3次元安定計算の方法

3次元安定計算の方法
3 次元安定解析に用いる計算方法............................................................................................1
1地形データの作成 .................................................................................................................3
2 すべり面データの作成 ..........................................................................................................3
3 地下水位データの作成 ..........................................................................................................3
4 安定計算ブロックの指示.......................................................................................................3
5 安定計算用メッシュ区分.......................................................................................................3
6 安定計算ブロック端部の処理 ...............................................................................................3
7 計算単位の定義 .....................................................................................................................4
8 各要素の底面(すべり面)の角度・方位の算出 ..................................................................4
9 要素の体積・底面積の算出 ...................................................................................................4
10 要素の重量・水圧の算出.....................................................................................................4
11 要素のすべり力・垂直抗力の算出 ......................................................................................5
12 すべり力・垂直抗力・底面積の総和を求める ....................................................................5
13 逆算計算の判定 逆解析を行う場合は 14 の逆算法安定計算を行い、地すべりのすべり面
強度を推定する。.....................................................................................................................5
14 逆算計算 ..............................................................................................................................5
15 安全率の算出・結果概要の表示..........................................................................................6
3 次元安定解析に用いる計算方法
3 次元安定計算式は簡便法を 3 次元的に拡張した方法で、解析プログラムが公開されている
建設省土木研究所資料によるHovland法を用いた 1。
なお、計算に当たっては、地すべりブロックを数百の要素に区分する必要があり、地表高・
すべり面高さ・地下水位高さを CAD 上でコンター図として描き、自動で要素区分を行い、計
算する。計算の流れは下図の通りである。
二次元CAD
・地表面コンター図
・地下水位面コンター図
・すべり面コンター図
の作成
三次元CAD
この部分は CAD と別売のプログラム
各コンター図の等高
線に高さ属性を附加
で行います。
三次元安定計算用
自動メシュ図作成
三次元安定計算
本書で解説する部分
3次 元 安 定 計 算 の 流 れ
1
中村浩之 中島 茂 吉松弘行:Hovland 法による地すべり3次元安定解析手法,土木研究
所資料,No.2265,1985.
-1-
安定計算は下図のような流れで実施した。
スタート
1
2mコンターで基図を作成
それぞれのコンターに標高の属性を付加する。
2
10∼5mコンターで基図を作成
それぞれのコンターに標高の属性を付加する
地形データの
作成
すべり面データ
の作成
10∼5mコンターで基図を作成
それぞれのコンターに標高の属性を付加する
3
地下水位データ
の作成
安定計算を行なう範囲を指定
4
安定計算ブロックの指定
地すべりの重量・水圧・すべり面傾
斜を計算する単位三角柱(要素)を
定義するためにメッシュ区分を行な
う
メッシュは、半自動生成する
5
