平成 13年 度事業報告 ・平成 14年 度事業計画 試 験研究 1 シ ー ル 性 を有 す る強 化 オ ブ ラ ー トの 開 発 (HH∼ 加 工 食 品部農産食 品科 岩 下敦子 山 木 一 史 中 野敦博 槙 応 用技術部食 品工 学科 清 H13) 賢 治 水英樹 山 崎邦雄 熊 林義晃 1 研 究 の 目的 と概 要 オ ブラー トは デ ンプ ンか ら製造 され る安価 で 安 全 な優 れ た可食 性 フ ィル ムで あ る。 しか し、ポ リエ チ レンフ ィル ム等 に比較 して加 工 性 (特に シー ル性 )が 低 い こ とか ら、利 用 の範 囲が制限 されて い る。本研究では、道産馬鈴 薯デ ンプ ンの 需要拡 大、付加価値 向上 を 目的 と して、 シー ル性付 与お よび物 性 を強化 したオ ブラー トを 開発 する。 【予定 され る成 果 】 イ ンス タ ン ト食 品 等 の 小袋 包 装 に 利 用 す るな ど、 廃 棄 物 の 少 な い 製 品 の 開 発 が 可能 とな る。 また、 そ の ま ま飲 用 可 能 な薬 品 分 包 用 包 材 と して の 利 用 等 が期 待 で きる。 2 試 験研 究の方法 (1)ア ル ギ ン酸 マ イ ク ロカ プセルの調製 方法 ・各種 カル シ ュ ウム溶液 を用 い た マ イ ク ロカ プセルの調製 1%ア ル ギ ン酸液 を各種 カル シ ュ ウム溶液 (酢酸 Ca・ 炭酸 Ca・ 硫酸 Ca・ 酒石酸 Ca・ 乳酸 Ca・ リン酸 1水 素 Ca・ リン酸 2水 素 Ca)ヘ ス プ レー 噴霧 し、凝 固 の状 態 を顕微鏡観 察 した。 ・各種 ス プ レー 方式 を用 い た マ イク ロカ プセルの調製 2%ア ル ギ ン酸液 をス プ レー (手動)。電動 ス プ レー ・ス プ レー ドラ イ機 ノズル に /。 て 10° 塩化 Ca中 へ 噴霧 し生成 した マ イ ク ロ カプセル の状態 を顕微鏡 によ り比較観 察 した。 ・油脂包摂 マ イ クロカプセルの調製 2%ア ル ギ ン酸液 にオ リー ブ オイル を添加 (1%,10%w/v)し 、 ホモ ゲナ イザ ー (150kgたm2)で 乳化後 、ス プ レー ドライ機 ノズルで 10%塩 化 Ca液 中へ 噴霧 した。 得 られ た、油脂包摂 マ イ ク ロカプセル を顕微鏡 にて 観 察 した。 (2)各 種 マ イク ロカプセル のサ イズ と形状 の顕微鏡観 察 改良 Neubauer型 血 球計数板 上 に マ イ ク ロカ プセル 溶液 を滴下 し、実 体顕微鏡 に て、 形状お よび粒径 を観察 した。 (3)各 種 多糖類添加 オ ブラー トの物 性測定 プル ラン ・カラギナ ン 。キサ ンタ ンガム ・アル ギ ン酸 マ イ クロカプセル (油脂 包 摂 型 )。ア ラ ビア ゴ ムマイ ク ロカ プセル (油脂 包摂 型 )を 添加 したオ ブラー トを試 作 し、 ヒー トシー ル性 と圧 着性 を測定 した。外観 を官能評価 した。 [試作協 力 :伊 井化学 工 業い ] -4- 平成 13年 度事業報告 。平成 14年 度事業計画 試 験研究 1 3 実 験 結果 (1)ア ル ギ ン酸 マ イ ク ロカプセルの調製 。マ イ ク ロカプセルの凝 固状態 と硬度 に対 す る各種 カル シ ユ ウム溶液 の影響 酢酸 Ca・ 乳酸 Ca・ リン酸 2水 素 Caで は塩化 Ca同 様 アル ギ ン酸液 は凝 固 した が、硫 酸 Ca・ 酒石酸 Ca・ リン酸 1水 素 Ca・ 炭酸 Caで は凝 固 しなか つ た。 硬度 ・カプセルサ イズの状 態 か ら、塩化 Caよ りも良好 な凝 固剤は認 め られ なか っ たので、以降 の試験 も塩化 Caを 凝 固剤 と して用 い た。 ・ス プ レー 方式 による生成 マ イ ク ロカプセルの状 態 変化 / 0濃度 が 限界 で あ り、水 アル ギ ン酸溶液 は粘度が高 い ため、水用 ス プ レー では 1° ー 滴 も大 き くな る傾 向が見 られた。 一 方、 ス プ レー ドライヤ 機 の ノズルは 、圧縮 空 /● アル ギ ン酸液 で も良好 に噴霧 可能であ つ た。 気 を導入 す るため 2° ・油脂 包摂 マ イ ク ロカプセルの調製 1%、 10%w/vオ リー ブオイル 平L化液 ともマ イ ク ロカ プセルの調 製 が可 能 であ つ た。 油脂含 量 の違 いで 、回収 された マ イ ク ロカ プセ ルの比重は異 な り、1%包 摂 で は沈殿 し、 10%で は浮遊 した。沈殿 ・浮遊物 の どち らも 10%塩 化 Ca液 を水 に 置換 す る こ とで、塩化 Caを 洗浄 した後 回収 し、高濃度 マ イ ク ロ カプセル 混液 と して保 存 した。 オ ブラー ト試作 には 、澱粉糊化水 と共 に マ イ ク ロカ プセル を加 えて、 フ ィル ム に加 工 した。 (2)マ イ ク ロカプセルのサイズ と形状 の顕微鏡観 察 各種 マ イ ク ロカプセルは直 径 10∼100μmの 球形 に形成 された。凝 固剤 による影 一 響 は少な く、 ス プ レー ドライヤ ー 機 ノズルで の噴霧 が 最 も微粒 子で均 な マ イ ク ロ カ プセル とな っ た。 (3)各 種多糖類添加 オ ブラー トの物性 比較 試作 した各種 多糖類添加 オ ブラー トの物性 を比較 し表 に示 した。 澱 粉 l k g あた り 0 5 添加 5 4 4 カラギナン キサンタンガム 油脂包摂マイクロカプセル アルギン酸 7 ル ラン アラビアガム 4 要 25 2.5 引] い 弱い 0 0 2.5 25.0 ″ 非 常 にス ム ー ス 0 弱い ややあり 弱い なし 変 化 なし リ ト常にスム ース なし 変 化 なし 変化なし なし 変 化 なし ドライヤ ー 接着面 のざらつき大 なし 変 化 なし ″ なし 変 化 なし 両面ともスム ース 糸勺 アル ギ ン酸 で油脂 を包摂 した マ イ ク ロカ プセル を調製 し、 このマ イ クロカプセル を混入 したオ ブラー トを試作 した。現行 の加 工工 程 で問題 な くオ ブラー トに加 工 で ー き、他 の 多糖類 添加 オ ブラー トよ りも ヒー トシー ル 性 の改良 され たオ ブラ トを得 た。 -5-
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