老化遺伝子clk-1の哺乳動物における機能

基礎老化研究 34(
4)
;
25崖31,
2010
【総 説】
老化遺伝子c
l
k1の哺乳動物における機能
高橋真由美、白澤 卓二*
東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム 分子老化制御
*
順天堂大学大学院 医学研究科 加齢制御医学講座
要約
c
l
k
1遺伝子は線虫の長寿命変異体の原因遺伝子として同定された。変異したc
l
k
1遺伝子が機能
喪失することにより、c
l
k
1変異線虫は発生や運動リズムが遅延し寿命が延長する。c
l
k
1遺伝子産
物はミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達体であるユビキノン(コエンザイムQ:Co
Q)の合成酵素で
ある。またCo
QはATP産生と同時に活性酸素の最大の発生源であり、老化制御に深く関わってい
るとされる。本稿ではc
l
k
1欠損マウスを用いた研究を中心に、哺乳動物における生体リズムや老
化の制御におけるc
l
k
1遺伝子のかかわりについて紹介する。
l
k1,c
oenz
ymeQ,mi
t
oc
hondr
i
a,apopt
os
i
s
,ul
t
r
adi
an r
hyt
hm
キーワード:c
k1
1.老化遺伝子としてのcl
t
i
o
n)により寿命が延長し、
ウルトラディアンリズムが遅
たった一つの細胞-受精卵が分裂を繰り返し、様々な
延することからc
l
k
1は寿命を規定し、ウルトラディアン
機能を持った細胞に分化しダイナミックな形態形成を繰
リズムを制御する遺伝子の1つであると考えられた。
り返しながら複雑な生命体が形成される。そのメカニズ
寿命を制御するシグナル伝達経路のうち現在最も解析
ムを研究する発生生物学は古くから科学者達の興味を引
が進んでいるのはインスリン/
インスリン様成長因子
き、近年の分子生物学の発展に伴って分子の言葉で発生
(I
GF1)シグナル伝達経路である[
2]
。この経路の最上
過程が語られるようになってきた。ところがこれに比べ
流に位置するd
a
f
2はインスリン/
I
GF1受容体の相同体
同じ時間軸上にありながら、老化現象はただ役割を終え
をコードしている遺伝子で、d
a
f
2が変異した線虫は野生
た生物が崩れ落ちていく過程に過ぎず、科学的な研究対
型線虫の2~3倍に寿命が延長する。このd
a
f
2遺伝子と
象とは遠いかに思われた。実際初期の老化研究は過程や
c
l
k
1遺伝子との二重変異体は野生型の約6倍にも寿命が
現象の記述が主で、科学的研究とは言いがたいものも
延長し、長寿命変異体の中でも最も寿命の長い線虫のひ
多々あった。しかし近年、特に線虫C.e
l
e
g
a
ns
など比較
1遺伝子
とつとして知られている[
3]
。d
a
f
2遺伝子とc
l
k
-
的下等な生物を用いた解析により老化研究は目覚しい発
とが寿命に関して相乗的に作用していることから、両遺
展を遂げ、科学者達にとって充分魅力的な研究対象に
伝子が関与している老化制御機構は互いに独立したもの
なってきた。
であると考えられている。
線虫では1900年代後半より多くの寿命変異体が発見
当初c
l
k
1遺伝子産物CLK1の機能は不明であったが、
され、その原因遺伝子も次々特定されて寿命を規定する
その後線虫や酵母の研究から、ミトコンドリア呼吸鎖の
老化遺伝子(
ge
r
o
nt
o
ge
ne
)
の存在が確かなものとなり、
電子伝達体であるユビキノン(コエンザイムQ:Co
Q)の
老化は遺伝子により制御される生命現象であることが広
合成経路で、デメトキシユビキノン(DMQ)の3位に水
く認識されるようになった。そのようななか、1995年に
酸基を付加する水酸化酵素として機能している事が明ら
寿命が野生型の約1.