安定計算用メッシュ区分
計算端部では、高さが地形標高→水位→す
べり面になるように調整する
6
安定計算ブロック端部の処理
安定計算を行なうための要素と節
点の関係を定義する
7
計算単位(要素;三角柱)の定義
8
各要素の底面(すべり面)の角度・方
位の算出
各要素のすべり面の最大傾斜方向の単位
ベクトルを求める
体積は三角柱の底面から地表までと底面から地下水位面ま
での2種類を求める
体積=三角柱の3点の平均高さ×三角柱の水平断面積 として近似する
9
要素の体積・底面積の算出
10
重量=要素の体積×要素の単体重量
水圧=要素の底面から地下水面までの体積×1.0
要素の重量・水圧の算出
すべり力のスカラー値=重量×sin(すべり面の傾斜角)
すべり力のベクトル成分;
x軸方向=すべり力のスカラー値×すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのx軸成分
y軸方向=すべり力のスカラー値×すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのy軸成分
垂直抗力=重量×cos(すべり面の傾斜角)
11
要素のすべり力・垂直坑力の算出
12
すべり力・垂直抗力・底面積
の総和を求める。
すべり力の総和;√(x軸方向の総和)^2+(y軸方向の総和)^2
Yes
13
逆算計算を
するか
14
逆算計算でc
とφを設定
Fs=(抵抗力の総和×tanφ+底面積の総和×C)/すべり力の総和
No
15
安全率の算出
終了
図 1.1.2.安定計算のフロー
-2-
1地形データの作成
地形データは、CAD図面より2m等高線で作成し、標高属性を持った 3 次元データに変換
した。
2 すべり面データの作成
すべり面データは、10∼5m等高線で作成し、標高属性を持った 3 次元データに変換した。
3 地下水位データの作成
地下水位データは、10∼5m等高線で作成し、標高属性を持った 3 次元データに変換した。
4 安定計算ブロックの指示
安定計算を行なう範囲を地すべりブロックとして指定した。
5 安定計算用メッシュ区分
安定計算は、地すべりブロック内を 100∼3000 程度の三角形に分割し、地表・地下水面・すべ
り面で構成される三角柱を元に行なう。
メッシュの区分方法は以下のように行なう。
安定計算範
図 1.1.3.メッシュ区分
図 1.1.4.三角形要素
6 安定計算ブロック端部の処理
安定計算の範囲の端部では、次の関係が成立するように、すべり面・地下水位の標高を修正す
る。
①すべり面は地表の標高より必ず低くなる。そうでない場合(すべり面が地表高より高い場合)
は、すべり面の標高を地表高に一致させる。
②地下水面は地表の標高より必ず低くなる。そうでない場合は、地下水面の標高を地表高に一
致させる。
-3-
7 計算単位の定義
メッシュに分割した三角形要素の端点(=節点という)に番号をつけて、要素と端点の関係
を定義する。
8 各要素の底面(すべり面)の角度・方位の算出
各要素の底面(すべり面)の水平面との角度とその方向を算出する。
算出方法は、以下の手順で行なう
①すべり面の底面の3点からすべり面の面の方程式を導く。
すべり面の法線ベクトル
すべり面
すべり面の角度
B軸
すべり面の
法線ベクトルの
水平面上への投影
長さ1の単位ベクトルに
変換する
最大傾斜方向
水平面
図 1.1.5.推力のベクトル
A軸
水平面上のベクトル成分
②すべり面と水平面のなす角を算出する。
③面の方程式から法線ベクトルを導き、面の最大傾斜方向のベクトルを求める。
このとき、・すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのA軸方向成分
・すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのB軸方向成分
を求めておく
9 要素の体積・底面積の算出
体積は、
①すべり面と地表面の間の地すべり土塊の体積
②すべり面と地下水位面の間の地下水位の体積
の2種類を求める。
求積方法は、
体積=三角柱の上下面の3点の平均高さ×三角柱の水平断面積
として近似する。
10 要素の重量・水圧の算出
①地すべり土塊の重量
w=地すべり土塊の体積×単体重量
②水圧
u=地下水位の体積×1
として算出する。
-4-
基準水面法による場合は、湛水面以下は水中重量を用いる 1)
11 要素のすべり力・垂直抗力の算出
①すべり力のスカラー値S=W×Sin(すべり面の傾斜角度)
②すべり力のA軸方向力
Sa=S×すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのA軸方向成分
③すべり力のB軸方向力
Sb=S×すべり面の最大傾斜方向単位ベクトルのB軸方向成分
④垂直抗力
T=重量w×Cos(すべり面の傾斜角度)
12 すべり力・垂直抗力・底面積の総和を求める
①すべり力の総和;
S
ΣSa 2 ΣSb 2
すべり力はA軸成分と B 軸成分に分けて、ベクトル
として総和する。こうすることによって右図のよう
なすべり力の 3 次元的な配慮を行なう。
地すべりのA軸方向断面
地すべり土塊
②抵抗力の総和;ΣT
③すべり面の総和;ΣB(三角柱の底面 base=すべ
すべり力のA軸方向分力
り面の面積の総和)
図 1.1.6.すべり力の合計
13 逆算計算の判定 逆解析を行う場合は 14 の逆算
法安定計算を行い、地すべりのすべり面強度を推定
する。
14 逆算計算
断面法と同じで
Fs
(ΣT×tanφ+ΣB×C)
ΣS
Fs ;安全率
φ ;内部摩擦角
C ;粘着力
の関係から、Cとφを算出する
1)
基準水面法による計算は「貯水池周辺の地すべり調査と対策」
(建設省河川局開発課監修)
p132 による
-5-
15 安全率の算出・結果概要の表示
①安全率
②すべり力ΣS
抵抗力ΣT
③すべり力のベクトル方向
すべり面面積ΣBの総和 ΣT×tanφ+ΣB×C
全体と各三角柱それぞれを表示
④すべり力バランス図の表示
-6-