平成 18年3月号 杉山内科健康便り 口の中の健康は 全身の健康に影響 自分の歯に勝るものはない。人生 80 年の現代、歯の平均寿命はおおよそ 60 歳代。 歯を失う原因の大半は虫歯や歯周病である。自分の歯を長持ちさせるにはどうするの。 むし歯・歯周病や歯の喪失による全身の健康への影響 1)生活の質とのかかわり ・運動機能や日常生活活動の低下 ・痛み、腫れや出血、疼きなどの不快な症状 ・食べ物がかめない、食べ物がはさまる・思うように話せない・口臭が出る 2)病気のなりやすさとのかかわり ・ 循環器疾患(脳血管疾患 1.13 倍、冠動脈疾患 1.15 倍) ・アルツハイマー型認知症 ・糖尿病(血糖コントロールが不良になる可能性 6 倍) ・低体重児出産 3.5 倍 歯を長持ちさせる為に必要なケアー 虫歯も歯周病も感染症! 現在、成人の虫歯の有病率は約 9 割、歯肉に所見がある 割合は約 8 割。歯周病は原因菌が出す毒素などにより歯肉に炎症が起きたり、歯を支 える根っこの歯が溶けてしまう病気で最悪の場合は歯を抜かねばならない。 1:感染源を除去する・・唾液1mlには約 1 億、歯垢1mgには約 1000 億の細菌 がいる。歯と歯の間や歯茎の隙間にくっついた病原菌を、歯磨きで減らすしかない。 殺菌する特効薬はない。歯磨きをしても細菌の量は10∼24 時間で元の量に戻る。 歯の 4 面(表面、裏面、左面、右面)をしっかり掃除する。専門家の定期的チェックも。 2:感染経路を断つ・・虫歯はほとんど母子感染、歯周病は男女間感染が約 8 割 夫婦で同じ菌を持っていることが多い。家族ぐるみでクリーニングをすることが大切。 3:宿主の抵抗性を上げる 虫歯にはフッ化物が有効、歯周病には末梢血の循環を良くする事が重要。第一に禁煙、 そして血行をよくするビタミンCやEが十分な食事を心がける。 今日から実践 予防ケア 1,甘いものだけが悪者じゃない・・飲み物・食べ物は全て虫歯菌のえさとなり口腔内 pHを下げる。砂糖の多い物ほどpH値を下げる。ドリンクやお菓子の摂取で口内が 酸性になり虫歯のリスクを高める。喉が渇いたらお茶や水を飲むことも心がけて。 2,唾液は自然の洗口剤である・・唾液には虫歯や歯周病の原因菌も食べ物と一緒に胃 に流すといった浄化作用のほか、多くの抗菌物質を含み、かつ飲食によって酸性に傾 いた口内を中性にかえす緩衝作用もある。ガム等で唾液量を増やす工夫もしたい。 3,食後すぐより“四面磨き” ・・特に就寝前の歯磨き。就寝中は唾液の分泌量が減る為 夜間の細菌量を減らすように歯と歯の間や歯と歯ぐきの隙間をしっかりと磨こう。 4,歯周病にはまず禁煙・・喫煙は末梢血循環を悪化し歯周病菌と闘う力を低下させる 5,フッ化物とキシリトール・・フッ化物(歯磨き粉)は虫歯の発生を減少させる。キシ リトール(アメ、ガム、口臭防止スプレー等)は虫歯菌の育成を阻害、再石灰化を促進する。 国立保健医療科学院 花田信弘氏による 杉山内科 52-0031
© Copyright 2024 Paperzz