5倍に延長し、発生や咽頭部のポン
かにされた[
46](
図1)
。従ってc
l
k
1の機能が欠損した
ピング、スイミング、脱糞などの生体リズム(
ウルトラ
c
l
k
1変異線虫にはCo
Qがなく、代わりに中間代謝物であ
ディアンリズム:縮日リズム)
が遅くなる突然変異体が
るDMQが蓄積していることが報告された[
7]
。
発見され、その原因遺伝子は運動や発生のタイミングに
Co
Qは酸化還元活性の高いレドックスアクティブな疎
係わるものとしてc
l
k
1(クロック1)と命名された[
1]
。
水性の分子で、ベンゾキノン骨格とそこから伸びるイソ
c
l
k
1遺伝子が変異しその機能を失う事(l
o
s
so
ff
unc
-
プレン側鎖から成っている[
8,
9]
。イソプレン側鎖の数
は種によって異なり高等動物ほど多い傾向がある(図2)。
連絡先:〒1730015
Co
Qには多様な機能が知られているが、最も主要な役割
2
東京都板橋区栄町35-
はミトコンドリア内膜に局在する電子伝達系の呼吸鎖複
Te
l
:0339643241 e
x.
3022
合体ⅠからⅢへあるいは複合体ⅡからⅢへ電子を運搬し
Fax:0335794776
エネルギー源であるATP産生に寄与している点である
Emai
l
:mmt
aka@t
mi
g.
o
r
.
j
p
[
10]
。一方、Co
Qは電子伝達の際漏出した電子とミトコ
― 2
5―
ンドリア内に存在する酸素とが結合してできる細胞傷害
の遺伝子量およびCLK1タンパク量は野生型(
c
l
k
1+/+)
性の活性酸素の最大の発生源でもあるため[
9]
、老化のメ
マウスの半分であるにもかかわらず合成されるCo
Q量は
カニズムを探る上で最も重要な分子である。
ほぼ同じであった。
本稿では線虫で発見された老化遺伝子c
l
k
1の哺乳動物
線虫においてもその後の研究により、c
l
k
1変異線虫の
における生物学的役割についてc
l
k
1欠損マウスを用いて
寿命が延長するのはエサとして与える大腸菌がCo
Qを産
行った我々の研究を中心に紹介し、老化制御メカニズム
生する野生株のときに限られ、Co
Qを合成できない変異
とc
l
k
1遺伝子との関係について考察してみたい。
大腸菌で育てたc
l
k
1変異線虫は幼虫期に死亡することが
報告された[
7]
。これらの結果はc
l
k
1遺伝子産物に依存
k1遺伝子の機能
2.哺乳動物におけるcl
線虫で発見されたc
l
k
1が哺乳動物においても寿
命とウルトラディアンリズムを制御しているか明
らかにする目的で、まず哺乳動物においてもc
l
k
1
遺伝子が保持されているかを調べた。c
l
k
1のマウ
スおよびヒト相同遺伝子を単離、同定した結果、
c
l
k
1遺伝子の構造は原核生物や酵母から、マウス、
ヒトにいたるまで広く保存されていることがわ
かった[
1114]
。ヒトのCLK1は217個のアミノ酸
からなる分子量約24 kDaのタンパクで、1分子あ
たり2個のFe
原子を配位し、アミノ末端にあるミ
トコンドリアターゲティングシグナルによりミト
コンドリアに移行しミトコンドリア内膜に局在し
ていた[
12,
15,
16]
。次に我々はマウスあるいはヒ
トのc
l
k
1相同遺伝子をc
l
k
1変異線虫に遺伝子導入 図1:CoQ合成経路
する事により、c
l
k
1変異線虫の寿命と生体リズム
を野生型線虫のレベルに回復させる事に成功した
CLK1
タンパクはデメトキシュビキノンの水酸化酵素としてCo
Qの合成に
関わっている。
1遺伝
[
17]
。この結果から哺乳動物においてもc
l
k
子は構造とともに機能的にも進化的に保存されて
いる可能性が強く示唆された。従って、c
l
k
1遺伝
子による老化制御機構には種を超えて共通のメカ
ニズムが存在する可能性が考えられた。
1)c
l
k
1欠損マウスの作成
c
l
k
1遺伝子がどのようなメカニズムで寿命と生
体リズムを制御しているかを哺乳動物において解
CoQ
図2:種によるCoQ側鎖長の多様性
Co
Qのイソプレン側鎖は種によって異なり高等動物ほど長い傾向がある。
明する目的で常法に則りc
l
k
1欠損マウスを作成し
た[
18]
。c
l
k
1遺伝子の第2エクソンをネオマイシ
ン耐性遺伝子で置換したターゲティングベクター
を作成して電気穿孔法でES細胞(胚幹細胞)に導
入し、相同組み換えを起こしたES細胞をクロー
ン化して凝集法により仮親の子宮に移植しキメラ
マウスを誕生させた。キメラマウスと野生型マウ
ス と の 交 配 に よ り 得 たc
l
k
1へ テ ロ 接 合 型(c
l
k
l
k
1ホモ接合体(c
l
k
1+/-)マウス同志を交配しc
1-/-)マウスの誕生を期した。
ところが期待に反し、c
l
k
1-/- マウスは胎生
(
E)8.
