安 全 報 告 書 (平成25年度) アイラス航空株式会社 平成 26 年 6 月 30 日公表 本報告書は航空法第111条の6並びにこれに基づく航空法施行規則 221条の5及び第221条の6の規定に基づき作成したものです。 安全報告書 平成 25 年度 1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針に関する事項 日進月歩で変化する航空業界の環境の中、お客様から信頼される健全な経営姿勢を確立する ため、より安全に(無事故の達成、労働災害0)、より確実に(顧客に満足を与えるサービス の提供)、より安く(経費削減、コスト縮減)の3つの課題に取り組むことを経営方針として おります。 そして、より安全な運航及び整備サービスを提供するため、安全管理を継続し、是正してゆ くことを組織の最優先事項とすることを安全方針とします。 2.輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項 アイラス航空では安全管理体制(組織、役割等)を有しており、経営トップから現場まで一 丸となって安全に対する考え方を浸透させる活動を継続的に行うことにより安全を確保する ための事業の根幹とし、これらを安全管理規程に定めています。 (1)社内の安全管理組織 ・組織図(平成 25 年 12 月 31 日現在) 代表取締役社長 安全統括管理者 安全推進室 業務部 営業部 運航部 整備部 技能審査担当操縦士 総務経理課 営業課 乗員課 運航管理課 整備課 技術課 ・組織図(平成 26 年 6 月 30 日現在)では、以下の組織体制となっております。 代表取締役会長 代表取締役社長 取締役副社長 安全統括管理者 安全推進室 業務部 営業部 運航部 整備部 技能審査担当操縦士 総務経理課 営業課 乗員課 運航管理課 1 整備課 技術課 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 (2)人員に関する情報 各組織の人員数(平成 25 年 12 月 31 日現在) ア.安全推進委員 5名 イ.運航部 6 名(兼任者 2 名を含む)、整備部 10 名、営業部 4 名、業務部 ウ.操縦士 4 名、整備従事者 2名 10 名 エ.運航管理担当者 8 名(運航管理者 0 名)、有資格整備士 8 名 各組織の人員数は平成 26 年 6 月 30 日現在、以下の構成となっております。 ア.安全推進委員 5名 イ.運航部 8 名(兼任者 2 名を含む)、整備部 9 名、営業部 4 名、業務部 ウ.操縦士 2 名、整備従事者 2名 9名 エ.運航管理担当者 7 名(運航管理者 0 名) 、有資格整備士 7 名 (3)安全確保に関する組織の機能、役割 安全管理体制の機能図 指揮命令(報告)系統図 不具合事項発生 営業担当委員 運航管理担当委員 乗員担当委員 整備担当委員 安全推進室 安全速報:全社員へメール 安 全 推 進 委 員 会 会 議 教育 安全情報: 回覧 朝礼にて周知 運航部長 航 空 法 第 1 1 1条 の 4 及 び 航空 法 施 行 規則第 221 条の2 に基づく 報告 安 全 統 括 管 理 者 代 表 取 締 役 社 長 2 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 (4)運航の支援体制 航空機乗組員、整備従事者及び運航管理担当者に係る訓練及び審査の内容 航空機乗組員、整備従事者、運航管理担当者の定期訓練及び審査の内容については航 空局の「運航規程審査要領:国空航第58号」、「整備規程審査要領:国空機第73号」 及び「航空運送事業及び航空機使用事業の許可及び事業計画変更の認可審査要領(安全 関係) :国空航第1223号、国空機1362号」に基づき設定した、弊社の運航規程 及び整備規程により各種訓練及び審査を実施しています。 ア. 航空機乗組員 ・定期訓練 操縦士に対して、 「運航上必要とする知識」及び「使用航空機に関する知識」を維持、 向上するための定期的な訓練を実施しています。 ※過去一年での航空法改正点及び非常脱出等緊急時の対応に重点をおいています。 ・定期審査 操縦士に対して、運航に必要な知識及び能力が維持されていることを確認するための 審査を年に一度、実施しています。 イ. 整備従事者 ・最近の整備経験 整備従事者の内、確認整備士は最近24ヶ月以内において、航空機又は装備品の整備 業務、整備教官業務等の適切な業務を6ヵ月以上実施した経験を必要とし経験を満たさ なくなった者に対し航空法第19条第2項の確認業務を実施する前に経験付与に相当 する復帰訓練及び審査を実施しています。 ・その他実施している訓練 社内資格者に関する教育訓練として、基礎教育訓練、日常点検確認者養成訓練、資格 所得訓練、確認整備士養成訓練、新型式機導入訓練、品質監査員養成訓練、技量維持訓 練を必要に応じ実施しています。 ウ.運航管理担当者 ・定期訓練 運航管理担当者に対して過去一年での改定事項、運航管理業務の再確認及び知識・技 量維持の確認のため定期訓練を実施しています。 エ.運航の問題点の把握と共有、フィードバック体制 ・各飛行作業終了後、飛行作業報告書を作成し運航の不具合事項・改善事項の把握と共 有を図り安全運航にフィードバックしています。 ・不具合事項・改善事項の内容により、安全推進委員会への議題提出及び同委員会での 確認・決定事項等を社内全体へ周知し実践することとしています。 3 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 (5)使用航空機の情報 機種 (H25.1~H25.12) 平均年間 平均年間 飛行時間 飛行回数 6席 405 時間 1機 4席 2機 4席 機数 座席数 350 系列型 2機 355F2 型 R44Ⅱ型 総飛行 導入時期 平均機齢 892 回 H19.4~ 18 年 810 時間 67 時間 61 回 H22.8~ 23 年 67 時間 97 時間 420 回 H25.5~ 1年 194 時間 時間 3.航空法第 111 条の 4 の規定による報告に関する事項 2013 年度に発生した航空事故や主なトラブル等の発生状況について、航空局に報告を行っ た航空事故で航空法第 111 条の6に基づき安全報告書により公表が求められている航空運送 事業に関する報告は以下のとおりです。 (1)航空事故・トラブル等の発生状況 ・航空事故 1 件 ・重大インシデント 0 件 ・安全上のトラブル 0 件 (2)航空事故の概要及び原因 ロビンソン式R44Ⅱ(回転翼航空機)JA106Y 遊覧飛行中に海面に衝突後墜落乗 員乗客 3 名が重軽傷を負いました。 概要 平成 25 年 12 月 31 日、遊覧飛行を実施する為に離陸し、経路の途中で乗客に橋を横 から見せようとした際、降下中に海面が迫ってきたので上昇操作をしましたが、そのま ま海面に激突しました。 原因 本事故は、遊覧飛行中の同機が過大な速度及び降下率で海面近くまで降下したため、 穏やかで透明度の高い海面上における高度判断を誤り、降下から上昇へ移行する時機が 遅れ、海面に突入し機体を損傷させたことによるものと推定されます。 同機が過大な速度及び降下率で海面近くまで降下したのは、詳細な飛行要領を定めた 標準作業手順書を用意していなかった為、飛行要領がそのときどきの機長の判断に委ね られていたこと及び機長が遵守すべき法令や規則を守ろうとせず安全への配慮を著し く欠いていたことによるものと推定されます。 4 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 4.輸送の安全を確保するために講じた措置及び講じようとする措置に関する事項 (航空法施行規則第 221 条の6第 4 号) (1)航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態の再発防止のために講じた措置又は講じ ようとする措置 ア. 安全統括管理者による全社員へ対する安全意識に関する訓辞。 イ. 全社員に対する臨時安全教育。 ウ. 安全管理規程を改訂し、安全管理体制を以下の通り変更。 安全管理体制の機能図 代表取締役社長 安全統括管理者指名 報告 安全投資の決定 経営上の意思決定に 直接関与 開催指示 安全統括管理者 (安全監査責任者) 指示 承認 調査指示 報告 立案 安全推進室 安全推進会議 議決 社内事故調査委員会 報告書 安全推進計画文書 ・安全推進会議決議 ・安全管理規程 ・社内事故調査委員会報告書 方針管理による落とし込み ・職場安全会議報告書 ・安全報告書 ・事故対応文書 ・他 情報とリスク ・方針を決定するシステムと承認の方法 ・目標達成を評価するシステムと承認の方法 ・情報収集、分析 ・情報の重みづけ ・現業部署への指示、現業部署からの報告 内部監査によるチェック機能 ・内部監査の実施 ・改善を促す 指示 承認 ・記録を残させる 報告 立案 現場業務の各部署 指 示 報 告 専門職社員 業務部長/ 運航部長 整備部長 職 場 安 全 会 議 報 告 指 示 専門職社員 5 営業部長 職 場 安 全 会 議 指 示 報 告 一般職社員 職 場 安 全 会 議 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 エ. 「安全」の確保は事業運営の基盤であり、安全運航の継続に努力を惜しむことなく全 社一丸となり、日々安全活動に取り組む為に、以下に掲げる「わたしたちの行動指針」 を安全行動指針とし、社内に掲示すると共に全社員に対して安全教育を実施しました。 わたしたちの行動指針 ① 法令遵守 ○ 関係する法令の内容と意義を正しく理解し、遵守するとともに改正動 向を把握し対処します。 ○ 解釈が不明瞭な場合、行政機関若しくは社外の専門家に確認し、正し く理解します。 ○ 法令で求められる行政機関への報告及び届出等は適切に行います。 ② 社内規定の遵守 ○ 関係する社内規定の内容と意義を正しく理解し、遵守するとともに改 訂があった場合は適切に対処します。 ○ 解釈が不明瞭な場合、規定の制定部署に確認し、正しく理解します。 ○ 社内規定で定める会社への報告及び届出等は適切に行います。 ③ チームワーク ○ 冷静に意見を交わせる職場環境を意識し、チームの一員として他者を 助け、認めあえる関係を築きます。 ○ コミュニケーションを取りあい、意見をすり合わせて会社として最善 の方法を導き出します。 (2)国からの事業改善命令、厳重注意その他の文書による行政処分又は行政指導を受けた場合に は、これに関して講じた措置又は講じようとする措置 平成 26 年 1 月 17 日大阪航空局長より、低空飛行を行ったこと、救命ボートを適切に搭 載せず飛行したこと、救命胴衣を適切に搭載せず飛行したこと及び小児を幼児として取り 扱ったことならびに、飛行の内容を把握していないことについて厳重注意を受けました。 厳重注意の内容を真摯に受け止め、平成 26 年 1 月 31 日「航空機の運航における法令等 の遵守について(厳重注意)」に対する再発防止策について(報告)を取りまとめ、大阪 航空局長へ以下の内容の再発防止策の報告を行いました。 ア. 規定類の不備を是正する措置 運航規程を運航規程審査要領細則で求める内容に改訂し、標準作業手順書(SOP) の改訂または制定により詳細な運航基準を定める。また、全操縦士の日々の飛行を運 航部長が確認し、問題がある機長には特別教育を実施することとする。 6 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 イ. 運航監視体制の強化のために講じる措置 規定類の改訂または制定に加え、運航指令書発行システムの構築や運航計画書を制 定し、それらの教育を実施することにより、飛行計画の把握や、搭乗者数と年齢に応 じた救命胴衣数及び救命ボートの搭載状況の確実な確認を行うことができるよう、運 航監視体制の強化を図る。 ウ. 安全管理体制が不十分であったことを是正する措置 安全統括管理者の職場巡視や毎週月曜日の朝礼で安全に関する訓辞の定例化や、安 全管理規程を改訂し安全教育の充実やヒヤリハット報告を年に 1 回アンケート方式 で全社員から提出を受ける手法を盛り込むこととする。 その他の再発防止策として次の項目を実施した。 SOP「飛行計画の作成方法」を制定することによる飛行計画の管理方法を明確化。 新たに制定した基準での場外離着陸場の再申請。 事故発生時、運航管理担当者は着陸予定時刻を過ぎても機長へ運航状況を確認せ ず、当該機の状況を把握していなかったことから、運航監視の体制を向上させる ため、社内規定である緊急業務処理規程(事故処理)を改訂し墜落、不時着等の 用語の定義を明確化。 改訂または制定した各規程に関する教育の実施。 安全行動指針の制定。 運航規程等を大幅に改訂したことを確認するため、各乗員に対する特別審査。 事故発生後、安全運航を実施する為の確認をできないことから運航を自粛していましたが、 上記の内容の再発防止策に取り組んだことにより、安全な運航が可能であることを確認し、 運航を再開しました。 また、 平成 26 年 6 月 27 日に公表された航空機事故調査報告書 (JA106Y) の内容を確認し、再発防止策を追加する必要は無いものと判断しましたが、引き続き安全運 航へ取り組みを進めてまいります。 (3)輸送の安全に関する目標達成度、安全に関する取り組みの実施状況、安全上のトラブルの発 生状況等を踏まえた、当該事業年度における輸送の安全の状況に関する総括評価 平成25年度も安全運航に取り組み、無事故運航を目標としていましたが、前述のよう に航空事故が発生させてしまいました。事故発生以降、不安全事項を検証し、是正措置を 実施してきた結果、会社として確実に安全運航を行う為の体制を構築することができたも のと判断しております。引き続き安全を確保するため、再発防止策及び予防策の徹底を図 ってまいります。特に安全教育の徹底が重要と認識し、安全管理規程の改定を行い定期的 な安全教育(年に1回実施する全社教育に加え、各部署において年2回の波及教育)を行 7 アイラス航空株式会社 安全報告書 平成 25 年度 うこととしました。 また、安全推進委員会による 4 半期に1回以上の安全推進会議を実施し、運航面、整備 面、営業面・業務面から安全運航に係る社内全体の注意事項、問題等を議題として取り上 げ、多角的にそれを検討、改善し更なる安全運航に役立ててまいります。 (4)翌26年度における安全目標及び取り組み これら是正措置を実施した結果、会社として再発防止策に取り組み全社員に安全に対す る考え方を再認識させたこと、及び、規定類を整理し教育訓練を実施したことにより、法 令、規定類に基づき、適切且つ、確実な安全運航を行う為の体制を構築できたものと確信 しております。 航空運送事業再開後も、この事故を風化させることなく、2度とこのような事故を発生 させないよう、これまで行ってきた再発防止策が適切に機能し、安全運航の為の体制が維 持されているかを内部監査や定期審査等を通じて継続的に確認し、不適切な事項が認めら れた場合には、自発的に見直し改善する取り組みを続けて参ります。 また、今回の事故によって社会的信用を失墜させてしまったことを認識しておりますの で、全社一丸となった安全運航体制を継続して実施することにより、一日も早く信頼を回 復し、安全運航をもって社会貢献ができる航空会社となれるよう、そして、お客様に安全・ 安心の基、ご利用いただけるように取り組んでまいります。 ・平成26年度 安全目標 「コンプライアンス意識向上」 以上 8 アイラス航空株式会社
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