チャイナレポート - 新潟経済社会リサーチセンター

チャイナレポート
第19回
第四銀行上海駐在員事務所
立地され、2013年は市の貿易額の4割をIT関連が占
注目を集める中国西部都市
─重慶・成都─
めるまでに発展している。
進出している日系企業は137社、在留邦人数396名と
直轄市としては意外に少ない印象を受けるが、インフ
ラが急速に整備されてきており、ものづくりだけでな
中国は実に広い。その国土面積は日本の約25倍、
くソフト面でも充実した都市の発展が見込まれる。
960万平方キロメートルもある。さらに、その広大な
次に三国志で「蜀」の都として有名な成都市である。人
国土には漢民族をはじめ56もの異なる民族が暮らし、
口は1,418万人(2012年)
、面積は新潟県とほぼ同じである。
各地の文化、気質など実に多彩な面を見せてくれる。
成都市も重慶市と並ぶ西部地域の政治・経済・文
私は普段、上海に暮らしているが、今回内陸地(西
化・交通の中心都市であるとともに内陸随一の消費市
部地域)の重要都市である重慶市、成都市に訪問する
場として注目を集めている。日系小売店も進出してお
機会があったので紹介したい。
り、大型商業施設が立ち並ぶ繁華街には多くの人で混
重慶市といえば「重慶火鍋」や「自動車・オートバ
雑している。視察先の百貨店ではちょうど日本物産展
イ製造業の集積地」などをイメージする人が多いので
が開催されており、中国人も多数来客していた。
はないだろうか。重慶市は北京、天津、上海に次いで
成都の消費市場としての優位性は、その市民の旺盛
1997年に直轄市となった中国西部の重要都市である。
な消費意欲にある。成都市が位置する成都平原は土地
2,970万人(2013年末)の人口を抱え面積は北海道と
が肥え、古くから物産が豊かなため「天府の国」と称
ほぼ同程度である。
されていた土地柄から、成都人の性格は楽天的、おお
直轄市指定を受けてから2012年までの15年間におけ
らか。また、宵越しの金は持たない人が多いとの中国
る平均経済成長率は12.2%。2013年も12.3%と2桁台
における評価もある。
の高成長を持続している。
先に述べた重慶人をはじめ一般的な中国人は貯蓄志
中国政府は重慶市を西部地域の中心都市として様々
向が高いのに比べ、成都人は1,000元稼いで2,000元を
な産業政策、対外開放、積極的な外資導入を実施して
使うといわれているほどである。
きた。従来の基幹産業である自動車・オートバイ製造
今回の訪問で、日系百貨店の方と面談をする機会が
に加え、ITを中心とするハイテク産業等への発展に
あったが、
「欧米からは西・中央アジアを越えると中
力を入れた結果、昨年末までに817社のIT関連企業が
国市場にはすぐ成都があり、重要マーケットと捉えて
▲重慶の町並み
▲成都のブランド品街
新潟経済社会リサーチセンター センター月報 2014.04
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注目を集める中国西部都市/開かれる中国ゲーム機市場の扉
いる。かたや日系は、沿岸部のみをまだ主要市場と捉
プロジェクトとして動いている。中国経済への懸念が
えている印象がある」という発言があった。
伝えられる一方で、広大な中国には、やはり広い視野
中国市場というと上海や北京、広州など東部を中心
が求められるのではないだろうか。
(上海駐在員事務所 杉山 伸)
に考えがちであるが、西部地方経済の発展促進が国家
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間売上高の半分以上をゲーム関連で稼いでいます。
開かれる中国
ゲーム機市場の扉
中国ゲーム業界13年度年会での報告によると、中国
ゲーム市場の2013年の売上高は前年比38%増の831億
7,000万元(約1兆4,000億円)で、ユーザー数は20.6%
今までゲームに触れてこなかった人々にも、ゲーム
増の4億9,000万人。
をかなり身近に感じられるように導いた立役者と言え
中国ゲーム市場において最大シェアを占める上海市
ば、スマートフォンやタブレット型端末であるという
の昨年売上高は、34.2%増の255億1,900万元で、全国
ことに異論を唱える人はいないでしょう。日本では
の30.7%を占めています。
ゲームと聞くと、テレビゲームの普及が先行したこと
このようななか、2014年1月中国政府は、国内向け
もあり、
「テレビとゲーム機とコントローラー」のイ
家庭用ゲーム機の製造・販売禁止措置を暫定的に、上
メージが、未だに根強い印象かもしれません。
海自由貿易試験区内に限り解除すると発表しました。
一方、中国ではというと、青少年への悪影響などを
この巨大市場に食い込むべく、有力ゲーム機を擁する
理由に、2000年以降テレビゲーム機の製造・販売など
米国企業が既に解禁に向けた準備をしており、大手日
は一切禁止されてきました。しかし、いわゆるネット
系メーカーの動向にも関心が集まっています。
ゲームといわれる、パソコンやインターネット・モバ
ただ現在、スマホやパソコンで手軽にネットゲーム
イル経由のゲーム市場の急拡大を抑えることができ
を楽しめている5億人弱のユーザーとそれ以外の新規
ず、矛盾が生じていました。実際、中国インターネッ
ユーザーに対して、家庭用ゲーム機の魅力をどのよう
トサービス大手の騰訊控股(テンセント)は、今や年
に伝えていくのか、という具体的な戦略は必要不可欠
です。
中国ゲーム売上高内訳〈2013年実績〉
更に、販売価格面やソフトの内容審査についても不
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億元
透明感はあり、この夢の巨大市場に食い込むにはまだ
112億元
128億元
合計
831億元
537億元
オンラインゲーム
(パソコン用)
まだ乗り越えるべき障壁も多そうです。いずれにせ
ブラウザゲーム
よ、ネットゲームに押され家庭用ゲーム機の市場規模
モバイルゲーム
が世界的に縮小するなかで、各メーカーが今後の中国
ソーシャルゲーム
ゲーム機市場にどう打って出るのか、その動向に注目
していきたいと思います。
(出所)中国ゲーム出版協会出版会、インターナショナル・データ・コーポ
レーション、ガンマニューメディア
(上海駐在員事務所研修生 宮本佳太)
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