5日からE11.
5日の間に致死となった。死亡
直前のE10.
5の胎児は野生型に比べ著しく小さく、
神経管が未閉鎖であることから約48時間の発生
遅延があることがわかった(図3)
。また胎児抽出
Bar: 1 mm
物を高速液体クロマトグラフィー及び質量分析し
図3:cl
k1-/-マウスの発生遅延
胎生1
0
.
5
日目のマウス胎児。野生型に比べ欠損マウスは非常に小さく、約
れず、代わりにCo
Qの前躯体であるDMQの蓄積
4
8
時間の発生遅延が認められた。
l
k
1 (Takahas
が確認された[
18]
。一方c
l
k
1+/- マウスではc
hie
ta
l
.
,2
0
0
8
からの引用)
Qが全く同定さ
た結果、c
l
k
1-/- マウスには、Co
― 2
6―
して産生されるCo
Qは線虫およびマウスの初期発生に必
須であることを示唆している。
の頻度も有意に低下させた(図4C)[
21]
。以上の結果か
ら、c
l
k
1欠損マウスはc
l
k
1の欠損によりCo
Qが合成でき
ず、Co
Q欠失に伴うミトコンドリア機能不全によるアポ
2)c
l
k
1欠損マウス胎生致死の原因
トーシスが全身の細胞で誘導された結果、胎生致死にい
c
l
k
1欠損マウスの作成は我々とほぼ同時にカナダの
たると考えられた。すなわちCo
Qはミトコンドリア機能
He
ki
mi
らのグループにより報告された[
18,
19]
。両者と
を維持してATP産生に寄与し、アポトーシスの誘導を抑
もCo
Qがマウスの発生に必須であるという点では一致し
制する事によりマウスの初期発生に必須な役割を担って
たが、我々がc
l
k
1欠損によるミトコンドリアの形態異常
いると考えられた。
を報告したのに対し、He
ki
mi
らはミトコンドリア呼吸
にCo
Qは必須ではないとの考えを示した。これを受け
3)c
l
k
1欠損マウスにおけるウルトラディアンリズムの
Sc
i
e
nc
e のSAGEKE(Sc
i
e
nc
eo
f Agi
ng Kno
wl
e
dge
遅延
r
o
nme
nt
)においてミトコンドリア呼吸が正常なの
Envi
生体リズムの中で最もポピュラーで分子レベルにまで
になぜ胎児は死ぬのかとのコメントが寄せられた[
20]
。
機構解明が進んでいるのは、24時間周期のサーカディア
そこで我々は致死直前の E10.
