようになった。 <事例2> (単元名)第4学年「角」 (学習内容)回転の量としての角の概念 4学年で角を学ぶ場合、回転の運動に結び つけ、実際の作業を通して理解させることが 大切である。 そこで開発した教具が、中国製の 360°の 扇子をモデルにしたものである。実際、教科 書(東京書籍)の導入部分にもこの中国扇子 が写真で載っている。しかし、教科書上では あくまでも静的なものであるので、同様のも のを自作で作り授業に取り入れようと考えた。 作り方は簡単なので、授業の中で児童に作ら このようなことは算数に限ったことではな いが、どんなものでも工夫し、活用すること で教具になりうるといえる。例えば、折り紙 を使った導入作りである。教育実習中に「合 同な図形」 の単元の導入で折り紙を使用した。 「算数やるよ∼」と言われながら折り紙を配 られた児童の反応は「えっ!本当に算数?」 と驚いていた。そして児童の興味を引きつけ て授業に入ることができた。このように使い 方しだいでは、折り紙でも教具となりうるの である。 教具は教材を具体化するだけでなく、 子どもの興味・関心を引き出す大きな力を持 っていることが分かった。 また最近の子どもは「考える」ことが苦手 で、過程を無視してすぐに結果を求めようと する傾向がある。この問題を少しでも解消す るためには有効な教具の開発が必要であると いえる。何事も理解するには、聞くより見る、 見るよりやる、何でも実際にやってみること が一番である。 私たち自身が小学校で受けた算数の授業の 影響は大きい。しかし、これから教壇に立と うという私たちが、その古い影響だけをその まま教室に持ち込んでしまったら算数嫌いは 4.まとめ 減らないであろう。算数科教育において、教 具ひとつ取ってみても新しいものが取り入れ 実際に教具を自作してみたが、適した教材 られている。 新しいものを斬新に取り入れ 「価 を探し教材研究をした上での教具作りはなか 値あるもの」と判断し、常に授業を改革して なかアイディアが思い浮かばず時間がかかっ いこうという態度が大切であると改めて痛感 た。教育現場で教材にじかに触れていればア イディアは自然と思いつくのかもしれないが、 した。 現実問題、教材研究・教具開発に膨大な時間 参考文献 を費やすことは不可能である。自作にせよ、 1) 坪田耕三・ハンズオンマス研究会, 市販教具の開発にせよ、時間をかけることな ハンズオンで算数しよう2 楽しい算数 くいかに最小限の準備で最大限の効果を引き 的活動の授業,東洋館出版社,2000 出し活用することが必要となってくる。その 2)新算数教育研究会,新しい算数研究 ためには、日頃から日常の様々なもの・現象 1999 年1月号(通巻 335 号) ,pp.36-37, に目を向け、教具の開発につながるアイディ 東洋館出版 ア・材料を収集すべくアンテナを張り巡らせ 3)新算数教育研究会,新しい算数研究 ることが大切である。 せることも可能であると思われる。 用意するものは A4 程度の紙。これを蛇腹 に折り、半分に畳んでテープでつなぐ。する と 180°まで開くようになる。単元の前半で はこの 180°の扇子で十分対応できる。この 発展として、180°を越える角度を考える時 間に入った際に、2組の扇子を組み合わせる ことで 360°まで対応できるようになる。 また回転の量としての角度は、基準の辺か ら「左回り」の方向に見ていくのが普通であ る。分度器を使って角度を測るときも同様で ある。しかし、分度器には同一の目盛りに正 反対の方向に起点をもつ度数も記入されてい くため、60°を 120°と、80°を 100°と読 むような誤りがよく見受けられる。そこで、 蛇腹に折る前の画用紙の段階で左回りの矢印 を印刷し、扇子を開いた状態で矢印が見える ように工夫する。それによって角度を測る起 点と回転の方向を動的なイメージとして残す ことができる。ただし、起点が反対になった 場合の目盛りの読みとりも学習するので、分 度器の構造・便利な使用法と「左回り」の性 質を区別して、 注意深く指導する必要がある。 1999 年2月号(通巻 336 号) ,pp.4-7 東洋館出版, (注)*1 (注) 欧米では透明なジオボードも市販されてい るようだが、日本の市販教具のカタログを探 す限り見あたらなかった。問題点を改善し坪 田氏が開発した透明なジオボードが文献内で 紹介され、誰でも購入可能となっている。
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