2011/10.26 会沢健二 ビニールハウスだって日が照っていれば暖かい 以前、ある工務店グループに依頼されQPEX計算の講師をつとめたことがあります。QPEXは、 全国 842 の気象データが入力されていて、寒さの量(デグリーデー)と日射量から、住宅の省エネ設 計ができることを紹介しました。QPEXを使って、暖かく快適な暮らしが、「省エネ」でできる家をつく ろうと呼びかけたのですが、終了後帰り際に声をかけられて言われたのは「暖かい家ならもうつくっ ているよ」でした。私は「省エネ」で言いたかったのですが、 肝心なところを外して「暖かい家なら誰だってできるんだよ」 と言いたかったようです。 そうなんです、暖かい家は誰にだってできるんです。高 断熱にしてもしなくとも家は暖かくなるんです。暖房すれ ばいいんですから。 ① 問題はどんな暖房をするかです。大きなダルマストー ブをガンガン焚いて部屋を 20℃にするのと、どこで暖房し 絵(上下)採暖と暖房より 北海道大学 荒谷登先生著 ているかわからないような状態で 20℃になっているのでは、 どちらが快適ですか?どちらが省エネですか? 馬鹿な質問ですが「暖かい住宅なら誰でもできるよ」と 吹聴する人にはそういう質問も必要ですね。 図① 畑にあるビニールハ ウスを見てこんなことを 考えます。ビニール一 枚では誰がどう考えた って断熱効果はないのに、日が照って入れさえすれば中 は暖かいですよね。気密がいいこともあります。でもそれに 日射熱という大きな暖房熱がハウス全面に降り注いでいる からといえませんか。右の絵(下)では、まるで機関車のような暖房設備といっていますが、つま り、どんな家でも暖房すれば、しているときは暖かくなるのです。その代わり暖房をし続けないと 温度が下がるのですからエネルギーも浪費し続けます。 ビニールハウスは夜になったら途端に温度が下がります。高断熱住宅のはずなのに「暖房 を切ると途端に家が寒くなる!」なんてことはありませんよね。 暖房エネルギーがかかりすぎるとか、蓄熱暖房が夜まで持たないとかいうのはこれに近い話 かも知れません。
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