5日目のマウス胎児及
ンリズム(概日リズム)である[
22]
。ウルトラディアン
び胎児由来細胞を用いて解析を行った。まずマウス胎児
リズム(縮日リズム)は24時間より短い周期のリズムで、
のパラフィン切片をヘマトキシリン・エオジン染色した
知名度は低いものの多くの重要な生命現象に関係してい
ところ、c
l
k
1-/-マウスでは全身にアポトーシスを示す
る。たとえば、数時間周期のホルモン分泌、90分周期の
典型的な核の凝縮および断片化が多数観察された。そこ
レムーノンレム睡眠、数十ミリ秒周期の心臓の拍動、数
でアポトーシスによるDNAの断片化を検出するTUNEL
時間周期の細胞分裂やタンパク合成など非常に多岐にわ
法により胎児切片を免疫染色した結果、TUNEL陽性細
たっている。しかしその調節機構についてはサーカディ
胞はc
l
k
1+/+マウスではほとんど見られなかったのに対
アンリズムに比べ解析が遅れている。
し、c
l
k
1-/- マウスでは多数認められた。さらにアポ
c
l
k
1欠損マウスは胎生致死である為、リズムの解析を
トーシスの指標であるpho
s
phat
i
dyl
s
e
r
i
ne
の細胞膜上で
行うのは不可能かに思われた。致死直前のE10.
5のc
l
k
-
の外在化とc
as
pas
e
3の活性化をそれぞれ免疫染色及び
l
k
1+/-マウス胎児由来細胞は無血清培地で
1+/+およびc
ウエスタンブロット法により確認した。その結果c
l
k
-
生存可能であるが、c
l
k
1-/-マウス胎児由来の細胞は生
1-/- マウスの胎児の細胞ではアポトーシスが高頻度で
体内と同様E10.
5を超えて生存することは出来なかった
誘導されている事が明らかとなった[
21]
。
[
18]
。しかし我々は10%牛胎児血清を培地に添加するこ
アポトーシスの誘導にはいくつかの経路が知
られている。Co
Qがミトコンドリア機能に深く
かかわっていることから、ミトコンドリア経由
のアポトーシスが誘導されている可能性を検討
した。ミトコンドリア依存性アポトーシスの指
標としては、チトクロームCの細胞内局在、ミ
トコンドリア膜電位変化、ATP量について解析
した。c
l
k
1-/- マウス胎児の細胞をチトクロー
ムCに対する抗体で免疫染色した結果、ミトコ
ンドリアから細胞質へのチトクロームCの放出
が確認された。また、JC1蛍光染色法によるミ
トコンドリア膜電位測定およびルシフェラーゼ
法によるATP定量の結果、c
l
k
1-/- マウス胎児
由来細胞では野生型マウスに比べミトコンドリ
ア膜電位とATPレベルが有意に低下しているこ
とが明らかとなった(
図4A&B)
。以上の結果か
らc
l
k
1-/-マウスで誘導されているアポトーシ
スはミトコンドリア由来であることが強く示唆
された[
21]
。
Qを合
既に述べたようにc
l
k
1-/- マウスはCo
成することが出来ない。そこでc
l
k
1-/- マウス
におけるミトコンドリア機能不全やアポトーシ
スの誘導がCo
Q処理により回避できるかを検討 図4:ミトコンドリア機能とアポトーシスに対するCoQの効果
した。c
l
k
1-/- 細胞を無血清条件下で5時間25 マウス胎児由来の解離細胞を25μMCoQ10添加無血清培地で5時間培養した。
Q10はミトコンド
µM Co
Q10処理した結果、Co
リア機能を有意に回復させ、またアポトーシス
CoQ10添加によりc
l
k1欠損マウスのミトコンドリア機能が有意に回復し、アポ
トーシスの誘導が抑制された。
(Ta
ka
ha
s
hie
ta
l
.
