Horseman`s Room

Horseman's Room
今月よりクラブに関わりのある人々を中心に競馬についていろいろとお話しを伺う
「Horseman's Room」がスタート!
第1回目の今回は美浦トレーニングセンター所属の武市康男調教師にインタビューしました。
将来、調教師を目指したいという話をきちんとした上で、厩舎に受け入
れて頂きました」
というあたりにも、師の誠実な人柄が現れている。
鈴
木康弘厩舎で約9年間、調教助手を務めたわけだが、助手
をしていた当時の鈴木(康)厩舎には、往年のローゼンカ
バリーや、エイダイクイン、サヤカ、ペインテドブラック、障害のノーザン
レインボーなどのオープン馬が名を連ねていて、それがまた貴重な勉
強の場となっていた。
そ
のような数多くの経験を積んだ後、2006年に調教師免許
を取得し、同年12月23日に管理馬が初出走。翌年1月8日
武市調教師プロフィール
にコウジンアルス号で初勝利を挙げる。調教師として順風満帆のス
1971年7月9日生 千葉県出身 2006年免許取得
タートを切ったように思えるのだが、実際のところ、武市調教師はどう
【JRA通算成績】
393戦19勝・2着25回(2008年10月27日現在)
【主な現役管理馬】
エスケーカントリー、ゲイリースティング、エールスタンス
感じているのだろう。その質問をぶつけると
「正直、なかなか理想と
現実は一致しないですよ」
と苦笑した。だがその後に「でも試行錯誤
して馬を走らせて、結果が出てくれた時は感慨深いですよね」
としみ
じみとつぶやいた。競馬は生き物が相手だけに、なかなか思う通り
にはいかない。その上、馬主をはじめ、厩舎スタッフ、そして騎手・・・。
人と馬の歯車が合って初めて、いい結果が生まれるものだ。それを
西とも若手調教師の躍進が目立つが、関東で奮闘中なの
十分意識している武市師だからこそ、調教助手や厩務員とのコミュ
が、武市康男調教師だ。武市師は2008年度の1歳特別
ニケーションを常に図り、それぞれの意見や考えを尊重しながら、仕
募集馬・クリスザレディーの2007を管理予定で、実質開業2年目の
事をこなしていっているのだろう。取材に行った時に、厩舎の雰囲気
37歳。今回はその武市師にインタビューした。
がとても和やかに感じたのはそのためなのだと、武市師の話を聞き
東
ながら、納得した。
武
市師の叔父・武市弘と父・武市進吾は、タケデンの冠名で
知られる馬主だ。しかし、武市師自身、子供の頃は競馬自
後にクリスザレディーの2007について話を聞いてみた。
「牧
体にほとんど興味がなかった。だがなぜか攻め馬を見るのが好きで、
最
船橋競馬場でよく調教を見学していたという。
「生き物が好きだったん
たし、全体的に体のバランスがとれているなと思いました」
。これが
ですね。ウサギとかニワトリ、クワガタやミミズなどを飼ってました」
と師。
師の第一印象。馬も人も、先入観なしに見た第一印象はとても大
攻め馬が好きだったというのも、レースに出走している馬よりも、体温
事だ。また折のやや深い飛節については「僕が鈴木康弘厩舎で助
が伝わってきそうなくらい近い存在に感じられたからかもしれない。
手をしていた頃にいたサマーベイブ
(新馬―特別2連勝、のちにオー
場でパッと見た時に、身のこなしがとてもいい雰囲気でし
クスにも出走)
も同じように飛節の折が深い馬でしたけど、結構、走
馬には興味がなかったはずなのに、高校3年の頃には、自然
りましたからね。ちゃんと固まりさえすれば大丈夫だと思いますよ」
と
と馬の世界に進むことを決めていた。北海道の酪農学園
のこと。
「若いうちにお釣りが残らないくらい無理させるのではなく、体
大学の短期大学部の学生時代は、牛の勉強が中心で、馬の方は独
の成長に合わせて、ステップアップしていく」
というのが武市師の厩
競
自に勉強したという。そして牧場でも経験を積み、競馬学校を経て、
舎コンセプトの一つだが、クリスザレディーの2007も、それに基づき、
厩務員として美浦の森安弘昭厩舎で働き始めた。
「この世界に入った
大切に育成、調教されていくことだろう。武市師はそれを意識しなが
からには調教師を目指すつもりでした」
という武市師は、当時、調教助
ら、毎日精力的に仕事をこなしている。
手に空きがあった鈴木康弘厩舎に移ることとなる。
「鈴木先生には、