『マントルへの海水逆流で 酸素が増え生物が進化』 編纂:’10.6.30 渡邊 ◆ 海水がマントルに逆流をはじめる 7.5億年前を境に、海洋プレートといっしょに沈み込んだ水の行方が大きく違っている。 プレートが生まれた20億年前頃はマントルの温度 が高く、沈み込んだ海洋プレートの含水鉱物は、浅 い所で水とドライな鉱物に分解して、水は熱水にな って地表に戻っていた。 しだいにマントルの温度が下がり、7.5億年前頃か ら含水鉱物が完全に分解しないままマントルに溶 け込むようになり水が注入され始めた。 ◆ 海水のマントルに注入によって起きた事象 地球上の水の量は、地球誕生から現在も、総量は一定である。 各種の推測式から証明されている ・ 火山活動が活発化 :海溝に沿って潜り込んだ水が地下マグマを刺激して火山噴火を起す ・ プレート移動が加速化 :マントルの粘性が低くなり、プレートが移動し易くなる ※超大陸ロディニアは7.5億年前に分裂を開始し、2年後の5.5億年前には次の超大陸ゴンドワナを形成した ・ 海水量が減少する :数億年に渡る海水注入で、海水面が低下する ① 陸地面積が拡大した ② 陸地の浸食活動が増大した ③ 河川から土砂が海に流出した ④ 海底の堆積岩が増えた ⑤ 地殻中に有機物(炭素)が固定した ⑥ 相対的に大気中の酸素が増加した ・ 酸素の増加により大型生物への進化が可能になった。 ・ 大気中に放出された酸素が増加して「オゾン層」ができて、生物の陸上進出を可能にした。 ◆ 岩石の証し 原生代後期、10∼6億年前の顕生代への移行期(エオカンブリアン)の状況は、陸や浅海に堆積地層と 氷河に関係した地層に残されている。 陸や浅海の地層に、蒸発岩(石膏、岩塩)赤色砂岩、正珪岩(オルソク ォーツァイト)などの堆積岩がみつかる。 蒸発岩は、内湾や湖で海水や水に溶けていた成分が、水が干上 がってできる。 すなわち、暑い乾燥気候だった証しで、大陸の存在を意味する。 赤色砂岩は、干潟のような酸化し易い所の岩。正珪岩は、石英の粒で砂漠のような所で砂が固化した。 海水のマントルへの逆流は、地球が冷え含水鉱物が、プレートと共にマントルに沈み込む現象である。 7.5∼5.5億年前の間で海水は徐々に減り、水深で 200∼300m 相当分の海水が、マントルに入った。 陸地は地球の表面積の10%が、現在の30%ほどに拡大したと推定される。 水を含むマントルは膨れ、 陸が上昇し大陸ができ、砂漠、大河の多様な陸上環境が形成された。 堆積物が増加すると、その中に 含まれる有機物が分解されずに、岩石中に残ってしまう。 炭素が、大気−海洋−生命のサイクルから 取りのぞかれることで、大気中の酸素が増加することになる。 水を含むマントルは軟らかく暖かいマントルが上昇しやすくなり、火山活動が活発になる。 その結果、 マントルに逆流する水とマグマの活動によって、新しいマントルの安定状態ができ、海水の減少も止まる。 5 億 5000 万年前頃に、この安定状態に達した。 1
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