,2
0
0
8
からの引用)
― 2
7―
とによりc
l
k
1-/- マウス由来の細胞の培養を
可能とし細胞を生存させることに成功した。
そこでこの培養系を用いて胎児由来の細胞お
よび心臓におけるリズム解析を行い、c
l
k
1遺
伝子が哺乳動物においてもウルトラディアン
リズムの制御に関与しているか検討した。
胎児を酵素処理して細胞を解離し、細胞培
l
k
1+/+ やc
l
k
養 し た 結 果、c
l
k
1-/- 細 胞 はc
1+/- 細胞に比べゆっくり増殖することがわ
かった。このc
l
k
1-/- 細胞における増殖遅延
がウルトラディアンリズムの1つである細胞
分裂速度の遅れによるものか、あるいはより
多くの細胞が死ぬ事により見かけ上増殖に遅
れが見られるのかを明らかにする為、単位時
間 当 た り のBr
dUの 取 り 込 み とTUNEL
ELI
SA法によるアポトーシスの発生頻度を
l
k
1+/+
調べた。その結果、c
l
k
1-/-細胞ではc
細胞やc
l
k
1+/- に比べ細胞分裂速度が半分以
k1変異線虫とcl
k1欠損マウスの表現型の比較
下であると共にアポトーシスの発生頻度は4 図5:cl
倍以上であった。従って、c
l
k
1-/- 細胞の増
殖遅延は細胞分裂の遅延と細胞死の増加との
合算によることが明らかとなった。
次にもう1つのウルトラディアンリズムで
c
l
k
1欠損マウスは線虫同様、発生とウルトラディアンリズムの遅延が認められ
た。線虫、マウスともにCo
Qがないと胎生致死になることからCo
Qは初期発生
に必須であることがわかった。成長後、マウスにおいてもCo
Qが少ないと寿命
が延命するかはc
l
k
1-/-Tgマウスの寿命解析により明らかになるであろう。(文
献〔1
〕〔7
〕〔1
8
〕〔2
1
〕および未発表データ)
ある心臓の拍動リズムを解析した。胎児の心臓を酵素処
以上の結果から、線虫同様、哺乳動物においてもc
l
k
1
l
k
1+/-マウス
理して細胞培養した所、c
l
k
1+/+マウスやc
遺伝子の欠損によりウルトラディアンリズムが遅延する
の心筋細胞が1分間に約150回拍動したのに対しc
l
k
1-/-
ことが明らかとなった。またこのリズム遅延がCo
Q10添
マウスの心筋細胞は約1/
3のゆっくりとしたリズムで拍
加により回復することから、少なくとも細胞分裂及び心
動していた。c
l
k
1-/-マウス心臓の拍動リズムの遅れは
拍のウルトラディアンリズムの制御にCo
Qがミトコンド
胎児由来の心臓をまるごと器官培養することでも確認さ
リア機能を介して関与していることが強く示唆された。
れた。以上の結果から、マウスにおいてもc
l
k
1遺伝子の
欠損によりウルトラディアンリズム-細胞分裂速度と心
4)まとめ
臓の拍動-が遅延することが明らかとなった。
c
l
k
1欠損マウスを用いた機能解析の結果、リズム遅延
次にウルトラディアンリズムの制御にCo
Qが関与して
を伴う長寿変異体線虫の原因遺伝子c
l
k
1は、哺乳動物に
いるかを調べる目的で、培地にCo
Q10を添加し胎児解離
おいてもウルトラディアンリズムの制御に関与している
細胞の増殖に対する効果を調べた。c
l
k
1-/-細胞の見か
ことが明らかとなった(図5)。c
l
k
1変異線虫においてウ
l
k
1+/+細胞と同等の
Co
Q10によりc
ルトラディアンリズムが遅延するメカニズムはまだ明ら
け上の増殖は25 µM
レ ベ ル に 回 復 し た。こ の 時、外 来 性Co
Qの 添 加 はc
l
k
-
かにはなっていない。しかし一つの可能性としてCo
Qを
l
k
1+/+細胞レベルに回復させる
1-/-細胞の増殖速度をc
合成できないが、エサとして取り入れた外来のCo
Qで生
とともにアポトーシス頻度を有意に減少させた。さらに
育している線虫では代謝が低下し、その結果様々な運動
心臓の拍動に対するCo
Qの効果を検討したところ、培養
リズムの遅延が引き起こされるのではないかと考えられ
心筋細胞に対しては50 µM、器官培養した心臓に対して
ている[
23]
。昔から代謝速度あるいはウルトラディアン
は150 µM Co
Q10により拍動リズムが完全に回復した。
リズムの1つである心臓の拍動リズムと寿命とは反比例
