超耐久性を持つ高機能プラスチック材料を開発

報道発表
超耐久性を持つ高機能プラスチック材料を開発
- リサイクルも可能で循環型社会にも適合 平成17年3月23日
大阪市立工業研究所では、市域中小企業のものづくり支援を目標に掲げ、従来よ
りプラスチック新材料の開発研究に取り組んでおりますが、今回、代表的なプラス
チックであるポリプロピレンをベースに、抜群の耐久性(長寿命)と成形性、低収
縮性を併せ持ち、かつリサイクル性にも優れた新素材を開発することに成功しまし
た。
我々の身の回りには、沢山の種類のプラスチックが使われていますが、中でもと
りわけポリプロピレンは、軽量性・成形性・剛性など、コストパフォーマンスに優
れかつ環境にやさしいプラスチックとして、家庭日用品、雑貨などで幅広く使用さ
れています。 しかし、ポリプロピレンは日光にさらされると劣化しやすく、また
収縮率が大きいため建築部材などの屋外で使用される製品には不向きで、使用範囲
が限定されると言う欠点もありました。
このたび工業研究所では、長年にわたるプラスチックの改良と加工技術に関する
研究シーズの蓄積を活かして、市内の中小企業である紀陽産業(株)および(株)シロク
マとの共同研究により、ポリプロピレンに少量の液晶ポリマーを独自の技術を用い
て溶融ブレンドし、ミクロンレベルでハイブリッド化することに成功しました(特
許願第2005-54113号)。この技術により、軽くて丈夫で加工しやすいというポリ
プロピレンが従来持つ多くの長所を損なうことなく、さらに抜群の耐久性(長寿
命)と成形性および低収縮性を併せ持つ新素材を開発することができました。 開
発した素材は、リサイクル性にも優れ、循環型社会にも適合します。また従来のプ
ラスチックにはない優れた耐候性を持つため、建築部材をはじめ手摺りや公園のベ
ンチなど屋外で使用される多くのプラスチック用品への応用が期待されます。
【新材料のポイント】
・ポリプロピレンに少量のフィブリル状(微細繊維状)液晶ポリマーをミクロンレ
ベルでハイブリッド化
・従来のポリプロピレンの10倍の長寿命で石油資源の有効利用につながる
・金属材料に匹敵する寸法安定性(収縮率が小さい)
・ポリプロピレンの軽量性、耐水性、耐薬品性などの長所を失っていない
・相乗効果で剛性、成形性もアップ(従来の種々の成形加工機械が使用可能)
・振動減衰特性にも優れる(響かない、ビビらない)
・繰返しリサイクルも可能で環境にもやさしい
なお、本研究は、平成14年度から16年度の中小企業技術開発産学官連携促進事
業「省エネルギー加工プロセスを活用した高性能ポリマーハイブリッドの開発」と
して取り組んだ成果です。
【問合せ先】 大阪市立工業研究所 加工技術課長 喜多 TEL:06-6963-8130