Co
Qにはいろいろな作用があることが報告されている
することが知られている[
24,
25]
。すなわち寿命と代謝
が、最も重要な機能としてATPを産生するためのミトコ
およびウルトラディアンリズムとの制御には共通のメカ
ンドリア電子伝達系における電子の運搬が挙げられる。
ニズムが関与している可能性が示唆される。従って種を
そこで、リズム遅延に対するCo
Qの効果がミトコンドリ
超えてリズム制御に関与しているc
l
k
1遺伝子は、この共
ア機能を介しているのかを検討した。ミトコンドリア膜
通のメカニズム解明に迫ることが可能な重要な遺伝子で
電位を調べるため、培養7日目の細胞をJC1染色した。
あると考えられる。
l
k
1-/- 細胞のミトコンド
その結果Co
Q10の添加によりc
また哺乳動物においても線虫同様[
26]c
l
k
1遺伝子の
リア膜電位が有意に上昇した。さらに4日間器官培養し
欠損によりマウスが胎生致死となることから、c
l
k
1遺伝
た心臓のATP量をルシフェラーゼ法により測定したとこ
子あるいはc
l
k
1遺伝子産物により合成されるCo
Qは線虫
l
k
1-/- マウスの心臓のATP産生
ろ、Co
Q10添加によりc
およびマウスの初期発生に必須であることが明らかと
量は有意に増加することがわかった。
なった。寿命に関係する遺伝子の中で若齢においては生
― 2
8―
存にとって不可欠な機能を果たすが、繁殖後はむしろ生
てレスキューしたc
l
k
1-/-Tgマウスの中で、野生型マウ
存 力 を 低 下 さ せ る よ う 作 用 す る 多 面 発 現 的(pl
e
i
o
-
スに比べCo
Qの合成量が少ないラインを用いて解析を
t
r
o
phi
c
)な遺伝子の存在が指摘されている[
27,
28]
。c
l
k
1
行った結果、c
l
k
1-/-Tgマウスの腎臓から単離したミト
遺伝子はまさにpl
e
i
o
t
r
o
phi
c
な遺伝子であることが線虫
コンドリアでは呼吸酵素活性および2種類の活性酸素種
において示唆された。では線虫同様哺乳動物においても、
の発生が低下していた[
42]
。これらの結果は生体リズム
成長後c
l
k
1遺伝子あるいはCo
Qがない方が長寿となるの
の調節、ミトコンドリアの呼吸機能および活性酸素の発
であろうか?今後の研究が待たれるところである。
生はCLK1タンパク量よりもCo
Q量に依存しているこ
とを示唆している。
k1遺伝子と老化
3.cl
一方寿命に関して、He
ki
mi
らのグループはCo
Q量が
老化仮説の中で、現在最も注目されている仮説のひと
l
k
1+/+マウスで差がないにも拘らず、
c
l
k
1+/-マウスとc
つにフリーラジカル仮説(酸化傷害仮説)がある[
29]
。フ
c
l
k
1+/-マウスの方がより長寿であるとの報告をしてい
リーラジカル(活性酸素)は正常な代謝の副産物として
る[
43]
。この結果から彼らは、CLK1タンパクにCo
Q合
発生し、DNA、タンパク質、脂質などの生体高分子物質
成 以 外 の 機 能 が 存 在 す る 可 能 性 と、Co
Q量 で は な く
に酸化傷害を与え、酸化傷害の蓄積により細胞機能が低
CLK1タンパク自体が寿命制御に関与している可能性
下して老化が進行すると考えられている。細胞内におけ
を指摘している[
44]
。
る活性酸素の最大の発生源はミトコンドリア内膜に存在
l
k
1-/-Tgマウスの寿命解
今後c
l
k
1+/- マウスおよびc
するCo
Qであり[
30,
31]
、ミトコンドリア内の0.
4~4%の
析およびミトコンドリア機能、代謝速度、活性酸素の発
酸素が、電子伝達時に漏出した電子と結合し活性酸素に
生量をさらに調べることにより哺乳動物の老化制御にお
なると試算されている[
32,
33]
。ミトコンドリアでの呼
けるc
l
k
1遺伝子、CLK1タンパク、Co
Qあるいは活性酸
吸が盛んになるほど、電子の漏れも増え、活性酸素の発
素の関与を明らかにしていきたい。
生も増加し、老化が加速すると考えられる。c
l
k
1の遺伝
子産物はCo
Qの合成酵素であることからc
l
k
1変異線虫が
引用文献
長寿であるのはc
l
k
1変異線虫のミトコンドリアでは代謝
[
1] Wo
ng,A.
,Bo
ut
i
s
,P.and He
ki
mi
,S.(
1995)
.
が低く活性酸素の発生が低下しているのではないかと示
s
Mut
at
i
o
ns i
nt
he c
l
k1 ge
ne o
fCae
no
r
habdi
t
i
唆されている[
34]
。実際c
l
k
1変異線虫に存在する外来性
e
l
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gans af
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c
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Q9の量よりはる
Co
Q8の量は野生型線虫で合成されるCo
t
i
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ng.Ge
ne
t
i
c
s139,124759.
かに少なく[
35]
、c
l
k
1変異線虫の単離ミトコンドリアの
[
2] Wo
l
ko
w, C.
A.
, Ki
mur
a, K.
D.
, Le
e
, M.
S. and
解析から呼吸鎖複合体ⅠからⅢへの電子伝達速度は70
Ruvkun,G.(
2000)
.Re
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i
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f C.e
l
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gans
~80%低下し、酸化傷害も低下しているとの報告がある
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[
36]
。一方、c
l
k
1変異線虫では野生型に比べ代謝関連お
よび抗酸化酵素群の遺伝子発現が亢進し、ミトコンドリ
[
3] Lako
ws
ki
,B.and He
ki
mi
,S.(
1996)
.De
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e
r
mi
-
アの生合成が増加していることが判明した[
34]
。これら
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e272,10103.
の変化は酵母や哺乳動物の細胞でミトコンドリア機能不
全により呼吸が阻害された時に見られる‘r
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[
4] Mar
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, B.
N. and Cl
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, C.
F. (
1996)
. The
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’とよく似たパターン[
37]であると指摘された。
またミトコンドリア生合成の増加はカロリー制限(CR)
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により寿命が延長する場合にも報告されている[
3840]
。
3004.
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.J Bi
o
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m 271,2995-
従って、c
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k
1変異体とCRとにおいては共通のメカニズ
[
5] Mi
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tal
.(
2001)
.Al
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o
-
ムで寿命が延長している可能性があり[
41]
、両者ともに、
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. J Bi
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m 276,
Cae
no
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77136.
成の増加という補償作用が働き、最終的に寿命延長に繋
がると予想されるが、詳細なメカニズムについては今後
[
6] Jo
nas
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, Pr
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, M.
, Rande
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Gi
l
, F.
,
の解析を待たねばならない。
i
an,K.
D.and
Sc
hul
t
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,J.
R.
,Mar
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,B.
N.
,Ent
1タンパクが
前述のように、c
l
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1+/-マウスではCLK-
Cl
ar
ke
, C.
F. (
1998)
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1+/+ マウスの半分しか合成できないにも拘らず、
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Co
Q量はc
l
k
1+/+ マウスと同程度確認された。またc
1+/-マウス胎児由来細胞の分裂速度、心拍数および成体
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.J Bi
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lChe
m 273,33517.
z
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[
7] Jo
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, Lar
s
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n, P.
L. and Cl
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, C.
F.
マウスのミトコンドリア呼吸活性(未発表データ)もc
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1+/+ マウスと変わらなかった。これらの結果からc
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1+/+ マウスと同じ表現型を示すのは
1+/- マウスがc
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ad Sc
CLK1タンパクの減少にも拘らずCo
Q合成量はc
l
k
1+/+
S A 98,4216.
マウスと変わらないためではないかと考えた。そこで、
[
8] Er
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,L.and Dal
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1995)
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1遺伝子をトランスジーン(Tg)し
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l
k
1-/-マウスにc
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2004)
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m 276,461604.
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20]Dave
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2001)
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[
21]Takahas
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11]Ewbank, J.
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23]Ans
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2004)
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1982)
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25]Zhang, G.
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1996)
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19]Le
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